2016年08月06日

AMY エイミー

アシフ・カパディア
エイミー・ワインハウス
2003年にリリースされたデビューアルバム『Flank』が大きな評価を得た後、続くセカンドアルバム『Back to Black』が全世界1200万枚のセールスを記録。
カリスマ性と抜群の歌唱力でファンを魅了しながら、2011年に27歳の若さで亡くなった歌手エイミー・ワインハウスの波乱の人生を追ったドキュメンタリー。

第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作品。
正直、わたくし的にはイマイチ響いてこない系だったんだけど。
受賞作でもあるし、評判もよいので行ってきましたが。案の定、わたくしとは合わなかったですな。

ぶっちゃけエイミー・ワインハウスは知らなくって。もちろん曲を聞けば「あぁこれか」とは思うのだけど。

これまでにもミュージシャンのドキュメンタリーやヒストリームービーはいろいろありました。
そこで こっちにヒットする要素としては、その物語であったり、楽曲の良さであったり。

もちろん エイミーのシンガーとしての才能、歌唱力が素晴らしいのはわかりました。
でもでも、厳しいことを言うならば。それをつぶしたのは、ある意味で自業自得による部分が大きいんじゃないかと。

彼女がそうなってしまったのは、ダメな男に傾倒していったこと。そしてドラッグにおぼれていったこと。それに尽きると思うんですよ。
なんか、それを見せられて、わたくしは何を思えばいいのやら…と。

かわいそうなエイミー?バカなエイミー?

日本だと そのまんまのりピーさんが元ダンと一緒に気持ちよい事しちゃって。
その後、今もって、名前を出すのもはばかられるトコもあって。

汚名返上ができない世界もどうかと思うけど、やっぱりそっちに走ってしまうのは、その人がアカンと思ってしまうんよね。

もう一点。彼女が素晴らしい作品を残していないとは言わないけれど、活動期間の短さから、それなりの“カリスマ”にまではなっていなかったんじゃないですか。パパラッチがまとわりつく“セレブ”ではあったろうけど。
そういう点でも、思い入れをもって映画にのめり込むことができなかったんだよね。

ライブのボイコットシーンなんてのもあったし。
とにかくトータルそういうことがありつつ、どこか美談っぽくなっちゃってるのが、違和感やったね。

しかしまぁ海外では薬物中毒、大量摂取、などで命を落とすミュージシャンも多いですよね。
前述ののりピーさんでもないけれど、昨今の日本では一度の過ちでも即アウト。その後の活動に大きな悪影響を残しますが。アチラではそこまでは無いのかな。
お国柄っちゃあ そうなんでしょうが。

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♪AMYCDEFG〜
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2016年06月29日

エクス・マキナ

アレックス・ガーランド
ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデル、オスカー・アイザック
世界最大の検索エンジンの会社でプログラマーとして働くケイレブは、ネイサン社長の別荘に1週間滞在するチャンスを得る。
しかしそこに現れたのは女性型ロボット“エヴァ”であった。ケイレブはエヴァの人工知能のテストに協力をすることに…

「28日後...」や「わたしを離さないで」の脚本家、アレックス・ガーランドの初監督作品。第88回アカデミー賞視覚効果賞受賞作。

ですが 名古屋地区での上映は、現状1館のみという寂しさ。
これもひとえに、有名な役者さんが出ていないから…なんですかね!?

そう言われても 仕方がないくらい(ホントはそんなことないと思うが)キャストは少数で。
舞台は都会から離れた大自然の中にある 美しい別荘。

密室空間、わずかなキャストである分、物語は深く作られております。

“抽選で選ばれ”カリスマ社長の別荘へ招かれた 有能なプログラマー。
その別荘で社長は密かに人間そっくりなアンドロイドを開発。しかし重要なのは見た目の姿形だけではなく、そこに搭載された人工知能(AI)の性能。

アンドロイドと会話をすることで、AIの完成度を確認する“チューリング・テスト”のため、そのプログラマーは“選ばれた”のであった。

ネタバレ込みで言っちゃいますが。この展開を見ながらある予想を立てておりました。
そうです、ホントはケイレブもアンドロイドで。これは彼をテストするためのテストなのではないかと。

だから、彼がカミソリの刃で自身を傷つけたときは、驚きましたですね。
まさかまさかの大流血で。

となれば、これは誰が誰を試しているのか。
やがてハッキリしていくんだけど。

下衆な例えをするならば、タチの悪い経営者に囲われてるホステスのお姉さんが、うまい具合に客を惚れさせて。
「キミのためだったらなんだってする」と言ったところで金を巻き上げてドロンしちゃったような。

そんな構図だね。
夢も希望もありゃしないだ。

でもコチラは あくまで人工知能の話であって。
おそらく、たぶん、AIを組みあげたのはネイサン社長なんでしょう。
しかし、どうやら、そのAIの“知恵”が 社長を上回ってしまったと。

もちろんコチラは あくまで映画の話であって。
現実にそんなことは〜と言いたいところだけど。世界中でチェス、囲碁、将棋では人工知能が人間を負かしちゃったりしてるんだから。
今は その1分野のみでしょうが、ゆくゆくは どうなることか。

そう考えると、なかなかシュールで怖いストーリーですよね。

エヴァの思考は社長を越えてしまったようだけど、キョウコのダンスは 社長と同等だったな。
まてよ、社長もあそこで酔いつぶれてなかったら、エヴァに隙を突かれることなかったのか!?どやさ!?

さて、アカデミー賞視覚効果賞受賞というわりには 肌を剥がす描写とかはイマイチだったような。
なんて考えていたんだけど。そんなツッコミを忘れさせるぐらいに、エヴァがあまりに自然に存在してたんだな(苦笑)
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2016年06月13日

海よりもまだ深く

是枝裕和
阿部 寛、真木よう子、小林聡美、樹木希林
15年前に1度だけ文学賞を受賞したことのある良多。現在は「取材にため」として探偵事務所に勤めている。元嫁・響子はそんな良多に愛想を尽かして離婚。11歳の息子・真悟の養育費も満足に払えないでいた。
ある日、たまたま良多の母・淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。

一部で「物語が凡庸でつまらない」と書かれたレビューを見て少々不安になりましたが。
この映画を“凡庸な〜”としか感じられない人こそ、凡庸な人生しか送ってきていなくって。感受性が乏しくなっちゃってんじゃないでしょうか。

いや、わたくしだって全くもってドラマチックな人生なんかではないけれど、この映画には共感するところが多かったし、なんなら耳が痛かったり、時に笑えたり。あるいは心にグサグサくるものがあったりで。
決して派手じゃないし、大きなうねりもないし。

でも多くの人の等身大に近いものを、伝わるように仕上げて見せる監督の手腕にやられました。
キャスティング、キャラクター作り、演技、そしてなんといっても脚本ですかね。

ホントに家族の間で交わされている様な会話であり、それでいて緻密な人間描写が散りばめられていて。
台風の日にちょっとワクワクしたり。そんな中を公園の遊具に行く姿に「男の子ってバカだね」と思ったり。

そんな、ちょっとした人の可笑しみとかに触れては、いちいちニヤニヤさせられたね。

そういえばセリフの中に「アレ」という言葉がよくでてきましたね。
阿部寛演じる良多がことあるごとに「アレして」みたいに言ってて。どうかすると他の登場人物も「アレ」とか言ってて。

あのクセのあるしゃべり方、良多だけでいいじゃん〜と思う反面。
家族の中にひとりでも あんなのがいると、口癖が移ることもあるもんね。それでなのかな。
そんな良多が会話の端々に「アレ」を多用しちゃうのは、それで会話が成立しちゃうような。そんなコミュニティの中にしか生きていない証拠なのかも。

真っ当な考え方のお姉ちゃんの存在感。これが小林聡美さんにピッタリで。
そして樹木希林さんも、これぞ現代のお母ちゃん的。

親子というつながりがあって。親はいつでも子どもが心配して。
子どもは なるべく親に心配かけないよう振る舞ってしまう。

母は父と死別して。でもそんなに愛してたとは思っていない。
あるいは良多と響子のように、いろいろあって夫婦は壊れてしまうこともある。

それに比べると親子って絶対なのかな。
いやいや、やっぱり夫婦も尊い関係でしょ。ただし、維持していくには それなりの努力であったり、何かを犠牲にするぐらいの覚悟はいるんだろうね。

気付けば一貫性の無いままにツラツラと書いちゃったけど。
とにかく 親子、夫婦、家族、夢、現実…

いろんなことに関して考えさせられる2時間だったですね。
かつての小津安二郎や山田洋次など、小さなコミュニティの中に日本人らしさを表現した監督もおられますが。

是枝監督はそれらのテーマを、きちんと現代の文化の中に落とし込んで描いてるのかな。そんなことを思いました。

個人的にですが。
真木よう子さんに にらまれたり、罵声を浴びせられるのがタマラナイという男性、意外と多いんじゃないかしら。
あれはハマリ役ですよ。

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ラジオのテレサ・テンにもグッとくるよね
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2016年06月06日

マンガをはみだした男 赤塚不二夫

冨永昌敬
赤塚不二夫、赤塚りえ子
「天才バカボン」「おそ松くん」など数々の傑作を生み出した漫画家・赤塚不二夫の生誕80周年を記念して製作されたドキュメンタリー。
アニメを軸に、本人の肉声や彼を知る関係者の証言、プライベート映像などを通じ、作品以上に破天荒な人生を解き明かす。

マンガという文化が日本に根付いてずいぶん経つわけで。今現在、様々なマンガが描かれて出版されておりますが、そのルーツをたどっていくと、ほぼほぼトキワ荘に行きつくような気がしますね。

そんなトキワ荘出身(?)の漫画家の中でも赤塚不二夫さんは「天才バカボン」なんかを通じて、わたくしもそれなりに影響受けております。
影響という意味では、今現在でも「おそ松さん」経由で影響は広がっていると言えるのかも。
マンガじゃないけど、タモリさんもそうなのかな?

ドキュメンタリーというわけで、その足跡を辿っていく展開。
幼少時は満州で過ごしたものの、終戦を経て日本へ。手塚治虫のマンガを見て漫画家を目指したと。

トキワ荘時代から数多くのアシスタントと共に数本の連載をこなし、ギャグマンガの第一人者に。
しかしアシスタントらの独立や「天才バカボン」のマガジン・サンデー移籍事件などで混迷。

ちなみに この混迷期の証言VTRは、その証言者もこまめに変わったり、編集も雑な感じで。
こっちも見ながら混迷状況になっちゃったけど。

晩年はそのムチャクチャな遊び方をしたり、バカやったり、エロいことやったり。
作品はもとより、本人の振る舞いそのものが とんでもなかったみたい。

あと多くの方の証言に出てきた「レッツラゴン」という作品。
それこそ面白いとか面白くないとか、バカだとかそういうのを突き抜けた作品として、これまた多大な影響を与えたとされるとか。
なるほど、一瞬ピカソも例えに出てくるんだけど。それぐらい、読者のウケとか世間体を気にするでなく、己の作品を残せたというのは幸福なことですよね。

そんな赤塚不二夫の人生だったわけですが。


とてもとても・・・な言い方をしてしまうと、この映画は赤塚さんのヒストリーを追ってはおりますが。
製作者側が、赤塚不二夫に、バカになりきれていない気がします。

証言インタビューで「根は真面目な人だった」なんて言われたりしてますが。
ん〜“真面目”ってのは誰もが持ってる最低限の資質なわけであって。やっぱり基本はムチャクチャな人だと思うんですよ。

例えば 挨拶ができるとか、税金を納めてるとか、後輩の面倒見がいいとか。それは真面目なことではなく、普通だと思うんですよ。
だったら「根は真面目な人だった」なんて証言は一切入れず、とことんバカをやりたがる人だったと。誰かを笑わせるために、率先して笑われてたとか。

少なくとも赤塚不二夫のヒストリーに求めるのは そっちの面だけでいいじゃないですかと。
わたくしが知りたかったのは赤塚さんがどれだけバカだったのか(バカにはしてませんよ)ということであって。普通のことは極力カットでいけたんじゃないかな。

そういう描き方でよかったような気がします。

赤塚不二夫は偉大な作品を残しましたが。
この映画に関して言うなら「これでいいのだ」とはちょっと言いにくい仕上がりかなぁ。。。
posted by 味噌のカツオ at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月27日

アイアムアヒーロー

佐藤信介
大泉 洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢 悠
平凡な毎日を送る漫画家アシスタントの鈴木英雄。そんな彼の恋人が突如凶暴化して襲いかかる。その場は なんとか逃げ延びたものの、気付けば街中が謎の感染によって人々が変貌を遂げた“ZQN(ゾキュン)”であふれかえっていた。

“JZ”ですよ。ジャパニーズ・ゾンビムービーですよ。
死者が生き返る。感染で人間が凶暴化する。設定は いろいろありますが、ゾンビをテーマにした映画が世界中で蔓延しております。
テーマとして 扱いやすいんでしょうかね。

日本でもいくつか作られているゾンビモノですが、この「アイアムアヒーロー」は海外の映画祭でいくつも受賞をしてるんだとか。
その割には イマイチ宣伝されていないないなぁ。やっぱテレビ局が製作に絡んでいないとアレでしょうか(苦笑)

コミックが原作という事なんですな。読んでないので そこんところは知らんけど。
でも 事が起こって、徐々にえらいことになっていってる〜という感じはよく出てました。
いきなり目の前に人が落ちてきたり、車にはね飛ばされたり。

タクシーに乗って高速道路を疾走。走行中の車から落ちそうで落ちない。さらにはバンバン激突で大クラッシュ!!
スゲー!!

正直 日本の映画でここまでのカーアクションはなかったですね。
おそらくこのシーンも海外でロケをやっているんでしょう。アウトレットでのロケも含めて、日本ではこんな迫力のある絵は撮れないよね。

それ以外にもゾンビモノには付きものの血しぶき飛び散る映像もなかなかのデキ。終盤、おびただしい数のゾンビが横たわり、全てが血まみれになっている情景も、よくぞここまで作り込んだなと。
見る側も グロい映像にそこそこ耐性がないと、結構キツイんじゃないかな。
それぐらいスゲー!!

とまぁとにかく映像は非常によくできておりますが。
その反面、所々で雑な描写がチョイチョイとインサート。そして最後まで見終わるとストーリー性の弱さとか演出の甘さというか。
それが気になってしまいました。

英雄のケータイが飛んでいき、比呂美のスマホは意味ありげに電池切れ。だからといって本筋にはあまり影響なかったり。
そんな比呂美が英雄と親しげになる理由が見い出せなかったり。

かと思えば 比呂美が半分ZQN化。しかもメチャすごいパワーで英雄を助けます。だけど それ以降は寝てるか座ってるだけで。
もしかしたらギリギリのところで 再びあのパワーが?あるいは発症して襲ってくる?
いつ、いつ・・・って 無いんか〜い!

もうちょっとトランプのジョーカー的役どころだと思ってたけど、結果 座ってるだけやった。じゃあ ほぼほぼいなくても成立するやん。あの娘。
なんだったんだ?

元陸上選手のZQNが走り高跳びで屋上まで来るのは「やっぱりか」と思ったけども。
ZQNって頭が破裂したら死ぬ(?)んでしょ。だったら あんなに頭を陥没させるのは変じゃね。
頭から落下するという“おもしろシーン”を入れたいがために あんなことさせてるんだと思うけど、あんだけ頭打ったら割れてるよね。

終盤、絶体絶命という状況下で 英雄は銃を撃ち続けます。ZQNを一匹ずつ撃ちます。撃ちます。撃ちます。
これが結構長い。しかもバリエーションもなく、ただひたすら撃つだけ。その先が無い。
んで最後、弾がなくなり、バーンってやるんだけど。「そんだけか!」と。
もうちょっとヒヤヒヤさせるタメとか煽りとかできなかったのか。

がんばったよ。がんばったんだけどね。
それで これまでイケてなかった英雄が、真の意味でヒーローになった…と言われても、どうも腑に落ちない。
映画的な盛り上がりとか、変化とか、成長とかが ほとんど感じられないかな。

細かいツッコミどころ、他にもあるにはありますが。そういう隙を作らずに、ストーリーのドラマ性をもうちょっと立ててあったらなぁ。
とにかくカーアクションやグロ描写が見応えあっただけに、あまりにも惜しいです。


ちなみに2014年に撮影が行われたとのことで。
ここに出ている メイプル超合金は、ブレイク前のお姿なんですな。どこに出てるかは…だいたいわかるかな?

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東テレまでがニュース速報に!!
posted by 味噌のカツオ at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月06日

あやしい彼女

水田伸生
多部未華子、倍賞美津子、小林聡美、志賀廣太郎
頑固でおせっかい。周囲から煙たがられてばかりの73歳の瀬山カツばあちゃん。ふと目にした写真館に吸い寄せられたカツだったが、写真を撮り店を出ると、20歳のときの若々しい姿のカツになっていた。
そこで失われた青春を取り戻すことを決意。カツは初めて思い通りの人生を歩み始める!

2014年の韓国映画「怪しい彼女」の日本版リメイク。
オリジナル版は主人公が美人じゃなかったのでスルーしてたけど、評判が良いみたいなので見に行ったところ、メチャメチャ面白かった作品でありました。

そもそもリメイクというのは難しいもので。
オリジナルが“良かった”からリメイクするんでしょ。わざわざ 再構築するんだったらオリジナルよりショボかったら何をかいわんや。
でも元の方のハードルが高いわけだからね。

だから難しいんですよ。だから この日本版もさほど期待していなかったんですよ。
ところが、やられましたねぇ。面白かった。泣けた。素晴らしかった!

韓国版のインパクト大なヒロインに対抗するのは多部未華子ちゃん。
前述の通り美人ではなかった韓国版の主人公。それに対するのが多部ちゃんというのは・・・ごうかーく!!

北川景子や桐谷美玲ではこのイメージは背負えなかったでしょう。
多部ちゃんみたいな子による顔芸や表現力。だからこそ「中身は70の婆さんなんだな」と思わせてくれましたし。

この作品、歌も重要な要素なんだけど、多部ちゃんの歌はただ上手いだけでなく、聞く人に響くそれになってたからね。
キンコンカンコン〜!鐘いっぱ〜い!ごうかーく!ですよ!

大まかなストーリーラインはほぼ一緒。
家族の関係、人間関係、歌が伝える思い。そういった辺りはもちろん変わらないから。
ただ大きく違うのは暮らしの中にある歌という文化。

韓国版の作中で歌われた曲がどんなに良いものであっても 日本人のウチらはそういう意味での感傷には浸れないもの。
ですが コチラは日本版。我々も知っているメロディが上手に使用されていました。

“SASAYA Cafe”で歌われた「見上げてごらん夜の星を」。そして「真赤な太陽」も良かった。
中でも圧巻は「悲しくてやりきれない」の場面。あのキャラ、歌声、インサート映像。説明なしでそのまま号泣。
とんでもない名シーン誕生やったね。

あとショッピングモールで親子に語り掛けるシーンも。
何だかわかんないけどもらい泣きしたよ(笑)

歌だけではなくBGMの使い方も良かったです。
銭湯でのぼせて 介抱されて 名前を問われて どこから来たのか〜という流れに対し、曲を上手く合わせていってましたね。ホント良く作られてました。

人の感情を動かすのに、泣かすよりも笑わせる方が難しいなんてことも言いますが、経験上 水田監督はお手のモノなんでしょう。
ホントにサラリと面白シーン、設定を入れてきて。

多部ちゃんのコメディエンヌ性であり、要潤さんのとぼけっぷりであり、志賀廣太郎さんのやられっぷりであり。
思わず声を出して笑ってしまう。そんな場面のクオリティも高かったです。

言わずもがなですが、小林聡美さんの安定感も抜群で。
終盤の病院で母に感謝を伝えるシーンは沁みましたよ。

最後に、毒舌で頑固でおせっかいなトラブルメーカーな婆ちゃん役の倍賞美津子さん。
何が驚いたって、冒頭いきなり“アリキック”を見舞うなんて。
ここ、プロレスファン的に反応せずにはいられなかったです。

さすがにこんな荒唐無稽な物語を名作と呼ぶのは憚られるかもですが。
多くの観客の感情に訴えかける作品であるのは間違いないです。
おススメです!!

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♪たまごかけごはん〜
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2016年02月15日

オデッセイ

リドリー・スコット
マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ
火星での有人探査中の嵐で行方不明となったマーク・ワトニー。他の乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を脱出するが、彼は生きていた。
自身の科学知識とポジティブ思考で生き延びようとするワトニー。一方、NASAは大胆な救出ミッションを計画していた。

ちょっと前にも宇宙空間に取り残された「ゼロ・グラビティ」という映画がありましたな。
こう言っては何ですが、アチラはずっと宇宙空間で もたくさしてるだけの印象もあって、わたくし的にはイマイチでした。
でもこの「オデッセイ」は楽しめましたね。かなり楽しかったよ。

いずれの作品にも言えるけど、今どきの宇宙映画は無重力空間の映像が さも当たり前のように登場します。
こういうのは日本の映画界にはない映像スキルですわね。

それはそれとしてこの映画ですよ。
もちろん大方のあらすじは知ったうえで見始めたんですが、意外にも始まってすぐにトントントーンと その辺りまで展開。
となるとこのあと、どんな展開を見せるのかなと気になったわけですが。

正直言ってしまうと、めちゃくちゃドラスティックという風でもなく。
もちろん 残された仲間の救出という命題こそありますが、取って付けたようなピンチとか、誰かを追い込むような、見ていてしんどいという表現はありません。

それでも映画としては非常に面白かった。
あえて言うなら心地よいとか、そんな感じかな。

設定上、流れるBGMが70年代とかのディスコナンバーとかで。
ワトニーは「悪趣味だ」などと憎まれ口叩いてたけど、やぁこれはこれで思わず体を動かしたくなるような曲ばかりで。

そして太平洋ひとりぼっちならぬ火星ひとりぼっちでありながら、持ち前の知識のスキルとポジティブ思考でサバイバルしていく様が とてもいい。
状況、立場、愚痴、計画。いろいろ語る“ひとりごと”も、総じて前向きな感じになってたしね。
唯一、肥料を作るシーンだけが「うわっ」と思ったけど。

どんな作品作りをする人でも 根底には「今まで誰も見たことのないものを作る」という意識はあると思うんですよ。
んでこの作品。宇宙を舞台にした救出劇というテーマにして、こんな雰囲気に仕上げるというのは、確かに今までになかったかなと。

こういう作品ですから救出は成功するんだろうなと。最後にみんなで「ヒューヒュー!」するんだろうなというのはあるわけで。
そのゴールへ向かうプロセスを、他の作品よりちょっとポップなアプローチにしてみたと。
そういうスタンスで、ほぼほぼ全編 気持ちよく見ることができましたと。
非常に心地よい作品でありました。

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おでっせいでっせ
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2016年01月21日

アンジェリカの微笑み

マノエル・ド・オリヴェイラ
リカルド・トレパ、ピラール・ロペス・デ・アジャラ、レオノール・シルヴェイラ
カメラが趣味の青年イザクの下宿に 富豪の邸宅ポルタシュ館の執事が現れ、若くして死んだ娘アンジェリカの最後の写真を撮ってほしいと依頼を受ける。
白い死に装束で横たわる美しいアンジェリカにイザクがカメラを向けると、アンジェリカは突然目を開きほほ笑み掛ける。
その日からイザクは 死んだはずのアンジェリカのことが頭から離れなくなってしまう。

『2015年4月2日、106歳で亡くなったマノエル・デ・オリベイラが101歳の時に撮り上げた幻想譚』
というこの作品。
なんとも幻想的なイメージとアンジェリカの微笑みに惹かれて見てきました。

が、わたくしとは合わなかったですね。
率直に言うと、眠たかった。。。

基本的に細かい設定や状況の説明はありません。
アンジェリカに何があったのか。今何が起きているのか。
セリフも ただ言葉が発せられているという感じで、会話という風ではない。

となれば、それなりに集中力を持って臨むことが求められる作品。
であるのに、わたくし、眠たかった。

というわけで、ぼんやりとした感覚でしか見られなかったですね。

アンジェリカは望まない結婚を強いられて。何がしかの病かで夭逝してしまったと。
残された夫は悲しみに暮れるも、残された彼女の表情からすると、決して苦しんだわけではなく。なんならこの別れが解放された証だったのかな。

そこへイザクが現れて、まさに運命の出会いを果たす。
ただしそれが“たまたま”彼女が亡くなった後だったと。

そんな二人が惹かれあい、愛を確かめるとするならば、そうなるしかなかったと。
そんな表面的なことしか感じられなかったわけであります。

などと書いてたら、また眠たくなってきちゃったな。

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アンジェリカの爆笑
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2015年11月04日

ヴィジット

M・ナイト・シャマラン
キャスリン・ハーン、ディアナ・デュナガン、ピーター・マクロビー
休暇を利用して、シングルマザーである母方の祖父母の家を訪れた15歳と13歳の姉弟。優しく穏やかな二人に温かく迎えられ一週間を過ごすことに。
が、夜になり部屋の外から異様な物音が聞こえてくる。やがて恐怖のあまりそのドアを開けてしまうのだが…

M・ナイト・シャマラン監督作品。
映画ファンからは“一発屋”と ありがたくない称号を受け、次々と微妙な作品を発表し続けておったのですが、この「ヴィジット」に関しては近年の作品とは少々仕上がり具合が違うとの評価が。

シャマラン監督の復活劇。見るっきゃないでしょ!
というわけで味わってきました。

確かにいい感じです。怖さ、不条理さ、そして程よい驚きを提供してくれるクライマックス。
これまでの「はぁ〜なんじゃこりゃ!」とか「そんで、何が言いたかったの?」みたいな“すかし感”はないですかね。スリラーとしてよくできています。

映画の宣伝文句として「奇妙な3つの約束とは?」などと書かれておりますが、厳密にはそのような約束は出てきませんで。
そういう言葉で引っ張らなくても、しっかりと謎に引き込まれましたし。

怪しげな言動、深夜の奇行、アメリカ版の貞子登場にも驚かされました。
でも よくよく見てみると登場人物 みなそれぞれにクセというか性癖たるものがあったりで。

その辺りがどのような伏線となり、どのように回収されるのか、注目して見ていたんだけど。

この作品はP・O・Vの形式で撮られておりまして。カメラを通した主人公の目線を観客も共有すると。
臨場感やリアリティを増す手法であると。が、それを逆手にとって リアルではないホラー系の作品によく用いられる手法。
なわけで そういう作品が既に多々作られておりますので「今さらシャマランがP・O・V?」という声も多いです。

確かにこのスタイルとしては十分に後発組ですわね。
でも その分、怖い映像は撮れてはおりますが、別にP・O・Vを駆使した新しさはなかったのかも。

さてさて、この映画にはいろんなキーワードが散りばめられておりまして。
離婚、家族、親子、認知症、潔癖症、ラップ、映画、役者、お菓子、ゲーム、etc…

そしてある事件とトリックが絡んでくるんだけど。
正直 それなりの驚きはあるんだけれど、どうも解せない部分もあって。

「ムムム…」と うがった見方もしつつ、物語として写された表面的なことではなく、何かあるんじゃないかと。
何があるかはよくわからないんだけれど、シャマラン監督の仕掛けた罠なり遊び心なりが…

ちょっと解説とか、ヒントとかほしいなぁ。
でも表面的な怖さや緊張感だけでも十分に楽しめたけれどね。

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ちょっとあの子にヴィジッと言ってやって!
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2015年08月06日

フレンチアルプスで起きたこと

リューベン・オストルンド
ヨハネス・バー・クンケ、リーサ・ローヴェン・コングスリ、クラーラ・ヴェッテルグレン
スキーリゾートへバカンスにやって来たスウェーデン人のファミリー。彼らがレストランのテラス席でランチを食べていたところ、人工的な雪崩が発生。周囲は雪煙に覆われ、一時的に視界ゼロとなってしまうものの大事には至らず。
ところが、その際の ある出来事がきっかけで、家族の関係が気まずいものになってしまう。

スキーリゾートに訪れたある家族に起きたアクシデントを通じ、様々なことを考えさせられる映画。
ジャンル分けするならば…ドラマであり、ブラックなコメディであり。やぁ男にとってはほぼほぼホラーかも(苦笑)

冒頭、電話を気にするそぶりからして 夫は普通に仕事のできる男性なのでしょう。
その分 普段は家族とどっぷり向き合う機会の少ない人が、慣れない(?)家族サービスをしようとなると、こういうこともありうるのかな。

雪山のオープンなテラスでのランチタイム。
人工的に小さな雪崩を起こすことで、大きな危険を回避する取り組み。しかし思いのほか大きな雪煙がそこを覆い尽くします。
母親は娘を抱きかかえ、息子に手を伸ばし 机の下に避難。一方の父親はスマホと手袋を抱え、ひとり駈け出してその場を逃げていきます。

テラスまるごと白い世界に包まれるものの実害は無く。やがて煙が晴れていくと、テラスにいた人々は「やれやれ」といった体で食事を再開します。
そこに「驚いたね〜」といった感じで一人戻ってくる父親。

次のシーン。会話も無くスキーで山へ向かう家族たちの姿。明らかに雰囲気が…

やがて妻は夫を責め、夫は皆無事だったんだからとかわす。子供たちは子供たちで そのイヤな空気を察知。
5日間のリゾート。2日目の昼に起きた出来事をきっかけに、その後の時間はギクシャクしたモノになっていくと。

設定としてはとてもいたたまれない感じ。とてもヒリヒリするんだけど、会話や行動の端々からは笑いも込み上げてきます。
このシチュエーションをどうするべきかと観る人、それぞれにゆだねられるトコロもありますが。

ぶっちゃけ、それ以降の展開が思いのほか地味目で。
劇的な出来事、感情の転換とかには乏しく、ずっとジメジメした雰囲気一辺倒で引っ張られていく印象が長いかな。

家族スキーの最終日。母の姿が見えなくなるくだり。帰りのバスで遭遇する体験。
この辺り、正直「あー」と思いつつ何も起こらないという展開。

時として、画面が雪に覆われ 白一色になる描写が長く続きます。
そこで何を思い、何が現れてくるのか。

それらのシーンに込められたメッセージをどう解釈するべきか。ですかね。

斬新ながらも、実際に自身がその立場に置かれる可能性は十分にあり得るオハナシ。
いろいろ考えさせられるのは、その際の行動か、あるいはその後の言い訳か?

あとホテルの従業員のおっさんの存在も、使いようによってはもっとシニカルに表現できたんじゃないかな?

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動画なんか撮るんじゃなかった…
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2015年07月09日

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

スティーヴン・ナイト
トム・ハーディ、ルース・ウィルソン、オリビア・コールマン
妻と二人の子供に恵まれ、建設会社ではエリート社員として評価されているアイヴァン・ロック。仕事を終え、愛車のBMWで自宅へと走り出すのだが、一本の電話がかかってくる。やがて彼は自宅とは離れたロンドンへ向かうハイウェイへとハンドルを切った…

一風変わったワンシチュエーションムービー…と言っていいのかな。
全編に渡って、一人の男が高速道路を走りながら 電話越しの会話を続けるというもの。
クレジットには数名の名前が載っていますが、登場するのはトム・ハーディのみで、あとは全て電話にて声のみの出演。

「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」なんて こじゃれたタイトルではあるけども、原題は「LOCKE」ととてもシンプル。人名の“ロック”の意味。
主人公がアイヴァン・ロックの名前であると同時に、イギリスでは哲学者で政治思想家のロックを指すとも。

この映画の主人公・ロックはそんな大そうなものではなく、建設現場の監督であることが会話の中からわかります。
また彼が置かれた状況、そして人間関係も。

ぶっちゃけ この物語の核である、とても大きな問題は冒頭のところで明かされます。
その前提での会話劇。かと言って映像も大きな変化もないので。

途中、仕事の件でアクシデントも発生しますが、起承転結の転とするには やや弱いかな。
なので眠たくならないかと言われれば、まぁそうでしょうといったところではありますが、主人公は一生懸命運転してるので寝ちゃ失礼。
なんやかやとラストまで付き合ってしまいます。

さて、車の運転。しかも高速道路上。
進む道はただひたすら真っ直ぐしかありません。
まさに 人が進む道というのもそれと似たようなものです。なんならインターを下りていくことも、他のルートもあるのかもしれません。それでも己の行く先へ向かって進まなくてはなりません。

そんなことを思いながら この映画を見ていくと、さすがにちょっと切なく感じましたね。
良くも悪くも人生を現した物語。

ほんの一夜の過ち。それがこんな事態を巻き起こし、家族を失い、仕事も失い。
そんなときにスピーカーを通じて聞こえる あの泣き声。

どんな理由があろうと、どんな状況であろうと、新たな生命の誕生には全ての未来や希望が込められていることは否定できない。
とても複雑な思いのする映画ではあるけれど、それについては祝福されるべきなんですよね。。。

この映画(眠たいなりに)思いのほかすんなり馴染めたんですが。
洋画だったら たいがい右走行の左ハンドルなんだけど、舞台となっているイギリスって、車の走行が左側で車も右ハンドルなんですね。

ほんの些細なことだけど“画”として妙にしっくりきてたのは、そういうトコにも遠因があるのかな!?
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2015年06月26日

イニシエーション・ラブ

堤 幸彦
松田翔太、前田敦子、木村文乃
1980年代後半、バブル期の静岡。奥手な大学生・鈴木は、友人に誘われて参加した合コンで歯科助手のマユと出会う。
華やかな彼女に釣り合う男になろうとヘアスタイルやファッションを変えていく鈴木。そして迎えたクリスマス。二人は予約したホテルで幸せな時を過ごすのだが…

今から10年ぐらい前に発表された小説が原作。
純粋なラブストーリーかと思いきや、最後の最後で驚愕のミステリーへと趣を変えるという。その当時も読んだ方たちの間で話題になったそうです。

一部では「これこそ映像化不可能やろ」という声もあったそうですが、そういった“トリック”や遊び心で観客を弄ぶ(?)事に長けた堤幸彦がその物語をどう仕上げたのか。

率直に言って、わたくしはとても、とても楽しめました。
見ている中で「おや?」と思うトコロ、不自然な点もいくつかありましたが、終わってみれば「なるほど。そうでしたか」と。素直に楽しめました。

ネタバレ厳禁なので、見終わってから様々なサイトのレビューなんかも読みましたが…
多くの方が面白かったと語る中で「途中でわかった」だの、あれやこれやとツッコミ入れてる感想も。

そもそもソコが肝の映画であって。宣伝もソレを売りにしてPRしてるわけで。
そんな作品は端からに「騙されてたまるか」「暴いてやる」というスタンスで見ようとすること自体がナンセンスですな。
そこは娯楽として肩の力抜いて。それで引っ掛かるか、それでも気付いちゃうか。
それでいいんじゃない。

エンターテイメントの楽しみ方に貧困なかわいそうな人なのかも(苦笑)

さてさて、この映画の肝はソコだとは書きましたが、それはそれとして楽しめる要素もありました。
わたくし、この映画の登場人物とは3〜4歳ぐらいしか歳の差がないはずで。

要はここに出てくるアイテム、音楽、行動パターンなんかが普通に懐かしくって。その都度 微笑んでしまいまして。
それはそれで満足感を味わえましたし。

んで あの決定的な瞬間に あの曲がかかるなんて、あざと過ぎるわ〜とさらにニヤリ。
そのままの勢いで謎解き突入。それもまた乗せられて心地よかったけどね(^-^)

主要キャストは2人の(?)タックンと2人の女性。
木村文乃さんは まさに職場恋愛に陥りたくなる美女という感じでハマってました。

一方の前田あっちゃんも、バブル期のカワイ子ちゃん然としていて。気持ち20年前に戻ってときめきましたわ(笑)
ファッション、ヘアスタイルもさることながら、セパレートの水着姿は当時のアイドルみたいで胸キュンやったね。

ネタバレチックに語るなら、マユちゃんの行動はそれとなく理解できるね。
彼と遠恋になっちゃって、そのタイミングで合コンに誘われてと。実際それぐらいのペースで合コンあったし。
ただ、惚れるタイプがだいぶちゃうやん〜ってのは引っかかったけども(-_-;)

さて、この映画のコピーに「あなたは必ず2回観る」というのがありましたが。
もしもう一度見るとするならば…SideB → SideA → 謎解き…の順番で見るのもアリかも。なんてね。

素直に騙されました。面白かった!!

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ご両親は「男女7人〜」に出ておられたんだ…
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2015年06月25日

海街diary

是枝裕和
綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、大竹しのぶ
鎌倉で暮らす三姉妹の元に、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。山形で行われた葬儀の場で彼女らは母親違いの妹・すずと初めて対面する。
長女の幸は身寄りをなくしたすずに鎌倉で一緒に暮らさないかと持ち掛ける。二つ返事で「はい」と答えたすずを迎え入れ、鎌倉での四姉妹の暮らしが始まった。

いちいち書くまでもありませんが、素晴らしすぎる四姉妹のキャスティング。これはすずちゃんじゃなくても同居したいと思いますわ。
ちなみに冒頭から長澤まさみのサービスカットもありますし、病院に勤務する綾瀬はるかの看護師姿はそれだけでもごちそうだし(笑)
と、どこか下世話な思いも入り混じりつつ。。。

しかし決してキャスティングだけで引っ張ろうとしているわけでもなく。意外と言っては失礼ですが、映画としても味わい深い雰囲気のある作品に仕上がっておりました。
テイストとしては是枝監督らしいナチュラルな雰囲気と、古き良き“小津映画”の持つ日本っぽさの融合ですかね。

すっかり疎遠になっていた父の訃報が届き、葬儀に出席した三姉妹。
確かにあんな奔放な生き方をしてきた父親だったら、まともに向き合うことできないでしょうし。ましてや浮気相手との間にできた(異母)妹と同居なんて、考えられないですわ。
ただし 後にわかることだけど、長女は それ相当の状況に身を置いているわけで。そこを飲み込むと、四女を受け入れるというのも 決して無茶な提案でもなかったのかも。

また全体的なストーリー展開は 必要以上にドラマティックなことであるとか、映画らしいアクシデントは皆無。
でもそういう部分とは別に引き込まれる要素、ありましたね。

寂びれるほどの田舎でもなく それほどの都会でもない鎌倉という街で暮らす四姉妹。年齢や仕事も趣味嗜好もまちまちである、等身大の女性たちの姿を上手く描いてます。
仕事のこと、恋のこと、家族のこと、近所付き合いのこと。それらを嫌みなくインサートしてみせることで、なんだかコチラも親戚のおじちゃんぐらい親身になる気分で見入ってしまいましたし。
三人というバランスは 2対1 に陥ることもありますが、これが四人になることで、家族の安定感が増していくと。そんなことも思いましたね。

さて、人以外にも気になる部分として…
桜、扇風機の音、梅酒、雨、そんな季節を感じさせることがありました。
古い家屋、背比べ、縁側、浴衣、花火、そんな日本を感じさせるものも一杯登場しました。
そして丼、定食、カレーライス、トースト、それら魅力的な食についても目を奪われました。

物語が(お漬物と同様に)薄味であったり、悪人らしい悪人も登場しません。その分、上記のようなサイド的な部分が より効果的だったです。

おじさん的には 2時間ちょっとの全編、どこを切っても美人さんが拝めるというのは素直にうれしいところ。
ですが女性から見ても、服の貸し借りやマニキュアの塗り合いっこなんて姉妹関係の良さだったり、すずちゃん言うトコロの女子寮っぽさも憧れたりするんじゃなかろうか!?

あとはメインキャストの4人だけでなく、風吹ジュンさん、樹木希林さん、大竹しのぶさん。あとリリー・フランキーさんも。各登場人物のナチュラルな素顔感も見事。
この映画の魅力をけん引していく要因でありましたよね。

この作品、カンヌのコンペ部門に出品されましたが、残念ながら受賞までは叶わず。
日本的な良さが伝われば 海外の映画祭でも評価を得ることはできるのだろうけど。
この作品の場合、日本的というよりも日本人的な感じはしますね。日本人だからこその経験してきたことや感覚に訴えかけるものだったように思います。

とてもさわやかな後味がね。わたくしも日本人として、見て良かったと言える作品でした。

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“アレ”って便利な言葉だよね(笑)
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2015年06月24日

あん

河瀬直美
樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子
店長として ひとり細々と どら焼きを焼く千太郎。彼の店に徳江という女性が現れ、働くことを懇願する。一旦は断った千太郎だったが、彼女の作ったあんの味に心酔し採用することに。
やがて評判が評判を呼び、みるみる店は繁盛するのだが…

映画ファンとして河P直美監督の名前はよく聞くわけですが。恥ずかしながら その作品を一本も見たことがありませんで。
今作が初鑑賞となります。

ところで今回は、過去作と比較しても かなり有名なキャストが登場されてますね。その辺りの変化の要因は一概には何とも言えませんが。
キャストでいうなら 樹木希林さんの孫娘の内田伽羅さんが出演されています。
ただし あまりにしっかりしておられて、中学生に見えなかったのはご愛嬌(苦笑)

この物語、ドリアン助川さんの小説が原作。
たぶん、おそらく、その原作をかような役者が演じることで、見事に映像化されたのではないでしょうか。

これ、撮影はどうされたのかな。ホントに一年かけて、季節ごとに押えていったのかな。
ホントに作りものではないであろう季節感が、しっかりと映像に収められてましたし。

しかし何と言っても素晴らしいのは主演の二人。樹木希林さんも永瀬さんも、その一挙一動から引き込まれましたね。
永瀬さん演じる千太郎の佇まいは、それだけで何か「わけあり」なんだろうなと感じさせるに十分でしたし。
希林さんの自然体にして感情の込められた振る舞いからも、いろんな思いが伝わるものでありました。

最小限のセリフと演技で、決して薄くはないであろう生き様を表現しておられました。、

わたくし以前にもハンセン病をテーマにした映画を見たことはあるのですが。
実際、今現在でもハンセン病に対する偏見というのは存在するのかな。

隔離されて生活を余儀なくされた。子供を産むことを認められなかった。現在では治療可能な病である。そういったことを聞いたことはありますが…
例えば今の30〜40代ぐらいの人の中でも、馴染みの無い人も多いのでは。なんならその病気の存在自体を知らない人も。
なので良からぬ噂のために、客が来なくなってしまうというのに若干の違和感を覚えはしましたが。

展開として哀しさはあるにはあるんだけど。もしかしたら徳江さんはある意味で幸福だったのかもしれないね。
人生の最後の最後。幾ばくかの自由を手に入れ、一人でお店を回すことで、生きがいを味わうことができたわけだから。
籠から飛び出していった(放たれた?)黄色い鳥がそのメタファーなんだろうね。

最後に、浅田美代子さんが少々イラっとする役柄だったんだけど、あのスタンスがイメージに沿っていて。ハマってましたね。
ちょっと悪い方向での褒め言葉になっちゃってるけど(苦笑)
そして、あそこで市原悦子さん登場とは、反則じゃないの〜ってぐらいのキャスティングで驚きました。

そういった役者さんたちの演技。季節を捉えた空気。あと 木々の「ザワザワ…」や鉄板の生地を返す「カチン、ジュワッ」とか、かすかな音の使い方も見事でしたね。
派手さは無くとも、日本らしい美しさや儚さをまとった作品。見て良かったです。

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五十音のはじめとおわり。
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2015年05月07日

あっちゃん

ナリオ
イノウエアツシ、ニューロティカ
2014年に結成30周年を迎えたパンクバンドのニューロティカ。普段は実家のお菓子屋の若旦那として日々を送り、ライブになるとピエロのメイクでステージに上がり続けるボーカリスト“あっちゃん”ことイノウエアツシ
そして新旧のメンバーや多くの関係者のインタビューと共に、ニューロティカの歴史とバンドブームの実態を浮き彫りにする。

正直、ニューロティカをちゃんと聞いたことはありません。
でも そういうバンドがあったことは…って過去形で書いちゃったけど。

ニューロティカがメジャーシーンで活躍したのはずいぶん昔のことだけど、そのピエロのメイクやパフォーマンスは一度見たらバッチリ印象に残るからね。
そんな彼らが…って書いちゃったけど、オリジナルメンバーはボーカルのイノウエアツシのみ。他のメンバーは入れ替わりながら、ここまで30年活動していたんだね。

そんなニューロティカの足跡、そして現状。気になるので見てきました。名古屋シネマテーク。レイトショー1回、2週間の上映。
決してメジャーではないバンドだし…と思って行ったのですが、GW中とはいえ 補助席まで利用の超満員。

現役のファン?元ファン?それとも映画ファン?それぞれどんなスタンスかわからないけれど、コアな注目度の高い作品であるのは確かだね。

さて 冒頭からなんですが、ボーカル・イノウエアツシではなく、お菓子屋さん“あっちゃん”の日常からスタート。
早朝から車を走らせて仕入れに行くあっちゃん。店頭に商品を陳列しては、商店街に溶け込んでいくあっちゃん。

そんな姿とライブ映像。そして本人のインタビュー。また旧メンバーに現メンバー。さらには 様々なミュージシャンの登場も嬉しかったですね。

長く続けてたら そりゃ良いときもあれば悪いときもある。
それぞれの生活もあるから思いだけでは続かない。
元々ファンだったのが、巡り巡ってそのバンドでギターを弾くことになったり。
でも自分の好きな思いが強いからこそ、現状に満足がいかない。

それらの事例はあることですよ。うん、バンドではいくらでもあることですよ。

じゃあなぜニューロティカが映画になったのか。他のバンドにはなくてニューロティカにあるもの。それは何なのかと問われたら…やっぱり あっちゃんなんだよね。

ソロアーティストではなくてバンドなんですよ。バンドは一人じゃできないんですよ。でもニューロティカという名前は30年間続いている。
なぜならそこに、あっちゃんがいるからなんでしょう。

自他ともに認める通り、歌も上手くない、ピッチが取れない。歌い手としては致命傷と言ってもいい欠陥を持っていて。逆に上手くなっちゃうと“味わい”とか魅力が無くなっちゃいそうで。
それでも誰からも愛されているというのは、まさにあっちゃんの人間性なんでしょうね。
この映画からも、それはヒシヒシと伝わってまいりました。

ニューロティカ。そもそものジャンルとしては“パンク”なんですね。
なんかパンクって、酒飲んで暴れたりとかガラ悪そうだったり。勝手にそんなイメージ持っちゃってるけど。お人よしだけどパンクという存在もいるんだね(笑)

前述の通り、ニューロティカをそんなに聴いてきたわけではないけれど、それでもこの映画は楽しかったです。出会えて良かった作品です。
特に、地方の修学旅行生のエピソードには爆笑しましたし(笑)

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お母様も、お元気で…
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2015年02月27日

おみおくりの作法

ウベルト・パゾリーニ
エディ・マーサン、ジョアンヌ・フロガット、カレン・ドルーリー
孤独死をした人を弔う仕事をする民生係のジョン。ある日 彼は業務合理化の余波を受け解雇を言い渡される。しかし これが最後の案件だとして、ビリー・ストークの人生を紐解くため、イギリス中を回っていくが…

正直「おみおくりの作法」なんてタイトル聞かされると、かの「おくりびと」に引っ掛けたのかと。そうそうは 柳の下にドジョウはおらんだろ〜と。若干覚めたスタンスだったんだけど。
思いのほか評判がいいので「これは!」と思い見てきました。

原題の「STILL LIFE」は“静物”動かないものの意味が。
STILL はスチール写真とかの STILL なんですね。

確かに作品中、写真も大切なアイテムとして登場してますね。

主人公のジョン・メイは民生係として、孤独死として発見された方の遺品などから その身寄りとなる家族や友人を頼り、葬式を挙げるということを行っています。
ただ 孤独死ということから推察するに、声をかけられた側も葬式に関わる意志というのは乏しそう。
何より上司によれば そんなチマチマしたことしなくとも、とっとと葬ってしまえばいい…となる。

これは推測だけど、それらの故人を葬ったり墓地を用意する経費って、ジョンが私的に捻出していたのかな?
だから節約のためにツナ缶とトーストしか食ってなかったのかな?

そんな彼の仕事ぶりに業を煮やした上司はジョンの解雇を決定。
本来なら戸惑ったりしそうなんだけど、彼はその決定を受け入れる様子で。ただし最後の案件として、自身のアパートの向かいの部屋で発見されたビリーという男の調査を進めます。

元の職場、別れた家族、共に戦った戦友…その足跡の中で浮かび上がるビリーの人間像。
かなり荒れた性格で、荒んだ生活も経験しつつ、娘への優しも持ち合わせていた事実もわかります。

そのかいあって、ビリーは多くの人たちにより、またジョンの計らいで墓地の中でも長めの良さそうな区画で葬られるわけなんですが…
そこにジョンは現れないという。。。

生きている以上、いつかは死がやってきます。でも人生の最後。やっぱりちゃんと旅立ちたい、見送ってあげたい。
作品としては とても静かな展開。真摯な思いで鑑賞してました。基本的には哀しい雰囲気をまとったストーリーではあるんだけれど、ラスト30秒ぐらいで一気に優しい物語になりましたね。涙こらえるのがたいへんでした。
あのラストシーンは、ちょっとやそっとじゃ忘れられないぐらい揺さぶられるものがありました。

このようなメッセージ性は とても映画らしいアプローチのように思います。
妙な邦題に惑わされながらも、いやはや見に行って良かったです。

余談ですが…足の壊れたソファの下に 本を重ねて置くことで高さを調整するとは。
そういうトコロから「血は争えないな」なんてことも発見しました(笑)

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44歳ったら、ワシと同い年やん(涙)
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2015年02月21日

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

モーテン・ティルダム
ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード
第2次世界大戦時。厳しい戦いを強いられていたイギリスは、ドイツ軍の暗号機“エニグマ”解読のためのチームを編成。その一員であり天才数学者のチューリングは、他のメンバーと離れ ひとり電子操作の解読マシンを作り始める。
やがて彼の理解者も現れ、チームは一丸となりエニグマの解読へと近づいていくが…

試写で見させていただきました。
アカデミー賞で8部門でノミネートという話題作。ただし わたくしが見た段階では、まだ結果は出ていない状況なので。
あしからず。

ざっくりと概要だけは頭に入れての鑑賞。
“エニグマ”というドイツ軍の暗号機。本来であれば解読は不可能と思われるこの暗号に挑む、天才数学者の数奇な運命…といったところかな。

となると どうしてもエニグマの秘密とは何ぞや!?思ってしまいます。いや、それはそれで物語の大きな柱ではある。
ただ そこ以外の人間関係や、そもそもアラン・チューリングとはどんな人物だったのかと。

天才数学者と呼ばれた彼の、思考、生い立ち、目標、性癖、駆け引き、etc...
様々な要素を孕んだ彼の生き様こそが、本来のテーマなんですね。
「イミテーション・ゲーム」というタイトルが何を表しているのか。そういう部分も含めての映画だったわけですが…

そういった本来の この作品の見方を間違ったせいで、イマイチ楽しめなかったですわ。
もっと言うなら エニグマ解読のポイントも どうもピンとこなかったのでなおさらですわね。

今にして思えば 冒頭のナレーション、本編、そして どこに着地するのかというところまで。そういうスタンスで見てたら もっと楽しめてたかも。
見終わってから そういうのを知ったので、これ以上の評価できないということで。
あしからず。

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アライ・チュウリング
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2015年02月17日

アメリカン・スナイパー

クリント・イーストウッド
ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー
アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリスは、狙撃手としてイラク戦争へ派遣される。精度の高い狙撃の腕前を発揮し、いつしかクリスは“レジェンド”との異名を轟かせる。
が、度重なる戦地での極限状態を経験し、クリスの心は蝕まれていく。

前作「ジャージー・ボーイズ」から4か月。またもイーストウッド監督の新作が公開です。
「ジャージー・ボーイズ」と同様に、実在の人物をモデルとした作品。もちろん多かれ少なかれの脚色を加えてではありましょうが、それを映画というエンターテイメントに仕上げる確かな腕を持つのがイーストウッド監督です。

なんてサラリと書いてますが、今現在で84歳ですよ。映画監督をこなすってあらゆる部分に感性を光らせなくてはならないものでしょ。それだけを考えても大変な作業だと思うのに、この短いスパンで しかもクオリティの高いものを提供し続けるとは。
ホントに敬服いたしますよ。

さて、今作は“9・11”に端を発するイラク戦争が舞台。
その戦いに於いて活躍した凄腕狙撃手のストーリー。主人公クリス・カイルは“伝説”なんて称賛されて呼ばれますが、決して歴史上の伝説ではなく、今現在とも地続きじゃないかというぐらい最近の話なんですね。
だから見る側としても とても生々しく感じてしまうんだけども。

主人公が初めて戦地に派遣された時の情景がイントロダクション的に始まり、やがて彼が少年の頃の言わば原体験となるエピソードが綴られ、そのうえで再び戦地での続きが描かれます。二つの初めてのエピソードを交差させてあるんですね。
こういうワンクッションをおいたようなアプローチ、すごく上手いですね。とはいえ出来事としては たいそうショッキングなことなんだけど。

主人公の任務は敵方の 兵を遠方から確実に打ち抜くことであり「米軍史上最多、160人を射殺した」とされる狙撃手なわけで。
一部では「そんな男を英雄視するのはいかがなものか」との声もあるようですが、それをやらなかったら もっと多くの犠牲が出ていた可能性も考えられますし、それが戦争というものであって。
それを言うなら、そもそもイラク戦争が何であったのかという、大きな問題も別に転がってはおるんじゃないですか。

閑話休題。
基本的に戦争映画ではありますが、エンターテイメントとして引きつけられる要素もありました。
というのも敵の側にもオリンピック級の狙撃手がいるという設定がそれで。直接顔を合わせることも無ければ、互いに張り合うとかそこまではないんだけど、ライバル的な存在を置くことで両者の役割りと緊張感を高めることに成功してますよね。
そして最後の戦闘場面では、戦術のあやで一気に敵に攻め込まれるという危機感と、砂嵐をオーバーさせるというのはとても映画的に思えました。

近年のアメリカでは、子供が被害者となる映像は憚られる傾向があると聞きましたが、この作品中にはそういうことを考えさせる場面も出てきます。
確かに子供が犠牲となるシーンは見る側も覚悟が要りますね。

主人公は4度に渡って戦地に派遣されていきます。年月としても結構なもの。
やがて共に同じ部隊で戦った仲間が命を落としたり、自身も無意識のうちにPTSDに近い症状に陥ってしまいます。
そうこうするうちに帰還を決め、彼は家族との生活を取り戻します。

確かにエンターテイメントとして引き込まれる演出もありますが、一方で 実際の戦争にあってはそれだけの代償があるんだと。
モデルとなったクリス・カイルは無事であったものの、中には帰還こそしたものの、五体満足というわけではなかったり。体の傷、心の傷。そして命を落とす者も多数おるということ。それを思い知らされますね。

ラストに流れる映像や使用される写真は実際のものなのかな。
あのような映像を見せられると、さすがに涙をこらえきれませんでした。

最後の演出というべきか、エンドロールは無音のまま流れていきます。
そこで観客は それぞれの思いと向き合う。そんな時間が用意されているんですね。
もちろん映画のこと戦争のこともそうですが、同時に「イーストウッド監督、やるなぁ」というのも考えちゃいますよ。

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栗と東木
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2015年02月13日

ジョーカー・ゲーム

入江 悠
亀梨和也、深田恭子、小澤征悦、伊勢谷友介
陸軍で上官に背き、極刑を言い渡された青年。しかし結城という男に救い出され、秘密組織でスパイとしてスカウトされる。
青年に与えられたミッションは、世界を揺るがす機密文書・ブラックノートを奪うこと。彼は嘉藤との偽名を使い、国際都市“魔の都”へと潜入する。

『第30回吉川英治文学新人賞ほか数々の賞に輝いた、柳広司のミステリー小説』が原作という映画。
一応、和製スパイサスペンスムービーなのであります。

亀梨くんはさすがにジャニーズだけあって、一般の方からは色眼鏡で見られがち。
ですが わたくし個人的には、どんな仕事にでも真摯に取り組もうとする姿勢が見えて、意外と高感度持っているんだけど。
ただし、演技の幅はまだまだ狭いと言わざるを得ないですかね。

一方、ヒロイン役でもあるフカキョン。
彼女もデビューした当初はセリフ棒読みの子だったけど、何年もやってるうちに上手になってきてると思います。
ただ、今回の女スパイとしてのキャラクターは、ちょっと違うかな。ムチムチしたボディはよろしいが、スパイアクションをやるスタイルではないでしょうと。

基本はフィクションですが、舞台としては第二次世界大戦前夜のイメージで書かれていると。
東南アジアの地で、日本人のスパイがアメリカ、ドイツを向こうに回し、危険な機密文書を奪い合うと…

そんなスケールの大きい話なんですが、何から何までがチープな印象。
出てくる外国人キャストが みなインチキくさく見えてしまう。終盤の敵の施設のセット感がしょぼい。「ここが出口だよ」と書かれた内部の見取り図はコントの小道具にしか見えません。
そのうえで…世界を揺るがす兵器の機密が〜と言われてもなぁ。

トム・クルーズや007のようなスパイムービーを知ってしまっているモノにとっては、たいへんお粗末なモノにしか見えません。
いちいちピンチになってご都合主義のように切り抜けていく展開はマンガです。

そう、マンガといえば…
シリアスだけでなくて若干のユーモアを含み、時にスパイ組織の仲間が手助けしてくれるという見せ方は、やっぱり「ルパン三世」を思い出しちゃうよね。
かと言って小栗旬の「ルパン三世」レベルにも届いていないのだけど。

厳しいことを連ねましたが 良い面で言うならば、フカキョンが鞭で打たれて悶絶する場面とか、メイド服にチャイナドレス、黒ずくめのスパイコスチュームなどの場面はそれなりのニーズがあるのでは!?
って端からそれ頼みの設定で撮られているってことは、スパイムービーに期待してしまった人はないがしろだね。

良い原作があって、作り手にもやりたいことはあるんでしょう。
でも予算であったり、脚本にしろ撮影にしろ製作のスキルが伴わなくては、こういうことになってしまうんだという。そんな見本のような映画でした。残念。

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スッパイ作
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2015年01月14日

エクステ

園 子温
栗山千明、佐藤めぐみ、つぐみ、大杉 漣
横浜港にでコンテナから少女の遺体が発見される。しかしその遺体が何者かによって安置所から盗まれてしまう。
美容師を目指し海辺の美容室で働く優子。彼女の美容室に、謎の男がエクステを売りに現れる。やがて そのエクステをつけた人間が次々と怪死をする事件が起こり始める。

園子温監督、2007年の作品。この次に撮ったのが「愛のむきだし」なんですが、そちらで主演を張る満島ひかりも ここにちょっと出演してます。

この企画、元々は園監督が女子高生を取材するうち、エクステが流行っていることに着目。
このエクステというやつには、人工毛もあれば本物の人毛もあるんだと。

「そんな誰の髪の毛かもわからないものを身に着けて平気なのか」というところから始まったとのこと。
言われてみれば確かにそうだよね。

エクステ、髪の毛、少女の怨念…
いかにも女子高生が「キャー!キャー!」言いながらも見に行っちゃう、ありがちなジャパニーズホラーをイメージしちゃうんだけども。
でも そこはさすがに園子温。全然そういう路線の作品ではないですね。

物語の始まりはコンテナから発見された少女の遺体。その少女の念が発するエネルギーがひとつのポイント。
そしてもう一点。大杉漣演じるところの“美しい髪の毛フェチ”というちょっと変態な男の存在。
少女の念の籠った美しい髪を、髪フェチの男がエクステにして売り歩くことで、その念が暴れだし次々とエクステをつけた女性が犠牲になっていくというストーリー。
あくまで印象だけど、テイストとしては楳図かずおに近いのかな。

ただし、その見せ方というのは それほどおどろおどろしいわけではない。また いきなり「ズドン!」とかで悲鳴を誘うようなビックリ箱的演出も無い。
ある意味、念の怖さのストレート表現。

と同時に 大杉漣というベテラン俳優が見せる奇天烈なキャラクターがコワい。違う意味でだけど。
正直、主人公であるはずの栗山千明の存在は、きれいなロングヘアーのアイコンでしかなく、本当の見もの(見世物?)は大杉漣の方みたいですわ。
結局ホラー的な怖さよりも近くに居たら関わりたくない、コワいおっさんの方が上位の存在だとするならば、ホラー映画としては失敗なのかな。

とはいえ、この映画には また違った面でのコワい描写が登場します。
その一つは優子(栗山千明)と血の繋がっていない姉(つぐみ)の存在。

わかりやすいほどの水商売キャラで、優子の家に押しかけては横柄な態度で振る舞い、自身の娘を恫喝そして暴力を振るうと。
これまたわかりやすいほどの児童虐待の構図です。

これが園子温監督の上手いところで、この描写というのがかなりのリアリティ。
娘役の佐藤未来ちゃんを見ていて、映画なんだけどスゴくかわいそうで。

そしてもう一つ。コンテナで運ばれてきた遺体の少女なんですが。
この子が念を発するきっかけというのは、実は彼女は臓器売買の被害者で。内臓を取られ、髪の毛を剃られるという目に合っていたんです。
コチラはかなりデフォルメした描写に収めてありますが。

つまり、ホラー作品という看板で見落としそうになるけども、実際の社会においては 明らかにこれらの方がコワい事例なんですよ。
それがこの映画の本来のメッセージなのかなと思いました。

B級ホラーファンには微妙な作品だと思いますが、映画としての楽しみ方は十分にできるんじゃないかな。
posted by 味噌のカツオ at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする