2018年07月16日

君が君で君だ

松居大悟
池松壮亮、満島真之介、大倉孝二、キム・コッピ
自分の名前を捨てて、ソンさんが好きだと語る“尾崎豊”“ブラッド・ピット”“坂本龍馬”になり切った3人の男。彼らは自分たちの“国”を作り、10年に渡り 大好きなソンさんを見守ってきた。
ある日 ソンさんの部屋に借金取りの男が現れ、激しく取り立てを迫るのだが…

映画には それなりのストーリーがあるものですが。
こりゃまた なんといいますか。どう着いていっていいのか たいへんに困る代物でしたな。

冒頭のカラオケボックス。ソンさんとの出会い。
尾崎の歌が流れてるけど、個人的には「手のひらを太陽に」が気になったけどね。

そして気付けば薄暗い部屋に集う3人の男。ハイテンションながら あきらかに漂う“○○ごっこ”感。
何が目的で何をやっているのか。そもそも何がどうしてこうなった?が見えないので、どう着いていっていいのか困ったわけですが。

少しづつ彼らの物語が明かされ。次第に状況に変化が訪れる。
ただし、いずれにせよまともじゃないので、それに合わせて見るしかないんだけどね(苦笑)

終盤、尾崎とブラピが制服姿でたわむれる描写も登場したけど。
行動原理は 中学生・高校生のノリのままなのかな。

彼らのやってる事が 純愛なのか、変態行為なのかは定義しにくいんのだが。
でも見てる分には 純粋に引き込まれるところもあったり、バカバカしくて笑ってしまったり。

本来、好きなら好きで伝えればいいものを。彼女のことをただただ見守るという行動。
彼女には彼氏がいる。その彼氏を幸せになってほしいので見守る。
不思議だ。歪んでる。でもなんだか楽しそうだ。

結局 わたくし自身はこの映画の登場人物と“同期”するのは難しかったんだけど。
嫌悪感もなければ卑下することもなく。

まるで彼らが彼女を見守っていたように、わたくしも彼らを見守っていた感覚なのかもね。

ただし…髪の毛を食べるシーンだけはアレだったなぁ。
実際に髪の毛一本でも口に入ると、何だか「ウエッ」と思うことあるもんね。

率直には受け入れにくい点もあったわけですが。
池松壮亮、満島真之介、大倉孝二の役者としての面白さは存分に味わえました。
3人とも、いっちゃってたなぁ(笑)

YOUさんもらしさはあったけど、向井理はちょっと違ったかな…と。
あと キム・コッピさんにちょっと吉高由里子っぽさ感じたね。

DSC_0772.JPG
にじんだ汗の生々しさがイイね
posted by 味噌のカツオ at 00:55| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月14日

わがチーム、墜落事故からの復活

マイケル・ジンバリスト、ジェフ・ジンバリスト

2016年11月28日、南米王者の座をかけて決勝戦へ向かうサッカーチームを襲った悲劇。
悲しみと喪失を抱えて戦い続けた2017年、奇蹟のシーズンを追ったドキュメンタリー!

当時の この事故に関する報道はもちろん覚えております。大きな衝撃でした。
ただし、その後のことというのは なかなか報じられませんので。それをこのようなカタチで知ることができたのは良かったです。

ブラジル・サンタカタリーナ州シャペコ という小さな町をホームとするチーム・シャペコエンセ。
チームの歴史は古く、セリエDからスタートし、浮き沈みも経験しながら、2014年に1979年以来となるセリエA復帰を果たした。

2016年『コパ・スダメリカーナ』でクラブ史上初の決勝に進出。同年11月28日午後10時頃(現地時間)、2日後に開催予定だった決勝1stレグを戦うため、対戦相手のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)のホーム・メデジンに移動するラミア航空のチャーター機が、メデジン郊外の山中に墜落。
選手・チームの首脳陣・マスコミ・乗員77人中71人が命を落とす大惨事となりました。

その報を聞いたサポーターたちが自然とスタジアムに集まり涙ながらに悲しみを訴える場面が堪らない。
決して大きな町では無いため、サポーターの多くが選手と関わりがあるなど、元々がアットホームな雰囲気のチームだったんですね。

その悲しみを乗り越えるべく、市長の号令の元 チーム再建が始動。
しかし奇跡的に一命をとりとめた選手3人のうち、一人は右足をひざ下から切断。残る2人も大ケガでリハビリが必要。

試合に召集されておらず事故を逃れた選手。事故機に搭乗していなかった わずかなスタッフを中心に人員を集め、事故から約2か月後には新シーズンの開幕を迎えることができました。


とまぁそこまでの経緯は素晴らしいのですが。
いざシーズンが始まったら 成績の良し悪しが問われ、成績が芳しくなければチーム内にも不協和音が響き。

事故による被害者の家族たちには補償問題という現実があって。
「選手の代わりはいて(チームの再建はできて)も、夫の、子どもの父親の、息子の代わりはいない」という訴えは切実なものでしたね。

そして事故を起こした航空会社は、燃料をギリギリしか積んでいなかったという明確な墜落原因があって。
結局 以降は飛行機を飛ばすことができずに倒産。そうなると補償はどうなるの?と。

様々な問題を抱える姿が映し出されていきます。


折しも現在サッカー・ワールド・カップ・ロシア大会が開催中。
様々な場で フィジカル、メンタル、監督の責任なども語られることも少なくありません。

そんな中で、チームとしての幸福とは…。お金の問題、ジェラシー、人としての思い。時に生々しい描写も織り交ぜながら、いろんなことを考えることのできる作品となっています。

わたくし個人的な思いとしては、やっぱりサッカーもチームスポーツであって。
やはり「フォア・ザ・チーム」というのが大きいのかなと。そんな風に思いました。

当然ですが、やっぱ泣けますわね。

DSC_0773.JPG
世界が祈りを捧げました
posted by 味噌のカツオ at 01:55| Comment(0) | ワ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月02日

オンリー・ザ・ブレイブ

ジョセフ・コシンスキー
ジョシュ・ブローリン、マイルズ・テラー、ジェフ・ブリッジス
恋人の妊娠をきっかけに生まれ変わることを決意したブレンダンは地元の森林消防団に入隊する。過酷な特訓に明け暮れながら、エリック隊長をはじめとする隊員たちと親睦を深め、少しずつ成長していく。
そんなある日、山を丸ごと飲み込むような巨大山火事が発生する…

見た人の評判が良いのと、時間のタイミングが合ったので…ほぼほぼ詳細ノーチェック、手ぶら状態で見に行ってきました。

山火事、消防隊という話ではありますが。
日本で言う“消防士”とは組織形態も活動内容も全くと言っていいほど違います。
日本で描かれるような火災ではなく、山火事というものの規模の大きさ、対処の仕方も全然違います。

自然の多い地域で、いくつかの森林消防団が存在するのかな。しかし普通の民間部隊の上に精鋭部隊(ホットショット)と呼ばれるランクがあって、それに認められてこそという状況があると。

また彼らが行うのは 燃えている火を消す消火活動ではなく、火が来る前に大きな木を切り倒したり、先に周辺を焼いて炭にすることで、炎が燃え移ることを 延焼を防ぐということをやっているんですね。

こういうのは 今の日本では すんなりとはわかりにくい気がします。
そういえば 江戸時代なんかに 燃え移る前に家を潰してたってのは聞いたことあるけどね。

そして この部隊として登場人物もやや多めかな?
それぞれの関係性やキャラクターを飲み込むのにも ちょっと時間がかかりまして。とにかくそれらのことを認識するのが大変でしたね。序盤は。

物語の一つの軸として、やんちゃだった青年・ブレンダンが父親になるのを機に、この消防団に入隊して頑張っていこうという流れがあるわけですが。
始めは いじめ的な目にあったり、周囲の雰囲気に乗り切れなかったりするんだけど。

訓練をこなしながら、やがて隊に馴染んでいくブレンダン。そうこうするうちに、わたくしもなんとか この流れにやっと乗れましたと。映画の一員になれたかなと。
いう感じでございました。

気付けば彼らが成長していくごとに、人生の道筋であったり、人間関係の変化であったり、それらのこととも向き合うことになるのですが。
ぶっちゃけね。映画をよく見てる人、見ていない人に関わらず。あることに気付くんじゃないでしょうか。

ざっくり言うと、不穏な空気。
ハッキリ言うと、死亡フラグ。

あぁなんか嫌だなぁ。という思いにかられながら、彼らが大きな火災の現場に出動します。
そしてそこで遭遇する出来事は、自分が思っていた以上に厳しい現実でした。
うわーこれは辛い、ツラい。

特に…家族が集まっている中学校の体育館に彼が入っていく描写は、たまらなかったですね。
崩れ落ちますね。

このストーリーは2013年に実際に発生した巨大山火事に関しての映画化だと聞きました。
実話の映画化モノって、インパクトが弱かったりすることも多いんだけど。さすがに これは見ていてこらえきれなかったです。

内容が内容だけに「これはいい映画だ」とは言いにくいんだけど。
最後に映し出されるブレンダンの言葉。それに尽きますわ。

さて、ブレンダン役のマイルズ・テラーは『セッション』で血まみれの超絶ドラムを演じた彼だったんだね。

そして指揮官の役はジョシュ・ブローリンが…ってサノスだったりケーブルだったりするのかい!?
見てる最中は全然 そんなこと思わなかったよ。後になってビックリ(苦笑)

もうイッチョいうなら、映画として広大な山火事の映像はスゴかったですね。
今の時代CG使えばたいがいの映像を作ることはできましょうが、やっぱりすごい迫力ありましたよ。

DSC_0750-ada69.JPG
「炎のコマ」ならぬ「炎のクマ」ね
posted by 味噌のカツオ at 01:39| Comment(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月24日

30年後の同窓会

リチャード・リンクレイター
スティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーン
男一人でバーを営むサルと、破天荒だった過去を捨て牧師となったミューラーの前に、30年間音信不通だった旧友ドクが現れる。
ドクは、1年前に妻に先立たれ、2日前に息子が戦死したことを告げ、亡くなった息子を故郷に連れ帰る旅に同行してほしいと依頼する。

舞台となっているのは米軍がサダム・フセインを捕まえた2003年12月。
登場するのは共にベトナム戦争を経験した3人。

1年前に病で妻に先立たれたドク。2日前に息子が戦死したことを知らされます。
そんな彼が30年の時を経て、かつての仲間の元を訪ね、共に息子の遺体を引き取りに行くことを頼みます。

“同窓会”なんて謳われていますが、3人は同い年というわけではなく、ドクがちょっと年下の設定。
サルは男一人でバーを経営。劇中ほぼほぼ酒飲んで、ずっとしゃべってます。
ミューラーはかつては相当やんちゃだったようだけど、なぜか改心して現在は牧師となっていると。

その彼らがそろって基地まで遺体を引き取りに行き、そこからドクの家まで帰っていく いわばロードムービー。
お酒も絡む男たちの旅ってことで「ハングオーバー」とか「ワールド・エンド」とか思い出しちゃったけどね。

原題は『Last Flag Flying』というもの。中には『最後の星条旗』と訳しておられる方もみえましたが…
『30年後の同窓会』というノリでワチャワチャした雰囲気もありますが、ちょっと考えさせられるテーマ性も含んでいて。

30年経っても 顔を突き合せれば その当時に気持ちが帰っていくのは世界共通なのかな。
しかしまぁ、米国でも軍に従事するというのは それ相当の覚悟もいるわけで。もちろん本人も、その家族も。

国のために働く、時に戦うというのは名誉なことではあろうけど。
実際に そこで命を落とすことは とてつもなく辛いことであって。
やっぱりそれも世界共通なんだろうけど。

ここではかつてのベトナム戦争と(作中)当時のイラク戦争を並列させることでのメッセージを訴えかけてきます。

彼らには30年前の戦争の最中に体験した絆みたいなものがあって。
ドクの息子と やはり同じ部隊にいた隊員にも物語があって。

いずれも戦争という大きなものの中にあっても、それはそれ 個で形成されているという。
ニュースでは その大きな枠組みでしか報じられずとも、それは個の集まりであるという。
そういうことなのかな。この映画は。

日本には自衛隊という部隊はあるんだけど、ハッキリ言って米国での軍隊とは似て非なるもので。いやもしかしたら全然別物なんだろうが。
本当の意味で彼らの痛み、苦しみ、疑問、リアリティを持って感じるのは ちょっと難しい気はしたかな。

DSC_0723.JPG
今の時代、調べりゃ居所はわかる
posted by 味噌のカツオ at 22:58| Comment(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月22日

デッドプール2

デビッド・リーチ
ライアン・レイノルズ、ジョシュ・ブローリン、モリーナ・バッカリン
最愛の彼女ヴァネッサを取り戻し、お気楽な日々を送るデッドプールの前に、未来から来たマッチョな機械人間ケーブルが現れる。
謎の力を秘めた少年の命を狙うケーブル。その少年を守るため、デッドプールは、特殊能力をもったメンバーによる“エックス・フォース”を結成するが…

前作から2年ぶりとなる続編。
デッドプールのキャラクター。このシリーズの作風なんかもわかっているので、ずいぶんと入っていきやすかったです。

このキャラの面白味として、余計なことまで しゃべりまくるというのがありますが。
字幕による制限というか限界というのもあると思って、今回は吹き替え版にて鑑賞。

そういう意味での伝わりやすさは あったとは思いたいのですが。
デップ―の吹き替えを担当していた方が、正直 ハマり役とは思えなかった。

元々デップ―のキャラが持っているアクの強さ。じんわり滲み出る悪意。あるいはいやらしいまでのテンションの高さ。けしかけるような しゃべりのリズム感。
下手とは言いませんが、何かの要素ひとつでも突出してたら良かったかな。

これまでにも洋画の吹き替えも担当されているようなので、普通の男性であれば、普通のヒーローであれば悪くはないが。
申し訳ないが、デップ―とはシンクロできてはいなかったと。難しいことではあるけどね。

あらためて本編。
ぶっちゃけ、眠たかった。眠たかった。
序盤にショッキングな展開もあるのだけど、そんなに重くはなく。
さらにイマイチ必然性の感じられないカタチで物語が転がっていて。

なんだろう。デップ―の言う通り 脚本がダメなのかと(苦笑)

でしたが。意外と“X・フォース”のあたりから面白くなり始めまして。
チームが その初陣を飾るというパラシュート降下のシーンで驚きまくり。
これはアカンやろう〜と。目が覚めましたわ(笑)

続く護送車でのバトルシーンも見応えアリで楽しめましたし。
終盤の展開はね、未来から来たサノス…じゃなかった、ケーブルの粋な優しさが描かれていて。
普通の映画なら ありがちなシークエンスではありましょうが。デップ―からのメッセージ性も保ちつつで良かったんじゃないでしょうか。

そもそもは「X-MEN」シリーズでもあって、みな“ミュータント”としての特殊能力があるんだけど。
ちょっと驚いたのはアフロヘアの女性・ドミノ。その能力は 普通の人より幸運なところとか言ってたんだけど。

とんでもないピンチが迫る中で、あれだけ幸運を引き寄せて危機を回避できるとは。それは確かに特殊能力だわと。
こんな人がチームに一人いたら強いよね(笑)

ただし その設定、映画的にはご都合主義みたいな展開に見えるけど。そもそも幸運の持ち主ってんだからしょうがない(笑)

あと日本人として参加してた忽那汐里。セリフとしては“一種類”しか言っていなかったけども、この“画”のなかにはしっかりおさまってたので。
なんなら もうちょっと出番多くても良かったんじゃないかとも思いました。

さて、ひと通り終わった後のオマケ映像(?)
ケーブルのあの装置を使ってね。時を越えて自身の過去を清算していく(?)ところはね。虚実の絡んだデップーらしいラストだったなぁ。
そのいきさつを知ったうえで見ると、ちょっと泣けちゃうよね。
素直に いいもん見させてもらいましたわ。

果たして これ、パート3まで続いちゃうのかしらん!?

DSC_0738.JPG
わたくしは「氷の微笑」が一番笑えた
posted by 味噌のカツオ at 20:33| Comment(0) | タ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月18日

ワンダー 君は太陽

監督スティーヴン・チョボスキー
ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン、ジェイコブ・トレンブレイ
生まれつき顔立ちが人と違う10歳の少年オギー。幼いころから自宅で母イザベルと自宅学習をしてきたが、小学校5年生になるときに初めて学校へ通うことに。
周囲からの好奇の視線や いじめにもあいながら、彼の行動が周囲の態度を少しずつ変えていく…。

わたくしが子どもの頃、似たような設定で「エレファント・マン」という作品があったことを思い出しますが。
今作に登場する主人公のオギーは“遺伝子の疾患”によって、生まれつき、顔が変形していたと。
その後 27回もの手術を受けながら、それでも“普通の子”とは違う存在であると。

彼が同級生と並ぶと 体が一段と小さいのがわかるけど、これも遺伝子の関係なのかな。
いずれにせよ、すくすくと成長してほしいな〜なんてことも考えつつ。

実際に この主人公のような病は存在するのでしょうが、物語そのものが実話というわけではなく。
原作は、過去に顔の変形した子どもに対して、誤った対応をしてしまったという作者による小説。

そもそもの出発点が、そんな(後悔なのか懺悔なのかはわかりませんが)感情からということで。とにかくやさしさにあふれた物語であることは確かですね。

設定もそうだし、予告編から感じた雰囲気もそうなんですが。
いわゆる感動モノと言いましょうか、生まれながらの宿命を背負った少年が頑張る姿を見て、思わず泣けてしまう映画だと容易に想像していましたが。
いやいや、映画の作りとして そんなに単純なものにはしていなくて。

序盤はもちろんオギーの物語なのですが、やがて彼の姉にスポットが当たり。さらに彼のクラスメートの話となり…という具合に。
まさに原作が書かれた経緯を思えば分かりますが、オギーと関わる周囲の人々についても丁寧に描かれているんですね。
こういう構成にしたことで、より映画としては味わい深くなったと思います。

もちろん主人公にも苦悩はありましょうが、決して過酷というまでの厳しさにまではしていない印象。基本は みんなのやさしさを より感じられるものだったと思います。
とにかく見ていて清々しかったというか。

もし身近に こういう子がいても「こんなイジワルはしないぞ」と反面教師的なものを提示するよりも「自分はこうありたい」という優しさをストレート提示して見せる方が 今の時代らしいのかな。
「おっさんずラブ」なんかでも愛についての乗り越えるべき障害よりも、真っ直ぐに人を愛することを描いて、それが受け入れられてたもんね。

あるいは現実世界がめんどくさいことが多すぎるので、映画ぐらいは気持ちのいいものを見たいというニーズもあるのかも。

もちろんウルウルくる場面もあります。ラストの着地点は あまりに大団円過ぎるけど、逆に言えばそういう感じで置きにいくぐらいじゃないと尻切れになっちゃうか。
彼らの物語は まだまだ続いていくはずの物語だからね。

オギーを演じたジェイコブ・トレンブレイは 以前『ルーム』でも難しい役どころだったけど、今作も素晴らしかったですね。
そしてお母さん役のジュリア・ロバーツも不自然に前面に出るようなこともなく。それでいて終始 温かみのある笑顔であったことは、間違いなく映画を支えるものでした。

さてさて余談ではありますが。
わたくし自身、オギーに靴を見られたら
どんなプロファイリングされるのかなww

DSC_0734.JPG
SON は SUN
posted by 味噌のカツオ at 01:27| Comment(0) | ワ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月16日

レディ・バード

グレタ・ガーウィグ
シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ
2002年、カリフォルニア州サクラメント。自らを“レディ・バード”と名乗るクリスティンは、高校生活も残り1年となり 恋、友達、進路について悩む日々。
彼女は閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見ているが、それを認めない母とはケンカになってしまう。

本年度のゴールデン・グローブ賞 作品賞&主演女優賞を受賞し、本年度アカデミー賞主要5部門ノミネートという話題作。

冒頭の母親と車内での衝突からの…腕骨折というシークェンスからもわかる通り、少々エキセントリックな印象の主人公。
そもそもクリスティンという名前があるのに、自ら「レディ・バードと呼んで」などと言うあたり。それ相当にイタい娘というのは想像に難くないね(苦笑)

ただし物語を見ていくと、映画的に? 2002年のアメリカとして? いくらか ぶっ飛んでる風でもありますが、基本は17歳の女子高生。

観る人が観れば ある意味で等身大の女の子かもだし。共感できる要素もあるのでしょう。
が…さすがに こちとら40代後半のおっさんとしては、そんなに物語にのめり込むことはできず。

こう言うとアレだけど。最終的に 成長という意味では、これはこれで等身大の着地点に落ち着く訳ですし。
なんというか、デリケートではあるが ちょっとイイ話のような。

不満かどうかというよりも、やっぱそういうことね〜としか受け止められなかったです。
40代後半のおっさんとしては、さすがに しゃあないわね。

DSC_0712-ac41e.JPG
雌鳥
posted by 味噌のカツオ at 23:58| Comment(0) | ラ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月10日

万引き家族

是枝裕和
リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林
万引きを終えた帰り道。治と息子の祥太は、寒さに震える幼い女の子じゅりを見掛け家に連れて帰る。
妻の信代と その妹・亜紀もじゅりを受け入れ、娘として世話をすることにする。そんな治たち一家の暮らしを支えていたのは、祖母・初枝の年金だった。

公開を控えた今年5月。カンヌ国際映画祭にて最高賞であるパルムドールを受賞したことが報じられ、大きな話題となりました。
と同時に、世間一般からの注目も集めることに。

最初にこの作品の予告編を見て思ったのは…卑怯やなと。
是枝監督の過去作にも出ておられるリリーさん、樹木希林さんはもちろんですが、今回初となる安藤サクラさんも松岡茉優さんも、仕事できる人、上手い人やん。
そんな人たちを一堂に集めるのは もぅ卑怯やんってね。

お兄ちゃん役の城桧吏くんは かつて「誰も知らない」でカンヌ最年少で主男優賞を獲得した柳楽優弥を彷彿とさせ。
妹役の佐々木みゆちゃんは AmazonのCMで米粉のパンを食べてる子らしい。
なるほど…と。

わたくし自身も期待を寄せて鑑賞させてもらいましたが。
映画のサイトでは多くの方が絶賛のコメントをUPしておられるんですが、素直に言いまして、わたくし的には そんなに響かなかった…というとアレなんだけど。

この映画には問題提起が含まれています。
ネグレクト、育児放棄。家族の結びつき…いわゆる“絆”ってやつですわね。そして他者との結びつき。

亡くなった親の死亡届を出さずに その年金受け取る者。日雇い労働者の賃金、労災。
JKビジネス。そこで働く女の子に安らぎを求める社会に適合できない若者。
もちろんタイトルになってる万引きも問題でしょうが…

ちょっと要点を詰め込み過ぎ?
それぞれひとつだけでも映画のテーマとなりそうな問題を詰め込み過ぎて、集中しにくかったとは思います。
それでなくても 是枝監督が過去に映画で取りあげてきたものもあるわけで。

これだけ実力派の役者さん集めたら、そりゃデキはよくなりましょうし、是枝監督の手法でショボくなるはずはないわけで。

前作の「三度目の殺人」はサスペンスとしてのドキドキ感がスゴかったので(比べてはなんだけど)全般的に地味だったのは否定しようがない。
でも今回の期待が大きかった分、見劣りはしょうがないか。

いろんなことを考えながら。
あらためて 映画のサイトで見た人たちの感想、ひとつひとつに目を通してみました。
総じて言えるのは、大半の方が長文で感想、思いの丈を綴っておられると。人それぞれ 引っ掛かった点や、今 現実に報道されている事象との比較など、様々書き込んでおられました。
それらを読んで気が付いたこと。

これがこの映画の答えなんじゃないのと。
そもそも是枝監督は作品の中に明確な答えは示しません。フィルムの中に大きな問題提起を、今作ではいくつもの問題提起を残しております。

そして それを見た観客が何を感じて、どう咀嚼するのか。
そういうことでいいんじゃないのかな。

それがこの作品としてのメッセージであり、それを最高の役者・スタッフたちで、エンターテイメントとして提示するという。
大げさに言うなら とてもレベルの高いことをやっているような気がします。

こっちとしても映画に対して ひとつだけのアンサーを残すことは不可能。
でも ひとつの映画の見方として、そういうこともありのかなと思った次第。

そんな是枝監督。
今後の作品にも期待をしています。

DSC_0713.JPG
次回はAmazon依存の「代引き家族」で
posted by 味噌のカツオ at 22:44| Comment(0) | マ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

Vision

河瀬直美
ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏、岩田剛典、夏木マリ
世界中を旅しながら、紀行文を執筆しているフランス人エッセイスト、ジャンヌ。
ある調査のため、アシスタントと共に奈良の吉野を訪れ、山間で生活する山守の智と出会う。二人は次第に心を通わせながら、別れの時を迎える。そして秋。ジャンヌはふたたび智の元を訪れる。

2017年の5月、カンヌ国際映画祭の場で河瀬直美とジュリエット・ビノシュが出会い、意気投合。
そこから話が盛り上がり、とんとん拍子に企画が動き出し。そして完成に至ったという作品。

EXILEでおなじみのLDHの LDH PICTURES の配給。EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサー。岩田剛典が出演しておりますが。
そもそも どんなつながりがあるんでしょうな。
それはさておき。

河瀬直美監督の「あん」「光」は面白かったですし、今回のキャスティングで どんな仕上がりになるかと期待して初日に足を運びましたが…
正直 まったくと言っていいほど、ノレませんでしたね。

人類のあらゆる精神的な苦痛を取り去ることができる薬草“Vision”を求めて この森を訪れたというフランス人女性エッセイスト、ジャンヌ。
そこで山守の智と出会い、森で千年暮らしているというアキと出会い。
やがて一旦その場を離れます。

ひとりになった智は森の中で鈴という青年と出会います。
やがて季節は秋となり、ジャンヌも再び智の家へ戻ってきます。

あとは その森で起きた過去のこと。ジャンヌのこと。
いろんな描写があるんだけど、どうにもしっくりくることなく。

流れとしては理解しつつも、申し訳ないが、わたくしには全く響かなかった。

夏木マリさんの舞は独特。
森山未來は あのような体を使った表現はやってきているからね。
あと火のシーンは どうやって撮影したのか、表現したのか気になりつつ。

でも最も印象に残ったのは、白犬コウくんかな。
彼の走る姿、芝居(?)、そして別れ。いずれも目を奪われました。

事前に得た今作のチラシには「未来(ビジョン)が、いま、うまれる」とあります。

ビジョン…未来…ですか…

すなわち森、山、未来ってこと?

DSC_0721.JPG
ジュリエット・ビジョンっしゅ
posted by 味噌のカツオ at 17:36| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月05日

四月の永い夢

中川龍太郎
朝倉あき、三浦貴大、川崎ゆり子、高橋由美子
3年前に恋人を亡くした27歳の滝本初海。音楽教師を辞め、蕎麦屋でアルバイトをしている彼女のもとに、亡くなった恋人の母親から一通の便りが届く。
そこに同封されていた彼からの最後の手紙。その手紙をきっかけに、彼女の中で止まっていた時間少しずつ動き始める。

第39回モスクワ国際映画祭国際映画批評家連盟賞およびロシア映画批評家連盟特別表彰受賞作品。

親友を自死で亡くした中川龍太郎監督が、その思いを胸に前作『走れ、絶望に追いつかれない速さで』を製作。
そして今作では、元恋人を自死で亡くした女性が主人公という設定。

主演は『かぐや姫の物語』の朝倉あき。そちらは声優としてだったので、ビジュアルとしての印象は無くって。
実際 監督によるキャスティングは、彼女の声に惹かれたのが理由とのこと。

オーソドックスに言うなら、恋人を亡くしてしまった一人の女性が 再び動き出すまでの物語…なのですが。
変に重くはしていませんで。

ドラマチックにしたいなら…心の傷が理由で 社会に適合できなくなったとか。周囲の人 全てを否定するようになったとか。重荷を背負った主人公が再生していくというやり方もあるのだろうが、さにあらず。
今作の主人公は普通にアルバイトもしているし、音楽やラジオを聴くというささやかな楽しみも持っているし。
その悲しみから3年という時間経過も考えたら そういうもんでしょ。

かと言って何もなけりゃ映画にならないんだけど(苦笑)
ここで描かれるのは、再び音楽教師へと向かうことであったり、もう一度 恋をしてもいいのかなということであったり。

その辺りの踏み出し方も、周囲の状況との関わりもあるし。ある種の自然体でもあって。
やはり心の再生…という程ではなく、あくまで気持ちのリ・スタート。

でもそんな軽やかさが全体の雰囲気とマッチして。
映画として とてもさわやかな印象になっていますね。

とにかく朝倉あき演じる滝本初海がとてもキレイ。
割りと等身大の女性像だとは思うけど、彼女の声・話し方・言い回しがやけにキレイで心に残ります。
前述の通りでしょうが、まさに監督のキャスティングがズバりハマっているという印象。
「志熊は不思議なヤツだ」という感じがまたいいんだよね。

そして元カレの実家感がまた素晴らしい。
夫婦役の志賀廣太郎と高橋惠子の上手いこと。ナチュラルに滲み出る優しさがたまらない。そして妹夫婦役の二人も…あったかいんだよね。
これは初海ならずとも泣けますわ。

あと今作のベストシーンと言ってもいいのが、浴衣姿の初海が 赤い靴の「書を持ち僕は旅に出る」をイヤホンで聞きながら…歩きながら…スキップしながら…という映像。
そのまんま 何がしかのCMイメージに使えそうなほど、軽やかな可愛らしさがありました。

先日見た『ミッドナイト・サン 〜タイヨウのうた〜』でも思ったこと。今作では作中でも語られておりまして。
自分の好きな曲が、誰かの意志でラジオから流れることの嬉しさ。ラジオ好きなものからすると「よくぞ言ってくれた」と。

あらためて振り返ると、高橋由美子演じる 蕎麦屋の しのぶさんもリ・スタート切ってるし。
仕事をバトンタッチしてくれた仲間は 出産という命の新たな始まりを迎えるわけだし。
ワチャワチャな元教え子も また歌う場を得たようだし。

(映画的には)具体的には何も始まっていないんだけど。次は初海の番なのかなと。
そんな彼女のあんな笑顔が 最後を飾ってくれたら、素直に「見て良かったと」そう思うわけであります。

上映時間93分。コンパクトながらも実に味わい深い作品でした。

DSC_0714-afa30.JPG
ウルトラセブンが そんなそばにいたの!?
posted by 味噌のカツオ at 22:02| Comment(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする