2017年08月13日

ハローグッバイ

菊地健雄
萩原みのり、久保田紗友、渡辺真起子、もたいまさこ
クラスで「委員長」と呼ばれる優等生だが、両親との関係が薄く、その寂しさを紛らわせる為に万引きを繰り返している葵。元彼との間に子供が出来てしまったのではないかと一人悩んでいた はづき。
普段は合い入れないクラスメートの二人が 認知症のおばあさんと出会い、初恋の人にラブレターを渡したいという彼女に協力しようと決める。

今どきの女子高生って(高校生って)、たいへんだよね。
LINEなんてものがあるから、身近な友達との いろんな情報があからさまになってて。

噂話も真実ではないことも、たいがいのことが“筒抜け状態”で。
かと思えば LINE上とは別に、リアルでフォローしあうことも必要で。

その一方で、スクールカーストみたいのがあったり、全くかかわりを持たないクラスメートが“身近”に存在してたり。

そういうのを見せられて「不可思議な関係だね」だの「もっと声かければいいじゃん」だとか言うのは野暮なんでしょう。
それで互いの関係性がバランスとって成立しちゃってるし。それを崩すのはめんどくさいことなんだろうね。

この映画に登場する優等生の葵は、学校での“ポジション”とは別の顔があって。
近所の100円ショップで(生活苦ではなく)万引きを繰り返しています。それを知った はづきは「どうせ親に振り向いてもらいたいとか ちっぽけな理由でしょ」と言ってのけます。図星です。

これまで いくらでもあるドラマの中では、それは大きなテーマとして扱われる要素でもあったと思うんだけど。
今どきの女子高生からすると、そんなもんなんだね。

とにかく 立場も考え方も、おそらく生き方も違うであろう二人が、困ったおばあさんのために協力し合って目的達成に向け…という美談なのかと思ったら。
確かに それはそれで間違いないんだけど、おばあさんのエピソードはゴールではなかった。主体はホントに この二人の関係で。

ものスゴく 思いっきりぶつけ合って。それこそ安っぽくつながるわけでもなく。
そして結論を言っちゃうと、 そのエピソードを通過しつつ、また別の道を歩いていくというのがある意味で驚かされました。

もちろん二人が同じ出来事を共有したことで、二人でしか共有できない感情も芽生えたと思うんだけど、安易にそれで“親友”にはならないんだね。
なんだか2017年の青春のリアリティ感じたわ。

ただし、ただし、もしかしたら彼女らが歳を重ね、記憶がおぼろげにならんとするころになって、初めて“伝えておくべきだ”と思うのかもしれませんな。
感情は似ていても、彼女たちとおばあさんのこととは、状況とかはまるで違うけどね。

80分の作品。内容に起伏がありながらもコンパクトにまとめあげられてて。
現在と過去を描きつつも、テーマは不変なものだと思うし。
映画として 見やすく、かつ 見応えもありました。

主演の二人も若いのに素晴らしい表現力あるし。
もたいさんって どこか“謎”を秘めた要素を期待しがちなんだけど、ここでは純粋に認知症のおばあさん役で。メチャ説得力ありました。
そして木野花さん、渡辺真起子さんも少ない出番ながら、存在感が素晴らしかったし、渡辺シュンスケさんが担当した音楽も見事でした。

「早紀ちゃんは人見知りだけど…」と不意に語りだすおばあさん。
認知症だとか、やさしさだとか そういうの関係なく、自然とそういう“言葉”がこぼれるのが母親なんだよね。
いつまでたってもさ。
posted by 味噌のカツオ at 00:34| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする