2016年08月02日

シン・ゴジラ

庵野秀明、樋口真嗣
長谷川博己、石原さとみ、竹野内豊、高良健吾
東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。政府は緊急の会議を招集。その席で内閣官房副長官・矢口は巨大生物による事故の可能性を提言するが、一笑に付される。
しかし 海上に巨大不明生物が出現。やがて首都に上陸し、甚大な被害を及ぼし、日本政府はその対応迫られる。

2014年に世界的にヒットしたアメリカ版の「GODZILLA ゴジラ」。
その公開後に発表になったのが、2016年に12年ぶりに日本製のゴジラが復活というニュースでした。

正直「GODZILLA ゴジラ」に煮え切らないものを感じていたこともあり、これはこれで素直に歓迎。
数百億とも言われるアメリカ版の制作費に対し、予算で敵わないのであれば 頭をフル回転させて、日本でしか作れないゴジラ映画を見たいと。そんな期待を込めておりました。

それから1年半。ついにベールを脱いだ「シン・ゴジラ」。
まずは、素晴らしかった。とにかく見応えありましたよ。
怪獣映画として素晴らしいのではなく、映画として素晴らしい出来になっていると思いました。

東京湾の海底トンネルで事故が発生。政府が集まっての会議が行われ、正直 どこかゆるい雰囲気を感じさせるその場が、事態が動くとともに、(当然ながら)後追いで政府も対応を協議。
しかし、責任の所在や決断力の曖昧さで、みるみる事態が悪化。

その場で適切な対応を行えなかったがために、その後に更なる被害が…という感じ。
ストーリーとしてそれは理解できますが、要は そこまで政府内や様々な場で行われる会議というヤツを、イチイチ見せることでの緊張感。
また事態の変化を見守るうち、ネット上には巨大生物と思しき動画がアップされていくなんて現代のリアリティ。

そしてそれらの状況を、テンポよく紡いでいくことで、進行度の早さと焦燥感が表現され、観客としてはグイグイと物語に乗せられていきます。

この映画の基本スタンスは、今ゴジラが現れたら日本はどう対応するのかという、壮大なシミュレーション。
今回の有事に際し、専門家、奇人変人、はみ出しもの、鼻つまみ者が収集されてチームが作られまして。これはこれで面白味ありますわ。
そのチームによる分析で明かされるゴジラの生態。そして対処方法が検討されていきます。

それとは別にアメリカが動き、アジアが影響を受け、フランスも反応し…
まさに この辺りも「なるほど〜」とうなずいたり、「そりゃそうなるわな」とニヤニヤしながら見入ってしまいました。

事の顛末としては、未曾有の自然災害に見舞われた街であり、東京に原発があって それが異常をきたしたらであり、もしも核兵器を使用するとなればであり。
それらを乗り越え、関係各所と連携を図り、日本という国家がいかにして存続を目指すのかの軌跡でもあります。

そのモチーフは かの震災と原発の事故。広島と長崎の記憶。日米安保や憲法の扱いなど。
それらをゴジラというフィルターを通して問題提起しているとも言えます。

結局それらをテーマに置くことって日本でしか描けないことだと思うんですよ。
だからこそ僕たちは考えさせられ、共感を得られるわけで。

もしかしたら「インディペンデンスディ」がUSAバンザイと叫んでも、日本人は本気でノレないのと同様に。この作品を他国の人が見ても、本質の部分についてはピンとこない可能性はありますね。

かの「GODZILLA ゴジラ」も、前半は“それらしい”問題提起をしつつ、後半は怪獣同士のドッカンドッカンで評価を得たいわけじゃないですか。
それに比べると 今作のゴジラ殲滅パートは地味といえば地味。鉄道ファンは「あっ!」と思うかもだけど(笑)

そして全編CGで製作されたゴジラのベースとなるモーションキャプチャーを、狂言師の野村萬斎が担当。
この発想から表現も、どんだけ制作費があってもたどり着けないであろう、日本独自の〜という部分の象徴ではないでしょうか。

これまで怪獣は“着ぐるみ”じゃないと認めない…という、頭のカタいスタンスだったわたくしも、今回のゴジラはCGであっても大満足。
その佇まい、迫力、リアリティ、非の打ち所がない仕上がりです。

さて、一部では今作の石原さとみのキャラに賛否が出ておりますが。
イーオン仕込みの英語の発音でチョイチョイ「ガッジーラ!」がインサートされるのは、少々難解なワードや堅苦しそうな会議場面の数珠つなぎで力み過ぎそうな世界観のなかで、程よい箸休め効果があって。
浮いていないとは言えませんが、悪くはないと思ってますよ。

それとは別に気になった点は、矢口がなぜに荒唐無稽な“巨大生物説”にこだわったのか。
普通に考えたら、あの場であのような発言はそぐわないようにも思うけれど。

それから なぜゴジラが東京に?という点。
生物的に考えれば、やはり核保有施設のある場所に反応するなど、何がしかの理由が欲しいところだけど。
強いて言うならば、ゴジラの存在自体が日本に向けられた“念”のようなものだとするならば、首都を狙うのはありえる話だけど。

とまぁアレコレ書きつつも、映画としてのクオリティは非常に高い。
んで一時期のゴジラ映画は、怪獣好きな少年需要を見込んだ作品であったわけですが、今作は小中学生が見ても イマイチわからないものになっていると思われます。

ある意味“その当時の”少年ファンがオトナになり、作る側になって実現させた創作だといえるかも。

でも1954年の第一作の当時は、そもそも映画というものが大人の娯楽であって。
そんな大人たちが「ゴジラ」を「おそろしいもんだ」と見ていたはずなんですよ。

それらを合わせて考えるならば、この2016年の「シン・ゴジラ」は「あの日に子供だった オトナたちの映画」であるのかもね。

とにかく、今の日本が誇ることのできる作品となっています。
素晴らしい!!

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自衛隊にできるのは攻撃だけではない…ね。
posted by 味噌のカツオ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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