2014年09月26日

レッド・ファミリー

イ・ジュヒョン
キム・ユミ、ソン・ビョンホ、チョン・ウ、パク・ソヨン
理想の家族を装い、韓国国内で活動する4人の北朝鮮スパイたち。ケンカの絶えない隣の家族を“資本主義の限界”と揶揄するも、本音をぶつけ合うその姿に、次第に心を動かされてゆく。
そんな祖国への忠誠が揺らぐ4人のスパイらに、非常なミッションが言い渡される。

アニメやドキュメンタリーなどを手掛けていたイ・ジュヒョンの長編監督デビュー作。そして あのキム・ギドクが脚本・編集・エグゼクティブプロデューサーということで、ギドクのファンとしては やはり注目せずにはいられない。

冒頭、ほんのわずかの尺ですがアニメのイメージ映像から入るんですが、あれもなかなか雰囲気を持っていて良かったですね。

さて本編。
主役であるのは一見 普通の家族でありながら、実はそれぞれが訓練を受け、疑似家族として潜入している北のスパイ。
韓国の軍事施設の偵察から脱北者の抹殺などの任務を、指令を受けて遂行するというもの。

果たして実際にこのようなことが行われているのか。本当にスパイが存在するのか。
実は韓国のみならず、様々な国で活動しているという説もありつつ、それがわかってたらスパイにならへん…という考えも。
とにかく北に本当の家族を残したまま、4人は互いを監視しつつ家族として生活をしています。

一方、その隣の家族というのが、けんかが絶えない夫婦に気の小さい息子というグダグダな一家。
北の(疑似)家族とは対照的に、見ていて情けなくなるほどのダメ家族。

本来スパイ目的で生活している以上、近所付き合いもはばかられるものだが、ひょんなことから会話を交わすようになり、(しぶしぶながら)家族ぐるみで食事を共にしたりもするようになります。

そうこうするうち、スパイであることのアイデンティティと、人として家族を敬う感情がクロス。
気付けば 我々観客でさえ、あのダメ家族の夫婦げんかが愛おしく思えてきちゃいます。
やがてスパイとしての存在意義を上回っていく、叶う事の無い家族への思い。

国家のため、長期に渡って疑似家族を“演じて”きた4人が、最後の最後に繰り広げる他愛もない会話。それはスパイである以上、本来は手にできない幸せな風景で。
あの場面だって理想の家族像を“演じた”に過ぎないのだが、その意味合いの違いを思うにつけ、涙ナミダでありました。

南北統一への祈りを込めたキム・ギドクの脚本も素晴らしいし、それをしっかりと撮りあげたイ・ジュヒョン監督もお見事。
同脚本でもギドクが監督をやっていたら…もっとアクの強い仕上がりだったかもしれないし、これだけ登場人物がいながら セリフ無しだったかもだし(苦笑)

これまでにも南北問題をテーマにした作品は多々ありましたが、家族というコミュニティに落とし込むことで、非常に身近でわかりやすくなっております。
確かに それは我々日本人には関係ないことかもしれません。

でも隣のお国の事情であり実情を感じるのは大切なことであるし、究極的には日本と近隣諸国との関係性にも当てはまるテーマだと思いますので。
お互いに敬い合うことで夫婦は家族は成り立っています。
国と国も同じなんですね。

高校生のチャンスとミンジが、南北の関係性について持論を展開する場面があるんだけど。
今の日本の高校生が、あそこまでの意識があるかといえば、そうは思えないよね。

良く言えば平和な証拠なんだろうが。。。

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さもアリラン
posted by 味噌のカツオ at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ラ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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