2017年02月21日

相棒 劇場版W 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断

橋本 一
水谷 豊、反町隆史、仲間由紀恵、北村一輝、鹿賀丈史
特命係の杉下右京と冠城亘は、国際犯罪組織バーズを追って来日した国連犯罪情報事務局の元理事マーク・リュウに同行することになる。
そんな中、7年前バーズに誘拐された少女の現在の姿の動画が公開され、犯行グループは日本政府に多額の身代金を突き付ける。

テレビの「相棒」は見ていませんが、劇場版の方は見てますが…ってスピンオフ版までは見てないけど。
とにかく その程度のスタンスで。

ただし テレビで「劇場版につながる前後編」みたいな煽りがあったのでそれは見たけども…
関係なかったですね(苦笑)

長いシリーズでもあるので、そこそこの相関図は理解しつつも、キャラクターたちへの思い入れはなく。
ミッチーさん、六角さん、仲間由紀恵さんが登場してもグッと高まる感じもさほどはなく。

とにかく、イチ映画ファンとして「相棒」を鑑賞したわけですが。
やっぱり“趣”としてはテレビのドラマだよね。本来の映画で こんなに雑な展開はありえないもんね(苦笑)

ざっくり言っちゃえば、見ていて ひとつもドキドキできなかった。
その要因としては とにかくチマチマした謎が出てきては、右京さんの一声で解決…という流し方と全体の展開ですかね。
「えっ?」と言いたげな推理が次から次へと“こなされて”いくので、映画的な“溜め”がなくて。

見る側としては 謎を謎として享受するでなく、ただ単に 答え合わせだけを見せられてると言っては言い過ぎかな?

また大局的にも人や時間を絡めすぎて、ストレートに心に訴えかける重みが得られにくかったし。
なんだか そんなに欲張らず、もっとシンプルに、純粋に無念さや やるせなさを表す方が良いんじゃないかなぁ。

あと どうしても気になっちゃうのがホントにそんなこと可能なのか?って部分でね。
遺体の中にアレを隠すとか、エレベーターのボタンに仕掛けられたモノとか。
アレをメール送信したことで 通信ができなくなるとか。

ぶっちゃけ かなりのトンデモ設定にしか思えないので、推理という名の正解を提示されても 素直に驚くことができず。「その手があったか」と思うことができずで。
50万人の中からたまたま鈴木杏樹を発見したのもそうやね(笑)

そして「相棒」ファミリーのオールスターキャストと言われてたけど。
ファンにとっては“これぞ”なのか“極め付け”なのかもだけど、テレビ版を見ていない映画ファンのわたくしには、ノリきれなかったし。
謎解き含めて だいぶ置いてけぼり感あったしね。

テレビ版もそうなんでしょうが、トリックや謎解きの側面と同時に 現代流のヒューマニズムや悲哀といったものをベースに置いたお話も「相棒」の魅力でもあるんでしょう。
でも 話を複雑にし過ぎで。その路線であれば往年の「特捜最前線」みたいな脚本の方が グッときちゃうんだけど。
あれはあれで お話が相当暗いんだけどね。

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タイトルなげぇよ!
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2017年02月19日

ANTIPORNO アンチポルノ

園 子温
冨手麻妙、筒井真理子、不二子、下村 愛、福田愛美
時代の寵児とまで言われる女流作家の京子。分刻みのスケジュールにいらだつ京子は、マネージャーの典子に首輪をつけて部屋を引きずり回すなど、サディスティックに振る舞ってはストレスを解消していた。
しかし寝ても覚めても消えない悪夢にさいなまれ、自分自身に混乱をきたしていく。

薄々感じてはおりましたが、ロマンポルノという企画と園子温は相性がいいのかな。
というか そもそも園監督のスタイルがエロにも長けているわけで。

もっというならロマンポルノという枠を超えて、モロに園子温監督の世界だったのかもしれません。

いかにも演劇がかったムードの序盤。
そういう作風がそんなに好きじゃないのもあって、いくらか「かったるいな」と思って見てたんだけど。
途中で、ズバッとその世界が切り替わり、女優とマネージャーが切り替わり「これか!」と目から鱗。

あの かったるさは出るべくして出ていたのね。かったるくて正解だったのね。
そんなこんなでエンジンかかりまして。グイグイと引き込まれていきました。

見終わっての印象は、妙な心地よさ。メチャ気持ちいい。
ただし意味はわからない。ほぼほぼなんじゃこりゃ?の世界。
それでいて残った爽快感。

下手なヤツが作った自己満足の風変わりなアングラ世界と違って、なんだかわからないけど気持ち良かったんですよ。

つまり自己満足なオナニーの世界ではなく、この映画は確実に性行為が成立しちゃったってことじゃないの?スクリーンと客席で。
これはスゴイよ。園子温監督、お見事。

感覚でヒットする。
これぞ映画の醍醐味と言えるんじゃないかな。

男性生殖器と女性生殖器。チンポとマンコ。
この違いを定義すると…納得です。

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ボトルトカゲ!?
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2016年12月14日

アズミ・ハルコは行方不明

松居大悟
蒼井 優、高畑充希、太賀、葉山奨之、石崎ひゅーい
地方都市在住で27歳の会社員 安曇春子。独身で恋人もいない彼女が突然姿を消した。やがて街には彼女の捜索願いをモチーフとしたグラフィティアートが拡散され、JK集団が無差別で男を襲う事件も頻発。
なぜ春子は行方をくらましたのか。ふたつの事件と春子との関連はあるのか?

安曇春子が行方不明になる映画です。
そらそやけども。

わりと時間軸がバラバラに描かれているので、映画慣れしてない人は ついていけなくなるかな。
わたくし的には その辺りで戸惑うことは無かったけどね。

もうひとつ言うなら、基本 女性が話の軸の映画なので、男性客からのウケとか共感は薄いかも。
ただし、見終わってから 様々なレビューを見て、合点がいくところはありました。

結局のところ、安曇春子が行方不明となったというよりも。
アズミ・ハルコのアイデンティティが行き場を無くしてしまったと。そういった感じなのかな。

自分、家族、仕事、地方都市、そして男。
どこにも居場所が無くなってしまって…

最終的には、ハルコのとびっきりの笑顔で映画は終わるんだけど。
本音を言えば、そこに居続けることが決して良いとは思えなくて。
ですが、今の時代はそうなんだよね。

実際、女性が共感を得る作品というのはよくわかります。
その分、男性が監督だというのが意外だよね。
原作は女性だけどもさ。

蒼井優さんは前作の「オーバーフェンス」同様、地方都市の痛々しくもリアルな女性像を見事に演じられてまして。
やっぱスゴイ女優だと再認識。

高畑充希ちゃんって こんなキャラクターのイメージなかったので、新鮮でもアリ、驚きもアリ。
ベッドの上でのウザすぎる かまってちゃんっぷりが。思いのほか良かったです。
でも、キスシーンはナシなのね。

街中にグラフティアートを仕掛けるユキオ。地方在住ながら「何かデカいことやりてぇ」感がヒシヒシ。
友達にはなれないけど、キャラとしては輝いてたね。彼、いい役者だな〜と思ってたら…

「淵に立つ」に出てた太賀くんだったんだね。
事前には気付いていなかったけど、やっぱ彼の芝居 好きやわ。
今後に期待したい役者さんです。

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ハムスター探してますって…
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2016年12月05日

俺たち文化系プロレスDDT

マッスル坂井、松江哲明
マッスル坂井、大家 健、HARASHIMA、男色ディーノ
2015年秋に後楽園ホールで行われたDDTと新日本プロレスの対抗戦「HARASHIMA & 大家健 対 棚橋弘至 & 小松洋平」のタッグマッチ。
その裏側に迫ったドキュメンタリー。

わたくしプロレスファンとして、この試合が行われた経緯もそれとなく知ってますし、その試合も動画で見ております。

プロレスの試合も毎年ベストマッチが様々なマスコミ・メディアで選出されるもので。
確かにリング上でアツい戦いがベストマッチであることは間違いありませんが。この試合はそこに至るまで、そして試合終了のゴングが鳴ったその後まで含めて。
唯一無二の最高にプロレスだったと思います。

普通、リングでアツい戦いを終えたもの同士、何がしか相通じるものが芽生えたりするんだけど、HARASHIMAと棚橋には大きな溝が生まれてしまいました。
それぞれ別の団体に所属する選手ということもあり、なかなか接点もなく。業界的にもそのまま うやむやに流されそうになったわけですが。

他団体だから 関わることも無いけれど。でもモヤっとしたままでいるのもイヤだよねと。
リングで生じたことはリングでしか解決できないと、マッスル坂井、男色ディーノ、大家健の3人が仕掛けます。

マッスル坂井、男色ディーノ、大家健の3人がそこに一石を投じます。

わたくし的には その再戦が実現したのは ある意味奇跡だと思うし。
しかしその上に乗っかって、なおかつDDTの世界に踏み込んで 凌駕してみせた棚橋は超プロフェッショナルだと思いましたし。
さらに その場でそれを受け入れた観客のセンスも絶妙だったはずだし。

この作品のチラシには「プロレスで解決しようみたいな、んな訳ねえから。」とありますが。
そんなつもりはなくとも、結果的にプロレスが解決に導くこととなったんですね。

ホントにプロレスって生き物で。試合が、選手が、観客の心が ひとつになることもあれば、ならないこともあるから。
でありながら 彼らは勝負に出て、見事勝利を収めるわけで。
そんな奇跡に触れられる映画といっては言い過ぎだろうが。

その顛末と共に、“人”にもフォーカス当たっていますので。
プロレスを知らない人でも楽しめるかな。

いや、普段プロレスに触れない人が観るべきでしょう。
“ジャンル”の枠を超えて、多くの人に触れてもらうのがドキュメント映画の意義のはずだから。

以下 個人的に。
今回取りあげた題材がDDTと新日本の対抗戦だったんだけど。
“文化系プロレスDDT”を謳うなら、新日本は抜きにして もっとDDTそのものの活動に寄っても良かったんじゃないかな。
元来の、純粋なDDTらしさを見てみたいという興味も含みつつ。

世間一般ではプロレスは八百長だとか、台本があるとか言われますが。
それはさておき、プロレスにドラマがあるのは事実です。

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Dramatic Dream Theater
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2016年11月29日

アウターマン

河崎 実
塩谷 瞬、古原靖久、戸塚純貴、Gero、真夏 竜
50年にもわたって放映されている国民的特撮ヒーロー番組「アウターマン」。しかし、それは地球を乗っ取ろうとする悪の宇宙人アウターマンの壮大な陰謀だった。
そして テレビでアウターマンを演じてきた俳優たちが、劇中で敵として描かれているシルビー星人とともに、アウターマンと戦うことに…

「いかレスラー」「ヅラ刑事」「日本以外全部沈没」などの河崎実監督作品。
当初は昭和のウルトラマンと平成のウルトラマンが対決する企画を考えていたそうですが、それが通らず このような形式になったのだとか。

それはそれで 面白そう。
いや、実は あのヒーローは本当はワルものだったという。これはこれで良いと思いますよ。

キャストの演技がそこそこ。特撮がそこそこ。
そもそもが低予算の作品なので、その辺りは気になりませんでしたが。
なんか惜しいんだよね。

そもそもの企画や設定はいいんだけど。やっぱり脚本のブラッシュアップと言うか、詰めが甘いというか。
逆に (現状)82分を60分に。30分番組のテレビで言うなら全編・後篇でカタがつくぐらい、もっとわかりやすくシンプルにしてもよかったんじゃないかな。

オトナも楽しめる本格派にするか、特撮ファンや子どもが“ノレる”コンパクトなものにするか。

少年の存在が戦いのモチベーションにつながるというのは ありがちで良かったです。
でも元アウターマン俳優の一人が女にだらしないなんて設定は必要ないし、なんなら邪魔だと思ったし。有毒ガスが発生なんてのも そんなに意義を感じなかったし。

ちょっと中途半端なせいか、序盤 眠たくなっちゃったんだよね。

特撮ファンの中には、実際にゴジラやガメラが出現したら、国はどう動くか。自分はどうするか。
あれこれ想像するもので。

と同様に、実際にあのヒーローが目の前に現れたらどう思うのか。しかも実は悪の宇宙人だったと。
そういう発想が良いだけに、もっと脚本のいじり方あったと思うので。
やっぱ惜しいなぁ。

全然気にしてなかったけど、最後の最後に幕僚長の手に光る指輪が見えて「レオか」と気付きました。
あんなにアツかった、あつくるしいくらいの印象があったので、コミカルな演技は あまり見たくなかったかな(苦笑)
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2016年11月28日

オケ老人!

細川 徹
杏、坂口健太郎、黒島結菜、光石 研、笹野高史
梅が丘高校に赴任してきた千鶴は、アマチュアのオーケストラによる見事な演奏を耳にして入団を決意する。
ところがちょっとした勘違いで、似ても似つかぬ老人ばかりの楽団に参加することになり、気付けば指揮棒を振るはめに…。

音楽を、あるいはオーケストラをテーマにした映画というのはチョイチョイ製作されておりまして。
近いところであれば、今年公開の「クハナ」もそうでした。

まぁその手の映画というものは、言ってしまえば大きな枠組みというか、着地点は似たものになってしまいますわね。
基本的にはコメディテイストで、クライマックスはコンテストや演奏会。ただし直前で何やらアクシデントに見舞われつつ、それらを乗り越えてのスタンディングオベーション…的なね。

ご多分に漏れずこの「オケ老人」もそういった類であるわけで。
とはいえ、決してデキが悪かったわけでもなく。予想通りの満足度ではありました。

ここで中心になるのは老人たち、世界最高齢の(?)オーケストラ。
企画として ほのぼのテイストは約束されたようなもんですわ(笑)

見てて思ったのは、同世代のベテラン俳優の皆さんが揃って、撮影の合い間とかは さぞかし賑やかだったろうねと。
そして その中心で指揮を揮うのは“映画初主演”となる杏さん。

これまでNHKの朝ドラや いろんなドラマに主演、出演されてきたとは思いますが、わたくし自身は あまりテレビドラマは見ないもので。
彼女の芝居をあまり見てきてないんだけど、良かったですよ。ウソくさくなく、ぎこちなさもなく、コメディエンヌとして成立してましたよ。

物語としては、設定、人間関係、あれやこれやと ツッコミどころは多々あるけれど。イチイチ触れるのも野暮なことかな。

ただ強いて1点挙げるとするならば。演奏シーンで実際に演奏はしていないというトコロは気になったわね。
若い人が中心の音楽映画であれば、実際の出演者が楽器を練習して演奏したりするものですが。
今作でも杏さんはバイオリンの特訓して撮影に望んだみたいだけど、それ以外の皆さんにそこまで求めるのは酷なハナシで。
そりゃそうなんですが、リアリティという点ではやっぱりね。

まぁ劇場に来ていた作中のオーケストラと同世代のお客様たちの温かな笑い声に免じて、そこは目をつぶるべきか。
ってなわけで、安心して 肩肘張らずに楽しめるエンターテイメントでありました。

最後に わたくし事ではありますが。
この前日に見た「オー・マイ・ゼット!」に出演していた森下能幸と萩原利久がここでも共演してましたな。

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クラ寿司…ですか
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2016年11月14日

オー・マイ・ゼット!

神本忠弘
角田晃広、ともさかりえ、森下能幸、町田マリー
日本全土を震撼させた“ゾンビパニック”から5年。すでに平穏を取り戻していたはずだったが、なぜか一体のゾンビが花田さんの家に迷い込む。
そこに居合わせた連中によって「あのゾンビどうする?」と議論が始まり、やがてゾンビ捕獲を試みるのだが…

映画界に“ゾンビ”なるキャラクターが登場して84年になるとか。
こと近年に於いてはゾンビの取り扱いも様々であるので、どんなゾンビが…いや、ゾンビ映画が登場しても さほど驚きはしませんがね。

まぁいろ〜んなアプローチがあるわけですが、となれば あとは面白いかどうかですわね。
結論的には及第点の面白さだったとは思いますよ。

監督・脚本の神本忠弘は、これまで映画の予告編を 数多く手掛けてきた方だそうで。これが初監督作品。
ただ今回の 作風としては映画というよりも舞台のそれであって。

特に前半は ひとつ屋根の下で繰り広げられる会話劇で。大きな動きに頼らず言葉をリレーしていく雰囲気。
なにか どっかの劇団の原作か 舞台経験者かと思ったんだけど、そうでは無かったんやね。

そして主演の東京03の角田さんも初主演作となります。
その割に と言っては失礼ですが、このゾンビ・パニック・コメディの要素と芸風がマッチしてましたね。
とても自然体で面白かったです。

その角田さん演じる花田さんが まともな人間性で、それ以外の人たちが ひと癖、ふた癖、というキャラなんだけど。
ともさかさんは 程良い加減の主婦感たっぷりでしたが、それ以外のキャストが もうちょっとね。
自然体で変わり者にならなきゃいけないので。その点、難しかったのかも。

そんな舞台風の会話劇から、後半はちゃんとゾンビと対峙する展開になっていきますので。
ゾンビモノとして期待した人でも、まぁまぁ楽しめるんじゃないかな。
少々…いや、かな〜り痛々しい描写込みでね(苦笑)

ゾンビの生き残り(?)がいた〜なんて、そもそもがありえない設定であって。
そこに関わる人たちの怪しさが見え隠れして。ではあるんだけど。

それぞれの背景も 変態、復讐、憧れとかが見る側として それほどピンとこなくって。
もうちょっとぶっ飛んでたり、意外性があったり、笑えたりが欲しかったり。もっと会話というか 掛け合いがうねりをもって高揚感が得られると良かった気がするかな。

あと序盤は必要以上に音楽に頼り過ぎで。中途半端なBGMがあったですね。

とは言うものの、家の中のゾンビを人間が取り囲むという逆転の発想。適度なバカバカしさ込みの90分。ゆるめの気持ちでコンパクトに楽しめる作品でありました。

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意外とヒザは曲がるんです
posted by 味噌のカツオ at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月08日

溺れるナイフ

山戸結希
小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音
東京で雑誌モデルをしていた夏芽は、父の故郷である浮雲町に引っ越すことになる。都会から離れた田舎での地味な生活に幻滅してしまうが、長谷川航一朗と出会ったことで人生が一変。急速に彼に惹かれていく。
だが、火祭りの夜にある悲劇が二人を襲う…

正直よくわかっていない映画でして。
原作はコミック。若い女性の監督作品。小松菜奈と菅田将暉主演のラブストーリーですか。

そもそもターゲットがわからない。
コミック原作で10代のラブストーリーはオトナ向けじゃないし。
中高生向けに作るなら もっとドSの先輩登場とか、壁ドン、あごクイが見せ場で。ラノベ系の長いタイトルのヤツがあるわけじゃないですか。
それを思うと、どうにもターゲットがわからない。

そんな作品を40代半ばのおっさんが見た結果・・・響かない。

「オレは神だ。海も山もオレの好きにしていいんじゃ」という金髪野郎。そんな男に心酔するのが東京でモデルをやってた女子。
なんだかそのやりとりがイチイチ クサいなと。

そんな二人の関係が壊れるきっかけの事件も いくらか中途半端。

その後に制服が冬服になったな〜と思ったら、いやいや 高校生になったんだということで。
あら、これまで中学生だったんだとビックリ!
演じてるのは20代なのに(苦笑)

どうやらその事件がきっかけで二人は別れたそうなんだけど。
そんな小さな町で、中学生がコミュニケーション取れないわけないだろと。

都会では夏芽のレイプされた疑惑がささやかれ。
そんな中で再度のオファーを受け、映画に出演。映画にはなんとレイプされる描写が。
結局のその映画で夏芽は女優賞を獲得。

いやいや〜そのウワサが流れる中でそんな役を演じるなんて。ほぼほぼ汚れな印象やし。
んで半開きの眼で授賞式って、ないわ〜。

作品として序盤にあった細かすぎるカットのチェンジとか。
水辺で石投げたりする遠巻きなワンカット。
そしてバッティングセンターでの やはり長回しとか。
いろんなことをやってるみたいだけど、悪く言うと一貫性がなく、ホントいろいろやりたいだけみたいにも見えるし。

あと演出なのか全編通してセリフが聞き取りにくい。
BGMで聞き取りにくいところもあれば、素でわからないトコロもあって。
確実にセリフが聞き取れなくても、場の状況で理解させる作風もあるけれど。にしてもこの作品ではマイナスだったかな。

一方で良かったのは役者陣。
個人的に小松菜奈と市川実日子の母娘は良いキャスティング。なんか雰囲気あるよねって感じで。
菅田将暉のやんちゃな振る舞いはいつも通りハマってました。

そして目を引いたのが大友くんを演じたジャニーズWESTの重岡大毅。
自然体で熱さと照れくささと好きな子の前でいいヤツでありたい感が完璧(笑)
映画見ながら「夏芽よ、大友くんでいいじゃんか」と何度思ったことか。

終盤の祭りの場面。
天狗(苦笑)の面をつけたヤツが登場。そして事件になっていくんだけど。
あの描写はうたた寝してしまったリアルと映画の中のシーンのMIXなのかな。
ラストのバイクのシーンまでね。

そんなこんなでいろいろ書きましたが、映像は全編キレイだったし、役者もいい芝居してたけど。
脚本というか演出というか、引き込まれるような作品じゃなかったなぁ。

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それ、フルコーラス歌いますか
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2016年10月13日

お父さんと伊藤さん

タナダユキ
上野樹里、リリー・フランキー、長谷川朝晴、藤 竜也
書店でアルバイトをしている34歳の彩は、給食センターでアルバイトをする20歳上のバツイチ男・伊藤さんと同棲中。
そこへ息子の家を追い出された彩のお父さんが、突然転がり込んでくる。その日から、彩(34)と伊藤さん(54)とお父さん(74)との、奇妙な共同生活がはじまっていった。

タナダユキ監督の作品、わたくし初めてやな。
いろいろな映画を見てますが、邦画ってどうしても原作モノが多くなるね。小説やらコミックやら。やっぱり オリジナルの企画って難しいんだろうけど。
というわけで 今作は第8回小説現代長編新人賞を受賞した中澤日菜子の小説がベース。

