2016年04月05日

リップヴァンウィンクルの花嫁

岩井俊二
黒木 華、綾野 剛、Cocco、原日出子
派遣教員の七海はSNS で知り合った鉄也と結婚。しかし、少ない式の出席者を補うため、なんでも屋の安室に代理出席を依頼する。
やがて鉄也の浮気が発覚。ところが七海が浮気をしたと義母に責められ、家を出ていくことに。行き場の無い七海に安室は奇妙なバイトを次々斡旋する。

そもそも“岩井俊二”なんて名前を聞くと「永遠の中二病の人?」とかつい思ってしまったり。
“リップヴァンウィンクル”なんてワードを使うことが鼻についたり。

そんな感じなんだけど、くやしいんだけど、映画はメチャメチャ良かった。
安易に“好き”と言いたくなんだけど、その作品の手のひらの上で コロッコロ転がされた感じ(苦笑)

180分の上映時間。超大作ってほどのスペクタクルな大冒険でもないのにこの長さ。
いやいや、1日24時間を生きてる普通の日常を切り取るなら、ある意味3時間では短いもんだわな。

どこにでも あり得る(東京であること前提だけど)物語なのかもだけど、実に冒頭の世界観と辿り着く場所は全然違うんですよ。
立場、環境、近くにいる人。最初は人前でしゃべるの苦手だった人が、ラストでは大きな声で手を振って見送るんですよ。全然違うんですよ。

本当の家族は おそらく離れたところに住んでいて。
それよりも“仕事”という名目で家族を名乗った人たちの方がなんか家族感を覚えてしまったりとか。

人生って常に動いてるとも言えるし、誰かに引きずられちゃってなのかもだけど。
いずれにせよ人生ってそういうことなんやね。

とまぁそんな風にほぼほぼ振り回される主人公の境遇を、我々観客も一緒になって、なすすべなく、それでいてちょっと面白く振り回されたみたい。
凄く悲しいこともあるんだけど、それも含めて成長していくということなのかな。

黒木華さんは・・・いいですね。
決して美形ではないかもだけど、薄幸な、ついつい助けたくなる顔なのかも。
「小さいおうち」などで見せた女中さん役なんかイメージ合うんだけど。その分 メイドコスもなんかたまらないね。
それはさておき、女優としてはますます魅力UPしてますよ。

そして途中から登場する、それでいて重要な役である Coccoさんが、これまた何とも言えない浮遊感。
観客として主人公・七海と同様に、いい意味で引っ張ってくれて、この人はどんな人なんだろうと思わせてくれて。
そして そのベールが少しづつ取れていくごとに…あぁ…と。

ウェディングドレス姿の二人が戯れる場面は独特な幸福感に包まれていました。
ウェディングドレスって やっぱり女性にとっては特別で、幸せの象徴でもあるんだろうね。
この段階で七海は2度目のドレス姿だったんだけど。何かを抱えたその姿と、解放されたうえでのドレス姿。これまた対照的だったですかね。

そしてもう一人 重要な登場人物が綾野剛演じる安室という男。このキャラクターが全く読めない。
そもそもどういう生業なのかも謎。七海を救ってくれるのかと思いきや“別れさせ屋”のくだりに思わず「?」。
はたまた七海を口説くのかと思いきや、最後まで手を出さずで。
こういう人って社会の全てを冷静に見て、感情の無い人なのかと思いきや、ましろとの別れに(嘘か真か)号泣。

ある意味での“不思議ちゃん”ですが(笑)、それらをトータルすると、それはそれで魅力的なキャラであったりする。
そんなつかみどころの無さを見事に表現してた綾野剛も素晴らしいっすね。

これは後で知ったことですが、タイトルにも引用されている「リップ・ヴァン・ウィンクル」という小説があるんですね。
その小説の設定・物語と照らし合わせると、この映画の根幹たる部分もより見えてきて。
うならされるわけなんですね。ふむふむ。

いや、元ネタを知らなかったとしても 十分に素晴らしい映画体験できますね。
良い作品でした。
posted by 味噌のカツオ at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ラ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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