2016年11月05日

湯を沸かすほどの熱い愛

中野量太
宮沢りえ、杉咲 花、篠原ゆき子、オダギリジョー
銭湯を営む幸野家。しかし 父が1年前に出て行って以来、銭湯は休業状態。母の双葉は持ち前の明るさと強さで、娘の安澄を育てている。しかし双葉がパート先で倒れ、検査の結果末期ガンの告知を受ける。
それから双葉は“絶対にやっておくべきこと”を決め、実行していくのだが…

このタイトルのセンスに文字フォント。決してピンとこなかった。
あらすじ読んでも、銭湯を舞台にしたホームコメディかと思ってた。
わたくしと同年代の宮沢りえさんも“見たい”という引きは弱い女優さんなんですよ。

そんなこんなで全くノーマークの作品だったのですが。
いやいやいや〜やられちゃいました。

「序盤から ずっと泣きっぱなしだった」なんて感想も事前に目にしていましたが、確かにそんな感じ。
シリアスとユーモアと“泣き”がローテーションのごとくやってきて。退屈することが全然なかったですね。

それぐらいに引っ掛かる部分がとても多くて。

銭湯に貼られた休業のお知らせに始まり。
母と娘の愛ある口論。
ホイコーロー(?)だけでなく、なんでも美味しそうに食べる娘。
無理やり連れ帰ってきた父ともうひとりの娘。
パンツをドアノブに掛けての「鮎子ここにあり」という名言。
旅先で出会った若者に「あの人から生まれてきて…」で顔を伏せる鮎子。
ところが、安澄も。
ところが、ところが、双葉も。
突然のビンタの瞬間、劇場内が「えっ?」ってなってたね。

それからカニ、手話、エジプト旅行、母の面影 などなど。
様々なミスリードや伏線が散りばめられつつ、流れるようにそれらが回収されていきます。
ホント、見事な見せ方で。

わたくし的には ラストの手前。夫と探偵さんが缶コーヒー飲みながら交わす会話が、なんとも良かったですね。
具体的なこと何も言っていないんだけど。

そんな役者陣の演技もみな素晴らしかった。
宮沢りえのとても強く あたたかい母親像。前半がそんなだったから、終盤にかけて弱っていく様がとても辛く感じました。
そして どこかゆるくて飄々としたオダギリジョーのお父さん役も良かった。

松阪桃李演じた世間と向き合うのにやや臆病な若者も雰囲気出てたし。
駿河太郎の怪しさと可笑しみを感じさせる子連れ探偵もいい感じ。

それから娘たちもね。鮎子の涙ながらのしゃぶしゃぶにはもらい泣き。探偵さんの娘もかわいかったし。
あとは安澄役の杉咲花は裏MVP。実の母娘関係を告げられて受け入れられない場面であるとか、非常に難しいシチュエーションが多かったけど、いずれも見事だったですね。
今後にも期待です。

皆に慕われながら、よくよく見ると誰とも“血”のつながっていない双葉。
でも それよりも大切なものと知っているから、あそこまで尽くすことができるんだろうね。
幸野という苗字が表す通り、家族たちから観客から、幸せにしてくれる母ちゃんだったです。

とてもいいもん見た〜という感想はありつつ。
どうしても いじめ問題の着地の仕方は、やっぱ納得できないな。ホントに陰湿なものだとしたら、アレはアレでヤイヤイ言われる行動だと思うから。

そして、ラストのあの湯は。
美談?ファンタジー?それともホラー?
見方によるけれど。

嫌悪感は全然ないのだけれど。
あんなん見せられたら、正直とまどうよね(苦笑)

DSC_1362-6002d.JPG
もはや りえがママだもんね
posted by 味噌のカツオ at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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