当然ながら このタイトルに「ハッ」とさせられ。この3人のキャスティングに惹かれ。
34歳の女に54歳の彼氏。そして74歳の父親が絡むという設定に困惑&ワクワク。

20もの歳の差カップル。しかも二人とも仕事はアルバイト。それはどうかと思いつつ。
しかし ムダにベタベタすることもなく。小さな悩みに対し 大らかに包み込むようなアドバイスを送るオジサンの図。

今どきの女性の“年上男性幻想”を見事に具現化。
こういうライフスタイルを 理想と言ってしまう人も少なからずいるんじゃないかな。

そこへ入ってくる、絵にかいたような堅物で柔軟性の無い親父。
兄嫁じゃないけど、こんなのと同居は無理だよね。伊藤さんもホンネではしんどいんだろうなと。
しかし、ホームセンターで意気投合してしまう場面に、とてつもない説得力。
いやぁ、男って 工具とか見ると変に気になっちゃうんよね(笑)

全体のストーリー展開で言うなら 居場所を無くした親父の処遇という。ただそれだけなんだけど。
その中に配された 個性あふれた人々のキャッチボールや、中規模エピソードの数珠つなぎが程よいスパイスとなり、飽きさせない物語となっています。

上野樹里って 頑張らないキャラクターやらせたらピカイチですな。
声質やちょっとルーズな話し方もあるんだろうけど、頭で手を組んで寝っ転がる姿が一番似合う女優じゃないですか(笑)
尾行シーンもそうですが、あの ちょいユル加減がじつに魅力的なんだよね。

藤竜也演じるのが 他人の言うこと聞かず、ただうるさいお父さん。
でも元教師という設定なら、このビジュアルはアリかな。
ただ 痴呆気味?とか万引き常習犯?とか。段ボール箱のエピソードは必要ないような。少なくとも キャラ的にもストーリー的にも活かされていないような。

それから やっぱりなんだけど。伊藤さん役のリリーさんがまた素晴らしい。
まだ人生経験の浅い彩をリードし、融通の利かない高齢者のお父さんのプライドを傷つけないように導くと。あのポジションは絶妙だわ。
だからといって 全ての54歳男性があんな振る舞いできるかっちゅうと、そんなことないわけで。

趣味は家庭菜園。どこか達観したかのような、それでいてアルバイト。
伊藤さんは理想の男性像…といってはい言い過ぎかな!?

でも役としたら、リリーさんじゃないとハマらないキャラクターだよね。

さてさて。この作品を見た中で、どうしても見過ごせない点がいくつかあるんだけど。
そもそも上野樹里が34歳に見えなくって。ちなみに今の実年齢は30歳で。
そこは絵作り、感覚として ちょっとだけ厳しいかな。

序盤、彩とお兄さんがイチゴパフェを食べるシーン。設定は8月から9月のはずなのだが。
ズバリ、8月にあんな美味しそうなイチゴは出回っていないよね。
じゃあ なぜわざわざイチゴパフェ?とは思ったけど。

その後に蝉の声や 秋の虫の声や風の音。そういう季節感をしっかり作りだしてた分、最初のイチゴパフェはリアリティが薄いよね。

そして お父さんがトラブルに巻き込まれ手を負傷。
おそらく右手が使えず左手で書いたであろう、ミミズの這ったような書置きを残し、家を出てしまいます。
やっと発見された際には右手の包帯は無かったので「治った?」と思ってたんだけど。

次のシーンでは また包帯を巻いていて。おいおいおい…そのつながりはアカンでしょ。
なんなら 新たに火傷かなんかしたのかな?

とまぁ重箱の隅みたいなツッコミさせていただきましたが。
とにかく登場人物が、役者が良かった分、所々で詰めの甘さを感じてしまいました。
なんか、なんか 惜しい感じやったね。

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白い犬の娘が彩
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2016年10月07日

Every Day

手塚 悟
永野宗典、山本真由美、倉田大輔、こいけけいこ
ある朝。晴之の目の前に、交通事故で昏睡状態にあったはずの恋人・咲が現れる。「時間を1週間もらった」と話す咲は、いつものように弁当を晴之に渡す。
当たり前だった2人の日常が、特別なものとなって始まる。

あらすじを読んで 面白そうだったので見てきました。
それこそ事前に設定を理解していないと、冒頭のやり取りは意味不明になりそうだけど。

スクリーンを見て「あっ」と思ったのが主演の永野宗典。
「サマータイムマシン・ブルース」に出てたなぁ。確かにチラシにもヨーロッパ企画に在籍し〜って書いてあったね。

この作品を見ていて何気に感じたのがキャストの自然さ。
咲のお父さん。会社の同僚たち。みんな クサさのかけらもなく。めちゃナチュラル。
特に咲さんの振る舞い。やさしさが滲み出ていて、どんどん愛おしくなっていきましたわ。

ただ、その中にあって、主演の永野宗典が気になっちゃった。
うまい。うまいんだけど、どうしても舞台役者っぽさが出てるような。
あるいは ひとつひとつのリアクションやセリフが ちょっとづつ面白く見える。

やぁ、実際にそういうノリのサラリーマンの方もおるかもですが、この役柄、シチュエーションのなかにあっては、もうちょっとだけ抑え気味でも良かったんじゃないかな。

あとはオフィス内での弁当のやり取りだとか、離婚式のくだりなんかが いくらか雑に思えてしまったこと。
そしてチョイチョイ登場するお弁当が どれも同じように見えたり、あまりおいしそうでないというのはマイナスかな。わたくし目線で言うと。

そういうトコロに手を抜かないからこそ、説得力が増すと思うんだな。

一方で、BGMに使われているピアノがキレイでしたね。
音楽を担当した haruka nakamura さんの曲を手塚監督が聴いたことが、今作の始まりだったとのことで。これは間違いなく 映画支えた音楽でありましょう。

それから白いページをめくっていく演出も 効果的に配されていましたね。そこにあった写真もキレイで印象に残ります。

そして本編の終盤のやりとり。
大前提、僕らは悲しい方向性を感じながら、あの二人の会話を聞いていると。
正直 もしかして…との期待をほんのちょっとだけ感じながら。

そんな切ないストーリーでした。
でもでも、あえて厳しく言うならば、なんか惜しいかな。
もうちょっと深められたんじゃないかなと。
求め過ぎかな!?

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離婚式のブーケの意味合いって?
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2016年10月05日

A2 完全版

森 達也
オウム真理教(現アーレフ)の信者たちにカメラを向け、オウム事件の本質に迫った「A」(1998年)。その続編として公開された「A2」(2001年)。
それから15年の時を経て、当時カットされた映像を加え“完全版”としての再上映。

2016年公開、森達也監督の新作「FAKE」公開に合わせての“完全版”上映。
追加されたのは、麻原の実の娘が登場する約5分ほどのシーン。当時は未成年であり、諸々の影響を考慮してカットされたとのこと。

わたくし「FAKE」は見ましたが、この「A」及び「A2」は見ておりませんで。
企画としてオウム真理教に関するドキュメンタリーというのは知ってましたが。。。

事前に「FAKE」を見てたので「あぁそういうことか」とすぐに理解できましたが。
ただ単に「憎きオウム真理教の全容とは?」というスタンスで見てたら、余計に「???」だったかもですね。

そうであろうとなかろうと、見る人によっては「オウム擁護の映画だ」としか思わんだろうけども。

映像に記録されているのはオウム信者の日常。ただし映し出されているのは、テレビで 報道で知るそれとは違う、等身大のその姿。
そして まるで魔女狩りかのごとく、プラカードを掲げる人々の姿。

オウム真理教は教祖の意向で、次々と危険な行動に走りました。
まさに狂信的であるからこそ、行いの善悪の判断がつかない…いや、教義の下であっては善なのだろうけど。

でも今(撮影は2000年か)そこにいるのは、ただ純粋に修行を行う若者たちであって。
それに対し「オウムは出ていけ」と唱える人々。

「じゃあ話し合いましょう」と向かい入れても「そんなことはどうでもいいんだ」とグダグダな人々。

かと思えば 知らず知らずのうちに打ち解け合う姿も。
「オウムは認めないが、あんたたちは好きだから」と。
その交流を目の当たりにしつつ、報道はしないメディア。

大学で同じサークルだった信者と新聞記者。
自分はなぜここで修行しているのか迷いを見せる信者。一部の事実を見ぬふりして報道を続けることに向き合う記者。

松本サリン事件の被害者でもある河野さんとオウムの対話の場面。報道記者を前にしながら、オウムが社会性を保っていくにはどうするべきか。河野さんがそれを信者に指南しているように見受けられました。

いろいろと印象に残る映像の数々。時に微笑ましく、時に考えさせられ。
そんなドキュメンタリー作品でありました。

これはオウムに関わらずで。
どこぞの国の政策がイカれていても、末端の人民には如何ともしがたいこともあるように。

だから教祖が犯罪を指示していたとしても、ただ修行をしている若者に罪はないとも思うんだ。思うんだが。
国籍は選べないが、宗教は選んで信じたものなんだよね。

なぜ そのような危険思想があった教団に傾倒するのか。
そこはやっぱり首をかしげてしまうのですが。
それはそれとして疑問ではあります。

と同時に、都合のいい事実だけを発表する警察。
意にそぐわない事実は報じないマスコミ。
理解も思考も止まった住民。

それはそれで危険なことだと。認識はしております。

最後に。このフィルムに残されたことだけがリアルであると受け止めるわたくしは…
森達也教に洗脳されてるのかもね(笑)
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2016年10月01日

オーバー・フェンス

オーバー・フェンス
山下敦弘
オダギリジョー、蒼井優、松田翔太、優香
家庭を顧みず妻に愛想をつかされた白岩は、東京から函館に戻り、職業訓練校に通いながら失業保険で暮らしていた。白岩は訓練校の同期の代島に連れていかれたキャバクラで、風変りなホステス聡(さとし)と出会う。
どこか危うい彼女に白岩は急速に惹かれていくのだが…

佐藤泰志の小説を原作とした“函館三部作”と称される三つの作品。熊切和嘉監督の「海炭市叙景」、呉美保監督の「そこのみにて光輝く」、それに続くのが今作でありまして。
原作は1985年に発表されたもので、佐藤泰志自身、東京から故郷の函館に戻り 職業訓練校に通っていたとのこと。
ノンフィクションとは言わないまでも、自身をモデルとしたうえでの創作なのかもです。

その三部作とされるものを、アラフォー世代の実力派の3人の監督が映画化してるのも面白いですな。

こう言ってしまうとなんですが。
ラストまでいってもズバーンとくる感じには乏しいし、あくまで長い長い人生の中の、とあるワンシーンと思えなくもない。
でも、でもでも、いろんなことを考えさせられる、いろんなことを感じられる2時間弱であるのは間違いない。

あまり事前情報を入れずに鑑賞したんだけど。
冒頭、タバコを吸いながら“微妙な距離感を漂わせつつ”世間話をしてるシーンから なんかムズムズ。
どこかゆるい空気感のまま、グイグイとは言わないまでも、自然と作品の世界観に馴染んでいきました。

でも もちろんそのままで終わるはずもなく。

オダギリジョー演じる白岩にも、蒼井優の演じる聡にも、それぞれの物語があって。
それらが全面晒されるわけではないところが、なんかリアリティありましたね。

ダチョウの求愛を真似て見せる聡は、ズバリそのもの、愛を求めているんだろうけれど。
かといって愛を与えると噛みついてみせるという。

いや もしかしたら、それが(その場では)本当の愛ではないことを理解してるからこそなのだろうが。

でも正直 映画を見ながら考えたですよ。
「すぐヤレる女」と聞いても、メンヘラ?な一面が見えたなら…いくかなぁ、いかんかなぁ。

んで白岩はいくんかぁ〜と思ってみてたんだけど。
結局彼も温和な表情を見せてはおりながら、じつは 突然キレてしまう一面があったり。大切な人を悲しませた…ような過去があって。

心の病とまでは言わないけれど、そういった迷いや弱さを受け入れられる人、理解できる人じゃないと、この作品を楽しめないかな。

オダジョーさんが何とも言えない雰囲気をまとっている姿が何ともたまらない。
そして蒼井優の壊れっぷりと愛らしさは、女としてはキツいけど、女優としては素晴らしかった。

職業訓練校の仲間たちのナチュラルな会話がまた心地よかったり。
代島役の松田翔太は個人的にはベストアクト。いいヤツなんだろうが、ちょっと怪しい的な(笑)

なんというか、白いボールがすべてを越えて彼女の元に届いたとしても。
あの点差を逆転することはできないのか。
それでも。。。

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学生なんすけど、一緒に競輪行きません?
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2016年09月22日

怒り

李 相日
渡辺 謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野 剛、妻夫木聡
ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。被害者の血で書かれた「怒」の文字を残し、犯人は逃亡。その行方はいまだ知れず。
事件から一年後、千葉、東京、沖縄に素性の知れない3人の男が現れた。やがて犯人は顔を整形していることがわかり、彼ら3人は周囲の人々から疑いの眼差しを受けることに…

あの「悪人」の原作・吉田修一と監督・李相日のコンビであると。
そりゃ結構な内容だろうなとは思いましたが。それプラス、役者陣の熱演がさらにクオリティを高めていました。
主要キャストはもちろんですが、そこに名前の無い池脇千鶴の存在感。高畑充希の儚げな雰囲気。あと沖縄の高校生役の佐久本宝(新人とのこと)も良かったですよ。難しい役どころなのにね。

映画の結論から書きますが…真犯人については書きませんが(笑)
タイトルは「怒り」だけども。怒りを越えて、誰もが幸せにならなきゃいけないんだなと。

そんな言葉も決して正しくはないだろうけど、主要登場人物が多いので、怒り、悲しみ、絶望、希望…いろんなことを平均的に突き付けてこられた感じでね。

ここで言う「怒り」そのものだけでも、誰に対しての怒りなのか。何に対しての怒りなのかも様々なので。
そして 信じることも試されます。

あらためて予告編の映像も見たけれど、デキが素晴らしいね。
その予告でも流されていた複雑な表情、涙、叫び、そしてセリフも、それぞれ凄く意味があるなと。

映画として見応えがあるのは間違いないけれど。やすやすと万人におススメはしにくい映画でもあるね。
見ていて辛くなる、気分悪くなるようなシーンもあるし。
でもわたくしにとっては見て良かった作品でありました。


さてさて、物語の大きな枠組みとして凄惨な殺人事件が関わっています。ですが、終盤までは それなくても成立するだろう〜というぐらい、3つの物語が同時進行していきます。
殺人事件ナシでもどころか、千葉、東京、沖縄 それぞれが1本の映画になりそうなぐらいの重みがあって。

ラストにそれらの感情が一気に押し寄せてくるんだけど、少しづつアプローチを違えることで、よりヘヴィーに感じられるところあるかな。

千葉編では池脇千鶴のナチュラルさと「自分の娘が幸せになれるわけないと思ってるんじゃないの」というセリフがズキューンときました。

東京編は何と言っても妻夫木聡と綾野剛のラブシーン。なんとなく妻夫木君にフレディ・マーキュリーのシルエットを感じちゃったり。
でもこの二人の関係はとてもピュアで、美しかったですね。それだけに優馬から母も恋人も奪ってしまうのは、酷な気がしたね。

そして沖縄編。ひとつ驚いたのは、高校生が普通に(?)泡盛飲んでつぶれてる描写について。今どきオトナがタバコを吸う絵すら敬遠されるのに。こんな“実状”を晒していいのかしらん?
それからこれも大きなポイントなんだけど。僕らが普通に耳を傾けている沖縄問題に対して、イチ高校生に「親がこういう活動するのはウザい」的なことを語らせるのかと。
一般的には基地“問題”として報道をされてはおりますが、実際には“そんなでもない”という声もあるのかと。

ところがところが、そんな印象を大きく覆す事件が起こります。これは物語上の事件でもあり、映画的にも事件ですよ。
広瀬すずちゃんにこんなことさせるのかと。あのシーンは辛さと共に驚きもありましたわ。
本人も撮影頑張ったと思うし、よく事務所もOK出したもんだ。

でもそれが女優になっていくということなのかもね。

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真犯人は…タツヤ(-_-;)
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2016年09月12日

イット・フォローズ

デヴィッド・ロバート・ミッチェル
マイカ・モンロー、キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾヴァット
19歳のジェイはある男性と関係を持ったところ、あるものをうつしたと告げられる。
「それ」はうつされたものにしか見えず、捕まれば死が待ち受けている。また性行為で他者にうつすことができるが、相手が殺されると自分に戻ってくる。
果たしてジェイは「それ」の恐怖から逃げきることができるのか。

映画ファンの間では たいへん話題となっていた作品ですが、公開館も少なく、気付けば上映も終了しておりまして。
やっとこさで、DVDにて鑑賞。

恐怖が性行為でうつされる。ほぼほぼ大人は登場しない。
いわゆる「ティーンズ・ホラー」ではありますが。決してホラー ホラー した作風というわけでもなく。

その点で ホラー映画を期待した客の反応はイマイチだけど、その分 一般の映画ファンに響いたという。

確かに、性行為の場面も全然セクシャルではなく。追いかけてくる「それ」も近年のゾンビみたく攻撃性が強いわけでもなく。
それやったら何がオモロいねん?と言いたくなるのも事実ですわ。

なので事前に多少はテーマの予備知識を持ったうえでじゃないと、山場の無い 面白味の無い映画かも。
それに うつるとか死ぬとか。また自分に戻ってくるだとか。そういう(都市伝説的な)ルールを気にせずに見た方が、伝わりやすいのかもね。

本国アメリカでは かのタランティーノも高評価を叫び。観客の間では「この作品の本当のメッセージは何ぞや?」という部分でいろいろ議論が交わされ。
それについて監督がコメントするにまで波及。

一般的な見方としては、これは性病についてのメタファーであろうと。「気軽に性行為を行ってしまう若者たちに向け、啓発的な部分もあるのでは?」と。
まぁ実際に そう見た方が合点はいき易いですが。

一方で監督が語ったのは「これは生と死と愛の物語である」と。

「生死感」であるならば、主人公らに忍び寄る「それ」とは いわゆる“死”のことであろうかと。誰も、自分も気付かないうちに「それ」は迫ってくるものであって。
終盤に 肉体的痛み、精神的痛み。死を受け入れる痛みなども語られていて。

序盤に学校の授業で語られている内容と併せて、この作品のヒントであるとのことですが。
勉強が苦手なわたくしにはスッと理解できるはずもなく(苦笑)

わたくし的に今作で気になったのは水の存在。
プール、海水浴場。あるいは「それ」が水をしたたらせていたり。
どことなく“母体の羊水”や“聖水”を想起させたりもするわけで。

あと性行為でいうなら、ライトなSEXと本当の愛を伴ったSEXの違いなんてのも、うすうす気になったんだけど。
うつすためではなくって、本当の愛を確かめる行為であれば「それ」から逃れられるとか。
願わくばジェイとポールからは「それ」が消えていてほしいなと。

個人的に、気になる彼女が他の男とやっちゃった話をするのって、いたたまれないな〜と。見ててめちゃヒリヒリ感じたんだけどね。
そんなトコロからも、愛を感じられる作品かな?

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そ〜れ それそれ お祭りだ〜
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2016年09月04日

イレブン・ミニッツ

イエジー・スコリモフスキ
リチャード・ドーマー、ヴォイチェフ・メツファルドフスキ、パウリナ・ハプコ
女たらしの映画監督。監督と面接をする女優。嫉妬深い女優の夫。刑務所から出てきて間もないホットドッグ屋。バイク便の青年…救命士の女性…
とある街に暮らす11人の男女(と1匹の犬)。彼らの午後5時から5時11分まで。わずか11分の間にそれぞれの人生が絡み合い、やがて迎える結末とは!?

様々な人々に起こる、ある一日の午後5時から5時11分までの出来事をモザイク状に構成…というのが事前情報。

爆弾テロ事件をいろんな登場人物の視点から描いていく「バンテージポイント」という作品がありました。
ひとつの事象でも、それぞれのポジション、立場で見えるものが変わってくるというスタンスの映画。

今作も そういうイメージで見に行ったんですが。
これがなかなか難解で。

登場人物のキャラ、相関図、時間軸も イマイチわかりづらい。
その11分後に どんな着地点が待っているかもわからない。
ほとんど接点のない人たちがバラバラに登場。作中ですれ違ったり絡んだりする感じも少ない。

そんなバラバラなキャラクターたちが…最後の一瞬で関わり合いを持つ…と言っちゃうとネタバレかしら!?
その流れというのがピタゴラスイッチ的とか言っちゃうと元も子もないのだが(笑)

確かに最後に全てが交わるカタルシスが無いとは言わないけれど、それぞれの登場人物の物語に目を引くようなやりとりも少ないので、そこに至るまでは少々退屈かも。

描かれた時間は11分間。登場するホテルの部屋は11階の11号室。
主要キャストは11人と。11という共通項がある中、犬は1匹なんだね。
でも その1匹が「ワン」と鳴くことで“11”は保たれてる!?

などとアホなことはさておき。

その状況を捉えた防犯カメラの映像のようなラストのカット。
それが引きの映像になり、もっと多くのカメラの映像が、さらにもっと多くのカメラの映像が…

どうでしょう。11人の男女が絡み合った大きな事故も、カメラが示す通りほんの小さな出来事でしかないのかな。
大局的に見ると、ほんの些細な、気にならない程度の出来事なのかな。

とある監視員が見ているモニター画面に黒い点が付着したり。絵描きさんのキャンバスに黒い沁みが付いたり。
ラストカットのモニター映像にも一部映し出されていないカメラがあって、そこが黒い点になってたけど。

それらすべてが、気になることなのか、気にするべきことなのか。
でもそこで何かが起きていることは事実なんだよね。

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ホットドッグ食べたい
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2016年08月26日

あなた、その川を渡らないで

チン・モヨン
チョ・ビョンマン、カン・ゲヨル
韓国の小さな村の川のほとりで生活している98歳のおじいさんと89歳のおばあさん。
結婚76年目を迎え、今も仲良く毎日を過ごしている二人の暮らしを、15ヶ月間に渡って密着したドキュメンタリー。

ハードでアグレッシブで、ちょっとダークな側面に感情が込められた…そんな韓国映画も良いですが。
こんなハートフルなドキュメンタリーもあるんですな。そりゃそうか。

韓国では口コミで人気が広がって、国内で10人に1人が観たといわれるほどのヒットになったそうな。

登場するのは98歳のじいちゃんと89歳のばあちゃんの夫婦。
序盤からビックリしたんだけど。掃き集めた落ち葉を いきなり投げつけるじいちゃん。そして それにやり返すばあちゃん。さらには、いきなりはじまる雪合戦。
いい歳して、いたずら好きやなじいちゃんやなぁ〜と(笑)

それ以外にも、お出かけのシーン。食事のシーン。ばあちゃんトイレ&歌うじいちゃんってのもありましたか(笑)

いずれの映像からも二人の仲の良さが伝わってきます。
あたたかい雰囲気が。互いを思いやる優しさが。終始 ふたりを包んでいます。
そんな映像を見て、嫌に思うことはありませんわね。

と同時に、数点の子ども用パジャマを購入する場面は、胸にこみ上げてくるものがあります。
長い年月、いろんな時代背景があったとは思いますが、二人が乗り越えてきた出来事もあるんだなぁ。
飼っていたワンちゃんとの別れもね。

気がつけば、咳が止まらなくなってきたじいちゃん。
思うように体も動かせなくなり。なぜか雨降る窓際で寝込んでるのか謎だったけど。

いつ じいちゃんが旅だっても良いように、じいちゃんの服を燃やすばあちゃんの行動。
それには そういう意向があるんですな。

最後に元気だった頃のじいちゃんの映像がでるんだけど、あぁやっぱり かなり細くなってたんだ。

もう100になろうかという高齢で。人はいつしか旅立つこと。
それは当然だけど、当然だけど。

見てたみんながばあちゃんと同じ気持ちだったんじゃないかな。

基本、あの おうちでの映像で、これといった大きな事件が起きるわけで無し。
ムダにナレーションとか、過剰なBGMとかもなく、シンプルに二人を映し出した構成が、その美しさを際立たせてたように思います。

ところで、韓国の高齢者で、普段から あんなキレイな民族衣装みたいの着てる方は多いのかしらん?

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夫婦っていいね
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2016年08月06日

AMY エイミー

アシフ・カパディア
エイミー・ワインハウス
2003年にリリースされたデビューアルバム『Flank』が大きな評価を得た後、続くセカンドアルバム『Back to Black』が全世界1200万枚のセールスを記録。
カリスマ性と抜群の歌唱力でファンを魅了しながら、2011年に27歳の若さで亡くなった歌手エイミー・ワインハウスの波乱の人生を追ったドキュメンタリー。

第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作品。
正直、わたくし的にはイマイチ響いてこない系だったんだけど。
受賞作でもあるし、評判もよいので行ってきましたが。案の定、わたくしとは合わなかったですな。

ぶっちゃけエイミー・ワインハウスは知らなくって。もちろん曲を聞けば「あぁこれか」とは思うのだけど。

これまでにもミュージシャンのドキュメンタリーやヒストリームービーはいろいろありました。
そこで こっちにヒットする要素としては、その物語であったり、楽曲の良さであったり。

もちろん エイミーのシンガーとしての才能、歌唱力が素晴らしいのはわかりました。
でもでも、厳しいことを言うならば。それをつぶしたのは、ある意味で自業自得による部分が大きいんじゃないかと。

彼女がそうなってしまったのは、ダメな男に傾倒していったこと。そしてドラッグにおぼれていったこと。それに尽きると思うんですよ。
なんか、それを見せられて、わたくしは何を思えばいいのやら…と。

かわいそうなエイミー?バカなエイミー?

日本だと そのまんまのりピーさんが元ダンと一緒に気持ちよい事しちゃって。
その後、今もって、名前を出すのもはばかられるトコもあって。

汚名返上ができない世界もどうかと思うけど、やっぱりそっちに走ってしまうのは、その人がアカンと思ってしまうんよね。

もう一点。彼女が素晴らしい作品を残していないとは言わないけれど、活動期間の短さから、それなりの“カリスマ”にまではなっていなかったんじゃないですか。パパラッチがまとわりつく“セレブ”ではあったろうけど。
そういう点でも、思い入れをもって映画にのめり込むことができなかったんだよね。

ライブのボイコットシーンなんてのもあったし。
とにかくトータルそういうことがありつつ、どこか美談っぽくなっちゃってるのが、違和感やったね。

しかしまぁ海外では薬物中毒、大量摂取、などで命を落とすミュージシャンも多いですよね。
前述ののりピーさんでもないけれど、昨今の日本では一度の過ちでも即アウト。その後の活動に大きな悪影響を残しますが。アチラではそこまでは無いのかな。
お国柄っちゃあ そうなんでしょうが。

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♪AMYCDEFG〜
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2016年06月29日

エクス・マキナ

アレックス・ガーランド
ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデル、オスカー・アイザック
世界最大の検索エンジンの会社でプログラマーとして働くケイレブは、ネイサン社長の別荘に1週間滞在するチャンスを得る。
しかしそこに現れたのは女性型ロボット“エヴァ”であった。ケイレブはエヴァの人工知能のテストに協力をすることに…

「28日後...」や「わたしを離さないで」の脚本家、アレックス・ガーランドの初監督作品。第88回アカデミー賞視覚効果賞受賞作。

ですが 名古屋地区での上映は、現状1館のみという寂しさ。
これもひとえに、有名な役者さんが出ていないから…なんですかね!?

そう言われても 仕方がないくらい(ホントはそんなことないと思うが)キャストは少数で。
舞台は都会から離れた大自然の中にある 美しい別荘。

密室空間、わずかなキャストである分、物語は深く作られております。

“抽選で選ばれ”カリスマ社長の別荘へ招かれた 有能なプログラマー。
その別荘で社長は密かに人間そっくりなアンドロイドを開発。しかし重要なのは見た目の姿形だけではなく、そこに搭載された人工知能(AI)の性能。

アンドロイドと会話をすることで、AIの完成度を確認する“チューリング・テスト”のため、そのプログラマーは“選ばれた”のであった。

ネタバレ込みで言っちゃいますが。この展開を見ながらある予想を立てておりました。
そうです、ホントはケイレブもアンドロイドで。これは彼をテストするためのテストなのではないかと。

だから、彼がカミソリの刃で自身を傷つけたときは、驚きましたですね。
まさかまさかの大流血で。

となれば、これは誰が誰を試しているのか。
やがてハッキリしていくんだけど。

下衆な例えをするならば、タチの悪い経営者に囲われてるホステスのお姉さんが、うまい具合に客を惚れさせて。
「キミのためだったらなんだってする」と言ったところで金を巻き上げてドロンしちゃったような。

そんな構図だね。
夢も希望もありゃしないだ。

でもコチラは あくまで人工知能の話であって。
おそらく、たぶん、AIを組みあげたのはネイサン社長なんでしょう。
しかし、どうやら、そのAIの“知恵”が 社長を上回ってしまったと。

もちろんコチラは あくまで映画の話であって。
現実にそんなことは〜と言いたいところだけど。世界中でチェス、囲碁、将棋では人工知能が人間を負かしちゃったりしてるんだから。
今は その1分野のみでしょうが、ゆくゆくは どうなることか。

そう考えると、なかなかシュールで怖いストーリーですよね。

エヴァの思考は社長を越えてしまったようだけど、キョウコのダンスは 社長と同等だったな。
まてよ、社長もあそこで酔いつぶれてなかったら、エヴァに隙を突かれることなかったのか!?どやさ!?

さて、アカデミー賞視覚効果賞受賞というわりには 肌を剥がす描写とかはイマイチだったような。
なんて考えていたんだけど。そんなツッコミを忘れさせるぐらいに、エヴァがあまりに自然に存在してたんだな(苦笑)
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2016年06月13日

海よりもまだ深く

是枝裕和
阿部 寛、真木よう子、小林聡美、樹木希林
15年前に1度だけ文学賞を受賞したことのある良多。現在は「取材にため」として探偵事務所に勤めている。元嫁・響子はそんな良多に愛想を尽かして離婚。11歳の息子・真悟の養育費も満足に払えないでいた。
ある日、たまたま良多の母・淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。

一部で「物語が凡庸でつまらない」と書かれたレビューを見て少々不安になりましたが。
この映画を“凡庸な〜”としか感じられない人こそ、凡庸な人生しか送ってきていなくって。感受性が乏しくなっちゃってんじゃないでしょうか。

いや、わたくしだって全くもってドラマチックな人生なんかではないけれど、この映画には共感するところが多かったし、なんなら耳が痛かったり、時に笑えたり。あるいは心にグサグサくるものがあったりで。
決して派手じゃないし、大きなうねりもないし。

でも多くの人の等身大に近いものを、伝わるように仕上げて見せる監督の手腕にやられました。
キャスティング、キャラクター作り、演技、そしてなんといっても脚本ですかね。

ホントに家族の間で交わされている様な会話であり、それでいて緻密な人間描写が散りばめられていて。
台風の日にちょっとワクワクしたり。そんな中を公園の遊具に行く姿に「男の子ってバカだね」と思ったり。

そんな、ちょっとした人の可笑しみとかに触れては、いちいちニヤニヤさせられたね。

そういえばセリフの中に「アレ」という言葉がよくでてきましたね。
阿部寛演じる良多がことあるごとに「アレして」みたいに言ってて。どうかすると他の登場人物も「アレ」とか言ってて。

あのクセのあるしゃべり方、良多だけでいいじゃん〜と思う反面。
家族の中にひとりでも あんなのがいると、口癖が移ることもあるもんね。それでなのかな。
そんな良多が会話の端々に「アレ」を多用しちゃうのは、それで会話が成立しちゃうような。そんなコミュニティの中にしか生きていない証拠なのかも。

真っ当な考え方のお姉ちゃんの存在感。これが小林聡美さんにピッタリで。
そして樹木希林さんも、これぞ現代のお母ちゃん的。

親子というつながりがあって。親はいつでも子どもが心配して。
子どもは なるべく親に心配かけないよう振る舞ってしまう。

母は父と死別して。でもそんなに愛してたとは思っていない。
あるいは良多と響子のように、いろいろあって夫婦は壊れてしまうこともある。

それに比べると親子って絶対なのかな。
いやいや、やっぱり夫婦も尊い関係でしょ。ただし、維持していくには それなりの努力であったり、何かを犠牲にするぐらいの覚悟はいるんだろうね。

気付けば一貫性の無いままにツラツラと書いちゃったけど。
とにかく 親子、夫婦、家族、夢、現実…

いろんなことに関して考えさせられる2時間だったですね。
かつての小津安二郎や山田洋次など、小さなコミュニティの中に日本人らしさを表現した監督もおられますが。

是枝監督はそれらのテーマを、きちんと現代の文化の中に落とし込んで描いてるのかな。そんなことを思いました。

個人的にですが。
真木よう子さんに にらまれたり、罵声を浴びせられるのがタマラナイという男性、意外と多いんじゃないかしら。
あれはハマリ役ですよ。

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ラジオのテレサ・テンにもグッとくるよね
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2016年06月06日

マンガをはみだした男 赤塚不二夫

冨永昌敬
赤塚不二夫、赤塚りえ子
「天才バカボン」「おそ松くん」など数々の傑作を生み出した漫画家・赤塚不二夫の生誕80周年を記念して製作されたドキュメンタリー。
アニメを軸に、本人の肉声や彼を知る関係者の証言、プライベート映像などを通じ、作品以上に破天荒な人生を解き明かす。

マンガという文化が日本に根付いてずいぶん経つわけで。今現在、様々なマンガが描かれて出版されておりますが、そのルーツをたどっていくと、ほぼほぼトキワ荘に行きつくような気がしますね。

そんなトキワ荘出身(?)の漫画家の中でも赤塚不二夫さんは「天才バカボン」なんかを通じて、わたくしもそれなりに影響受けております。
影響という意味では、今現在でも「おそ松さん」経由で影響は広がっていると言えるのかも。
マンガじゃないけど、タモリさんもそうなのかな?

ドキュメンタリーというわけで、その足跡を辿っていく展開。
幼少時は満州で過ごしたものの、終戦を経て日本へ。手塚治虫のマンガを見て漫画家を目指したと。

トキワ荘時代から数多くのアシスタントと共に数本の連載をこなし、ギャグマンガの第一人者に。
しかしアシスタントらの独立や「天才バカボン」のマガジン・サンデー移籍事件などで混迷。

ちなみに この混迷期の証言VTRは、その証言者もこまめに変わったり、編集も雑な感じで。
こっちも見ながら混迷状況になっちゃったけど。

晩年はそのムチャクチャな遊び方をしたり、バカやったり、エロいことやったり。
作品はもとより、本人の振る舞いそのものが とんでもなかったみたい。

あと多くの方の証言に出てきた「レッツラゴン」という作品。
それこそ面白いとか面白くないとか、バカだとかそういうのを突き抜けた作品として、これまた多大な影響を与えたとされるとか。
なるほど、一瞬ピカソも例えに出てくるんだけど。それぐらい、読者のウケとか世間体を気にするでなく、己の作品を残せたというのは幸福なことですよね。

そんな赤塚不二夫の人生だったわけですが。


とてもとても・・・な言い方をしてしまうと、この映画は赤塚さんのヒストリーを追ってはおりますが。
製作者側が、赤塚不二夫に、バカになりきれていない気がします。

証言インタビューで「根は真面目な人だった」なんて言われたりしてますが。
ん〜“真面目”ってのは誰もが持ってる最低限の資質なわけであって。やっぱり基本はムチャクチャな人だと思うんですよ。

例えば 挨拶ができるとか、税金を納めてるとか、後輩の面倒見がいいとか。それは真面目なことではなく、普通だと思うんですよ。
だったら「根は真面目な人だった」なんて証言は一切入れず、とことんバカをやりたがる人だったと。誰かを笑わせるために、率先して笑われてたとか。

少なくとも赤塚不二夫のヒストリーに求めるのは そっちの面だけでいいじゃないですかと。
わたくしが知りたかったのは赤塚さんがどれだけバカだったのか(バカにはしてませんよ)ということであって。普通のことは極力カットでいけたんじゃないかな。

そういう描き方でよかったような気がします。

赤塚不二夫は偉大な作品を残しましたが。
この映画に関して言うなら「これでいいのだ」とはちょっと言いにくい仕上がりかなぁ。。。
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