2017年05月09日

映画 立候補

藤岡利充
マック赤坂、外山恒一、羽柴秀吉
2011年11月。橋下徹が仕掛けた40年ぶりの大阪府知事・市長のW選挙。
世間的にも注目を集める中、その府知事選挙に立候補した泡沫候補たち。また日本の様々な選挙に登場する泡沫候補とされる彼らは、なぜ 300万円の供託金を支払ってまでして、敗北必死の選挙に立候補するのか。

選挙というのは 決まった数の議席に対し、誰がふさわしいのかを競い合うシステムであることに間違いはないことでしょう。
競い合ったうえで勝者・敗者が生まれるわけですが…

その反面、絶対に当選しないであろうという立候補者がいるというのもね。
んで“泡沫候補”という言葉が存在することがなんだろうかと思うわけで。

しかも誰でも手をあげればというわけではなく、供託金を支払って 言わば“負け戦”に向かうという構図。
これはいったい何なのかというのは、凡人には分かり得ないところであります。

過去にも選挙をテーマにしたドキュメント作品はありましたが、これらの泡沫候補を追うというのも確かに興味深いです。

そんな中、作品の軸となるのはマック赤坂候補と そのただ一人のスタッフである櫻井氏の二人。
彼がマックさんの選挙に関わることになったいういきさつには ちょっと笑ってしまいます。

どこか不可思議な二人三脚。
ホテルの部屋で政見放送を見て「面白い」と語るマックさん。マックマニアにはたまらない恰好をしておられます。
そしてツイッターの反応が好評ですよと櫻井氏。

やがてその選挙戦術はエスカレート。
駅の構内での立ち合い。果ては選挙区外の京都でのパフォーマンス。
いやいや、なんぼなんでも大阪府知事候補が京都でアレは荒れるでしょと。

ところが、公職選挙法には選挙運動としては、どこで何やっても良いらしく。
しかも 当該の選挙区以内のみ〜という縛りはないとか(推奨はしていないだろうけど)。

また選挙法により、警察・公安であってもそれを制止することはできないという。
無法?無秩序の無双状態。

秘書役となった櫻井氏も よくこんなイカレたおっさんについてくなと思いましたが。
その櫻井氏も 実際はなかなか難しい立場に於かれていて。その事実に迫った部分では驚きというかなんというか。

そして もう一人、マックさんの実の息子さんも登場します。
マックさんが立ち上げた貿易会社を切り盛りする息子さん。
彼の父の選挙に対するスタンスがまた。。。

一般的な会社員(経営者)で、父親にあんな形で動かれても、そりゃそやわなぁと。
それに関しては、いくらか同情してしまいます。

マックさんのスマイル体操だかなんだか知らんけど、あれはなんなんやろうか。
「候補者として もっとちゃんとするべき」という声は正しいと思う。

一方で「歌うとみんな見てくれるけど、真面目な話をしだすと みんなどっか行っちゃう」とマックさん。

パフォーマンスの合間に口にするのは水ではなく 小さなパック。そこには“鬼ころし”と書いてある。
おい、酒かよ! 確かに飲まなきゃ人前であんなことできないかと 微妙に説得力あったり。

通りがかった外国人が 一言「クレージー」だと。
単純に…いや ちょっと深くなるけど。

一般的には「当選するわけない」と思われる候補者が4人も5人も名乗りを上げたり。
選挙運動だとして 突飛もないゲリラパフォーマンスを繰り広げ、政見放送だと言って ギリギリの発言をテレビを通して訴える。
外国でこのように泡沫候補みたいな存在っておるんかな。

一部の危険な国家では 投票箱が強奪されたり、有権者が誰の名前を書くか見張りがいるとか。そういうのもあるんだよね。
それを思えば、マックさんのような存在が躍動するのは日本が平和であり、開かれた選挙制度に裏打ちされている証なのかな。

その反面、もっと敷居を高くではなく整備するべしとも思うけどね。

映画的なクライマックスはマックさんが 橋下氏と松井氏の街頭演説に直接挑んでいく場面。
あれを見て マックスゴイと見るか、あまりにも品がないと見るか。それぞれでしょうけど。
わたくし的には「マックさん、いつものやってくださいよ」とエールを送った橋下氏の懐の深さに 慣れたもんだなと思いましたが。

そんな大阪府知事選アフター。
マックさんの秘書の櫻井氏の姿。そして彼の長男が初めてある人と会う姿に 少し胸を打たれました。

長男といえば、もう一人。
ボーナストラック的に映し出される 彼の姿。
あまりにも意外な、むき出しとなった人の感情のぶつかり合い。

とても劇的なアングルでとらえられた映像。そこに響くマックさんの声。
見ていて なぜか涙があふれ出します。

まさかこんな思いで見終わるとは。
もちろん選挙・泡沫候補というテーマではありますが。
ドキュメンタリー映画というのは、何よりそこに“人”があってこそですね。
素晴らしい作品でした。
posted by 味噌のカツオ at 13:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ラ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/449724252

この記事へのトラックバック