2016年11月03日

何者

三浦大輔
佐藤 健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生
就職活動の情報交換のため ひとつの部屋に集まった、5人の22歳。企業に入れば特別な「何者」かになれるのか、そして自分は「何者」になりたいのか。
そんな疑問を抱えながら就活を進めるが、やがて内定を決めた人物が出てくると、抑えられていた嫉妬や本音が露になっていく。

映画化された「桐島、部活やめるってよ」の原作でもある朝井リョウの直木賞受賞作を、演劇ユニット「ポツドール」を主宰する三浦大輔が映画化。
これまでにも映画を撮ったりもしているそうですが、言いようによっては“異業種監督”でもあるのかな。その演劇的要素が作品中であり、見せ方の演出として活かされています。

就職活動と直面する5人の若者たち。もうちょっとワクを広げると、大学院生である主人公の先輩。そして主人公が意識し続けるかつての演劇仲間の存在。
それらも含めての群像劇なのかな。

これがバブル期だったらね。若者たちが就活で駆け引きしながら 恋の駆け引きもワチャワチャあって。
佐藤健と有村架純のキスシーンでエンドロール…な展開だったのかもだけど。
今どきの就活はそんなわけにはいきませんな。

基本的には買い手市場。それに翻弄されつつエントリーシートを書き綴り、わずか1分間の自己紹介で全てを量られ。
ひたすら“内定”というゴールに向かっていくと。

また表面上は和気あいあいとやりながら、裏アカという名のもう一つの顔での探り合いも。
ホント、しんどい時代だよね。

さて 現在45歳のわたくし自身は、今作のような就活のリアルは実感できないし、ツイッターもやっていないので その点の表現も100%共感できるわけでもありません。
逆に 現在の若者、あるいは同様な就活を経験してきた人たちにはある種の共感は得るでしょうけど。

ただし作品の評価としては、ぶっちゃけ微妙だよね。
例え共感を得たとしても あまりに現実過ぎて、映画で見ても感動するには至らないだろうし。もしくは あまりに現実過ぎて、ただひたすら痛みを覚えるだけという方も。

というわけで、わたくしにとっても、なんとも言い難い物語でありました…と。
その反面。。。

非常に多くの方が、この作品にやられちゃってますね。
この場合の“やられ”は胸に響いた〜ではなく、胸をえぐられたという側で。

その就活の厳しさ以上に、人間描写であったり、いやらしいまでに描かれる心の内。
こんなやつおるおる。そんなことズケズケ言うたんなや。いや、これは10年前のオレ自身や。

しかもそれらって、基本 他者と語り合ったりする部分でもないし。なかなか客観的に見る機会がない要素だったり。
そんな痛いトコを映画を使って、他の登場人物の言葉を使って指摘されることの気恥ずかしさ。
やっぱそれなんでしょうね。

感性という表現がいいのかわからんけども。この作品を見ても ただ「つまらんかった」という人。「見ててキツかった」という人。大きく分かれると思うんだけど、結局は感性の問題だと思うわ。

主人公の拓人は他者を観察・分析するのは上手いと言われつつ。大事な時にコミュニケーションの瞬発力は決して長けている方ではないよね。
その分析も言っていいこととアカンことの線引きがあって。アカンことは裏アカに記して悦に入るという。
わかるわぁ〜(苦笑)

ただコイツの弱点って、きっと冷静に他者を見ながら、自分自身の行動をコレっぽっちも客観視できないトコなんだろうな。
だからソコを突かれてグサグサなっちゃって。
わかるわぁ〜(苦笑)

そうやって一人ひとり語っていくと尽きなくなっちゃうけど。どいつもこいつもイタいわ〜と言いたくなるような。
エンターテイメントとしての映画とはまた違った意味で、何かを残す作品でしたわ。

良作が連発されている今年の邦画界にあって。
必ずしも高評価とはならないまでも、映画ファンなら見ておくべき一本でしょう。

なんか、こわいね。

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烏丸、大学やめるってよ
posted by 味噌のカツオ at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ナ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする