2015年09月20日

天空の蜂

堤 幸彦
江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野 剛
1995年の夏。最新の巨大ヘリが 一人の子供を乗せたまま、遠隔操縦により奪われてしまった。そのヘリは原子力発電所・新陽の上空でホバリングを開始。犯人からは「全原発の即時廃棄」要求が届く。
8時間後、ヘリの燃料が尽きればそのまま原発に落下し日本は壊滅状態に。タイムリミットに向け、ヘリ開発者の湯原らはあらゆる手段を模索するが…

堤幸彦監督というと今年は「イニシエーション・ラブ」なんて面白い作品が公開されてたわけですが。
今作は打って変わって、相当シリアスなテーマ・演技の作品であります。

ただ「イニシエーション〜」は80年代。そしてコチラは1995年が舞台という事で。
登場する車両とか小道具とか、いろいろ気を使われたのでは…

それはさておき、結論めいたこと言うなら、これは思ってた以上にハイクオリティな出来栄え。
脚本、ストーリー展開、キャスト、登場人物の熱量、いずれも高い。

原作は東野圭吾氏が20年前に発表した小説。
諸々のレビューでも「原作が台無し」的な苦言が見られないのは、20年も経過しているからなのか、あるいは原作に忠実な映画だったからなのか。
仮に後者だとするならば、いろんなことを経験してきた日本ではあるが、20年経ってもその問題点や体質はコレっぽっちも変わっていないことの証明となってしまうのだが。

原発の是非、そこに横たわる政治の問題。さらにパーソナルな家族や仕事を絡めながらも、ゴチャゴチャした印象がないどころか、グイグイ引き込まれます。
あらすじを見た段階では、ハードなテーマに無理矢理 子供のピンチを絡めてるとしか思っていなかったんだけど、子供については中盤で見事解決。

あの段階で大きな山場を持ってくることで、中だるみをさせない二重構造は見事。
個人的には高所恐怖症なので、ソワソワしっぱなしの映像だったけどね(苦笑)

それ以降はもう一つ、いや本筋の解決に向けていくわけですが、これまた群像劇ではないけれど、それぞれが絡まないポジションで同時進行で見せていくのも良かったですね。
下手するとチンプンカンプンになる危険性も大いにあるんだけど、トリッキーな見せ方の上手い堤監督ならでは〜ですかな。

映像については、あまり未知のメカが出てきたり派手なドンパチやってしまうと、日本の予算の限界か安っぽく見えてしまうんだけど、そうならないギリギリのところのアクションで。
いい意味で見応えのあるものに仕上がっていました。

主演の江口洋介は優しい顔立ちの奥でアツさ持っているんだろうなと感じさせるキャラとしては打って付け。今さら“あんちゃん”呼ばわりは失礼かもだけど、観客の期待は裏切りません。
一方のモックン・本木雅弘は何を考えているか ややつかみきれない怪しさを覚えてこちらも好演。スーツの下が妙にマッチョに見えたのも個人的には 何がしかの幻想を抱かせる意味でGood。

そこに程よく佐藤二朗のトボケ具合が絡むのも堤流か。
ただ手塚とおると松島花の方言責めだけは やり過ぎかな。

というわけで、こんな感じのクライムサスペンス映画は多々ありますから。ストーリー展開も映像も、海外で上映してもウケそうなレベルだと思うんだけど。
ただし、ただし、原発の設定。もっというなら原発の成り立ち、歴史、危険性、存在感、意義、それらを知っている日本だからこそ、その問題提起やメッセージが伝わるところあるけれど。

ん〜でも それを含めて。エンターテイメントを通して、日本の原発政策の問題点を見てもらう意味でも、世界に送ってほしい作品だと思いますよ。
とにかく、見応え抜群の作品です。

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最後の最後で“S”っぽくなった
posted by 味噌のカツオ at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | タ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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