2018年07月16日

君が君で君だ

松居大悟
池松壮亮、満島真之介、大倉孝二、キム・コッピ
自分の名前を捨てて、ソンさんが好きだと語る“尾崎豊”“ブラッド・ピット”“坂本龍馬”になり切った3人の男。彼らは自分たちの“国”を作り、10年に渡り 大好きなソンさんを見守ってきた。
ある日 ソンさんの部屋に借金取りの男が現れ、激しく取り立てを迫るのだが…

映画には それなりのストーリーがあるものですが。
こりゃまた なんといいますか。どう着いていっていいのか たいへんに困る代物でしたな。

冒頭のカラオケボックス。ソンさんとの出会い。
尾崎の歌が流れてるけど、個人的には「手のひらを太陽に」が気になったけどね。

そして気付けば薄暗い部屋に集う3人の男。ハイテンションながら あきらかに漂う“○○ごっこ”感。
何が目的で何をやっているのか。そもそも何がどうしてこうなった?が見えないので、どう着いていっていいのか困ったわけですが。

少しづつ彼らの物語が明かされ。次第に状況に変化が訪れる。
ただし、いずれにせよまともじゃないので、それに合わせて見るしかないんだけどね(苦笑)

終盤、尾崎とブラピが制服姿でたわむれる描写も登場したけど。
行動原理は 中学生・高校生のノリのままなのかな。

彼らのやってる事が 純愛なのか、変態行為なのかは定義しにくいんのだが。
でも見てる分には 純粋に引き込まれるところもあったり、バカバカしくて笑ってしまったり。

本来、好きなら好きで伝えればいいものを。彼女のことをただただ見守るという行動。
彼女には彼氏がいる。その彼氏を幸せになってほしいので見守る。
不思議だ。歪んでる。でもなんだか楽しそうだ。

結局 わたくし自身はこの映画の登場人物と“同期”するのは難しかったんだけど。
嫌悪感もなければ卑下することもなく。

まるで彼らが彼女を見守っていたように、わたくしも彼らを見守っていた感覚なのかもね。

ただし…髪の毛を食べるシーンだけはアレだったなぁ。
実際に髪の毛一本でも口に入ると、何だか「ウエッ」と思うことあるもんね。

率直には受け入れにくい点もあったわけですが。
池松壮亮、満島真之介、大倉孝二の役者としての面白さは存分に味わえました。
3人とも、いっちゃってたなぁ(笑)

YOUさんもらしさはあったけど、向井理はちょっと違ったかな…と。
あと キム・コッピさんにちょっと吉高由里子っぽさ感じたね。

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にじんだ汗の生々しさがイイね
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2018年06月01日

恋は雨上がりのように

永井 聡
小松菜奈、大泉 洋、清野菜名、吉田 羊
アキレス腱のケガで陸上の夢をあきらめざるを得なくなった高校2年生の橘あきら。偶然訪れたファミレスで放心するあきらに店長の近藤が優しく声をかけ、あきらはその店でアルバイトを始めた。
バツイチ子持ちで28歳も年上だと知りながらも、彼女は近藤に心惹かれていく。

映画というものには共感力というものは大切で。どれだけ作品に感情移入できるのかが大きなポイントなのですが。
40代後半で独身のわたくし的に、この作品ほど感情移入できる作品はなかろうかと(苦笑)
でも、映画ってファンタジーとしての側面もあるからなぁ。。。

閑話休題。
今作の永井聡は『帝一の國』『世界から猫が消えたなら』の監督でもありますが、それ以前に公開の『ジャッジ』という作品が好きで注目しているんだけどね。
そんな期待に応える導入部。

ワンシーンを挟み、主題歌をバックにしたオープニングタイトルが流れまして。
それこそ映画にはいろんな表現方法あるけども。“ポンッ!”と作品名が出るものもあれば、何もなく始まるもの(最後にタイトルが出る)も。
しかし最初に主題歌かかって主要キャストの名前が出てのオープニングはシンプルにワクワク感高まりますね。こっちも「映画 見るぞ」のスイッチ入るしね。

ところが…この後グッと不安感が。
舞台となるファミレスの描写が メチャ嘘くさい。客の入り、ざわめきはまだしも、白衣を着た調理スタッフらしき人間が5〜6人ぐらいいたのかな?
わたくしファミレスで働いたことは無いけども、あれは過剰な“絵作り”だったのでは。まさに数人が手分けして仕上げにかかっている一流レストランの厨房のそれだったですから。

それ以外にも過剰な情報量の詰め込み、スマホを忘れた客への対応など、安っぽい邦画の作りに見えてしまいました…んが。

それ以降は ひとつひとつのエピソードの積み重ね方がなかなか上手くて。
気付けば イイ感じで引っ張られていきましたよ。

あきらの(最初の)真剣な告白に対する店長の受けのズレだとか。そりゃそうなるわな〜って感じ伝わったし。
陸上部のパートもじつにヒリヒリさせられたし。

それ以外でも“空手チョップ”Tシャツの使い方、ペディキュアの心配も面白かったし、なんなら息子の髪の毛が天パっぽくなってたのもジワジワきたし。

そんな中でもキーと思えたのが“戸次重幸”の存在。
冒頭に名前が出て「あぁTEAM NACSの…」とは思いましたが。役柄としては店長の大学時代の友人で、久々の再会を果たすというものだったんだけど。

まさに店長の雰囲気がその場面だけちょっと違ってて。(そういう意識で見てるのもあるだろうが)ホントに昔の仲間に会ってる感が伝わってきたんだよね。
ただ雰囲気が違うといっても“この場面だけ浮いている”とか“NACSファン向けのサービス”というのではなく、映画の流れを左右する意味での特別な場面になってたんですよ。

こういうのをキャスティングの妙と言うんでしょうな。

そんな二人のシーンで交わされた会話の「未練ではなく、執着」というのも響きました。
セリフで言うなら前半の「人を好きになるのに理由はいりますか」に対して「俺と橘さんには理由いると思うよ」も納得させられたな。

あらためて思い返してみると、わかりやすい劇的な山場の無いまま、エピソードの積み重ねからエンディングへと向かうのですが。
店長とあきらが向かい合って。あきらの真っ赤な目にやられましたね。そりゃしずくのひとつでもこぼれればわかりやすいんだろうけど。そうしなかったのも良かったなぁ。こんなのは好みの問題かもしれないけどさ。

好みでいうなら、そもそも小松菜奈ってそんなに惹かれる女優さんでは無かったけど、今作では その魅力が全開でしたね。
「睨んでる」「目つきが怖い」との描写もあったけど、こんなキレイな娘に睨まれるのはそれはそれでニーズあるだろうし。
陸上選手としてのスタイルの良さ。また足を強調したショットもホントにキレイでした。

そして小松菜奈に対してもう一人の“ナナ”清野菜名も いい味出してたなぁ。
終盤の彼女の登場シーンで、もう一度走ろうと決めたあきらに無言で寄り添って走りだすシーンなんかも美しかった。

小松菜奈とはCMで共演してる吉田羊さん。
登場シーンでは ずっと伏し目がちでパッとしない印象なんだけど、最後の最後に見せる表情(横顔だけど)の絶妙さにはシビれました。
ちなみに このシーンは小松菜奈の表情も見事でした。親子ならではの感情が伝わりました。

濱田マリさんはもちろん そのまんまで存在感あるし。ファミレス店員の松本穂香は既にネクストブレイク候補だし。京都からやって来た陸上選手役の山本舞香も今後きそうな雰囲気持ってますよ。
大泉洋さんは言わずもがな。優しさ、ダメっぽさ、そして ほんのちょっとのカッコよさ。間違いないキャスティングだよね。

本編の序盤こそ 構えてしまいましたが、終わってみればホントに大満足の一本でございました。

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ところで、おじさんと女子高生の恋愛は…
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2018年05月30日

孤狼の血

白石和彌
役所広司、松坂桃李、真木よう子、江口洋介
昭和63年。広島の呉原では、広島の巨大組織・五十子会系の加古村組と地場の暴力団・尾谷組がにらみ合っていた。
そんな中、加古村組関連企業の金融会社社員が失踪。暴力団との癒着を噂される刑事・大上と新米刑事の日岡は捜査に乗り出す。

1970年代に栄華を極めた『仁義なき戦い』をはじめとする やくざ映画。
それらのテイストでありスピリットを今に受け継ぐ形で製作された今作。

その重責を担うのは『凶悪』や『日本で一番悪いヤツら』の白石和彌監督。

まずはじめに。往年の『仁義なき戦い』シリーズや「実録路線」を意識した作品であることから「やくざ映画」ということを言われていますが。
見て感じたのは、これは刑事モノでありましょうと。もちろん やくざもいっぱい出てきますし、やくざな刑事も出てきますが、これは刑事モノでしょうと。

なんなら『娼年』で少年から青年への成長を見せた桃李くんによる、日岡刑事の成長譚とすら感じました。

この作品で まず目を奪われてしまうのは もちろん“ガミさん”こと大上刑事。いやなんなら“役者”役所広司と言ってもいいのかもしれません(苦笑)

『三度目の殺人』でもそうでしたが、本音というか人としての奥底が見えない存在を見事に体現してくれています。
そんなガミさんに振りまわされながら、いつの間にか変心を遂げる日岡役の桃李くんも素晴らしかったですし。

あえて欲を言うなら、やくざ役として江口洋介はキレイ過ぎる感じがあるし、竹野内豊さんはちょっと細かったかな。

なかなか今の時代の この年代の役者で、怖さ、ヤバさを表現できる人。ドスの利いた振る舞いできる人。なかなか思いつかないよね。
それこそピエール瀧さんなんかはガタイも良くて強面で、そこにいるだけで“悪いヤツ”を感じさせられるし、ワンポイントリリーフだったけど中村獅童さんなんかも貴重な存在だとは思いました。

映像的には 冒頭からエゲツナイ描写があったり。
ポールからパールのボールを出す くだりも思わず目を背けたくなったりもしましたが、必要最小限でギリギリだったんじゃないでしょうか。

あとは舞台となってる呉原。そのモデルとされる広島の呉でロケが行われたそうなんですが、実に古き良き時代の歓楽街の絵になっていましたし、取調室や車や自動販売機なども良かったですね。
確かに昭和63年を感じましたよ。

あらためまして。舞台は今から30年前の広島。
一人の金融会社社員の失踪事件の捜査を始める大上と日岡。捜査を進める最中で巻き起こる 2つの組織の縄張り争い。
やがて その捜査を行う大上刑事にある疑惑が浮上。

そうやって要点が広がっていくごとに、それ相当の登場人物も膨らんではきますが。
思いのほかゴチャつくこともなく、すんなりと入っていけました。

大上は加古村組の動きには目を光らせてその動きを牽制。
一方で尾谷組とのパイプがあり、なんなら組から金まで受け取っている始末。

またその捜査方法は暴力、金、さらに不法行為のオンパレード。それによって事態が進展することもあるのだが、日岡は刑事の矜持として 大上の“悪事”を止めたいと考えます。
ところが大上の“アタマ”の中にあった真実と、日岡の抱えた事情が裏返ると同時に、物語は思いがけない結末へと向かっていきます。

要約すれば、悪いヤツが本当に悪なのかというと決してそういうわけでもなく。
正しいと思っていることが必ずしも正義ではないと。

どうしてもジャンルとして「アウトレイジ」と比較される向きもあるけど、あちらはドンパチ多めの殺るか殺られるかが大きいけど、こちらはもっと捻った人間ドラマという印象。

大上が疎ましくみられながらもクラブのママ(真木よう子)の息子に向ける視線であるとか。失踪後に日岡の前に現れて逮捕を求める描写だとか。
「やっちゃれ会」のバックヤードで行われる壮絶な駆け引き。そうして受け継がれる“孤狼の血”ということなんですね。

まさに白石和彌監督特有の意地の悪い描写、アクの強さがいかんなく発揮された傑作。
ホントに面白かったです。これは続編にも期待したい。
でも そうなるとガミさんは出てこないのかな?

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アホが見るブタのケツ〜♪
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2018年05月01日

君の名前で僕を呼んで

ルカ・グァダニーノ
ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ
1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。
同じ時間を過ごすうち、エリオはオリヴァーに恋心を抱く。やがてその思いは通じるが、夏の終わりが近づくとともに、オリヴァーが去る日も近づいていた。

今年のアカデミー賞で 作品賞・主演男優賞(ティモシー・シャラメ)・脚色賞・歌曲賞 の4部門にノミネート。うち脚色賞を受賞した作品。
それもあってか わたくしが見に行った回は満席でしたね。

とかく今の時代、LGBTをテーマにしたもの。またメインやサブに関わらず そういうキャラが登場する作品は非常に多い。
いや多いというか、ほぼほぼ入ってますな(極論ですが)。

今作は17歳の少年と、24歳の大学院生である青年の物語。
互いに男性でありますが、厳密にはゲイとか同性愛でもなくて。17歳のエリオは女性とも(普通に)関係もったりしてるからね。

今作で一つ話題になってるのは この二人の美貌。
イケメン、美し過ぎる、美術品の彫刻並みとかいろいろ。
まぁそれはわかりますが、さすがにわたくしはその点で萌えることはありませんで。

逆に言うなら、そんな二人のラブシーンもキレイなもんで。
全然エグくはなかったね。何を期待しとるんだと言われそうですが(苦笑)

露骨に見せることなく、変な生々しさは出さず。
作品のテイストといえばそれまでですが。。。まぁそういうものなんでしょう。

さて、結論づけて言うなら、わたくし的には正直 退屈な時間に終始してしまいましたね。
そこで表現されていることは“なんとなく”わかりましたが。

やっぱり1983年の北イタリアの文化。アメリカ人のスタンス。
必要以上にフレンドリーであったり、家庭内もやけにオープンだったり。
そういう状況下での 人と人のコミュニケーション。性へのアプローチ。すんなり 飲み込みきれなかったという印象。

彼と彼が行う行為に偏見は全くありません。
なんなら こういう ひと夏の恋なんて、これまでにも、世界中であったようなドラマであって。
この作品では それが“男同士”であること以外の 真新しさを感じなかったんだよね。

この映画独特の…という意味では「君の名前で僕を呼ぶ」というのがあるけれど。その意義がちょっと伝わらなかったんで。

様々感想を見ていると、多くの人が感じるものがあったという、息子エリオに父親が語り掛けるラストのシークエンス。

設定を見ると、このファミリーは毎夏 北イタリアでバカンスをしているそうで。
で 大学教授である父親は、助手役として大学院の生徒さんを招いているとのこと。

これ、自身の息子の特性と、その相性を見抜いてオリヴァーを招いていたとするならば…
お父さん、神やね。

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桃缶 ならぬ 桃姦
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2018年04月21日

クソ野郎と美しき世界

園子温 、 山内ケンジ 、 太田光 、 児玉裕一
稲垣吾郎、草g剛、香取慎吾
「新しい地図」が製作を手がけ、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾と4人の監督がコラボレーションしたオムニバス。

『ピアニストを撃つな!』監督・脚本:園子温、出演:稲垣吾郎、浅野忠信、満島真之介、馬場ふみか
『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』監督・脚本:山内ケンジ、出演:香取慎吾、中島セナ
『光へ、航る』監督・脚本:太田光 出演:草g剛、尾野真千子
『新しい詩』監督・脚本:児玉裕一 出演:クソ野郎★ALL STARS

という構成で。
オムニバスなので それぞれの作品をどう感じたのか書くべきなのかもですが。
わたくし的には それぞれが何かを感じるほどまとまっていないように思えまして。
そういう方向では語りにくいってかな。

それでなくても『新しい詩』は決して一本の(短編)映画ではないしね。

とは言いつつも それとなく書いていきますが。
『ピアニストを撃つな!』は そもそも園子温監督の作品が好きだったりもするので。これは手放しで楽しんじゃいました。
夢のような象徴的に物や色が配置された部屋。ありえない個性の登場人物。わざとらしいまでに賑やかな祭り感。そして また出た(監督の)地元・豊橋でのロケ。

程よく ぶっ飛んだ設定と奇抜な設定。ラストの「ギャー!!」まで楽しかったんだけど。
あえて言うなら…吾郎ちゃんの良さに関しては希薄になってたか。

一方で『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』になったとたん…一気に眠気が。余りにもトーンが違い過ぎるのもあってだけど。
テイストとしては「世にも奇妙な物語」にも近いのかな?そんなダークファンタジー。

歌喰いの少女によって 歌うことを奪われた人々。
ただし その少女のウンコを食べると歌が戻る…と言うのだが。普通にその設定が気持ち悪いと思ったんだけど。無理くり「クソ野郎…」というタイトルだからそういうものかと 気持ちを維持したけど。

品の無い女のウンコだったら妙に下世話な物語でスルーできたけど、少女を絡めたスカトロは ちょっと嫌だなと。あくまで感覚の問題。
そして“歌喰い”と謳っているのに、歌では無いものも奪っていっちゃうんだよね。。。

『光へ、航る』とても映画的ではあったろうし、草g剛、尾野真千子も役者としては悪くはなかった。裏を返せば キャリアのある役者としては これぐらいできるとは思うわけで。
途中の時事ネタ系のユーモアもわかるけど。どうせやるなら もっとブッ込んでも、太田光テイスト入れても…とは感じました。

『新しい詩』では それまでのキャストが一堂に会する場になっていまして。
とはいえ それぞれの物語が“絶妙に絡み合って”大河ドラマとなっての完結…ではなく。謎のクラブにみんなが(必然性もなく)集まってという感じでね。
もちろん それぞれの話が 突拍子も無さ過ぎることを思えば、それを望むのはハードル高いだろうけどね。

ただし香取慎吾くんの歌、ダンスは理屈抜きにワクワクしました。やっぱり そういう点ではエンターテイナーであって、人の目を引く存在感には脱帽です。
どうせなら、物語がキレイに一本にならないのなら。せめて主演の3人が おそろいの衣装でビシッと歌い踊るエンディングぐらいはあっても…と。逆に思っちゃいました。

これを単なる“ファンムービー”と称する向きもあるだろうけど、決して安易な“ファンサービスムービー”ではなかったし。ちゃんと映画として向かっていってたとは思いましたよ。
わざわざ声高に“駄作だ!”などと叫ぶつもりもないけど。わずかな準備期間でできることをやり切った意欲作。
第二弾の製作も決ったそうなので。この次が正念場かな?

さて、ちょっと余談ではありますが。今作の『ピアニストを撃つな!』『新しい詩』そして『光へ、航る』にも ちょっと絡んだ浅野忠信さん。
この人も なかなかなカメレオン俳優ではありますが、ここではかなりイッちゃってるキャラで。存在感っちゅう意味では「新しい地図」の3人を食ってたと言っては過言かな。

その浅野忠信さん、木村くんのドラマでも主役以上に印象に残る役どころ演じておられたような。
「だから何?」って事ではありますが。

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ベーグルもイイけどカレーもね♪
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2018年03月24日

去年の冬、きみと別れ

瀧本智行
岩田剛典、山本美月、斎藤 工、北村一輝
結婚を間近に控えたルポライター耶雲恭介は、猟奇殺人事件の容疑者である天才カメラマン木原坂雄大のスクープを狙っている。
耶雲は取材と称して事件の真相を探ろうとするが、木原坂の危険な罠は彼の婚約者にまで及びぼうとしていた。

「見た人 全員が騙される」なんて謳い文句の作品。
結構 この手のヤツはクセのある作品も多いんだけど、率直に言って、これは、当たりでした。とても面白かったです。

瀧本智行監督の過去作を見て、なるほどと。
「星守る犬」「はやぶさ 遥かなる帰還」「脳男」「グラスホッパー」と。ヒューマンドラマとサスペンス要素のあるクライムムービーと言いますか。
今作は そのどちらの良さも込められてますよね。

ガンちゃん演じるルポライター恭介が とある事件の真相を取材して連載・出版をしたいと売り込んできます。
その事件の対象者であるカメラマンの取材にこぎつけ、謎に迫ろうとしますが、今度は恭介のフィアンセが事件に巻き込まれていくと。

ちょっと面白かったのが、冒頭に画面に映し出される「第二章」の文言。
そこから話を進めておいて…そこに至るのに どんな事情があったのかを見せると。よくある手法だけど「第二章」というのは分かりやすかったですね。

主要な登場人物は5人。そのいずれもが虚と実を抱えていて。
それぞれの立場や証言が裏返って 真相に向かう感じがあって。
それだけ「そうなのか」と思わせるポイントがありながらも、とてもすんなり無理がなく。

ただし映画としての不自然さやアラは 皆無とは言わないまでも、かなり上手にまとめられていましたね。
ぶっちゃけ2時間の映画で これだけのことを描こうと思ったら、それなりに詰め込みがちにはなるわけで。その点では十分に及第点だったですよ。

さて端っから「見た人 全員が騙される」と“挑発”されてる以上、こちらも“それ相当”の疑いをもって見た結果。ここで言うところの 最大のトリック(?)はわかりましたが。
それでも 見せ方の妙と、動機と言いますか、その心のピュアさと切なさが沁みまして。とてもイイ映画見たなって思いましたわ。

以下はちょっと内容に関わるポイントになってきますが。
序章というのを 彼が書きあげた本を使って辿っていくのも面白いと思ったし。
映画の序盤に出てきた取材の場面は、実はそういう時間軸だったってのは上手いミスリード。

そして終盤、ひとつの決着をやりとげた後に彼女の口から発せられる「途中からは本気だった」という思いのほんの少しの切なさ。

さらに彼が語るこの作品のタイトル「去年の冬、きみと別れ…」の意味に もう一回やられるという。ねぇ。

映画の序盤。主演のガンちゃんの演技が、正直ちょっと弱いかなと、心細いかなと思ったんだけど。次第に良くなって気にならなくなったのでそれはOK。
ただし、エンディング m-flo の主題歌が、ちょっと合わなかったかな。ラップじゃなくて もっとストレートなラブソングで良かったよね。

でも本編は おそらく 誰が見ても楽しめる映画じゃないかなと。
純愛・サスペンスとして かなり満足度の高い作品でした。

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ネタバレ無しでは書きにくいよね
posted by 味噌のカツオ at 22:39| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月26日

グレイテスト・ショーマン

マイケル・グレイシー
ヒュー・ジャックマン、ミシェル・ウィリアムズ 、ザック・エフロン
興行師のP.T.バーナムは妻と娘たちを幸せにすることを願い 挑戦と失敗を繰り返してきたが、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーをヒットさせ成功をつかむ。
しかし美貌のオペラ歌手ジェニー・リンドと出会ったことで、彼は新たな野望へと駈け出していく。

ちょっとダークな作品に目を奪われたり、アカデミー賞の注目作が気になったりで、恥ずかしながらこの作品はしっかりとチェックしていませんで。

とはいえ今作もアカデミー賞の主題歌賞にノミネートされてるのね。
さらに「ラ・ラ・ランド」の製作チームが携わっているというポイントがあるにも関わらず、それほど気にしていなかったですし。

そんなこんなでミュージカル映画という事以外、あまり概要を知らないままに鑑賞しましたが、予想以上に良かったです。
もともとハッピーを伝える歌やダンス、“ショー”というものは大好きなのでね。

幼い頃から幸福感あふれるショーへの憧れや アイデアを持っていたバーナム。
銀行をだまして(!?)借り入れたお金で博物館をスタートさせますが、全く反応は芳しくなく。
そこで思いついたあるプランを実行に移します。それは誰もが“オンリーワンになれる場所”というコンセプトの、いわゆる“サーカス”でありました。

背の小さな男、大きな男。ひげの這えた女性。そして空中ブランコの経験者。様々な動物たち。
もう楽しそうなのもあれば、現代では人権的にチェックが入りそうなものまで。それらを寄せ集めて、言い方は悪いけど「見世物小屋」のコンセプトだよね。

批評家からは「こんなものは芸術ではなく、評価に値しない」と一刀両断。一部の人からは徹底的に非難を受けるその一方で。
いわゆる“大衆”からは これがウケて、バーナムはひと財産を築きます。

やがて英国でオペラ歌手のジェニーと出会い、その歌声に惚れこんだバーナムはサーカスと家族を残し、ジェニーと全米ツアーに旅立ちます。

ざっとそんな展開ですが。
主人公の生い立ちから 浮き沈み、様々な紆余曲折。サブキャラたちのサイドストーリーまでミュージカルを交えながらの1時間45分。

その尺にそれだけ詰め込んでることもあってか、ストーリーとしては正直めっちゃ雑(苦笑)
言いたいこと、伝えたいことはわからんでもないけど、結構ざっくりだったり「おや?」っと思わされる場面もしばしば。

主人公と妻の なれそめのパート。ここにも そこそこ重要な設定が盛り込まれているんだけど、かなりのダイジェスト扱い。
今のショーを手放してジェニー・リンドの歌を届けるべく全米を回ろうと決意するタイミングも「なんで今?」と首ひねりたくなったし。

ただし、それら もうちょっと欲しいな〜と思う要素も、圧倒的なミュージカルシーンのパワーで押さえこんじゃってるトコロはあるうかな。
それが良いのか悪いのかで問うのは難しいけれど。

結果的に これはこれで「楽しい」が「見て良かった」が残る作品にはなってるのでね。

こういうこというのもアレですが、そんな展開の雑さが故、アカデミーの主要部門にはノミネートされていないのかも。
ただし 公開後、観客の満足度はとても高いわけで。

でも そんな今作の状況と、作中のバーナムのサーカスに対する評価ってリンクしてるわけで。
それが狙いなのか たまたまなのかは知らんけど。
やっぱりこれはこれで大成功なんだと思うよね。

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グレイテスト小満
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2018年02月18日

犬猿

吉田恵輔
窪田正孝、新井浩文、江上敬子、筧美和子
印刷会社に勤める真面目な弟と、トラブルメーカーで刑務所帰りの兄。太ってはいるが仕事のできる姉と、ルックスは良いが要領の悪い妹。
複雑な感情を抱く二組の兄弟・姉妹の出会いを境に、それぞれの関係が大きく歪みはじめる。

やられましたね。冒頭から、やられましたね。
予告編も終わり“カメラ男”も出てきて「さぁはじまるぞ」と思いきや また予告映像が。
「なんやねん」…と思ってたら、やられましたね(苦笑)

あらためて映画「犬猿」なんですが。
兄弟・姉妹、二組の物語。

映画やドラマの経験のある新井浩文と窪田正孝が兄弟を。
お笑いのニッチェの江上敬子と芝居経験の少ないであろう筧美和子が姉妹を。

利口なやり方とすれば達者な人と拙い人をペアにした方が安定しそうだけど。
できる人同士はいいとして、もう一方はベタベタにならないかと。そんなことも思いましたが杞憂に終わりました。
いろんな形で4人が絡みますし。それを差し引いても、素直に江上敬子も筧美和子も上手かったですわ。

そもそも原作モノではなくオリジナル作品ということもあって。もしかして当て書きなん!?とも思ったり。それぐらい役柄も際立ってて、それぞれがハマっていましたね。
江上敬子も筧美和子も また役者としてのオファー増えるんじゃないの。

世間一般でなかなかムショ帰りの兄弟がいるってことは無いでしょうから、一概に“あるある”とは言えないけども。
それでもそれぞれの関係性、影響、嫉妬、パワーバランス。兄弟・姉妹のいる人であれば、思い当たるところあるやろうなぁ。

わたくし自身、5歳違いのアニキがいて。
長い事同じ家で暮らしてたし。その都度腹の立つこともあったけど。それでも一生兄弟であることは変えられないからね。

そんなこともあって。クライマックスとも言える二組の感情が高まっていく描写には、流したくもない涙がじんわり滲んできちゃってね。

「子どもの頃、ずっと“お兄ちゃん、おにいちゃん”って着いてきてただろ」とか、今さら言われてもなぁ(苦笑)

素晴らしい4者のキャラに演技に見入ってしまい。その物語に感情移入してしまいましたが。
それでいてラストをそういうところに落ち着かせるってのもニクイものでございます。

さて世に言う「犬猿の仲」とは、非常に仲が悪いことのたとえであって。
実際は反目しあってるばかりでもないんだけどね。

そんな揚げ足も取りながらですが、映画自体はものスゴく楽しめましたよ。

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一人っ子が見ても響くのかな?
posted by 味噌のカツオ at 22:45| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月23日

勝手にふるえてろ

大九明子
松岡茉優、渡辺大知、北村匠海、石橋杏奈
10年もの間 中学時代の同級生イチを忘れられないでいる24歳のOLヨシカは、ある日突然 職場の同期のニから交際を申し込まれる。
人生初の告白に舞い上がるも、ニとの関係に気乗りしないヨシカは、現在のイチに会おうと思い立ち、同級生の名前を騙って同窓会を計画。ついに憧れの人との再会の日が訪れるが…。

綿矢りさの同名小説を「恋するマドリ」「でーれーガールズ」の大九明子の脚本・監督で映画化。
主演はこれが“初主演”となる松岡茉優。

松岡茉優ってバラエティの司会やっても 頭のキレとか勘の良さとか垣間見えるし。
「ちはやふる」や「桐島、部活やめるってよ」でも その魅力は出てると思うんだけど。
それが“初主演”なんですか。ぶっちゃけ もっと注目されていいと思うんだけどね。

プロデューサーとかキャスティングする人が広瀬すずと土屋太鳳の資料しか見てないんじゃないの?
そう思うぐらい 松岡茉優は好きなんだけど、そんな中にあって さらに今作はベストアクトだと思います。

主人公のヨシカは 絶滅した動物に興味を持ち、10年前の中学の同級生を忘れられず。
ちょっとひねくれて、自己中で、夢見がちな24歳。

そういうキャラを映像化すると得てして オタっぽさ前面に出したビジュアルにしちゃったり。
普段はイケてない黒縁メガネかけてるけど、素顔は「カワイイじゃん」みたいにしがちなんだけど。
そうじゃない。

パッと見 耐えうるビジュアルでファッションも普通に今どきのOLで。ただし靴に油断が表れるけど。
会社の同僚とは楽しい会話もできるけど、家でひとりでいる時は普通に毒も吐くし、日常すれ違う人に対しての観察眼も持っていると。

気をてらったような あざといキャラに仕上げていないし。リアルすぎて映画に出すまでもない個性をちゃんとキャラクターとして確立していると。
これをやったのはホント素晴らしい。

しかもイタいヤツじゃなくて「ウケる〜」って素直に言える側で。同世代の女性だけでなく、男性からも共感する人 メッチャ多そう。

そんな彼女が妄想と現実を境界線無しで、嫌味もなく スイスイ行き来する楽しさよ。
かと思えば 決定的な状況に心やられて ミュージカルチックに陥るシーンも映画らしさにあふれて素晴らしかったです。

原作は主人公よしかの独白みたいな内容らしけど。
この映画版では ちょっと毒吐く感じもあるし、なぜか(歯磨きなど)吐く場面も多かったり。

「タモリ倶楽部」ネタ、オカリナ、赤い付箋、「イチが好き〜」やらも面白かったし。
あとは留守番電話のガイダンス音声が妙に心に響いたり。

ストーリーとしての流れもさることながら、声出して笑えるシーンもいっぱいあって。
ヨシカのキャラクター、松岡茉優の表現力、監督の演出 いずれもがハマったと言っても過言ではないでしょう。

単館系なので「ドッカーン!」と話題にはなっていないけど、休みの日に映画見に行っちゃうような 今どきの20代〜30代の満足度は高いでしょうね。
ツボを突きまくりで、おススメな一本です。

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上司がフレディ過ぎるww
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2017年12月10日

KUBO/クボ 二本の弦の秘密

トラヴィス・ナイト
(声)矢島晶子、田中敦子、ピエール瀧、川栄李奈
三味線の音色で折り紙を自由に操る不思議な力を持つ少年・クボ。かつて闇の魔力を持つ祖父に狙われ父を亡くし、片目を奪われたクボは、母と一緒に最果ての地まで逃れたものの、更なる闇の刺客によってその母までも失ってしまう。
父母の仇を心に誓ったクボは、面倒見のいいサルと弓の名手であるクワガタを仲間にする。

第89回アカデミー賞で長編アニメーション賞候補にもなったLAIKA制作によるストップモーションアニメ。ちなみに この時の受賞作は『ズートピア』。

シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラといった名前がボイスキャストとして並んでいることからも、製作陣の力の入れ具合はわかりますが。
吹替えの、さらに日本語字幕というのもまどろっこしいので、日本語吹替え版にて鑑賞。

アメリカ製作の日本の時代モノ。でも必要以上に変な違和感はなく、すんなりと見ることはできます。
主人公のKUBOが三味線を奏でると“おりがみ”が動き出すということですが。個人的には おりがみというアイテムはとても日本的で好きですね。実際にこういう遊びの文化は無いみたいだし。

念のため あらすじをチェックしてから鑑賞はしていますが。
『クボは、赤ん坊の時に邪悪な祖父によって左目を奪われ…』『クボが幼い頃、闇の魔力を持つ祖父に狙われ、父親は命を落とした…』『クボが狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にある…』
という ところが、どうにも飲み込めないままで。

単純に言うと「なんてジジイだ!」ということでもあり「なんでそうなっちゃった?」というものでもあり。
また物語の途中から登場する“サル”と“クワガタ”の存在が「そういうことなんでしょ?」というぐらいに実際そういうことで。
言い方悪いけど、ちょっとまどろっこしいというか。

いろいろ思案しつつ、結局 ハナシの波にノリきれないままに進んでしまいまして。楽しめなかったというのが正直なところ。

(裏の?)本テーマとしてある物語を継承していくことだとか、親から子へ〜というニュアンスを受けきれないままで終わってしまいまして。
どうにも わたくしには合わないままでした。

ストップモーションアニメとしての映像も、じつに素晴らしいんだけど。
あえて言うなら あまりにキレイ過ぎて。

ストップモーションなりの“アラ”とか“雑さ”を感じなかったんですね。
確かにキレイなのは良いことだけど、それを目指すなら(残念ながら)昨今では CG技術が洗練されすぎちゃって。どんな映像でも作れちゃうじゃんってことになっていて。

そういう意味でストップモーションアニメらしさというか。“アラ”とか“雑さ”をもっと感じたかったんだけど。

本編終わりに「実際にこうやって撮っていたのか〜」というメイキング映像も入ってるけどね。
ちょっとわたくし自身の感覚とはマッチしなかった印象。

もっとコンディションの良い状態で見られたら良かったのかな?

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ボクはクボ
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2017年12月04日

gifted/ギフテッド

マーク・ウェブ
クリス・エヴァンス、マッケンナ・グレイス、ジェニー・スレイト
7歳の姪メアリー、片目の猫フレッドと暮らす独身男のフランク。「この子にごく普通の生活を」と願っていたが、メアリーにある天才的な能力があることが判明。
それを知ったフランクの母エブリンは、彼女に英才教育を施すため、フランクから引き離そうとする。
果たしてメアリーにとっての幸せは、一体どこにあるのか…?

『(500)日のサマー』や『アメイジング・スパイダーマン』シリーズなどのマーク・ウェブが監督。
主演は『キャプテン・アメリカ』のクリス・エヴァンスということで、アベンジャーズなアナタにはたまらない作品だと…いうものでもないね。

タイトルの「gifted」は天賦の才を持っている人の意味。
要約すると、神様から才能という“ギフト”を送られた人ということかな。

7歳にして小学校に通い始めた姪のメアリー。そこで彼女が特別な知能の持ち主であることが分かります。
彼女を残し自ら命を絶ってしまった姉も、数学の天才で。まさに その才を受け継いだのがメアリーであると。

日本であれば「まずは平均的な学力を身に付けましょう」ということにはなりましょうが、アメリカでは別の考え方がありまして。
そんな才能があるのであれば、早いうちから伸ばしてあげましょうと。いわゆる“飛び級制度”という教育法もございます。

作中にも出てくるけど、そうしてズバ抜けて優秀な才能が活躍することで、多くの庶民にも恩恵がいくという考え方でもあって。
メアリ―のばぁばエブリンはそうした考えでね。

一方のフランクは彼女の才能は認めつつ。
ゆくゆく いろんな形で勉強はできるだろうが、今は子供として子供らしく。無邪気に遊んでほしいと。
将来 生活に困った時に金を貸してくれる友達を、今のうちに学校で作っておけ…という(笑)

そりゃあもう一朝一夕に正解の決められないことではありますし。
いろいろなレビューを読んで、そこに潜んだ“仕掛け”やテーマ性もある程度理解はしましたが。
正直 見ている間はそんなに響いてはこなかったかな。特に終盤、姉が自死に至ったくだりの辺りがね。

ただフランクが ある想いを持って病院に行くシーン。
病院のロビーで何もせずにグデっと座っていて。その先にある一つの感情を沸き上がらせる演出には こちらもハッとさせられました。

あとはやはりメアリー役のマッケンナ・グレイスの演技に注目だよね。
現在11歳という話があって。撮影時に何歳だったのかはわかりませんが、やっぱりスゴい表現力のある子で。

土曜日の朝、思わぬ状況で学校の先生と出くわして「先生〜おはようございますぅ」なんて言い方に、思わず笑っちゃいましたし。
アメリカの芦田愛菜だよね。
安易な例えかな(苦笑)

それから片目のネコ・フレッドもかわいかったよ。

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チラシの二人も片目しか写っていないんだ
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2017年11月19日

GODZILLA 怪獣惑星

静野孔文、瀬下寛之
(声)宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、梶 裕貴
半世紀に渡る怪獣との戦いの末、人類は地球脱出を計画。人工知能によって選別された者たちが恒星間移民船・アラトラム号でくじら座タウ星eにたどり着いたが、人類の生存には適さない環境であることが判明。
彼らはふたたびの帰還を決め、長距離亜空間航行で2万年の歳月が流れた地球に戻るが、地上の生態系の頂点にはゴジラが位置していた。

2016年公開の「シン・ゴジラ」が大多数の予想を上回るヒットとなり、間違いなく“ゴジラ”というコンテンツが復活となった感ありますが。
あれから1年強が過ぎて、初のアニメ版ゴジラの公開となりました。

何やら未来の地球を舞台として、ロボットアニメ系のキャラクターが巨大ゴジラと戦うという。予告編から受けるそのイメージが ややアレだったんだけど。
果たしてそのデキは…

ぶっちゃけ予告編から受けていたイメージは まさにその通りではあったのだけど。
できれば もうちょっと設定を理解しておかないと受け止めにくいかな。
いや、わかっていても必然性が薄いような…

序盤の展開はある種の人間ドラマ。
それで引っ張って 怪獣出現シーンまでの“溜め”をつくる構成はよくありますが。

今作に於いてのそれが厳しかったのが、わりとスパスパ早口でSF展開のままでグイグイ進ませた点かな。
まさに「シン・ゴジラ」でも ほぼほぼ早送りな会議の場面が次々流されておりましたが。
あの場合は登場人物の役、肩書き。政治としての流れとして理解できたんですよ。

しかし ここでは妙な設定で、聞いたことのない物語上のワードで、話を広げてしまうのでなかなかついていけない。
また 物語上の主人公には戦う理由があるんだけど、それらもあまりに設定上過ぎて、思い入れをもてないまま佳境に入ってしまうので。厳しかったですね。

基本 宇宙服というかみんな没個性なコスチュームだし。
終盤は被り物で髪型すらわからんくなっていっちゃうし。

ざっくりとした設定では、地球にゴジラが出現。このままでは人類が滅亡してしまうと地球を脱出。別の安住の地を求めるもそれに値する惑星は見つからず。
20年が経って帰還したところ、地球では既に2万年の時が流れていたと。しかも まだ、ゴジラが生息していたと。
そんな感じですか。

こっちが思う以上に年月が経っていたって…猿の惑星じゃないんだから。しかも2万年って。
そういう意味では しんどいなと思ったわけですが。。。

この映画の唯一の救いが、ゴジラの描写でした。
これが思ってた以上に迫力があったんですよ。
ビジュアルも その咆哮も。

正直「コワい」とまで思わせてくれましたからね。それに関しては間違いなく素晴らしかったです。

ただし厳しいことを言わせてもらうならば。
ゴジラって原爆のメタファーだったり、「シン・ゴジラ」では東日本震災を思わせるイメージもあったり。
そういう意味合いを持って描かれてたと思うんですよ。

それが今作では ちょっとハッキリとしなかったというか。
そもそもの出現シーンが回想でしか描かれていないからね。
そういう意味で「ゴジラじゃなくてもいいじゃないか」という声が沸き上がっても仕方ないのかなと。

そんな思いも覚えつつでしたが。
果たして 少ない人類とドデカいゴジラとの戦いがどうなるか〜というところで映画は、To be continued.

このアニメ版ゴジラは3部作となるそうで。
続きはまた半年後なんだとか。

ん〜続き、見に行くか?

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怪獣はクセえ
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2017年11月08日

キングコング対ゴジラ

本多猪四郎
高島忠夫、浜 美枝、佐原健二、藤木 悠
TTVの桜井と藤田は、視聴率アップのため“巨大なる魔神”を追って南海のファロ島を訪れた。その頃、北極海調査を行なっていた原潜シーホークは奇怪な氷山と遭遇、その中からは休眠していたゴジラが現れた。
やがてゴジラは日本に上陸。麻酔で眠らせて運ばれてきたキングコングも目覚め、両者の対決が実現する。

1962年公開。『ゴジラの逆襲』以来7年ぶりとなる(当時に於いての)復活ゴジラであり、ゴジラ初のカラー作品でもある。
日米モンスター対決は大ヒット。1970年に『東宝チャンピオンまつり』で再上映。
しかし この際、短縮版への編集時にオリジナルネガをカット。
その後 一部のネガが行方不明に。

あれから約40年。度重なる捜索の結果、全てのネガが見つかって再編集が行われました。
フィルムのキズや汚れ、音声の調整。そしてデジタル4K版として、当時の“初号試写”のクオリティに限りなく近づけることに成功。

アニメ版のゴジラ公開を前にして 行われた上映を見てきました。
ただし、行った劇場は4K対応ではないんだけどね。

とは言うものの。
ホントに映像にも音にもノイズなどはなく。
デジタルリマスターのレベルには素直に驚き&感激。

そもそも わたくしが生まれるより10年も前に、このような企画の発想が生まれ、実際に作品として作られていたなんて。
それだけでも驚きだよね。

わたくしも それなりにゴジラ映画は見ておりますが。
よくよく考えたら、これまで「キングコング対ゴジラ」って見てなかったんだね。
今回がまさに初鑑賞。

当初のゴジラって おそろしいモンスターだったのが、シリーズを重ねるにあたって 子供たちのヒーロー的なキャラクターとなり。
なんなら“シエー”のポーズやったり、ミニラと漫画みたいな会話とかしてたりなかったっけか。
今作は その中間の時期となるのかな。

決してゴジラが笑いを取るようなことは無いけれど。
人間のパートの方はいささかユルめ。

当方、わりとまっさらな感覚で見始めて、そのユルさに緊張感もユルくされちゃいました。
見るスタンスとして、決してそんなに“頑張らなくても”良さそうだね。

今となっては息子さんたちが活躍中の高島忠雄さんのハジけた芝居も印象的。若かりし頃の浜美枝さんもメチャ美人(今作きっかけで“007”への出演オファーが)。
活きた…いや、生きたタコを使った大ダコのシーンはある種、微笑ましかったね。
もしかしたら公開当時には 相当ドキドキさせたかもだけど。

ファロ島の原住民たちが独特の歌と踊りでキングコングを迎えます。
その踊りが 結構な人数で(特撮で増やしたとの記述もあり)、揃ってるんだよね。
思わずインド映画のダンスシーンを思い出しちゃうレベル。

そしていよいよゴジラとコングの対決。
途中 自衛隊が高圧線を使った100万ボルト作戦でゴジラを牽制。しかしコングは帯電体質となり、ゴジラに触れるとビリビリ!って。
まるで冬場に車のボデイに触れて静電気がビリビリってなるヤツみたい(笑)

確かにアレ、セーターとか着るとなりやすいけど、コングは全身 毛むくじゃらだもんね。説得力あるわぁ。

終盤に両者は熱海へ。そして海辺の熱海城を挟んで向かい合い。
もはや見てる側としたら「絶対アカンで。お城は壊したらアカンで」という心境。
しかし、まさにバラエティでいうところのお約束。二人してお城をグジャグジャに(ほぼ爆笑)

そのまま熱闘風呂に…いや、錦ヶ浦の海にドボン!!
これにて両者の対決はドローということに。

ぶっちゃけ“これぞ!”という名場面登場には至らなかった感もありや、なしや。
でもこの戦いに関しては、マッチメークの勝利。両者の対決を日本マットで実現させたプロモーターの手腕が称えられて然るべき。
もはや「アリ×猪木」のレベル。
これでいいのだ。

前述の通り、これが1962年に作られていたということだけでもスゴイと思うし。
そして2020年には『ゴジラVSコング』として、アメリカでリマッチが行われるということで。夢あるよね。

今度こそ、両者が輝く名シーンの登場に期待しましょう。待ってるからね。
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2017年11月04日

ゲット・アウト

ジョーダン・ピール
ダニエル・カルーヤ 、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード
ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリスは、週末に恋人の白人女性ローズの実家に招かれる。歓待を受けるが、窓に映った自分を凝視する黒人の家政婦。深夜に庭を猛スピードで走り去る黒人の管理人を目撃し、クリスは動揺する。
翌日、パーティーに出席した彼は白人ばかりの中で一人の黒人を見つけるのだが…

低予算ながら初登場1位を記録するなど全米公開時には大ヒットとなった作品。しかし日本では普通に小規模公開。
予告編などから、アメリカで根強く残る黒人への人種差別モノという雰囲気は伝わりますが。。。

冒頭、黒人の若者が住宅街で白い車につきまとわれる描写があります。
アメリカでは赤や黒などハッキリしたカラーの車は多いものの、白い車って ほぼ無いと昔聞いた覚えがあります。

この時点で“白い車”というだけで不穏な雰囲気を感じながら。
その後に映し出される“モノクロ写真”たちも、被写体の白と黒が印象的。
さらに黒人の主人公が髭を剃っている場面。その肌に、これみよがしに白いシェービングクリームが塗られていきます。

これだけわかりやすい導入部も無いかな(苦笑)

そんな主人公が白人の彼女の実家に向かい、初めてその家族と会うことになります。
「恋人が黒人であることを伝えたのか?」と問う彼。彼女は「ウチの家族はオバマ支持者よ」と返します。

途中、道に飛び出してきた白い鹿と車が接触。そんなトラブルに見舞われながら到着した実家で、彼は歓迎を受けます。
そして予告通り「オバマを支持する」なんて話も聞かされます。

さらに、母親からは「タバコを吸うの?催眠術でやめることもできるわよ」なんて話も聞かされます。
ここまでの展開は 実に不穏で、何がしかの怪しさを覚えつつ、裏読みしつつ見ましたが。
結論から言うと、これらはガチでした(笑)

怪しさで言うのなら、家政婦として働く黒人女性。深夜に全力疾走する黒人の管理人が実に謎めいていて。
個人的には…こんなヘアスタイルの黒人女性って始めて見たな〜と。それも不気味さの一因だったけど。

翌日に行われたパーティには多くの白人が集まって。かと思えば、一見若そうだが やけに覇気のない黒人男性がひとり。
ところが この男がカメラのフラッシュに突如激高。

もう 怪しさ、不可思議さがどこかしこに散りばめられながら、ズンズン物語は進みます。
そうしてずいぶんと終盤まできて、やっと(?)タネ明かしパートになるわけですが。

正直 なんとも言えない…ちょっと思ってた方向と違う真相に、良くも悪くもビックリ(苦笑)

物語のキーともなるちょっとキモい主人公の親友が登場するんだけど。
彼が密かにこぼしていた「アイツ、白人連中に捉えられて“性の奴隷”にされちまう」って論が意外とアレでまたビックリ(苦笑)

正直 見終わった直後の感想は“どストライク”でもなくって。
いくらか消化不良だったんだけど。

その後に解説を聞いて、いろんなトコが合点がいきました。
監督のジョーダン・ピールは冗談抜きにコメディアンなのだとか。

アイデアの大元はコメディであり。笑いと恐怖は表裏一体であるという特性をうまく生かした作品だったんですね。

人種差別的な側面が描かれ、主人公もとてもコワい思いをさせられるんだけど。
ある意味で彼らは“黒人礼賛”のスタンスもあって。「オバマを支持する」のはホンネだったのかとあらためて思わされました(苦笑)

余談ですが、当初のラストシーンは別バージョンだったそうで。
それはそれでブラックな着地点だったという。

もしヒラリーが大統領選に勝っていたら、そっちっだったとか。ウワサですがね。
DVDリリース時には そのバージョンも収録されるのかな。
posted by 味噌のカツオ at 20:51| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

彼女がその名を知らない鳥たち

白石和彌
蒼井 優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊
15歳年上の男・陣治と共に生活している十和子。下品で地位も金もない陣治の稼ぎに依存しながら、妻子持ちの男・水島との情事に溺れていった。
そんな中、8年前に別れた黒崎が失踪したと聞かされる。黒崎への思いを断ち切れていなかった十和子は、陣治が黒崎の失踪に関わっているのではないかと疑いを持ち始める。

原作は沼田まほかる による同名小説。
同じく今年公開の「ユリゴコロ」も沼田まほかるの作品だとか。
そちらも気になってたんだけど見られなかったんだよなぁ。

そして監督は「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」などの白石和彌。

ざっくり言うと、沼田まほかるは愛すべくダメ人間の描写が上手く。
白石和彌は愛すべくダメ人間を映像化してみせる手腕に長けていると。
そもそも企画として、相性のいいマッチングなのかもしれませんね。

簡単に“愛すべくダメ人間”なんか書いちゃったけど。
今作の登場人物らは、どうかすると“愛らしい”部分は無いのかなぁ。

全否定はできないけど、決して関わりたくないようなタイプのキャラしか登場していないというか。
そういう意味で、登場人物を介しての作品への感情移入はしにくいね。
見る側として基本は傍観者。

そんなキャラクターたちを見守りつつ、徐々に作品的にはミステリータッチにもなっていきます。
不自然で不可思議な点が多いけど、実際は何があったのか。その本意はどこにあるのか。

陣治と十和子に関して言うならば、冒頭と中盤とラストでは二人に抱く印象がじんわりと変わっているかと思います。
それがこの映画の面白い点でもあり、キモでもあるんだけど。

そのうえで ちょっとアレかなと感じてしまうのは、展開として面白いし、感情を揺さぶられたところもあるんだけど。
100%やられた〜という域までいかないというか。前述の通り 全面的な感情移入がしにくいというトコなのかな。

人の良さ、都合の良さ、悪意、浅はかさ。そして純粋すぎる正直さ。
人なら そういう面あるよね〜というのが図星だったり、痛いトコ突かれてることの裏返しなのかもしれないけれど。

そんなどこか生々しい主人公を演じた蒼井優と阿部サダヲは素晴らしかったですね。

そして全編にナチュラルな暗さを描く白石和彌監督の作風が活きてます。
ホント、この人の作品は明るい雰囲気は登場しませんな。
そういう意味で、らしさが味わえます。

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あの日見た鳥たちの名前を彼女が知らない。
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2017年09月10日

ギフト 僕がきみに残せるもの

クレイ・トゥイール
スティーブ・グリーソン、ミシェル・ヴァリスコ、エディ・ヴェダー、スコット・フジタ
アメリカンフットボールの特別なスターだったスティーヴ・グリーソンは、引退後しばらくしたある日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)であるとの宣告をされる。そしてそのすぐ後、妻ミシェルの妊娠が判明。
自分は我が子を抱きしめることができるのかわからない中、グリーソンは子供に残すビデオダイアリーを撮り始める。

『難病であるALSを宣告された元NFL選手が、まだ見ぬ息子に贈るために撮影しはじめたビデオダイアリーが世界中を感動させるドキュメンタリーになった』
というのがチラシの文言。

原題は「GLEASON」グリーソンというものですが、アメフト文化の無い日本に於いて その個人名をタイトルにしても思い入れを込めにくいよね。
それもあって「ギフト 僕がきみに残せるもの」という邦題。珍しく今作では意味をなしていますね(苦笑)

映画のジャンルとしてのドキュメンタリー。様々なテーマの作品が存在します。
厳しい状況を追った作品はもちろんこれまでにもありました。

今作はアメリカに於いての有名なプレイヤーでもあり、現役時代の映像も そりゃあもう多く残っております。
またALSの症状は一気にどうなるものでもなく、徐々に進行していくという特性もありまして。

結果、プレイヤーとして輝きを放っていたグリーソンの現役時代。体調の異変を訴え 病院にかかり始めたころ。症状の進行と共に今後への備えをし始めた状況。
それらからの全部が映像に残っております。

資料や関係者の証言でしか構成できない 戦時中の重大事件のドキュメンタリーなんかと比べても、全編 実際の映像で綴られているってのは、ドキュメンタリー映画というジャンルの ある種の転換期となる作品なのかもしれませんよね。

さて、ALSという症状とは、全身の筋肉の伝達機能が徐々に失われ、歩行や会話ができなくなり、やがては呼吸ができなくなるというもので。
言われてみれば、歩行に関わらず体を動かすこと全般に於いて全て筋肉が動かしているんだよね。会話・しゃべること、表情だってそう。
そしてもちろん呼吸だってそうなわけで。それが動かなくなったら…ということだよね。

自身の体がそうなっていくという、ある種の恐怖と向き合わなくてはならなくなった彼の一筋の光明。
それが 診断と同時期に発覚した妻の妊娠。

7か月後 だか 8か月後には子どもが生まれると。
新たな生命の誕生と反比例して、自身の体は動かなくなっていくだろうと。
そんな状況下で彼が考えたのは、せめて今のうちに 子どもに伝えられることを残しておきたいということ。
そこで子どもに向けたビデオレターを残し始めます。

と同時に、今のうちならでき得ることを〜と、旅行であったり海へのダイビングであったり。語りこそなかったものの、スカイダイビングの映像もありましたね。

やがて妻が男児を出産。新たな生命の誕生で、家族らは新たな希望を感じ取るものですが。
グリーソンの体の機能の低下が顕著になっていき…

難病もののドキュメンタリー。
その体に異変が起きるごとに、見る観客の涙を誘う〜なんて面もありますし、実際わたくしの近くの席のお客様も、割と早い段階からハンカチが登場しておられましたね。

その一方でわたくし自身は泣きモードには入らなかったのだけれど。
最もグッときた場面は、出産シーンでした。新たな命の誕生の尊さの方が、なんか刺激を受けましたね。

そもそも これらの映像の根本は、主題は、父親から息子へ宛てたメッセージであって。

「この人かわいそう」みたいなアプローチのものでもないはずであるし。
そのうえで、難病でALSへの理解が深まったり、支援が集まればそれはそれで有意義であるのかな。

さてさて、イチ作品として、とても見やすかったですね。
ドキュメンタリーであっても スケベ心(?)かなんか知らんけど、不要な演出や妙な編集の仕方で伝わりずらい仕上がりになってる作品もあったりするけど。
その点とても良かったです。

あとはグリーソンさんのハートの強さに尽きるよね。
見て良かったです。

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ALS言うたらアイスバケツだよね
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2017年08月25日

きみの声をとどけたい

伊藤尚往
(声)片平美那、田中有紀、岩淵桃音、飯野美紗子
海辺の町、日ノ坂町に暮らす なぎさは、かつて祖母から聞いた言葉を信じていた。「言葉にはタマシイが宿っているんだよ、コトダマって言ってね…」。
そんな なぎさが、何年も使われていないミニFMステーションに迷い込んでしまう。出来心でDJの真似事をしたなぎさの声は、偶然にもある人物に届いていた…。

今作の製作に際して行われたオーデション。そこで選ばれた6人が声優ユニットとしてデビューをしております。そのグループ名は「NOW ON AIR」というもの。

まぁ作品を見る限り、そんな新人っぽさはコレっぽっちも感じることなく。
三森すずこ、梶裕貴、そして野沢雅子といった面々との競演も違和感は全くナシで。

主人公は女子高生たち。湘南の鎌倉にあった喫茶アクアマリン。そこにミニFMステーションが存在し、近隣の方々からも愛されていたと。
しかし とある理由により、その放送は12年前から途絶えていた。

そして その年の夏休み。ひょんなことから、そのミニFMが復活。
ラジオの存在を通じて、それぞれの関係が深まったり夢を語ったり。
そんなお話なんですが。

そもそも わたくしがラジオ好きな者でもあり、今の年代の女子高生がラジオの存在に興味を持ってくれることが嬉しいよね。
始めは いたずらに放送をしようとしてたところが“リスナーメール”から輪がつながり、仲間が増え…なんて展開がまたラジオらしい。

そうしてラジオマニアな存在が加わり「ラジオで一番大切なのは“ジングル”よ」というのも笑えたし。
勝手に曲を流すのは著作権的にNGと説いてみせるのが(ある意味)シュールでした。

そうやって ラジオの仕組みや、放送が形作られていく様はワクワクしましたし。
涙もろい主人公 なぎさのピュアさは見ていて気持ちよかったです。思わずもらい泣きしてしまった場面もしばしば(苦笑)

主要キャストが7人いるんだけど、その分、友情、家族、夢とテーマが広がりつつも、キレイに着地してる感じがあってね。
ラストの放送。ミニFMなので聞けるエリアが限られちゃうんだけど、あの鎌倉の一車線が渋滞で進まなくてとか。

それ以外にも じんわりとした伏線があったり、曲のバックで(セリフなしで)映像だけでサイドストーリーを表現したりとか。
94分の中で説明しすぎず、詰め込み過ぎず、というところも 映画として良かったと思います。

ぶっちゃけ あまりに“等身大”過ぎていて。アニメ的なファンタジー設定もないので、中には「ストーリーが読めた」とか「退屈だった」なんて感想も目にしましたが。
ピュアな青春ストーリーとして、素晴らしい仲間がいて。そして家族も、街にも伝播していく感じ。丁寧に作られている感じがして、わたくし的には響きましたよ。

「言葉にはタマシイが宿っているんだよ、コトダマって言ってね…」「悪い言葉は、いつか自分に返ってくる…」
なぎさが ずっと信じていた言葉たち。

隕石が落ちなくても、時間を飛び越えなくても。
言葉、歌、そして魂。“コトダマ”で奇跡は起こせますね。
いい映画でした。
posted by 味噌のカツオ at 21:22| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月14日

君の膵臓をたべたい

月川 翔
浜辺美波、北村匠海、北川景子、小栗 旬
膵臓の病を患う桜良が書いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然見つけたことから、“僕”と桜良は次第に一緒に過ごすことに。だが、眩いまでに懸命に生きる彼女の日々は、やがて終わりを告げる。
桜良の死から12年。ある事をきっかけに、僕は桜良が伝えたかった本当の想いを知る…。

字面だけ追うなら“ちょっとエグい”印象ではあるが、 2016年本屋大賞第2位など内容的にも評価された話題作。
わたくしも「どんな話なん?」と気にしつつも原作未見。映画化となり、鑑賞してきたわけですが。

さらっと言うなら、過去パートには名のある役者さん全く出てないのね。
予算的に大変な中での企画だったのかと余計な心配をしつつで。

浜辺美波はドラマ版“あの花”に出てちょっと話題になったけど、その後 たいしてフューチャーされることもなく。ここにきてやっと…と思ったわけですが。
良かったですよ。少々あざとい感じが良かったですよ。

若干の棒読み感もありますが、(褒め言葉として)クラスで3番手のカワイイ子っぽくって。
同性からの支持は得にくいキャラだったかもだけど(苦笑)

方や北村匠海の冒頓とした表情もらしさがあってよかったですね。
一回ぐらい「閉店ガラガラ!」と言ってくれないかなと。似てるかなと思ったけどね。

映画の作りとして、純な高校生男女ならではの雰囲気。しっかりと伏線を張っていくのも悪くなかったですし。
実際の膵臓の ご病気のあり方として、やつれることなく、顔に出ることなく“保っていける”ものなのか。あんなに遠出して大丈夫なのかは気になったけど。

そこは恋愛映画のファンタジーとしておくべき点なのかな。

チラシには「ラスト、きっとこのタイトルに涙する−」との文言があるけども。
当初の意味合いは「なるほどね」とは思えたけど、ラストには「う〜む」と感じた程度。

終盤の衝撃的な展開も相まって、確かにこりゃ泣くわと。これは考えさせられるなと。
そんな映画でしたね。

見終わって いろんな感想を見たりする中で、原作との相違点なんかも知ったわけですが。

原作には現在の“僕”にまつわるパートは無いのですかね。本来なら小栗くんや北川景子はキャスティングされないってことなんか!?
結局 恭子とのつながりができるのに12年ということになるのもしっくりこない。とってつけたような涙に思えちゃうな。

原作では桜良と僕は もっと漫才のようにやり合うとも書かれていたんだけど、映画では桜良が一方的に引っ張ている印象で。
これも原作のイメージの方が良いように思うなぁ。

さて、これは原作も同様なんだけど、意外にも桜良が命を落とす理由が あまりにも…あまりにも…と思うのだけど。
事故であれば普通に悲しむことできるけど、これでは別の“悪意”が入り込んでしまうわけで。
それこそ ソコだけで一本物語ができちゃう事例だもんな。

小説というエンタテイメントとしてのサプライズ展開はあってしかるべきだけど、正直 やり過ぎという思いはあるよね。
全編通して、決して悪いお話でもないし、感情に訴えかけるのは確かなんだけど。
わたくし的には「ちょっと、ちょっとちょっと…」と感じてしまうんだよね。

さてさて、最後にちょっと。「ガムいる?」という役(?)を演じてた矢本悠馬、いいですね。
今や大河ドラマでも活躍してますが、「ちはやふる」の“肉まんくん”といい、(ガムとか肉まんは関係なく)おいしいポジションのキャラやってますね。
今後が楽しみな役者だなと あらためて思った次第です。

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君の雑炊がたべたい
posted by 味噌のカツオ at 00:15| Comment(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月28日

心が叫びたがってるんだ。

熊澤尚人
中島健人、芳根京子、石井杏奈、寛一郎
他人と関わることが苦手な拓実は、地域ふれあい交流会の実行委員を任される。実行委員には優等生の菜月、野球部の元エース田崎、そして幼い頃に発した言葉で家族をバラバラにしてしまい、以来 筆談でしか会話ができなくなってしまった成瀬順がいた。
これまで接点の無かった4人だったが“ふれ交”を介して、それぞれが抱えていた悩みや不安と向き合っていく。

2015年公開で大ヒットを記録した劇場版オリジナルアニメの実写化。
マンガ・コミックスではなくオリジナルアニメが先なんやね。

わたくしもアニメ版は見ているので、“ここさけ”のストーリーは一応知ったうえでの鑑賞ですが。
当時の印象としては 拓実と順を中心に見てたので、今回あらためて4人の物語として見られました。

熊澤監督は若い役者さんを中心とした作品を多く撮ってるので、ある意味 良い人選かな。

中島健人は確かに拓実っぽさ、ありましたね。パッと見は普通の青年だけど、いざとなれば王子様の雰囲気を出すことができるという。
そこは さすがにジャニーズやなと。

順を演じた芳根京子も評判良いけども。あえて言うなら、セリフが無さ過ぎて。本当の意味での女優としての良さが出せなかったような印象。
もちろん しゃべれないキャラクターなんだけど。しゃべる演技を ほぼ封印したのはもったいなかったね。

石井杏奈は決してズバ抜けた美少女でもないけれど。もう一人のヒロインという位置づけ的にはアリでしょう。
あと寛一郎ってのは佐藤浩市さんの息子さんなんやね。確かにそれとなく面影あるわ。と同時に、田崎っぽさも感じられました。
良いキャスティングだったと思います。

今作はアニメからの実写化なんですが“再現フィルムか!?”ってぐらい、アニメ版に忠実に寄せた作りになっておりました。
が その分、アニメの持つファンタジックな良さというか、アニメだから許される大げささは奪われてしまったんじゃないかな。

ストーリー展開を知っちゃってる点を差し引いても、(物足りないとは違う)グイグイ感は乏しかったような。
見ていてとても淡々としていて。主人公が言葉で感情を現さないこともあるが、全体的に“凪”というか。

今にして思えば、起承転結の“転”となるパートが弱いっちゃ弱いわけで。
それが アニメの場合(変な言い方だが)アニメ力で持っていけてたのだが。実際の役者がそれをやった場合、その青春ドラマが現実を超えていないように思えたんだよね。

確かに所々 グッとくるシーンもあったし。ストーリーに内包されたピュアな感じはとても良いのだが。
実写にしちゃうと その魅力が弱いというか、薄まるというか。そんな風に思えました。

極端な例えをするならば、誰もが知ってるウルトラマン。それはやっぱり実写でやるものあって、アニメで見ても盛り上がらないんじゃないかなと。
そういうことなんだと思うなぁ。

「ザ☆ウルトラマン」ってのもあったけどな(苦笑)

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セクゾンとE-Girlsによるミュージカルだね
posted by 味噌のカツオ at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月25日

彼女の人生は間違いじゃない

廣木隆一
瀧内公美、光石 研、高良健吾、柄本時生
震災後、仮設住宅で父親と二人で暮らしているみゆき。普段は市役所に勤めるみゆきだったが、週末になると英会話教室に通うとうそをつき、高速バスで東京へ向かい、渋谷でデリヘル嬢として働いていた。
高速バスで福島と東京を往復する中で彼女が目にしたものとは…。

「ヴァイブレータ」という作品が好きで廣木隆一監督には注目しておるのですが。
昨今は若者向けな制服・学園モノなんかも多く撮られてて。それはそれとして、そういうもんだと流しておりましたが。

今作は廣木監督自身が震災後に書かれた小説が原作ということもあり。
商業的な面とは一線を画し(?)本当に自身の撮りたい作品であるのかなと。そんな期待も込めて見てまいりました。

震災のあった福島を起点にした物語。市役所勤めのみゆきが主人公ではありますが。
福島だけでなく、東京の今も描かれるし、群像劇というべきか、みゆき以外の登場人物 それぞれにも何かを感じずにはいられず。

見終わって「あぁなるほど、そういうことね」なんて一言では言い表せない。
深いストーリーでありました。

震災で大きな被害を被ったもの。それによって家族を失ってしまった者。大切な人と引き裂かれてしまった者。
いやいや、人的な被害こそなかったけれど。家族の絆にゆがみが生じてしまったり。

災害に家族を奪われて。なのにわたしはこうして生きていていいのか。
でも生かされたんだから生きていかなくちゃならない。
そんな人の立場で見る“今”ってどんなものなのか。

震災の外からやって来たカメラマンには、震災の跡はどう見えるのか。

新潟から東京に来て風俗で働いてるって。
だけど新潟だって地震で大きな被害がでたことあったっけ。
「なんか似てる」って、そこまで含めてなのかな。

でも全部終わっちゃいなくって。
あそこでは新たな命が芽生えていて。ここには新たな家族を迎え入れたりして。
ほんの少しだけ、希望もあるんだよね。

そりゃ人は生きているんだから。絶望だけと向き合っていくわけにはいかないから。
自分で切り開いていく。それが人生なのかな。

そんな兆しを目の当たりにしつつ。
ラストに映し出された(おそらく)震災直後の荒れ果てた状況の映像には…また愕然としてしまいました。

いや待てよ。
あのときは こんなに荒れ果てていたのが。今では こうなってきてるじゃん。
そういうことなんじゃないかな。。。

主演の瀧内公美さんが良かった。すごく良かった。
父親といる時はアレだけど商売で見せる笑顔がとてもカワイくって。
そのうえ しっかりと脱いでくれまして。

そういうことがあるから人生にリアリティも感じるんだけどね。
素晴らしい作品を撮ってくれた廣木隆一監督に、感謝。

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御指名したい。。。
posted by 味噌のカツオ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする