2016年10月13日

お父さんと伊藤さん

タナダユキ
上野樹里、リリー・フランキー、長谷川朝晴、藤 竜也
書店でアルバイトをしている34歳の彩は、給食センターでアルバイトをする20歳上のバツイチ男・伊藤さんと同棲中。
そこへ息子の家を追い出された彩のお父さんが、突然転がり込んでくる。その日から、彩(34)と伊藤さん(54)とお父さん(74)との、奇妙な共同生活がはじまっていった。

タナダユキ監督の作品、わたくし初めてやな。
いろいろな映画を見てますが、邦画ってどうしても原作モノが多くなるね。小説やらコミックやら。やっぱり オリジナルの企画って難しいんだろうけど。
というわけで 今作は第8回小説現代長編新人賞を受賞した中澤日菜子の小説がベース。

当然ながら このタイトルに「ハッ」とさせられ。この3人のキャスティングに惹かれ。
34歳の女に54歳の彼氏。そして74歳の父親が絡むという設定に困惑&ワクワク。

20もの歳の差カップル。しかも二人とも仕事はアルバイト。それはどうかと思いつつ。
しかし ムダにベタベタすることもなく。小さな悩みに対し 大らかに包み込むようなアドバイスを送るオジサンの図。

今どきの女性の“年上男性幻想”を見事に具現化。
こういうライフスタイルを 理想と言ってしまう人も少なからずいるんじゃないかな。

そこへ入ってくる、絵にかいたような堅物で柔軟性の無い親父。
兄嫁じゃないけど、こんなのと同居は無理だよね。伊藤さんもホンネではしんどいんだろうなと。
しかし、ホームセンターで意気投合してしまう場面に、とてつもない説得力。
いやぁ、男って 工具とか見ると変に気になっちゃうんよね(笑)

全体のストーリー展開で言うなら 居場所を無くした親父の処遇という。ただそれだけなんだけど。
その中に配された 個性あふれた人々のキャッチボールや、中規模エピソードの数珠つなぎが程よいスパイスとなり、飽きさせない物語となっています。

上野樹里って 頑張らないキャラクターやらせたらピカイチですな。
声質やちょっとルーズな話し方もあるんだろうけど、頭で手を組んで寝っ転がる姿が一番似合う女優じゃないですか(笑)
尾行シーンもそうですが、あの ちょいユル加減がじつに魅力的なんだよね。

藤竜也演じるのが 他人の言うこと聞かず、ただうるさいお父さん。
でも元教師という設定なら、このビジュアルはアリかな。
ただ 痴呆気味?とか万引き常習犯?とか。段ボール箱のエピソードは必要ないような。少なくとも キャラ的にもストーリー的にも活かされていないような。

それから やっぱりなんだけど。伊藤さん役のリリーさんがまた素晴らしい。
まだ人生経験の浅い彩をリードし、融通の利かない高齢者のお父さんのプライドを傷つけないように導くと。あのポジションは絶妙だわ。
だからといって 全ての54歳男性があんな振る舞いできるかっちゅうと、そんなことないわけで。

趣味は家庭菜園。どこか達観したかのような、それでいてアルバイト。
伊藤さんは理想の男性像…といってはい言い過ぎかな!?

でも役としたら、リリーさんじゃないとハマらないキャラクターだよね。

さてさて。この作品を見た中で、どうしても見過ごせない点がいくつかあるんだけど。
そもそも上野樹里が34歳に見えなくって。ちなみに今の実年齢は30歳で。
そこは絵作り、感覚として ちょっとだけ厳しいかな。

序盤、彩とお兄さんがイチゴパフェを食べるシーン。設定は8月から9月のはずなのだが。
ズバリ、8月にあんな美味しそうなイチゴは出回っていないよね。
じゃあ なぜわざわざイチゴパフェ?とは思ったけど。

その後に蝉の声や 秋の虫の声や風の音。そういう季節感をしっかり作りだしてた分、最初のイチゴパフェはリアリティが薄いよね。

そして お父さんがトラブルに巻き込まれ手を負傷。
おそらく右手が使えず左手で書いたであろう、ミミズの這ったような書置きを残し、家を出てしまいます。
やっと発見された際には右手の包帯は無かったので「治った?」と思ってたんだけど。

次のシーンでは また包帯を巻いていて。おいおいおい…そのつながりはアカンでしょ。
なんなら 新たに火傷かなんかしたのかな?

とまぁ重箱の隅みたいなツッコミさせていただきましたが。
とにかく登場人物が、役者が良かった分、所々で詰めの甘さを感じてしまいました。
なんか、なんか 惜しい感じやったね。

DSC_1286.JPG
白い犬の娘が彩
posted by 味噌のカツオ at 02:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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