2012年02月05日

ヒミズ

園 子温
染谷将太、二階堂ふみ、渡辺 哲、でんでん
“普通”の大人になることを願う15歳の住田佑一。愛する人と支え合いながら生きることを願う15歳の茶沢景子。
住田の実家である貸ボート屋の周囲には 震災で家を失くした大人たちが集い、住田に恋い焦がれる茶沢もそこへ訪れるようになっていった。
そんな時、多額の借金を作り蒸発していた住田の父が戻ってきた。それを境に、彼らの日常は思いもよらない方向に転がり始めていく。

今や‘園子温監督作品’というだけで様々な注目のされ方するようになりましたですね。
わたくしも端から期待してましたし(ハードル上げてたとも言えるか)、ヴェネチアで新人賞を受賞した二人の演技もそうですし。
そして製作中に起きた東日本の震災の影響で、それをストーリーに盛り込むよう、脚本を変更した点も。
そんな期待と不安、織り交ぜつつの鑑賞。

二階堂ふみちゃんは「指輪をはめたい」で見たときに、かわいいのか何なのか微妙な印象しかなかったんですよ。
でもでも、この作品の中では 素晴らしき才能を爆発させてましたね。
女優さんが美しく撮れているというのは、良い作品の証だと思ってますので。

そして染谷将太くんは「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の予告編しか見ていないんでアレなんですが・・・期待値をはるかに超える演技で応えてくれましたね。
二人ともまだ10代でありながら こんなイカレっぷりと、確固たる感情を表現できるのは驚きです。
いや、当然ながらそれを引き出す園監督の手腕にも秘訣があるのでしょうが。

住田が借金取りと対峙してボコボコにされるシーン。これ以上はないというほど泥にまみれるシーン。そして絵の具を顔、髪、舌に塗りたくるシーン。
あんなのを説得力をもって演じるなんて、たいしたタマですよ。

内容とは別に賛否 分かれていたのが震災の描写を盛り込んだ点について。
正直わたくしもどうかと思ってました。作家として あの情景をフィルムに残しておかなくてはという使命感や衝動はよくわかるんだけどね。

個人的には米国の9・11を盛り込んだ映画もあるにはありますね。そういうの若干の抵抗はあるんだけど。
同様に遅かれ早かれ 震災を取り上げた映画も、今後は作られていくんだと思います。
実際 それをやるのは今はまだ早いのかも。でも今だからこそ〜も一理あるかも…だし、園監督自身 製作のペースが早いですしねぇ。

また あるレビューのなかで、監督のこれまでの作品よりエグさ、エゲツなさが控えめと読みまして。
露骨に人が血を流す描写よりも、あの瓦礫が全てを語りかけてきてるような。そう受け取りました。
中には それすらも抵抗があるかもしれないけれど。。。

しかし今回のテーマに於いては‘人の業’的な部分だけでなく、不条理な要因により必ずしも平等では無いことを含むのはアリだったと思っています。そう思っていました。
でもあのラストシーンを見ていたら、たった一人の少年と共に もっともっと広い世界へ向けた「ガンバレ」でもあることが良くわかりました。

いやぁ学校の先生が叫ぶ「住田ガンバレ」とラストの「住田ガンバレ」。
まったく同じ言葉であっても、これほどまでに響き方が違ってくるものなのかと。だから より伝わるものがあったかな。
それから「彼が未来なんです」というセリフにグッときましたし、「お前は自分で苦しいほうへ行こうとしてる」というようなヤクザなオヤジの忠告にも考えさせられました。

わたくしはトータルで3度ほど涙目になっちまいましたが、やはり園監督の作品は好みが別れるでしょうし。
決して多くの人にはオススメはできませんが、こういったヒリヒリとした感情の生々しさは、映画というエンターテイメントだからこそだと思っていますので。
見て良かったですよ。

さて、これまでの園作品の出演者が総出演(?)してるのも ある意味嬉しい感じで。
で 近ごろでは優しい癒し系なお父さん役の多い光石研さんが暴力オヤジを演じてたのが意外やったです。イメージ変わるなぁ(苦笑)

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ヒミズのアッコちゃん
posted by 味噌のカツオ at 11:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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