2017年09月10日

ギフト 僕がきみに残せるもの

クレイ・トゥイール
スティーブ・グリーソン、ミシェル・ヴァリスコ、エディ・ヴェダー、スコット・フジタ
アメリカンフットボールの特別なスターだったスティーヴ・グリーソンは、引退後しばらくしたある日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)であるとの宣告をされる。そしてそのすぐ後、妻ミシェルの妊娠が判明。
自分は我が子を抱きしめることができるのかわからない中、グリーソンは子供に残すビデオダイアリーを撮り始める。

『難病であるALSを宣告された元NFL選手が、まだ見ぬ息子に贈るために撮影しはじめたビデオダイアリーが世界中を感動させるドキュメンタリーになった』
というのがチラシの文言。

原題は「GLEASON」グリーソンというものですが、アメフト文化の無い日本に於いて その個人名をタイトルにしても思い入れを込めにくいよね。
それもあって「ギフト 僕がきみに残せるもの」という邦題。珍しく今作では意味をなしていますね(苦笑)

映画のジャンルとしてのドキュメンタリー。様々なテーマの作品が存在します。
厳しい状況を追った作品はもちろんこれまでにもありました。

今作はアメリカに於いての有名なプレイヤーでもあり、現役時代の映像も そりゃあもう多く残っております。
またALSの症状は一気にどうなるものでもなく、徐々に進行していくという特性もありまして。

結果、プレイヤーとして輝きを放っていたグリーソンの現役時代。体調の異変を訴え 病院にかかり始めたころ。症状の進行と共に今後への備えをし始めた状況。
それらからの全部が映像に残っております。

資料や関係者の証言でしか構成できない 戦時中の重大事件のドキュメンタリーなんかと比べても、全編 実際の映像で綴られているってのは、ドキュメンタリー映画というジャンルの ある種の転換期となる作品なのかもしれませんよね。

さて、ALSという症状とは、全身の筋肉の伝達機能が徐々に失われ、歩行や会話ができなくなり、やがては呼吸ができなくなるというもので。
言われてみれば、歩行に関わらず体を動かすこと全般に於いて全て筋肉が動かしているんだよね。会話・しゃべること、表情だってそう。
そしてもちろん呼吸だってそうなわけで。それが動かなくなったら…ということだよね。

自身の体がそうなっていくという、ある種の恐怖と向き合わなくてはならなくなった彼の一筋の光明。
それが 診断と同時期に発覚した妻の妊娠。

7か月後 だか 8か月後には子どもが生まれると。
新たな生命の誕生と反比例して、自身の体は動かなくなっていくだろうと。
そんな状況下で彼が考えたのは、せめて今のうちに 子どもに伝えられることを残しておきたいということ。
そこで子どもに向けたビデオレターを残し始めます。

と同時に、今のうちならでき得ることを〜と、旅行であったり海へのダイビングであったり。語りこそなかったものの、スカイダイビングの映像もありましたね。

やがて妻が男児を出産。新たな生命の誕生で、家族らは新たな希望を感じ取るものですが。
グリーソンの体の機能の低下が顕著になっていき…

難病もののドキュメンタリー。
その体に異変が起きるごとに、見る観客の涙を誘う〜なんて面もありますし、実際わたくしの近くの席のお客様も、割と早い段階からハンカチが登場しておられましたね。

その一方でわたくし自身は泣きモードには入らなかったのだけれど。
最もグッときた場面は、出産シーンでした。新たな命の誕生の尊さの方が、なんか刺激を受けましたね。

そもそも これらの映像の根本は、主題は、父親から息子へ宛てたメッセージであって。

「この人かわいそう」みたいなアプローチのものでもないはずであるし。
そのうえで、難病でALSへの理解が深まったり、支援が集まればそれはそれで有意義であるのかな。

さてさて、イチ作品として、とても見やすかったですね。
ドキュメンタリーであっても スケベ心(?)かなんか知らんけど、不要な演出や妙な編集の仕方で伝わりずらい仕上がりになってる作品もあったりするけど。
その点とても良かったです。

あとはグリーソンさんのハートの強さに尽きるよね。
見て良かったです。

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ALS言うたらアイスバケツだよね
posted by 味噌のカツオ at 22:56| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月25日

きみの声をとどけたい

伊藤尚往
(声)片平美那、田中有紀、岩淵桃音、飯野美紗子
海辺の町、日ノ坂町に暮らす なぎさは、かつて祖母から聞いた言葉を信じていた。「言葉にはタマシイが宿っているんだよ、コトダマって言ってね…」。
そんな なぎさが、何年も使われていないミニFMステーションに迷い込んでしまう。出来心でDJの真似事をしたなぎさの声は、偶然にもある人物に届いていた…。

今作の製作に際して行われたオーデション。そこで選ばれた6人が声優ユニットとしてデビューをしております。そのグループ名は「NOW ON AIR」というもの。

まぁ作品を見る限り、そんな新人っぽさはコレっぽっちも感じることなく。
三森すずこ、梶裕貴、そして野沢雅子といった面々との競演も違和感は全くナシで。

主人公は女子高生たち。湘南の鎌倉にあった喫茶アクアマリン。そこにミニFMステーションが存在し、近隣の方々からも愛されていたと。
しかし とある理由により、その放送は12年前から途絶えていた。

そして その年の夏休み。ひょんなことから、そのミニFMが復活。
ラジオの存在を通じて、それぞれの関係が深まったり夢を語ったり。
そんなお話なんですが。

そもそも わたくしがラジオ好きな者でもあり、今の年代の女子高生がラジオの存在に興味を持ってくれることが嬉しいよね。
始めは いたずらに放送をしようとしてたところが“リスナーメール”から輪がつながり、仲間が増え…なんて展開がまたラジオらしい。

そうしてラジオマニアな存在が加わり「ラジオで一番大切なのは“ジングル”よ」というのも笑えたし。
勝手に曲を流すのは著作権的にNGと説いてみせるのが(ある意味)シュールでした。

そうやって ラジオの仕組みや、放送が形作られていく様はワクワクしましたし。
涙もろい主人公 なぎさのピュアさは見ていて気持ちよかったです。思わずもらい泣きしてしまった場面もしばしば(苦笑)

主要キャストが7人いるんだけど、その分、友情、家族、夢とテーマが広がりつつも、キレイに着地してる感じがあってね。
ラストの放送。ミニFMなので聞けるエリアが限られちゃうんだけど、あの鎌倉の一車線が渋滞で進まなくてとか。

それ以外にも じんわりとした伏線があったり、曲のバックで(セリフなしで)映像だけでサイドストーリーを表現したりとか。
94分の中で説明しすぎず、詰め込み過ぎず、というところも 映画として良かったと思います。

ぶっちゃけ あまりに“等身大”過ぎていて。アニメ的なファンタジー設定もないので、中には「ストーリーが読めた」とか「退屈だった」なんて感想も目にしましたが。
ピュアな青春ストーリーとして、素晴らしい仲間がいて。そして家族も、街にも伝播していく感じ。丁寧に作られている感じがして、わたくし的には響きましたよ。

「言葉にはタマシイが宿っているんだよ、コトダマって言ってね…」「悪い言葉は、いつか自分に返ってくる…」
なぎさが ずっと信じていた言葉たち。

隕石が落ちなくても、時間を飛び越えなくても。
言葉、歌、そして魂。“コトダマ”で奇跡は起こせますね。
いい映画でした。
posted by 味噌のカツオ at 21:22| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月14日

君の膵臓をたべたい

月川 翔
浜辺美波、北村匠海、北川景子、小栗 旬
膵臓の病を患う桜良が書いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然見つけたことから、“僕”と桜良は次第に一緒に過ごすことに。だが、眩いまでに懸命に生きる彼女の日々は、やがて終わりを告げる。
桜良の死から12年。ある事をきっかけに、僕は桜良が伝えたかった本当の想いを知る…。

字面だけ追うなら“ちょっとエグい”印象ではあるが、 2016年本屋大賞第2位など内容的にも評価された話題作。
わたくしも「どんな話なん?」と気にしつつも原作未見。映画化となり、鑑賞してきたわけですが。

さらっと言うなら、過去パートには名のある役者さん全く出てないのね。
予算的に大変な中での企画だったのかと余計な心配をしつつで。

浜辺美波はドラマ版“あの花”に出てちょっと話題になったけど、その後 たいしてフューチャーされることもなく。ここにきてやっと…と思ったわけですが。
良かったですよ。少々あざとい感じが良かったですよ。

若干の棒読み感もありますが、(褒め言葉として)クラスで3番手のカワイイ子っぽくって。
同性からの支持は得にくいキャラだったかもだけど(苦笑)

方や北村匠海の冒頓とした表情もらしさがあってよかったですね。
一回ぐらい「閉店ガラガラ!」と言ってくれないかなと。似てるかなと思ったけどね。

映画の作りとして、純な高校生男女ならではの雰囲気。しっかりと伏線を張っていくのも悪くなかったですし。
実際の膵臓の ご病気のあり方として、やつれることなく、顔に出ることなく“保っていける”ものなのか。あんなに遠出して大丈夫なのかは気になったけど。

そこは恋愛映画のファンタジーとしておくべき点なのかな。

チラシには「ラスト、きっとこのタイトルに涙する−」との文言があるけども。
当初の意味合いは「なるほどね」とは思えたけど、ラストには「う〜む」と感じた程度。

終盤の衝撃的な展開も相まって、確かにこりゃ泣くわと。これは考えさせられるなと。
そんな映画でしたね。

見終わって いろんな感想を見たりする中で、原作との相違点なんかも知ったわけですが。

原作には現在の“僕”にまつわるパートは無いのですかね。本来なら小栗くんや北川景子はキャスティングされないってことなんか!?
結局 恭子とのつながりができるのに12年ということになるのもしっくりこない。とってつけたような涙に思えちゃうな。

原作では桜良と僕は もっと漫才のようにやり合うとも書かれていたんだけど、映画では桜良が一方的に引っ張ている印象で。
これも原作のイメージの方が良いように思うなぁ。

さて、これは原作も同様なんだけど、意外にも桜良が命を落とす理由が あまりにも…あまりにも…と思うのだけど。
事故であれば普通に悲しむことできるけど、これでは別の“悪意”が入り込んでしまうわけで。
それこそ ソコだけで一本物語ができちゃう事例だもんな。

小説というエンタテイメントとしてのサプライズ展開はあってしかるべきだけど、正直 やり過ぎという思いはあるよね。
全編通して、決して悪いお話でもないし、感情に訴えかけるのは確かなんだけど。
わたくし的には「ちょっと、ちょっとちょっと…」と感じてしまうんだよね。

さてさて、最後にちょっと。「ガムいる?」という役(?)を演じてた矢本悠馬、いいですね。
今や大河ドラマでも活躍してますが、「ちはやふる」の“肉まんくん”といい、(ガムとか肉まんは関係なく)おいしいポジションのキャラやってますね。
今後が楽しみな役者だなと あらためて思った次第です。

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君の雑炊がたべたい
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2017年07月28日

心が叫びたがってるんだ。

熊澤尚人
中島健人、芳根京子、石井杏奈、寛一郎
他人と関わることが苦手な拓実は、地域ふれあい交流会の実行委員を任される。実行委員には優等生の菜月、野球部の元エース田崎、そして幼い頃に発した言葉で家族をバラバラにしてしまい、以来 筆談でしか会話ができなくなってしまった成瀬順がいた。
これまで接点の無かった4人だったが“ふれ交”を介して、それぞれが抱えていた悩みや不安と向き合っていく。

2015年公開で大ヒットを記録した劇場版オリジナルアニメの実写化。
マンガ・コミックスではなくオリジナルアニメが先なんやね。

わたくしもアニメ版は見ているので、“ここさけ”のストーリーは一応知ったうえでの鑑賞ですが。
当時の印象としては 拓実と順を中心に見てたので、今回あらためて4人の物語として見られました。

熊澤監督は若い役者さんを中心とした作品を多く撮ってるので、ある意味 良い人選かな。

中島健人は確かに拓実っぽさ、ありましたね。パッと見は普通の青年だけど、いざとなれば王子様の雰囲気を出すことができるという。
そこは さすがにジャニーズやなと。

順を演じた芳根京子も評判良いけども。あえて言うなら、セリフが無さ過ぎて。本当の意味での女優としての良さが出せなかったような印象。
もちろん しゃべれないキャラクターなんだけど。しゃべる演技を ほぼ封印したのはもったいなかったね。

石井杏奈は決してズバ抜けた美少女でもないけれど。もう一人のヒロインという位置づけ的にはアリでしょう。
あと寛一郎ってのは佐藤浩市さんの息子さんなんやね。確かにそれとなく面影あるわ。と同時に、田崎っぽさも感じられました。
良いキャスティングだったと思います。

今作はアニメからの実写化なんですが“再現フィルムか!?”ってぐらい、アニメ版に忠実に寄せた作りになっておりました。
が その分、アニメの持つファンタジックな良さというか、アニメだから許される大げささは奪われてしまったんじゃないかな。

ストーリー展開を知っちゃってる点を差し引いても、(物足りないとは違う)グイグイ感は乏しかったような。
見ていてとても淡々としていて。主人公が言葉で感情を現さないこともあるが、全体的に“凪”というか。

今にして思えば、起承転結の“転”となるパートが弱いっちゃ弱いわけで。
それが アニメの場合(変な言い方だが)アニメ力で持っていけてたのだが。実際の役者がそれをやった場合、その青春ドラマが現実を超えていないように思えたんだよね。

確かに所々 グッとくるシーンもあったし。ストーリーに内包されたピュアな感じはとても良いのだが。
実写にしちゃうと その魅力が弱いというか、薄まるというか。そんな風に思えました。

極端な例えをするならば、誰もが知ってるウルトラマン。それはやっぱり実写でやるものあって、アニメで見ても盛り上がらないんじゃないかなと。
そういうことなんだと思うなぁ。

「ザ☆ウルトラマン」ってのもあったけどな(苦笑)

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セクゾンとE-Girlsによるミュージカルだね
posted by 味噌のカツオ at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月25日

彼女の人生は間違いじゃない

廣木隆一
瀧内公美、光石 研、高良健吾、柄本時生
震災後、仮設住宅で父親と二人で暮らしているみゆき。普段は市役所に勤めるみゆきだったが、週末になると英会話教室に通うとうそをつき、高速バスで東京へ向かい、渋谷でデリヘル嬢として働いていた。
高速バスで福島と東京を往復する中で彼女が目にしたものとは…。

「ヴァイブレータ」という作品が好きで廣木隆一監督には注目しておるのですが。
昨今は若者向けな制服・学園モノなんかも多く撮られてて。それはそれとして、そういうもんだと流しておりましたが。

今作は廣木監督自身が震災後に書かれた小説が原作ということもあり。
商業的な面とは一線を画し(?)本当に自身の撮りたい作品であるのかなと。そんな期待も込めて見てまいりました。

震災のあった福島を起点にした物語。市役所勤めのみゆきが主人公ではありますが。
福島だけでなく、東京の今も描かれるし、群像劇というべきか、みゆき以外の登場人物 それぞれにも何かを感じずにはいられず。

見終わって「あぁなるほど、そういうことね」なんて一言では言い表せない。
深いストーリーでありました。

震災で大きな被害を被ったもの。それによって家族を失ってしまった者。大切な人と引き裂かれてしまった者。
いやいや、人的な被害こそなかったけれど。家族の絆にゆがみが生じてしまったり。

災害に家族を奪われて。なのにわたしはこうして生きていていいのか。
でも生かされたんだから生きていかなくちゃならない。
そんな人の立場で見る“今”ってどんなものなのか。

震災の外からやって来たカメラマンには、震災の跡はどう見えるのか。

新潟から東京に来て風俗で働いてるって。
だけど新潟だって地震で大きな被害がでたことあったっけ。
「なんか似てる」って、そこまで含めてなのかな。

でも全部終わっちゃいなくって。
あそこでは新たな命が芽生えていて。ここには新たな家族を迎え入れたりして。
ほんの少しだけ、希望もあるんだよね。

そりゃ人は生きているんだから。絶望だけと向き合っていくわけにはいかないから。
自分で切り開いていく。それが人生なのかな。

そんな兆しを目の当たりにしつつ。
ラストに映し出された(おそらく)震災直後の荒れ果てた状況の映像には…また愕然としてしまいました。

いや待てよ。
あのときは こんなに荒れ果てていたのが。今では こうなってきてるじゃん。
そういうことなんじゃないかな。。。

主演の瀧内公美さんが良かった。すごく良かった。
父親といる時はアレだけど商売で見せる笑顔がとてもカワイくって。
そのうえ しっかりと脱いでくれまして。

そういうことがあるから人生にリアリティも感じるんだけどね。
素晴らしい作品を撮ってくれた廣木隆一監督に、感謝。

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御指名したい。。。
posted by 味噌のカツオ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月16日

銀魂

福田雄一
小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、新井浩文
江戸末期。宇宙から襲来した天人(あまんと)に支配され、隆盛を極めた侍は衰退。そんな時代に侍魂を堅持する男・坂田銀時は、ひょんなことから志村新八と神楽に出会い、万事屋(よろずや)を営むことに。
そこへ銀時の旧友、桂小太郎の失踪事件が舞い込み、銀時はその真相を追うことに。

少年ジャンプの人気マンガである「銀魂」。連載もずいぶんと長く、アニメ化もされておりますが。それがここにきての実写化というわけですが…
わたくし、その作品名こそ存じ上げておりますが、正直 内容は知りませんで。

登場するキャラクターや出演者もぼんやり。
あとは福田雄一監督ということを期待して見てまいりました。

あぁなるほどこういう感じなのねと。事前情報を持たないながら、いやいや〜結構 楽しめました。

なんか思ったのは、映画ってアクションやらラブロマンスやらいろんなジャンルがあって。
楽しい映画にはコメディとカテゴライズされるもんでしょうが。

このスタイルをコメディと言うのは また違うような気がするね。
あえて言うなら“おふざけ”とか“悪ノリ”ってかな。両方足すと“悪ふざけ”となるけども(苦笑)

良いか悪いかで言うならば、結果おもしろいし。それこそ これを作りあげた福田監督の作風を支持するファンもおるわけだし。

もうひとつ思ったのは、今の役者さんたちって、こういうコメディとは違った“悪ふざけ”でも、違和感とか“やらされてる感”無く、上手いこと演じてみせますよね。
ホント、みんな器用ですな。

作品中、わたくし的なツボだったのは、奇跡の一枚。オバQ呼ばわり。ルパン三世や信長に言及。まさかの あのロボットやキャラとのコラボ…いや、コラボじゃなくて盗用ですか。あれは笑った笑った。
細かいところまで 作り込んだセットやネタ。真選組の衣装や 空手の道着っぽい襟の衣装も気になったな。

というわけで。たいへん満足ではありますが。
どうしても終盤のシリアスパートはテンション上がりにくかったね。

シリアスパートでも いくらか悪ふざけ感を引きずっても良かったのかな。でも それをやっちゃうと原作からのイメージとか遠ざかっちゃったり、反感かったりしちゃうのかな。
判断が難しいところではあるけれども。

ある意味でコミックスの実写化の成功例かもしれないし、「銀魂」だからこそ許されたケースかもしれないね。

さすがに続編は無いとは思うけど、「勇者ヨシヒコ」だってシリーズ化してるし。
こういうノリを前面に出していくなら、なくはないかもでしょう。

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仲良くサラ牛でも
posted by 味噌のカツオ at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月18日

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

ジェームズ・ガン
クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、カート・ラッセル
黄金の惑星の指導者アイーシャの総攻撃を受けた“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”の面々。そんな彼らを救ったのは“ピーターの父親”を名乗る男エゴだった。
次第にエゴに魅了されていくピーターだったが、その裏にはエゴによる恐るべき計画が隠されていた。

大好評だった前作から3年かかっての続編公開。
ライムスター宇多丸さんは「リミックス」というタイトルに異を唱えていましたが…

実際に見たところ、それにはハゲしく同意。
原題は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol. 2」なんだけど、確かに「Vol. 2」なんだよね。何も リミックスじゃねぇし。

洋画ではチョイチョイ意味不明な邦題への変換がなされますが「誰トクなん?」と言いたくなるものの方が多いよね。
日本側の配給(?)の自己満でしかないんじゃないの?

と苦言を呈しながら。
もちろんリミックスされる前の1作目も見ております。ただし スペースオペラ系がそんなに好みでは無いため、ファンが言うほどの大絶賛ではなかったけど。
でも今回は そんなわたくしでも楽しかったな。

冒頭、有無を言わさずモンスターとバトるくだりは、この手の作品には欠かせない見どころだったし。
2Dの日本語吹き替え版で鑑賞したので、ピーターとロケットの口論や、(本来は)宇宙のならずものたちが醸す“ファミリー”感も、字幕より伝わってきたと思います。

さすがに作中にかかる曲のストーリーだとか歌詞まではわからないので。その点は ちょっと損してる部分かもだけど。

全般を通しての悪ノリ感やギャグの部分は楽しめたし。
あの人のラストシーンは ちょっと切なかったし。
全体の感想としては そんなざっくりとしたところにはなりますが。

ふと気になった場面として、ピーターと父親・エゴがキャッチボールをするような場面があったんだけど。
父子のキャッチボールってのは、ひと昔前の世代なんかで「公園で子どもとキャッチボールするのが夢だ」みたいな話が聞かれることもありましたが。
アメリカでも、なんなら全宇宙でも、そういう親子のコミュニケーションへの憧れってあるのかな?

あとはエゴの邸宅で宇宙の歴史の展示があって。
玉子状のカプセルが閉じたり開いたりする映像というか造形にちょっと驚き。
球形ならできそうだけど、玉子型だったもんね。

そんな感想も付け加えつつ。
どうかな、Vol. 3 まで続くのかしらん。

さしずめ その時の邦題は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リマスター」ってかな。

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あのランボー者の登場にはビックリ
posted by 味噌のカツオ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

午後8時の訪問者

ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
アデル・エネル、オリヴィエ・ボノー、ジェレミー・レニエ
診療時間を過ぎた午後8時。診療所のドアベルが鳴らされるが、ジェニーはそれに応じなかった。しかし その翌日、診療所近くで少女の遺体が発見されたことで、ジェニーはドアを開けていれば…と自責の念にかられる。
あの時彼女は何を伝えようとしていたのか。ジェニーは少女の生前の足取りを調べようとするが…

ダルデンヌ兄弟の作品って過去にも気になるのはありましたが、「ロルナの祈り」しか見ていないんだ。
我ながらちょっと意外だ。

その作風は サスペンス調に見えるけど、着地点としてはさにあらずと。
まさに今回見ていて そういうことかと思いましたが。

主人公は その診療所に来て間も無い、若い女医のジェニー。
診療時間を1時間も越えて診療所のベルが鳴るが、それに応じることはしませんでした。

見ていればわかりますが、彼女がドアを開けなかったのには理由が…いや、たまたま その場の状況で“開けない”ことになってしまうんですね。
この状況作りは上手いなと。

その翌日、一人の少女の遺体が発見されるのですが(カメラの映像と併せて)、ジェニーがドアを開けていれば 彼女は助かったのではと。
そのように思い始めます。

身元もわからない彼女のために、せめて何か出来る事は…とジェニーは行動を起こすのですが。
結果 その街で暮らす人々との間で、様々な摩擦が発生してしまうという。

自分は医師なので秘密は守りますという信条の下、おそらく純粋に被害者のことを思ってのことだと思うのですが、訳ありな人たちにとっては決してそういうわけにもいかず。
そうこうするうち、彼女の名前、事件の真相、そして彼女の人となりが見えてくるのですが。

そこまで辿り着くのに、登場人物の相関関係やそれぞれが抱えた問題点や闇の部分など。どうにもイマイチ乗り切れず。
また最初に言った通り、サスペンス作品ではないので、結果としてのカタルシスが得られる風でもなく。
「あ〜」と言う間にエンドロールになっちゃったですわ。

残念ながら わたくしには、合わない作品だったね。
唯一残ったのは、アデル・エネルが魅力的だということオンリー。
こんな女医さんに診てもらいたい…って(苦笑)

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白衣とか着ないんだね
posted by 味噌のカツオ at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月27日

キングコング:髑髏島の巨神

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン
1973年。未知の生物の存在を確認しようと、軍人や元傭兵、戦場カメラマンからなる調査遠征隊が太平洋の孤島・髑髏島へ潜入。
ところが自然を破壊する彼らに対し、憤怒した島の“守護神”キングコングが襲いかかる。

『パシフィック・リム』や『GODZILLA ゴジラ』のレジェンダリー・ピクチャーズ製作。
既に今後の計画として『キングコング対ゴジラ』の企画もあるとのことで、その前哨戦的にも注目の作品で。

“怪獣映画”として とても楽しめるという話もあり、期待を持っての鑑賞。
何気に上映がスタートしてわかったのですが。みんな日本語しゃべっとる。
そうか、吹替え版だったのね。

プロレスファン的には真壁刀義選手も参加しているとのことで、それはそれとして鑑賞したのですが。
不思議なことに(?)『ルーム』のブリー・ラーソン演じるヒロインから感情が伝わってこない。
ずっと見ていたんだけど、結局最後まで セリフが棒読みで。

これ、見る側として なかなか感情移入しにくいなと。
最終的にエンドロールに登場した名前は 佐々木希ということで。。。

ちょっとは上手くなったと思った時期もありましたが、今作での声優としては…アレやったね。
それから主人公はGACKTさんが声をあててたそうで。それほど感情のアップダウンを求められるキャラクターではないものの、やっぱり違和感は拭えないかな。

帰ってきてから思い出したんだけど。『キングコング』って前にも(平成になってからも)あったなと。
調べてみたら2006年の正月に見ておりました。『キング・コング』を。
ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ出演で。3時間越えのヤツ。

その時の自分の感想を見なおしてみたんだけど。
今回も ほぼ同意見。

ようは リアリティの無い題材ではあるが、そこで行われていることに関してのリアリティに乏しいと。
なんならイントロダクション。海辺の砂浜で追いかけっこし始めて、いきなり崖のてっぺんに場面が変わったり。
コング大暴れのシーンでも 空中のヘリに対してそんな風にできるかとか。

そんな細かいトコロ気にして この映画見てる人はおらんのかもだけど。わたくし的には気になっちゃうんだな。

物音一つさせず、30メートルからの巨体が突然あらわれるとか。
『シン・ゴジラ』を経験しちゃうと〜と思ったら、2006年の時点でも同様なところに引っかかっていたわたくし。
こりゃもう好みの問題というか、性分なんだろうね。

あの時と同じ感想はもうひとつ。
それは、映像の迫力はすごかったよ〜というトコ。
明るい状況でのバトルシーンもあるので。その点は見応えありました。

でも なんか、わたくし的なワクワクポイントは刺激されなかったということで。

さてさて。もうひとつ一部で語られていることですが。
長〜いエンドロールの後に とある映像があるんだけど。

春休みのイチ娯楽として見にきている層は、そこまで見ずに、やっぱり さっさと帰っちゃうものだね。
映画ファンとして「なるほど」と関心はしましたが。もしかしたら、イチゲンさんはアレを見てもピンとこないかな?(苦笑)

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西野も梶原も出てこないよ
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2017年03月16日

哭声 コクソン

ナ・ホンジン
クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村 隼、チョン・ウヒ
平和な田舎の村に ひとりのよそ者が現れる。それ以降、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発。殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹でただれた肌という共通点があった。
事件を担当する村の警官ジョングは、自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。

『チェイサー』『哀しき獣』などのナ・ホンジン監督の新作。
過去作もサスペンスフルで ドキドキしっぱなしで どんでん返しも楽しめる。そんな作風ではありますが。
この映画も同様に。展開、映像、ヘヴィーで見応え大ありでした。

でも怖くて エゲつないシーンもあるので万人におススメはできませんが。

韓国映画ではありますが、そんな中で ただ一人。日本から國村隼さんが出演。
言うてもチョイ役ではなく、主要な存在で なおかつ怖い。ぶっちゃけチョー怖い。

國村さんが韓国に行っても 誰も目を合わさないでしょと。道開けるでしょというレベルの怖さ(苦笑)
いろんな意味で体当たりの熱演で、役者として素晴らしかったです。

山間に近い小さな村で不可思議な殺人事件が頻発。被害者は惨い殺され方をされ、容疑者は被害者の家族であるという。
その事件の真相は、毒キノコで精神を蝕まれてのことなのか。何かがとり憑いたのか。それとも どこからともなくやって来た、怪しげな日本人の仕業なのか。

主人公の警察官であり 一人娘の父親でもある男が また極度の怖がりでね。
そんな事件現場に足を踏み入れるのにイチイチ ビビったり、声をあげて腰を抜かしたり。
その様が面白くて、その辺りは結構笑えるんだけど。

男の(おそらく小学生の)娘に変化がおとずれた辺りから、それまでの笑える雰囲気から サスペンス、ホラー、そしてオカルトからゾンビへと。
それぐらいの展開が広がっていきます。

さらには娘を救うべく祈祷師が登場。この祈祷師さんも、間違いなく見どころのひとつで。
その悪霊払いの映像から とんでもないバトルの様相を呈していき、さらに混沌は増していくことに。

冒頭に聖書の一説が示されることから、そういったものがモチーフになっているのはなんとなくわかりますが。
ぶっちゃけ その深遠なテーマ性までは理解するのは難しいですわね。

でも その映像描写だけでも見入ってしまうデキなのは間違いない。
しかも156分という長尺で。終盤は三重構造でのダメ押しがきますが、見入ってしまいました。

國村さんの存在感が素晴らしいとは書きましたが、もう一人 スゴかったのが主人公の娘さん。
普通の子ども、狂気の絶叫、そして…

よくもまぁあそこまで演じられるなと。
芦田愛菜でもあれは厳しいんじゃないかってほどに映画を盛り上げるパーソンになっています。
この子も必見です。

ちなみに國村は音読みで“コクソン”だという説を見てちょっと笑えたよ。
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2017年03月08日

愚行録

石川 慶
妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜
迷宮入りとなっている一年前に起きた一家惨殺事件。週刊誌記者の田中は その真相に迫るべく、様々な関係者の証言を追い始める。やがて被害者夫妻の意外な素顔が明かされていく。
そんな田中自身も、妹の光子が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた。

ポーランド国立映画大学で演出を学び、数多くの短編を手掛けてきた石川慶監督の長編デビュー作。
貫井徳郎の直木賞候補作が原作で。なぜか製作はオフィス北野という。。。

愚行とは辞書によれば まさに読んで字のごとく「愚かな行い」の意味。

さて、見終わった率直の感想は、残念ながら感じるものが薄かったなと。
いろいろ思うところある方もおられましょうが、わたくしとは合わなかった。

週刊誌記者である主人公が ある未解決事件について、取材として関係者に話を聞いてまわります。
どこか多面的な再現フィルムで 真相に向かっていく感じは「桐島、部活やめるってよ」思い出しちゃったですが。

それとは大きく構成は違うんだけど。
様々な時系列での、男側からのストーリーと女側からのストーリー。さらに回想と現在の進行。

キャラクターの特徴やビジュアルの変化。
いろんな要素を整理しながら見なきゃ全体像が理解しにくいので、そこはちょっとたいへん。

それはいいとして。
タイトルでもある“愚行”という意味合いに少々共感できず。
確かに登場人物それぞれクセがあるんだけど、愚行というほどに蔑む思いも湧かなくて。
人なんて誰でも裏表があって。クソではあるけれど、反面 よくあることではないかと。

なんなら冒頭、車内で席を譲った後の田中の行動なんてのも、ただの愚行というより ちょっと共感とか入っちゃったし(苦笑)

それぞれの愚行の果て、事件の真相まで辿り着いたけれど、やはりカタルシスも不快感も薄かったな。わたくし的には。

それよりも、各々の役者陣には思うところありで。
妻夫木くんの役の完成度はいつも素晴らしいですね。満島さんももちろんですが、満島さんは同時に「千秋さんっぽい」ってのが気になりました。どうでもいいけど。

小出恵介は 好きな役者なんで気になったし、同僚役・眞島秀和の怪しさと危うさも印象的。
ナチュラルに他者を傷つけられるお嬢様キャラを演じた松本若菜もらしさ満点で。
臼田あさ美の現在のカフェ店員姿と学生時代の姿が直結せずに こちらは戸惑い。市川由衣さんの美しさには見とれちゃいました。

それら個々の存在は気になったけど、作品全体として響くものは乏しかったですわ。
まぁ合わなかったんだからしょうがないよね。

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“3度の衝撃”ってどの部分?
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2017年03月07日

彼らが本気で編むときは、

荻上直子
生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ
母親が家を出て置き去りにされた11歳のトモが、おじのマキオの家を訪ねると、彼は恋人リンコと生活していた。元男性で、女性への性別適合手術を受けたトランスジェンダーのリンコに最初は戸惑うトモ。
しかし3人で過ごす特別な日々は、トモにとっても特別な時間となっていく。

『かもめ食堂』『めがね』などの荻上直子監督。前作『レンタネコ』から5年ぶりとなるオリジナル脚本作品。
どうしても その作風として、どこか寓話的な雰囲気の作品の多い荻上監督ですが、今回は いたって普通の作品と言えるんじゃないでしょうか。

前評判も良いみたいで、わたくしが見た回も満席。一部では涙をすする観客もおられましたが。
正直、わたくし的にはヒットしなかったですね。

母に家出されてしまった11歳のトモ。おじのマキオの家で世話になるのですが、そこには元男性で、今は女性の体を持つ(工事済)トランスジェンダーのリンコが。
そんな優しい二人の暮らしに すんなり溶け込んだトモ。そして三人の共同生活が始まります。

監督曰く「LGBTの人権を!」と必要以上に声高に叫ぶ意図の作品ではないと申しております。
確かに 変な美談としてのゴリ押し感はありませんで。

実際 トランスジェンダーの問題だけでなく、育児放棄の要素もありますし。
現代社会に於いて 見聞きする機会の増えた問題も描かれています。

ただし、軸となるのは女性的な面なんよね。
母と娘の関係が大きいようで、男性・父性の部分はなんとなく薄めかな。
だって チンコなんてポイポイ投げられる扱い方だしね(笑)

リンコの母は絶対的に彼女を守らんとするスタンス。
ただし その思いが強すぎるがあまり、少々他者を傷つけることもいとわずで。
なんとなく、見ててイヤな思いしちゃったな。

小池栄子演じる 母親も、最終的に息子に理解を示す描写はなかったし。

トモと母親の関係も、わたくし的には全面解決したように見えなかったし。

様々な関係性の中で それぞれが抱え込むものは提示されつつも、カタルシスを覚える部分がなかったので、男性である自分的には涙とか感動とか。そこまでの境地には至らずで。
今後も不安定さは保ったまま。と同時に、あんなラストではあるけれど、また いつでも会えるトコに住んでるんじゃないの?と。
そういう重みにも乏しかったかなぁ。

それ以外の気になった点として、序盤のお弁当で腹痛のくだりも、そんな数時間で傷まないでしょと思ったり。
リンコが入院する経緯も突然だったり、一晩ぐらいと思ったり。

なんか「おや?」という印象が所々あったのも気になりました。

さてリンコを演じた生田斗真は“女性らしさ”を見事に体現。そして編み物の手さばきも素晴らしかったです。
そこのところはタイトルにもなってるぐらいだから最重要ではあろうけど。

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ヒャクハチンコ
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2017年02月20日

くも漫。

小林稔昌
脳みそ夫、柳英里紗、沖ちづる、平田 満
29歳の中川学は長年のニート生活を経て、父親のコネでようやく教育現場の職を得る。初めて人生の歯車が合い始めた高揚感と抑えきれない性欲から、風俗店へ繰り出した。ところが、No.1風俗嬢のサービスで絶頂を迎えた瞬間、くも膜下出血を発症してしまう。

中川学原作の同名ノンフィクション漫画の実写映画化。
主演はタイタン所属のピン芸人 脳みそ夫(のう みそお)。何ちゅう名前や(笑)
でも 程よくイケていない主人公のキャラを見事に体現してて すごく良かったですよ。

一方、風俗嬢を演じた柳英里紗がかわいらしかったですね。こんな風俗嬢おったらたまらんわね。

そして もう一人主人公の妹役の子が美人で目を引きましたね。
どんな子?と思いきや、元はシンガーソングライターであり 今作のエンディングテーマも歌っている沖ちづる という方らしい。

あと女医役で「特捜戦隊デカレンジャー」のデカイエローだった木下あゆ美。
名前はわからないけど職業案内所のオペレーターの方も印象に残ってて。
とにかく女性キャストがキレイな人が多くて、目を奪われましたわ。

主人公はニートとされていますが、どのような経緯があって…というのもちゃんと描かれていますし、ただ単にダメな救いの無いヤツという感じでもなくて。
でもその方が“助かってほしい”と思わせる意味では良かったかな。

ニート、教職、風俗店、病人と良くも恥ずかしくも立場が変化する主人公。
その中でも“風俗店で倒れた”という部分の後ろめたさがストーリーの“キモ”のようになっていまして。

確かにそれは恥ずかしいけども。客観的な見方をすると、それよりも命の危険すらある病からの生還という部分と対にするにはバランスが悪いようには思ったけどね。
超第三者意見としては、風俗で倒れたんか知らんけど、生きてて良かったやん〜という感じ。
あるいは 映画として、そこの駆け引きがもっと面白くできてたら、もっと笑えたかな。

実際にたいへんな体験談でしょうけども、もうちょっと面白ポイントや浮き沈みのメリハリあった方が盛り上がったわけで。
それが乏しいので、少々冗長に思えたトコロもありました。

テーマが興味深いだけに、その辺りはちょっともったいなかったかな。

でも くも膜下出血の怖さを、まるで“ゆるキャラ”のように視覚化したのは素晴らしいと思いました。
あのキャラクター「くもマン」っていうんだね。
熊本の人気者のアイツみたいな名前なんやな(苦笑)

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靴へのこだわりがスゴいww
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2017年02月07日

虐殺器官

村瀬修功
(声)中村悠一、三上 哲、梶 裕貴、石川界人
テロの脅威に対抗すべく徹底した情報管理が進むアメリカ。一方、その他の各地では紛争が激化。
それらの紛争には「虐殺の王」と呼ばれるジョン・ポールが関わっているとされ、アメリカ軍の特殊部隊大尉クラヴィス・シェパードは特殊暗殺部隊を率いて、彼の行方を追跡していく。

32歳の若さで肺がんによりこの世を去った伊藤計劃(いとうけいかく)のデビュー作「虐殺器官」をアニメ化。

小説についてのファンも多く、このアニメ化も ある意味“待望の”という文句がついても大げさではないほど。
んで原作を読んでいないと、“手ぶら”で予備知識ナシに この作品を見るのも〜という声も。

ちなみに わたくしは原作は未読で。
サラリとあらすじをチェックしてもイマイチ分からなかったけど。
そんなスタンスで本編を見たわけですが。

うん、理解し得ないながらも わかるのはわかりました。
眠たくなることなく、ラストまでついていけました。

途中「シン・ゴジラ」か?とツッコミたくなるぐらい、グイグイという印象もありましたが(苦笑)

なんというか 興味深い世界観を わかりにくいワードで、セリフで伝えてくるから。それを頭で「こういうことかな」と変換するのが必要で。
なので 食らいついてはいけましたが、本当の意味で作品世界を堪能できたかと問われれば、それはまた難しいわけで。

結果的に面白かったかと聞かれれば「興味深い物語だった」と答えたくなる。って感じだったかな。

ちなみに R15+指定(15歳以下の鑑賞には成人保護者の同伴が必要)なんですね。
これだけの少年に銃を持たせて それらを次々に撃っていく描写は、アニメとは言え 大胆な表現だと思いました。

また“911”から始まるアメリカ起点の物語を、日本人の作家が書いているってのも意外だったかな。

さて物語のキーになるジョン・ポールという登場人物がおるんだけど。
まさかビートルズ由来の名前じゃないよね。
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2017年02月05日

風に濡れた女

塩田明彦
永岡 佑、間宮夕貴、テイ龍進、鈴木美智子
都会から逃れ、世捨て人のように生活する高介は港で不思議な女・汐里と出会う。「アンタは私にロックオンされたんだ」と捨てゼリフを残し去っていった汐里。
後日、行きつけのカフェでウェイトレスとして働く汐里と再会した高介は、次第に彼女に翻弄されていく。

「日活ロマンポルノ」の45周年を記念した「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の一作。
わたくし自身は 当時のロマンポルノというの知りませんので、これが初鑑賞となりましょうか。

エロい観点で言うならば。
ちゃんと楽しめましたですよ。

一時期に比べれば、昨今のラブシーンなんてキレイなものでね。
それに今の役者さんって(決定的なこと言うなら)脱がないですから。
主演女優がおっぱい出すなんて、ありえないもんね。

そのご時世にですよ。時に生々しく、時にときめきつつ、行為におよぶ場面を 大きなスクリーンで見られるのはたいへん良いもので。ジュンときてしまいますね。

その一方で。
ちょっと映画の世界観には入っていけなかったですね。正直。

もうちょっと人間心理とかちゃんとしてて。
その中で ぶっ飛んでたり、滑稽だったり、可笑しみが感じられたりならいいのだけれど。

お芝居の、劇団のテイストが入ってきちゃうと、それ 端から変な行動をとるんじゃん…という見方になっちゃうんだよね。
舞台で表現するために決められた変な設定って。面白くない。ギャグとかも笑えない。
なんなら趣味嗜好、好みの問題だろうが。

なので、作風としてノッていけなかったのは正直なところ。

でもそんなエキセントリックな行動やアクロバティックな“戦い”も、ある意味ではロマンポルノらしさなのかもですな。

好みの問題で言うならば。
主演の間宮夕貴さんもイイ女だけど、個人的には劇団の助手役のメガネっ子(中谷仁美)の方がね。
小柄でショートカットで一見おとなしそうで。あの子の方が気になるんだけど〜と。

と思いきや、ちゃんと彼女も絡みのシーンがあったので、満足しつつ うらやましがりつつで(苦笑)

そんなことを思いながら感想をチェックしてたら、そっちの子の方が好みだという声もチラホラ見かけて。
やっぱり 男の思うこと、望むこと。そんなもんだよねと思った次第。

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ヤルか食うかどっちかにしなさい
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2017年01月31日

ザ・コンサルタント

ギャヴィン・オコナー
ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル
田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフに舞い込んだ、大企業からの財務調査依頼。彼は重大な不正に気付くが、なぜか依頼は一方的に打ち切られる。
その後 何者かに命を狙われるウルフ。 実は彼は、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る裏社会の掃除屋でもあった。

原題は「THE ACCOUNTANT」。意味は会計士。そして邦題の「THE CONSULTANT」は顧問や相談役となるんだけど。
確かに日本人としてイメージしやすいのは後者ですわな。
この邦題の付け方、絶妙だね(笑)

あらすじを読んだ時点では、一見 なんの変哲もないイチ会計士が、夜な夜な裏社会の悪を退治していく的な。よくあるストーリーだと思ってました。
ところが見た人の感想をチェックすると、どうやら そんな単純な感じでもなさそう。
気になって見てきましたが、確かにこれは面白かった。

イメージとしては表の顔と裏の顔を使いわける“密かなスーパーマン(バットマン?)”だったんだけど。じつは あらすじ上には書きにくい主人公の設定がありまして。
それは主人公が“高感度自閉症”というもの。

冒頭の映像からすると「障がい者を変に描いてる」と受け取られかねないかな。
でもそうではなくて。

高感度自閉症、知的障害、多動症、アスペルガー、etc…
それぞれ特徴、特性は違っていて。

高感度自閉症は他者とのコミュニケーションが苦手であったり。その反面 何かに秀でた才能を持つ者も多かったり。
この主人公でいうなら 数学についてであったり、芸術のセンスに特化しておられるのかな。

戦闘能力については、完全に仕込まれたもので。それは兄弟して あの父親の血を受け継いでいる証なんだろうけど。

この作品の面白味は とにかく謎が多いこと。そして それらの伏線を確実に回収していくことで得られるカタルシス。
プラス、まさに意外な真相もそれに拍車をかけております。

ただし、その謎要素が複数すぎて(苦笑)
また提示の仕方として時間軸や相関図が やや複雑で。
その辺り 注意深く追っていかないと大変かも。

終盤には銃撃戦もあります。そもそもコミュニケーション力が乏しいせいか、“情”を感じさせずズバっと撃つシーンなんかも。
でも それらの殺人スキルのアクションがメインではなく、人間ドラマとして楽しませる作品。

映画ファンであれば満足度高いんじゃないかな。
監督自身は続編の製作にも意欲的らしいし。
こんな作品であれば、続き見てみたいね。

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モハメド・アリも発達障害だったそうな
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2016年12月30日

この世界の片隅に

片渕須直
(声)のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞
昭和19年(1944)、18歳のすずは広島から呉へとお嫁に行くことに。戦争の影響で、配給物資も減っていくがすずは工夫を凝らし、食卓をにぎわせていた。
昭和20年(1945)、戦火は呉にも広がり空襲の続く中、すずが大切にしていたものが失われ。そして夏がやって来る

こうの史代の同名マンガを片渕素直監督がアニメ映画化。
そしてクラウドファンディングによって製作資金を募り、多くの支援を受け完成しました。
バックに大きな資本が着いていないこともあって(?)公開館数は少なめ。でも見た人の満足度の高さで、クチコミで、じわじわと支持を広げていっております。

主人公は 時に空想の中で遊び、絵を描くことが大好きなすずさん。彼女の幼少の頃から物語は始まります。
「あんたはぼーっとしとるけん…」という ゆったりしたセリフとは裏腹に、序盤はテンポよく進行。
バケモノに出会ったかと思えば 座敷わらしにスイカを勧めて。まるで恋心のようなものを覚えつつ、広島から呉へとお嫁に行くことに。

ちょっとしたエピソードのおかしさ、微笑ましさ。言うなれば四コマ漫画のようでもあり。

どんな相手かもわからない。どんな暮らしかもわからない。
そんなところへ当然のごとく嫁に行くのも、その当時ならあることなのか、はたまた すずがぼーっとしてるからなのか(笑)

さやしい家族。ちょっと厳しいお義姉さん。食べるものや着る物にも影響が出はじめる中、そこに生きる人々は 工夫を凝らし、笑顔を絶やさず。
クサい言い方だけど、心は豊かだったんですね。

やがて戦艦なども立ち寄る港町・呉には他国の攻撃も激しくなり。寝る間も奪われるほどに空襲警報が発令され。
あまりの多さに「空襲にも飽きた」と言えるまでに。

なんて憎まれ口を叩ける間はいいけれど。
その中で すずは大切なものを奪われます。
命、肉体、日常、笑顔…

「このまま ここにはいられない」と一旦 広島へ戻ろうとするすず。
8月6日には地元の祭りもあるから…

僕らは敗戦国の人間として、生まれながらに 戦争というものが いかに惨たらしくて、辛くて悲しみを残すものか。映画やドラマ、教育の中で教え込まれて生きてきました。
一方で 今作はあからさまに戦争の是非を問うような、そんな作品ではありません。
是か非か。それで言うならもちろん…ですが。

でも もはやその当時の戦争を経験してきた人は少なくなってきました。
それを伝え聞いた人が、また伝えていくという現実。時代はまた次の段階にきてるのかもしれませんね。
ストレートに戦争の悲惨さを訴えるのではなくなってきてしまったと。

この映画に描かれているのは、そんな時代に、そんな町に暮らした人々がいたことであって。
戦争ではなくとも 天災、災害、さまざまな争い。それらと向き合いながら、日常を生きている今の時代にも通じる作品だと思いました。

すずさんのいたあの当時でも、わたくしたちが暮らす今の時代でも。
そこが それぞれの世界の片隅なわけで。

映画としても素晴らしい作品であり、日本映画として普遍的な一本であるのでしょうね。

いっぱい笑えて、何度もこみ上げてくるシーンもあったけど。
手を振るラストはこらえきれなくなりました。

あと すずさんを演じたのんさんについても。
よくぞ彼女をキャスティングしたなと思いましたし、この作品で彼女の表現力を(今まで以上に)思い知らされました。

すずさんも大切なものを奪われてしまったわけですが、のんさんも名前を失ってしまったわけだし。
そういう重なる部分もあったわけで。

アニメ作品のアフレコって、映像に(ある意味での)魂を吹き込むことでもあるわけで。
のんさんだからこそ、すずさんが生きたというところ、あるでしょうね。

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ただただ、素晴らしかった
posted by 味噌のカツオ at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月04日

コロニア

フロリアン・ガレンベルガー
エマ・ワトソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・ニュークヴィスト
フライトでチリを訪れたドイツのキャビンアテンダント・レナは、ジャーナリストで恋人のダニエルと再会を果たす。しかし突然のクーデターにより ダニエルが軍部に連行されてしまう。
レナはダニエルを救うため、慈善団体施設“コロニア・ディグニダ”に潜入する。

昨今では「実話を元にした…」なんて宣伝文句をよく見かけますが、この作品もそのようで。

ことが起こったのは1973年9月11日。
現地の情勢を取材するべく潜入していたダニエル。CAとしてチリを訪れ、恋人のダニエルとの逢瀬を楽しんでいたレナ。
しかしクーデターによりダニエルが連行され、彼を救うためにレナはコロニア・ディグニダへ潜入していきます。。。

という話らしいのですが、作中ではダニエルはジャーナリストという感じではなく、イチ活動家に見えまして。
なので、導入部を見ていて若干「?」と感じてしまいました。

場面 場面でダニエルがカメラに固執する描写があったので、今にして思えば ジャーナリストという設定は生きていたんだなと。

そしてもう一点。
コロニア・ディグニダという施設。実は 性的虐待の罪でドイツを追われ、チリで“教皇”として根を張ったナチスの残党の男が設立したものであると。
その設定を理解していいまま鑑賞したので、主人公が 信念のままにそこに潜入し、その実態を目の当たりにしていく展開を、わたくし自身も共有した感じになっていまして。

なので…コワかったですねぇ。不気味でしたねぇ。

端的に言ってしまえば“カルト”であり、だからこその洗脳であり、集団としてのコワさが際立っています。が…
それ以前に さらなる展開が待っていまして。

この二重構造が作品の気味の悪さを際立たせておりましたね。

監督のフロリアン・ガレンベルガーは、2000年に第73回アカデミーで短編映画賞を受賞しているとか。
であっても今作の劇場公開の規模は大きくはなくて。
ですが 見応えのある作品であるのは確かです。

そして あらためて。
実話ベースという点に向き合うと、もう一度コワさを感じちゃうよなぁ。

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機長の長髪と本編の関係は!?
posted by 味噌のカツオ at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月25日

映画 聲の形

山田尚子
(声)入野自由、早見沙織、悠木 碧、小野賢章
小学生・石田将也は聴覚障害がある転校生の西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。しかし とある出来事をきっかけに周囲から孤立。そして硝子は転校していってしまう。
それから五年が経ち、二人はそれぞれ別の場所で高校生になっていた。あの時 伝えられなかった想いを抱えていた将也は、硝子の元を訪れる。

原作者が岐阜県大垣市の出身ということで、作品中でも大垣市の街並みが垣間見えております。
そんなわけで わたくし、本場(?)大垣のシネコンまで行って見てまいりました。

途中で主人公たちが映画を見に行く場面があって。「それって、ココのことやろ」と、妙な感覚になったり。
周りの地元のお客さんなんかは、それ以外の場でも ザワッとした雰囲気があってね(笑)

それ以外でも養老天命反転地やナガシマスパーランドなどは そりゃそうだよねと思ったし。
大垣の子がナガシマでバイトするかね?という疑問はさておき。。。

そんな舞台となった地で見られて良かった…という思いは省いても。
この作品を見られて良かったなと。

感情としては ヒリヒリした部分も多かったけども、良い部分も痛い部分も含めて、感情を揺さぶられたのは良かった証拠です。

あまり事前情報を入れないままの鑑賞で。序盤の小学生時代のパートは、リアルでキツかった。
そもそも成熟していない小学校のクラスルームというコミュニティに、“耳の聞こえない子”が入ってきたらそうなるわなと。キレイごとでは進まない感じね。

そして将也がいじめの加害者として、ただ一人 吊し上げられる展開。
担任の「石田、お前だろう!」という行動は頼もしく思えたけど、よくよく考えれば、じゃあ今までちゃんと指導してきたのか?と感じたり。

周囲のクラスメートからも「石田が悪い」という感じでまとまっていくんだけど、確かに露骨にヒドイことを言ったり手をあげていない中で。将也のポジションがそうなっていくのは…そうしたもんだろうなと。
気付かないうちに いじめの構図って出来上がっていくんだよね。

創作の中で こういう描かれ方って 今まで見たことなかったけど、それこそがリアリティがあって。
見ていてツラかったり、映画としても少々イヤな気分にもなりました。

一方の硝子は それでも「友達になりたい」と言い続けるのは何故だろうかと。
他の子とは違うから、ハンディがあるから、ニコニコし続けて やっと一緒を保てないということだったのかな。

将也の行動により母が硝子の母に侘びを入れに行きます。
そこで何が語られたかはわかりません。なぜ母の耳から血が出ていたのかも よくわかりません。銀行からお金を出していたのはわかりました。
それらの“ぼんやりとした”記憶って、確かに将也とってはなかなかの傷として残るだろうね。

そのまま 他者との関わりができないまま(しないまま)の5年間を経て、将也と硝子は再会をします。
そして新たな仲間とのつながりもあり、今どきのケータイなどの発達もあって すんなりとかつての仲間たちも物語に入ってきます。

ここからが本筋というべきか。過去、幼いがゆえに、また 離れ離れになって語られなかったことが結びついていって。
それでも 全ての歯車がキチンと噛み合わず、微妙なギクシャク感を保ったままなのが、見る側の心に引っかかっていくのかな。

シチュエーションとして聴覚障害の存在に いじめ問題が介在しているけど、ストーリーの軸はあくまで人と人のコミュニケーションのことであって。
それぞれのキャラの思いや 物事に対する向き合い方がバラバラで。だから より考えさせられたり、受け入れられたり。そういったところなのかな。

そんな中でわたくし的には、周囲の人たちと目を合わせられない(×印でそれを表現するのがまたスゴイ)将也の感覚よくわかるし。
徹底的に硝子と相成れない植野直花。時に暴言を浴びせ 時に手も出してという。コイツはキツイなと思ってたら、最後の最後にちょっと手話の仕種するのをみて「ウワアァ〜」ってなったり。

最後に ちょっとだけアラをツッコむとするならば、終盤の花火の場面。
あんなガラ空きな花火大会あるか〜と。もっと人で混雑してるやろうと(苦笑)
そして結絃が将也にカメラを取りに行ってもらうんだけど。
常にカメラを首からぶら下げてる子が、花火大会に手ぶらで行くこたぁないやろうと。
いちばん写真撮りたくなるんちゃうかと。だから物語がつながるわけなんだけども、やっぱ そこだけは不自然な設定だと思っちゃったね。

まぁそんな小さいことには目をつぶって。129分の間 ダレることなく作品にのめり込めましたし。
とにかく 感情を揺さぶられたわけでありました。いい映画でした。

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“にゃんにゃん倶楽部”にゃあ やられましたな(笑)
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2016年09月14日

クハナ!


秦建日子
松本来夢、久志本眞子、加藤清史郎、風間トオル
6年生の西田真珠が通う、廃校が決まっている小学校。そこにジャズプレイヤーだったという教師がやってきた。
それを契機に、真珠たちはジャズのビッグバンドを結成。活動予算の工面、同級生の思わぬ転校など、さまざまな出来事を乗り越えながら練習を重ね、バンドはコンテストの県大会を勝ち進む。

舞台は三重県桑名市。実際に桑名でロケもされていたこともあり、全国に先駆けて東海地区で先行公開。
見た人の評判がとても高い。

地元製作の映画なので知った顔が出演してるのかもしれませんし。子どもたちが頑張るストーリーなので、そりゃ見たら胸アツになりましょう。評価も高くなりましょう。
そんな中で 実際のデキはどうなのかと。そんな目で見てきたわけですが。

いやいや〜これは公平に見て、普通に面白かったですよ。
結論から言うと、登場人物が多いんだけど、皆 良い芝居しておられます。

ご当地ムービーって、素人さんや売れてない地元の役者さんを使った結果、セリフが棒読みだらけだったり。ギャグが異様に寒かったりするんだけど。
その辺り、ハズしていないです。

冒頭、家族5人のやりとりから会話がスムーズで。その時点でこれはイケると。
見てる側に恥ずかしいと思わせる拙さはコメディとして一番アカンのですが、それがひとつもなくって。そこをクリアしてるのは素晴らしい。

子どもたち同士の場面でも、まったく演技を感じさせない自然さ。
長めのワンカットのシーンでも絶妙な間とリアクションで、小学生の無邪気さがしっかり伝わってきました。

中にはキャラのオモロい子もいてて。「ないわ〜」が口ぐせの子も、終盤までアレで押してたけど全然ウザくなく笑えたし。
超内気なあの子はいつになったら心ひらいてくれるのかとドキドキしたり。

そして何より 先生役の風間トオルさんがバツグンに上手い。
最初の練習の場面。ピアノの周りにみんなを並ばせ“演奏”をさせるシーンも良かった。
あれはちょっと邪道な手法かもだけど、この作品のテーマである「楽しい」を感じさせるのに十分。
またそれが終盤にも効いてくるトコでもあって。

子どもたちが主役でありながら、おっぱいネタやスナックでのシーンなんかも入れ込んでるのも、いい意味で日常を感じさせてくれていました。
また あずきバーが出てきて「地元やなぁ」と思わせつつ、その食べたバーで缶を鳴らすシーンなんかも印象に残ってて。
そういった、ちょっとしたところに気を利かせた演出も見どころ。

クライマックスの大会では、演奏は上手いけど感じの悪いチームとすれ違い「桑名?岐阜県?」とか言わせつつ、それがどこの地域のチームなのかには言及しないという。
悪モノをつくらない点も好感。

そしてクハナの演奏シーンはしっかりと観客が見たい、聞きたいようなものに仕上がっていて。感動よりも楽しいという。
言ってしまえば「スウィング・ガールズ」でもあった手法だけど。こういうハッピーエンド、わたくしは好きですわ。

そりゃもう展開としたらこれ以上詰め込むのは難しいんじゃないかな。
そのうえで、素晴らしい演技に裏打ちされた共感できる笑いで楽しませてくれて。
いいもん見た〜という思いにさせてくれました。

そして、エンドロール後のひとネタも、なんかちょうどいい具合の着地点だったですよ。

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こども転校
posted by 味噌のカツオ at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする