2017年03月30日

マイマイ新子と千年の魔法

片渕須直
福田麻由子、水沢奈子、森迫永依、本上まなみ
昭和30年代の山口県の片田舎に住む 小学3年生の新子。おでこにマイマイと呼んでいるつむじを持つ彼女は、祖父から聞く千年前の町の姿や、そこで暮らしていた人々ついて空想することが好きだった。
そんな新子の学校に東京から貴伊子という生徒が転校してくる。

「この世界の片隅に」の片渕須直監督が2009年に製作したアニメ作品。
芥川賞作家・高樹のぶ子の自伝的小説が原作。

そもそも まったくピンとこなかった「マイマイ新子と千年の魔法」というタイトル。
主人公の新子は前髪の生え際のところに“つむじ”があって、一部がはね上がっておりまして。それを“マイマイ”と呼んでいたんだね。

確かに 子どもの頃、頭の変なところに つむじのある子って おったなぁ。
「メリーに首ったけ」のキャメロン・ディアズの髪の毛がはねてるのとは…違うんやね(笑)

そして彼女の暮らす地域に遺跡などが残っており、平安時代には周防の国と呼ばれ、いわゆる千年の歴史を彼女自身 思い描くのが好きだったことに由来するんですね。
でも、正直 多くの方が期待するような魔法感はないかな。ファンタジーじゃないからね。

基本線は 田舎で小学生の子どもたちが遊ぶ物語。なんか走り回って、用水でダムを作って。あとは よく笑って。

そんな子どもたちの現在進行形の遊びとともに、ここには千年前にも誰かがいたという空想に思いを馳せて。
それも子どもたちの特権であるよね。

ところが「また明日あそぼう」という約束が、突如浸食してくる“大人の都合”で叶わないものとなります。
何も見えず、何もわからないまま、それに立ち向かっていく姿。
そして子どものやり方でそれを越えていこうとします。

昭和に子供だった僕たちは「40歳、50歳って もっと大人だと思ってたけど、いざ自分がその歳になってみると…」なんて口にしてしまいますが。
この映画に出てくる大人って、やっぱり大人だよなと。そんな感じで見ていたんだけど。
あきらかに こっちが子どもの目線で映画の世界に入り込んでた証拠だろうね。

「この世界の〜」の片渕監督の過去作というスタンスで見たわけですが。作品の構造としては「この世界の〜」と近いですよね。
あの日の日本を、今では失われつつあるものを、とても美しく描いている印象。そして空想に遊ぶ主人公とそれを脅かす世界との対峙。

そりゃ戦争と 盛り場のヤクザじゃスケールは違うかもですが。
子どもにとってみれば あれはあれで未知な世界であり、結構な脅威だったことでしょうし。

片淵監督の表現スタイルとして、この作品があったからこそ「この世界の〜」へ進めたところはあるのかもしれませんね。コトリンゴさんの歌声も含めてね。

比較はせずとも、この作品単体で十分に楽しかったですし、グッと胸に響くところもありました。
でも、やっぱり現在40歳代以上で、昭和に子供だった世代じゃないと、感じられる部分も違ってきちゃうかもしれないかな。
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2017年03月27日

キングコング:髑髏島の巨神

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン
1973年。未知の生物の存在を確認しようと、軍人や元傭兵、戦場カメラマンからなる調査遠征隊が太平洋の孤島・髑髏島へ潜入。
ところが自然を破壊する彼らに対し、憤怒した島の“守護神”キングコングが襲いかかる。

『パシフィック・リム』や『GODZILLA ゴジラ』のレジェンダリー・ピクチャーズ製作。
既に今後の計画として『キングコング対ゴジラ』の企画もあるとのことで、その前哨戦的にも注目の作品で。

“怪獣映画”として とても楽しめるという話もあり、期待を持っての鑑賞。
何気に上映がスタートしてわかったのですが。みんな日本語しゃべっとる。
そうか、吹替え版だったのね。

プロレスファン的には真壁刀義選手も参加しているとのことで、それはそれとして鑑賞したのですが。
不思議なことに(?)『ルーム』のブリー・ラーソン演じるヒロインから感情が伝わってこない。
ずっと見ていたんだけど、結局最後まで セリフが棒読みで。

これ、見る側として なかなか感情移入しにくいなと。
最終的にエンドロールに登場した名前は 佐々木希ということで。。。

ちょっとは上手くなったと思った時期もありましたが、今作での声優としては…アレやったね。
それから主人公はGACKTさんが声をあててたそうで。それほど感情のアップダウンを求められるキャラクターではないものの、やっぱり違和感は拭えないかな。

帰ってきてから思い出したんだけど。『キングコング』って前にも(平成になってからも)あったなと。
調べてみたら2006年の正月に見ておりました。『キング・コング』を。
ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ出演で。3時間越えのヤツ。

その時の自分の感想を見なおしてみたんだけど。
今回も ほぼ同意見。

ようは リアリティの無い題材ではあるが、そこで行われていることに関してのリアリティに乏しいと。
なんならイントロダクション。海辺の砂浜で追いかけっこし始めて、いきなり崖のてっぺんに場面が変わったり。
コング大暴れのシーンでも 空中のヘリに対してそんな風にできるかとか。

そんな細かいトコロ気にして この映画見てる人はおらんのかもだけど。わたくし的には気になっちゃうんだな。

物音一つさせず、30メートルからの巨体が突然あらわれるとか。
『シン・ゴジラ』を経験しちゃうと〜と思ったら、2006年の時点でも同様なところに引っかかっていたわたくし。
こりゃもう好みの問題というか、性分なんだろうね。

あの時と同じ感想はもうひとつ。
それは、映像の迫力はすごかったよ〜というトコ。
明るい状況でのバトルシーンもあるので。その点は見応えありました。

でも なんか、わたくし的なワクワクポイントは刺激されなかったということで。

さてさて。もうひとつ一部で語られていることですが。
長〜いエンドロールの後に とある映像があるんだけど。

春休みのイチ娯楽として見にきている層は、そこまで見ずに、やっぱり さっさと帰っちゃうものだね。
映画ファンとして「なるほど」と関心はしましたが。もしかしたら、イチゲンさんはアレを見てもピンとこないかな?(苦笑)

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西野も梶原も出てこないよ
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2017年03月26日

わたしは、ダニエル・ブレイク

ケン・ローチ
デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ
大工として働く59歳のダニエルは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。しかも複雑な制度に翻弄され、国の援助を受けられない。
そんな中、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。しかし、厳しい現実が彼らを追いつめていく。

ケン・ローチ監督は 今作により、カンヌ国際映画祭で二度目の最高賞・パルムドールに輝きました。
そもそも既に引退を表明していたケン・ローチ監督が、そのような高評価を得る作品を作ったこと。なにより、引退を撤回してでも 今伝えなくてはならないテーマがあったということですが。

引退を撤回といえば、日本では長編作品は撮らないと言っておった宮崎駿監督も、ここにきて企画が進行しているなんて話も聞かれます。
引退するしないは 各々の決断。それ以上でも以下でもありませんが。わたくし的には 良い映画が見られればそれはそれで嬉しいことだったりするんだけどね。

大前提として この映画、イギリスが舞台となっていて。
そこでの制度や人のライフスタイルは、日本と重ね合わせるには いくらかの違いもあるので。

100%同じ目線で“痛みを”理解することはできないかもですが。
そのうえで…終始 座りの悪いというべきか、苦々しい状況というのは“痛いほど”伝わってきました。

特に、フードバンクでシングルマザーのケイティが、突然 缶詰を開けた場面。
一瞬「えっ、どうした?」と思ったのですが、ただ ホントに限界であったがための衝動であったのかと。
そして周りのみんなが「何も悪いことではない」と見守ってくれる温かさ。

そんな ささやかながら、誰かを思いやる姿勢に 胸が押しつぶされそうな思いでした。

この映画を見ていて、あまりにもマニュアルチックで、融通の利かない、こころの通わない 役所の対応には憤りを覚えるばかりですが。
現実のイギリスでも実際にこんな感じで、なんならもっと“非道”とも言えるケースも存在するとかで。

そういった現状への異議と そこで生きていかんとする人の心。
「尊厳を失ったら終わりだ」という言葉の重み。「わたしは、ダニエル・ブレイクだ」と記される あの場面、あの訴え。込み上げてくるものがありました。

それこそがケン・ローチが復帰を決め、訴えなければならなかったメッセージであり。
それを真摯に映像化してみせる監督の手腕もまた素晴らしいものであります。

やっとのことでダニエルが辿り着いた「申し立て申請」の手続き。
「これなら大丈夫だ」と弁護士さんと思しき方が受け止めてくれたのですが。

始めは気付かなかったけど、その弁護士さん、車いすやったんですね。
ダニエルのような社会的弱者を守ろうとするのがハンディのある方だということ。

思い起こせば、序盤にケイティの家の近くにいた犬も 後ろ足が片方無かったような。

そういった何気ないところにも、複雑な思いを感じずにはいられませんでした。

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だれもが、ダニエル・ブレイク
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2017年03月17日

チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話

河合勇人
広瀬すず 、中条あやみ、山崎紘菜、天海祐希
県立福井中央高校に入学したひかりは、中学からの同級生の孝介を応援したいためだけにチアダンス部へ入部する。
しかし顧問の早乙女が掲げるのは全米大会制覇というもので。早々に退部者が出る中、チームメイトの同級生・彩乃の存在もあり、チアダンスに打ち込むひかり。全米大会制覇を目指し、チアダンス部の挑戦がはじまった。

わりと評判良いみたいで。
タイトルからして起承転結は予想はできるわね。んで実際にそんな展開だったし。
広瀬すずの明るい女子高生姿を見てて、昨年の「ちはやふる」を連想せずにはいられない。

そんな感じで見始めたのが、これホントになんかイイじゃない?
それどころか所々でウルウルきちゃって。
なんだかやられちゃいましたわ。

今の時代にガッツリとしたスポ根路線というのは、なかなかうまくいかないかな。
それよりも これぐらいのスタンスの方が現実的で。共感を得られるのかも。

早々に語られるチアダンスとはどんな競技か。そして ここにいる部員がどんなキャラなのか。
この辺りの導入部が上手くて。観客はまんまと見知らぬ競技の部員に同化させられたような。そんな感じで。

それからコメディ要素の部分が また上手やったなと。
あの先生また同じこと言ってるな〜という見せ方だったり。県大会の2年越しの天丼だったり。
あと ネタのフリがあって、オチた後を引っ張らず、スッと次のシーンに進めてしまう潔さ。こういうのが気持ちよかったですわ。

広瀬すずって、それらのコメディパートも意外とイケるんだよね。“おたま”を持ってフニャフニャ踊るトコなんかたまらなかったし(笑)
もちろん天海祐希さんも 普段からハキハキとしたコメント力あるの見てますからね。

その天海さんが演じた先生役。あらすじ的にはスパルタ鬼教師と書いてあるんだけど、そういう風には感じられなかったよね。
でも この作風に於いては、これぐらいのスタンスで正解だと思ったな。変にステレオタイプの堅物先生過ぎたら、ちょっと浮いてただろうね。

それ以外のキャストも個性光ってましたね。
そこにいるだけでニッコリしちゃう 富田望生演じるぽっちゃりの子とか。

今まで一人で踊ってて 笑顔を作れなかった子なんかは多くの共感を得られるんじゃないかな。
んで その子を演じた山崎紘菜にはなんだか視線を奪われまして。今後オファーが増えそうな予感。

物語としては、彼女たちが順調にステップアップを果たし、全米大会にまで上り詰めるわけですが。
ここで 最強に厳しい判断が待ち受けていて。

わたくし自身 似たような経験もしてきているので、すごくよくわかるんですよ。あの先生の決断が。
ここまで頑張ってきた彼女たちにもショックだったり、先生にとっても大変なことなんだよね。

でも そこで「端っこでもセンターのつもりで!」という言葉が生きてきたり。
「あの子、笑顔だけは…いや、笑顔だけじゃない」というヤツがいたりするんだよね。
あの辺りは超共感せずにはいられなかったし。だからこそ泣けてきてたまらんかったですわ。

そんな苦境を経て…知ってるから書いちゃっていいでしょう。彼女たちは優勝の栄冠を勝ち取ります。
その歓喜の場面でもウルっときたのだが。

よくよく思えば、近頃のこういう系統の映画って「優勝まではできなかったけど、何じゃ大切なものはつかんだ」的な着地点が多いような印象があって。
リアルでは優勝を手にできない人の方が圧倒的に多いですから。そんな結末の方がシンパシー感じる人は多いのかもですね。単純に。

でもね。映画として見るうえでは「ヤッター!1位だー!」という場面を見るのも、素直に気持ち良かったですわ。
というわけで。結構広い年代の人が見ても案外共感を得られそうな。そんな気がします。

最後に、中条あやみ演じた彩乃が ああいうことになって。素直に喜べるのかなという疑問もあったけど。
いやいや、だからこそCAという夢を叶えたよ〜というエピローグで救われました。
最後の最後まで上手い映画やなぁ(笑)

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明るく、素直に、美しく!!
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2017年03月16日

哭声 コクソン

ナ・ホンジン
クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村 隼、チョン・ウヒ
平和な田舎の村に ひとりのよそ者が現れる。それ以降、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発。殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹でただれた肌という共通点があった。
事件を担当する村の警官ジョングは、自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。

『チェイサー』『哀しき獣』などのナ・ホンジン監督の新作。
過去作もサスペンスフルで ドキドキしっぱなしで どんでん返しも楽しめる。そんな作風ではありますが。
この映画も同様に。展開、映像、ヘヴィーで見応え大ありでした。

でも怖くて エゲつないシーンもあるので万人におススメはできませんが。

韓国映画ではありますが、そんな中で ただ一人。日本から國村隼さんが出演。
言うてもチョイ役ではなく、主要な存在で なおかつ怖い。ぶっちゃけチョー怖い。

國村さんが韓国に行っても 誰も目を合わさないでしょと。道開けるでしょというレベルの怖さ(苦笑)
いろんな意味で体当たりの熱演で、役者として素晴らしかったです。

山間に近い小さな村で不可思議な殺人事件が頻発。被害者は惨い殺され方をされ、容疑者は被害者の家族であるという。
その事件の真相は、毒キノコで精神を蝕まれてのことなのか。何かがとり憑いたのか。それとも どこからともなくやって来た、怪しげな日本人の仕業なのか。

主人公の警察官であり 一人娘の父親でもある男が また極度の怖がりでね。
そんな事件現場に足を踏み入れるのにイチイチ ビビったり、声をあげて腰を抜かしたり。
その様が面白くて、その辺りは結構笑えるんだけど。

男の(おそらく小学生の)娘に変化がおとずれた辺りから、それまでの笑える雰囲気から サスペンス、ホラー、そしてオカルトからゾンビへと。
それぐらいの展開が広がっていきます。

さらには娘を救うべく祈祷師が登場。この祈祷師さんも、間違いなく見どころのひとつで。
その悪霊払いの映像から とんでもないバトルの様相を呈していき、さらに混沌は増していくことに。

冒頭に聖書の一説が示されることから、そういったものがモチーフになっているのはなんとなくわかりますが。
ぶっちゃけ その深遠なテーマ性までは理解するのは難しいですわね。

でも その映像描写だけでも見入ってしまうデキなのは間違いない。
しかも156分という長尺で。終盤は三重構造でのダメ押しがきますが、見入ってしまいました。

國村さんの存在感が素晴らしいとは書きましたが、もう一人 スゴかったのが主人公の娘さん。
普通の子ども、狂気の絶叫、そして…

よくもまぁあそこまで演じられるなと。
芦田愛菜でもあれは厳しいんじゃないかってほどに映画を盛り上げるパーソンになっています。
この子も必見です。

ちなみに國村は音読みで“コクソン”だという説を見てちょっと笑えたよ。
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2017年03月15日

The NET 網に囚われた男

キム・ギドク
リュ・スンボム、イ・ウォングン、キム・ヨンミン、チェ・グィファ
北朝鮮の漁師チョルが漁に出たところ、エンジンに網が絡みボートが停止。そのまま韓国側に流され、スパイ容疑で韓国の警察に拘束されてしまう。
一途に妻子の元に戻ることを望むチョルだったが、厳しい取り調べと亡命の強要を受けるのだった。

キム・ギドク監督は、これまでにも南北問題をテーマにした作品に携わってきておりまして。
別に日本人にはそんなものは関係ないと。そんな見方もあるかもしれません。

でもキム・ギドクが映し出す、メディアには映らない部分での ひとつの真実の姿。そういうものを見ておくのも意義があると思います。
また単純に映画として、エンターテイメントとして 見応えがあるからね。

北朝鮮で妻と小さな娘と つつましやかに暮らしていた男チョル。彼のボートがエンジン故障で境界を越え、韓国側へ流れついてしまいます。
そのまま男は警察が預かる身となるのですが。

フィクションであるとはいえ、北の川で魚を取って暮らす男の暮らしぶりと、韓国の暮らし向きの差というのがね。
ほんの川ひとつ越えただけで、これほどまでに文化の違いが現れるものなのかと。舞台が別世界になってしまうという。その点に あらためて驚かされました。

やがて ひと通りの取り調べを受けるわけですが。今後 彼をどう扱うべきか、警察内でも意識の差が明らかになっていきます。

以前 日本でも度を越えた一方的な取り調べが問題になりましたが。この映画ではチョルはスパイだと決めつけ、あまりにもヒドい取り調べを行い、自身のシナリオに沿った調書を作ろうとする刑事が出てきます。
またチョルが北で学んできた“技術”が災いし、自らを追い込んでいくなんて皮肉な場面も。

かと思えば 韓国の野村周平的な若いイケメンくんは「甘すぎないか?」と言いたくなるほどに、彼に寄り添います。

しかし彼らの上司は 貧しい北から一人でも多くの人を救いたいと、亡命させることを望みます。

彼を北からのスパイとして裁くのか。亡命者として受けいれるのか。本人の希望に沿って、北で待つ家族の元へ帰すべきか。
まさに韓国 国内にある北へのスタンスって、実際にこういうものなのかと。
国民によっても意識の温度差はあるんでしょうね。

こうして それぞれの思惑に翻弄されるチョルがソウル見物を“させられる”のですが。
彼がそこで見たものについて、吐き捨てるように訴える場面にドキッとさせられました。

こんな自由が、贅沢が、無駄使いをすることが幸福なのかというような。そんな疑問を投げかけるんですが。
そんな問題提起をしてみせるのがキム・ギドクの主張であり、真骨頂という感じがします。

この物語。果たしてチョルがどうなっていくのかと。
結果 ひとつの着地点は提示されるんだけど。

その後に ダメ押しのようなドラマが待っています。
それもまた見る側に大きくのしかかってくるんだよなぁ。

網に翻弄されたひとりの漁師。
その数奇な運命を通して、本当の幸福ってなんだろうかと。
そんなことを突き付けられる物語でした。

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ピカチュもクレしんも心配してたよ
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2017年03月14日

お嬢さん

パク・チャヌク
キム・テリ、キム・ミニ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン
1930年代日本統治下の韓国。美しい富豪令嬢・秀子のもとへ、メイドとして孤児の少女・スッキがやってくる。
実は“伯爵”と呼ばれる詐欺師が、秀子の財産を奪うために、協力者として送り込んだのがスッキだったのだ。

「このミステリーがすごい!」で1位にもなった英国の小説家サラ・ウォーターズの「荊の城」が原作。
そして監督は「オールド・ボーイ」「復讐者に憐れみを」「親切なクムジャさん」などのパク・チャヌク。

第69回カンヌ国際映画祭に出品されたということで。
69な場面もあるので、説得力が増しますね。

そんなこんなでエロティックなシーンもチョイチョイあって、韓国では“成人映画指定”も受けたとか。
それでも大ヒットしたという事は、作品のデキが良いのか、みんな そんな映画を見たいのか…知らんけど。

逆に、エロいのは苦手だという声も目にしますが。
わたくし的には それらのシーンもいい感じで見られましたよ。
同様の絡みのあった「ホワイトリリー」とは比べ物にならないぐらい、コチラは良かったです。

もう一点気になるポイントとして、日本語のセリフがあります。
1930年代の日本統治下の韓国という設定。役名にも日本人名も出てきます。

それもあって韓国人の役者が日本語でしゃべる部分がとても多くて。
やぁ中にはとても流暢なそれもあれば、(ちょっと古めの単語も含めて)聞き取りにくい、理解するのにちょっと間がいるところもあります。

でも、そもそも この物語の世界観が、どこか でたらめチックだったり、必ずしもシリアスなものでもないですから。
その前提であれば、決して集中力を削がれる感じでもなかったし。なんなら雰囲気にマッチしてたようにも思いましたがね。

作中に「第一部」「第二部」「第三部」と表示されて、その都度 趣を変えた見せ方をしてきます。
それによって、驚かされる部分もあって。映画のエンタメ性も保たれていました。その点での面白さはあります。

ただし、前述のカタコトの日本語。エロティックシーン。そして時にバカバカしくなるぐらいの変態描写を受け入れられれば、楽しめるかと。
そういう意味での万人受けは難しいかもね。

主人公の一人、スッキを演じたキム・テリは 今作がほぼデビューみたいな作品だそうで。
それでいて ここまでの演技を〜というのは大したものです。

もっと そういうキレイな体を拝みたかったなと。
正直な感想でございます。

あぁもうイッチョ忘れてた。
終盤に超痛い描写もあるんだよねぇ…
やっぱ万人受けは難しいか!?

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侍女は“じじょ”と読むんだよ
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2017年03月10日

LIVE FOR TODAY 天龍源一郎

川野浩司
天龍源一郎、嶋田紋奈
長きにわたりプロレス界を牽引してきた天龍源一郎の、引退発表から最後の試合までの日々を収めたドキュメンタリー。プロレスファンでもある俳優の染谷将太がナレーションを担当する。

13歳で角界に入り、26歳でプロレスに転向。以来40年近くプロレスラーとして活躍してきた天龍源一郎。
2015年2月の引退発表から、11月15日に両国国技館で行われた引退試合までを追ったドキュメンタリー。

わたくし自身 30年来のプロレスファンで、天龍にはたいへん影響も受けましたし。
オカダ・カズチカとの引退試合は当日ライブビューイングで観戦いたしました。

天龍プロジェクトの代表を務める愛娘・嶋田紋奈と大将・天龍との二人三脚の引退ロード。その流れについては、毎週購入している週刊プロレスで一応押さえておりまして。
ただし、控室の模様なんかは窺い知ることできませんから。それらの映像は興味深かったですわ。

プロレスファンとして、ノアの広島大会にて。かつての天龍同盟時代の仲間でもある小川良成、川田利明。そして小橋建太にスタン・ハンセンらと顔を合わせる場面はグッときましたね。

ウォーミングアップで四股を踏み、鉄柱に鉄砲を打つ姿。度々映されるシューズの紐を通すシーン。
そうしながら 周囲と優しく会話をしつつ、どこか漂う緊張感が やっぱりたまらないものがありました。

一度だけ入場ガウンを忘れるということはあったけど、総じてアクシデントもなく。
常に満身創痍ではあるが、試合ができないほどのケガに見舞われることもなく。

映画の中のドラマ性には正直乏しい気もするけれど。
40年間に渡ってリングでの闘いを積み重ねた65歳の男ですから。もはや無事であることが もはやドラマであるかも。

そうして迎えた引退試合の当日。「サンダーストーム」のテーマが鳴り、いざ…という映像に目頭が熱くなりました。
それだけの重みがありました。

後に年間ベストマッチに選ばれた 対オカダ戦。
こうした経過と共に 天龍サイドの目線で見ると、やっぱりそれだけの味わい深さを再認識。
プロレスファンでよかったなと。そんな思いも込み上げてきましたです。

というところですが。
プロレスファン以外にも このアツさ、届きますかね。
それでなくても、天龍さんのコメント、聞き取りにくいし(苦笑)
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2017年03月09日

ブラインド・マッサージ

ロウ・イエ
ホアン・シュエン、チン・ハオ、グオ・シャオドン、メイ・ティン
幼少期に事故で視力を失ったシャオマー。「いつか回復する」と言われていたが、それが叶わないと悟り マッサージ師の道を目指す。
そんなシャオマーが務めるのは、多くの盲人が働くマッサージ店。その院長シャーを頼って、同級生のワンが恋人のコンと駆け落ち同然で転がり込んでくる。

中国・フランス制作による2014年の作品。様々な映画祭でも高く評価を受けております。
ちなみに原作小説があるとかで。中国でベストセラーになったとか。

この設定、世界観を 小説で表現するのは またたいへんだとは思いますが。
一方、映画は映像あってのものなので、盲人の世界を表すのは不可能なんだけど。
この映画版は ある意味の成功なんじゃないでしょうか。

幼い頃に事故で視力を失い。「いつかよくなるさ」と言われ続けて青年となったシャオマー。
しかし実際に治ることは無いと自暴自棄になり、自分を傷つけてしまいます。

一命をとりとめた彼は、勉強をしてマッサージ師となり、舞台である治療院で働き始めます。
そんな導入部だけど、このシャオマーが主人公というわけでもなく。
この院で働く(大半が)盲人たちの群像劇の面もあります。

とても小さなコミュニティでの日常を描いたものでもあり、実際に盲人の方が出演されていたりもして。
時にありがちで、時に生々しい行動や感情を見せつけられ、ドキュメンタリーかと思わされるほど 映像に引き込まれます。

盲人の立場からすると 健常者は見えている分だけ ワンランク上の別の生き物のようだ…みたいなことが語られていたんだけど。

わたくし的には、ある部分では健常者より優れた感性や感覚を持っているように思うし。
見えないままに 日常生活を送っているという、それだけでもスゴイなというトコロもあるんだけどね。
どちらが上とか下とかはわからんが。

以下は わたくしなりの見え方で。同様の意見はどこにもなかったんだけど。

自身が思いを寄せるマンさんの客にボコられたショックで、シャオマーは見えるようになってしまったのかなと。
現実にはありえないことかもだけど、ぼんやりとなのか 意識の中でなのか。見えるようになったのか、“見え方”が変わったのかと。

あの事件の後、彼の行動が“不自然”に感じられて。まるで見えていないふりをしているかのようで。
それに わざわざドゥ・ホンに「君は美人だよ」と語り掛けたり。マンさんと駆け落ちしてしまったり。

であれば、冒頭の「いつか回復するだろう」という部分にも回帰していくハナシだし。
真相はわからないけど、違うかもだけど。

わたくしには そう見えま…いや、感じられました。

見るのに 独特な感性を求められるような。独特の疲れも覚える作品でしたが。
でも すごく見応えのありました。良い作品でした。

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マッサージ夫妻
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2017年03月08日

愚行録

石川 慶
妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜
迷宮入りとなっている一年前に起きた一家惨殺事件。週刊誌記者の田中は その真相に迫るべく、様々な関係者の証言を追い始める。やがて被害者夫妻の意外な素顔が明かされていく。
そんな田中自身も、妹の光子が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた。

ポーランド国立映画大学で演出を学び、数多くの短編を手掛けてきた石川慶監督の長編デビュー作。
貫井徳郎の直木賞候補作が原作で。なぜか製作はオフィス北野という。。。

愚行とは辞書によれば まさに読んで字のごとく「愚かな行い」の意味。

さて、見終わった率直の感想は、残念ながら感じるものが薄かったなと。
いろいろ思うところある方もおられましょうが、わたくしとは合わなかった。

週刊誌記者である主人公が ある未解決事件について、取材として関係者に話を聞いてまわります。
どこか多面的な再現フィルムで 真相に向かっていく感じは「桐島、部活やめるってよ」思い出しちゃったですが。

それとは大きく構成は違うんだけど。
様々な時系列での、男側からのストーリーと女側からのストーリー。さらに回想と現在の進行。

キャラクターの特徴やビジュアルの変化。
いろんな要素を整理しながら見なきゃ全体像が理解しにくいので、そこはちょっとたいへん。

それはいいとして。
タイトルでもある“愚行”という意味合いに少々共感できず。
確かに登場人物それぞれクセがあるんだけど、愚行というほどに蔑む思いも湧かなくて。
人なんて誰でも裏表があって。クソではあるけれど、反面 よくあることではないかと。

なんなら冒頭、車内で席を譲った後の田中の行動なんてのも、ただの愚行というより ちょっと共感とか入っちゃったし(苦笑)

それぞれの愚行の果て、事件の真相まで辿り着いたけれど、やはりカタルシスも不快感も薄かったな。わたくし的には。

それよりも、各々の役者陣には思うところありで。
妻夫木くんの役の完成度はいつも素晴らしいですね。満島さんももちろんですが、満島さんは同時に「千秋さんっぽい」ってのが気になりました。どうでもいいけど。

小出恵介は 好きな役者なんで気になったし、同僚役・眞島秀和の怪しさと危うさも印象的。
ナチュラルに他者を傷つけられるお嬢様キャラを演じた松本若菜もらしさ満点で。
臼田あさ美の現在のカフェ店員姿と学生時代の姿が直結せずに こちらは戸惑い。市川由衣さんの美しさには見とれちゃいました。

それら個々の存在は気になったけど、作品全体として響くものは乏しかったですわ。
まぁ合わなかったんだからしょうがないよね。

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“3度の衝撃”ってどの部分?
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2017年03月07日

彼らが本気で編むときは、

荻上直子
生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ
母親が家を出て置き去りにされた11歳のトモが、おじのマキオの家を訪ねると、彼は恋人リンコと生活していた。元男性で、女性への性別適合手術を受けたトランスジェンダーのリンコに最初は戸惑うトモ。
しかし3人で過ごす特別な日々は、トモにとっても特別な時間となっていく。

『かもめ食堂』『めがね』などの荻上直子監督。前作『レンタネコ』から5年ぶりとなるオリジナル脚本作品。
どうしても その作風として、どこか寓話的な雰囲気の作品の多い荻上監督ですが、今回は いたって普通の作品と言えるんじゃないでしょうか。

前評判も良いみたいで、わたくしが見た回も満席。一部では涙をすする観客もおられましたが。
正直、わたくし的にはヒットしなかったですね。

母に家出されてしまった11歳のトモ。おじのマキオの家で世話になるのですが、そこには元男性で、今は女性の体を持つ(工事済)トランスジェンダーのリンコが。
そんな優しい二人の暮らしに すんなり溶け込んだトモ。そして三人の共同生活が始まります。

監督曰く「LGBTの人権を!」と必要以上に声高に叫ぶ意図の作品ではないと申しております。
確かに 変な美談としてのゴリ押し感はありませんで。

実際 トランスジェンダーの問題だけでなく、育児放棄の要素もありますし。
現代社会に於いて 見聞きする機会の増えた問題も描かれています。

ただし、軸となるのは女性的な面なんよね。
母と娘の関係が大きいようで、男性・父性の部分はなんとなく薄めかな。
だって チンコなんてポイポイ投げられる扱い方だしね(笑)

リンコの母は絶対的に彼女を守らんとするスタンス。
ただし その思いが強すぎるがあまり、少々他者を傷つけることもいとわずで。
なんとなく、見ててイヤな思いしちゃったな。

小池栄子演じる 母親も、最終的に息子に理解を示す描写はなかったし。

トモと母親の関係も、わたくし的には全面解決したように見えなかったし。

様々な関係性の中で それぞれが抱え込むものは提示されつつも、カタルシスを覚える部分がなかったので、男性である自分的には涙とか感動とか。そこまでの境地には至らずで。
今後も不安定さは保ったまま。と同時に、あんなラストではあるけれど、また いつでも会えるトコに住んでるんじゃないの?と。
そういう重みにも乏しかったかなぁ。

それ以外の気になった点として、序盤のお弁当で腹痛のくだりも、そんな数時間で傷まないでしょと思ったり。
リンコが入院する経緯も突然だったり、一晩ぐらいと思ったり。

なんか「おや?」という印象が所々あったのも気になりました。

さてリンコを演じた生田斗真は“女性らしさ”を見事に体現。そして編み物の手さばきも素晴らしかったです。
そこのところはタイトルにもなってるぐらいだから最重要ではあろうけど。

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ヒャクハチンコ
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2017年03月06日

WE ARE X

スティーヴン・キジャック
日本が世界に誇るロックバンド、X JAPAN の軌跡に迫る音楽ドキュメンタリー。

2014年。アメリカのマディソン・スクエア・ガーデンでのライブを行う日本のロックバンド、X JAPAN。
結成から30年余りの歴史の中で、世界への挑戦、メンバーの脱退やバンドの解散、HIDEとTAIJIの死など、多くの悲劇が降り掛かった。

そんな彼らのヒストリーを ドキュメンタリー監督のスティーヴン・キジャックが映画化。ちなみに製作国はイギリスとなってます。
そして今作は2016年の米国・サンダンス映画祭で最優秀編集賞を受賞。その他 世界各国で多くの注目と高評価を得て、この度 日本公開と。
逆輸入された作品とも言えますかね。

わたくし自身は そんなにXにはまったとか、追いかけてきたファンというわけではなく。
ただし その唯一無二の存在感。音楽性の高さは重々承知しております。

映画の基本線は、バンドのリーダーでもあるYOSHIKIを追った形で。
細い体で、満身創痍でドラムを叩き続けるその姿。医師からは「そんなにパワーに頼らずとも、音楽はできる」と諭され、YOSHIKIも「はい」と答えますが。
もちろんみんなわかってます。無理しなくても音楽はできるけど、X JAPAN の表現はこうじゃないとできないんよね。

そんなYOSHIKIの生い立ち。父親との関係は これまた驚きを隠せませんでしたが。
それらを経験して、今のYOSHIKIに辿り着いているのはよくわかりました。

80年代、90年代の音楽ファンにとっては懐かしい映像も織り交ぜつつ。
それまで圧倒的なパワーを誇っていた運動体が、97年に解散…というところがひとつの大きなターニングポイントで。

映画の中でも露骨に進言されたToshiの洗脳騒動。なんなら「アタマがおかしくなっていた時期」という表現も。
いきさつとしては、ボーカリストとして揺らいだ心の隙間に入り込まれたってことみたい。なんか、合点が言ったわ。
そんな洗脳状態から バンドとしては機能しなくなり、そして解散発表。その状況下で行われた“けじめ”のラストライブについても、生々しく語られます。

そして その直後にはメンバーだったHIDEの死が追い打ちをかけます。
X JAPAN の後、ソロとしての活動は、結果短いものであったけど、バンド時代に彼がどんな存在であったか。そして彼が放つカリスマ性は、今 当時の映像を見ても引き付けられます。

そして終盤。10年の時を経て、YOSHIKIとToshiの邂逅というエピソード。
幼なじみの彼らには言葉はいらなかったのかな。そして「Without you」という曲が、結局ミュージシャンは作品がその関係性の全てなんだとわかるものでした。

X JAPAN の再結成。普通に幼なじみ然として、TAIJI の墓参りをするYOSHIKIとToshiの姿。
そして「あれがHIDE と一緒に演った最後なんだよね」というPATAの言葉も。
終盤は さすがに込み上げるものがありましたよ。

殺気、家族、血、命…
いろんなキーワードの散りばめられた X JAPAN の歴史。
ちょっと苦言を呈するなら。90分という上映時間は短いよね。

各エピソード、もっと掘り下げられる要素ありまくりだからね。
そりゃもう、下手なドラマを上回るほどに、しっかりとした見応えのあるドキュメンタリーであったのは確かです。

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再結成してくれない?
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2017年03月05日

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

ジャン=マルク・ヴァレ
ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ、クリス・クーパー
突然の交通事故で妻を亡くしたエリート銀行員のディヴィス。しかし涙も流れず、哀しみにさえ無感覚になっている自分に気付く。
「心の修理も車の修理も、まず隅々まで点検して組み立て直すんだ」という義父の言葉をきっかけに、彼は身の回りのあらゆるものを破壊し始める。

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」という邦題に対し、原題は「Demolition」。意味としては 破壊や爆破というもの。
ずいぶんと印象が違っておりますが、いや ラストまで見れば どちらも納得のタイトルかも。

非常に多くの方が反応していますが、導入部としては昨年公開された「永い言い訳」と同様で。妻が事故で死んでしまったが、全く泣けないことに気付いた男のオハナシ。
「永い言い訳」の方は 同じ境遇の男、そしてその子どもたちとの関わりで、主人公は何かを見い出していくわけですが。

こちらは…ちょっと複雑かな。
破壊行動、ある女性との出会い、そしてその女性の息子の存在。
女性といっても 亡き妻を忘れるために互いに求め合うというほど安易でもなく。

それ以外でも、やっぱ複雑かな。
ただし 主人公の複雑な行動や心情とは裏腹に、一つひとつの場面はとても魅力的で。
特に女性の息子と心を通い合わせるくだりは、無性に楽しかったんだけど。

さて この映画のラストまで関わってくるもう一つのポイントの破壊行動。

そもそもは 男の義父から言われたアドバイス「壊れたものは、一旦全て分解してみるしかない」に端を発し。
また 妻と最後に交わした「冷蔵庫の調子がおかしいから直して」なんて会話を思いだし、実際に冷蔵庫を解体していく男。

言うても分解こそすれど、再度の組み立てはすることなく。
なんなら他の家電やパソコンや、会社のトイレの扉まで 次々分解していきまして。
やがて 家の解体現場に出くわし、家を壊すことを手伝います。

なんて言うか、もしかしたら壊れた夫婦関係も、一旦解体することで元に戻ったのかな?
でもコイツ、分解しかしないし。

それにわたくしが思うに、ネジを外しての分解と、ハンマーでブッ叩く破壊って厳密に言えば全然違う行為なんだけど。
でも、でも、メリーゴーランドを再生することで過去に決着をつけ、建物の破壊で未来に駈け出すという。

そういう一対になってるのかもしれないね。

すごくいろんな出来事が絡み合い、決してわかりやすい作品ではないし。
それでいて 様々な場面や事象がとても輝いた映像になっていたりして。ユーモアにもあふれてて。

不思議な魅力を持った映画ではありますね。
でも、その良さを的確に説明できないんだなぁ(苦笑)

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「破壊無くして創造無し」です
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2017年03月04日

ホワイトリリー

中田秀夫
飛鳥 凛、山口香緒里、町井祥真
陶芸家志望のはるかは、著名な陶芸家・登紀子の元で見習いとして住み込んでいる。彼女は師匠の身の回りの世話だけではなく、特別な関係にあった。
しかし登紀子が有名陶芸家の息子悟を、新弟子として迎え入れたことで、3人の関係は暴走していく。

ロマンポルノリブート企画の1作。監督は「リング」などホラー作品でおなじみの中田秀夫。
そんな系統の監督がロマンポルノというテーマでどんな作品を撮るのか興味深かったのですが…

監督の経歴をチェックしたら「女教師日記 禁じられた性」なんて作品を撮ったこともあるらしく。
一応引き出しの中に そっちテイストも入ってるのかしらん?

女性陶芸家と縁あって知り合い、彼女の身の回りの世話をしながら陶芸を学ぶ女性。
身の回りとは、日常生活に加えて先生の性の処理についても…
というわけで、女性同士の絡みも描かれております。
百合系ってヤツやね。

まさにタイトルにもある“ホワイトリリー”とは白百合のことで。 花言葉では「純潔」「処女性」なんて意味合いも。
ただ 先生の方は両方イケるお方なんだけどね。

そんな二人の暮らしの中に、一人の若い男が入り込んだことで〜というものですが。

正直言って、意外性とか ひねりには乏しい展開で。
決して大きな“仕掛け”もないし、ほぼほぼ先生の自宅兼作業場で完結しており 絵的な変化もなくって。
プチ修羅場とかはあるけども、見ている側にまでドキドキが共有できるかっちゅうと、そこまでは至らずで。

結果、いくらか間延びした80分という印象だったね。

まぁ中田監督らしく どことなく怖い雰囲気も感じられつつは良いけども。
いっそ、女性と幽霊との 存在を超越した百合物語とかやっちゃえば良かったのに(苦笑)

お話の中心となる二人の女性。
先生となる登紀子役の山口香緒里は一見上品そうに見えるが、わたくし的にはタイプではなく。申しわけない。

もう一人の主人公はるか役の飛鳥凛はズバ抜けてキレイとは言わないけど。
こちらは いい具合な感じでね。これは見られて良かったなと。

でも見ていて 百合なシーンよりも、男×女の絡みの方がドキドキしたんですわね。
わたくしの真相にあるリアリティの感じ方の違いかしらね?
それが ささやかな発見でしたわ。

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ホワイトリカーは梅酒作るヤツね
posted by 味噌のカツオ at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする