2017年03月15日

The NET 網に囚われた男

キム・ギドク
リュ・スンボム、イ・ウォングン、キム・ヨンミン、チェ・グィファ
北朝鮮の漁師チョルが漁に出たところ、エンジンに網が絡みボートが停止。そのまま韓国側に流され、スパイ容疑で韓国の警察に拘束されてしまう。
一途に妻子の元に戻ることを望むチョルだったが、厳しい取り調べと亡命の強要を受けるのだった。

キム・ギドク監督は、これまでにも南北問題をテーマにした作品に携わってきておりまして。
別に日本人にはそんなものは関係ないと。そんな見方もあるかもしれません。

でもキム・ギドクが映し出す、メディアには映らない部分での ひとつの真実の姿。そういうものを見ておくのも意義があると思います。
また単純に映画として、エンターテイメントとして 見応えがあるからね。

北朝鮮で妻と小さな娘と つつましやかに暮らしていた男チョル。彼のボートがエンジン故障で境界を越え、韓国側へ流れついてしまいます。
そのまま男は警察が預かる身となるのですが。

フィクションであるとはいえ、北の川で魚を取って暮らす男の暮らしぶりと、韓国の暮らし向きの差というのがね。
ほんの川ひとつ越えただけで、これほどまでに文化の違いが現れるものなのかと。舞台が別世界になってしまうという。その点に あらためて驚かされました。

やがて ひと通りの取り調べを受けるわけですが。今後 彼をどう扱うべきか、警察内でも意識の差が明らかになっていきます。

以前 日本でも度を越えた一方的な取り調べが問題になりましたが。この映画ではチョルはスパイだと決めつけ、あまりにもヒドい取り調べを行い、自身のシナリオに沿った調書を作ろうとする刑事が出てきます。
またチョルが北で学んできた“技術”が災いし、自らを追い込んでいくなんて皮肉な場面も。

かと思えば 韓国の野村周平的な若いイケメンくんは「甘すぎないか?」と言いたくなるほどに、彼に寄り添います。

しかし彼らの上司は 貧しい北から一人でも多くの人を救いたいと、亡命させることを望みます。

彼を北からのスパイとして裁くのか。亡命者として受けいれるのか。本人の希望に沿って、北で待つ家族の元へ帰すべきか。
まさに韓国 国内にある北へのスタンスって、実際にこういうものなのかと。
国民によっても意識の温度差はあるんでしょうね。

こうして それぞれの思惑に翻弄されるチョルがソウル見物を“させられる”のですが。
彼がそこで見たものについて、吐き捨てるように訴える場面にドキッとさせられました。

こんな自由が、贅沢が、無駄使いをすることが幸福なのかというような。そんな疑問を投げかけるんですが。
そんな問題提起をしてみせるのがキム・ギドクの主張であり、真骨頂という感じがします。

この物語。果たしてチョルがどうなっていくのかと。
結果 ひとつの着地点は提示されるんだけど。

その後に ダメ押しのようなドラマが待っています。
それもまた見る側に大きくのしかかってくるんだよなぁ。

網に翻弄されたひとりの漁師。
その数奇な運命を通して、本当の幸福ってなんだろうかと。
そんなことを突き付けられる物語でした。

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ピカチュもクレしんも心配してたよ
posted by 味噌のカツオ at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ナ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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