2016年08月25日

月光

小澤雅人
佐藤乃莉、石橋宇輪、古山憲太郎、美保 純
ピアノ教師のカオリは、教え子のユウの父親・トシオから性的暴行を受けてしまう。この事件により、過去の忌まわしい記憶までも蘇ってくるカオリ。一方ユウもまたトシオから性的虐待を受けていた。
誰にも相談できず苦しんでいたカオリとユウ。やがてカオリはユウの願いを叶えようとある決断をする。

自分は男ですから、本当の意味で女性の気持ちはわからないでしょう。
もっというなら、性的被害に遭われた女性の苦しみを、本当の意味で理解するのは無理なのかもしれません。

でも、それらを取り扱った映画、ドラマ、書籍、証言…何かしら感じることはできるのかも。
そんな思いもあっての鑑賞でしたが。

とにかくテーマはそういうことだと思うのですが、映画のデキとして、見ていられなかったという印象。
端的に言うなら、ちょっと詰め込み過ぎなのでは?

リアルに、この作品の主人公のような反応をしてしまう被害者もおられるのかもしれません。でも、リアルに受け止められない展開も多くって。

こういった映画に於いての主人公はいくらか悲劇的で良いと思うんですが。
いきなり教え子の父親とのキスシーンは“なんだ?”と思ってしまいます。

それにはそれなりの過去があるようなのですが、その後も積極的に不倫行動をしてしまうのはどうなの?
その相手の母親は 二人の関係を知りつつ、彼女に息子のピアノの指導を依頼するって、その設定、気持ち悪過ぎ。歪み過ぎ。

メトロノームのカチカチ音でフラッシュバックを起こして、それきっかけで その子がケガするってのも。なんだか取って付けた事件だし。

その後、彼女が性的被害に遭い、じつは過去に幼い頃にも 被害に遭っていたことが分かります。
そんな女性が そこまで積極的におっさんを求めるものなのか?山中ですれ違ったおっさんをナイフで脅してキスするとか、まったくわからない。

確かに大変な思いをしたのだろうが、それで背中に あんな痣ができるもの?
その後のシャワーシーンも体を洗いたくなるのはあるでしょうが。背中を見せながら、表情も捉えてください〜なカメラワークは疑問。
それなら顔を突っ伏して、背中でシャワーを受けるとかのが伝わってこないかな。

そして彼女の母親も、娘が辛い過去を語っているのに「わたしも必死で働いていたのよ」って。信じられない反応だし。
そんな心の通っていない母親と車で走りだすラストシーンも、本当は上辺だけじゃないかと思ってしまったし。

その主人公とは別に、加害者は自身の娘にも性的暴行を行っておるのですが。
これ、血のつながってる親子なの?それはそれで また違うテーマになってしまうわけで。

もしそうでなかったとしても、2つの性犯罪を絡めることで、そのテーマ性も混沌としちゃって。
大事なことを伝え切れなくなっていやしませんか。

とにかく登場人物“全員”おかしな行動、言動があるので、なんとも軸が置きにくい。

そして映画としての見せ方も、妙に光と影を意識してるのか、ムダに逆光で暗い中のシーンがあったり。
とても大きな満月が出ているのに、メッチャメチャ暗い映像になってたり。
妙なところで 音量を大きくさせたり。

いずれも不安感や不安定感を狙ってのことなのかもだけど、その技の使い方が決して効果をUPしてるとは感じませんでした。

結局、これは誰に向けてのことなのか。
ピアノ教師なのか、性的被害を受けている少女なのか。
あるいは性犯罪者。被害者の家族。水を汲みに来た通りすがりのおっさん。

とにかく詰め込み過ぎで、わたくしには ちゃんとしたメッセージとして伝わってきませんでした。
もっと余計なものを 削ぎ落して、真っ直ぐに訴えるべきではないのかな。
大切なテーマであるだけに、とても残念に思います。

DSC_1121.JPG
ピアノソナタ第14番
posted by 味噌のカツオ at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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