2017年06月18日

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

ジェームズ・ガン
クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、カート・ラッセル
黄金の惑星の指導者アイーシャの総攻撃を受けた“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”の面々。そんな彼らを救ったのは“ピーターの父親”を名乗る男エゴだった。
次第にエゴに魅了されていくピーターだったが、その裏にはエゴによる恐るべき計画が隠されていた。

大好評だった前作から3年かかっての続編公開。
ライムスター宇多丸さんは「リミックス」というタイトルに異を唱えていましたが…

実際に見たところ、それにはハゲしく同意。
原題は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol. 2」なんだけど、確かに「Vol. 2」なんだよね。何も リミックスじゃねぇし。

洋画ではチョイチョイ意味不明な邦題への変換がなされますが「誰トクなん?」と言いたくなるものの方が多いよね。
日本側の配給(?)の自己満でしかないんじゃないの?

と苦言を呈しながら。
もちろんリミックスされる前の1作目も見ております。ただし スペースオペラ系がそんなに好みでは無いため、ファンが言うほどの大絶賛ではなかったけど。
でも今回は そんなわたくしでも楽しかったな。

冒頭、有無を言わさずモンスターとバトるくだりは、この手の作品には欠かせない見どころだったし。
2Dの日本語吹き替え版で鑑賞したので、ピーターとロケットの口論や、(本来は)宇宙のならずものたちが醸す“ファミリー”感も、字幕より伝わってきたと思います。

さすがに作中にかかる曲のストーリーだとか歌詞まではわからないので。その点は ちょっと損してる部分かもだけど。

全般を通しての悪ノリ感やギャグの部分は楽しめたし。
あの人のラストシーンは ちょっと切なかったし。
全体の感想としては そんなざっくりとしたところにはなりますが。

ふと気になった場面として、ピーターと父親・エゴがキャッチボールをするような場面があったんだけど。
父子のキャッチボールってのは、ひと昔前の世代なんかで「公園で子どもとキャッチボールするのが夢だ」みたいな話が聞かれることもありましたが。
アメリカでも、なんなら全宇宙でも、そういう親子のコミュニケーションへの憧れってあるのかな?

あとはエゴの邸宅で宇宙の歴史の展示があって。
玉子状のカプセルが閉じたり開いたりする映像というか造形にちょっと驚き。
球形ならできそうだけど、玉子型だったもんね。

そんな感想も付け加えつつ。
どうかな、Vol. 3 まで続くのかしらん。

さしずめ その時の邦題は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リマスター」ってかな。

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あのランボー者の登場にはビックリ
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2017年04月18日

午後8時の訪問者

ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
アデル・エネル、オリヴィエ・ボノー、ジェレミー・レニエ
診療時間を過ぎた午後8時。診療所のドアベルが鳴らされるが、ジェニーはそれに応じなかった。しかし その翌日、診療所近くで少女の遺体が発見されたことで、ジェニーはドアを開けていれば…と自責の念にかられる。
あの時彼女は何を伝えようとしていたのか。ジェニーは少女の生前の足取りを調べようとするが…

ダルデンヌ兄弟の作品って過去にも気になるのはありましたが、「ロルナの祈り」しか見ていないんだ。
我ながらちょっと意外だ。

その作風は サスペンス調に見えるけど、着地点としてはさにあらずと。
まさに今回見ていて そういうことかと思いましたが。

主人公は その診療所に来て間も無い、若い女医のジェニー。
診療時間を1時間も越えて診療所のベルが鳴るが、それに応じることはしませんでした。

見ていればわかりますが、彼女がドアを開けなかったのには理由が…いや、たまたま その場の状況で“開けない”ことになってしまうんですね。
この状況作りは上手いなと。

その翌日、一人の少女の遺体が発見されるのですが(カメラの映像と併せて)、ジェニーがドアを開けていれば 彼女は助かったのではと。
そのように思い始めます。

身元もわからない彼女のために、せめて何か出来る事は…とジェニーは行動を起こすのですが。
結果 その街で暮らす人々との間で、様々な摩擦が発生してしまうという。

自分は医師なので秘密は守りますという信条の下、おそらく純粋に被害者のことを思ってのことだと思うのですが、訳ありな人たちにとっては決してそういうわけにもいかず。
そうこうするうち、彼女の名前、事件の真相、そして彼女の人となりが見えてくるのですが。

そこまで辿り着くのに、登場人物の相関関係やそれぞれが抱えた問題点や闇の部分など。どうにもイマイチ乗り切れず。
また最初に言った通り、サスペンス作品ではないので、結果としてのカタルシスが得られる風でもなく。
「あ〜」と言う間にエンドロールになっちゃったですわ。

残念ながら わたくしには、合わない作品だったね。
唯一残ったのは、アデル・エネルが魅力的だということオンリー。
こんな女医さんに診てもらいたい…って(苦笑)

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白衣とか着ないんだね
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2017年03月27日

キングコング:髑髏島の巨神

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン
1973年。未知の生物の存在を確認しようと、軍人や元傭兵、戦場カメラマンからなる調査遠征隊が太平洋の孤島・髑髏島へ潜入。
ところが自然を破壊する彼らに対し、憤怒した島の“守護神”キングコングが襲いかかる。

『パシフィック・リム』や『GODZILLA ゴジラ』のレジェンダリー・ピクチャーズ製作。
既に今後の計画として『キングコング対ゴジラ』の企画もあるとのことで、その前哨戦的にも注目の作品で。

“怪獣映画”として とても楽しめるという話もあり、期待を持っての鑑賞。
何気に上映がスタートしてわかったのですが。みんな日本語しゃべっとる。
そうか、吹替え版だったのね。

プロレスファン的には真壁刀義選手も参加しているとのことで、それはそれとして鑑賞したのですが。
不思議なことに(?)『ルーム』のブリー・ラーソン演じるヒロインから感情が伝わってこない。
ずっと見ていたんだけど、結局最後まで セリフが棒読みで。

これ、見る側として なかなか感情移入しにくいなと。
最終的にエンドロールに登場した名前は 佐々木希ということで。。。

ちょっとは上手くなったと思った時期もありましたが、今作での声優としては…アレやったね。
それから主人公はGACKTさんが声をあててたそうで。それほど感情のアップダウンを求められるキャラクターではないものの、やっぱり違和感は拭えないかな。

帰ってきてから思い出したんだけど。『キングコング』って前にも(平成になってからも)あったなと。
調べてみたら2006年の正月に見ておりました。『キング・コング』を。
ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ出演で。3時間越えのヤツ。

その時の自分の感想を見なおしてみたんだけど。
今回も ほぼ同意見。

ようは リアリティの無い題材ではあるが、そこで行われていることに関してのリアリティに乏しいと。
なんならイントロダクション。海辺の砂浜で追いかけっこし始めて、いきなり崖のてっぺんに場面が変わったり。
コング大暴れのシーンでも 空中のヘリに対してそんな風にできるかとか。

そんな細かいトコロ気にして この映画見てる人はおらんのかもだけど。わたくし的には気になっちゃうんだな。

物音一つさせず、30メートルからの巨体が突然あらわれるとか。
『シン・ゴジラ』を経験しちゃうと〜と思ったら、2006年の時点でも同様なところに引っかかっていたわたくし。
こりゃもう好みの問題というか、性分なんだろうね。

あの時と同じ感想はもうひとつ。
それは、映像の迫力はすごかったよ〜というトコ。
明るい状況でのバトルシーンもあるので。その点は見応えありました。

でも なんか、わたくし的なワクワクポイントは刺激されなかったということで。

さてさて。もうひとつ一部で語られていることですが。
長〜いエンドロールの後に とある映像があるんだけど。

春休みのイチ娯楽として見にきている層は、そこまで見ずに、やっぱり さっさと帰っちゃうものだね。
映画ファンとして「なるほど」と関心はしましたが。もしかしたら、イチゲンさんはアレを見てもピンとこないかな?(苦笑)

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西野も梶原も出てこないよ
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2017年03月16日

哭声 コクソン

ナ・ホンジン
クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村 隼、チョン・ウヒ
平和な田舎の村に ひとりのよそ者が現れる。それ以降、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発。殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹でただれた肌という共通点があった。
事件を担当する村の警官ジョングは、自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。

『チェイサー』『哀しき獣』などのナ・ホンジン監督の新作。
過去作もサスペンスフルで ドキドキしっぱなしで どんでん返しも楽しめる。そんな作風ではありますが。
この映画も同様に。展開、映像、ヘヴィーで見応え大ありでした。

でも怖くて エゲつないシーンもあるので万人におススメはできませんが。

韓国映画ではありますが、そんな中で ただ一人。日本から國村隼さんが出演。
言うてもチョイ役ではなく、主要な存在で なおかつ怖い。ぶっちゃけチョー怖い。

國村さんが韓国に行っても 誰も目を合わさないでしょと。道開けるでしょというレベルの怖さ(苦笑)
いろんな意味で体当たりの熱演で、役者として素晴らしかったです。

山間に近い小さな村で不可思議な殺人事件が頻発。被害者は惨い殺され方をされ、容疑者は被害者の家族であるという。
その事件の真相は、毒キノコで精神を蝕まれてのことなのか。何かがとり憑いたのか。それとも どこからともなくやって来た、怪しげな日本人の仕業なのか。

主人公の警察官であり 一人娘の父親でもある男が また極度の怖がりでね。
そんな事件現場に足を踏み入れるのにイチイチ ビビったり、声をあげて腰を抜かしたり。
その様が面白くて、その辺りは結構笑えるんだけど。

男の(おそらく小学生の)娘に変化がおとずれた辺りから、それまでの笑える雰囲気から サスペンス、ホラー、そしてオカルトからゾンビへと。
それぐらいの展開が広がっていきます。

さらには娘を救うべく祈祷師が登場。この祈祷師さんも、間違いなく見どころのひとつで。
その悪霊払いの映像から とんでもないバトルの様相を呈していき、さらに混沌は増していくことに。

冒頭に聖書の一説が示されることから、そういったものがモチーフになっているのはなんとなくわかりますが。
ぶっちゃけ その深遠なテーマ性までは理解するのは難しいですわね。

でも その映像描写だけでも見入ってしまうデキなのは間違いない。
しかも156分という長尺で。終盤は三重構造でのダメ押しがきますが、見入ってしまいました。

國村さんの存在感が素晴らしいとは書きましたが、もう一人 スゴかったのが主人公の娘さん。
普通の子ども、狂気の絶叫、そして…

よくもまぁあそこまで演じられるなと。
芦田愛菜でもあれは厳しいんじゃないかってほどに映画を盛り上げるパーソンになっています。
この子も必見です。

ちなみに國村は音読みで“コクソン”だという説を見てちょっと笑えたよ。
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2017年03月08日

愚行録

石川 慶
妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜
迷宮入りとなっている一年前に起きた一家惨殺事件。週刊誌記者の田中は その真相に迫るべく、様々な関係者の証言を追い始める。やがて被害者夫妻の意外な素顔が明かされていく。
そんな田中自身も、妹の光子が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた。

ポーランド国立映画大学で演出を学び、数多くの短編を手掛けてきた石川慶監督の長編デビュー作。
貫井徳郎の直木賞候補作が原作で。なぜか製作はオフィス北野という。。。

愚行とは辞書によれば まさに読んで字のごとく「愚かな行い」の意味。

さて、見終わった率直の感想は、残念ながら感じるものが薄かったなと。
いろいろ思うところある方もおられましょうが、わたくしとは合わなかった。

週刊誌記者である主人公が ある未解決事件について、取材として関係者に話を聞いてまわります。
どこか多面的な再現フィルムで 真相に向かっていく感じは「桐島、部活やめるってよ」思い出しちゃったですが。

それとは大きく構成は違うんだけど。
様々な時系列での、男側からのストーリーと女側からのストーリー。さらに回想と現在の進行。

キャラクターの特徴やビジュアルの変化。
いろんな要素を整理しながら見なきゃ全体像が理解しにくいので、そこはちょっとたいへん。

それはいいとして。
タイトルでもある“愚行”という意味合いに少々共感できず。
確かに登場人物それぞれクセがあるんだけど、愚行というほどに蔑む思いも湧かなくて。
人なんて誰でも裏表があって。クソではあるけれど、反面 よくあることではないかと。

なんなら冒頭、車内で席を譲った後の田中の行動なんてのも、ただの愚行というより ちょっと共感とか入っちゃったし(苦笑)

それぞれの愚行の果て、事件の真相まで辿り着いたけれど、やはりカタルシスも不快感も薄かったな。わたくし的には。

それよりも、各々の役者陣には思うところありで。
妻夫木くんの役の完成度はいつも素晴らしいですね。満島さんももちろんですが、満島さんは同時に「千秋さんっぽい」ってのが気になりました。どうでもいいけど。

小出恵介は 好きな役者なんで気になったし、同僚役・眞島秀和の怪しさと危うさも印象的。
ナチュラルに他者を傷つけられるお嬢様キャラを演じた松本若菜もらしさ満点で。
臼田あさ美の現在のカフェ店員姿と学生時代の姿が直結せずに こちらは戸惑い。市川由衣さんの美しさには見とれちゃいました。

それら個々の存在は気になったけど、作品全体として響くものは乏しかったですわ。
まぁ合わなかったんだからしょうがないよね。

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“3度の衝撃”ってどの部分?
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2017年03月07日

彼らが本気で編むときは、

荻上直子
生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ
母親が家を出て置き去りにされた11歳のトモが、おじのマキオの家を訪ねると、彼は恋人リンコと生活していた。元男性で、女性への性別適合手術を受けたトランスジェンダーのリンコに最初は戸惑うトモ。
しかし3人で過ごす特別な日々は、トモにとっても特別な時間となっていく。

『かもめ食堂』『めがね』などの荻上直子監督。前作『レンタネコ』から5年ぶりとなるオリジナル脚本作品。
どうしても その作風として、どこか寓話的な雰囲気の作品の多い荻上監督ですが、今回は いたって普通の作品と言えるんじゃないでしょうか。

前評判も良いみたいで、わたくしが見た回も満席。一部では涙をすする観客もおられましたが。
正直、わたくし的にはヒットしなかったですね。

母に家出されてしまった11歳のトモ。おじのマキオの家で世話になるのですが、そこには元男性で、今は女性の体を持つ(工事済)トランスジェンダーのリンコが。
そんな優しい二人の暮らしに すんなり溶け込んだトモ。そして三人の共同生活が始まります。

監督曰く「LGBTの人権を!」と必要以上に声高に叫ぶ意図の作品ではないと申しております。
確かに 変な美談としてのゴリ押し感はありませんで。

実際 トランスジェンダーの問題だけでなく、育児放棄の要素もありますし。
現代社会に於いて 見聞きする機会の増えた問題も描かれています。

ただし、軸となるのは女性的な面なんよね。
母と娘の関係が大きいようで、男性・父性の部分はなんとなく薄めかな。
だって チンコなんてポイポイ投げられる扱い方だしね(笑)

リンコの母は絶対的に彼女を守らんとするスタンス。
ただし その思いが強すぎるがあまり、少々他者を傷つけることもいとわずで。
なんとなく、見ててイヤな思いしちゃったな。

小池栄子演じる 母親も、最終的に息子に理解を示す描写はなかったし。

トモと母親の関係も、わたくし的には全面解決したように見えなかったし。

様々な関係性の中で それぞれが抱え込むものは提示されつつも、カタルシスを覚える部分がなかったので、男性である自分的には涙とか感動とか。そこまでの境地には至らずで。
今後も不安定さは保ったまま。と同時に、あんなラストではあるけれど、また いつでも会えるトコに住んでるんじゃないの?と。
そういう重みにも乏しかったかなぁ。

それ以外の気になった点として、序盤のお弁当で腹痛のくだりも、そんな数時間で傷まないでしょと思ったり。
リンコが入院する経緯も突然だったり、一晩ぐらいと思ったり。

なんか「おや?」という印象が所々あったのも気になりました。

さてリンコを演じた生田斗真は“女性らしさ”を見事に体現。そして編み物の手さばきも素晴らしかったです。
そこのところはタイトルにもなってるぐらいだから最重要ではあろうけど。

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ヒャクハチンコ
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2017年02月20日

くも漫。

小林稔昌
脳みそ夫、柳英里紗、沖ちづる、平田 満
29歳の中川学は長年のニート生活を経て、父親のコネでようやく教育現場の職を得る。初めて人生の歯車が合い始めた高揚感と抑えきれない性欲から、風俗店へ繰り出した。ところが、No.1風俗嬢のサービスで絶頂を迎えた瞬間、くも膜下出血を発症してしまう。

中川学原作の同名ノンフィクション漫画の実写映画化。
主演はタイタン所属のピン芸人 脳みそ夫(のう みそお)。何ちゅう名前や(笑)
でも 程よくイケていない主人公のキャラを見事に体現してて すごく良かったですよ。

一方、風俗嬢を演じた柳英里紗がかわいらしかったですね。こんな風俗嬢おったらたまらんわね。

そして もう一人主人公の妹役の子が美人で目を引きましたね。
どんな子?と思いきや、元はシンガーソングライターであり 今作のエンディングテーマも歌っている沖ちづる という方らしい。

あと女医役で「特捜戦隊デカレンジャー」のデカイエローだった木下あゆ美。
名前はわからないけど職業案内所のオペレーターの方も印象に残ってて。
とにかく女性キャストがキレイな人が多くて、目を奪われましたわ。

主人公はニートとされていますが、どのような経緯があって…というのもちゃんと描かれていますし、ただ単にダメな救いの無いヤツという感じでもなくて。
でもその方が“助かってほしい”と思わせる意味では良かったかな。

ニート、教職、風俗店、病人と良くも恥ずかしくも立場が変化する主人公。
その中でも“風俗店で倒れた”という部分の後ろめたさがストーリーの“キモ”のようになっていまして。

確かにそれは恥ずかしいけども。客観的な見方をすると、それよりも命の危険すらある病からの生還という部分と対にするにはバランスが悪いようには思ったけどね。
超第三者意見としては、風俗で倒れたんか知らんけど、生きてて良かったやん〜という感じ。
あるいは 映画として、そこの駆け引きがもっと面白くできてたら、もっと笑えたかな。

実際にたいへんな体験談でしょうけども、もうちょっと面白ポイントや浮き沈みのメリハリあった方が盛り上がったわけで。
それが乏しいので、少々冗長に思えたトコロもありました。

テーマが興味深いだけに、その辺りはちょっともったいなかったかな。

でも くも膜下出血の怖さを、まるで“ゆるキャラ”のように視覚化したのは素晴らしいと思いました。
あのキャラクター「くもマン」っていうんだね。
熊本の人気者のアイツみたいな名前なんやな(苦笑)

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靴へのこだわりがスゴいww
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2017年02月07日

虐殺器官

村瀬修功
(声)中村悠一、三上 哲、梶 裕貴、石川界人
テロの脅威に対抗すべく徹底した情報管理が進むアメリカ。一方、その他の各地では紛争が激化。
それらの紛争には「虐殺の王」と呼ばれるジョン・ポールが関わっているとされ、アメリカ軍の特殊部隊大尉クラヴィス・シェパードは特殊暗殺部隊を率いて、彼の行方を追跡していく。

32歳の若さで肺がんによりこの世を去った伊藤計劃(いとうけいかく)のデビュー作「虐殺器官」をアニメ化。

小説についてのファンも多く、このアニメ化も ある意味“待望の”という文句がついても大げさではないほど。
んで原作を読んでいないと、“手ぶら”で予備知識ナシに この作品を見るのも〜という声も。

ちなみに わたくしは原作は未読で。
サラリとあらすじをチェックしてもイマイチ分からなかったけど。
そんなスタンスで本編を見たわけですが。

うん、理解し得ないながらも わかるのはわかりました。
眠たくなることなく、ラストまでついていけました。

途中「シン・ゴジラ」か?とツッコミたくなるぐらい、グイグイという印象もありましたが(苦笑)

なんというか 興味深い世界観を わかりにくいワードで、セリフで伝えてくるから。それを頭で「こういうことかな」と変換するのが必要で。
なので 食らいついてはいけましたが、本当の意味で作品世界を堪能できたかと問われれば、それはまた難しいわけで。

結果的に面白かったかと聞かれれば「興味深い物語だった」と答えたくなる。って感じだったかな。

ちなみに R15+指定(15歳以下の鑑賞には成人保護者の同伴が必要)なんですね。
これだけの少年に銃を持たせて それらを次々に撃っていく描写は、アニメとは言え 大胆な表現だと思いました。

また“911”から始まるアメリカ起点の物語を、日本人の作家が書いているってのも意外だったかな。

さて物語のキーになるジョン・ポールという登場人物がおるんだけど。
まさかビートルズ由来の名前じゃないよね。
posted by 味噌のカツオ at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月05日

風に濡れた女

塩田明彦
永岡 佑、間宮夕貴、テイ龍進、鈴木美智子
都会から逃れ、世捨て人のように生活する高介は港で不思議な女・汐里と出会う。「アンタは私にロックオンされたんだ」と捨てゼリフを残し去っていった汐里。
後日、行きつけのカフェでウェイトレスとして働く汐里と再会した高介は、次第に彼女に翻弄されていく。

「日活ロマンポルノ」の45周年を記念した「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の一作。
わたくし自身は 当時のロマンポルノというの知りませんので、これが初鑑賞となりましょうか。

エロい観点で言うならば。
ちゃんと楽しめましたですよ。

一時期に比べれば、昨今のラブシーンなんてキレイなものでね。
それに今の役者さんって(決定的なこと言うなら)脱がないですから。
主演女優がおっぱい出すなんて、ありえないもんね。

そのご時世にですよ。時に生々しく、時にときめきつつ、行為におよぶ場面を 大きなスクリーンで見られるのはたいへん良いもので。ジュンときてしまいますね。

その一方で。
ちょっと映画の世界観には入っていけなかったですね。正直。

もうちょっと人間心理とかちゃんとしてて。
その中で ぶっ飛んでたり、滑稽だったり、可笑しみが感じられたりならいいのだけれど。

お芝居の、劇団のテイストが入ってきちゃうと、それ 端から変な行動をとるんじゃん…という見方になっちゃうんだよね。
舞台で表現するために決められた変な設定って。面白くない。ギャグとかも笑えない。
なんなら趣味嗜好、好みの問題だろうが。

なので、作風としてノッていけなかったのは正直なところ。

でもそんなエキセントリックな行動やアクロバティックな“戦い”も、ある意味ではロマンポルノらしさなのかもですな。

好みの問題で言うならば。
主演の間宮夕貴さんもイイ女だけど、個人的には劇団の助手役のメガネっ子(中谷仁美)の方がね。
小柄でショートカットで一見おとなしそうで。あの子の方が気になるんだけど〜と。

と思いきや、ちゃんと彼女も絡みのシーンがあったので、満足しつつ うらやましがりつつで(苦笑)

そんなことを思いながら感想をチェックしてたら、そっちの子の方が好みだという声もチラホラ見かけて。
やっぱり 男の思うこと、望むこと。そんなもんだよねと思った次第。

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ヤルか食うかどっちかにしなさい
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2017年01月31日

ザ・コンサルタント

ギャヴィン・オコナー
ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル
田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフに舞い込んだ、大企業からの財務調査依頼。彼は重大な不正に気付くが、なぜか依頼は一方的に打ち切られる。
その後 何者かに命を狙われるウルフ。 実は彼は、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る裏社会の掃除屋でもあった。

原題は「THE ACCOUNTANT」。意味は会計士。そして邦題の「THE CONSULTANT」は顧問や相談役となるんだけど。
確かに日本人としてイメージしやすいのは後者ですわな。
この邦題の付け方、絶妙だね(笑)

あらすじを読んだ時点では、一見 なんの変哲もないイチ会計士が、夜な夜な裏社会の悪を退治していく的な。よくあるストーリーだと思ってました。
ところが見た人の感想をチェックすると、どうやら そんな単純な感じでもなさそう。
気になって見てきましたが、確かにこれは面白かった。

イメージとしては表の顔と裏の顔を使いわける“密かなスーパーマン(バットマン?)”だったんだけど。じつは あらすじ上には書きにくい主人公の設定がありまして。
それは主人公が“高感度自閉症”というもの。

冒頭の映像からすると「障がい者を変に描いてる」と受け取られかねないかな。
でもそうではなくて。

高感度自閉症、知的障害、多動症、アスペルガー、etc…
それぞれ特徴、特性は違っていて。

高感度自閉症は他者とのコミュニケーションが苦手であったり。その反面 何かに秀でた才能を持つ者も多かったり。
この主人公でいうなら 数学についてであったり、芸術のセンスに特化しておられるのかな。

戦闘能力については、完全に仕込まれたもので。それは兄弟して あの父親の血を受け継いでいる証なんだろうけど。

この作品の面白味は とにかく謎が多いこと。そして それらの伏線を確実に回収していくことで得られるカタルシス。
プラス、まさに意外な真相もそれに拍車をかけております。

ただし、その謎要素が複数すぎて(苦笑)
また提示の仕方として時間軸や相関図が やや複雑で。
その辺り 注意深く追っていかないと大変かも。

終盤には銃撃戦もあります。そもそもコミュニケーション力が乏しいせいか、“情”を感じさせずズバっと撃つシーンなんかも。
でも それらの殺人スキルのアクションがメインではなく、人間ドラマとして楽しませる作品。

映画ファンであれば満足度高いんじゃないかな。
監督自身は続編の製作にも意欲的らしいし。
こんな作品であれば、続き見てみたいね。

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モハメド・アリも発達障害だったそうな
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2016年12月30日

この世界の片隅に

片渕須直
(声)のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞
昭和19年(1944)、18歳のすずは広島から呉へとお嫁に行くことに。戦争の影響で、配給物資も減っていくがすずは工夫を凝らし、食卓をにぎわせていた。
昭和20年(1945)、戦火は呉にも広がり空襲の続く中、すずが大切にしていたものが失われ。そして夏がやって来る

こうの史代の同名マンガを片渕素直監督がアニメ映画化。
そしてクラウドファンディングによって製作資金を募り、多くの支援を受け完成しました。
バックに大きな資本が着いていないこともあって(?)公開館数は少なめ。でも見た人の満足度の高さで、クチコミで、じわじわと支持を広げていっております。

主人公は 時に空想の中で遊び、絵を描くことが大好きなすずさん。彼女の幼少の頃から物語は始まります。
「あんたはぼーっとしとるけん…」という ゆったりしたセリフとは裏腹に、序盤はテンポよく進行。
バケモノに出会ったかと思えば 座敷わらしにスイカを勧めて。まるで恋心のようなものを覚えつつ、広島から呉へとお嫁に行くことに。

ちょっとしたエピソードのおかしさ、微笑ましさ。言うなれば四コマ漫画のようでもあり。

どんな相手かもわからない。どんな暮らしかもわからない。
そんなところへ当然のごとく嫁に行くのも、その当時ならあることなのか、はたまた すずがぼーっとしてるからなのか(笑)

さやしい家族。ちょっと厳しいお義姉さん。食べるものや着る物にも影響が出はじめる中、そこに生きる人々は 工夫を凝らし、笑顔を絶やさず。
クサい言い方だけど、心は豊かだったんですね。

やがて戦艦なども立ち寄る港町・呉には他国の攻撃も激しくなり。寝る間も奪われるほどに空襲警報が発令され。
あまりの多さに「空襲にも飽きた」と言えるまでに。

なんて憎まれ口を叩ける間はいいけれど。
その中で すずは大切なものを奪われます。
命、肉体、日常、笑顔…

「このまま ここにはいられない」と一旦 広島へ戻ろうとするすず。
8月6日には地元の祭りもあるから…

僕らは敗戦国の人間として、生まれながらに 戦争というものが いかに惨たらしくて、辛くて悲しみを残すものか。映画やドラマ、教育の中で教え込まれて生きてきました。
一方で 今作はあからさまに戦争の是非を問うような、そんな作品ではありません。
是か非か。それで言うならもちろん…ですが。

でも もはやその当時の戦争を経験してきた人は少なくなってきました。
それを伝え聞いた人が、また伝えていくという現実。時代はまた次の段階にきてるのかもしれませんね。
ストレートに戦争の悲惨さを訴えるのではなくなってきてしまったと。

この映画に描かれているのは、そんな時代に、そんな町に暮らした人々がいたことであって。
戦争ではなくとも 天災、災害、さまざまな争い。それらと向き合いながら、日常を生きている今の時代にも通じる作品だと思いました。

すずさんのいたあの当時でも、わたくしたちが暮らす今の時代でも。
そこが それぞれの世界の片隅なわけで。

映画としても素晴らしい作品であり、日本映画として普遍的な一本であるのでしょうね。

いっぱい笑えて、何度もこみ上げてくるシーンもあったけど。
手を振るラストはこらえきれなくなりました。

あと すずさんを演じたのんさんについても。
よくぞ彼女をキャスティングしたなと思いましたし、この作品で彼女の表現力を(今まで以上に)思い知らされました。

すずさんも大切なものを奪われてしまったわけですが、のんさんも名前を失ってしまったわけだし。
そういう重なる部分もあったわけで。

アニメ作品のアフレコって、映像に(ある意味での)魂を吹き込むことでもあるわけで。
のんさんだからこそ、すずさんが生きたというところ、あるでしょうね。

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ただただ、素晴らしかった
posted by 味噌のカツオ at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月04日

コロニア

フロリアン・ガレンベルガー
エマ・ワトソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・ニュークヴィスト
フライトでチリを訪れたドイツのキャビンアテンダント・レナは、ジャーナリストで恋人のダニエルと再会を果たす。しかし突然のクーデターにより ダニエルが軍部に連行されてしまう。
レナはダニエルを救うため、慈善団体施設“コロニア・ディグニダ”に潜入する。

昨今では「実話を元にした…」なんて宣伝文句をよく見かけますが、この作品もそのようで。

ことが起こったのは1973年9月11日。
現地の情勢を取材するべく潜入していたダニエル。CAとしてチリを訪れ、恋人のダニエルとの逢瀬を楽しんでいたレナ。
しかしクーデターによりダニエルが連行され、彼を救うためにレナはコロニア・ディグニダへ潜入していきます。。。

という話らしいのですが、作中ではダニエルはジャーナリストという感じではなく、イチ活動家に見えまして。
なので、導入部を見ていて若干「?」と感じてしまいました。

場面 場面でダニエルがカメラに固執する描写があったので、今にして思えば ジャーナリストという設定は生きていたんだなと。

そしてもう一点。
コロニア・ディグニダという施設。実は 性的虐待の罪でドイツを追われ、チリで“教皇”として根を張ったナチスの残党の男が設立したものであると。
その設定を理解していいまま鑑賞したので、主人公が 信念のままにそこに潜入し、その実態を目の当たりにしていく展開を、わたくし自身も共有した感じになっていまして。

なので…コワかったですねぇ。不気味でしたねぇ。

端的に言ってしまえば“カルト”であり、だからこその洗脳であり、集団としてのコワさが際立っています。が…
それ以前に さらなる展開が待っていまして。

この二重構造が作品の気味の悪さを際立たせておりましたね。

監督のフロリアン・ガレンベルガーは、2000年に第73回アカデミーで短編映画賞を受賞しているとか。
であっても今作の劇場公開の規模は大きくはなくて。
ですが 見応えのある作品であるのは確かです。

そして あらためて。
実話ベースという点に向き合うと、もう一度コワさを感じちゃうよなぁ。

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機長の長髪と本編の関係は!?
posted by 味噌のカツオ at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月25日

映画 聲の形

山田尚子
(声)入野自由、早見沙織、悠木 碧、小野賢章
小学生・石田将也は聴覚障害がある転校生の西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。しかし とある出来事をきっかけに周囲から孤立。そして硝子は転校していってしまう。
それから五年が経ち、二人はそれぞれ別の場所で高校生になっていた。あの時 伝えられなかった想いを抱えていた将也は、硝子の元を訪れる。

原作者が岐阜県大垣市の出身ということで、作品中でも大垣市の街並みが垣間見えております。
そんなわけで わたくし、本場(?)大垣のシネコンまで行って見てまいりました。

途中で主人公たちが映画を見に行く場面があって。「それって、ココのことやろ」と、妙な感覚になったり。
周りの地元のお客さんなんかは、それ以外の場でも ザワッとした雰囲気があってね(笑)

それ以外でも養老天命反転地やナガシマスパーランドなどは そりゃそうだよねと思ったし。
大垣の子がナガシマでバイトするかね?という疑問はさておき。。。

そんな舞台となった地で見られて良かった…という思いは省いても。
この作品を見られて良かったなと。

感情としては ヒリヒリした部分も多かったけども、良い部分も痛い部分も含めて、感情を揺さぶられたのは良かった証拠です。

あまり事前情報を入れないままの鑑賞で。序盤の小学生時代のパートは、リアルでキツかった。
そもそも成熟していない小学校のクラスルームというコミュニティに、“耳の聞こえない子”が入ってきたらそうなるわなと。キレイごとでは進まない感じね。

そして将也がいじめの加害者として、ただ一人 吊し上げられる展開。
担任の「石田、お前だろう!」という行動は頼もしく思えたけど、よくよく考えれば、じゃあ今までちゃんと指導してきたのか?と感じたり。

周囲のクラスメートからも「石田が悪い」という感じでまとまっていくんだけど、確かに露骨にヒドイことを言ったり手をあげていない中で。将也のポジションがそうなっていくのは…そうしたもんだろうなと。
気付かないうちに いじめの構図って出来上がっていくんだよね。

創作の中で こういう描かれ方って 今まで見たことなかったけど、それこそがリアリティがあって。
見ていてツラかったり、映画としても少々イヤな気分にもなりました。

一方の硝子は それでも「友達になりたい」と言い続けるのは何故だろうかと。
他の子とは違うから、ハンディがあるから、ニコニコし続けて やっと一緒を保てないということだったのかな。

将也の行動により母が硝子の母に侘びを入れに行きます。
そこで何が語られたかはわかりません。なぜ母の耳から血が出ていたのかも よくわかりません。銀行からお金を出していたのはわかりました。
それらの“ぼんやりとした”記憶って、確かに将也とってはなかなかの傷として残るだろうね。

そのまま 他者との関わりができないまま(しないまま)の5年間を経て、将也と硝子は再会をします。
そして新たな仲間とのつながりもあり、今どきのケータイなどの発達もあって すんなりとかつての仲間たちも物語に入ってきます。

ここからが本筋というべきか。過去、幼いがゆえに、また 離れ離れになって語られなかったことが結びついていって。
それでも 全ての歯車がキチンと噛み合わず、微妙なギクシャク感を保ったままなのが、見る側の心に引っかかっていくのかな。

シチュエーションとして聴覚障害の存在に いじめ問題が介在しているけど、ストーリーの軸はあくまで人と人のコミュニケーションのことであって。
それぞれのキャラの思いや 物事に対する向き合い方がバラバラで。だから より考えさせられたり、受け入れられたり。そういったところなのかな。

そんな中でわたくし的には、周囲の人たちと目を合わせられない(×印でそれを表現するのがまたスゴイ)将也の感覚よくわかるし。
徹底的に硝子と相成れない植野直花。時に暴言を浴びせ 時に手も出してという。コイツはキツイなと思ってたら、最後の最後にちょっと手話の仕種するのをみて「ウワアァ〜」ってなったり。

最後に ちょっとだけアラをツッコむとするならば、終盤の花火の場面。
あんなガラ空きな花火大会あるか〜と。もっと人で混雑してるやろうと(苦笑)
そして結絃が将也にカメラを取りに行ってもらうんだけど。
常にカメラを首からぶら下げてる子が、花火大会に手ぶらで行くこたぁないやろうと。
いちばん写真撮りたくなるんちゃうかと。だから物語がつながるわけなんだけども、やっぱ そこだけは不自然な設定だと思っちゃったね。

まぁそんな小さいことには目をつぶって。129分の間 ダレることなく作品にのめり込めましたし。
とにかく 感情を揺さぶられたわけでありました。いい映画でした。

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“にゃんにゃん倶楽部”にゃあ やられましたな(笑)
posted by 味噌のカツオ at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月14日

クハナ!


秦建日子
松本来夢、久志本眞子、加藤清史郎、風間トオル
6年生の西田真珠が通う、廃校が決まっている小学校。そこにジャズプレイヤーだったという教師がやってきた。
それを契機に、真珠たちはジャズのビッグバンドを結成。活動予算の工面、同級生の思わぬ転校など、さまざまな出来事を乗り越えながら練習を重ね、バンドはコンテストの県大会を勝ち進む。

舞台は三重県桑名市。実際に桑名でロケもされていたこともあり、全国に先駆けて東海地区で先行公開。
見た人の評判がとても高い。

地元製作の映画なので知った顔が出演してるのかもしれませんし。子どもたちが頑張るストーリーなので、そりゃ見たら胸アツになりましょう。評価も高くなりましょう。
そんな中で 実際のデキはどうなのかと。そんな目で見てきたわけですが。

いやいや〜これは公平に見て、普通に面白かったですよ。
結論から言うと、登場人物が多いんだけど、皆 良い芝居しておられます。

ご当地ムービーって、素人さんや売れてない地元の役者さんを使った結果、セリフが棒読みだらけだったり。ギャグが異様に寒かったりするんだけど。
その辺り、ハズしていないです。

冒頭、家族5人のやりとりから会話がスムーズで。その時点でこれはイケると。
見てる側に恥ずかしいと思わせる拙さはコメディとして一番アカンのですが、それがひとつもなくって。そこをクリアしてるのは素晴らしい。

子どもたち同士の場面でも、まったく演技を感じさせない自然さ。
長めのワンカットのシーンでも絶妙な間とリアクションで、小学生の無邪気さがしっかり伝わってきました。

中にはキャラのオモロい子もいてて。「ないわ〜」が口ぐせの子も、終盤までアレで押してたけど全然ウザくなく笑えたし。
超内気なあの子はいつになったら心ひらいてくれるのかとドキドキしたり。

そして何より 先生役の風間トオルさんがバツグンに上手い。
最初の練習の場面。ピアノの周りにみんなを並ばせ“演奏”をさせるシーンも良かった。
あれはちょっと邪道な手法かもだけど、この作品のテーマである「楽しい」を感じさせるのに十分。
またそれが終盤にも効いてくるトコでもあって。

子どもたちが主役でありながら、おっぱいネタやスナックでのシーンなんかも入れ込んでるのも、いい意味で日常を感じさせてくれていました。
また あずきバーが出てきて「地元やなぁ」と思わせつつ、その食べたバーで缶を鳴らすシーンなんかも印象に残ってて。
そういった、ちょっとしたところに気を利かせた演出も見どころ。

クライマックスの大会では、演奏は上手いけど感じの悪いチームとすれ違い「桑名?岐阜県?」とか言わせつつ、それがどこの地域のチームなのかには言及しないという。
悪モノをつくらない点も好感。

そしてクハナの演奏シーンはしっかりと観客が見たい、聞きたいようなものに仕上がっていて。感動よりも楽しいという。
言ってしまえば「スウィング・ガールズ」でもあった手法だけど。こういうハッピーエンド、わたくしは好きですわ。

そりゃもう展開としたらこれ以上詰め込むのは難しいんじゃないかな。
そのうえで、素晴らしい演技に裏打ちされた共感できる笑いで楽しませてくれて。
いいもん見た〜という思いにさせてくれました。

そして、エンドロール後のひとネタも、なんかちょうどいい具合の着地点だったですよ。

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こども転校
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2016年09月13日

グランド・イリュージョン 見破られたトリック

ジョン・M・チュウ
ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、モーガン・フリーマン
派手なイリュージョンショーで不正搾取された金を奪うマジシャン集団、フォー・ホースメンが復活。あるハイテク企業の不正を暴露せんと新たなショーを仕組んだが、天才エンジニアのウォルターにより阻止されてしまう。
ウォルターに追い詰められるフォー・ホースメンに一発逆転は果たせるのか?

2013年公開「グランド・イリュージョン」の続編。
前作も見ておりますし、直前にテレビ放送されたバージョン(一部カット)も予習としてチェックしたうえでの鑑賞。

おや?と思ったのは 紅一点メンバーが変わったこと。
実際には演じていたアイラ・フィッシャーの妊娠でキャストチェンジ。フォー・ホースマン的にはメンバーチェンジでもあります。
あと前作でフォー・ホースマンを追っていたメラニー・ロランも今作は出ておらず(残念)。

それ以外は1作目と同じキャストで。ジェシー・アイゼンバーグはロン毛でも坊主でもエエ男やね。

マジシャン、メンタリスト、スリ…といったチーム。武器としては「人を騙す」テクニック。
それらを駆使してのイリュージョンショーはそれだけでもドキドキ。
ステージに至るまでの展開は見ていてワクワク。
なのですが。

今作の最初に行われるハイテク企業の不正を暴くショー。
これはこれで 彼らの見せ場だとは思ったんだけどね。
結果的にハリーポッターに邪魔されて失敗に終わるんよね。
ん〜なんか不完全燃焼。

フォー・ホースマンがピンチになる展開はまたチャイナで。
昨今の大作では必ずそこを経由するんだね。なんてことは語られないぐらい当たり前の光景になってるね(笑)

それに逆襲を誓って計画されたスーパーイリュージョン。
なのですが、これ気がつけば普通のアクション映画で、敵との駆け引きでよくあるバトル…と思いきや、じつは〜〜〜でした〜〜〜!!
って、なんかわたくしが期待してたのとちょっと違う気がする。

いちいちカッコよかったり、いちいち派手だったり。所々に見せ場はありました。そして中盤に出てくるカードをパスして回るシーンはなんかも面白かったけど。
振り返ってみると大がかりな“イリュージョンショー”としてのトキメキは得られなかったかな。

1作目では華麗に悪を懲らしめる。黒い金を弱者に還元する…というカタルシスあったんだけど。今回はそこが決着でもないからね。

そして前作のもうひとつのドラマとして、本当の黒幕の正体が明かされて「おぉ〜」とうならされまして。
ある意味で映画全編を通して騙されてた感を味わえたけど。
今作での そのパートは、なんだかなぁ〜(苦笑)

確かにシリーズ化をしていくことでクオリティが下がるのはよくある話で。
このシリーズ、なんと3作目も製作が決まっているとか。

またちょっと微妙になるの?
いや、たとえそうであったとしても、続きは見てみたい。

いろいろツッコミは入れたけど、やっぱこれはこれで見応えある作品にはなってると思うし。何よりフォー・ホースマンというチームのキャラクターには魅力あるからね。
パート3に期待しちゃいましょう。

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手品師vs魔法使い
posted by 味噌のカツオ at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月05日

神様の思し召し

エドアルド・ファルコーネ
マルコ・ジャリーニ、アレッサンドロ・ガスマン、ラウラ・モランテ
腕利きの心臓外科医トンマーゾは、周囲からは面倒がられ、との仲は倦怠気味。それでも優秀な医大生の長男が医師を継いでくれれば満足…だったのだが。
あろうことか息子は「神父になりたい」と宣言。息子はピエトロ神父に“洗脳”されているとニラんだトンマーゾは、信者を装い教会に潜入する。

中心となるのは腕利きの心臓外科医と過去にちょっと訳ありな神父さん。
予告編を見る限りでは「医療こそが人の命を救う」「神を信奉することで心は救われる」という主張がぶつかるのかという印象。
でもそこまでガッチガチな設定でも無かったですね。

確かに先生は堅物ではあるけれど、それなりの理解もバイタリティもあるキャラで。
でも そうやってステレオタイプな堅物にしなかったことにより、人としての“遊び”の部分もできて。それゆえ、コメディ要素は程よく引き上げられてたんじゃないでしょうか。

先生の家族たちも、周りの人間も それとなくクセのある感じ。
なので 会話もリアクションもしかり。あるいはカメラの切り替わりといった見せ方も含めて、全般的にコント具合は総じて高め。
結構 笑い声も起こっていましたしね。

ただし そもそも堅物過ぎず、受け入れる態勢のある先生なので。両者の心が通い合っていくパートはジワジワという感じ。
要はストーリー的には大きなヤマ場には乏しいかな。

そんなことを思っていたら、最後にやってきますね。ドンと。
先生がエレベーターで電話を鳴らし、どこからか着信音が聞こえるという描写がグッときてしまいました。

あとは奇跡が起こるのを祈るしかないと。。。

そういった流れの中でね、ハッキリとした結末は明示されずに終わるわけですが。
まぁそういうことなのかなと、見た人が想像することで良いと思います。

上映時間も87分とコンパクトで。
その尺の中でもしっかりと喜怒哀楽を味わえる佳作でありました。

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腕利きの医師でもトンマーゾ
posted by 味噌のカツオ at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月30日

君の名は。

新海 誠
(声)神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子
千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。田舎町に住む女子高生の三葉は、東京で暮らす少年になった夢を見る。一方、東京在住の男子高校生・瀧は、見知らぬ山奥の町で自分が女子高校生になっている夢を見る。
やがて入れ替わってしまっていることを受け止めた三葉と瀧は、互いを意識しあっていくのだが…

今年の邦画の秀作ラッシュに また一本仲間入り。「君の名は。」です。
「シン・ゴジラ」なんかは公開までは「どやさ?どやさ?」感はあったけど、こっちは「新海誠がハズすわけねぇ」ってぐらいに期待は高まりつつ。
そして、公開後の評価もじつに高くって。期待して観てきました。

若い男女。ストレートなラブシーンは無くても、愛を感じさせてくれて。
それでいて すれ違う二人。なかなか真正面から向き合えない。
それが切なさであり、愛の深さに感じられたり。
監督、お得意の手法。

もひとつ言うなら、意外と“宇宙”ってのもキーワードになったりするよね。
そういう意味では今作、新海誠の王道路線とも言えるんだけど。

冒頭から独特のイントネーション。方言?
なんとなく わたくしの住む東海地方っぽさを感じました。
実際に 岐阜県飛騨地方がベースなようで。途中で名古屋駅で乗り換えシーンがあったり、特急ワイドビューひだ とか出てきて「おっ!」っと思ったけど。

本筋は男女の高校生が入れ替わってしまうという。大林宜彦の「転校生」とは全然テイストは違うけど。
日常の中のそんな状況が、前半では軽妙に進みつつ。

作中のカットでしきりに使われる 敷居の上の扉、あるいは電車の扉のカットが気になってはいたんだけど。
それが何故なのか、何を意味するのか。明かされていくことで、ちょっと辛くなっちゃいました。

もう、涙出てくるわ 胸が締め付けられるわで。

ファンタジックな設定の中に迫りくる悲しみ。
名前もわからない誰かに突き動かされ。そして名前もわからない誰かのために必死になる姿。

終盤はクラクラしっぱなしでした。

ひとつの町が無くなってしまうという。
それが地方の小さな集落であったとしても。
見ていてとてもつらかった。

こういうストーリーの発想のベースにあるのは おそらく、間違いなく、3・11なのでしょう。
「シン・ゴジラ」も同様な見られ方もしてますが。

こと今作に於いては、多くは美しく表現されるであろう彗星がそれであったり。
宗教的な立ち位置から、悲しみを越えて政治の方面に軸が移ったり。
そんなことも含めて、胸に刺さるものがあったり、考えさせられました。

ただし どうしてこのふたりだったのかについては現状ではわからないんだけど。
だけど、誰しも誰かと出会う相手なんて、そもそもわからない誰かなんだから。
そうしたもんか。

もちろん映像の美しさは間違いないし。
数々の音楽を担当したRADWINPSの曲ともマッチしてます。

すごくギュンギュン引き込まれる映画であるし、見応えはあるんだけど。
どこかでやっぱり、かすかな胸の痛みを覚えます。

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名前はすきだ
posted by 味噌のカツオ at 01:10| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月25日

月光

小澤雅人
佐藤乃莉、石橋宇輪、古山憲太郎、美保 純
ピアノ教師のカオリは、教え子のユウの父親・トシオから性的暴行を受けてしまう。この事件により、過去の忌まわしい記憶までも蘇ってくるカオリ。一方ユウもまたトシオから性的虐待を受けていた。
誰にも相談できず苦しんでいたカオリとユウ。やがてカオリはユウの願いを叶えようとある決断をする。

自分は男ですから、本当の意味で女性の気持ちはわからないでしょう。
もっというなら、性的被害に遭われた女性の苦しみを、本当の意味で理解するのは無理なのかもしれません。

でも、それらを取り扱った映画、ドラマ、書籍、証言…何かしら感じることはできるのかも。
そんな思いもあっての鑑賞でしたが。

とにかくテーマはそういうことだと思うのですが、映画のデキとして、見ていられなかったという印象。
端的に言うなら、ちょっと詰め込み過ぎなのでは?

リアルに、この作品の主人公のような反応をしてしまう被害者もおられるのかもしれません。でも、リアルに受け止められない展開も多くって。

こういった映画に於いての主人公はいくらか悲劇的で良いと思うんですが。
いきなり教え子の父親とのキスシーンは“なんだ?”と思ってしまいます。

それにはそれなりの過去があるようなのですが、その後も積極的に不倫行動をしてしまうのはどうなの?
その相手の母親は 二人の関係を知りつつ、彼女に息子のピアノの指導を依頼するって、その設定、気持ち悪過ぎ。歪み過ぎ。

メトロノームのカチカチ音でフラッシュバックを起こして、それきっかけで その子がケガするってのも。なんだか取って付けた事件だし。

その後、彼女が性的被害に遭い、じつは過去に幼い頃にも 被害に遭っていたことが分かります。
そんな女性が そこまで積極的におっさんを求めるものなのか?山中ですれ違ったおっさんをナイフで脅してキスするとか、まったくわからない。

確かに大変な思いをしたのだろうが、それで背中に あんな痣ができるもの?
その後のシャワーシーンも体を洗いたくなるのはあるでしょうが。背中を見せながら、表情も捉えてください〜なカメラワークは疑問。
それなら顔を突っ伏して、背中でシャワーを受けるとかのが伝わってこないかな。

そして彼女の母親も、娘が辛い過去を語っているのに「わたしも必死で働いていたのよ」って。信じられない反応だし。
そんな心の通っていない母親と車で走りだすラストシーンも、本当は上辺だけじゃないかと思ってしまったし。

その主人公とは別に、加害者は自身の娘にも性的暴行を行っておるのですが。
これ、血のつながってる親子なの?それはそれで また違うテーマになってしまうわけで。

もしそうでなかったとしても、2つの性犯罪を絡めることで、そのテーマ性も混沌としちゃって。
大事なことを伝え切れなくなっていやしませんか。

とにかく登場人物“全員”おかしな行動、言動があるので、なんとも軸が置きにくい。

そして映画としての見せ方も、妙に光と影を意識してるのか、ムダに逆光で暗い中のシーンがあったり。
とても大きな満月が出ているのに、メッチャメチャ暗い映像になってたり。
妙なところで 音量を大きくさせたり。

いずれも不安感や不安定感を狙ってのことなのかもだけど、その技の使い方が決して効果をUPしてるとは感じませんでした。

結局、これは誰に向けてのことなのか。
ピアノ教師なのか、性的被害を受けている少女なのか。
あるいは性犯罪者。被害者の家族。水を汲みに来た通りすがりのおっさん。

とにかく詰め込み過ぎで、わたくしには ちゃんとしたメッセージとして伝わってきませんでした。
もっと余計なものを 削ぎ落して、真っ直ぐに訴えるべきではないのかな。
大切なテーマであるだけに、とても残念に思います。

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ピアノソナタ第14番
posted by 味噌のカツオ at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月24日

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ

マリー・カスティーユ・マンシオン・シャール
アリアンヌ・アスカリッド、アハメッド・ドゥラメ、ノエミ・メルラン
貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校の新学期。歴史教師アンヌは、多様な人種の生徒たちが集められた落ちこぼれ学級を担当することになる。
アンヌは生徒たちに、全国歴史コンクールへの参加を生徒たちに提案。しかし「アウシュヴィッツ」という難しいテーマに彼らは反発する。

原題は「Les Héritiers (後継者たち)」。「奇跡の教室」という邦題の付け方はいかにも…とは思いますが。
でも、さすがに「後継者たち」では伝わらないか。

そもそもは、今作にも生徒役で出演しているアハメッド・ドゥラメが書いたシナリオに監督が興味を持ち、実際に製作が決まったという。
これはこれで“奇跡のシナリオ”とも言えるけどね(笑)

日本に限らず、不良クラスが何がしかに打ち込むことで、更生したり生きる意味を見つけていく物語はありますが。

モデルとなっているクラスは 貧困層が多く暮らす地区で、人種も違えば宗教やら考え方も違う生徒の集まりで。
「レジスタンスと強制収容についての全国コンクール」で優勝したんだとか。

今回の映画では「アウシュヴィッツ」という、やはり強制収容にまつわることがテーマとなります。
当初は生徒たちの意識も方法論もバラバラで。

しかし収容所から生き延びたレオン・ズィゲル氏から生の証言を聞くことで、彼らの中で何かが変わり、一丸となってコンクールに向かっていきます。

なんちゅうか日本的に考えたら、原爆で苦しんだ被爆者が、その後の世代に語り継いでいくことが大切なように。
それぞれの国で、悲しい記憶や繰り返してはいけない悲劇というのが存在するんだなと。そんなことも感じました。

さてさて、物語としてはそういったものですが。正直 映画としては、いくらか淡々とし過ぎだったかな。
どうしても わたくしのような日本人では、人種や思想がバラバラの若者がクラスに集うことが、皮膚感覚では分かり得なかったり。
会話の“あや”もそうだし、途中で外れてしまう生徒、逆に途中から合流する美人さんの描写も弱いかなと。

軸となるのが生徒たちなのか、アンヌ先生なのか、証言者のズィゲル氏なのか。
ナチスの行ってきたことも、もっと詳しく語られてる映画もあるから。
その辺りもね。

ちなみにレオン・ズィゲル氏は2015年1月に亡くなられているとのことで。
この映画で語るシーンは、今となっては、また違った重みを持つことになりました。

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「退屈な授業はしないつもり」
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2016年08月23日

言の葉の庭

新海 誠
(声)入野自由、花澤香菜、平野 文、前田 剛
靴職人を目指す15歳の高校生タカオは、雨の日の1限は授業をサボり、庭園で靴のデザインを考えていた。
ある日、タカオはそこでユキノという女性と出会う。雨の日の午前だけの交流を繰り返しながら、タカオとユキノは少しずつ打ち解けていく。

本編は46分。当初は配信&販売用として製作されたのだが、2013年に劇場公開。
新海監督の「君の名は」公開を控えて、まだ見ていなかったのでDVDにて鑑賞。

舞台(のモデル)となっているのは新宿御苑の屋根のあるベンチ。
ふいに出会った二人。ミステリアスなところから、次第に相手のことを理解していくうち、心の距離も近づいていくというのはあること。

タカオが目指す靴職人という夢と、心が追い詰められ 歩き出すことができなくなってしまったユキノ。
彼女が前へ向かって一歩を踏み出すためには…
人が歩くためには、靴が必要。

そんな風にストーリーに意義を持たせるのは素晴らしいですね。

やがて彼女がどんな存在なのか。それが明かされ、タカオの心が揺れていきます。
そしてクライマックスの階段での場面。

語る側も受け止める側も痛みを伴う言葉。それを越えて心を通い合わせる二人。
二人とも泣いてるけど、わたくしも、涙、涙。
やられましたわ。。。

厳しいことを言うなら。
15歳の高校生の言葉にほだされ、泣きすがる27歳の女性教師。
アニメだから美しく見ることができたけど、実写のドラマだったら ちょっとやり過ぎ感漂う設定だったかもね(苦笑)

でも、着地点が安易な恋愛感情ではなく、人として歩むことのなので。
やっぱり夢を叶えたタカオとユキノのストーリーも気になるよね。
もちろん それ以降まで描いちゃ野暮だけど。

そして これは書くまでもないけれど。
映像の美しさは群を抜いています。

本編の8割が雨の設定ということらしいですが。
アニメーションで ここまで美しく雨を描くのは、想像を絶する研究と労力が必要だったこと。想像に難くありません。
逆説的に言えば、アニメーションだからこその リアルを越えたリアリティ描写に成功してるのかな。

エンディングの「Rain」は、大江千里の作品を秦基博にわざわざカバーしていただいたという。これも世界観にハマっておりまして。
いや、もしかしたら この曲あってのこの物語だったのかも?

決して長くはない尺の中に 見応え、聞き応えの詰まった作品。
見て良かったです。
posted by 味噌のカツオ at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする