2014年04月25日

WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常

矢口史靖
染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、柄本 明
大学受験に失敗した勇気は ふと目にしたパンフレットに誘われ、1年間の林業研修プログラムに参加することに。しかし神去(かむさり)村は携帯電話も通じず、マムシやヒルが生息する山奥で。おまけに林業の現場の過酷さ故、逃げ出さんとする勇気だったが、パンフレットで見た美女が住んでいることが判明。山に留まる事を決意するが…

矢口監督は「ウォーターボーイズ」と「スウィングガールズ」でさんざん笑わかさせてもらいました。
テレビの面白さ。ラジオの面白さ。舞台の面白さ…いろんなジャンルの特色ってあると思うんだけど、矢口監督はまさに映画の面白さに長けた人ですね。
今回もかなり楽しい作品に仕上がってます。

この作品には「神去(かむさり)なあなあ日常」という三浦しをんさんの原作小説があるんですね。
しかしまぁ、林業とはまたニッチなジャンルに目を付けたなと思います。正直“引き”は弱いかと思うんですが…

それでも小さなバカバカしさと滑稽さを散りばめることで、映画としてはメチャメチャ面白いです。
全体を見据えた伏線と回収がありつつ、ネタ振りとオチという小さな可笑しさ。退屈しないどころか、油断も隙もないぐらい笑える要素がやってきます。

また主人公のいじられっぷりとかダメっぷりを染谷将太が見事に演じてます。こういう味を出せるのは、ホントに上手いですよね。
一方の伊藤英明もらしいですね。いかにも山の中の田舎にいそうで。仕事には熱くてカタい面もあるけれど ものの見事にオンナに弱いキャラクター。
そのくせ大木をチェーンソーで切るシーンは“消防士”とか“佐川”に通じるような、女子が食いつきそうなカッコよさがありましたね。

さて、山の中の〜田舎〜なんて書きましたが、僕らが子供の頃にはこれぐらいの自然とか大きな家とか。素朴な子供とか神秘的なオハナシとかあったように思います。
そんな経験をしてきた者からすると、ちょっと懐かしさを感じる映像でもありました。
田舎スタンダード?山奥あるある?というべきか。

クライマックスの大祭もいかにもありそうな感じで、それでいて笑えるもので。あんな大木を落下させて行きつく先がアレってのがまた。。。
ナチュラルでダイナミックな奇祭っぷりがお見事(笑)

そんな中で余計な詮索として気になったのが、どこまでが役者さんでどこからがエキストラさんなのか。この境界線が読めない。
一言いうだけの人でも妙に自然だったり。この人はマジだろうと思ったらマキタスポーツだったり柄本明だったり。そんなリアリティも見逃せないですね。

それから事故にあった鹿が出てくるんだけど、あのカチカチのシカさんを見て「スウィングガールズ」のイノシシを思い出して笑えちゃったよ。
イノシシが出てシカが出てきたら今度はチョウがどこかで出てくるかな!?

とまぁグダグダと思うところ書いてきましたが、ホントに面白い映画です。映画館でもいっぱい笑い声が起きてましたし。
さらにはエンドロール後にキレイな落としどころを見せてくれてね。

林業のイメージアップになるかはわかりませんが。おそらく、たぶん、たいがいの人が笑顔で劇場を出ることのできる作品なんじゃないかな。
シンプルにおススメできる映画ですよ!!

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伊藤英明の手鼻の衝撃ったら...
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2014年04月13日

アデル、ブルーは熱い色

アブデラティフ・ケシシュ
レア・セドゥ、アデル・エグザルコプロス、サリム・ケシュシュ
街ですれ違った青い髪の女性エマに何かを感じた女子高生のアデル。その後 バーでエマと再会し、二人は情熱的に愛し合うようになる。
数年後 アデルは教師となり、エマはアデルをモデルに絵を描き。アデルは幸せをかみしめていたが、エマの作品披露パーティーが催された頃から、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていく…

カンヌ国際映画祭の最高賞“パルムドール”受賞作。本来は監督が手にする賞でもあるけども、主人公の2人と合わせて3人に その賞が贈られたそうな。
なんとコミックが原作のフランス映画。原題は「LA VIE D’ADELE CHAPITRES 1 ET 2」とのこと。全く意味わからんので翻訳ソフトを通したら「アデル第1章および第2章の生命」となりました。
わかるような。わからんような。

邦題は「アデル、ブルーは熱い色」。
熱い色と聞いてイメージするのはたいがい赤やオレンジ。どちらかというとブルーは、海、空、アオレンジャー。冷たさやクールな印象だよね。
これが世界的に同様なのかは何とも言えないけれど。

主人公の女子高生・アデルが画家を目指す美学生で青い髪をしたエマと出合い、瞬間的に心を惹かれ…そこから始まる長い愛の物語。
長いというのも、実際に時系列こそ出てきませんが、それなりに互いが成長して その立場が変化していくところまで描かれているわけでして。
もっというなら上映時間も179分と長め。でも二人の関係を非常に丁寧に描写してありますし、決して冗長ではなかったです。

アデルはとびっきりの美人という風でもなく。わりと普通の女子高生なのかな。
一方のエマは、表情や振る舞い、ファッションなどもちょっと男性のそれを思わせます。
そんなエマも脱いだらメチャメチャ“オンナ”だったりするので。結構そういう設定もニーズあるような気がしますね。

そんな2人の大胆な絡みが大きなスクリーンで、クリアな映像で、しかも結構な尺でございます。うん、これはパルムドールもののラブシーンでですよ。って それはさておき。

映画の本筋はエマとアデルの愛の物語。
不意の出会いから互いに意識し合い。付き合いだしてから“友人”としてそれぞれの家で両親と共に食事。
一緒に暮らすようになって、生活、夢、キャリアアップ。そんなこととも向き合いながら、幸せな時を過ごし。
ところが 些細なことからその関係が崩れていきます。

ネタバレ的に書きますが。
あの決定的な一夜。エマがアデルの浮気を執拗に責めて別れることになるんだけど。
その会話の中でアデルが「寂しかったから」と訴えるセリフがあります。

もしかしたら、エマが先に心変わりをしていて。それでアデルが浮気に走ってしまったのかなと。
数年後、エマには別のパートナーが既に存在して…という状況から鑑みてじつはそうでなかったのかと勘ぐってしまいました。

こういったエピソードの感覚って、経験したことある人ならビリビリ伝わってくるんじゃないかな。
とんでもない失恋した翌日でも、当たり前のように職場に立たなきゃいけなかったり。
(復縁を期待して?)ダイナーで再会したとき。始めは目も合わせられないほどよそよそしいんだけど、肌と肌が触れ合って。体は共鳴しそうになりながら…でも、心は離れているという。
あんなの見てると、思わずアデルと一体化して泣けてきちゃいますよ。

愛し合う2人には いろんな感情があって駆け引きがあって、ウラがあってオモテがあって。
この恋愛ドラマにはウソくさい要素は皆無です。その分「ドラマチックじゃない=面白くない」という感想もありますが、これだけのリアリティで心を揺さぶられたら、それだけで引き込まれちゃいますね。映画に。
ただ その当事者が女同士というのが唯一のイレギュラー要素。でもおかげでラブシーンも美しかったと感じちゃうのは男目線すぎるかな?

青いヘアーとの出会いで始まり、青いファッションの後ろ姿で終える純愛。
それが青春の終わりなのかもしれないね。

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スパゲティーをむさぼり食いたくなる!!
posted by 味噌のカツオ at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月23日

アナと雪の女王(2D・吹き替え版)

クリス・バック、ジェニファー・リー
(声)神田沙也加、松たか子、ピエール瀧
王家の姉妹、アナとエルサ。氷と雪を自在に操る力を持つ姉のエルサは、自分の意志に反して真夏の王国を冬に変えてしまう。
そのまま行方を絶った姉と王国を救うため、妹のアナは山男のクリストフ、トナカイのスヴェン、夏に憧れる雪だるまのオラフとともに山奥へと旅に出る。

今年度のアカデミー賞で、長編アニメーション賞と「Let It Go」で主題歌賞を受賞した作品。
わたくし、いろんなジャンルの映画を見てるつもりでしたが、こういったディズニーの“プリンセス!”なアニメ作品は初めてですわ。
果たしてエロ・グロ・ナンセンスがお好みのおっさんが見て楽しめるのか!?

ベタベタなアニメで育ってきましたわたくし。正直言って この手のキャラクター造形は好みではないです。
「かぐや姫の物語」とは正反対に位置するタッチのビジュアルに、イマイチ感情移入をしかねるところはあります。

でも それはさておき、アニメーションの技術は素晴らしかったですね。
世界が雪に埋もれる様、氷の城が作られていく映像はファンタジックに美しかったです。

さて ここからはまた夢もへったくれもない、シビアな感想になってしまいますが…
冒頭部分からミュージカリーな描写がありまして。そういうのがお好きな方であれば大丈夫でしょうが、わたくしどうもダメみたい。
「レ・ミゼラブル」の時にも思ったんだけど、なぜかミュージカルってのがしっくりこない。もはや好みの問題でしかないけれど。
でも これが舞台の生歌だったら 間違いなく背筋ゾクゾクきてるだろうな〜とは思うんだけど。

それから大前提として、姉が雪を操って触れたものを凍らせる力を持っているというのが受け入れられない。その力はなんなの?なんでそうなっちゃってる?
これで妹が炎の魔法を使えるとかであれば、百歩譲って「そういう設定なんだね」と言ってあげられるのに。

オハナシは雪山に身を隠してしまった姉を、妹が探しに行くということになるわけですが、そこに至るまでにも様々な出会いがあったりエピソードが挿入されてきます。
基本的に展開が早くてあれよあれよという感じ。もっとじっくりと物語を見たかったな。と同時に、会話の しゃべりのスピードも超早口で。
しゃべりのペースの速さで、部分的に息苦しい印象もありましたよ。

そんな早口姫のアナのわがままっぷりは、男子目線で見るとちょっとイラ〜っとしてしまう振る舞いなんだよね。落ち着いて人の話を聞けと(苦笑)
確かに「初対面で結婚て…」と忠告したくなるし。
どうなんでしょ。世間一般のお姫様体質の女子は、こういう映画を見て「そうよね〜」とか思うんでしょうか?
これだから女ってヤツは…と思ったり思わなかったり。

しまいにゃ「真実の愛が…王子さまのキスが…」というあまりの王道お姫様路線。個人的には もはや王道を下回る横柄なキャラにしか思えなくて。
若干、キツいな〜と感じたところ、なんとその半歩先を行く着地点に降り立ちまして。そこんところは素直に納得できたかな。
でも全体的なストーリーはちょっとこじんまりとし過ぎてるように見えました。とても狭い世界で納まってるような。

そういった気になる要素もいっぱいあったんだけど、一方で声優陣には文句ナシで。
事前にチェックしていなかったので後になって知ったんですが、アナの役は神田沙也加さんがやってたんだね。
なるほど、あれだけのわがままキャラも納得(苦笑)もちろん歌唱力の素晴らしさも。

歌唱力でいうなら松たか子さんが歌う劇中の「Let It Go」も完璧。
youtubeに上がっているのをあらためて見たけれど、非の打ちどころがないよね。
そして もう一人。夏に憧れる雪だるま・オラフ役のピエール瀧さんの芸達者ぶりも必見。
キャラクターとしても歌のシーンも、こんなに可愛らしく演じられるとは。とにかく驚きました。 

基本、洋画でも字幕版をチョイスするんだけど、これはアニメだからね。どうせ字幕版も吹き替えなんだし(笑)
ってなわけで吹替え版を見ましたが、その点は正解だったかな。

さて この冬は、世界的に寒波がニュースになったり、日本でも尋常じゃない雪に見舞われたりしたんだけど。もしかしたらその能力をコントロールできなくなったエルサが、現実にいるのかもしれないですね。
どうよ。このファンタジックなまとめ方。

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オラフに「ぶっこんじゃうぞ」って言わせたい
posted by 味噌のカツオ at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月10日

ウィンターズ・ボーン

デブラ・グラニック
ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、デイル・ディッキー
ミズーリ州南部の山脈で、心を病んだ母、幼い弟と妹と暮らす17歳の少女リー。ドラッグの売人をしていた父親が逮捕され、自宅を保釈金の担保にしたまま失踪したと告げられる。
家を立ち退くまで残された期間は1週間。リーは家族を守るべく父親捜しの旅に出る。

サンダンス映画祭のグランプリ&脚本賞を受賞。そしてアカデミー賞の4部門をはじめ、世界の様々な映画祭でノミネートされたという作品。
レンタルDVDにて鑑賞しました。

数多の受賞およびノミネートという華々しさとは裏腹に、映画そのものは全編がほの暗い映像で、終始寂しげな雰囲気に覆われております。
タイトルからしてウィンターですから当然だけどね。

映像がそんなであれば、ストーリーもやはりダークで。
すでに逮捕されていた父親が自宅を保釈金の担保にしたまま疾走。翌週の裁判に出廷しない場合、その家は没収されてしまうと。
幼い弟と妹、精神を病んだ母を抱え、17歳の主人公・リーは父親を捜しに出るものの、誰の協力も得られず。さらには「これ以上動き回るな」とばかりにリンチまで受け…
ほぼ救いようのない内容であります。

舞台となっているのがアメリカはミズーリ州の山岳地帯。季節も手伝ってか ほとんど光が射さすことのない淀んだ空と森に囲まれた集落。

映画として行方不明者を探す場合、いろんな人に出会い、何かしらの手がかりを得て、様々な街を駆けずり回るものですが、ここで主人公が「父を捜しているの」と向かう先は ほぼ親族であったり、面の割れた集落の中の家々。ほとんど広がりを見せない世界。
しかも「父のことは忘れろ」と。「とっとと帰ってくれ」と誰にも向き合ってはもらえない。

ハッキリと描かれているわけではないけども、ヤバい商売に関わっていた父が 何かしらの“掟”を破ったことで、どうやら…消されてしまったと。
そもそもが小さな集落。一族であり、またそれに近いような付き合いである場合、人間関係の破たんが イコール 終焉となる可能性は高いんだろうね。

小さなコミュニティだからこそ、その一件で主人公の一家が周囲から一斉に見放されてしまうような。
そして17歳の少女も、決して自分の信念を曲げるようなスタンスではないので、痛い目をみることになったりして。

そんな人としての心の寂しさが映し出されているのかな。
ただし、行方不明の父の実の兄が かろうじて手を差し伸べてくれて、また周囲の面々も「しょうがねぇなぁ」ということにはなるんだけど。

日本では村八分(村のおきてに従わない者に対し、村民全体が申し合わせて、その家と絶交する)なんて言葉もありますが、まさにそんな構図かな。
でも もうちょっと俯瞰してみれば、舞台となっている集落自体が、広いアメリカの中にあって 見放されたかのような。あるいは国に迎合しないことを貫いてる世界に見えなくもないけれど。
皮肉なもんですね。

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冬用のズボン?
posted by 味噌のカツオ at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月03日

アメリカン・ハッスル

デヴィッド・O・ラッセル
クリスチャン・ベイル、ブラッドリー・クーパー、エイミー・アダムス
詐欺師のアーヴィンとその相棒で愛人のシドニー。FBI捜査官リッチーによって逮捕された2人だったが、同時に司法取引を持ちかけられる。
それはカジノの利権に群がる政治家とマフィアを罠にハメるというもの。さっそく彼らは標的のカーマイン市長に近づいていくのだが…

今年のアカデミー賞に於いても有力な作品とウワサされている「アメリカンハッスル」。
さすがに映画ファンの注目も高いようで結構な客入りでした。

実話がベースになっている作品。舞台設定は1978年。
時代背景、衣装や映像から伝わる雰囲気は「アルゴ」を思い出しますね。

ただしあちらはヒリヒリと張りつめた緊張感でグイグイ引き込まれた映画でしたが、この作品は冒頭の映像から微笑んでしまいます。それが付け毛(?)で1:9分けのヘアをセットするというシーン。
ちょっと見てはいけないもの見ちゃってるみたいな(笑)

そこから時間軸を入れ替えた構成がありつつ、登場人物の立場やキャラを明かしていくような感じにはしてるんだけど、わたくしこの時点でイマイチ乗って行けず。

この物語の面白味はFBI、詐欺師、社会の悪、それぞれが騙したり騙されたり、時にピンチになってそれを回避したり。
と同時に男と女と女と男…愛憎、嫉妬、裏切りの駆け引きという“人間”の見せ場も重なってきます。

登場人物も決して少なくはない中で、それだけの情報を(当然ですが)会話中心で引っ張ります。
ただしベタベタの日本人のわたくし、字幕でそれを読んで、何のことか理解して、内容を咀嚼していくのは必死でしたよ。いや、ぶっちゃけ付いていけきれなかったですね。

誰が善人で誰が悪人か。誰がキーパーソンで誰が曲者で。市長さんはそう陥れられるほど悪い人でもなさそうだし。なんて見極めも難しかったし。
いやぁ英語?英国訛り?メキシコシティー出身?とか言われてもどうにもピンとこないしねぇ(苦笑)

唯一 ニーロ(!)が出てきた場面で一気に緊張感が高まったのは事実。
でも全体的に映画としての求心力は弱かったですね。

登場人物の設定が頭に入ってて、ヒヤリングでセリフを理解できて。それに70年代のヒット曲に精通してて。
あとはラッセル監督の過去の作品に思い入れを持ってる人であればバッチリ楽しめること間違いなし!!
ハードル高っ!!

ちなみにわたくしはエンドロールを見て「クリスチャン・ベイルか!」と気付いたぐらいで。
それぐらいの騙される要素のある映画(ほぼ負け惜しみ)ですよ。

余談ですが、ここで言う“ハッスル”っちゅうのは「張り切ってハッスルする」ということではなく、「詐欺・いかさま」という意味なんです。
そこは騙されないように。

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金属をレンジに入れちゃアカンよ
posted by 味噌のカツオ at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月01日

7番房の奇跡

イ・ファンギョン
リュ・スンリョン、パク・シネ、カル・ソウォン、チョン・ジニョン
知的年齢6歳の父ヨングと小学校入学を控えた6歳の娘イェスンの親子。ところがヨングは殺人の容疑で逮捕され、刑務所に送られてしまう。
離れ離れとなってしまった親子だったが、7番房の仲間たちの協力でイェスンを7番房に潜入させ、親子は再会を果たすのだが…

韓国では4人に1人が見たという大ヒット。さらには大鐘賞(韓国版アカデミー賞)で12ノミネートの4部門受賞という栄誉。
日本公開では上映館数は少ないものの、見た人の満足度は非常に高いという作品です。

主人公は知的年齢6歳、ピュアな男ヨング。そしてしっかり者の6歳の一人娘イェスン。
いきなりスクリーンに映し出されるのは なんと「美少女戦士セーラームーン」。舞台設定は現在より15〜20年前と思われますが、韓国でも人気だったんですかね。

そんなかわいいセーラームーンのキャラクターの入ったランドセルをめぐり、一人の少女が命を落としてしまいます。
そこで介抱しようとしていたヨングが幼女暴行殺人事件の犯人として捕まり、哀れ死刑の宣告を受け、刑務所の7番房に入れられてしまうと。

その7番房に収監されている憎めないキャラの仲間たち、そして悲しい過去を背負った課長をはじめとする刑務所の職員たち。
純真なヨングと触れ合う中、彼らの中で「コイツが人殺しなわけがない」という思いが湧きあがり、彼の無実を証明せんと奮闘。そして再審の日がやってきます。

この手の韓国映画には非常に多いドタバタコメディ感。それでいて後半には しかと人の心に訴えかけるものがあるという。
多くの人が涙腺決壊しちゃうんじゃないかってぐらいの作品に仕上がっています。

物語的には それはありえないんじゃ〜という設定が多いです。でもなるべくそこは深く考えずに、ひとつのファンタジーとして見るべきかな。
熱気球のエピソードなんかはまさにその極み。

それはそれとして、わたくし個人的に気になったのは、3年前に見た「ハーモニー 心をつなぐ歌」とダブる点が多いことですわ。
そちらも韓国映画だったんですが、刑務所、死刑囚、親子関係、キリスト…同様のキーワードがあって、最後に号泣という(苦笑)

どうしてもあの作品と比較してしまって。なおかつ、こちらになくてあちらにあるのがみんなで歌うシーン。あの一体感、歓び、エンタメ性…
それがある分「ハーモニー」のが勝ってるかな。わたくしの中ではね。惜しい。

しかしまぁ近年は子役のレベルがすごく高いですね。もちろん世界的にですよ。
この映画でのイェスン役のカル・ソウォンちゃん。雰囲気は本田結望ちゃんっぽい子です。彼女のイキイキした姿は目を引きました。
芦田愛菜さんもそうですが、こういう子役が将来大女優に成長していくのかな。

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月に代わって、お仕置きだべぇ!
posted by 味噌のカツオ at 01:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月31日

オンリー・ゴッド

ニコラス・ウィンディング・レフン
ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ヴィタヤ・パンスリンガム
ビリーとジュリアン兄弟はアメリカから離れ、タイのバンコクでボクシングジムを経営しながら、その裏で麻薬の密売に関わっていた。
ある日、兄ビリーが若い娼婦を殺した罪で惨殺される。兄弟の母・クリスタルは弟ジュリアンに復讐を命じるのだが、そこに元警官で裏社会を取り仕切る謎の男チャンが立ちはだかる。

レフン監督&主演ライアンの作品「ドライブ」は以前に見ておりまして。スタイリッシュなカッコよさが印象的な作品でありました。
あれはあれで万人ウケしにくい感じはありましたが、今回はそれに輪をかけて大変な作品に仕上がっております。

原題は「ONLY GOD FORGIVES」。訳すると「神のみが赦し給う」と。
舞台はタイのバンコク。長男を殺され、その復讐を母に命ぜられた次男。
彼が立ち向かう相手は、タイの元警察官の男。この男、現職の警察官たちを後ろに従え、正しくないと思ったヤツ(?)には大きな刀を振り下ろし、エゲつないまでの制裁を加え…カラオケを歌う。

うん、間違ったことは書いていないはず。であるのに よくわからない。
やはりこれは「ドライブ」以上に見る人を選ぶ作品なのか?はたまた観客の方が試されているのか?

この手の作品はストーリーよりも何が映し出されているのかを意識した方が良いと。
そういうスタンスで必死でついていこうとしたんだけど、残念ながらコレというポイントを理解しうることはできませんでした。

帰宅後にいろいろレビューなんかも見たんだけど。
ここでは元警察官のおっさんが神としての存在で。そのおっさんのお裁きで、アカンかったら背中に仕込んだ刀でザックリいかれると。
確かにそこのところは見たまんまなんだけど。
それ以上の考察はわからなかったなぁ。

そのフォーマットをゴッテリとした映像で見せたということなのかな?それがこの映画の表現なのかな?
ザックリの後にしんみりとカラオケを歌い上げることの意味はどうなのさ?

監督には監督なりの表現とメッセージがあるはずなんですが、謎だらけのままであります。

主演はライアン・ゴズリングということになってますが、実質の主人公はあのおっさんの方やね。
間違いなくそれぐらいの存在感はありましたよ。
でも映画としては、わからないなぁ。

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オリゴ糖
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2014年01月13日

永遠の0

山崎 貴
岡田准一、三浦春馬、井上真央、夏八木勲
健太郎は祖母・松乃の葬儀の席で祖父・賢一郎とは血がつながっていないことを知る。血縁上の祖父は松乃の最初の夫で、太平洋戦争時に零戦パイロットとして特攻隊員となり散った宮部久蔵という人物だった。
健太郎は祖父がどんな人物だったか調べようと、彼のかつての戦友を訪ねまわり、やがて久蔵の思いも寄らない真実を知ることとなる。

今期のお正月映画のNo.1ヒットと言えるのかな。
そもそも2006年に発表された原作も大ベストセラーとなっており、そんじょそこらの作品以上に 原作と映画版とリンクさせて読んだり観たりされている一本ですね。

いつもながら映画は見れど、全く本は読まないわたくし。ズバリ比較して論ずることはできませんが…
様々なレビューを見ると大方の意見は汲み取れます。

当然ながら壮大なストーリー、繊細な描写を144分の映像の中に完璧に落とし込むのは不可能。
ですが 原作のファンの方からも、満足度はそれなりに高い仕上がりとなっておるようです。

ここからはわたくしの印象で…
まず主演の岡田准一は見事だと思いますよ。「図書館戦争」の時と(立場的に)被るキャラでもありますが、面構えなんかは非常にカッコいいですよ。背は低いけど。

そして脇を固める役者陣も上手な人を揃えましたね。
濱田岳、新井浩文、染谷将太と映画向きな若い役者がズラリ。田中泯、橋爪功、山本學といった味のあるベテラン勢がズラリ。
中でも昨年亡くなられた夏八木勲さんの佇まいは、それだけで深みを感じてしまいます。

その一方で、ストーリー展開になんとなく慌しさを覚えたのはわたくしだけなんでしょうか?
確かにいろんな証言、エピソード、感情が表現されておるのですが、それらを網羅してジワジワ込み上げてくるものは乏しかったのかな。

原作未読のわたくしですが、ああなって こうなって、徐々に宮部久蔵という人物が明らかになるんだな〜というのは予測がつきますし。
またそれらを凌駕するようなどんでん返しも弱かったかな。

別にこれを“駄作だ!”と一刀両断するつもりはありません。ましてや「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズで素晴らしい映像とヒューマニズムあふれる作品を作ってきた山崎貴監督なので、それ相当のクオリティであるのは間違いないです。
ただ年間に何本も映画を見てる映画ファンであれば、これぐらいのレベルの作品はそれなりに存在すること理解してましょう。

それもあって、映画サイトにて「最高の映画でした」という感想が羅列されているのをみると、それほど騒ぐほどでもないかなと思ってしまいます。
また季節に1本ぐらいしか見ないライトユーザーとか、普段 余程ロクな作品見てないような方々が「感動しました。泣けました」と言ってるのかなと。余計なことが気になっちゃいます。
心に響くのは悪いことではないけれど、「泣ける映画 イコール 良い作品」ではないからね。

ずいぶんと偉そうなことのたまってるわたくしですが、ラストで健太郎の目で前をゼロ戦が飛んでいくシーンは印象に残りました。あれ、いい映像だったなぁ。
そしてサザンオールスターズのエンドテーマもね。

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堀越二郎がいたから零戦が生まれたのだよ
posted by 味噌のカツオ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月29日

エリジウム

ニール・ブロムカンプ
マット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャールト・コプリー
貧困層は地球に、富裕層はスペース・コロニー“エリジウム”に住む近未来。地球のイチ労働者・マックスは作業中の事故により余命5日の宣告を受ける。
何としても「生きたい」と願うマックスは、不治の病も完治させる医療ポッドのあるエリジウムに渡ることを決意する。

2009年に「第9地区」でデビューしたブロムカンプ監督の新作。

舞台は2154年のロサンゼルスという設定。140年後…ですか(笑)
そんな先の地球がどうなってるかはわからないので、基本的にはやりたい放題な映画にも思えますが。でもそこを突っついてはアレですから。

とにかく荒れ果ててスラムと化した地球に貧困層が住み、富裕層はスペース・コロニー“エリジウム”にて悠悠自適、セレブなライフをおくっていると。
時々地球からエリジウムに向かって ギュウギュウ詰めで人が乗り込んだ宇宙船がやってきます。しかしあっ気なく当局に捕まり、えらい目に遭うことに。

現代でも富裕層と貧困層の住み分けはハッキリしてるところもありますし、国をたがえての密入国や亡命を望む人はいくらでもおるわけで。
その辺りは素直に2つの世界を表現してあります。

さて、エリジウムには医療ポッドなるものがありまして。それを使えばどんな病気も怪我もアッという間に治療してしまうスグレもの。
現代で言うなら高度医療については それこそ富裕層・お金のある人の為のもの…的な状況に置き換えられますか。

そしてこの映画の主人公・マックス。悪辣な環境の中 低賃金で働かされているのですが、作業場のアクシデントで放射能のようなものを浴び、余命5日と診断されてしまいます。
そこでマックスは生への執念から医療ポッドを目指し、エリジウムへ渡ることを決意します。
そんでもってバタバタとした展開になっていくわけですが…

近未来のバトルをスタイリッシュに描いた作品もありますが、今作は基本的には泥臭い系統。
ってか荒廃した地球の現状はそこそこ描かれてますが、ユートピアであるエリジウムの生活がチョロっとしか出てこないので、主人公の日常との対比はしにくかった。
早い話が感情移入するポイントが薄い印象。

正直 様々なマシンたロボットが登場したり。大リーグボール養成ギブスみたいのも付けちゃったり。あとルンバみたいのが空飛んだり。
それらメカにまつわる映像やバトルシーンがスゴイ割りに、人間ドラマが弱かったんじゃないかな。
リアリティの裏打ちがされていないアクション映画などと言っては元も子もないか(苦笑)

「第9地区」は良い意味で悪ノリ感を味わえて面白かったように覚えがあるけど、今回は「ふ〜ん。それで」的な手応えで終わっちゃったな。

さて、以下ネタバレになりますが…
余命わずかな体を治癒させるべくエリジウムに渡った主人公。激しい戦いで体はボロボロになり、ついに息絶えてしまうのです。
でも医療ポッドで復活とかはできないのかな?死んだらもうアウトなの?
顔面ふっ飛んだアイツは再生したけど。死んでなかったの!?

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待っとって、慰問
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2013年10月09日

R100

松本人志
大森南朋、大地真央、寺島しのぶ、松尾スズキ、渡部篤郎
有名家具店に勤務する片山は、途中退会不可の謎のクラブ“ボンデージ”に入会する。以降、様々なタイプの女王様が片山の日常生活の中に現れ、彼を恍惚の世界へと誘う。
しかしその内容は次第にエスカレートし、片山はプレイの中止を求めるのだが…

決して評判の良いとはいえない松本人志監督の4作目。
過去の作品と大きく違うのは、メジャーな役者さんが多数登場していること。ある意味で意欲作とも取れるのですが…

如何せん面白くはない。
基本的なストーリーもあるにはあるし、この先どうなる?と惹き付ける要素もあるにはある。
でも それらの興味というのがスッと腑に落ちるような瞬間がないんだよね。ずっと「なんだろう?なんだろう?」で進んでいくんですが。

普通の娯楽作品なら 小さな疑問を謎解き謎解きしながら、クライマックスへいくもんです。
またいくつものストーリーが絡み合ってわかりにくい映画でも、ラストにそれらが一本のスジにつながってカタルシスを得ることができるんだけど。
そこまでたどり着けないんだよね。

この作品にもしっかりとした答えはあるんですよ。
芸術作品って解りづらいものが多いけど、見た人が好きなように感じるものが芸術・アートだと思うんですね。
でもこの映画はアートと違って、他の思考を受け入れないんですよ。監督の意向という答えがひとつだけあるんですが、その ひとつしかないんですよ。
でもそのひとつというのが難しいんだわな。

だからこの難問を解けた人は「松ちゃんは天才だ」となるし、わからない人たちは「もぅ映画を撮らないで」となるわけで。
「しんぼる」も同様だと思います。

当然ですが わたくしもこの作品で表現されていることは…さっぱりわかりませんで(笑)
それでも、松本監督には今後も映画を作り続けて欲しいなぁ。日本にもこういう作風の監督がひとりぐらいいた方がね。

映画の内容とかメッセージはわかりにくいけど、間違いなくキャスティングは100点満点。全員イメージ通りでしたよ。

あと松本監督、何気にプロレスの要素を上手く取り入れますよね。
「しんぼる」も同様だと思います。

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恍惚の表情がホマキっぽかった(失礼)
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2013年09月16日

アップサイドダウン 重力の恋人

フアン・ソラナス
ジム・スタージェス、キルステン・ダンスト、ティモシー・スポール
富裕層が暮らす星と貧困層が暮らす星が、上下で接近するように引き合っている世界。
下の世界に住むアダムは上の世界のエデンと出会い恋に落ちる。しかし二人は星の境を監視する警備隊に見つかり、逃げようとしたエデンは頭を強打し意識不明に。
それから10年後、アダムはエデンが生きていることを知り、彼女に会うために命がけで上の世界に潜入するが…

太陽の周りを回りながら、真反対に引力が作用する双子惑星。
富裕層が住む「上の世界」と貧困層らの「下の世界」が向かい合うものの、互いの世界の交流は禁じられ、唯一 大企業の「トランスワールド社」が二つの世界を繋げている。

というそんなSFチックな設定。
下の世界に住む主人公の青年は、幼い頃に山頂で上の世界の住人である少女と交流を持つ。
障害があるほどに恋は燃えるものではありますが、この異世界間の恋愛も決して上手くいくはずもなく。やがて二人は引き離される運命に。。。

しかしひょんなことから彼女の居所を知った彼は、危険を冒してまで彼女の元へ駆けつけます。まぁ純愛!
おまけに彼女は‘事故’の影響で記憶喪失になっており、過去に彼と出会っていたことは全く覚えていないという。「冬ソナ」のヨン様のような状況。

そんな二人の恋の行方は!?というオハナシ。

そもそもの設定が超現実世界でありまして。超越しちゃってるのね。
なのでアレコレとツッコミを入れるのもどうかと思ってダラダラ見ちゃったわけで。

上手く言えないけど、もう少し設定を生かすこともできたように思うなぁ。
あるいはサスペンス要素をもうちょっと強めるとか。なんだかそこそこのイイ話で終わっちゃってるみたいでね。
そもそも、ヒロインのキルステン・ダンストがタイプではないので、わたくしも感情移入仕切れなかったのも…

ただし 上と下に存在する世界やオフィスの映像というのはちょっと見ものです。まさに普通の映画では見られない絵でしたね。

さてさて、この後にも若干似たようなシチュエーションの作品も控えております。
「エリジウム」と「サカサマのパテマ」というものなんですが。
また機会があれば見てみたいと思います。

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ドリフの無重力コントも懐かしいね
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2013年08月09日

ABC・オブ・デス

15カ国から選抜された26人(組)の監督が それぞれアルファベット1文字を与えられ、“死”をテーマに5分間の短編を製作するというプロジェクト。
すなわちアルファベット・A〜Zまで26本のホラーオムニバス作品集。

通常映画って90〜120分ぐらいの尺があるものですが、わずか5分の短編でひとつの世界観を提示しなくてはならないと。なお且つ 自身の企画ではなく、テーマを与えられての製作。
となれば おのずと実験的な作風が出てきたり、着地点のよくわからないもの、観念的な映像みたいのも登場します。

面白かろうが 趣味が合わなかろうが、5分弱で次から次へと作品が展開していくので、わたくし的にはお得感があって十分に楽しめました。
ただし、あくまでテーマが“死”ということで。。。

テーマが“死”ということで決して美しい映像は期待できない。
確かに表現方法は様々ですが、枠としてはグロいものから下品なものまでってことで。

しかし驚いたのは、便所・便器・ウンコ系の多さ。
安易と言えば安易だが、ショートでインパクトを出すには手っ取り早いのかも。
もちろん“恋愛”がテーマだったら そんなことはなかっただろうが。

一方、似たような方向性でありながら便器ではなく「Fart おなら」で勝負したのは井口昇監督。
作品には激しくガッカリだけど(笑)、井口監督のブレない方向性には素直に感動を覚えました。

同じく日本人・西村喜廣監督はアルファベットのラスト「Zetsumetsu 絶滅」という作品。
アングラスタイルで非常に危険な映像です。シメがこれで良かったのか!?
いやいや、オムニバスは全て並列の作品群です。こりゃもぅしょうがない。

冒頭のA「アポカリプス」の衝撃。B「ビッグフット」、C「サイクル」のストーリーはいずれも面白かった。
D「ドッグファイト」はスローの映像が素晴らしい。L「リビドー 性欲」は…
T「トイレ」、クレイアニメであのような残酷映像ははじめて見ました。繊細に作りこんであったなぁ。
M「流産」は短かったけど、わたくし的にはインパクトありました。一番好みだったかも。
X「ダブルエックスエル」もエグさと美しさがクロスされていて良かったです。

繰り返しますが、テーマが“死”なので見る人を選ぶような企画ではありますが「映画」というジャンルが好きな人であれば見て損は無いと思います。
欲を言えば、決して世界的に有名な監督が参加していないという弱さは否めない。

しかーし!!
現在企画が進行している第2弾には、園子温監督や『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督に声がかかっているそうなので、実現したら更なる注目を集めること間違いなし!!
期待しましょう!!

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自慰はGにあらず
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2013年07月11日

インポッシブル

フアン・アントニオ・バヨナ
ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガー、トム・ホランド
2004年、タイのリゾート地で休暇を楽しむマリアとヘンリーと3人の息子。しかしクリスマスの翌日、スマトラ沖で発生した大地震による巨大津波がタイにまで押し寄せ、彼らはもちろん、多くの人々を一瞬にして飲み込んでいった。
一家は離ればなれになり、傷だらけになりながらも、再会を目指して第一歩を踏み出す。

2004年。多くの人々やリゾート地界隈が被害にあったスマトラ沖地震による津波。そこで起こった ある家族の物語を映画化。
今から8年半前にもなるのか。確かに当時のニュースなどで見た実際の映像に、驚きと恐怖を覚えたものです。

確かに津波は恐いけど、地震が起こった影響で、しかも しばしの時間が経ってから、こんなムチャクチャな津波が襲うのだと。
その6年後、日本も同様の津波で多くの人命が奪われたわけなんだけど。

なんだか日本人として、東日本震災の痛みを持っているのは確かだけど、それ以前にも こんな大きな津波被害があったこと。忘れていたのかも知れないですね。
ちなみに、この津波がベースとなっているであろう、イーストウッドの「ヒア・アフター」という映画がまさに東日本震災の時期に上映されていたっけか。

事象としては ひとつのディザスタームービーであるけれど、こういうのを見るたびに「作り物として こういう映像を撮る作業って大変だろうな」と「すごい技術があるもんだな」と。そんな感心もしてしまいます。

エンドロールの際に1枚の家族写真が出てきますが、この作品は実際に この津波の被害に遭われた一家の体験を元に描かれております。
なので災害の規模の割りに、映画のスケールとしては こじんまりとした印象を受けなくもないです。
言ってしまえば 離ればなれになった5人の家族が、また会えるのか…というただそれだけの物語。

でもシンプルにまとめ上げたことで、いろいろストレートに伝わってきましたよ。
やはり すんなり言葉の通じなければ 書かれている文字を読む事もできない異国の地での災害。その心細さをヒシヒシ感じました。見るのが苦しくなるほど痛々しい映像もありました。
一方で 同じ境遇に置かれたもの同士の助け合いの心、もちろん家族が一緒にいる事の心強さもわかりました。あとは 恐がりな次男の成長もね。

実話ベースということで、必用以上なまでのクサい演出はなかったし。その点もスッと受け止めることができた要因かな。
もちろんナオミ・ワッツ(アカデミー賞・主演女優賞ノミネート)以下、主要キャスト(子供たちも)の演技も素晴らしかったですよ。

ちなみにインポッシブルは‘ありえないさま’や‘不可能なこと’の意味があります。そんな状況下での奇跡のストーリー。

この地球上で起こった出来事として、同様の災害に見舞われた日本人として。見過ごしてはいけない作品とも思いました。

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せめて おんぶで集落まで行ってくれたら…
posted by 味噌のカツオ at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月28日

アフター・アース

M・ナイト・シャマラン
ウィル・スミス、ジェイデン・スミス、ソフィー・オコネドー
伝説の兵士サイファと息子キタイらを乗せた宇宙船にトラブルが発生。機体は大破し、1000年前に人類が捨て去った地球へ落下してしまう。
ほかのクルーたちは死亡。サイファも重傷を負い、帰還に必要な緊急シグナルを捜すため、キタイは予期せぬ危機が待つ 荒れ果てた土地に足を踏み入れる。

ウィル・スミスと息子のジェイデン・スミスが、「幸せのちから」以来2度目の共演を果たす話題作。
ですが、わたくし全然関心なかったんだけど。。。

えっ!?全く前面に出てないけど この作品ってM・ナイト・シャマラン監督なの?それはぜひ見なくては!!
というわけで、ある期待を込めて劇場に足を運んできました。

1999年に「シックスセンス」で大ヒット。一気に名を馳せたシャマラン監督でしたが、その後は…
鳴かず飛ばずならまだしも、ゴールデンラズベリー賞に2度も輝くというダメ監督のなを欲しいままにしております。

我々観客も良いものを見て目を肥やすのも大切ですが、その逆もまた大切で。アカンものは何がどうアカンのか、リサーチする事も必要なのです。
って、始めっからダメダメ作品と決めてかかっているわたくしなのですが…

未来の地球。過去 そこに存在していた人類は、既に他の惑星に移住している〜という設定は先だってのトム・クルーズ「オブリビオン」と同等の設定。

冒頭、お約束のナレーションが入ります。
何やらモンスターがおりまして、そいつは目が見えない変わりに恐怖心というフェロモンを読み取って人を襲うと。
多くの人が犠牲になったけど、ウチの父ちゃんは そんなバケモノに恐怖心を抱かないので、簡単にモンスターをやっつけちゃうんだそうな。

なんと あまりに生き物として不自然。まるでそういう存在がないと映画としてなりたたないみたいなローカルルール。思わず苦笑。

この物語をリードするのは少年の方で。ただしこの少年、体力はあるけど思考能力にいささか乏しく、人の忠告を無視して勝手な行動をしたりウソをついてみたり。その挙げ句に心細くなっては泣きそうな顔になっちゃう。
そんな感情移入をさせてくれないダメ息子さんで。正直 見ていてイライラ。

案の定、後半には立派な戦いもしてみせて、兵士として成長したんだなと思った直後には、息子として父親に寄り添っていく場面があったり。
どこに向かおうとしているのか、何を拠り所にしたいのか ピンとこない展開ですよ。

水に近づけない猿。少年を助ける鷲。何かに反応してざわめく草木たち。
それらも謎でしたが、もしかしたら監督からのサインなのかもしれない。

「危険は目の前にあるが、恐怖はお前の中にある」というメッセージも一理あるような。恐怖に打ち勝つ心というテーマがあるのかもしれない。

ただ それらのメッセージや主張を映画という手法に込めるのが下手なんじゃないかな。シャマラン監督は。
過去の作品も そんなイメージあるもんなぁ。

サスペンスをエンターテイメントに昇華したヒッチコック。ちょっと異質だけど考えさせられる部分が残るスティーヴン・キングの世界観。
それっぽい方向へ向かいたいんだけど、あまりにポンコツなのか ただの自己満足なのか。
ホントにシャマランは惜しい監督です。

でもそのダメさ加減に浸ってこそのシャマラン作品。
今回はそこにウィル・スミスの親バカ?ごり押しキャスティングが追い打ちをかける形で、さらに我々の期待を‘上回る’ガッカリ度合いが実現しております。
これなら3度目のゴールデンラズベリー賞も狙えちゃう?

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アフター・あざーす!!
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2013年06月02日

オブリビオン

ジョセフ・コシンスキー
トム・クルーズ、オルガ・キュリレンコ、メリッサ・レオ、モーガン・フリーマン
2077年、エイリアンの攻撃を受けて半壊した地球。人類は他の惑星へ移住したが、ジャックとヴィクトリアは地球に残り、監視活動を継続していた。
そこに一機の宇宙船が墜落。ジャックは仮眠状態になっていたジュリアを救出するのだが、目覚めた彼女は会ったこともないジャックの名前を口にするのだった。

トム・クルーズ主演の最新作は遠い未来の地球を描いた SF…アクション…スリラー…サスペンス…
なんちゅうかそんな感じ。でも本当は ひねられた愛のストーリーってかな。

トム・クルーズって多くの作品に出ていますが、シリーズものって「ミッションインポッシブル」ぐらいなもので、いろんな役を演じておりますわね。
個性の強い役者になると、何を演じても その人にしか見えないなんて弊害もありますが、トムの場合はそれも許せてしまうと思っちゃうのはわたくしだけかしらん!?

主人公のキャラだけでなくアクションにメカにシチュエーションに、予算がいろいろ使われてるから それが気にならないって側面もあるのかもしれないけど。

わたくし この手の未来のお話ってそんなに得意ではなくて。
どうにも勝手にルール(文化や設定)を決めたうえで物語が始まりますやん。
今を生きているわたくしからすれば説得力の無いトコからスタートになっちゃうので、イマイチ乗り切れなくて。

確かにこの作品もそんなではあるのですが、思いのほかゴチャゴチャさせることなく、シンプルになっていたので入っていけましたね。わかりやすかったですよ。

メカだっていくつも登場するでなし、画面に写るのは地球の自然の情景が多かったし。
登場人物も決して多くは無いので、そういう意味で見やすい作品ではあります。

その一方で、あまりにシンプル過ぎて物足りない感が無きにしも非ず…みたいな。
やはり未来の荒廃した地球とか、異星人に狙われるとか、そんな映画って多いわけで。
結局、この作品に登場する設定って、どこかで見たことあるようなものばかりなんよね。

元々予告編を見た段階で、この映画がどういう方向性なのか‘ピン’とこなかったのですがね。
アクション映画的なものを期待して見ると、残念なデキに映っちゃうけど。
60年をかけた純愛ストーリーとして見たならば…

それでもやっぱ、ラストシーンは少々ムズ痒かったなぁ。

ちなみに「OBLIVION オブリビオン」とは忘れられている状態・忘却という意味らしいです。
なんだか ある意味そのまんま(苦笑)

広い砂漠、トムのコスチューム、メカ全般の白いカラーに、敵の黒、大自然の緑。
そんなシンプルな色使いも印象的。

それ以外の どうでもいい情報としては、ジュリア役のオルガ・キュリレンコは真木よう子に似てるなと。
主人公のジャック・ハーパーという名前はジャックダニエル&IWハーパーでウイスキーっぽいなとか。ドローン見てたらガンダムに出てきたボールを思い出したとか。
ホンマどうでもいい(笑)

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オクリビト
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2013年04月01日

アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち

サーシャ・ガバシ
スティーヴ・“リップス”・クドロウ、ロブ・ライナー
1980年代の音楽シーンに影響を与えた、かつての人気バンド・アンヴィル。現在では地元トロントで別の仕事をしながらもバンド活動を継続中。
そんな彼らのトラブル続きのヨーロッパ・ツアーやアルバム製作の様子とともに、男たちの友情と絆を描き出すドキュメンタリー。

プロレスラーのザ・グレート・サスケは一時期 映画のキャラクターにインスパイアされることがチョイチョイありまして。
それが時に「ダークナイト」であったり、時にミッキー・ローク「ザ・レスラー」のランディであったり。
そして「アンヴィル」モードに入った事もあったんですよね。

それほどまでに多くの人に影響を与えたこの作品。密かに気になっておりましたので、今回 DVDで見てみました。

冒頭、1984年の夏に日本のスタジアムで開催されたフェスの模様が映し出されます。
スコーピオンズ、ホワイトスネイク、ボン・ジョビ、そして アンヴィルと。

‘当時は’それらと横並びになるぐらいに人気もあり、ファンだけでなく他のアーティストにも多大な影響を与えたアンヴィル。
しかし何がいけなかったのか…その後に彼らはセールスも落ち、活動も縮小。

オリジナルメンバーのヴォーカル&ギターのリップスとドラムスのロブは、'95年以降加入のギタリスト、ベーシストとともにバンドを続けるも、50歳代になった現在では バイトしつつライブも行なうという状況。
しかし彼らのバンドには、もっとビッグになってやるという熱い思いと無限の可能性があったわけです。50歳を過ぎてもなお。。。

そんな書きかたするとちょっと滑稽な感じも拭えないのだけど、いやいや、このドキュメントを見ていると あまりにピュアなその思いに感化されていく部分もあって、こちらとしても気持ちが入っていっちゃうんだよね。傍観者として(苦笑)

人って誰だって夢を持ってると思うんですよ。でもその夢って最終的にはちゃんと叶うか、どこかで諦めるかしかないんじゃないかな。
でもリップスとロブはまだ夢に向かって突き進んでるんだよね。まだ終わっちゃいないんだよと。
そんな姿に思わず微笑んだり、時に胸が熱くなったり。

これが劇映画ではなく、ドキュメンタリーだから よりストレートに胸に伝わってくるんだな。バイブレーションが。
そぅ、歳がいくつだったとしても、夢を追いかける姿ってのは 美しいものなんだよね。

冒頭、日本の映像で始まったんだけど、ラストもなぜか日本の映像になっていきます。
これは日本向けの演出ってわけでもないんだろうけど。だとすれば日本人としてなんだか嬉しい気持ちにもなりますし。
極東の地、日本には 彼らにとっても大きな‘可能性’があるってことなのかな(笑)

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東海ラジオには あんびるとよぞう というアナウンサーがいます
posted by 味噌のカツオ at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月25日

偽りなき者

トマス・ヴィンターベア
マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、アニカ・ビタコプ
離婚と失業の試練を乗り越え、幼稚園の教師という職に就いたルーカス。そんな彼が親友の娘・クララの作り話によって、変質者の烙印を押されてしまう。
無実を証明できる手段のないまま噂は町中に広がり、ルーカスは仕事も親友も信用も失ってしまう。

『子供と酔っぱらいは嘘をつかない』−デンマークの諺
という表記がチラシにありました。そういえば この映画には子供も酔っぱらいも出てきてたっけ。

子供ってのはピュアだし、酔っぱらいは‘素’だし〜ってとこですか。
でもピュアであるからこそ、悪意ではなく いたずら心が動いてしまうことがあるんですね。

この映画、リアルに同列にしてしまえば嘘をついた子供がアカン事になってしまうんですが、さすがに子供相手にそんなことはできないので。
結局 周りの大人たちによって作られた悲劇なんですね。

ひとつは 子供の純真さのみを信じた幼稚園の先生。わたくしに言わせれば あぁいう場で働いてる人って自身がピュアすぎるんじゃないかな。子供の口から そんな言葉が出るわけがない…的な幻想というか。
普通に下ネタ好きなわたくしからすれば、もっと冷静に受け止められるし、その奥にあるものや その言葉の出所に向き合うべきだと。。。

そしてクララのママ。彼女の発した「ルーカスは何もしていない」という言葉を、擁護する形でスルーしてしまって。

最後に、クララの思いをはねつけたルーカス自身も、罪はあるのかもしれない。
ケンカを繰り返す両親、ヤンチャな兄とは違い、やさしく真正面から語りかけてくれるルーカスに対し、感謝や敬愛の気持ちを抱いたクララ。
そんな‘彼女’の思いを無下に扱ってしまったことも、この事態の引き金だったのかもしれないね。

だからといって町の人々の対応が正しいのかとは言えないが。
その中でしっかりとルーカスを支えてくれた息子や一部の仲間たちの存在、警察の(最終的な)判断これには 見ていて救われましたね。
ホント、それがなければ 作品としても一方的な絶望と暗さだけになってしまうところ、観客としてもあたたかく見届けることができましたです。

全体、明るいカラーにも乏しいし、派手な見せ場が無いにも関わらず、スクリーンへの集中力を途切れさせない展開・演出が見事でした。
見てよかったと言える作品ではありますが、最後のワンシーンが また心を揺さぶりますね。

ここからは完全な余談。
日本でも冤罪事件というのが数多く存在します。また、逮捕・起訴されながらも裁判で無罪となることもあります。
が 結果無罪となって、新たな気持ちで社会生活をしようとしても、多くの一般人のアタマ中では「逮捕=犯罪者」ということで決まってしまってて。
無罪で、無実であるにもかかわらず「逮捕された」ことでその後一生 色眼鏡で見られるてしまうという。

このような認識が改まっていくよう願いたいですね。
そして誤認逮捕はもちろん、推測による捜査も改まってほしいものです。

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シカたがないでは済まされない
posted by 味噌のカツオ at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月18日

愛、アムール

ミヒャエル・ハネケ
ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、イザベル・ユペール
パリに暮らす音楽家の老夫婦、ジョルジュとアンヌ。ある朝、食事を摂っていたアンナに異変が起こる。
病院での手術も失敗に終わり、徐々に不自由な暮らしを余儀なくされるアンナ。そして医者嫌いの彼女のため、ジョルジュは自宅でアンナと暮らしていくことを誓うのだが…

アカデミー賞の作品賞にノミネート。同じくアカデミー賞の外国語映画賞に輝き、カンヌでもパルムドールを受賞という話題作。
いや 話題とかそういう観点よりも、ある種のリアリティを追求した作品でもあり、ある意味では問題作なのかも知れません。

監督のミヒャエル・ハネケはこれまで、悪意・不条理・狂気などの感情を 幾分かエゲツナイ手法で描いてこられました。
今作品ではそれが影をひそめ、シンプルに染み渡る夫婦愛の物語を完成させました。
はたしてそれが良いのか悪いのかは悩ましいトコなのですが。。。

言ってしまえば ストーリーの中に大きな波はなくって。右から左へ時が流れていく。もちろん 流れていく中で否応なしに病は進行し、そして老いという時間も流れていきます。
その舞台も老夫婦の暮らすアパルトマン(フランスで言うところの家具付きアパート)のみということもあり、映像も展開も退屈といえば退屈。

そこで起きていくことを、時に美しく、時に残酷にではありますが丁寧に映し出していきます。いや、ところどころ何があったのか映し出さないエピソードもありますが。
観客はその流れを静かに見つめていくわけですが、最後の最後にハネケ流の着地点が提示されるのだけどね。

これは深い愛の話であるのか、悲しき問題作であるのか。その部分は量りかねますね。
というのも、少なくとも高齢化社会と叫ばれる日本では、老々介護という問題は度々話題になりますし、この映画の結末も現実のこととして報道されることもあります。

なのでテーマとしての斬新さや真新しさは感じ取れなくて。
はたして海外でもこのようなことが‘当たり前のような’事例なのか、はたまた‘えっこんなことが!’なのか。そこが気にはなるのですが。。。

元々はハネケ監督自身の経験から作られた映画だとも聞きます。
なんというか「ゼロ・ダーク・サーティ」や「遺体 明日への十日間」を見たときもそうでしたが。観客として、映画としての善し悪しの評価と、リアルエピソードとしての評価の受け止め具合が難しいですね。
「こんな映画つまらん!」と‘作品に対して’言ってしまったその先には、現実に(モデルとなり)苦しんだ人々の思いに向けても「つまらん!」と投げかけるみたいで。

元のエピソード自体があまりに近年のものであると、余計にデリケートになるしねぇ。

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鳩も名演技してます
posted by 味噌のカツオ at 11:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月16日

UDON

本広克行
ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、トータス松本、鈴木京香
香助はコメディアンを目指しニューヨークへ渡ったものの挫折。うどん屋を営む香川の実家に、借金を背負っての帰国を果たす。
が 親友の紹介で働くことになった地元のタウン誌で、讃岐うどんに関するコラムをスタートさせ、やがてそれが大きなブームへと広がっていく。

DVDにて鑑賞。 本広克行監督&亀山千広プロデューサーという「踊る大捜査線」でおなじみのコンビが手がけた作品。
本広監督が香川出身ということで、その思い入れを並々と注いで製作されたような一本ですね。

実際 香川の方では うどん屋さんの数がたいへん多いということで。
また街道沿いのメジャー店だけではなく、裏通りであったり 地味な住宅地に突然 うどん屋さんが存在していたりするもので。

それらのローカルなうどん屋さんをハシゴしていく行為と、四国八十八箇所巡礼のイメージを重ね合わせるのも面白いですね。
とにかく、地元民にとっては あって当たり前の存在であるうどん屋さんを、地元のタウン誌がピックアップしていくことで、ジワジワとその輪が広がり ブームが作られていくという展開もありえる話ですわな。
少々強引な面も無きにしも非ずでしたが。。。

そんなブームがどうなっていくのかと思いきや、あっという間に終息。そして後半はガラっと物語が変わって、主人公と父親とのストーリーになっていきます。

2006年、フジテレビとROBOTが製作に関わった作品ですので イチ地方都市のローカルフードがテーマでありながら、どこかバブリーな臭いを感じてしまうのはなんなんでしょ(苦笑)
非常にストレートな作風で、決してつまらないとは言いませんが、何かもうひとひねり ほしいなという思いと、バブリー臭が鼻につくって印象かな。ちょっと偏見入ってるかもだけど。

しいて言うなら‘キャプテンUDON’のくだりとか、いらんのじゃないってね。
その一方で「サマータイムマシンブルース」の面々がチョイチョイ出てたのは嬉しかったけど。でもそれも出し過ぎだったかな。

作り手側の‘うどんLOVE’や‘うどんリスペクト’はよくわかるんですが、提供し方として空回りしちゃってるのかもしれないですね。なんとなくですよ。

ユースケさんも小西さんも好演されてますが、それ以上に素晴らしかったのがトータス松本さん。
ミュージシャンがお芝居してます的なヨソ行きの雰囲気は皆無。違和感なく主要キャストとしての役割りをこなしてたのは驚きでした。
もっとトータスさんの役者してるとこ見たいと思いましたです。

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UDONの中にラーメンズが混ざってたぞ!
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2013年03月14日

遺体 明日への十日間

君塚良一
西田敏行、佐藤浩市、柳葉敏郎、筒井道隆
2011年3月11日、巨大な地震により発生した津波が岩手県釜石市を襲い、多くの方が犠牲となった。
やがて遺体安置所となった体育館に 次々と遺体が運ばれてくるのだが、警察や市の職員も戸惑いを隠せないでいた。そこへ、かつて葬儀関係の仕事に就いていた相葉が、安置所のボランティアとして働くことを願い出る。

この作品のラストに「死者・行方不明者は19,000名以上」という字幕が映し出されます。
地震の影には それだけ多くの人々の悲しみがあり、また家が崩れ、津波が押し寄せ、原発が停止し…と次々に影響は広がっていきました。
おそらく様々な舞台設定で東日本大震災をテーマにした映画というのが、今後とも製作されることはあるのでしょうね。

そしてこの作品は、地震が起きて間もなく 多くの遺体を収容することとなった廃校後の中学校体育館での物語。
ベースとなっているのは、ノンフィクション作家・石井光太による遺体安置所を題材としたルポルタージュ「遺体 -震災、津波の果てに-」。

本来の映画とは起承転結のあるエンターテイメントですが、ここでは その体育館に次から次へと運ばれてくる遺体と、行方不明となった家族や仲間を探しに来る人たちの姿を、淡々と描き出しております。
終始、スクリーンは重苦しい雰囲気ですすみ、我々観客はただただ その光景を見守るだけ。

当初 この体育館の立会いとなった市の職員らは、泥だらけの遺体が運ばれてくる状況に、何もできずに ただ立ち尽くすのみ。いや、自分もその立場であったら同じかもしれないですよ。
そんな中にあって 黙々と検案を続ける医師、検歯を続ける歯科医。そして以前に葬祭関連の仕事をしていた民生委員の相葉の存在により、少しづつ周りの状況にも変化が訪れます。

相葉は自身の経験から、ひとりひとりのご遺体に言葉を語りかけます。「冷たかったでしょう」「がんばったねぇ」「もうすぐ家族が迎えに来てくれるからね」と。
それを見た市の職員の一人が「僕たちには言葉がある」「亡くなられた方に向けても語りかけることができる」〜と少しづつ前向きになっていくんですね。

その一方で あまりに大きすぎる悲しみに直面し、心を閉ざしかけた人が立ち上がるのに 言葉を要しなかったんですよね。
なんだろう。悲しみに暮れる相手を言葉で励ますということは、物語として 映画の一場面としてあるとは思うんですが、そうではなくて。
たとえ長い時間がかかっても、自らの心で現実を受け止めて、立ち上がって動き出すということ。
深いリアリティを感じると共に、余計に胸が締め付けられるような思いでした。

映画って所詮は役者が演じるものなんですがね。このような現実にあった、いや まだ進行形といっても過言では無い悲しみを演じるってどんなもんだろう…って考えたんだけど。
志田未来演じる市の職員が「なんでこんな小さい子まで…」と取り乱すように涙する場面を見て、演じるとか役作りとか抜きにして そういう風になるよねって。
それはきっと多くの人が同じ思いとなるであろう出来事なので、観客にもストレートに伝わる感情だと思いました。

一時は足の踏み場も無くなるほどの状況でしたが、棺や火葬場の目処もつくんだけど まだまだ発見された方々が運ばれてくるのだろう…そんな遺体安置所の10日間。
映画として 決して希望の見えるラストではありません。でも本当の希望を見い出すのは、現実世界の我々の務めなんですよね。

わたくしごとき 何もできることはありませんが、せめて こんな映画があるんだということだけでも発信させていただきたい。

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主演が西田敏行さんでよかった
posted by 味噌のカツオ at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする