2009年07月12日

蟹工船

SABU
松田龍平、西嶋秀俊、高良健吾、柄本時生

各方面での評判は決して良くはないこの作品。
でもわたくし的には そんなでもなかったかな。

ひとつには、元々SABU監督の作品が好きというのもあります。
ひとつには、わたくしの持ってる「蟹工船」という原作のイメージの"枠"にとらわれなかった創りだったからなのかも。

昨年来からの経済情勢とリンクして、また見直されている「蟹工船」ではありますが、わたくしの持ってる そのイメージってのは 中学か高校か 学校の授業でやった程度なわけでね。

その上での見方なんですが、原作の持ってる主義主張、労働者の境遇などは根本は普遍なんだと思います。また純粋でありシンプルであり。
それをそのまま映画化・映像化したところで、エンターテインメントとしてはインパクト薄いんじゃないかな。
ものスゴイ演技だけで引っ張って行ける役者さんだけであれば それも見応えあるかもしれないけど、この作品に出演してるのって若い役者さんたちに 脇を固められる方、そしてお笑い芸人。

そのメンツでストレートなものを構築してソコソコのものを撮るよりも、普遍的なテーマをスタイリッシュな衣装でコーティングして見せるのもアリなんじゃないかと思うわけですわ。

かといってエンターテインメントに走りきって、「クラブシップ」とかいう宇宙船が舞台で その中の艦長やら乗組員の境遇を・・・とかまでいくと それはそれで???だろうし。
そういう設定にするんだったら 逆に「蟹工船」という原作が足かせで。オリジナル脚本で別のストーリーでイイじゃんだわな。

先に見た「MW-ムウ-」なんかは ガッシリとした原作を磨きに磨いて角を丸くしちゃってガッカリしちゃったんだけど、この作品に関しては・・・
真面目で面白味のない堅物のサラリーマンに SABUというスパイスを加えた結果、スタイリッシュでジョークもわかって 尚且つハートは熱い派遣労働者になったんじゃないかしら。

我ながら変な例えだ。申し訳ない。。。


本来ならSABU監督って もっともっと作品の中に遊び心を散りばめられると思うんだけど、原作のストーリーラインを生かすようにした結果か、そこはおとなし目に感じました。
でもその分、役者さんたちの技量を最大限に生かすことには成功してたんじゃないかな。

松田龍平はヒリヒリするほどカッコ良かったし、コチラも2世の柄本時生もハマってたし。
西嶋秀俊のワルっぷりもわかりやすかったですよ。

そしてTKOの木下が それらと引けを取らない存在感を出してたですねぇ。
いいムードメーカーとなってましたよ。


わたくし的には 思いのほか見応えあったんですが、どうやら万人受けはしないのかな。
原作とテーマと作風のギャップがあるし。
「わたしの理想の蟹工船はこんなじゃない!」ってね。

Knikou.jpg
蟹江船
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2009年07月07日

ウルトラミラクルラブストーリー

横浜聡子
松山ケンイチ、麻生久美子、原田芳雄
青森農業を営む無垢で真っ直ぐな青年・陽人が、東京からやって来た保育士の町子にひとめ惚れ。なんとか町子と"両思い"になろうと猛アピールをする陽人。
そんな陽人の体に あるきっかけで変化が起こる。

とてもじゃないが良い映画とは言えませんな。何がなんやらさっぱり・・・(笑)

舞台は青森。東京から来た町子以外は みな基本青森弁。
なかでも陽人のそれはあっちゃん(婆ちゃん)譲りなのかキツイきつい。セリフは何を言ってるのか聞き取れないどころかほぼ理解もできず。

ニューヨークでミュージカルを見たらこんな感じなのかしらん。
言葉はわからんけど、動きと展開でなんとなく・・・と(爆)

とにかく全編を通してそんなふうなので、それとなくフラストレーションの溜まりました。。。

尚且つ、共感できるストーリー展開であればそれも良いんですが、なかなかイッちゃってる設定で押し寄せるもんだから、常人としては付いていけず。

果たして監督・脚本の横浜聡子さんはそこんところどうだったんでしょうか?
信念を持って、メッセージ性をもってこういうことにしたのか。

それであれば送り手と受け手の相性が合わなかったとか、わたくしの勉強不足で済むけども、ただのエキセントリックなストーリーであるとしたならば、一所懸命見ようとした人が気の毒に思えるね。
いったい何を伝えたかったのやら?

この手の映画を見て「面白かった」だの「ほんのり優しさを感じた」とか ありきたりな感想を書けば「センスのいい人だ」と思われそうな風潮もありましょうが、そんなものはクソ食らえ。やっぱりわたくしには何がなんやらさっぱり・・・(笑)
ギリギリのところでわからないから余計に腹が立つっちゅうか。そんなことを感じさせるイイい作品でしたよぉ(苦笑)

ちょっと気になったのは保育園の子供たち。演技なのか素なのか、とにかく素晴らしかったね!!
あと、ARATAさんって予告編のときには「町子の元カレ」として ちゃんと映ってなかったっけか!?(笑)

UML.jpg
まいっちんぐ町子先生が見たい
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2009年07月04日

山形スクリーム

竹中直人
成海璃子、AKIRA、マイコ、沢村一樹
女子高の歴史研究会の一行が落ち武者の里・山形県御釈ヶ部村を訪れる。
そこで行なわれた 落ち武者の霊が眠る祠(ほこら)を倒すイベントのおかげで 本物の落ち武者たちが復活。ついには村人たちを襲い始める。

竹中直人さん6本目の監督作品。企画段階では女子高生をが登場するホラー作品ということだったのが、なぜかコメディ要素満載のくだらない映画にしちゃおうと思ったとか。

よく「あなたの●●度を測定」という企画がありますが、この映画では あなたの「竹中直人度」が測られますね。あー恐ろしい。
この映画を楽しめたあなたは竹中直人だ!!と、それぐらい竹中さんの昔っからのギャグとかが散りばめられていました。あと変な歌とかも。

ちなみに・・・わたくしの竹中直人度は低かったよ(爆)

予告編を見た段階で薄々感付いてはいましたが、作品的には批評するのもバカバカしいってくらいにメチャクチャで、しかもそんなに面白くも無いというタチの悪さ。参りました。
ただし竹中監督は これまでにもちゃんとした作品を世に送り出してる人だからねぇ。その反動なのかしらん!?

一番気の毒なのは、とにかくこの作品に関わった皆さん。「面白い作品ですよ」って言わなきゃならないんだから。
頑張っていただきたいものです。

主演の成海璃子ちゃんってデビュー時(ドラマ「瑠璃の島」とか)のイメージからするとエラいことになっちゃってますね。
周りの女子高生役の子と比べても明らかに顔デカイし。
先だって公開の「罪とか罰とか」に続いてコメディー路線とも言われてますが、わたくし的にはすっかりデブキャラ路線ではないかと(汗)

先生役のマイコさんも 清楚なイメージを飛び越え、かなりぶっちゃけた演技に挑戦。無理してるとまでは言わないけど、決してハマってたとは思えず。
ただ、この作品の中で竹中さんが輝くのは当然としても、存在感で食われてなかった生瀬勝久さんはさすがでしたね。

かなりキツく書きましたが、この分であれば おそらく、多分、きっと、竹中監督の次回作は素晴らしいものになるんじゃないかなぁ?

Y-sukuri.jpg
「ものスゲー痛てー!!」(笑)
posted by 味噌のカツオ at 10:03| Comment(1) | TrackBack(0) | ヤ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月03日

ディア・ドクター

西川美和
笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、八千草薫
とある山あいの過疎の村に 若い研修医がやってくる。その診療所では、伊野というただ一人の医師が東奔西走しながら、村人たちの医療を一手に担っていた。

西川美和監督作品
前作の「ゆれる」が もう3年前なんだということにちょっと驚いた。

その西川監督の特集をNHKで見ました。
「鶴瓶さんは非常に良い人に見られるけど 実は問題行動(露出騒動か?)も多い」というようなことを言っておられました。
実際の鶴瓶さんは 人だかりがあれば「サイン書こか?」と自ら近寄っていったり、同じくNHKで放送中の「鶴瓶の家族に乾杯」なんかを見ても、人懐っこさの塊みたいな方。

そんな過剰な程のコミュニケーション力と、微妙な問題行動を併せ持つ鶴瓶さんは、この伊野という男にはハマリ過ぎるくらいにハマっていましたね。
この作品は鶴瓶さんなくして成立しなかったことでしょう。
それぐらいの存在感を示していましたね。

全然関係ないけど 井川遥さんのキレイさにちょっと引き込まれましたわ。
ドラマとかによく出てた頃は「癒し系美女」などともてはやされつつも、視聴率の取れない女優とか酷い言われ方してました。
でも 何か久々に見た井川遥さんも、この作品に(この役柄に)マッチしていたと思います。なかなかの存在感でしたよ。

さて、ストーリーはまた西川監督の世界というべきか、人間の可笑しさとか優しさとか、決して一方向ではない描き方で。それがまた滑稽なもんでしたね。

社会性とかの問題で考えたら 免許がないのに医療行為を行なうというのはアカンことですわ。でも そんな人間でも「神より仏より伊野先生」というまでに受け入れられている現実。
過疎の村に医師が不足しているという現実の問題も横たわる中で、倫理観をどこまで受け入れるべきか。

「病は気から」なんて言葉もあるように、たとえそれがニセモノであっても、信頼を置ける人の診察を受けてお薬を(いっぱい)飲んでいたら健康でいられるのかもしれません。

伊野はなぜこの村でニセ医者となったのか。元々 かづ子さんへはどんな想いがあったのか。
そこかしこに悪意と善意が裏表で存在していたのかな。

それぞれの場面で それぞれの感情が顔をもたげて。
それで伊野という男が形成されてきたのか。

様々な感じ方や受け取り方もあって人それぞれに解説ができるのかもしれないけど、作品の中では明確に説明されてはいません。
監督からの問い掛けで、登場人物たちの心の動きや善悪、全てが観客に委ねられてる感じがしますね。西川監督の手法・作風といってしまえばそれまでですが。

最初の場面中、伊野の「免許もってないねん」というセリフに注目してる映画評がありました。
う〜ん、それ読んで気が付いたけど、いきなりスゴイ投げかけがあったんだね(笑)

PS
八千草薫さんの役名は「かづ子」というものだったんですが、これは桑原和子さんから引用したものなんでしょうか?
教えてください「神様ー!!」

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Deer Doctor (しかいしゃ)
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2009年07月02日

いけちゃんとぼく

大岡俊彦
深澤 嵐、ともさかりえ、萩原聖人、蒼井 優
お父さん、お母さん と3人暮らしのヨシオ。しかしヨシオのそばには 他人からは見えない"いけちゃん"の存在があった。
やがて いろいろな経験していくうち、ヨシオはいけちゃんの姿が見えなくなっていく。

原作があっての作品というのは、一体どんな感じで書かれていたのか?原作と映画版とどこが変更されたのか?それなりに気になります。
といっても実際に原作と比較したことは一度もないんだけどね(爆)

そうは言いながら、この作品も原作がどんなものなのか 非常に気になりましたね。

この作品の原作は<絶対になける本 第1位>という評価も受けたらしい。しかも絵本だとか。

そういう前情報を持っていたので てっきり子供向けのファンタジックなストーリーか、大人が泣けるスピリチュアルなお話だと思っていました。
ところが・・・なんともしれない微妙な世界観でしたね。わたくし的には。

主人公の日常の中で 結構エゲツナイ描写が存在します。
例えば 大柄な少年が二人がかりで小柄な主人公を攻撃するシーン。剛速球で石をぶつけたり、(船を漕ぐ)櫂でぶん殴ったり。
あの暴力描写はPG-12ぐらいしてもいいんじゃないの?と思えるぐらい、一方的で痛々しかったなぁ。

子供というのは得てして残酷な一面があるのはわかります。
でも蝶々の羽根を糊付けしたり、トンボの頭をもぎって万華鏡にしたりとか・・・一般的にそんなんするか?という場面も。
これもわたくしから見たらキツかったなぁ。

まぁそういうシーンを乗り越えつつ、強く生きようとするヨシオの姿に ほんの少し共感も覚える部分もあったけど・・・

やっぱり〜その〜いけちゃんの正体というのに共感を得られなかった。必然性とか、ストーリーの本筋と関係ない"オチ"のところだけで感動させようとしか思えなかった。
何か取ってつけたような存在やったね。いけちゃんは。

ヨシオが経験するエピソードも、お父さん、お母さんのエピソードも含めて 決してひとつのストーリーと化していなかった。
それもあってどこかリズム感に乏しい、ギクシャクした作りに思えてしょうがなかったですね。
残念。


さて。
この作品中、ナインティナインの岡村さんがとある妖怪の役で出演しておられます。
それを見て これまた微妙な違和感。以前 同じ妖怪の役を「妖怪大戦争(2005年)」で演じてるんですよ。

単なる偶然?それともハマり役だった?
とにかく全く別の映画で同じ妖怪役で出演させるのってどうなん?と思っちゃったわ。

それもこれも含めて、原作の絵本とやらが どんなものなのか気にはなりますね。

Ike_Boku.jpg
ぼけちゃんといく
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2009年06月17日

レスラー

ダーレン・アロノフスキー
ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド
1980年代のトップレスラーだったランディも、今ではアルバイトをしながら 週末に小さな小屋のインディマットで声援を受ける日々。
そんなランディは20年前の名勝負のリ・マッチというオファーを受けるのだが、心臓発作を起こし 引退を余儀なくされることに・・・

世界の映画賞を受賞するなど非常に高い評価を受けている作品。確かに良いデキだとは思うけど・・・

わたくし、映画ファンでもあると共に、30年近いプロレスファンでもありまして、この世界観が世間一般にまで伝わるのか?そういう面でいろいろ思う所はありましたね。
ちなみに映画をちゃんと見るようになったのは ここ10年ぐらいです。

様々なスポーツや職業を通してヒューマニズムを描いた作品はありますが、プロレスを題材にしたものって無いよね。
かろうじて日本の「ガチ☆ボーイ」があったか。また違う角度から切り込んだテーマだったけど。

プロレスってスポ根的には描きにくいんだよね。
その価値観が対戦相手との勝敗だけでなく、観客を満足させられるかというエンターテインメント性も重要な要素なんでね。

そこでこの映画。
プロレス業界の特異性をストレートに配しつつ、それとシンクロさせて"元スター"という肩書きの、一人の ろくでなしのおっさん人生を追ったものです。
ところが そこがこの映画のツボとも言える点で。

当初、制作会社はニコラス・ケイジのキャスティングを考えていたものの、監督は「主演はミッキー・ロークしか考えられない」として譲らなかったとか。
普通に考えたら、ランディと同じく ここ20年はヒット作に恵まれていないロークの起用はピッタリだと思うでしょう。
でも本当のプロレスってレスラーがファンに夢を与えつつも、その選手自身のリアルな姿や生き様もリングに叩きつけるものなんですよ。
つまりこの作品自体がフィクションとしての映画ではなくて、もしかしたらスクリーンに仕掛けられたプロレスだったのかもしれないですね。

プロレスって実は奥が深くて、見る側のセンスも問われるエンターテインメントなんですよ。
だからこそ多くの方にこの映画を見ていただきたいし、また本当のプロレスにも触れてほしいもんです。
引いたら引いたで別にいいから(笑)


さて、プロレスファンとしてではなく映画ファンとして感じたのは、何も残らないストーリーなんだなということ。
一時代を築いたスターであっても、今となっては金もなけりゃ家族にも去られ。ましてや健康も蝕まれた。
やっとのことで心を開いてくれたストリッパーの彼女の姿も・・・

ホントに何も残らなくて。
あるのは気休めみたいな"ランディ"という名のプライドだけなのかと。

この世界観が世間一般、どの程度にまで伝わってるのかな?


エンディングはなんとブルース・スプリングスティーンが歌っています。
劇中にも「80'Sソングサイコー!90'Sクソ食らえ!」と叫ぶ場面がありまして。うん、ランディもミッキー・ロークもB・スプリングスティーンも みな同じ時代を闘ってきた同志なんだね。
そんな男たちの輝きも味わえます(笑)
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2009年06月09日

ガマの油

役所広司
役所広司、瑛太、小林聡美、益岡 徹
1日に数億円も稼ぐというデイトレーダーの父とコロッケが得意な母をもつ拓也。
恋人・光とのデートを切り上げ、少年院から出所する幼なじみ・三郎を出迎えに向かう拓也だったが、その途中で交通事故に遭ってしまう。

「名優・役所広司の初監督作品」と謳われてはおりますが、思いの外 大きな話題になっていないような。。。
ちょっと前に品川庄司の品川ヒロシが監督した「ドロップ」なんかメッチャ マスコミに取り上げられてたのに。
その差は何や。事務所とか配給会社の問題か?それとも作品自体がイマイチなのか?

あらためまして。その紹介文には「名優・役所広司」とあるんだけど、失礼ながら最近は「名優」なイメージがないことに気がついた。
「パコと魔法の絵本」は言うに及ばず、「トウキョウソナタ」での演技もわたくし的にはちょっとアレで。
あとテレビ「ガイアの夜明け」でも不思議な一人何役をこなしておられまちゅね。あぁ「ダイワハウス」のCMもそうか。
とにかくまともな役をやっていないような。。。

というところでこの作品。
いきなり目に飛び込んできたのは・・・やっぱりエキセントリックなデイトレーダーという設定。
芸風的には「パコ〜」と大差ないやん。

監督自身が こういう演じ方を面白いと思っているのであればそうなのかもしれませんが、僕たちが持ってるデイトレのイメージは決してそうでもないし、あぁいう人が普通にいるとも思えないし。
わたくし的には"作ってる"とか"浮いてる"ようにしか見えない。それでいて物語が進むにつれてちゃんとした面も増えてくるし。
見ていてどうもノリきれなかったなぁ。

ガマの油売り、お化け屋敷、金色の家・・・いずれも監督の思い入れの強さはわかりますが、必ずしも作品にマッチしていたとも思えず。
ストーリー上に無理矢理配置しただけのような。
やっぱり見ていてどうもノリきれなかったなぁ。

唯一の救いは2人の新人役者。
一人はK−1ファイターの澤屋敷純一(ジェロム・レ・バンナに勝ったことアリ)。もう一人は光役の二階堂ふみ(いかにも沖縄顔)。
二人ともそんなに上手ではないんだけど、澤屋敷選手は独特の存在感を残していたし、二階堂ちゃんは底抜けの明るさと元気さで好演でしたね。

やっぱり脇で一風変わったキャストが登場するのは良いけど、主人公はもっとシンプルな演技でいてほしかったな。
芯になるテーマが純粋なものだっただけに、より そう感じましたわ。

ちなみに上映時間は2時間11分とやや長め。
それも含めて 監督の思い入れを欲張って詰め込みすぎな印象。
そこをなんとか切り詰めて、シンプルな見せ方にしたほうがスマートで見やすかったんじゃないかな。
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2009年06月04日

MW -ムウ-

岩本仁志
玉木 宏、山田孝之、石橋 凌、石田ゆり子
神父として神に仕える加来とエリート銀行員の結城。
彼らは、16年前に沖之真船島で発生した島民全員が殺されるという事件のなか、奇跡的に島を脱出し生き残った二人だった。

オープニング映像に続き、いきなり始まるタイでのサスペンスチックな展開に派手なカーアクション
何が起きているかもわからないままにそんなシーンが続くんだけど、わりと普通なカースタンとのうえ、しかも長い。
アクション映画で この手の「つかみ」となる場面から入るのはよくあるけど、この映画のそれは「つかみ」どころかもはや「本線」。
あまりにも唐突過ぎて逆効果のような気が。

事前情報を見て興味を持ったのは、物語の原点である16年前の沖之真船島で何が起き、なぜ加来と結城という二人(の人格)が生まれたのかということ。
しかしこの作品では その場面の描写がえらく薄い。
そこをもっとドロドロと生々しく提示してくれないと、加来にも結城にも感情移入がしにくくなってしまう。
そうなると結果的には結城の復習劇を見せられているだけになっちゃうね。

かつてスピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」では冒頭から約20分間、ハンパない戦闘シーンってのがありましたな。
銃弾が飛び交い 次々に人が倒れ 肉片が飛び散るというかなりキツいの。
そこまでの映像ではなくても、沖之真船島での惨状がハッキリして、加来と結城の原体験が印象付けられてこそ、見る側に起承転結の"起"が成立すると思うので。
結局、出だしで乗り遅れて以降はストーリーの大きな流れに惹かれることも無く、どこかチマチマした内輪揉めに終始していた印象も。

加来と結城の二人についての対立関係も同一性も どうもハッキリしないまま。
光と影?憎愛?葛藤? 表現としてどれも弱かった。

作品全体のリズム感も乏しかったし。設定が興味深かっただけに、この出来映えは残念やったですわ。

主演の玉木宏は初の悪役というのがウリみたいだけど、イマイチ ピンとこず。
男前やなぁ〜という色気はあったけど、悪役としての色気は感じられず。正直 人として面白味の無い主人公でしかなかったわ。ダークヒーローはもっと感情移入させてくれなくっちゃ。
仕事はクールに、殺人は狂気で、それでいて子供を抱っこするときはあたたかく、ぐらい人が変わっちゃってもおもろかったんじゃないのかな。

一方、石橋凌さんはなかなか渋い表情でカッコ良かったですよ。
でも振り返ってみると、ストーリー的にたいした活躍はしていないことに気付く。これまた残念(苦笑)

あとエンディング。ビデオクリップみたいな映像はカッコ良かったけど、どうも曲自体が作品と合っていなくて、テーマの重さや余韻とかそういうのも感じさせてくれなかったね。重ね重ね残念。


さて、この作品の原作は手塚治虫が1976〜1978年に連載していた漫画
手塚治虫の描いた「鉄腕アトム」や「リボンの騎士」とは一味違うダークな世界観に期待していたんだけどね。。。
ところが、実際の原作の内容は もうちょっとエグイものだったらしい。
設定をソフトにしちゃったのはある種の「逃げ」ですな。もったいないなぁ。

MW.jpg
B級MW
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2009年06月03日

インスタント沼

三木 聡
麻生久美子、風間杜夫、加瀬 亮、松坂慶子
自分のジリ貧さ具合に嫌気がさし 勤めていた出版社を辞めたハナメ。
母親の自殺未遂(?)事件をきっかけに、実の父親らしき男の存在を知る。真相を確かめるべくハナメが訪ねたその男は"電球"と名乗るうさん臭い骨董屋の店主だった。

「おと・な・り」「インスタント沼」「ウルトラミラクルラブストーリー」と、アソクミ(こんな略し方しないか)関連の作品が立て続けに公開されております。
それらの中でも この作品での役柄はなかなか難しいと思うんですよ。
日常では考えられないような展開やら 変な行動に 妙な掛け合い。それらの間とかハマり具合をスムーズに演じるのはセンスがないとできんからね。
近いところでは「少年メリケンサック」の宮崎あおいにも感心しましたが、このアソクミも見事でしたね。

「インスタント沼」というタイトルを見て 普通の方は、どうイメージを膨らませるんでしょ?わたくし的には当然サッパリで。
ぶっちゃけ 見ようかどうしようか迷った一本。でもでも ムダに「見てよかったな」と思える作品でしたよ(笑)

三木聡監督の作品は以前に「亀は意外と速く泳ぐ」を見たんですが、まさにそれに近い系統ですね。
登場人物はみんなどこか変で、滑稽な会話やら 細かいギャグがいろいろ。でもそれらが小気味良いリズム感をもって展開されるんで 見ていて飽きないんだよね。

その雰囲気からすると演劇チックな臭いもするんだけど、三木監督の経歴を見てみると基本はテレビ。意外にも舞台はシティボーイズのライブぐらいしかやっていないとか。
基本テレビ畑の監督だけど 岩松了さんや ふせえりさんの影響もあっての作風じゃないかとは思うけどね。

そんな話はさておき。
水道の蛇口をひねって自動販売機に行くだとか、錆びて折れ曲がった釘をみつめてみるとか、何気ないことでも捉え方によっては十分に大きな意味を持たせることができるもんで。
いろんなところに人生を輝かせる秘訣が転がっているんだなと。それらを見つけられれば きっと河童だって龍だって見えてくるハズ!!
バカバカしさだとか怪しさという沼の中に沈んでいる希望や明るさを見つける。そんな楽しさを感じました。

もちろん 後半の「インスタント沼」とは何かがわかる瞬間には爽快感があふれ、相田翔子に(文字通り)降りかかる災難のジャストミートさにはビックリ!!

アレやコレやと全編を通して見どころは多いですが、小道具やセットへのこだわりもそのポイントのひとつ。
サブカル系好き・・・というよりも、しいて言うならヴィレッジヴァンガードの居心地が良いと思える方は その辺りを細かに観察するのも良いかも!?

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"シオシオミロ" 一度やってミロ
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2009年05月28日

重力ピエロ

森 淳一
加瀬 亮、岡田将生、小日向文世鈴木京香
兄・泉水と弟・春、そして父。彼らの住む街で連続放火事件が起こる。
やがて春は放火事件と現場付近に残されている落書きの関連に気付き、泉水は落書きに書かれた文字が遺伝子の文字列と同じであることを発見する。

率直に、難しい作品でしたよ。
遺伝子がどのように構成されてるかなんて そりゃあ素人にはよくわかりませんが、そういう難しさだけではない。
出生の秘密、家族の思い、その感情をどうするべきか、そういう難しさ。
作品自体 思いのほかのっぺり感もあるんですよ。でもそこに息づく感情がこらえながらも叫んでいるようで。
見る側としてどう受け止めるべきかの難しさも。

今回の映画化に際し、原作の伊坂幸太郎氏は「このお話は映画にすると ごく普通の家族の話になってしまうのではないかと危惧していた」とコメントしています。

ちょっと捉え方は違うかも知れませんが、この作品は映画というエンターティンメントとして多くの人と共有できる作品じゃないのかも。ホントにどこか私的なものというべきか。
そういった風合いを感じつつ、ある種の難しさも覚えつつ、見終わった後に何がしかの爽やかさがありましたね。
「希望」っていう程 先は見えないんだけど。

血だとか遺伝子だとか、そのつながりは否定できないものなんだけど、人間が作られる要素とは 決してそれだけじゃないわけで。
春は母とレイプ犯の間にできた子供でありながら、血の繋がっていない父のクセを受け継いでいたり。それどころかイントロダクションでは父からもらったバットでもって"レイプ"という行動を否定してもみせます。

「家族」という言葉の持つ概念をどう捉えるのか、正義とか倫理をどう昇華するのか。

人生に於いてとてもヘヴィーな問題だけど、考えを突き詰めちゃうと きっと逃げ場も救いもなくなってしまうんじゃないかと。だからこそ軽やかに向き合って見るべきなのかもしれません。
「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」とはそういうことなのかな。

でも、ピエロ(笑いの象徴)が空中ブランコ(重力)に挑戦したところで、実際の危険度のリアリティーは同じなんだけどね。

主要キャストは皆ハマリ役と言える位に演じておりましたですね。だから非常にすんなりと物語に入っていけたし。
岡田将生くんは「ハルフウェイ」の時より見違えるほど良かったですわ。知性と陰(かげ)がひしひしと伝わってきました。
監督の手腕なのか 全体の世界観が上手く表現されていてじつに印象的。
もしかしたら今年の邦画の中では一番かも・・・そう思えるほどの作品でしたね。

J-P.jpg
Before 夏子さんがちょっとツボ
posted by 味噌のカツオ at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする