2016年03月31日

リリーのすべて

トム・フーパー
エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー
1926年のデンマーク。風景画家のアイナーは、同じく画家の妻ゲルダに女性モデルの代役を依頼される。これをきっかけに、アイナーは自身の内面にある女性の存在を感じ取る。
それ以来、リリーという名の女性として過ごす時間が増えていったアイナーは、心と身体が一致しない自分に困惑と苦悩を深めていく。

監督は「英国王のスピーチ」などのトム・フーパー。「博士と彼女のセオリー」でオスカー俳優となったエディ・レッドメインがアイナーを。
そしてゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデルは今作でアカデミー賞・助演女優賞を受賞しました。

原題は“デンマークの女の子”の意味である「the Danish Girl」。
今から80年も前の時代。「性同一性障害」である男性が本来の自分となるべく、世界で初めて性別適合手術を受けるまでのドラマ。実話がベースとなっております。

いまでこそ見聞きする性的少数者を指す LGBT。
レズビアン(女性 同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と 体の性の不一致)の頭文字をとった言葉ですが。

軽々に“受け入れられた”とは言えませんが、認知は進んでいるってかな。
ただしこの物語の当時は 単なる病気ということで。今ではあまり言わない 精神病院へ連れていかれたとのこと。
が「そうではない」と。性同一性障害の本質を尊重し、手術で体の方を修正しましょうという医師がおって、主人公がその手術を受けると。

単純に思ったのは とても繊細な心の物語だなと。
アイナー&リリーはもちろん、パートナーであるゲルダも細やかな心の動きや変化を、受け入れたり理解したり。そういうことがとても大切で。

今どきのスマホやネットで情報がどんどん手に入る世の中では「これは こういう症状なのね」で済んじゃうけど。
この何もない時代。ましてや身近に心と体の性別が違っている人なんて知らないだろうし。

その状況と ゆっくりと真正面から向き合って、愛を持ってわかり合うことによって、この物語はピュアに成立したんだろうなと感じました。
だから舞台が現代だったら ここまで感動できなかったんじゃないかな。

もう一点。
様々な感想を見ると男性と女性とで受ける印象も大きく違うようです。
そこはまさに 自分自身とどう向き合うか苦悩するアイナーと、大切なパートナーの悩める姿を どう見守るかのゲルダの立ち位置で。作品への感情移入の仕方が全然変わってきますよね。

でもラストシーンで 大きな悲しみの果てに、ずっと心の中にあったあの場所で自由に舞い上がる描写は、誰しもグッとくるものだったでしょう。

エディ・レッドメインは「博士と彼女のセオリー」のホーキング博士役も かなり難しかったと思いますが、今作でも微妙な心の機微を表現されていて。素晴らしかったです。
そしてアリシア・ヴィキャンデル演じたゲルダは等身大でありながら、時に強く、時に優しい女性でした。
ゲルダを褒める イコール アリシアへの賛辞ですからね。


さて、ホントにちょっとした余談ですが。
リリーのふとした表情が時々水原希子に見えたのはわたくしだけかな。
あくまで時々…ですよ。

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ナニもシュシュも取っちゃいました
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2016年03月29日

ちはやふる -上の句-

小泉徳宏
広瀬すず、野村周平、真剣佑、上白石萌音
いつも競技かるたで遊んでいた千早、太一、新。しかし小学校卒業を境に離れ離れになってしまう。
競技かるたに情熱を燃やす千早は高校で太一と再会。ともに競技かるた部を作り、全国大会を目指す。

原作は様々な賞も受賞している大人気コミックス。それを広瀬すず主演で実写化。
よくよく見てみると、意外と有名なキャストは出ていない。舞台が高校という事もあり、まだ これから〜という若いキャストさんが中心。

こう言ってしまうと やっぱりキャスト、演技の弱さは否めないかな。
ただ後半にかけて各々のキャラとか現場のチームのノリができてきたのか、徐々に盛り返してきたけどね。
後に公開される“下の句”では期待しても良さそうかな。

見た人の評判は意外と良いみたい。わたくし“競技かるたの映画”という程度で、事前の情報を ほぼ入れないままでの鑑賞。
しかし序盤のかるたのシーンから「おう、そういうことか」と。「わりとコメディのテイストなんだね」と。
見る側としてのスタンスのスイッチ、入りましたわ。

そういう目で見れば、これはこれでなかなか面白かった。
千早がガチでポスターを張りまくってる場面はまさにマンガ。
集中力が途切れると 白目をむいて寝込むのもなかなか。んで終盤のシリアスな戦いの直後に“死んだ!”なんて緩急の付け方はお見事でした。

そういった面白味はあるんだけど、競技かるた部としての“スポ根的”なストーリーは やや安易な気がしないでもない。
新たな部活として結成 数か月でそんな“簡単に”優勝できちゃうのかと。
まぁ3人が勝てば〜というルールだからそれはそうなんだけど。

もう一つ気になったのは・・・ズバリ、広瀬すずちゃんかな。
それはそれでカワイくって。ただこれまでの彼女への印象からすると、今回のキャラは唐突な感じがしてしまう。ちょっと無理してないかと(苦笑)
コメディ路線もアリはアリなんだろうが、言ってしまえば この役は能年玲奈で見たかったですわ。

能年ちゃんが「あまちゃん」や「海月姫」で見せたコメディエンヌとしての才能は、この作品にピッタリだと思うんだけどなぁ。

なんて言いたいことを言ったところで。
見た人の満足度が高いのはわからんでもない。
その秘訣は 失点が少ないということのような気もする。良かったポイントは普通の青春映画と大差ないのでは。
その一方で「これは…」というツッコミどころもそれほどないと思えました。
決して つまらないわけでもなくってね。

それもこれも2部作の1作目というスタンスあってなのかな。本当の意味でのクライマックスは次作で〜と。
その“下の句”では 密かに気になる松岡茉優が登場となりますので。
それも含めて期待しておきましょう。

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あの人気タレントの妹なん!?
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2016年03月27日

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

ザック・スナイダー
ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ
人類を守るため異星人と戦ったスーパーマン。だがその代償として都市に大きな被害を出してしまう。地球人にとって脅威と化したその力を取り除くべく、バットマンが立ち上がる。
神に等しい力を持つスーパーマンに、“生身の人間”バットマンはどう立ち向かうのか?

アメコミヒーローズの作品といえば昨今はマーベルコミックの「アベンジャーズ」が話題になってますが、ここにきてDCコミックスも動き出しましたぞ〜っと。
それがこの「バットマン vs スーパーマン」であります。

日本人とすれば、マーベルとDCの2大ブランドの存在や関係に それほど馴染みがあるわけでもないのが正直なトコ。
ぶっちゃけ「アイアンマン」「キャプテンアメリカ」なんてキャラクター知ったのもここ数年でしょ(笑)

その一方で「バットマン」「スーパーマン」は子供の頃から存在は知ってたよね。さすがに。
その両者が対峙するんだから気になりますわね。

ただ率直に申しまして。「アベンジャーズ」のヒーロー大集合のお祭り感であり 無駄な明るさに比べて、こっちの世界観の まぁなんとも暗いこと(-_-)
あっちが「西部警察」だとしたら、こっちは「特捜最前線」かってなぐらい(!?)

そんなハナシはさておき、個人的には「アベンジャーズ」よりもシリアスなテイストの今作のが好みではあります。
スーパーマンの前作「マン・オブ・スティール」のザック・スナイダーが監督。「バットマン」シリーズのクリストファー・ノーランが製作総指揮にと。これはこれで良いバランスでは。
その分「マン・オブ・スティール」と「バットマン」のダークナイトシリーズの予習は必須ですね。
んでないと この物語の設定が飲み込めないかもです。やぁ間違いなく。

冒頭、ブルース・ウェイン少年時代のエピソードから始まります。非常に悲しい描写ではあるんだけど、あまりの映像のキレイさについつい引き込まれまして。
この時点で「あぁ良い映画だなぁ」と(笑)

そしてスーパーマンを見つめるブルース・ウェイン。
レックス・ルーサーを介してのクラーク・ケントとブルース・ウェインの邂逅。
それに割って入る謎の美女…

そうやってストーリーは展開していくんだけど。決して眠たいわけだは無いんだが、編集が雑なのか映画としてのリズムは正直イマイチ。
ただし、スーパーマンが公聴会に招かれて〜という辺りでやっとスイッチが入ったかな。ちょっと驚きの展開でもあったので。

そこからバットマンのスイッチも入って(?)大きく話も動きだします。戦いが、バトルが始まります。
とはいえ いきさつとしては、多少 思ってたのと違ったですかね。ぶっちゃけ予告編では、スーパーマンが もっともっと一方的に悪役ポジだと思ってたので。良し悪しは別にしてね。
まぁ「ダークナイト」ではバットマンも その戦いが受け入れられていないトコもあったからなぁ。

そして新たな敵、「お前のツレだろ?」という新たなキャラクターも登場。戦いはさらにグローバルになっていきます。
正直「マン・オブ・スティール」のバトルシーンではその戦いっぷりよりも、やり過ぎる破壊のが気になっちゃってて。これ、地球滅亡すっぞと。

ところが結果的に今回もそういう規模にまで発展。
また多くの犠牲が出ちゃってないかい!?
あららら・・・(苦笑)


さて 正直なこと言うと、決して「名作だ」とか「沁みた」と言えるほどには高まっていないかな。
戦いの規模が大きくなり過ぎて、僕らの問題としてハートには響かなかったか。それとなく親子というキーワードも入ってるけど、それほどアツくはないし。

イケメンなカヴィル。そしてマッチョなアフレックも及第点。
それらのキャラクターとしての満足度はあっても、やっぱり物語としては弱かったかな。
“VSモノ”っちゃあ どうしてもそうなるでしょうが。「キングコング対ゴジラ」というわけにはいかないよね。

でも そんなステレオタイプな展開を超える要素がもっとあればよかったんだけど。
あぁラストの流れは意外といえば意外だったけど。
ただし絶妙な To be continued でしたな(笑)

それにしても暗い映画だったね。
嫌いじゃないけど。むしろ そこは好きかもだけど。

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葬式にはじまり 葬式に終わる
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2016年03月24日

僕だけがいない街

平川雄一朗
藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川 翼
売れない漫画家でフリーターの藤沼悟は、何か悪い出来事が起こると、原因が取り除かれるまでその時間がループする『再上映(リバイバル)』が起こるようになる。
やがて藤沼の母が犠牲となる事件が発生。それをきっかけに彼は18年前の小学生時代へとリバイバル。過去と現在を行き来しながら事件の真相に迫っていく。

人気のマンガが原作。ただし 最終巻はまもなく発売だと。
さらに現在並行する形でテレビアニメ版も放送中。
この映画版はオリジナルの結末という事ですかね。

なので「原作を知っている」「アニメでハマった」「全くこの作品を知らない」という各々のスタンスで評価も別れる感じ。
ちなみにわたくしの場合 予備知識は映画の予告編だけで。そのうえで…

う〜ん、なんとも難しい。
面白くないわけではないんだけど、物足りない気もする。

そもそも話の奥行きが深いので、2時間に収めるためには 細部が端折られるのはしょうがない。んでそうなると展開は雑になっちゃう。
本当なら時間軸も登場人物も噛みしめたらもっと味が出そうなんだけど。

通常であれば“コッテリ”味の藤原竜也だけど、この作品では それが最小限に抑えられております。
どうしてもあのクドい演技が〜という向きにはちょうどいい加減かも。しかし…
実際にはどこか物足りなく思えてしまったのも事実。

やはり目をひんむいてがなり立てる藤原竜也を無意識のうちに期待してしまっているのだろうか!?

そんな藤原竜也の少年時代(正しくは悟の少年時代)を演じた中川翼くん。この子がなかなか上手やったわ。
体は小学生だけど意識は藤原竜也(正しくは悟)ということで、子役ながらしっかりと暑苦しさ感じられたからね。

そして やはり難しい表現が求められたであろう鈴木梨央ちゃんも上手かったですよ。
この子役2人は素晴らしかった。

その分 有村架純ちゃんがピンとこないというか。
正直ストーリーの核には絡んでいないような立ち位置で。だったらこんなにカワイイ架純ちゃんじゃなくて、もうちょっと地味な人のが良かったような。
とにかくカワイイんだ。カワイイさのバランスと役のポジションがストライクじゃないような気がしました。

あとは石田ゆり子さんがまたステキ。見ながら「こんなにステキなのに、なんでこの人独身なんだろう」と思うぐらい若々しいの。
ただ 若々しさ故、藤原竜也の“母さん”には思えない。

そんなこんなで あれやこれやと余計な事を次々考えつつ。。。
2時間 駆け足でストーリーをこなしていくのが最重要な印象で。結果 メリハリというか、山場へ向かうタメが乏しく思えてしまった。
なんだか大きなどんでん返しや驚きもなく、ラストまで行ってしまった感じで。もったいなかったなぁ。

それ以外にもツッコミどころ、気になるポイントがチョイチョイあって。
トータルすると、2時間に収めるには、やや無理があったのかも。
決してつまらなかったわけじゃないんだけどなぁ。

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僕街diary
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2016年03月22日

コインロッカーの女

キム・ゴウン、キム・ヘス、パク・ボゴム、コ・ギョンピョ
生後間もなく駅の10番コインロッカーに捨てられた赤ちゃん。その後10番という意味のイリョンと名付けられ、やがて仁川のチャイナタウンで闇金業を営む女のもとで成長。
闇金業者として過激な取り立てを行うなか、父親の借金を背負う青年ソッキョンと出会ったことでイリョンの心に変化が訪れる。

掘り出し物の多い韓国映画。この作品も評判が良さそうだったので見てきました。
ただし、仕事との兼ね合いで 結構眠たいコンディションでの鑑賞。

んで、作品のトーンもダークであるし、画面も基本暗めで。正直、眠たかったですわ。
なんとかストーリーには食らいついていけたかな〜という前提で ザックリとした感想。

主人公のイリョン(キム・ゴウン)はいわゆる美人顔ではないけれど、不思議と引きつけられる存在感。
そもそも日本では 若い女優さん主演で、こんなテイストの作品が作られることはありません。
仮にあったとしても、こんな役を演じられる女優がおらんでしょ。

“母さん”役のキム・ヘスも安定感ありました。
決して感情を表に出すことは無いのですが、そこにある凄みがヒシヒシと伝わります。

冒頭、幼すぎる子供たちが このような世界に拾われては捨てられていくという描写。
実際にそういう事例があるのかどうかは知らんけども、なんともいたたまれなかったですねぇ。
ただ、そこから この物語が動き出していくんだけど。そのくだりもインパクトありました。
「同情するなら金をくれ」などとのたまう少女の何倍ものたくましさ。

そうして育った少女…のみならず、何がしかの理由のある者同士で“家族”を形成しているという構図も独特でしたね。

そんなイリョンが取り立てに行った先の好青年ソッキョン。「借金なら返しますよ」というスタンスで。
裏社会の恐ろしさを知ってか知らずか。だけど今どきの若者っぽいよね〜と。
そんな印象だったから、あんな仕打ちをされてしまうとは。例えもキツイけど、戦地で誘拐されて命を奪われてしまう若者の動画とか。そういうのを想起させる、かなりエグいシーンになってたね。

おそらく生まれてはじめてやさしさというものに触れたイリョン。それが故に彼女の生への思いに変化が出てきて…
となるんだけど、当方の集中力が追いつけずなのか、少々ピントがぼやけた印象。

ネタバレになっちゃいますが、母さんがイリョンを養子縁組するという行動にイマイチ重みを感じられずで。
巡り巡ってふたりは実の親子だったとかの方が…
いや、それだとベタ過ぎるか?

とにかく、舞台、展開、世界観。。。
日本では絶対に成功しないタイプの作品ですね。
それに、殴り合い、命のやり取りの場面における殴り方、切り方、動きのパターンはいずれも説得力高いものだったですよ。

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おなか、すいた
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2016年03月17日

不屈の男 アンブロークン

アンジェリーナ・ジョリー
ジャック・オコンネル、ドーナル・グリーソン、MIYAVI
イタリア移民の子として育ったザンペリーニ。いつしかその才能を開花させ、ベルリン・オリンピック5000m走に出場し驚異的な記録を樹立する。
やがて戦争が始まり、空軍爆撃手として戦争に関わるのだが、彼を乗せた爆撃機が海に不時着。漂流47日目にして大きな船が近づいてくるのだが…

製作は2014年。かのアンジェリーナ・ジョリーが監督。ジョエル&イーサンのコーエン兄弟が脚本に参加。ですが、日本公開までには少々時間を費やしたようで。

理由としては この映画の後半、日本軍による捕虜虐待のシーンがあったり、原作に日本軍のエグい描写があるだとか。
とにかく日本で上映するには それなりのハードルがあったようで。

とはいうものの、あくまで映画ですから。
作品も見ずに、中身も知らずに「日本上映不可」となっては どこぞかの偏った思想の国みたくなっちゃうからね。
まずは公開されて良かったと思います。

そのうえで、それらが映画としてどのように撮られているのか。そういう興味も含めて、なんなら期待しての鑑賞。
言うまでもないけど、実話ベースの映画化であります。

流れとしてはイタリア移民として いじめにもあった少年期。
5000mの走者としてオリンピックにも出場した青年期。

その後、戦争が始まり、彼の一つの目標であった東京オリンピックは中止となり、彼も戦争に関わっていくことに。
しかし不慮の事故により 長すぎる漂流の日々を余儀なくされます。

そんな彼らを救い上げたのは日本軍で。彼も捕虜として扱われ、虐待を受けながら強制労働を強いられます。
やがて時は流れ、戦争が終わり、彼も国に帰ることができたと。

そんな感じ。
しかし、事前に起承転結まで知ってしまっていたとはいえ、眠たかったですねぇ。

確かに47日間の漂流は過酷だったと思いますよ。
でもこの映画の中では「そうだろうな」と思う以上の出来事、トピックに乏しいんだよね。
食べ物が無い、飲み水も無い。おまけにサメがウヨウヨまで最初に見せちゃうから、ジワジワ追い詰められる感がなくって。そのまま47日なので「あぁぁ」というポイントの少ないまま耐える描写が延々。

それに続いては捕虜のパート。
これも強制労働にいわれなき虐待が ほぼ初めっからで。何かがエスカレートしていくという展開とかが、映画としては弱い気がします。

ひたすら耐える描写オンリーなので、結果こっちも眠たくなっちゃいます。
そう、耐えに耐えて、どうなっていくんだ〜というところで「戦争、終わりました」の報。
主人公が能動的にどうかするという要素は皆無。ひたすら時代に翻弄されましたってかな。

そういう意味で主人公にどうにも感情移入ができませんでしたと。結局つまらなかったという印象になってしまいます。

そのザンペリーニを追い込んでいく渡辺伍長というのも、人物描写が浅いものだから深みがないんだな。
もうちょっとドスの効いた声質で年配のおっさんのが凄みとか、いやらしさを表せたんじゃないかしらん。
もったいないね。

まぁ日本人の立場として「日本人を悪モノにするな!」という思いより、「中途半端やないかい!」とツッコミたくなっちゃったね。
先日見た「サウルの息子」ぐらいヒリヒリした感じを出してくれたら、こっちも緊張感持ってスクリーンに向かえるんだけど。
そういう意味で、残念な印象だったですわ。

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よくぞ あんなガリガリにまで…
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2016年03月09日

これが私の人生設計

リッカルド・ミラーニ
パオラ・コルテレージ、ラウル・ボヴァ、マルコ・ボッチ
建築家として世界中で活躍し、新たなステップとして故郷のローマへ戻ったセレーナ。公営住宅のリフォーム案が公募されていることを知るが、男性社会のイタリア建築業界では彼女が採用されるとは思えず。
そこで自分は助手で設計者は男性だと偽って応募するのだが…

元々はノーマークだったんですが、シネコンでの上映時間のタイミング、そして見た人の評判をチェックして見てきました。

一応ジャンルはコメディとのことで。こちらもフワフワって感じで見始めたんだけど。
冒頭から主人公の生い立ちがマシンガンのように襲い掛かりまして。気付けば現代。

ところが本筋の流れになっても、なかなかその勢いは変わらずで。ガンガンきましたね(笑)

要点としては、とにかくよくしゃべる。圧倒的にセリフが多い。
それからカメラのカット割りも多い。ひとつの場面でも一人ひとりが話すごとに…いや、なんならワンセンテンスごとにカメラが変わっていきます。
その相乗効果もあってか、なんだか映画のテンポ、リズム、転がり方も早い。
だいぶ その勢いに持っていかれます。

さらには、ちょこっとずつオモロイことや、滑稽な設定がインサートされるので、当然ながら退屈せずに楽しめました。

セレーナがバイク盗まれるシーン。叔母の極度のマイペースっぷり。住宅で出会うばあちゃんの一方的さ。
彼女のアルバイト先のレストランの経営者フランチェスコがバーでいきなり踊り出し「あぁそっちなのね」とわかるくだり。
彼の友だちの極端さもニヤニヤ笑えてしまいます。

ある意味 定番なドタバタコメディー的な感じもありつつ、安易なお涙頂戴や大団円に走らないのはやや意外。
でも彼女の等身大の前向きな思考は見てて気持ちがいいし、人は老若男女 何かしら隠し事を抱えているという、はばかられかねない真実を堂々と提示するのも痛快。

もしかしたらハートに訴えかける〜ではなく、勢いだけで突っ走ってる映画なのかもしれないけど、でも それがこの映画の魅力であるのは間違いないです。

「これが私の人生設計」のタイトルで公開されていますが、事前の映画祭内では「生きていてすみません!」の邦題だったとか。
まぁわからんでもないけれど、勢い的には「生きていて〜」の方がしっくりくるかもね。

イタリアらしい早口と強引さで 何がおもろいのかわからんけど、見終わったら不思議な爽快感がを覚えるこの作品。
うん、素直に見て良かった1本でしたよ。

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あの叔母には隠し事無いか!?
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2016年03月07日

ヘイトフル・エイト

クエンティン・タランティーノ
サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー
雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキスは、同じ稼業であるジョンと彼が捕らえたデイジーを乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリスを拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブや怪しげな絞首刑執行人オズワルドなどの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。

『タランティーノが仕掛ける密室ミステリー』という触れ込みのこの作品。
そう言ってしまえば確かにそうなんだけど、ミステリー色が強いのかと問われると、そうでもないような。
しいて言えば、やはりこれはタランティーノの映画なのかなと。

タランティーノ作品にわりと共通した点ではありますが、この映画も長いです。上映時間168分。予告とか合わせて ざっと3時間。
そしてよくしゃべる。セリフの多い会話劇ベース。

どうしても我々は字幕を読んで着いていかなくてはならないので、なかなか大変。
しかも前半は駅馬車でのやりとり。そこで各々人物像が語られるわけですが、大きな動きも乏しいので正直、眠たかったです。

そして猛吹雪を凌ぐための山小屋に到着。ここからまた登場人物が増えまして。さらに人物像を飲み込むことが求められます。
もっと言うなら、どこまでが本当で 誰がハッタリをこいているか。そういう疑心暗鬼にならざるを得ない展開で正直、疲れます。

というところで事件が起こり、ググッと物語が動き始めます。
さすがにこうなると飛びますね。眠気(笑)

嘘を絡めた駆け引き。そしてなんといってもエゲツナイ血しぶきに飛び散る肉片。ここらへんはタランティーノの真骨頂。
また予想だにしなかったどんでん返しのぶっ込み方もハッとさせられます。

ちなみにタイトルのヘイトフル(HATEFUL)は「憎らしい、実に不愉快な」という意味があって。
ストーリーを引っ張る役どころと思われたサミュエル・L・ジャクソンも、嬉々としてゲスいエピソードを語りだし、不快感を煽る存在やったね。

何気に渋い役者たちによる、この騙し合いとサスペンスフルなサバイバル。
タランティーノファンなら楽しめるだろうけど、そうでない方にはちょっと“ヘイトフル”かもね。

そんな「ヘイトフル・エイト」のエイトは主要キャストが8人というのとは別に、タランティーノの監督8作品目であるというのも大きいのかな!?

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兵と震え意図
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2016年03月04日

キャロル

トッド・ヘインズ
ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン
1952年、ニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズの前に、娘へのクリスマスギフトを探すキャロルが現れる。
気品に満ちた美しさとミステリアスな雰囲気を醸すキャロルに心を奪われたテレーズ。彼女がクリスマスカードを送ったことで、二人は会うようになり、互いの悩みを知ることに…

今年のアカデミー賞で受賞こそならなかったものの、主演女優賞や助演女優賞などにノミネートされた作品。
アカデミー賞にかかわらず、口コミの評判がよくて女性客でいっぱい。

ただ、わたくしが見たレビューにチョイチョイ“百合映画”みたいな書き方をされていて。
ここに見に来ている客が みな百合なのか?と思わなくもなかったり(苦笑)

とは言うものの、変に同性愛を前面に打ち出した(戦略として)いやらしい作品ではなく。
確かにある二人の女性が愛し合う物語にはなっていますが、そもそも“憧れ”や“好意”が高じてそうなっていくような。ほんとに純粋な愛を感じられる映画でした。

舞台が1952年のニューヨークということで、その当時は同性愛は“病気”と見られていたそうで。
なので周囲の視線や受け止め方。あるいは自身にも罪の意識や葛藤があったのかもしれませんね。
今でこそ“性的マイノリティ”という言葉をつけたうえで認知はされてきていますが。

この映画で描かれる二人の関係が あざとくなく、すんなり見入ってしまう要因とは、ズバリ“品”なんじゃないかな。

ケイト・ブランシェット演じるキャロルの表情、振る舞い、佇まい、いずれも品があるんですよね。
彼女の方から若い女性をたぶらかそうという雰囲気がチョビットでもチラついてたら、その時点で“ただの”同性愛ムービーになってたんじゃないでしょうか。

一方、テレーズ役のルーニー・マーラは不意にオードリー・ヘップバーンを彷彿とさせる瞬間があったりで。これもまた品があるんですよね。

同性愛というのは本当の意味での肉体的快楽を得られないと思うんですよ。だからこそ、より心であったり、想いであったりが際立つんじゃないかな。
だから本当に純粋な恋をしたことのある方なら、この映画の中の二人を応援したくなるだろうし。

そんな二人の愛の物語とテレーズのキャリアも含めた成長の物語。
これは女性客にウケるはずだわと。

ちなみに男性のわたくしが見ても、キャロルの存在は不思議な魅力があって。
そしてルーニー・マーラのヌードシーンの美しさは見入ってしまいましたし。

単なる恋愛映画?
いやいや、退屈させない素晴らしい作品だったですよ。

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♪クリスマスキャロルが〜
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2016年03月02日

ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE

太川陽介、蛭子能収、三船美佳
2007年からテレビ東京系列で放映されている人気バラエティ番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の劇場版。舞台は初の海外ロケとなる台湾。
路線バスのみを利用して、3泊4日で台北から台湾最南端にあるガランピ灯台を目指す。

近頃では舞台中継やコンサートなどもあります。
すなわち白いスクリーンに映し出してしまえば「これすべて映画」というわけですかね。
テレビ番組を映画館で見るという言い方もできるし、多少強引だけど 広い意味でドキュメンタリー作品と言えなくもないけれど(苦笑)

このテレビシリーズは昔から好きで。なんとなしに楽しんで見てたんですが、いつの間にやら様々な場で話題となり「やっぱり人気なんだ」と妙に納得した覚えがあります。

そんな人気番組のコンセプトをそのまんま映画化。舞台が海外であるという事以外はホントにそのまんま。
しかし こんなものをわざわざお金出して映画館まで行って見ようというニーズはあるのかしらん!?と思いきや…

ウチの地域では上映3週目に突入。しかもファーストディ(¥1,100)とはいえ、下手な作品より客入ってる印象。
かくいうわたくしも足を運んでしまったわけで。

この企画のルールは、移動は原則としてローカル路線バスを利用。インターネットでの情報収集は禁止。ルート決め、宿泊先や撮影の交渉も自分たちで行うというもの。
ただし今回は高速バスも登場したけどね。超・イレギュラーでw

台北からスタートして 最南端のガランピ灯台を目指す3泊4日の旅。
しかもロケ日に合わせて超巨大な台風が台湾を直撃という危機もあり。
天候だけは調整できないから。ある意味 持ってますよね。この番組って感じで、それも良いスパイスとなりましたね。

太川さんは安定のリーダーシップ。
ピンチでのひらめきやファインプレー。そして時折り垣間見せる包容力もたまらない。
“理想の上司”にランク入りする資格は十二分にあると思うんだけど。

そして常に自由な蛭子さん。
もっさり系のどうぶつのような風体から繰り出される奔放すぎるコメントは破壊力抜群。やぁホントに下手なコメディ映画よりも確実に笑えます。
どんなにヒドイ事を言っても「蛭子さんだからなぁ」と許される謎の存在感。
それでなくてもギャンブル好きで家族も泣かすぐらいなエピソード知ってても、憎めないんだから。

毎回変わるのが紅一点。“マドンナ役”ですが、今回登場したのは三船美佳さん。
若くして結婚されて、そのままニコイチみたいなタレント活動も多かったので、この人自身のイメージってそんなに強くないんだけど。
今回見て感じたのは、メチャクチャいい人♪

スタート時のハイテンションに「4日間持たないよ」と言われてたけど なんのなんの。
バスが走らなくても 台風に傘をつぶされても 泣き言一切言わず。終始笑顔で通したのは立派。今まで余程ご苦労なさってきたのかしらん!?
また人とのコミュニケーション、蛭子さんへのツッコミも絶妙で。ムードメーカーとしても、ある意味で影の功労者ですよ。

さてさて、そんな3人のバスの旅。果たしてゴールは成し得たのか〜ということですけど。
映画版だといって無理をしない、あざといヤツをブッ込んで来ない。
あまりに自然体過ぎるテレビ東京のスタンス。お見事です。

予想以上に満足度を得られたナチュラルなロードムービーという事で。。。

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蛭子さん、でも¥1,800では高い!?
posted by 味噌のカツオ at 00:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ラ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする