2015年06月24日

あん

河瀬直美
樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子
店長として ひとり細々と どら焼きを焼く千太郎。彼の店に徳江という女性が現れ、働くことを懇願する。一旦は断った千太郎だったが、彼女の作ったあんの味に心酔し採用することに。
やがて評判が評判を呼び、みるみる店は繁盛するのだが…

映画ファンとして河P直美監督の名前はよく聞くわけですが。恥ずかしながら その作品を一本も見たことがありませんで。
今作が初鑑賞となります。

ところで今回は、過去作と比較しても かなり有名なキャストが登場されてますね。その辺りの変化の要因は一概には何とも言えませんが。
キャストでいうなら 樹木希林さんの孫娘の内田伽羅さんが出演されています。
ただし あまりにしっかりしておられて、中学生に見えなかったのはご愛嬌(苦笑)

この物語、ドリアン助川さんの小説が原作。
たぶん、おそらく、その原作をかような役者が演じることで、見事に映像化されたのではないでしょうか。

これ、撮影はどうされたのかな。ホントに一年かけて、季節ごとに押えていったのかな。
ホントに作りものではないであろう季節感が、しっかりと映像に収められてましたし。

しかし何と言っても素晴らしいのは主演の二人。樹木希林さんも永瀬さんも、その一挙一動から引き込まれましたね。
永瀬さん演じる千太郎の佇まいは、それだけで何か「わけあり」なんだろうなと感じさせるに十分でしたし。
希林さんの自然体にして感情の込められた振る舞いからも、いろんな思いが伝わるものでありました。

最小限のセリフと演技で、決して薄くはないであろう生き様を表現しておられました。、

わたくし以前にもハンセン病をテーマにした映画を見たことはあるのですが。
実際、今現在でもハンセン病に対する偏見というのは存在するのかな。

隔離されて生活を余儀なくされた。子供を産むことを認められなかった。現在では治療可能な病である。そういったことを聞いたことはありますが…
例えば今の30〜40代ぐらいの人の中でも、馴染みの無い人も多いのでは。なんならその病気の存在自体を知らない人も。
なので良からぬ噂のために、客が来なくなってしまうというのに若干の違和感を覚えはしましたが。

展開として哀しさはあるにはあるんだけど。もしかしたら徳江さんはある意味で幸福だったのかもしれないね。
人生の最後の最後。幾ばくかの自由を手に入れ、一人でお店を回すことで、生きがいを味わうことができたわけだから。
籠から飛び出していった(放たれた?)黄色い鳥がそのメタファーなんだろうね。

最後に、浅田美代子さんが少々イラっとする役柄だったんだけど、あのスタンスがイメージに沿っていて。ハマってましたね。
ちょっと悪い方向での褒め言葉になっちゃってるけど(苦笑)
そして、あそこで市原悦子さん登場とは、反則じゃないの〜ってぐらいのキャスティングで驚きました。

そういった役者さんたちの演技。季節を捉えた空気。あと 木々の「ザワザワ…」や鉄板の生地を返す「カチン、ジュワッ」とか、かすかな音の使い方も見事でしたね。
派手さは無くとも、日本らしい美しさや儚さをまとった作品。見て良かったです。

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五十音のはじめとおわり。
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2015年05月07日

あっちゃん

ナリオ
イノウエアツシ、ニューロティカ
2014年に結成30周年を迎えたパンクバンドのニューロティカ。普段は実家のお菓子屋の若旦那として日々を送り、ライブになるとピエロのメイクでステージに上がり続けるボーカリスト“あっちゃん”ことイノウエアツシ
そして新旧のメンバーや多くの関係者のインタビューと共に、ニューロティカの歴史とバンドブームの実態を浮き彫りにする。

正直、ニューロティカをちゃんと聞いたことはありません。
でも そういうバンドがあったことは…って過去形で書いちゃったけど。

ニューロティカがメジャーシーンで活躍したのはずいぶん昔のことだけど、そのピエロのメイクやパフォーマンスは一度見たらバッチリ印象に残るからね。
そんな彼らが…って書いちゃったけど、オリジナルメンバーはボーカルのイノウエアツシのみ。他のメンバーは入れ替わりながら、ここまで30年活動していたんだね。

そんなニューロティカの足跡、そして現状。気になるので見てきました。名古屋シネマテーク。レイトショー1回、2週間の上映。
決してメジャーではないバンドだし…と思って行ったのですが、GW中とはいえ 補助席まで利用の超満員。

現役のファン?元ファン?それとも映画ファン?それぞれどんなスタンスかわからないけれど、コアな注目度の高い作品であるのは確かだね。

さて 冒頭からなんですが、ボーカル・イノウエアツシではなく、お菓子屋さん“あっちゃん”の日常からスタート。
早朝から車を走らせて仕入れに行くあっちゃん。店頭に商品を陳列しては、商店街に溶け込んでいくあっちゃん。

そんな姿とライブ映像。そして本人のインタビュー。また旧メンバーに現メンバー。さらには 様々なミュージシャンの登場も嬉しかったですね。

長く続けてたら そりゃ良いときもあれば悪いときもある。
それぞれの生活もあるから思いだけでは続かない。
元々ファンだったのが、巡り巡ってそのバンドでギターを弾くことになったり。
でも自分の好きな思いが強いからこそ、現状に満足がいかない。

それらの事例はあることですよ。うん、バンドではいくらでもあることですよ。

じゃあなぜニューロティカが映画になったのか。他のバンドにはなくてニューロティカにあるもの。それは何なのかと問われたら…やっぱり あっちゃんなんだよね。

ソロアーティストではなくてバンドなんですよ。バンドは一人じゃできないんですよ。でもニューロティカという名前は30年間続いている。
なぜならそこに、あっちゃんがいるからなんでしょう。

自他ともに認める通り、歌も上手くない、ピッチが取れない。歌い手としては致命傷と言ってもいい欠陥を持っていて。逆に上手くなっちゃうと“味わい”とか魅力が無くなっちゃいそうで。
それでも誰からも愛されているというのは、まさにあっちゃんの人間性なんでしょうね。
この映画からも、それはヒシヒシと伝わってまいりました。

ニューロティカ。そもそものジャンルとしては“パンク”なんですね。
なんかパンクって、酒飲んで暴れたりとかガラ悪そうだったり。勝手にそんなイメージ持っちゃってるけど。お人よしだけどパンクという存在もいるんだね(笑)

前述の通り、ニューロティカをそんなに聴いてきたわけではないけれど、それでもこの映画は楽しかったです。出会えて良かった作品です。
特に、地方の修学旅行生のエピソードには爆笑しましたし(笑)

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お母様も、お元気で…
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2015年02月27日

おみおくりの作法

ウベルト・パゾリーニ
エディ・マーサン、ジョアンヌ・フロガット、カレン・ドルーリー
孤独死をした人を弔う仕事をする民生係のジョン。ある日 彼は業務合理化の余波を受け解雇を言い渡される。しかし これが最後の案件だとして、ビリー・ストークの人生を紐解くため、イギリス中を回っていくが…

正直「おみおくりの作法」なんてタイトル聞かされると、かの「おくりびと」に引っ掛けたのかと。そうそうは 柳の下にドジョウはおらんだろ〜と。若干覚めたスタンスだったんだけど。
思いのほか評判がいいので「これは!」と思い見てきました。

原題の「STILL LIFE」は“静物”動かないものの意味が。
STILL はスチール写真とかの STILL なんですね。

確かに作品中、写真も大切なアイテムとして登場してますね。

主人公のジョン・メイは民生係として、孤独死として発見された方の遺品などから その身寄りとなる家族や友人を頼り、葬式を挙げるということを行っています。
ただ 孤独死ということから推察するに、声をかけられた側も葬式に関わる意志というのは乏しそう。
何より上司によれば そんなチマチマしたことしなくとも、とっとと葬ってしまえばいい…となる。

これは推測だけど、それらの故人を葬ったり墓地を用意する経費って、ジョンが私的に捻出していたのかな?
だから節約のためにツナ缶とトーストしか食ってなかったのかな?

そんな彼の仕事ぶりに業を煮やした上司はジョンの解雇を決定。
本来なら戸惑ったりしそうなんだけど、彼はその決定を受け入れる様子で。ただし最後の案件として、自身のアパートの向かいの部屋で発見されたビリーという男の調査を進めます。

元の職場、別れた家族、共に戦った戦友…その足跡の中で浮かび上がるビリーの人間像。
かなり荒れた性格で、荒んだ生活も経験しつつ、娘への優しも持ち合わせていた事実もわかります。

そのかいあって、ビリーは多くの人たちにより、またジョンの計らいで墓地の中でも長めの良さそうな区画で葬られるわけなんですが…
そこにジョンは現れないという。。。

生きている以上、いつかは死がやってきます。でも人生の最後。やっぱりちゃんと旅立ちたい、見送ってあげたい。
作品としては とても静かな展開。真摯な思いで鑑賞してました。基本的には哀しい雰囲気をまとったストーリーではあるんだけれど、ラスト30秒ぐらいで一気に優しい物語になりましたね。涙こらえるのがたいへんでした。
あのラストシーンは、ちょっとやそっとじゃ忘れられないぐらい揺さぶられるものがありました。

このようなメッセージ性は とても映画らしいアプローチのように思います。
妙な邦題に惑わされながらも、いやはや見に行って良かったです。

余談ですが…足の壊れたソファの下に 本を重ねて置くことで高さを調整するとは。
そういうトコロから「血は争えないな」なんてことも発見しました(笑)

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44歳ったら、ワシと同い年やん(涙)
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2015年02月21日

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

モーテン・ティルダム
ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード
第2次世界大戦時。厳しい戦いを強いられていたイギリスは、ドイツ軍の暗号機“エニグマ”解読のためのチームを編成。その一員であり天才数学者のチューリングは、他のメンバーと離れ ひとり電子操作の解読マシンを作り始める。
やがて彼の理解者も現れ、チームは一丸となりエニグマの解読へと近づいていくが…

試写で見させていただきました。
アカデミー賞で8部門でノミネートという話題作。ただし わたくしが見た段階では、まだ結果は出ていない状況なので。
あしからず。

ざっくりと概要だけは頭に入れての鑑賞。
“エニグマ”というドイツ軍の暗号機。本来であれば解読は不可能と思われるこの暗号に挑む、天才数学者の数奇な運命…といったところかな。

となると どうしてもエニグマの秘密とは何ぞや!?思ってしまいます。いや、それはそれで物語の大きな柱ではある。
ただ そこ以外の人間関係や、そもそもアラン・チューリングとはどんな人物だったのかと。

天才数学者と呼ばれた彼の、思考、生い立ち、目標、性癖、駆け引き、etc...
様々な要素を孕んだ彼の生き様こそが、本来のテーマなんですね。
「イミテーション・ゲーム」というタイトルが何を表しているのか。そういう部分も含めての映画だったわけですが…

そういった本来の この作品の見方を間違ったせいで、イマイチ楽しめなかったですわ。
もっと言うなら エニグマ解読のポイントも どうもピンとこなかったのでなおさらですわね。

今にして思えば 冒頭のナレーション、本編、そして どこに着地するのかというところまで。そういうスタンスで見てたら もっと楽しめてたかも。
見終わってから そういうのを知ったので、これ以上の評価できないということで。
あしからず。

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アライ・チュウリング
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2015年02月17日

アメリカン・スナイパー

クリント・イーストウッド
ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー
アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリスは、狙撃手としてイラク戦争へ派遣される。精度の高い狙撃の腕前を発揮し、いつしかクリスは“レジェンド”との異名を轟かせる。
が、度重なる戦地での極限状態を経験し、クリスの心は蝕まれていく。

前作「ジャージー・ボーイズ」から4か月。またもイーストウッド監督の新作が公開です。
「ジャージー・ボーイズ」と同様に、実在の人物をモデルとした作品。もちろん多かれ少なかれの脚色を加えてではありましょうが、それを映画というエンターテイメントに仕上げる確かな腕を持つのがイーストウッド監督です。

なんてサラリと書いてますが、今現在で84歳ですよ。映画監督をこなすってあらゆる部分に感性を光らせなくてはならないものでしょ。それだけを考えても大変な作業だと思うのに、この短いスパンで しかもクオリティの高いものを提供し続けるとは。
ホントに敬服いたしますよ。

さて、今作は“9・11”に端を発するイラク戦争が舞台。
その戦いに於いて活躍した凄腕狙撃手のストーリー。主人公クリス・カイルは“伝説”なんて称賛されて呼ばれますが、決して歴史上の伝説ではなく、今現在とも地続きじゃないかというぐらい最近の話なんですね。
だから見る側としても とても生々しく感じてしまうんだけども。

主人公が初めて戦地に派遣された時の情景がイントロダクション的に始まり、やがて彼が少年の頃の言わば原体験となるエピソードが綴られ、そのうえで再び戦地での続きが描かれます。二つの初めてのエピソードを交差させてあるんですね。
こういうワンクッションをおいたようなアプローチ、すごく上手いですね。とはいえ出来事としては たいそうショッキングなことなんだけど。

主人公の任務は敵方の 兵を遠方から確実に打ち抜くことであり「米軍史上最多、160人を射殺した」とされる狙撃手なわけで。
一部では「そんな男を英雄視するのはいかがなものか」との声もあるようですが、それをやらなかったら もっと多くの犠牲が出ていた可能性も考えられますし、それが戦争というものであって。
それを言うなら、そもそもイラク戦争が何であったのかという、大きな問題も別に転がってはおるんじゃないですか。

閑話休題。
基本的に戦争映画ではありますが、エンターテイメントとして引きつけられる要素もありました。
というのも敵の側にもオリンピック級の狙撃手がいるという設定がそれで。直接顔を合わせることも無ければ、互いに張り合うとかそこまではないんだけど、ライバル的な存在を置くことで両者の役割りと緊張感を高めることに成功してますよね。
そして最後の戦闘場面では、戦術のあやで一気に敵に攻め込まれるという危機感と、砂嵐をオーバーさせるというのはとても映画的に思えました。

近年のアメリカでは、子供が被害者となる映像は憚られる傾向があると聞きましたが、この作品中にはそういうことを考えさせる場面も出てきます。
確かに子供が犠牲となるシーンは見る側も覚悟が要りますね。

主人公は4度に渡って戦地に派遣されていきます。年月としても結構なもの。
やがて共に同じ部隊で戦った仲間が命を落としたり、自身も無意識のうちにPTSDに近い症状に陥ってしまいます。
そうこうするうちに帰還を決め、彼は家族との生活を取り戻します。

確かにエンターテイメントとして引き込まれる演出もありますが、一方で 実際の戦争にあってはそれだけの代償があるんだと。
モデルとなったクリス・カイルは無事であったものの、中には帰還こそしたものの、五体満足というわけではなかったり。体の傷、心の傷。そして命を落とす者も多数おるということ。それを思い知らされますね。

ラストに流れる映像や使用される写真は実際のものなのかな。
あのような映像を見せられると、さすがに涙をこらえきれませんでした。

最後の演出というべきか、エンドロールは無音のまま流れていきます。
そこで観客は それぞれの思いと向き合う。そんな時間が用意されているんですね。
もちろん映画のこと戦争のこともそうですが、同時に「イーストウッド監督、やるなぁ」というのも考えちゃいますよ。

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栗と東木
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2015年02月13日

ジョーカー・ゲーム

入江 悠
亀梨和也、深田恭子、小澤征悦、伊勢谷友介
陸軍で上官に背き、極刑を言い渡された青年。しかし結城という男に救い出され、秘密組織でスパイとしてスカウトされる。
青年に与えられたミッションは、世界を揺るがす機密文書・ブラックノートを奪うこと。彼は嘉藤との偽名を使い、国際都市“魔の都”へと潜入する。

『第30回吉川英治文学新人賞ほか数々の賞に輝いた、柳広司のミステリー小説』が原作という映画。
一応、和製スパイサスペンスムービーなのであります。

亀梨くんはさすがにジャニーズだけあって、一般の方からは色眼鏡で見られがち。
ですが わたくし個人的には、どんな仕事にでも真摯に取り組もうとする姿勢が見えて、意外と高感度持っているんだけど。
ただし、演技の幅はまだまだ狭いと言わざるを得ないですかね。

一方、ヒロイン役でもあるフカキョン。
彼女もデビューした当初はセリフ棒読みの子だったけど、何年もやってるうちに上手になってきてると思います。
ただ、今回の女スパイとしてのキャラクターは、ちょっと違うかな。ムチムチしたボディはよろしいが、スパイアクションをやるスタイルではないでしょうと。

基本はフィクションですが、舞台としては第二次世界大戦前夜のイメージで書かれていると。
東南アジアの地で、日本人のスパイがアメリカ、ドイツを向こうに回し、危険な機密文書を奪い合うと…

そんなスケールの大きい話なんですが、何から何までがチープな印象。
出てくる外国人キャストが みなインチキくさく見えてしまう。終盤の敵の施設のセット感がしょぼい。「ここが出口だよ」と書かれた内部の見取り図はコントの小道具にしか見えません。
そのうえで…世界を揺るがす兵器の機密が〜と言われてもなぁ。

トム・クルーズや007のようなスパイムービーを知ってしまっているモノにとっては、たいへんお粗末なモノにしか見えません。
いちいちピンチになってご都合主義のように切り抜けていく展開はマンガです。

そう、マンガといえば…
シリアスだけでなくて若干のユーモアを含み、時にスパイ組織の仲間が手助けしてくれるという見せ方は、やっぱり「ルパン三世」を思い出しちゃうよね。
かと言って小栗旬の「ルパン三世」レベルにも届いていないのだけど。

厳しいことを連ねましたが 良い面で言うならば、フカキョンが鞭で打たれて悶絶する場面とか、メイド服にチャイナドレス、黒ずくめのスパイコスチュームなどの場面はそれなりのニーズがあるのでは!?
って端からそれ頼みの設定で撮られているってことは、スパイムービーに期待してしまった人はないがしろだね。

良い原作があって、作り手にもやりたいことはあるんでしょう。
でも予算であったり、脚本にしろ撮影にしろ製作のスキルが伴わなくては、こういうことになってしまうんだという。そんな見本のような映画でした。残念。

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スッパイ作
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2015年01月14日

エクステ

園 子温
栗山千明、佐藤めぐみ、つぐみ、大杉 漣
横浜港にでコンテナから少女の遺体が発見される。しかしその遺体が何者かによって安置所から盗まれてしまう。
美容師を目指し海辺の美容室で働く優子。彼女の美容室に、謎の男がエクステを売りに現れる。やがて そのエクステをつけた人間が次々と怪死をする事件が起こり始める。

園子温監督、2007年の作品。この次に撮ったのが「愛のむきだし」なんですが、そちらで主演を張る満島ひかりも ここにちょっと出演してます。

この企画、元々は園監督が女子高生を取材するうち、エクステが流行っていることに着目。
このエクステというやつには、人工毛もあれば本物の人毛もあるんだと。

「そんな誰の髪の毛かもわからないものを身に着けて平気なのか」というところから始まったとのこと。
言われてみれば確かにそうだよね。

エクステ、髪の毛、少女の怨念…
いかにも女子高生が「キャー!キャー!」言いながらも見に行っちゃう、ありがちなジャパニーズホラーをイメージしちゃうんだけども。
でも そこはさすがに園子温。全然そういう路線の作品ではないですね。

物語の始まりはコンテナから発見された少女の遺体。その少女の念が発するエネルギーがひとつのポイント。
そしてもう一点。大杉漣演じるところの“美しい髪の毛フェチ”というちょっと変態な男の存在。
少女の念の籠った美しい髪を、髪フェチの男がエクステにして売り歩くことで、その念が暴れだし次々とエクステをつけた女性が犠牲になっていくというストーリー。
あくまで印象だけど、テイストとしては楳図かずおに近いのかな。

ただし、その見せ方というのは それほどおどろおどろしいわけではない。また いきなり「ズドン!」とかで悲鳴を誘うようなビックリ箱的演出も無い。
ある意味、念の怖さのストレート表現。

と同時に 大杉漣というベテラン俳優が見せる奇天烈なキャラクターがコワい。違う意味でだけど。
正直、主人公であるはずの栗山千明の存在は、きれいなロングヘアーのアイコンでしかなく、本当の見もの(見世物?)は大杉漣の方みたいですわ。
結局ホラー的な怖さよりも近くに居たら関わりたくない、コワいおっさんの方が上位の存在だとするならば、ホラー映画としては失敗なのかな。

とはいえ、この映画には また違った面でのコワい描写が登場します。
その一つは優子(栗山千明)と血の繋がっていない姉(つぐみ)の存在。

わかりやすいほどの水商売キャラで、優子の家に押しかけては横柄な態度で振る舞い、自身の娘を恫喝そして暴力を振るうと。
これまたわかりやすいほどの児童虐待の構図です。

これが園子温監督の上手いところで、この描写というのがかなりのリアリティ。
娘役の佐藤未来ちゃんを見ていて、映画なんだけどスゴくかわいそうで。

そしてもう一つ。コンテナで運ばれてきた遺体の少女なんですが。
この子が念を発するきっかけというのは、実は彼女は臓器売買の被害者で。内臓を取られ、髪の毛を剃られるという目に合っていたんです。
コチラはかなりデフォルメした描写に収めてありますが。

つまり、ホラー作品という看板で見落としそうになるけども、実際の社会においては 明らかにこれらの方がコワい事例なんですよ。
それがこの映画の本来のメッセージなのかなと思いました。

B級ホラーファンには微妙な作品だと思いますが、映画としての楽しみ方は十分にできるんじゃないかな。
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2014年12月21日

インターステラー

クリストファー・ノーラン
マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン
近未来、地球規模の環境破壊と食糧難で、人類に滅亡の危機が迫っていた。そこで 居住可能な新たな惑星を探すミッションが計画され、元パイロットのクーパーがクルーが選ばれる。
彼は幼い娘と息子に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指して宇宙船へと乗り込む。

「ダークナイト」シリーズや「インセプション」などのクリストファー・ノーラン監督による新作。
ジャンルとしてはSF映画ですが、テーマとしてはファミリームービーということだそうな。

近々の宇宙モノでは「ゼロ・グラビティ」も話題になりました。
監督の志向もあり基本的にCGに頼らない方針のため、映像的にはアチラ程ではないにせよ、テーマやストーリーも含めたトータルでの見応えはこちらの方が高いですね。

ウワサを聞き、念のため事前に相対性理論とは何ぞや!?うをチェックしておったので、さほど困惑することはなかったです。
でも“素”のまま見に行ってたらちょっとしんどかったかも(苦笑)

ホントに評判も良いですね。
やはりこういう壮大な宇宙への幻想。家族愛の美しさ。わかりやすい展開の中に、ちょっと小難しい要素が挟み込まれる感じとか。そして3時間弱という尺による大作感。
この手の作品は人気あります。

ただわたくし的には それほどでも無かったかなと。つまらないわけではないけれど、こういう系統であればトム・クルーズの「オブリビオン」やマット・デイモンの「エリジウム」でも“それっぽさ”は味わえなくもないかな?
それらのサスペンスチックだったりエンタメ性と比較すると、少々今作は地味目に思えたりして。
あくまで好みというのも含めての印象ではあるけれど。

ただ ちょっと心にヒットしたのは、次はどの星に向かうかという際に、科学を封じ込めて“愛”に賭けようとしてるトコがね。妙にヒューマニズムを覚えるやりとりだったので。

このストーリー、地球では始まりから終わりまでで60〜70年ぐらいの年月が経ってたりとか、惑星、宇宙船で微妙に時間軸が異なったりしております。
その惑星や宇宙船でも結構な時間がかかっているはずなんだけど、食糧とか大丈夫なのかと余計な心配してしまったり。

チョイチョイ変形したり、普通に会話をしたりする 斬新なロボットが出てくるんだけど、そいつに付いてるディスプレイが微妙に古臭かったり。
あんな狭い“スペース”で野球するなよとか、そういう要素は気にしつつも、普通に楽しめる映画ではあったかな。

でも世間で評価されるほどの名作とまでは思わなかったわけで。個人的な映画の好みの違いかもですが。
あとはアン・ハサウェイがキレイだったなと。まさにそれも好みの問題だな。

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モールスの偉大さたるや…
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2014年12月17日

おやすみなさいを言いたくて

エーリク・ポッペ
ジュリエット・ビノシュ、ニコライ・コスター=ワルドー、ローリン・キャニー
世界の紛争地域を飛び回る報道写真家のレベッカは、取材先で爆風に巻き込まれて命を落としかける。負傷し帰国したレベッカは、危険地域での仕事が家族の気持ちを苦しめていることに気づき、危険な場所へは二度と行かないと決意をする。

とても静かに、厳かに始まる冒頭のシーン。
戦地を取材する報道写真家が、悲しみに暮れる弔いの場面を撮影しているのかと思うとさにあらず。
それは、これから自らの命を懸けた行動に賭けんとする女性の姿でした。

どこか張りつめた空気から、一気に緊迫感のある状況へ。
そして主人公の写真家は命を落としかねないほどの大きなケガを負い、家族の下へと帰っていきます。

そんな状況から始まるんですが、ストーリーとしての動きは決して大きくはありません。ただし、登場人物らの心のうちが とても繊細に描かれていて、ヒリヒリしてきますね。
家族間だから許されること。家族間だから譲れないこと。いろいろあります。

妻、夫、そして親と子。
もちろん一緒に暮らせるならそれが一番安心だし。でも人としてやらなくてはならないことも理解できます。
でも なぜそれをウチのママがやらなきゃいけないのか。

彼女が写真を撮ることで世界が変わる〜なんてことはありません。
でも写真を通じて伝えること。それを誰かが受け止めることが、変化につながっていくわけで。
それが報道カメラマンの使命というものなんでしょう。

家族だから一番わかってはいるんだけど認めたくはない。でも結果的には この母にして この娘という結論へ進んでいきます。

ラストの場面。冒頭と同じような、ある女性の行為が行われています。
でも冷静に見て、それ女性じゃないんですよ。少女ですよ。

もしかしたら主人公の娘と同じぐらいの年齢かと。そんな少女が そういう命の賭け方を…
そんな状況を目の当たりにした主人公自身にも、冒頭とは違う動揺が。
そんな彼女の姿に我々も揺さぶられます。

観客として、いろいろ試される映画でしたね。

主演のジュリエット・ビノシュの存在、佇まいが素晴らしかったです。
それから 所々で“指輪”が象徴的に映し出されていたように感じました。

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どうせなら おはようも言いましょう
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2014年12月08日

オオカミは嘘をつく

アハロン・ケシャレス、ナヴォット・パプシャド
リオール・アシュケアズィ、ロテム・ケイナン、ツァヒ・グラッド
少女が惨殺される事件が発生。容疑者の宗教学教師ドロールへの行き過ぎた行為により、刑事のミッキは休職処分に。しかし独自にドロールを追い詰めていこうとするが、そこに被害者の父ギディが現れ2人を拉致してしまう。

『今年のナンバーワンだ! by タランティーノ』という文句に騙さ…いや、誘われて見た人多数。
確かに予告編の雰囲気も良かったので。かなり期待してましたよ。

冒頭のイントロダクション。子供たちが“かくれんぼ”に興じる。しかしひとりの少女が 赤い靴を残して忽然と姿を消してしまった…というスロー映像が実に美しくて。
また気持ち、盛り上がってきました。

主要登場人物は3人の男。基本、女性は電話越しにしか登場しません。
少女の誘拐殺人犯と目される気弱な教師。全く笑顔を見せない、剛腕刑事。そして被害者の父親。

教師は本当に罪を犯したのか、本当は潔白なのか?
刑事は確信あって容疑者を問い詰めているのか、好んで拳を振るっているのか?
父親は事件の真相を知りたいのか、容疑者へ向けた復讐心が勝っているのか?
これらが全く読めない。わからない。

その心理と真理が隠されたまま。実はバランスのとりにくい3人の関係がどうなのかと思いきや。
意外と揺れ動いたり、裏切ったりという部分は実際は薄くて。

一番の見せ場は暴行・拷問シーン。
のっけから教師がボコボコにされ、拉致されて以降に受ける仕打ちは まさかまさかの…
それどころか 手、足、胸へとエスカレート。まぁ見ていて痛々しい映像でしたわ。
ダメな人にはダメなシーンやったね。

かと思えば、ところどころで顔を覗かせるコメディ要素。しかも結構 安っぽい。う〜ん、なんだこりゃ!?
結果的に、3人の男の生きざまをかけた心理ではなく。事件の真相を追ったサスペンスではなく。拷問ホラー映画の体を成したコメディ…なのかしらん。

一応ラストカットで“真相”たるものが明示されるのはされるんですが、なんか これもイマイチしっくりこなくってねぇ。
あの人が真犯人ということで、良いのかい?その割にはアレじゃないのかい…的な。

いやぁ彼らが地下の密室に籠った時点では「SAW」とか そういう路線まで行くのかと思ったら。全然違ったなぁ。
肩すかし〜という部分も含めて、期待ハズレという感想は否めません。
やっぱり宣伝文句に騙された〜で間違ってなかったみたい。

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オトンとオジィが同級生にしか見えなかったんだけど
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2014年11月07日

悪童日記

ヤーノシュ・サース
アンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント、ピロシュカ・モルナール
第二次世界大戦末期の1944年8月14日。双子の兄弟は母親に連れられ、祖母の元へと疎開する。しかし母はすぐさま姿を消し、村人から“魔女”と呼ばれる厳しい祖母のもと、兄弟の過酷な日々が始まる。

冒頭に映し出される双子の少年。
父と母と四人で、ごく普通のしあわせな家庭の中で育ってきた…というところでしたが、第二次世界大戦の影響で疎開を余儀なくされ、兄弟は祖母の下で暮らすことになります。

しかし母と祖母の間には確執があり、母が祖母と会うのも数年ぶりだという。
さらに母は二人を置いて姿を消し、目の前の祖母からは過酷な労働を強いられます。
が そのような状況の中だからこそ、二人は強くなることを誓い、自らに心身の鍛錬を果たします。時には互いに殴り合い、鞭を打ち、さらには断食までも。

彼らは言います。何も怖くも辛くもない。ただ二人が引き離されることだけが嫌なんだと。

そんな二人の拠り所は聖書と一冊の日記帳。
彼らは聖書で学び、目に映った出来事をひたすら日記に書き記していく。
やがていくつかの季節が移り変わっていくうちに、彼らと周囲との関係性にも変化が訪れ…

時に弱者を助けたり、あるいは強気ものに救われたり。
また人種差別たるものに対しても、過激な行動で意志を表します。

やがて戦争が終わりを告げようとすると同時に、いくつもの別れが押し寄せます。ひとり、またひとりと…
結果的に二人にも別れの時が訪れて。それぞれ、別の道へと歩を進めます。
あんなに離れることに抵抗していたのに。

差し当たって、二人に名前はありません。どんな名前なのか解りません。
そして、彼らが書く日記というのも、よくよく考えると不可思議なことに気づきます。

二人で一冊の日記を持つとなると、いったいどっちが書いているのか。
それから作中、この二人がケンカすることもなければ、別々の絵になることも(ほとんど)ありません。たいがい二人いっしょにフレームインしています。

だから、たぶん、彼らは双子のように見えるけど、本当は一人なんじゃないのかな。
そうでなければ、表現として おさまりがつかない。
いや、でも最後には別々になっていくんだよね。

というところでいろんな方の感想を見ていたら、どこかの国を表しているんじゃないかとの考えもありました。
戦争を経て、ひとつの国が二つに分裂していく…ということですね。
なるほど、そういうことなのか。

物語というよりも、二人の生き様のみを描いた作品という印象。
彼らの表情が ほぼ変わらないこともあり、いろんな出来事があるにもかかわらず、感情は響いてきませんでした。

でありつつも、そんな彼らの存在、佇まいには目を奪われます。
ちょっと不思議なタイプの映画だったなぁ。

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悪童鈴之助
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2014年10月28日

小野寺の弟・小野寺の姉

西田征史
向井 理、片桐はいり、山本美月、及川光博
両親を早くに亡くし、それ以来二人一つ屋根の下で暮らしている40歳のより子と33歳の進の小野寺姉弟。少々クセのある姉弟だが、ほどよい距離を保ちながら共同生活を送っていた。
そんな二人の元に一通の誤配達の郵便が届き、その郵便をきっかけに姉弟の恋と人生に転機が訪れる。

元々は2012年に出版された西田征史の小説があり、2013年に向井理と片桐はいりで舞台化。そしてこの2014年に西田征史の監督・脚本により映画版が公開という作品。
一旦 舞台化されているという事もあり、片桐&向井の姉弟という関係性は出来上がってましたね。全く違和感なし。

少々失礼な話になるかもしれませんが、片桐はいりさんの顔というのは相当なインパクトありますね。
あの四角い顔のラインにぱっちりおめめ。そしてちょこんと乗っかってるおかっぱヘア。
愛嬌もあるけど真顔で怒った演技ではちょっとコワさも覚えるあの顔。

自身のキャラクター、自身のおいしいところをよくわかっていらっしゃるんでしょう。
また その良さを脚本も担当している西田監督が引き出しておられますよね。

これまで主演のポジションというのは少なかった はいりさんの存在感。そして脚本のおかしさも相まって、映画全体にじんわりとした“おもしろオーラ”が漂っております。

テーマは兄弟の絆であり、ひいては家族の絆と言えるのかな。そしてストーリーはラブストーリーが軸になっております。
が、ほんとに その辺りについては大きな出来事があるわけでもなく、奇をてらったような演出もなく。ストレートなハッピーでもなく、どこにでも起こりそうなエピソードで描かれております。
じんわりとした痛みを、炊き立てごはんのあたたかさが癒してくれるような。そんな映画でしたね。

などときれいごとを書いているわけですが、派手なアクションとか深い純愛とかそんなんじゃなくって。この程度の恋愛模様なら、お金出さなくても日常生活の中にありえそうなわけじゃん。
そんな まるでごく普通なことを描きながら これだけ見て良かった感を思わせるのは素晴らしいですよね。
これも映画の大きな可能性のひとつと言えるのかな。

ちょっと特異な存在感の姉。そして姉を裏切るようなことは絶対にできないという弟。
二人の関係性を はいりさんと向井理が見事に演じておられました。

そしてキャスティングも絶妙で。及川光博、麻生久美子、大森南朋など脇を固める皆さんが何気にバラエティに富んでますよね。あと片桐つながり?舞台のつながり?片桐仁さんも写ってましたね。

最後に、個人的に大好きな山本美月ちゃんが メチャメチャかわいく撮られていたのでその点は大満足。スクリーンに釘付けとはこのことです。
でも はいりさんも目が離せなかったよー!!

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どこを出しても恥ずかしくない女だ(笑)
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2014年10月26日

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所

R・J・カトラー
クロエ・グレース・モレッツ、ジェイミー・ブラックリー、ミレイユ・イーノス、ジョシュア・レナード
高校3年のミアはミュージシャンの恋人、親友、そして家族に支えられながらチェロ奏者となる夢を追っていた。
しかし家族4人を乗せた車が交通事故に遭遇。その後、ミアが目にしたのは、事故現場で横たわる自身の姿。こん睡状態となり、家族の厳しい現実も目の当たりにしながら、生死の行方は彼女自身に委ねられることに。

「キック・アス」や「キャリー」などでアクの強い役を演じてきたクロエ・グレース・モレッツ。そんなクロエちゃん初の等身大女子高生役…みたいに書かれてる記事も読みました。
とか言いながら幽霊みたいなもんだったりするんだが(苦笑)

ただ過去パートに於いては、普通の恋愛をしてキスもいっぱいして、彼氏とケンカして険悪な雰囲気になってしまうという。そんな感じでしたね。

映像的には ほぼクロエちゃん出ずっぱりで、ファンとしては非常にうれしい。ただしキスシーンの多さに嫉妬…
とはいえかわいいクロエちゃんがの魅力は十二分に伝わってきました。

が決してそれだけではなく。
確かにストーリー展開はシンプルで、時間軸も(過去を取り込みながらではあるけど)病院での一夜という設定。
ある意味とてもライトな感じだけど、自身の於かれた状況、周囲のやさしさ。そして全ての葛藤がバランスよく伝わってきて、見て良かったなと素直に思える映画でしたね。

日本的に言うのであれば、売り出し中の若手女優が悲劇のヒロインみたいな状況の中、恋愛話も絡めたお涙頂戴映画ありますやん。しかも原作がラノベだったりとかの。
そういうのって必要以上に詰め込み過ぎて鼻につくことになりがちだけど、この作品は あまり濃すぎないという面では好感。

スパッとしたラストシーンもじつにスパッとして個人的には好印象なんだけど、これも邦画だったら さらにねっとりともうワンエピソード付けちゃうとこだろうな。きっと。

そんな感じでそんなに濃過ぎずサラリと描かれているけれど、その分1時間47分という尺は少々長く感じられちゃうかな。

見た人の感想では、おじいさんが語り掛ける場面に涙が止まらないと。うんうん。
でも個人的には前半のところで「生きるも死ぬもあなた次第よ。だから全力で戦って」というセリフが、何気にスピリチュアルで好きだったな。
ちょっとフワフワした状況から、一気に映画としてのスイッチを切り替えるようなささやきだったですよ。

ところで そのセリフをささやいた看護師さんって、その後映ってたかな?
何かこっちの世界の人か あっちの世界の人か、わたくし的には若干疑問に感じた存在だったんだけど。

まぁまぁそれはさておき、映画としてはとても暖かみを感じられて良かったですよ。
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2014年09月29日

悪魔は誰だ

チョン・グンソプ
オム・ジョンファ、キム・サンギョン、ソン・ヨンチャン、チョ・ヒボン
少女が誘拐され死亡した事件から15年。時効目前で新たな手掛かりを得て、担当刑事チョンホは執念の捜査を続ける。やがて犯人に肉薄するも取り逃がし、事件は時効を迎えてしまう。
責任を感じたチョンホは刑事を辞するが、そんな折、15年前の事件と同じ手口の誘拐事件が発生する。

韓国ではこの手の事件を扱った映画も多いですね。
それが ひとつのジャンルとして確立されているとのこと。中でも実際にあった事件に基づいた実録もの、オリジナルの創作といろいろあるようですが、今作は後者。

前者であれば、より感情を掻き立てられるような作り込みがなされるのかな。一方こちらは かなり大胆で捻った事件として構成されているように思います。
もちろん 子を思う親の心。そして 例え時効制度があろうとも、徹底的に誘拐犯に対しての怒り憎しみはキチンと描かれております。

物語としては誘拐事件の二重構造。
ひとつの事件が時効を迎え、それと時を同じくして同様の事件が起きる。
15年の時を越えて、同じ犯人が何かしらのメッセージを送っているのか?あるいは模倣犯なのか?

アイツが怪しい、コイツがくさい…などといろいろ気にしつつ、脅迫電話、身代金授受時の接触、新たな証拠となるような“音声”の存在。
少しづつ真相に近づいていく間のドキドキが楽しめます。

そして真犯人が明かされたときに、観客は何を感じるかと。
その点については、素直に面白かったと。
それはそれとしてですが。。。

ただ雑なんですよね。どこが〜っちゅうか、何カ所かあるんですよ。
設定やら筋書きが かなりご都合主義であったり、この警察の間抜けさや ガサツさは何じゃとあきれ返ったり。
そもそも この状況ならあっちの事が気にならんかとか(苦笑)

起承転結でいうなら、転結となる後半の謎解きパートについては、まぁまぁ面白く見られますが、起承の部分はかなりザックリ。
その前半部分を大目に見ることができるなら、思わず「う〜む…」と考えてしまうような結末が味わえるはずです。

始めにも書きましたが、やはり実際の事件がモデルとなっている作品の方が、感情を揺さぶられる印象があるね。
この作品もテーマは近いけど、どちらかというとサスペンス要素が強いので「そういうことか」と感心こそすれ、心揺さぶられるまではいかなかったかな。わたくしの場合は。

でも よく考えられたストーリーだと思います。
このようなスタイルでひねりを効かせた脚本、日本ではあまり出てこないもんね。

大まかな結論としては…因果応報ということで。

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時効の挨拶
posted by 味噌のカツオ at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月27日

ある優しき殺人者の記録

白石晃士
ヨン・ジェウク、キム・コッピ、葵つかさ、米村亮太朗
ジャーナリストのソヨンとカメラマンの田代は、廃屋マンションの一室に向かう。
二人を呼び出したサンジュンは、障害者施設から逃げ出し18人を惨殺した容疑者。彼はこれから起きることを全て録画しろと頼み、連続殺人の真相を打ち明ける。

白石監督の作品は「ノロイ」を見てますね。あれもずいぶん前の作品だけど。
何やらその後もドキュメンタリー風ホラー作品をいろいろ手がけておったようで。
今回 縁あって、この作品を見ることができました。

いろいろなレビューを見てみると、白石作品の中でもかなり好評なようです。
ポイントとしては、Point of view いわゆるPOV方式でカメラの視点で映像が、そのまま映画となっていると。そして上映時間の86分がワンカットで構成されていると。

舞台は韓国。ほぼ廃墟と化した古いマンションの一室。
連続殺人を犯してきた男が、かつての知人でありジャーナリストの女を呼び出す。要求は日本人のカメラマンと共に自分を取材しろというもの。

なぜ この女性なのか。なぜ日本人カメラマンなのか。彼はなぜ殺人を続けるのか。
ビデオカメラの流れと共にそれらの謎が明かされ、やがて新たな展開を生み始めます。

ぶっちゃけ(悪い意味で)気になった点はいっぱい。
そもそも脚本というべきか、ジャーナリストの彼女はなぜ あんな言葉を投げかけるのか。幼なじみだからという関係性もあるだろうけど、取材という前提で相手の精神状態を思えば、あんな過激なアプローチは無いだろうと思う。

事件に巻き込まれる日本人夫婦のキャラがねぇ。狂人にさらに狂人をぶつけるのはしんどいよ(苦笑)
そして緊縛して緊迫した状況下でいちいちSEXをぶち込むのは興ざめ。
決して お嫌いではないけれど、ココではないかな。

ラストの展開はある程度 読めました。
あそこまで 暗くて薄汚くて痛々しい状況で引っ張るだけ引っ張っておいて、ファンタジックに落とすという。まぁそれしかないでしょと意識しつつ、個人的には嫌いじゃないエンディングでした。
ただ、イカゲソが出てきたのだけは予想外だったけど(笑)

あと、カメラマン役の人のセリフや うろたえる声や人が棒読みで。あれで時々覚める瞬間があったんだよね。
えっ、あの人が監督なの!?

できれば出演しない方がいいんじゃないかしら。。。
と厳しいことを書きつつですが、全編に渡る緊張感は心地よかったです。

全てをワンカットで一気に見せるというのも素晴らしい。
実際にはいろいろな技法と編集で作ってあるんだろうけど、それでも「切れた」「血が出たぞ」とか、どうなっているんだろうって思っちゃうもんね(笑)

犯人と記者が韓国人キャストなんですが、ぶっちゃけ そういう設定にされると、演技とかセリフ回しのクオリティがわからなくなるんだよね。
日本人キャストのクサい芝居が気になる反面、そっち側が煙に巻かれてる感もありながら、納得いくものに寄せていけてたんじゃなかろうか。

そんな憎まれ口も挟みつつ、基本的には満足な一本。企画力も技法もとても面白い。
現状は単館ロードショーの域を出ていませんが、白石監督が もっと予算を使えるような状況になれば、日本映画として世界で勝負できるぐらいの作品撮れそうに思うんだけどなぁ。
その可能性に期待したいです。
posted by 味噌のカツオ at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月07日

思い出のマーニー

米林宏昌
(声)高月彩良、有村架純、寺島進、根岸季衣
心を閉ざした少女・杏奈は、ぜんそくの療養のため、親戚が暮らす海沿いの村でひと夏を過ごすことに。
そんなある日、杏奈は湿地の対岸に古い洋館を見つける。ひとりボートを漕ぎ、誰もいないはずの洋館へ向かった杏奈だったが、そこで青い瞳、ブロンドヘア、白いネグリジェを纏った少女・マーニーと出会う。

いろんな意味で気になっていた作品ではありましたが、遅ればせながら鑑賞してきました。
米林監督は「借りぐらしのアリエッティ」以来の登板となります。宮崎駿が長編監督からの引退を宣言。そしてスタジオジブリとしても組織変更(アニメーターの契約解除など)を行ったことで、現体制では最初で最後の作品となってしまうのかな。
そんな裏事情も気になる要因の一つではありますが、まずは作品の感想。

別にいちいち文句をつける必要はないのかもしれないけれど、何だか一言づつ言いたくなってしまう作品でしたね。
主人公の杏奈は中学一年生の設定。ただ彼女の物事の考え方は、それよりも高い位置にあるように思えました。

これまでのジブリ作品でみた少女たちとも、ピュアな恋愛を受け入れる女性とも違う。よく言えば大人っぽくもあり、悪く言うなら病んでる感じ。
彼女の生い立ちからすると、それはそうかもしれないし、そういうキャラクターが悪いとも言えない。でもどこか受け入れにくい子にも思える。

そんな杏奈と相対するもう一人のヒロイン・マーニー。ぶっちゃけ そのまんま受け入れにくいキャラクター。
この世界観の中で金髪で青い瞳で名前はマーニーだけど、声もしゃべり方も有村架純。
彼女の存在感をどう位置付けていいのかちょっと困りました。

物語についても どこかしっくりこなかったり、わかりにくくなっていったり。
杏奈とマーニーそれぞれに悩みや葛藤があるとは思うのだが。それらの見せ方もやりようによっては とてもミステリアスにできそうなんだけど、やっぱマーニーのキャラの浮き方なのか どこか違和感が拭えない。

クライマックスというか謎解きというか、久子さん(黒木瞳)の語る場面があるわけですが、そもそも久子さんという存在がストーリーの中で際立っていないので、「なんでこの人が?」という印象も。
じつは久子さんが鍵となっている〜的な伏線が感じられないまま あのような大役を任せるのは、どうも取って付けたみたいで。
なんなら 必死こいて探し当てた日記帳で直接真実を知るとか。そういう方が主人公たちの成長につながるような気もするのだが、どうだろう。

そして これは完全に個人的な感覚のことだけど…
杏奈とマーニーが出会ってすぐ、階段を踏み外しそうになった杏奈の手を「パッ」とマーニーが掴んでみせる場面。ワシ的には、ああいうのいらんな。
妙に象徴的な風に見えて、後々それが生かされることのない行動。杏奈が階段を踏み外す必要性を感じない。

もう一つ。杏奈がおばちゃんと心の距離を持つ一因で、「わたしを養うことでお金を受け取っている」というのがありました。
これまでのジブリ作品で命や感情や欲などで価値観を図って見せることはありましたが、“お金”がでてきたのは驚きました。そして引きました。

命とか感情って人それぞれ見た人の価値観にゆだねられるけど、お金って誰にとっても同じ基準のモノだと思うんですよ。
時に子ども向けであったり、また大人向けであっても童心に訴えかけるアプローチであったり。ファンタジー志向のジブリ作品で、お金というあまりにストレートなものを使うとは。
それが(あくまで)わたくし的にとても引っかかっちゃいました。

最後に。決して大きな“アクション”がない物語なので、アニメ特有のダイナミズムを見せる場面がないわけで。
(映像として)ホントに共鳴させるなら、実写の方が向いてるのかもしれないですね。

作品について思うこともいろいろあるんだけど、大きくとらえてスタジオジブリは今後どうなっていくのか。
そんなことも気になる(心配になる?)作品でもあったかな。

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でぶっちょブタ!(苦笑)
posted by 味噌のカツオ at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月31日

イントゥ・ザ・ストーム

スティーヴン・クエイル
リチャード・アーミティッジ、サラ・ウェイン・キャリーズ、ジェレミー・サンプター
アメリカ中西部シルバートンの町に竜巻が接近。やがて同時多発的に発生したいくつもの竜巻が連なり、超巨大な竜巻へと成長。観測者・ストームチェイサーら多くの人々、そして町全体を呑み込んでいく。

この種のディザスターパニックってのは 事あるごとに製作されておりますわ。それに名のある役者さんも出ていないとなると、正直“引き”は弱いよね。
でも 何だか映画ファンとして引っ張られちゃいまして。見てきたのですが。
終始 見応えのある映像に展開で。なかなかのデキでした。
この作品のポイントはいくつかあります。まずは映像。

監督は『タイタニック』や『アバター』などに携わっていたとのことで。今の時代はCG技術の向上で、たいがいの世界観をリアルに作り出せるのはわかるけど。それでもなお、この映像はたいしたものです。
トレーラーから漏れたオイルが炎上し、それを竜巻が巻き上げ、さらに人か巻き込まれていくあの場面はよく考えられてますよ。

そしてその見せ方。竜巻の映像を観測するストームチェイサーが、記録として残さんとする映像が登場します。
それとは別に、高校の卒業式を撮影していたホームビデオ。そして学校内などの防犯カメラアングルの映像も。
それら、POV(主観)ショットの視点を映し出すことで、臨場感もアップしています。

もちろん様々な人間ドラマも重なってきます。
父と息子たち。子供を残してきた母。ストームチェイサーの使命感、だけでなく…youtubeに衝撃映像をUPせんと意気込むバカ男まで絡めちゃうとは(苦笑)
「ジャッカス」的なヤツらの存在は本編には関係なくとも、いいスパイスになってますよ。

そしてもう一点。竜巻を追うために作られたマシン、タイタス。
記録用にいくつものカメラを装備。ボディも窓も完璧な防弾構造。さらに風で飛ばされないよう固定する装置。
確かに普通の車では説得力がないうえに、こういう特殊な車だってだけで、我々かつての少年たちはトキメクもんなのですよ。
007のボンドカーとか西部警察に登場したようなマシンとか言ったら伝わるかな?

あとは映像の緩急の付け方もうまいですよね。
ひたすら大きな嵐で押すでなく、風がやんだと思わせつつ「まだ目の中だ。この後もっと強いのがくるぞ」としてみたり。
ついに車ごと風に巻き上げられた〜と思いきや、竜巻を越えた天空で最高に美しい状況をインサートしたり。

とにかくそれらの要素がしっかりと散りばめられていて、退屈する間もないまま引っ張られていく89分。
ってか、これだけドキドキを味わいながら上映時間90分切ってるんだ。
それにも驚きました(笑)

映画としてのツッコミどころは非常に少なく、高揚感も満足度もかなり高め。
もちろん この手の作品は「そのうちDVDで〜」ではなく、劇場の大スクリーンで見て、体感した方がおもしろいに決まってます。

ただ、ラストシーンについては…
確かに人々の言葉からは希望を感じましたが、全壊となったガレキの街並みについては、それを経験した人にとっては少々辛いものかもしれませんね。

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25年後には復興できているのかな
posted by 味噌のカツオ at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月30日

エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン

ゲレオン・ヴェツェル
フェラン・アドリア、オリオール・カストロ、エデュアルド・チャトルック
食の世界に旋風を巻き起こし続ける三つ星レストラン「エル・ブリ」の裏側に迫ったドキュメンタリー。
カリスマオーナーシェフのフェラン・アドリアとクリエイティブチームらが、斬新な一皿を生み出さんと多彩な食材に取り組む姿を追う。

“世界一予約のとれないレストラン”と言われる…いや、言われたが正しいのかな。
何やら2011年7月30日をもってレストラン業務を終了という話がありますので、過去形が正しいのでしょう。

料理を食べるのも作るのも好き、そして映画好きなわたくしであれば、この作品はやっぱり押えておかなくてはいけません。
などと言いつつ、公開当時に見に行っておりませんで、今回 DVDにて待望の鑑賞と相成りました。

席数わずか45席でありながら、年間200万件もの予約が殺到するスペインのカタルーニャ地方にある三つ星レストラン「エル・ブリ」。
三ツ星とは謳っておりますが、そこで提供される料理はかなり挑戦的とも実験的ともいえるもの。
さらには、年間のうち約半年間を営業。残りの半分はレシピを考案するための“研究期間”とするそうで。

そんなレストランの裏側とは果たしてどんなものか…
期待して見てはみましたが、残念ながらテンション上がらんかったですねぇ。

早い話が ここには何も写されていないという印象で。
レシピを考案する、料理を作る。そういった具体的なモノが出てこないんですよね。
肉を切って 野菜を炒めてとか、調味料振って 盛り付けてとか。そういうの一切なし。

そして我々には馴染みの無い食材をよくわからない作業を施すその様子を、遠巻きに写すという。ほぼほぼお皿の上はアップになりませんし。
もっと料理番組とまでは言わんけど、「料理の鉄人」みたいな場面も見たかったなぁ。

エンディングに流れるコース料理の数々の写真が非常に美しくて その幻想だけは高まるんだけど。本編の中に、それをひも解くようなテイストがあまりになさすぎで。
やっぱり残念な映画だったですわ。

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エル・ぶり大根
posted by 味噌のカツオ at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月19日

怪しい彼女

ファン・ドンヒョク
シム・ウンギョン、ナ・ムニ、パク・イナン、ソン・ドンイル
女手一つで優秀な一人息子を育て上げた70歳のマルスン。いまや口の悪さと頑固さとで、家族からも煙たがられる始末。
そんな彼女が不意に立ち寄った“青春写真館”で写真を撮ると、不思議なことに20歳のころの自分に戻っていた。

わたくし的韓国映画の魅力の一つに「女優さんがキレイ」というのがあります。
しかし 残念ながらこの作品の主人公は(チラシで見るかぎり)タイプではなかったのでスルーしてましたが、あちらこちらで感想を見たところ結構な高評価。というわけで見てきました。
そのうえでの率直な感想は、ものスゴ良かったですよ(^-^)

70歳のばあさんが謎の写真館で写真を撮ることで20歳の姿に若返ってしまうというトンデモ設定。もちろん現実にはそんなことはありえないわけで。
そういう意味では劇団ひとりの「青天の霹靂」と似たニオイも感じましたが、実際 作中に「青天の霹靂かしら?」なんてセリフもあったりして(笑)
意識してる?それとも単なる偶然!?

そんな 見た目は20歳、心は70歳のヒロインが あらためて自分のための人生を生きていくという物語。
その過程の中で密かに憧れていた歌手活動を始めたりするんだけど。

そこで歌われるのは(おそらく)韓国の懐メロなんでしょうかね。そういう視点での受け止めはできないけれど、不思議なもんで なんだか沁みました。
素晴らしい楽曲、最高の歌声というのはいろんなものを越えて響くもんですね。

また韓国映画には病気やら事故が付きものだなんて言われますが、ここに於いては 腑に落ちる設定だったのでそれもヨシとしましょう。

と同時に 人が人を思う心というのも上手く表現されてました。
3世代が関わっているので、母と子、父と子、ばあさんと孫。いろんな関係が出てきます。
息子が母に語り掛けるシーン。それに対し自分を誇らしく応じるシーン。泣けましたね。
さすがに 嫁と姑はどうかと思いましたが、そこもラストにはアレでしたし(笑)
丁稚くんのお嬢様への一途な思いもアクセントになっていたし。

元々 主人公がタイプでは無いとは言いましたが、でもこの作品の中でイキイキした彼女を見ていると どんどん楽しくなってきて。その魅力も伝わってくるもので。引き込まれていきました。
それから主人公の孫娘(出番少な目)が大島優子ちゃんみたいでカワイかったんだけど、こちらも最後には華麗な転身を遂げまして。細かいところまで漏らさないなと感心。

わたくし的エンターテイメント度で言うなら、限りなく100点に近いですよ。
インド映画にはアクション・恋愛・ホラー・ダンスなど様々な要素が入っていると言いますが、この映画もそれに近い感覚で。いろんな要素を楽しむことができました。
エンドロールのラストの字幕もいいんだよね。
おススメな一本です。

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羽鳥さんを写真撮ったら あのプロデューサーになるのかな
posted by 味噌のカツオ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月10日

宇宙人王(ワン)さんとの遭遇

アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ
フランチェスカ・クティカ、エンニオ・ファンタスティキーニ、ジュリエット・エセイ・ジョセフ
高給につられ緊急案件だという仕事を請け負った中国語翻訳家のガイア。目隠しをされたまま連れてこられた謎の施設で通訳をすることとなるのだが、その相手は流暢に中国語を話す宇宙人、王(ワン)さんだった。

劇場公開時にひそかに気になっていた作品。先日テレビで放送していたのを観ました。
2011年制作のイタリア映画。

イタリアの国家施設に捉えられた宇宙人。しかしその宇宙人は中国語を話すため、翻訳家の女性ガイアが緊急招集され その交渉の通訳を任されると。

イタリア映画で なぜ宇宙人が中国語?と思いきや、人口比率からして 地球では中国語がもっとも多く使われているであろうというのがその理由。
ふむふむ。それはそれで理に適っているぞ(^-^;)

当初はガイアに恐怖心を抱かせないよう、暗がりの中にいた宇宙人の王さん。しかし彼女の要請で照明を灯したところ…
そこには なかなか安っぽい作りの宇宙人が(笑)

いや、ちゃんと口を動かしたり まばたきもするので安っぽくはないのだが。
なんかそのツルンとした質感とか、イカのような触手がなんとも。さらにはそのイカがイスに縛られちゃっているという憐れみも涙を誘います(!?)

確かにその設定は面白味たっぷりなんだけど、尋問の中で“彼”から聞きたい要点が さほど緊張感を感じられず。また堂々巡りのような会話もイマイチ深みを得らえなかったかな。
そして“オチ”についても、わりとそのまんまと言えなくもない感じで。
全体を通しての衝撃度に関しては弱いよね。

本来ならもっとスケールの大きな問題であるだろうに、こじんまりとした交渉劇に終始している点は なんか もったいない。惜しいって感じ。
ですがシンプルであるが故、感情の起伏や物語はとてもわかり易かったんじゃないかな。本編83分という尺も相まって。

さて、王さんが中国語をしゃべるというのは、ズバリ国家としての中国を表しているのかな。
そのうえで、このような世界観にするというのは何をかいわんや。

あまり世界情勢には詳しくないですが、2014現在 中国と近隣諸国は様々なトラブルを抱えております。でイタリアと中国も何がしかの摩擦があるんでしょうか。
それがあってこそ、中国語の宇宙人だと思うんだけど。そこがちょっと気になりました。
そこがわかっていれば また一段と受け止めやすかったかもしれんね。

それはそれとして、中国語翻訳家のガイアさんがキレイでよかった。
彼女を見てるだけでも この映画、満足よ(^-^)

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あのイカ野郎には 一杯食わされたわ。イカだけに…
posted by 味噌のカツオ at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする