2016年04月29日

太陽

入江 悠
神木隆之介、門脇 麦、古川雄輝、村上 淳、古舘寛治
21世紀初頭。ウイルスにより人工は激減。生き残った人類は 健康で高い知能を持つ一方、太陽の下では生きられないノクス。太陽の下、貧しいながらも自由に生きるキュリオに分かれて生きていた。
2つの世界で生きる人間たちの行く末は、対立なのか融和なのか…

あらかたの設定、SFテイスト、舞台でも上演された作品。
それらはチェックしたうえでの鑑賞。

特異な環境ではあるけれど、それをどのように理解するか。
韓国と北朝鮮。社会主義国と共産主義国。あるいは映画そのままに近いけど、都会と地方の集落とか。

いろいろ考えて照らし合わせながら、この映画の向かうべき方向を考えていたけれど。どれも似て非なるような。

いつか あそこに行きたいと願っていた少年はそれが叶わず。
なんとも思っていなかった少女が そこに安住の地を見つける。
因果なものにも思えるけれど、案外似たような事例は身近にありそう。

ところが少年は 誰もなしえなかった新たな融和という希望を見い出す。
登場人物は決して多くは無いけれど、いろんな思い、願い、そして可能性が見て取れる映画なのかもしれません。

キュリオからノクスへ変わるには、人工透析よろしく赤い血を紫に入れ替え、そして一瞬の痛みを伴うものらしい。
それが可能なら、逆にノクスからキュリオになることもできるのかな?

でも太陽があろうがなかろうが、裕福な暮らしから わざわざ貧乏になろうって発想は出てこないかな。

派手な展開なんかは無いわりに、退屈することなく。グイグイと物語に引き込まれました。
ただ、個人的には あのレイプシーンは必要なかったかなぁ。

それだったら、あの一件で彼女が妊娠してしまって。その後にノクスとなった母がキュリオの子供を産んでしまうとか。
そうなったらどうなんだろうという展開も想像してたのでね。

ストーリーとは関係なくですが、神木くんを麦ちゃんが19歳の設定で“子ども扱い”というのは ちょっと無理があるように見えました。
あと神木くんの演技のやりすぎ感っちゅうか、少々浮き気味だったですね。
もちろん作品として悪くはないんだけども、ちょっと気になっちゃったかな。

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ずっとここにいタイヨウ
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2016年04月27日

アイアムアヒーロー

佐藤信介
大泉 洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢 悠
平凡な毎日を送る漫画家アシスタントの鈴木英雄。そんな彼の恋人が突如凶暴化して襲いかかる。その場は なんとか逃げ延びたものの、気付けば街中が謎の感染によって人々が変貌を遂げた“ZQN(ゾキュン)”であふれかえっていた。

“JZ”ですよ。ジャパニーズ・ゾンビムービーですよ。
死者が生き返る。感染で人間が凶暴化する。設定は いろいろありますが、ゾンビをテーマにした映画が世界中で蔓延しております。
テーマとして 扱いやすいんでしょうかね。

日本でもいくつか作られているゾンビモノですが、この「アイアムアヒーロー」は海外の映画祭でいくつも受賞をしてるんだとか。
その割には イマイチ宣伝されていないないなぁ。やっぱテレビ局が製作に絡んでいないとアレでしょうか(苦笑)

コミックが原作という事なんですな。読んでないので そこんところは知らんけど。
でも 事が起こって、徐々にえらいことになっていってる〜という感じはよく出てました。
いきなり目の前に人が落ちてきたり、車にはね飛ばされたり。

タクシーに乗って高速道路を疾走。走行中の車から落ちそうで落ちない。さらにはバンバン激突で大クラッシュ!!
スゲー!!

正直 日本の映画でここまでのカーアクションはなかったですね。
おそらくこのシーンも海外でロケをやっているんでしょう。アウトレットでのロケも含めて、日本ではこんな迫力のある絵は撮れないよね。

それ以外にもゾンビモノには付きものの血しぶき飛び散る映像もなかなかのデキ。終盤、おびただしい数のゾンビが横たわり、全てが血まみれになっている情景も、よくぞここまで作り込んだなと。
見る側も グロい映像にそこそこ耐性がないと、結構キツイんじゃないかな。
それぐらいスゲー!!

とまぁとにかく映像は非常によくできておりますが。
その反面、所々で雑な描写がチョイチョイとインサート。そして最後まで見終わるとストーリー性の弱さとか演出の甘さというか。
それが気になってしまいました。

英雄のケータイが飛んでいき、比呂美のスマホは意味ありげに電池切れ。だからといって本筋にはあまり影響なかったり。
そんな比呂美が英雄と親しげになる理由が見い出せなかったり。

かと思えば 比呂美が半分ZQN化。しかもメチャすごいパワーで英雄を助けます。だけど それ以降は寝てるか座ってるだけで。
もしかしたらギリギリのところで 再びあのパワーが?あるいは発症して襲ってくる?
いつ、いつ・・・って 無いんか〜い!

もうちょっとトランプのジョーカー的役どころだと思ってたけど、結果 座ってるだけやった。じゃあ ほぼほぼいなくても成立するやん。あの娘。
なんだったんだ?

元陸上選手のZQNが走り高跳びで屋上まで来るのは「やっぱりか」と思ったけども。
ZQNって頭が破裂したら死ぬ(?)んでしょ。だったら あんなに頭を陥没させるのは変じゃね。
頭から落下するという“おもしろシーン”を入れたいがために あんなことさせてるんだと思うけど、あんだけ頭打ったら割れてるよね。

終盤、絶体絶命という状況下で 英雄は銃を撃ち続けます。ZQNを一匹ずつ撃ちます。撃ちます。撃ちます。
これが結構長い。しかもバリエーションもなく、ただひたすら撃つだけ。その先が無い。
んで最後、弾がなくなり、バーンってやるんだけど。「そんだけか!」と。
もうちょっとヒヤヒヤさせるタメとか煽りとかできなかったのか。

がんばったよ。がんばったんだけどね。
それで これまでイケてなかった英雄が、真の意味でヒーローになった…と言われても、どうも腑に落ちない。
映画的な盛り上がりとか、変化とか、成長とかが ほとんど感じられないかな。

細かいツッコミどころ、他にもあるにはありますが。そういう隙を作らずに、ストーリーのドラマ性をもうちょっと立ててあったらなぁ。
とにかくカーアクションやグロ描写が見応えあっただけに、あまりにも惜しいです。


ちなみに2014年に撮影が行われたとのことで。
ここに出ている メイプル超合金は、ブレイク前のお姿なんですな。どこに出てるかは…だいたいわかるかな?

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東テレまでがニュース速報に!!
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2016年04月22日

パリよ、永遠に

フォルカー・シュレンドルフ
キャストアンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプ
1944年8月25日未明。コルティッツ将軍はヒトラーからナチス・ドイツ占領下のパリの破壊命令を受ける。
標的はセーヌ川に架かる橋の数々、ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、エッフェル塔…
スウェーデン総領事のノルドリンクは計画を阻止すべく、コルティッツを訪問する。

1年ほど前に劇場で予告を見て気になりつつ、見落としていたのでレンタルDVDで鑑賞。

わたくし自身、パリには行ったことありませんで。
それに そもそも歴史にも大そう疎いので、第2次世界大戦についてもそんなによくはわかっていない。
それでも、いや それだからこそ、こういう映画で史実の一端に触れようかなと思った次第。

美しいパリの街。しかし 実際にはそんな危機が迫っていたと。
誰もが知るパリの名所たる名所、全てを爆破、焼き尽くさんとする恐ろしい計画。
もちろん“美”としての視点もそうですが、そこには多くの人も存在するわけで。

アドルフ・ヒトラーからの指令。
家族を人質のように取られてしまったドイツ軍将校。その命令に背くことは自身の、また家族の命にも関わってきます。

一方、パリ生まれパリ育ちというスウェーデン総領事。
誰に頼まれたわけでもなく、ただ純粋に この美しきパリの街並みを守らんとするその思いから将校の説得を試みます。
しかしタイムリミットは刻一刻と近づいていきます。。。

結論から言うと、計画は実行されなかったんですよね。だってパリ、今もそのままあるから(苦笑)
その中で どのような説得と駆け引きが行われたのか。というところですが、取り立てて大胆な〜という風でもなく、わりと現実的でノーマルな印象。
それより“隠し階段”とか“ミラー”の設定のが気になったりして。

基本的に密室での会話劇。
原作は舞台で上演された芝居と聞くとそれも納得。
その分 映画のフィールドで見ると、少々物足りない感はついてまわりますが。

本編とは関係ないんだけど、冒頭に荒涼とした廃墟の古い映像がインサートされます。
まさに戦争の跡なんでしょうかね。

その国の人々が作りあげた街であり文化というものを、戦争の名の下に異国の者が焼き尽くしたという証なのかな。
あの映像が そのまま複雑な思いとして残りましたです。

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パリパリ伝説
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2016年04月21日

スポットライト 世紀のスクープ

トーマス・マッカーシー
マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス
2002年1月。米国の新聞「ボストン・グローブ紙」が報じた、カトリック教会の神父による児童への性的虐待と、それを隠蔽してきた組織への追及。
《スポットライト》という名の特集記事を担当する記者たちは、いかにして教会というタブーに切り込み、暗闇の中の真実を照らし出したのか。

先のアカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した作品。
いろんなトコで書かれてますが、実話をベースにしていることもあり、作品としては地味。

ボストンの地方紙「ボストン・グローブ」の特集記事「スポットライト」の記者たちが、これまで公になることのなかった教会のタブーに切り込んでいきます。
その過程の中心となるのは、取材であり会議であり。

さすがに字幕版での会話劇は文字を追うのに必死、内容を理解するのに必死、人名が出て「誰だっけ」と思い返すのに必死。
正直、完璧に脳内処理は追いつきませんわ(苦笑)
その結果 ところどころウトウトきちゃったりもしますし。

あと日本人として、教会の神聖さ。“神父様イコール神様”といった感覚も言葉や道理ではわかっても、100%は理解しきれない気がします。

でも、そういうハンディはありつつも、わたくし的に記者たちへの感情移入はギリギリできました。作品として楽しめましたよ。

当然の流れではありますが、取材対象者に話を聞けたときや、新たな資料を苦労の末GETできたときは、こちらも同様に高揚感ありましたし。
ただ これらの事例が報道されれば…と何年も前に資料が送られていたと。その資料がどこでSTOPしていたかという話にドキッとさせられたですね。

途中 9・11の同時多発テロの映像も出てきます。記者たちもそちら優先という話もありながら、見てて大勢には影響なかったような。
でもアレをインサートすることで、リアルな時代背景をなんとなく思い起こすという。そんな効果はありましたね。

この映画とは直接は関係ないけれど、昨今の日本では新聞発のスクープは生まれなくなったと聞きます。
たいがい“週刊誌”が何がしかをブチ上げて、それらの後追い記事を新聞が掲載するというのがスタンダードになってきています。

インターネットなんかが普及してきた今の時代、ただでさえ新聞の存在価値が問われたりもしますが。この映画のようなアツい紙面作りというのは、もう過去のことなのかな。
それこそ以前見た「クライマーズ・ハイ」の記者たちなんか命がけで記事書いてた印象残ってるもんね。

この映画を見た新聞記者が「週刊誌に負けてたまるか」と、発奮材料となる映画と思えば、なかなか面白いんだけどなぁ(苦笑)

あらためて。マーク・ラファロ、マイケル・キートンら、スポットライトチームの演技はやっぱり引き込まれるものありました。
紅一点のレイチェル・マクアダムスもメチャ キレイだったし。

感情移入という部分では、記事が掲載されて、読者からの反応がどうなのか・・・なんてラストまで、ひとつの達成感を味わえましたが。
でもやっぱりアカデミー賞で作品賞という看板の前には、どうしても地味な印象は付いてまわるかな。
審査の基準も様々だしジャンルも全く違うけど「マッドマックス」を押さえての作品賞だからね(苦笑)

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バチカンのバカチン
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2016年04月20日

ロブスター

ヨルゴス・ランティモス
コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、ジェシカ・バーデン
独身者は、身柄を確保されホテルに送られる。そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、自ら選んだ動物に変えられてしまう。
そんな世界で独り身になったデヴィッドもホテルに送られ、パートナー探しを始めるのだが…

おひとり様なわたくし的には たいへんにおそろしい設定の映画です(苦笑)
自分がその立場だったら何の動物になりますか〜なんてことを考えるほどの余裕の無いまま鑑賞。

ほぼほぼ傍観者のスタンスのまま。

結婚することを前提とした思想。
独身であること。恋をしようもんなら制裁を下さんとする思想。
もしかしたら、じゃまくさいから動物になりたいと考えるヤツもいるのかな。

でも動物だから安穏とできるわけでもなく。
(お父さんじゃなくて)お兄さんは蹴り殺されちゃうし、冒頭の場面では銃で撃たれちゃったりしてるし。

独身者のリーダーが気になるなぁと思ってたら、「アデル、ブルーは熱い色」や「007 スペクター」に出てた・・・
あぁやっぱいいオンナやわ。


パートナー探し中はオナ禁ということで。決まりを破るとえらい目にあっちゃうという。
ところで、成立したらやってもいいのかな?

どちらにせよ、厳しい世界だわ。

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ホモ・コースを選ぶのもアリなんだね
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2016年04月19日

映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃

高橋 渉
(声)矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ
誰もが見たい夢を見られるという、夢の世界を訪れたしんのすけたち。思い思いの姿になって楽しんでいたところ、恐ろしい“悪夢の世界”に閉じ込められてしまう。
この事件のカギを握るのは、謎めいた転校生サキ。そこでしんのすけたちはサキと共に夢の世界へ…

「映画クレヨンしんちゃん」シリーズ第24作。
これまでにも傑作が多いこのシリーズですが、今回は小説家としても活躍する劇団ひとりが、監督の高橋渉と共に共同脚本として参加しております。

街中のみんなが同様の夢を見るという事案が発生。ところが、いつしか 大人たちだけが悪夢にうなされるようになっていく。
やがて子どもたちも 楽しい夢を吸い取られ、悪夢の世界へ放り出されてしまいます。

アニメですよ。クレしんですよ。舞台は夢の中ですよ。
そのわりには、構成が少々 雑だったようにも思えました。

意地悪で気の強い転校生を無条件に仲間にしちゃうという部分の説得力とか。
バクを探しに行くのに「どこにいるかわからない」というのは確かにそうなんでしょうが、ちょっと漠然としすぎてるかなとか。
みさえとひろしの童心への返り方が大そう安っぽいとかとか。

欲を言えば これまでのシリーズの名作と比較して、全体のリズム感は決して良くはなかったかな。少々中だるみしてましたし。
などと厳しめに書きましたが、自分の中でも「映画クレヨンしんちゃん」へのハードルが上がっていること。脚本・劇団ひとり への期待が高いことがあってのことですけどね。

実際、所々でのギャグは結構笑えましたし。バク発見のくだりもベタだけどお好きです。
ひろしがツルツルってのは“攻めてるな”と思いましたし。

悪夢の正体・真相はややハードな設定で。
またそのビジュアルも見に来てる子どもたちには ちょっと怖かったかも。

その決着の付け方として「悪夢とはうまく付き合っていく」は、その正体からするとそれしかないよねと。リアリティは抜群。
その反面“退治しました”の完全勝利感が味わえなかったのも煮え切らなかった一因かな。
あるいは もっと露骨に“その分だけ成長しました”という描写があっても良かったか。

最後の決め手を放ったのは みさえで。あの場面はリアルなママたちにはたまらなかっただろうね。号泣でしょう(笑)
その分、しんのすけが汗かいたり 涙したり、そこまでの本気度が見られなかったり、最後はひろしもバイプレーヤー的だったので。
物足りなさで言うならそこなのかな。いやいや、そこまで求めるのは酷でしょうか!?

決して つまらないわけではないけども、圧倒的な突き抜け感はちょっと弱かったという印象。
しんちゃんなら もっとイケるんじゃないかと。貪欲な感想でございます。

最後に、安田顕さんの声が なかなか静かな狂気を孕んでいて。
雰囲気良かったですよ。

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安心してください。生えてませんよ!
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2016年04月09日

ルーム

レニー・エイブラハムソン
ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョアン・アレン
天窓しかない狭い部屋で暮らす男の子ジャックとママ。ママは7年前にある男に誘拐され、ジャックはそこで生まれ、外の世界を知らないまま育ってきていた。
ジャックが5歳の誕生日を迎え、彼に外の世界を教えるため、そして自身の人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。

TBSラジオ「たまむすび」で町山智浩さんがこの作品を紹介してから5か月。
その間には アカデミー賞でブリー・ラーソンが主演女優賞を受賞するなんて挟みつつ、やっと公開されました。やっと見ることができました。

小さな部屋に監禁された女性。そして そこで生まれ育ち、部屋の外を知らない5歳の子ども。

そんな設定を聞くと、どうしてそんなことに… そのままではいられないだろう… どうやって脱出するのか…
そういったドキドキを感じながら映画にのめり込んでいくわけですが。

後半、実際に部屋から出た先で、これからどうしていくんだろう…
それがついてまわります。

ほぼほぼ2部制というぐらいの展開で、観客を引っ張っていきます。

そんな今作の成功の最大要因は、なんといってもジャック役のジェイコブ・トレンブレイくんの演技ではないでしょうか。
昨今の日本映画における子役のクオリティの高さは幾度も感じておりますが、洋画の世界でもそれは同様ですね。
全編に渡って見事な“演技”を見せてくれます。

ブリー・ラーソンが主演女優賞を取りましたが、彼が映画賞に入っていないのは何故だと言いたくなりますよ。

外の世界の存在を知らない子ども。ママとぶつかる会話。天窓ではなく 大きな空を見上げる視線。
あとはしっかりと成長をしていく姿ですかね。

女性は終わった恋を忘れるために髪を切ったりしますが、彼が髪を切る場面も ママにパワーを送るためであり、なにやら過去から踏み出す儀式のようにも見えました。

また(本来であれば)忌まわしい あの部屋に行きたいというのもね。
彼の過去は、生きてきた証は あの場所にしかないからね。

我々がかつて通った小学校の校庭を見て「こんな小さかったっけ」と言ってしまうかのごとく。そんなセリフが出てくるのも彼の成長の証かな。

この年月で子を持つ母となった以上、強くあらねばという思いもあるでしょう。
しかし奪われた7年間の歳月に やりきれない思いに苛まれたり。
世間からの(メディアからの)心無い言葉に動揺したり。

その結果、良くない行いをしてしまうママの選択も見ていてツラかったですね。

前半のサスペンス込みのドキドキした展開と、後半の心を揺り動かされる感覚。
上手くまとめ上げた構成で見応えありました。

幼い子を持つ親の世代はもちろん、かつて5歳の子どもだった誰もが共感できる作品じゃないでしょうか。

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過酷過ぎる「はじめてのおつかい」
posted by 味噌のカツオ at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ラ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月08日

ビューティー・インサイド

ペク
ハン・ヒョジュ、パク・ソジュン、イ・ジヌク、上野樹里
18歳のときから目覚めると老若男女…外見が変わるようになってしまったウジン。人に会う仕事ができないため、インターネットを駆使して家具デザイナーとして働いていた。
ある日、家具屋で働いているイスと出会い、次第に心を奪われていったウジン。イケメン姿となった日に意を決してイスをデートへ誘う。

元々は現在29歳の男性なのだが、ひとたび寝て目覚めると全てが変わってしまうウジン。
その代わり方たるや年齢、性別、国籍も様々で。

そんなトンデモ設定ではありますが、そんなファンタジーをそのまんま進めていけるのが映画の良いところ。
その設定をいかに不自然さを感じさせず見せられるのかが作り手の手腕ならば、我々もそこにどれだけ感情移入できるかが楽しむポイント。

基本はラブストーリー。
彼女にしてみれば 心は同じであることは大前提。それなら今日はどんな姿になっているのかを楽しむのも一興。
とはいうものの、それが毎日続くとなると さすがに不安になっていきます。
職場の同僚からは「あの娘、いつも違う男と…」なんて良からぬ声も出てきます。

それらを乗り越えて、果たしてそんな奇妙な男性と付き合えるのか。

もしも自分がウジンの立場だったら、彼女とどう接するか。
自分がイスの立場だったら、変わらず彼を思い続けられるか。
いろいろ試されるなぁと思いつつ。

でも、でも 究極的にはね、日々同じ姿であっても愛し続けられない関係だってあるわけじゃん。

ふと そういうことを考えるとね。
ある意味 これはこれで、シンプルでピュアな愛の物語であるのかなと。
やっぱり観客が試される映画なんでしょうな。

恋する日々のなかでイケメンもあればハゲる日もあり。子どもにでもなればおじさんにもなる。
ただしキーとなる日は わりとイケメンの時が多かったような。

もちろんイケメンの日だからこそ勝負できるってのもあるだろうけど。決定的な日にブサメンってのはなかったのは・・・
ラブストーリーだからね。コメディじゃないからかね(苦笑)

国籍までも変わっちゃうという中で、日本からは上野樹里が参加。
以外とターニングポイントとなる日の設定だったのはちょっと嬉しかったです。

イス役のハン・ヒョジュは 中森明菜さんをスラリと若くしたような顔立ちで美人やったですね。
あんなキレイな人が大塚家具におったら、やっぱ通いたくなるわね(笑)

さてさて、エンドロール時に もう一つの物語がありまして。
う〜ん、さすがに親子なんだねぇ〜と思いました。

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パスポートの写真とか、どやったん?
posted by 味噌のカツオ at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月07日

マジカル・ガール

カルロス・ベルムト
ホセ・サクリスタン、バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ
白血病に冒され余命わずかなアリシア。大好きな日本のアニメ「魔法少女ユキコ」のコスチュームで踊りたい。そんな娘の願いを叶えようとするルイスだったが、金銭の余裕は無く…
やむなく高級宝飾店への強盗を思い付くルイスだったが、そこでバルバラという女性と出会い、運命は思わぬ方向へ動き出す。

「マジカル・ガール」というタイトル。日本のアニメに憧れる余命わずかな少女。
そんな娘のために全てを捧げようとする父親。

そこまで聞くとなんともハートウォーミングなストーリーをイメージしてしまうんだけど。実際はそうではなく。
そういったスタートの設定はさておき、どんどん泥沼の様相を呈していく物語。

先の読めない展開であり、と同時に決定的な部分を見せない。お話をつないで見せない。
観客の想像力も試される作品。

ですが、申し訳ないことに、眠気が勝ってしまったのです。
落ちることはなかったけど、ところどころセリフ・映像が追いつけず。
全体のトーンも抑え気味。進行も溜めが効いてる感じで。それに乗っていけず、ウトウトしてしまったです。

ちなみにいびきかいて寝てる客もおったけどね。
やっぱ眠たくなったんやな。

誘惑。恐喝。黒いトカゲの部屋。ピースの足りないパズル。恐ろしい凶弾。

一応 追っては行ったけど、行間を読んだり 伏線をつなげていったりという、そこまでの集中力を維持できませんでした。
ほぼほぼ それがこの作品の楽しみ方であるはずなんだけど。

見た人の高い評価を目にしますが、わたくしには合いませんでした。
わたくし「薄氷の殺人」とかもダメだったからなぁ。
そもそも 合わないんだろうなぁ。

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コスチューム、日本円で約90万円!!
posted by 味噌のカツオ at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | マ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月06日

あやしい彼女

水田伸生
多部未華子、倍賞美津子、小林聡美、志賀廣太郎
頑固でおせっかい。周囲から煙たがられてばかりの73歳の瀬山カツばあちゃん。ふと目にした写真館に吸い寄せられたカツだったが、写真を撮り店を出ると、20歳のときの若々しい姿のカツになっていた。
そこで失われた青春を取り戻すことを決意。カツは初めて思い通りの人生を歩み始める!

2014年の韓国映画「怪しい彼女」の日本版リメイク。
オリジナル版は主人公が美人じゃなかったのでスルーしてたけど、評判が良いみたいなので見に行ったところ、メチャメチャ面白かった作品でありました。

そもそもリメイクというのは難しいもので。
オリジナルが“良かった”からリメイクするんでしょ。わざわざ 再構築するんだったらオリジナルよりショボかったら何をかいわんや。
でも元の方のハードルが高いわけだからね。

だから難しいんですよ。だから この日本版もさほど期待していなかったんですよ。
ところが、やられましたねぇ。面白かった。泣けた。素晴らしかった!

韓国版のインパクト大なヒロインに対抗するのは多部未華子ちゃん。
前述の通り美人ではなかった韓国版の主人公。それに対するのが多部ちゃんというのは・・・ごうかーく!!

北川景子や桐谷美玲ではこのイメージは背負えなかったでしょう。
多部ちゃんみたいな子による顔芸や表現力。だからこそ「中身は70の婆さんなんだな」と思わせてくれましたし。

この作品、歌も重要な要素なんだけど、多部ちゃんの歌はただ上手いだけでなく、聞く人に響くそれになってたからね。
キンコンカンコン〜!鐘いっぱ〜い!ごうかーく!ですよ!

大まかなストーリーラインはほぼ一緒。
家族の関係、人間関係、歌が伝える思い。そういった辺りはもちろん変わらないから。
ただ大きく違うのは暮らしの中にある歌という文化。

韓国版の作中で歌われた曲がどんなに良いものであっても 日本人のウチらはそういう意味での感傷には浸れないもの。
ですが コチラは日本版。我々も知っているメロディが上手に使用されていました。

“SASAYA Cafe”で歌われた「見上げてごらん夜の星を」。そして「真赤な太陽」も良かった。
中でも圧巻は「悲しくてやりきれない」の場面。あのキャラ、歌声、インサート映像。説明なしでそのまま号泣。
とんでもない名シーン誕生やったね。

あとショッピングモールで親子に語り掛けるシーンも。
何だかわかんないけどもらい泣きしたよ(笑)

歌だけではなくBGMの使い方も良かったです。
銭湯でのぼせて 介抱されて 名前を問われて どこから来たのか〜という流れに対し、曲を上手く合わせていってましたね。ホント良く作られてました。

人の感情を動かすのに、泣かすよりも笑わせる方が難しいなんてことも言いますが、経験上 水田監督はお手のモノなんでしょう。
ホントにサラリと面白シーン、設定を入れてきて。

多部ちゃんのコメディエンヌ性であり、要潤さんのとぼけっぷりであり、志賀廣太郎さんのやられっぷりであり。
思わず声を出して笑ってしまう。そんな場面のクオリティも高かったです。

言わずもがなですが、小林聡美さんの安定感も抜群で。
終盤の病院で母に感謝を伝えるシーンは沁みましたよ。

最後に、毒舌で頑固でおせっかいなトラブルメーカーな婆ちゃん役の倍賞美津子さん。
何が驚いたって、冒頭いきなり“アリキック”を見舞うなんて。
ここ、プロレスファン的に反応せずにはいられなかったです。

さすがにこんな荒唐無稽な物語を名作と呼ぶのは憚られるかもですが。
多くの観客の感情に訴えかける作品であるのは間違いないです。
おススメです!!

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♪たまごかけごはん〜
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2016年04月05日

リップヴァンウィンクルの花嫁

岩井俊二
黒木 華、綾野 剛、Cocco、原日出子
派遣教員の七海はSNS で知り合った鉄也と結婚。しかし、少ない式の出席者を補うため、なんでも屋の安室に代理出席を依頼する。
やがて鉄也の浮気が発覚。ところが七海が浮気をしたと義母に責められ、家を出ていくことに。行き場の無い七海に安室は奇妙なバイトを次々斡旋する。

そもそも“岩井俊二”なんて名前を聞くと「永遠の中二病の人?」とかつい思ってしまったり。
“リップヴァンウィンクル”なんてワードを使うことが鼻についたり。

そんな感じなんだけど、くやしいんだけど、映画はメチャメチャ良かった。
安易に“好き”と言いたくなんだけど、その作品の手のひらの上で コロッコロ転がされた感じ(苦笑)

180分の上映時間。超大作ってほどのスペクタクルな大冒険でもないのにこの長さ。
いやいや、1日24時間を生きてる普通の日常を切り取るなら、ある意味3時間では短いもんだわな。

どこにでも あり得る(東京であること前提だけど)物語なのかもだけど、実に冒頭の世界観と辿り着く場所は全然違うんですよ。
立場、環境、近くにいる人。最初は人前でしゃべるの苦手だった人が、ラストでは大きな声で手を振って見送るんですよ。全然違うんですよ。

本当の家族は おそらく離れたところに住んでいて。
それよりも“仕事”という名目で家族を名乗った人たちの方がなんか家族感を覚えてしまったりとか。

人生って常に動いてるとも言えるし、誰かに引きずられちゃってなのかもだけど。
いずれにせよ人生ってそういうことなんやね。

とまぁそんな風にほぼほぼ振り回される主人公の境遇を、我々観客も一緒になって、なすすべなく、それでいてちょっと面白く振り回されたみたい。
凄く悲しいこともあるんだけど、それも含めて成長していくということなのかな。

黒木華さんは・・・いいですね。
決して美形ではないかもだけど、薄幸な、ついつい助けたくなる顔なのかも。
「小さいおうち」などで見せた女中さん役なんかイメージ合うんだけど。その分 メイドコスもなんかたまらないね。
それはさておき、女優としてはますます魅力UPしてますよ。

そして途中から登場する、それでいて重要な役である Coccoさんが、これまた何とも言えない浮遊感。
観客として主人公・七海と同様に、いい意味で引っ張ってくれて、この人はどんな人なんだろうと思わせてくれて。
そして そのベールが少しづつ取れていくごとに…あぁ…と。

ウェディングドレス姿の二人が戯れる場面は独特な幸福感に包まれていました。
ウェディングドレスって やっぱり女性にとっては特別で、幸せの象徴でもあるんだろうね。
この段階で七海は2度目のドレス姿だったんだけど。何かを抱えたその姿と、解放されたうえでのドレス姿。これまた対照的だったですかね。

そしてもう一人 重要な登場人物が綾野剛演じる安室という男。このキャラクターが全く読めない。
そもそもどういう生業なのかも謎。七海を救ってくれるのかと思いきや“別れさせ屋”のくだりに思わず「?」。
はたまた七海を口説くのかと思いきや、最後まで手を出さずで。
こういう人って社会の全てを冷静に見て、感情の無い人なのかと思いきや、ましろとの別れに(嘘か真か)号泣。

ある意味での“不思議ちゃん”ですが(笑)、それらをトータルすると、それはそれで魅力的なキャラであったりする。
そんなつかみどころの無さを見事に表現してた綾野剛も素晴らしいっすね。

これは後で知ったことですが、タイトルにも引用されている「リップ・ヴァン・ウィンクル」という小説があるんですね。
その小説の設定・物語と照らし合わせると、この映画の根幹たる部分もより見えてきて。
うならされるわけなんですね。ふむふむ。

いや、元ネタを知らなかったとしても 十分に素晴らしい映画体験できますね。
良い作品でした。
posted by 味噌のカツオ at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ラ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月03日

人魚に会える日。

仲村颯悟
儀間果南、平良優大、木村海良、Cocco
ジュゴンに魅せられ不登校になってしまった結介。担任の良太とクラスメートのユメと裕人が結介の部屋へ行くと、そこには基地移設反対デモのプラカードなどであふれていた。
米軍基地の近くで生まれ育ち、それ当たり前のように感じていたユメだったが、彼女の心にも様々な思いが押し寄せる。

沖縄の基地問題をテーマにした作品。
13歳の頃から映像を作り始めた監督が14歳の頃に書いていた脚本を元に20歳になって製作。
主要スタッフは沖縄の大学生が務めている。

基地問題は基本的には地元・沖縄の問題。
もちろん全国ニュースで報道されますし日米関係と思えば、日本全国、我々の問題とも言えますが。

実際のところ沖縄の人たちはどのように考えているのか。
そういったところが感じられれば〜と思いつつの鑑賞。

ただ 正直言って、映像、脚本、演技など作品としてちょっとアラが多すぎて。
申し訳ないが そっちのが気になっちゃって、本筋まで意識がいかなかったよ。
さすがに もうちょっとなんとかならんかったんか・・・

たとえばソフトクリームのくだりとか、コントにもなり切っていないし。そもそもアレいるか?と。
そして取材として降り立った浜辺で「段取りしてないの?」とか。大人として、メディアとして、普通には考えられない事例を見せらえると、単純にイラーっとしてしまって(笑)
その直後に起こる“怪事件”がショッキングだったのでなおさらもったいない。

飛行機の音が苦手だとする前フリがありながら、バラバラバラ・・・
ヘリコプターの音で耳をふさぐ少女。「昔から飛行機の音が…」
そこは飛行機の音で良くないか?

こういうのイチャモンっていうのかな。
でも他にも室内のシーン、夜のシーンで真っ暗で顔も何も見えないとか。
「アイツ、お前の事好きだったんだ」えっ、いま言う事?とか。
「一緒に暮らさない」えっ、そうなん?とか。

キレイに撮れた写真を見せない、海を見せない。描かれた絵を見せない。
こういうのも感情移入させない要因の一つだったかも。

なれない素人演技が続く中で、中盤に登場する Coccoさんの存在感が大きすぎて。
あれも余計にアラが目立つ結果になっちゃったですね。

そういう気になるトコが多すぎで。
さすがに もうちょっとなんとかならんかったんか・・・


当初は 気にしていなかった基地問題。
でも実は飛行機の音を好まない自分自身の中にも、実は基地問題があったと。
そうしたとき、こんな私にもなにか出来ることが無いかと考え、考えついた答えが・・・
ということでいいのかな。

厳しいことも書きましたが、たとえば「基地反対」といった張り紙に「ホントにこんなことしてる人いたんだ」なんてつぶやいてしまう人もいるとか。
所々でドキッとさせられるセリフが入ってて。

地元の人であり、リアルに直面している人でないと語れないポイントもあったんだよね。
そういう要素は素晴らしかったです。

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かりゆしのセンセイがヤバすww
posted by 味噌のカツオ at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ナ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする