2009年10月30日

沈まぬ太陽

若松節朗
渡辺 謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香
巨大企業・国民航空の労働組合委員長である恩地は、職場環境の改善に取り組む。その結果、恩地に言い渡されたのは海外赴任の辞令だった。
その後も幾多の国々での勤務を経て 本社へ戻った恩地だったが、彼への待遇が好転することは無かった。
そんな日々のなか、航空史上最大の事故が起こり恩地は遺族係を命ぜられる。


今から10年ほど前に刊行された山崎豊子の小説「沈まぬ太陽」の映画化。
"1巻400ページ超、全5巻"からなるその作品を 忠実に映画化。結果 3時間22分という上映時間となりました。
確かタイタニックもそれぐらいの尺だったけか?

ただし 1時間45分頃に10分間の休憩が入りますし、何より作品にすんなり入っていけたので、その長さは気になら無かったですね。
同じ料金で2本分の映画見られたぞ〜ぐらいなノリで(苦笑)

小説・映画、あくまでフィクションであり 登場する人物や団体は全て架空のものであり・・・
という注釈はついておりますが、もちろんベースになった大事故があり、企業や政界の思惑などにも リアルな"きな臭さ"が漂うものであります。

それもあって(フィクションと謳っていながら)、多くの方の心情に配慮が必要であり、映像化のハードルは高かったようですが、原作者・制作スタッフ・そして自ら名乗り出て主演を射止めた渡辺謙さんの熱い思いを持って完成に至ったと。
渡辺謙さんが舞台挨拶で号泣したのも、そういった事情によるものが大きかったそうです。


ストーリーは昭和30年代から60年代まで、激動の時代を描き出すのですが、その時代遍歴は 謙さんと西村雅彦さんのヘアスタイルに注目すれば追う事ができます。
松雪泰子に注目しちゃうと 全く老けないので時代感覚が揺らぎますが。

主人公の恩地という男が 労働組合委員長として、職員の就労態勢 並びに交通の安全を確保するべく 会社側と対立。
その結果の報復人事として10年以上も海外に赴任。
やっと本社勤務になったと思いきや、企業を揺るがす大事故が起こり・・・
早い話、自身の出世や金儲けを優先するような輩に翻弄され続けてきたと。

自分の信じる正義、同僚たちや家族との葛藤、様々な状況下にありながら、信念に基づき生き続けていきます。

確かに ひと筋に生きることは それはそれで美しいのですが、心が折れてサラリーマン人生から脱落したわたくしからすれば「なんで?」と思いたくなる場面もいくつか。
もっと自分の生き方を輝かすことのできる場があるんじゃないか?なんて思うし。。。
そういうことの し難い時代だったのかもしれないし、それを訴えかけるのが 恩地の宿命なのかもしれないし。

非常に不遇であったように見える恩地の人生。
しかし、利己的に動いてきた者たちも、結果的には失脚を余儀なくされたり、不正を摘発されたりなるわけなんですが・・・

そんな場面を目の当たりにしたところで 恩地の一生も、事故の犠牲者やご遺族の面々も、報われたように見えないのが辛いなぁ。
人生とは・・・幸福とは・・・


そんな大長編、キャストも多彩。山田辰夫さんが登場した時にはちょっと"ジュン"ときちゃったけど。
それ以外にもいろんな人が出ておられまして、エンドロール見ながら いちいち感心してました。

今やハリウッドスターでもある渡辺謙さんの渾身の一作。見応えあります。
企業や政界を巻き込んだ骨太な大作で、基本は男社会を描いていますが原作は女性・山崎豊子さんなんよね。

この10月に公開が決まっていた作品なんですが、偶然なのか何なのか。
それを目前にして JALの経営問題が話題になったり、JR西日本の列車事故のウラで 被害者感情を逆なでするようなやり取りが行なわれていたと発覚しています。

保身ありきの企業体質もどうかと思う一方、ストライキという手法をもって 労働環境や賃金アップを求める姿には、素直に感情移入できないのも事実。
「今でも十分食えてるヤツが、ブーたれて賃金アップとはいい気なもんだ」と。今はそんな時代でもあります。下には下がいるんですよ。

時代、企業、人の心は変わるのかな?

Shizuma-.jpg
沈太
posted by 味噌のカツオ at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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