2012年11月03日

これは映画ではない

ジャファール・パナヒ、モジタバ・ミルタマスブ
ジャファール・パナヒ
反体制活動により20年間の映画制作禁止、出国禁止、マスコミとの接触禁止、さらに6年の懲役を申し渡されたジャファール・パナヒ。
テヘランのアパートメントの一室で軟禁中のパナヒ監督自身の一日をカメラは映し出す。

以前「映画は映画だ」と言い切ったようなタイトルの映画もありましたが、こちらは「これは映画ではない」と全面否定なのでございます。
反体制活動により映画に関わることを禁じられた監督が、自分の一日であり、構想中の脚本であり段取りであり などをカメラに収め、その映像を密かに持ち出すことによりカンヌ映画祭で上映が行なわれたという、ある意味での意欲作という言い方もできましょうか。

いや映画であろうと無かろうと、スクリーンにかかるものは映画というくくりにあてはまりそうですが、そう言い切ってしまうと都合が悪かろうでね(苦笑)

しかーし!ぶっちゃけこの上映中、わたくしチョイチョイ‘落ちて’おりました。
基本、監督の語りで構成されているので、セリフも多いわけだし、その流れが途切れてしまうと ますます集中力は遠ざかり、結果的にはわけわからんくなってました。

もっと言い訳をするならば、字幕の白色と壁のホワイトが被ってて読み辛かった。
監督の話し方がモソモソっとしてインパクトが弱く、その語り口が子守唄と化した。
犬のミッキーにもっとほえてもらいたかった。

そんなこんなで途切れた集中力が繋がる事もなく、気付けば場内が明るくなって終了。全く楽しめなかったし、何も印象に残せなかったわ。申し訳ない。。。

あぁ印象という意味ではね、アチラのエレベーターにはスライドの扉だけでなく片開き戸がついてることが新鮮な驚きとして印象に残ってますよ(苦笑)

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これがはでなはいえい
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2012年10月30日

希望の国

園 子温
夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵
泰彦は妻・智恵子と洋一、いずみの息子夫婦とともに酪農を営みながら暮らしていた。しかしある日大地震が発生し、原発事故までも起きてしまった。 彼らの家は非難区域外であったが、泰彦らは自宅に残り、洋一夫婦を自主的に避難させる。がやがて泰彦の家も避難区域に指定され、強制退避の日が迫っていた。

前作「ヒミズ」では急遽、震災のエピソードも絡めたようですが、今作は「原発事故」自体をテーマとして製作されました。

それが全てではなかったしても、原発の運用に否定的なくだりが入るとなれば、なかなかスポンサーや資金調達の面ではたいへんなようで。 事実、この作品は海外からも支援を受けることで 実現したということで、製作は「日本=イギリス=台湾」とされています。

そんな苦境下でありながらも(一部では)危険と思えるテーマの作品を作るアナーキズム(といっては失礼か)は園監督の真骨頂だと思います。 そこはまさに園監督にしか撮れない作品だと思います。

ですが、正直キビシイ意見をするならば、ここに描かれていた映像からは園監督なりのパワーを感じられなかった。これまでの「恋の罪」や「冷たい熱帯魚」みたいなエグい描写を求めるわけでもないのですが、登場人物・人が発するヒューマニズムをイマイチ感じ取れなかったですね。

融通の利かない警察や職員。2〜3日のつもりが まったく帰宅できない避難の対象者。地域によって温度差のある放射能の恐怖感。 それらの描写はある意味リアルなんだと思います。実際の被災者への取材に基づいた 物語ものでありましょうし。 ただそれ以上のエンタテイメントまでにはなっていないと言うべきか。

それでいて、設定が福島の後に起こった(架空の) 町での原発事故ということでね。 ドラマはリアルだけど舞台設定はフィクションで 。そのバランスが幾分か戸惑いの要因でもありますかね。

ちなみに「ウチに帰ろうよ」と言い続ける認知症の母は園監督の実際のお母さんがモデルらしいです。 そのあたりの人物設定は、また別の作品に絡めても良かったんじゃないかな。

テーマがテーマだけに過剰な演出ははばかられるかもしれませんが、厳しさという面ではニュースやドキュメントを通じて、様々な過酷な物語を目の当たりにしておるわけで。過去の作品では、何かしら観客の心にグサッと突 き刺さるメッセージがあったりするんだけど、ここはわりとシンプルで。

だからコレは園監督にしかできない企画なんですが、作品としては園監督でなくても ・・・という印象。 でも、今このタイミングでこのテーマの作品をやらないと、次に進めないのかもしれないですね。

近年の園監督の作風に期待を持って見に行った者としては、少々期待はずれな感は否めないのですが、夏八木勲さんの存在感は素晴ら しかったです。それについては見てよかったと言えますね。そして「遠くに・・・」という言葉が、複雑に重くのしかかって聞こえました。。。

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全ては「一歩、一歩」の積み重ねです
posted by 味噌のカツオ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月21日

桐島、部活やめるってよ

吉田大八
神木隆之介、橋本愛、東出昌大、大後寿々花
とある金曜日の放課後。バレー部のキャプテンで成績も良く誰もが認める人気者であ
る桐島が部活をやめたというニュースが学校内を駆け巡る。
が 桐島の恋人も 周囲の仲間も、誰も桐島とは連絡が取れず、やがて多くの生徒達に
動揺が広がっていく。いったい桐島に何が起こったのか…。

8月の公開当初はそんなに話題にはなってはいなくって。
粒ぞろいではあれど、柱があるとはいえない(失礼)キャスティング。あらすじを読ん
でも、高校生活の中で起きた一つのエピソードという程度で。決して‘引き’の強い
作品ではありませんでした。
しかし見た人たちのクチコミが徐々に徐々に広がり続け、気付けば ちょっとした演
歌のごとく異例のロングランヒットとなっているこの作品です。

遅ればせながら鑑賞いたしまして、やはりズバ抜けた見せ場があるというでもなく、
あくまでひとつの学園ドラマでしかないんですよ。
それでもヒットを続けているその要因とは、とても普通であり、どこか普通じゃない
んでしょうね。

阿波踊りで延々と踊り続けるうちにグルーヴ感が高まっていくのと同じで、とある金
曜日の情景を、角度を変えて何度も見せていくうちに、何かしら高まっていくものが
観客のなかにも芽生えるのか知らん。
もっと言えばそこに新たな何かが見えてくる要素も含まれてたりで。
その前半の描写には ぐいぐい引き込まれていきましたね。

また登場人物たちのキャラクター、そして距離感が絶妙で。
いわゆる群像劇としてクラス内 及び部活動のかかわりの中にあって、そこに見える
ものと見えないものがいい具合に描かれているんですわ。
自分自身をこの中の登場人物の中の誰に投影させるかもそうだし、アイツはあのキャ
ラクターだとか、こういうヤツいたよね〜という面まで押さえれば、そりゃまぁ共感
は増していきますよ。

そして・・・結果的に桐島は出てこないわけで、彼に何が起こって何をもって みんなを
惑わせるような行動を取ったのかは謎のまま。
って そもそもは部活をやめるかも・・・ってことなんだけど。

さしあたって落とし所こそあれど、物語としての結論は無いんですよ。
でもそれこそが 映画好きな者からすると、思わずにんまりしてしまうと。そういう
面白味になっているんでしょうな。

さて、クライマックスたる屋上の場面。8ミリカメラを通した映像が、リアルなゾン
ビのように見えたところはメッチャ興奮しましたよ。
プロレスファンのわたくし的には、たまたま目の前で起きたことを「まるでリング上
で○○選手と▲▲選手が闘ってるみたいだ」と、ついついプロレスフィルターで見
ちゃうことあるんですよ。
そういう素養があるから、あのゾンビたちはとてもワクワクしてしまいました(笑)

派手さはないけれど じわじわと何かを感じさせるという、わたくし的にはNo.1では
ないものの、愛すべき作品であることは確かで。
すなわち、今どきの映画界に於けるこの作品のポジションと、クラスの中の前田君
(神木隆之介)の存在感ってのは、割りと近いのかもなんて思ったりして (^-^;)
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桐島のおかげできりきり舞い
posted by 味噌のカツオ at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月15日

くろねこルーシー

亀井 亨
塚地武雅、安めぐみ、大政 絢、直江喜一
迷信を信じて、縁起を担いでばかりいる気の小さい占い師・カモシダ。妻と子どもと
は別居中で、一人暮らしを送っていた彼の下に2匹の子猫が現れる。
ひょんなことから子猫を脇に置いて占いをすることになったカモシダだったが、それ
が噂を呼び 行列が出来る人気占い師となっていく。

「ねこタクシー」やら「幼獣マメシバ」などのシリーズの最新作の劇場版。ただしテ
レビ版の主演はで、塚地さん演じるカモシダは 彼のお父さんという設定な
んだとか。
当然わたくしもテレビシリーズは知らないトコなのでありますが、完全にこれはこれ
で独立した立場で見ても成立する作りになっていますね。

時間軸がそんなわけなので、舞台設定はおそらく ギリギリ昭和あたりなんでしょう
ね。
どこかのんびりとしていて、少しの胡散臭さもあるような。

構成的には「ねこタクシー」とも近いようで。
そこにネコが存在することで、運気が広がり 仕事も回り始め、その結果 家族間のつ
ながりも再認識されるというような。

ちょっと出来すぎた話という感もありますが、実際にペットがおるおかげで会話が成
り立ってる夫婦なんかもおるわけだし。
また自信をもてなかったりコミュニケーションが苦手という方が「アニマルセラ
ピー」というカタチで、動物と接することによってメンタルが強くなるなんてことも
ありますし。
それを思えば、この作品中のリアリティってのは、そんなに的外れでは無いように思
えますね。

わざわざ語るまでも無いことですが、何気に塚地さんは上手いですねぇ。演技とかセ
リフ回しとか すごくナチュラル。
あと これまでちゃんとした芝居を見る機会のなかった安めぐみさんも意外と言って
は失礼ですが良かったですよ。癒されました。

癒されると言うならルーシー(親)もルーとシー(子猫2匹)も名演技!!
絶妙のタイミングで走り去っていったり、じゃれあったりしている様はネコ好きには
たまらなかったですよ。
こりゃ思わず目尻も下がりますって(笑)

映画って いろんなジャンル、いろんな作風がありますが、コレは「肩肘張らずに安
心して見届けられる」というそんな作品。
素直に見てよかったと言える一本でした。
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腐ったミカンがミカンを食べてた
posted by 味噌のカツオ at 08:55| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月08日

鍵泥棒のメソッド

内田けんじ
堺 雅人、香川照之、広末涼子、荒川良々
貧乏役者の桜井は人生に嫌気がさし 自殺を図るも死にきれず。その後に出かけた銭
湯で、一人の男が転倒するアクシデントに遭遇。桜井は出来心でその男と自分のロッ
カーの鍵をすり替える。
病院で目覚めたその男は頭を打った影響で記憶を失ってしまったが、所持品から自分
は桜井という男だと思い込んでしまう。

見ていて感じたのは、展開が演劇チックといいますか。何かそういう空気感を感じま
して。作中、ヨーロッパ企画もチョロっと登場するので、原作がソッチ系なのかと思
いきや さにあらず。

監督・脚本の内田けんじのオリジナルらしい。この方をウィキで見てみても それほど
経歴とかも書かれていなくって。演劇の世界から出てきた人ってわけでもないんだ。
原作モノが幅をきかす昨今にあって、そういう才能が出てくるのはイイことですわ
ね。

メソッド【method】を訳しますと「体系的な方法・方式」と出てきます。
とは言うものの、脚本は決してそんなことはなくて 伏線をしっかり張ったうえで十
分にヒネリも効いてまして。おまけに登場するキャラクターもクセありまくり。やぁ
面白かったですねぇ。

こっちは堺雅人と香川照之が入れ替わるオハナシ…と思って見に行ってるのに、冒頭
からヒロスエさんが結婚宣言という爆弾落とすから。その時点でやられちゃった感ア
リで。
キャラで言うなら ヤクザの親分役の荒川良々も 憎みきれない怪しさを漂わせて、味
ありましたねぇ。やっぱ上手いわ、この人は。

記憶をなくした男が 自分は役者だと思い込んで 意外といい仕事しよるんですが、
元々殺し屋だった人なのに、そんな演技でうまいこといくんないな?なんて見てたけ
ど、この人はこの人で演じることには長けていたわけだ。

そもそも主人公が役者ということもあり、いろんな人が何かを演じていて。それに
よって騙して騙されて、その結果 観客もいい感じでだまされていくことで。それが
この作品の面白さになってまして。
ミスリード的な面も含めて まずは脚本の勝利でもありますし、それらを演じるキャ
ストもみな素晴らしかったですよ。
間違いなく、ニンマリと笑って見終えることのできる一本ですね。

個人的にファンの小山田サユリさんが出てた(ヒロスエの姉役)ので、それも嬉しかっ
たです。はい。
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柿泥棒のメソッド
posted by 味噌のカツオ at 01:14| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月12日

崖っぷちの男

アスガー・レス
サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、ジェイミー・ベル、エド・ハリス
高級ホテルの高層階から窓枠を越え、飛び降りを図ろうとする一人の男。彼に指名された女性刑事が説得を試みる。
やがてその男は、30億円のダイヤモンド強盗の罪で投獄中に脱獄を果たしたした元警察官のニックであることが判明。果たして彼の真の目的とは!?

何やらインパクトのあるタイトル。そして野次馬チックに興味をそそられるシチュエーション。おまけに見た人の満足度も割りと高めというこの作品。
しかし・・・いろいろ入り組んだ裏事情もあり、アレコレ語るとネタバレになっちゃいましょう(苦笑)
という前提での、わたくしの感想。

その昔「フォーンブース」という 街なかの公衆電話BOXを舞台にしたサスペンスなんかもありまして。
それもあって、必ずしも‘新しい’と思いはしませんでしたが。

でも、一つひとつ物事を積み重ねていく過程の面白さ。しかも100分間という ソコソコの尺におさめられたテンポの良さとか。
ライト層を相手に「こんな映画も面白いね」と思わせてくれるのは確か。

もちろん映画好きなモノからも(ツッコミどころも多いけれど)及第点を与えられるデキじゃないですか。

わたくし的には その話の軸があっち行ったりこっち行ったり、伏線となっている(女性刑事の関わってる)橋での飛び降りの描写がわかりにくいとか。チョイチョイ気になりましたね。
それから イーサン・ハントみたいな活躍をする弟カップルの素性も気になったし。

でも主人公・ニックが飛び降りた(!)シーンに妙な爽快感を覚え、年配のホテルマンと思われたおっちゃんがバーテンだったり。んで実は・・・だったり。
ある意味バカ負け。なんだか気になってた諸々の要素も許せちゃったですね(笑)

ただし、テレビカメラに野次馬に、公衆の面前で 見事に自身の無実を証明して見せたニックだけども。
あんなに策略、陰謀、癒着とか。いろんな背景が渦巻いているとね、警察やら宝石商のプライドにかけて、さらにニックを陥れようとする力が権力が動き出すんじゃないかと。
まだ後日談が生まれるんじゃないかな〜って。

そんなん考えると、すんなりとハッピーエンドと受け止められなくってさ。
あまりに腐敗した現実社会に染められすぎかな。オレ(苦笑)

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やけっぱちの男
posted by 味噌のカツオ at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月09日

孤島の王

マリウス・ホルスト
ステラン・スカルスガルド、クリストッフェル・ヨーネル、ベンヤミン・ヘールスター
1915年。ノルウェーのバストイ島にある少年向けの矯正施設。そこに送還されてきたエーリングは、重労働や性的虐待など、理不尽な現実を目の当たりに。
そんな施設の院長や寮長に反発するエーリングの抵抗が、それまで抑圧されていた少年たちの心を突き動かしていくことに。

舞台となっているのは今から約100年前のノルウェーのバストイ島にある少年院。
史実によれば、当時 実際に軍隊が鎮圧に出動するような騒ぎもあったそうなので、やはり実話に基づいた作品ということになりますか。
個人的に そういう触れ込みはあまり お好きではないのだけれどね。

2人の少年がこの‘矯正施設’という島にやって来る場面から映画は始まります。
観客はその2人と共に、その島の日常というのがどのようなものなのか理解していくと。

そこはまさに極寒の地で。白い息を吐きながら薄っぺらい布団で就寝をする少年たち(設定では11歳から18歳までとのこと)。
ある者は重労働をさせられ、中には教育者からの性的虐待を受けるものもいる・・・ということですが。

この手の映画はこれまでにも多くありましたですね。
全くというわけではないけど、似たような要素を含むものというべきか。

それらの作品と比較しても、失礼ながら大きな悲壮感というのは伝わってはこなかったですね。
もっとキツイものであれば、本当に手のひらから血を流したり、灼熱の中で倒れ込んだりするもので。また性的虐待も、あくまでニュアンスのみで映像までは出てこない。
さらに申せば「大人の刑務所より(ここでの)食事はマシだ」とのセリフもあるし。

でも、でも、この映画は決して駄作とは思いませんで。
というのも そういった不安要素よりも、このような状況からなんとかして脱しようとする少年たちの戦いが、えらく魅力的に映っていたのでね。

ほんのわずか3人の少年が必死に走る姿。それを見つめる他の少年たちも一斉に心を突き動かされ、共に走り出ださんとするシーンのなんとも痛快なこと。
若いって素晴らしい!!(笑)

清らかな雪の世界と彼らのピュアな志がわたくしのワクワク感を刺激して。かと思われた刹那、雪煙を裂いて一気に陥落していってしまうという。
そして かろうじて脱出に成功した二人の‘別れ’の場面もまた切なくって。
この後半の希望とか挫折とかの描写はたまらなかったですね。

全体の中に決して真新しさがあったわけではないけれど、主人公・エーリングの面構えに眼差し。そして彼の‘革命’に呼応する回りの少年たちの心が響いてきたという意味では、見応えはありました。間違いなく。

彼らがどんな罪を背負ってここに送られて来たのかはちょっと気になったけどね。

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バストイレ島
posted by 味噌のカツオ at 21:37| Comment(0) | TrackBack(1) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月15日

キリマンジャロの雪

ロベール・ゲディギャン
アリアンヌ・アスカリッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、ジェラール・メイラン
マルセイユの港町に暮らすミシェルと妻のマリ=クレール。幸せな生活を送ってきた二人だったが、夫がリストラにあい、強盗に押し入られるという事件まで起こる。
その後、強盗犯はミシェルと共にリストラされた元同僚の青年であることを突き止めるのだが・・・

ヘミングウェイの短篇を原作とした 同名「キリマンジャロの雪」(1952年)というアメリカ映画があるそうですが、こちらはそれとは全く別の作品。
1966年にフランスで大ヒットした同名曲から引用したものだとか。そしてこちらはフランス映画であります。
またストーリーについては、ビクトル・ユゴーの長編詩「哀れな人々」に着想を得て描かれた人間ドラマであるとのこと。

港町・マルセイユの造船工場なのかな。不況にあおりを受け、労働組合として大規模なリストラを敢行。
しかしそのリストラ対象の人選は‘平等に’クジ引きで行なうと。

労組の委員長である主人公のミシェルは そのクジの中に‘平等に’自分の名前も投入。そして自らもリストラ対象者となってしまうわけで。
それは確かに平等で、ある意味 美しき志ではあるんだけど、結果それがこの物語の始まりとなっていきます。

夫・ミシェルと、しっかりと支えあえる妻・マリ=クレール。
職場の同僚でもあった弟夫妻。そして子供たちとかわいい3人の孫らもあたたかく傍らに寄り添い、仕事こそ失ったものの これまでの蓄えで生活しながら、新たな職を探さんとするミシェル。

ところが、そういう雰囲気を一気に変える出来事が発生してしまいます。この辺りの描写は あまりに唐突でビックリだったけど。でも現実に何かが起きるときとは 得てしてそういうもので。
それに言い方は悪いけど、映画的には非常に眠気覚ましなほどの衝撃も。映画とはそういうもんだな(苦笑)

イチ熟年夫婦の心優しき物語で。長く寄り添った二人が、言葉を交わさずとも同じ所にたどり着くと。
それはそれで良いお話だけど、やはり子供たちや弟夫妻の立場で見たら、複雑だよね。被害者として。

果たして今の時代に、この主人公たちのように慈悲深い思いになれるのか。
また この夫婦のごとく、語り合わずして(素直には表し難い)同じ境地になれるのか。

やぁそれができるのも、この監督が主人公たちと同じマルセイユの港町で育った 同世代人だからなんでしょうね。
やっぱ映画とはそういうもんだな(苦笑)

見終わって ほんのりとあたたかみの伝わってくる作品でありました。

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スパイダーマンが事件解決してくれた
posted by 味噌のカツオ at 19:58| Comment(0) | TrackBack(1) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月28日

キツツキと雨

沖田修一
役所広司、小栗 旬、古舘寛治、高良健吾
人里離れた山間の村。そこへやって来たゾンビ映画の撮影隊。木こりの岸克彦は、ひょんなことから撮影スタッフに振り回され、挙げ句にゾンビ役として撮影にも参加することに。
しかしラッシュ試写に映るゾンビ姿の自分に、苦笑する岸だったが…

役所広司と小栗旬の共演ってだけでも話題になりそうなもんだけど、大きく宣伝とかされていないよね。「岳」なんかあんなにバンバンやってたのに。配給会社の広告費の問題か?はたまた地味目な内容のせいなのか?

岐阜県の恵那市など東濃エリアでロケが行なわれてたとのこと。またエンドロールには‘バサラ瑞浪’という名前も見て取れたりして。
名古屋市在住のわたくしからしてみれば‘準・地元作品’となるのだけど、そういう側面で見ても そんなに宣伝されいないような。

正直 チラシや予告編を見た感じでは、惹かれる要素は薄いかな。
確かに「南極料理人」の監督作品という点や 映画サイト上での高めの評価というのは気になりますが。。。

そんなこんなでサラリと劇場に足を運んできたんですが、準・地元のせいか はたまたクチコミのせいなのか、公開から2週間経っていましたが観客はなかなかの入り具合でしたね。
やっぱ注目されてる証拠か!?

前半の部分は見ていてなかなかのイライラ度。とにかく登場人物らの意思の疎通ができていない。
オープニングでの助監督がチェーンソーを止めてもらうための説明。まともに会話をしない若き映画監督。そしてほとんどニートと化している息子。
人と人とのコミュニケーションとは・・・とある意味考えさせられましたわ。

が、やがて じわりじわりとそれぞれの思いが歩み寄っていく展開。
カツさんと監督。カツさんとその息子。そして大物俳優(山崎努)と監督など、何やら意図したわけでもなく、ふいに垣間見せた心のうちが伝わり、思いが変化していく瞬間。そんなのがおかしかったですね。

血糖値の高さゆえ甘いものを止められているカツさんと、ゲン担ぎのために甘いものを口にしない監督。
そんなふたりの前に‘あんみつ’が運ばれてきて・・・というくだりも印象深いシーンになってました。

人と人の思いが良いほうに動き出すと、また協力者も増え、アイデアも湧き、更なる好転につながっていくってなんかわかるなぁ。

役所さんが上手いのは当然として、小栗くんも「岳」みたいに鼻につくキャラでもなくってね。良い感じでしたよ。

前半こそ‘イライラ’っとした場面もありましたが、終わってみれば、決して濃い口ではないものの さっぱりとした後味の残る良作だったですね。
それだけに、やっぱり宣伝がイマイチ行き渡っていないのはもったいないような。。。

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石川啄木鳥と雨
posted by 味噌のカツオ at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月17日

麒麟の翼 劇場版・新参者

土井裕泰
阿部 寛、新垣結衣、溝端淳平、中井貴一
東京・日本橋で男性が殺害される事件が発生。被害者は腹部を刺されたのだが、その現場から8分間も歩き続け、日本橋の翼のある麒麟像の下で力尽きたのであった。
一方 事件の容疑者は、現場から逃亡しようとしたところを車に轢かれて意識不明の重体となっていた。

テレビシリーズとしても放送された‘刑事・加賀恭一郎’「新参者」の劇場版。
毎度のごとく、わたくしはテレビドラマは見ておりませんで。ただ、結構 評判は良かったようには聞いておりますが。

それもそのはず(?)原作はミステリーのベストセラーを連発させている東野圭吾。
ぶっちゃけ、そうであるならハズレは無いなと。ある種の期待を込めての鑑賞。

その結果は、まぁ楽しめたかなと。悪くは無いかなと。。。
そう思う反面、イマイチ乗り切れていない、しっくりきていない印象も。
んー何かが足りないような気がする。逆に何かが多いのか!?

ミステリー作品なので、軽々に詳しい内容は書けませんが、展開というか話の転がり方が大胆なのかな。
それとなくストーリーを紡ぎつつ、突然の方向転換で 思いもよらないトコロに潜んでいた真相を引っ張り出してくるのが東野作品の醍醐味でもあります。
でも前半の展開をゴソっとひっくり返してしまわれると、あとあと冷静に考えて「何を見てきたんだろう?」という気にもなるし。
ちょっと詰め込みすぎなんかな?

もしそうだとするならば、2時間という映画としての尺が短いのかな。
それだけの物語であるのなら、やはりテレビシリーズの連続ドラマぐらいの見せ方のが合ってるのかな。

役者さんたちは、みな良い演技を見せてくれてたんだけど、あえて言うなら加賀恭一郎のキャラが弱いのかもしれない。切れ者なのか何なのか、スマートすぎて感情移入がしにくかった。
阿部寛と溝端淳平との掛け合いで「クスッ」と笑える場面もあるにはあったけど、「TRICK」で もっとハイレベルなバカバカしさと キレキレ具合を演じている阿部寛を知っているだけに、物足りなさは否めないかな。
わたくし個人的な印象よ。

この作品の売り文句に‘泣けるヒューマンミステリー’なんて言葉が躍ってたんだけど、それについては異論は無いです。
ただし、その表現の手法として真新しさや、目を見張る要素には乏しかったかな。

ちょっとキビシ過ぎるか?
でも期待してね、ハードル上げて見ちゃったからね。悪いね(苦笑)

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キキキリンノツバサ
posted by 味噌のカツオ at 21:38| Comment(1) | TrackBack(1) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月23日

ゴジラ FINAL WARS

北村龍平
松岡昌宏 、菊川怜、ドン・フライ、北村一輝
突如 世界各地で一斉に怪獣が出現。地球防衛軍が怪獣たちを迎え撃つが、地球に飛来したX星人によりその事態は終息。
地球人に対し、一見 友好的態度を示すX星人だったが、その真の目的は人類の家畜化であった。それを見破られたX星人はふたたび怪獣たちを投下。
地球防衛軍は怪獣迎撃の為、南極の氷海に眠るゴジラを蘇らせることを決断する。

1954年にゴジラが登場して50年。2004年に製作された、現時点に於けるゴジラ最終作。言うても もぅ7年も新作は作られていないのか。

その最終作のメガホンを取ったのは北村龍平監督。ゴジラシリーズというか怪獣映画は初めてなんですが、様々なアクション映画は撮ってきておられると。
それもあってか怪獣だけでなく、人vs人の決闘やカーアクション、バイクアクションはかなり本格的。
また主要キャストには格闘家のドン・フライ、現プロレスラーの船木誠勝なども登場。本物にしか醸し出すことのできないであろう‘闘い’の雰囲気作りにも繋がっておりますね。
ただしそれらも、言う人に言わせれば「怪獣映画に それはいらんやろ」ってモノかもしらんけど(苦笑)

2時間5分の上映時間の中、本格的に御大・ゴジラ様の登場は1時間が経ってから。
その分 後半は安売り状態で。敵の怪獣もいっぱい出てるので、やたらとゴジラが暴れまくります。
スマートな造型でかなりかっこよくなったガイガン。おなじみラドンにアンギラス。マニア人気の高いヘドラ、エビラ、渋いところでキングシーサーなんてのも。

中にはゴジラシリーズ初登場となるジラというハリウッドな臭いをプンプンさせた怪獣も登場。しかしあっという間の‘秒殺’。
それを受けての「マグロ食ってるようなのはダメだな」というセリフが微笑ましい。

見どころは多いけど、目を引くような‘コレ’といえる名場面が現出しなかったのも事実かな。
まぁオールスター戦的な気持ちで受け止めれば、そういうもんかもしれないが。

わたくし個人的に北村一輝という役者さんが大好きで。どんな作品見ても悪役だったりするんですが、その作品中の北村一輝演じるX星人が実に魅力的。
多少やり過ぎちゃってる雰囲気も怪獣映画の中にあってはハマリ役だと思えました。その点に関しては大満足。

ゴジラ映画というと もうひとつのポイントが様々なカメオ出演。
ここではTVリポーター役の羽鳥慎一アナ。討論会の場面では大槻教授に韮澤潤一郎に松尾貴史らが。格闘技界からは角田信朗、レイ・セフォー、ゲーリー・グッドリッジ。
そして さとう珠緒ちゃんと共に まだ今ほど売れていなかった谷原章介。モスラを操る小美人は長澤まさみと大塚ちひろ。またX星人の中には上地雄輔なんて名前も。
さらに宝田明、水野久美(元祖X星人!)、佐原健二もゴジラ映画のラストを飾るべく御出演されております。

カメオ出演といえば…
コレより後の2007年に製作された「ALWAYS 続・三丁目の夕日」のオープニングには、ゴジラ自身が登場。
スクリーン的にはこっちが最後のご出演ということになりますかねぇ(笑)

とにかく「ゴジラ」というのは日本にとって、いや世界に於いても非常に人気の高いキャラクターではあるので、また地球が危機に瀕したときに 我々の前に現れるかもしれないですね。
今は今で十分に危機的状況だどもね。。。

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「死ね!馬鹿ガメ!」って、ヒドいよ!(苦笑)
posted by 味噌のカツオ at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月14日

哀しき獣 THE YELLOW SEA

ナ・ホンジン
ハ・ジョンウ、キム・ユンソク、チョ・ソンハ
中国延辺朝鮮族自治州でタクシー運転手として働くグナム。しかし母と娘の生活は苦しく、韓国へと出稼ぎに出た妻からの音信も途絶えてしまい、借金がかさんでいく。
そんなとき、グノムはミョンという男から借金を清算する代わりに韓国へ行きある人物を殺すという話を持ちかけられる。

「チェイサー」で注目を集めたナ・ホンジン監督とハ・ジョンウが出演という点でも話題になってる作品。
ネット上では「観ると98%がトラウマに!?『哀しき獣』のバイオレンス描写がすごい!」などという記事も。

素直に期待して見に行ったんですが、率直に言うなら わたくし的には残念な結果に終わりましたね。

ストーリー展開も凝っている。バイオレンスシーンもあった。カーアクションも贅沢なまでに登場。エンディングにはどんでん返し。
事象だけ書けばそうなりますが・・・

確かにストーリーのサスペンス要素は高かった。でも 中途半端に登場人物が増えていきまして、パワーバランスを理解するのがややこしくなりましたね。
それに‘社長’とはどこの誰や?とか、あの女の人は嫁さんか?整形して少し印象変わった?とか。バス会社?銀行?誰がどこに携わってるのかもねぇ。

バイオレンスシーンというのもあるにはありましたが、エグさでいえば もっと猟奇的な描写の方がゾクゾクくるし、主要人物は銃で撃たれても刃物でザックリいかれても、元気なんだよねぇ。
これは説得力弱いなぁ。

まぁカーアクションは見るべきものあったかな。かなりドッカン ドッカン。必然性の感じられないまでに、ただただドッカン ドッカン。
しかも主要人物はクラッシュしても元気なんだよねぇ(苦笑)

そしてどんでん返しというヤツも、事前にわかりやすいまでの前フリあるから。「でしょうねぇ」としか感想が言えなかったもん。

とまぁ さらに申せば、これで上映時間が2時間20分は長いわ。
得るものが薄い割には、時間の持つエネルギーだけは大きかっただよ。

原題は「黄海(こうかい)」というもの。英題では「THE YELLOW SEA」。これは中国大陸と朝鮮半島の間にある海の名称だそうです。
この海の存在、この海を渡ることが このエリアに居住する人々に大きな意味があるんでしょうね。

一方、邦題である「哀しき獣」とは何なんでしょう?
プロローグにて狂犬病の犬がしばらくして帰ってきたけど・・・云々とあったので、てっきりその辺りのエピソードがクロスするかと思いきや、そうでもなかったね。
主人公は元の家までたどり着くことなく倒れちゃったわけで。

でも確かに「黄海」というタイトルでは、ちょっと面白そうに感じないか。
あぁ、実際見たけど面白くはなかったんだけど(汗)

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期待して見て、ちょっと‘コウカイ’
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2011年12月21日

キャリー

ブライアン・デ・パルマ
シシー・スペイセク、ジョン・トラヴォルタ、パイパー・ローリー
冴えない容姿とおどおどした物腰で、学校中の笑い者とされていたキャリー。
そんなキャリーに対する態度を教師にとがめられたスーは反省の意味を込め、ボーイフレンドのトミーにキャリーとのカップルでプロムへ参加することを提案。
晴れてトミーとともにパーティ会場にやってきたキャリーだったが、彼女の存在を疎ましく思っていたクリスらによって、悪質ないたずらに巻き込まれることに。。。

1976年製作の(今どきなかなか聞かれない)‘オカルト映画’の名作「キャリー」です。‘ぱみゅぱみゅ’は付けてはいけません。
こういった作品はもちろんDVDでも鑑賞できますが、やはり映画は大きなスクリーンで見たいもの。そんな期待に応えてくれたのが「午前十時の映画祭」という企画。

今年の初め、そのラインナップの中に「キャリー」というタイトルを見つけたときから待っておりました。約11ヶ月もの間ね(笑)

この作品。わたくしがまだ小学生の頃だったと思いますが、当時のTBS系の「月曜ロードショー」で見た覚えがありまして。
そのクライマックスシーンのインパクトが脳裏に…心に…残っておったわけで。
おそらく30年近くの時を越えて、見直すことができたわけです。

そもそもの製作は今から35年も前の1976年。
現代に於いてそのような作品を見るのは、正直 細部が雑な仕上がりであったり、アラが目立ったりするもんですが、いやいや〜今見てもしっかりと見応えのある作品でしたよ。それはそれで驚き。

ストーリー展開もシンプルで、ちょっとダークな思想やゆがんだ環境も描かれていてね。作品としてノッていきやすかったし…
やはり‘豚の血’というアイテムのエグさ。また それを頭からぶっかけるというエゲツなさがインパクト大。
そして その後に訪れる惨劇。今見ても十分に怖かったですよ。

実は 豚の血をかぶる場面では、キャリーにはジャストミートしていないんよね。
が次のカットでは顔もドレスも真っ赤に染まっておりまして。一見 都合がいいようにも見えるけど、心の情念を通して見てみれば あんな仕打ちされたら、たとえかかっていなくても そのように染まるんだなと。妙な説得力で見てましたね。

シシー・スペイセクの演じたキャリーの容姿がまた良くて。そのイケてなさ加減が丁度いいって印象。
それから若き日のジョン・トラヴォルタが出演しておりまして。「サタデー・ナイト・フィーバー」で売れる前どころか、これが本格的な映画デビュー作だったそうで。そのあたりも興味深かったですよ。

現在ではこういったテーマの作品は少なくなってきてますが、今 リメイクしても面白いような気がしますね。
そのときには、もっとちゃんと血が全身に降り注いでくれることでしょう(爆)
とか言いつつも、これはこれで心に残る名作であるのは間違いないです!!
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2011年11月15日

コンテイジョン

スティーヴン・ソダーバーグ
ローレンス・フィッシュバーン、マット・デイモン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット
香港から米国に帰国した女性が体調を崩し、その2日後に亡くなる。また東京のビジネスマンや香港の青年なども同様に倒れていく。
米国疾病対策センター(CDC)と世界保健機構(WHO)は新型ウイルスが発生したとして、その起源を突き止めようとするが、はるかに早いスピードで人々はパニックに陥ってしまう。

ちなみにコンテイジョン(contagion)とはそのまま「接触伝染・感染」という意味だそうです。

いきなり「あたし2日目なの・・・」といわれて驚きましたが(苦笑)
映画が2日目から始まるにはそれなりの訳があるんですがね。

かつて邦画で「感染列島」というのもありましたが、趣としてはそれに近いか。
とにかく とある人々が世界の各地で‘ゲホゲホッ’と咳き込みまして、やがてフラフラになって絶命してしまうわけですわ。

われわれ‘映画’を見てる立場からすると、どこかから新型のウイルスが伝染していって、世界のあちこちに撒き散らすような形でパニックになっていくという物語はよくわかります。
しかも 結構強い感染力を持っているので、手と手が触れただけでも、近くで咳をされただけでも伝染っちゃうのだな。あぁコワイ。

しかしだねぇ、最初の女性が原因不明の死を遂げた直後に、それが新型ウイルスによるものであると疑いを持ち、他国で同様の症状で亡くなられた人の事例をピックアップし、その人々がみな とあるカジノにいたと調べ上げ、そこの防犯カメラの映像を細かにチェックまでしますかねぇ。ほんの1日〜2日とかそんな短期間で。

その初めから怪しいウイルスとわかっているならともかく、現実問題として世界で数名というレベルで、しかもフラフラしたまま車に轢かれたヤツもおるのに、そこまで動くというのはね。
やぁCDC・米国疾病対策センターもWHO・世界保健機構も素晴らしいと思っただよ。
リアリティには乏しいが…

そのようなリアリティについてはさておき、この物語での大きな要素は、そうした場合に人はどのような行動をとるのか。また、どんなことができるのか。
人と人の駆け引きがあったり、多くの市民が暴動に走ってしまったり。そして親子・家族の絆を再認識する人もおれば、インターネットを介して世論を先導するような輩も出てきます。まさに様々。

ですが、これについても一つひとつのエピソードがイマイチ響いてこなかった。
複雑に登場人物という糸が絡み合っていたり、その舞台が世界規模であったり。決して長くはない上映時間(106分)でそれら表現すると、正直ちょっとゴチャついた感も覚えたし、深みまでは感じ取れないって気がしましたね。
惜しいトコですわ。

この映画のイイところは、有名な役者さんがいっぱい出てること(単純だ)。
中には 割と早い段階で消えていってしまう方もおりますが、それだけでも「映画を見たなぁ」という気にはさせてくれました。

アカデミー賞受賞監督にアカデミー賞を獲得した役者たちの競演。その点はまさに見所と言えましょう。
でも物語からは伝わってこなかったよ。むむむ。。。


さてこの映画のラストシーン。
コウモリさんとブタさんがバナナに触れただけでそういうことになるんですか?
はぁ世の中、そういうもんですか?

いや実はコウモリさんもブタさんも何のことはない濡れ衣で。実はあのシェフのおっさんの体液が発生源だったりして(爆)

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3月10日に生まれたかった…
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2011年11月11日

恋は五・七・五! 全国高校生俳句甲子園大会

荻上直子
関めぐみ、小林きな子、橋爪遼、杉本哲太
統廃合を2年後に控え、なんとか後世に高校の名を残したい校長は、国語教師の高田に‘俳句甲子園’への出場を命ずる。
そこに集められたのは、様々な事情を抱えた5人の生徒。俳句など全く素人の彼らが、愛媛県松山市で行なわれる全国大会に乗り込んでいくのだが…

「かもめ食堂」や「めがね」でおなじみ、荻上監督の2作目となる長編。2004年の作品。
もちろん一作目は「バーバー吉野」です。

俳句をテーマにした青春ムービー・・・であることは否定しませんが、何かそういう趣を感じなかった自分もいる。
物語の展開はもちろん そういうもんなんですが、そんな青春を描きつつも、やはり荻上テイストの包み込みの方を強く感じましたね。

同系統の作品としては、書道パフォーマンスをテーマにした「書道ガールズ」とかもありましたが、アレ見たら「書道パフォーマンスをやってみたい!」という感想にたどり着くけど、コチラはちょっと客観的に見てしまった自分がいて。
登場人物の中に‘アツイ’人間がいなくって。特に主人公はクールで どこか覚めたようなキャラなので、やっぱり そっち側に行かないんでしょう。
スポ根的なニオイの方にはね。

しかしまぁ この手の映画は、どれだけ魅力的な物語であったとしても、そこに登場する‘作品’が観客に響かなかったら全く説得力がなくなっちゃうわけで。
そういう意味ではこの作品にて詠まれる句は、なかなかよろしかったんじゃないでしょうか。

敗者復活を決めた一句もそうだし、クライマックスの対決の中で、徐々に支持が変化していく様はしっかりとエンターテイメントしてたんじゃないかしら。

物語の途中で既に答えを出しちゃってるんだけど、どんな良質な句よりも、楽しく詠んだ方が伝わるんだと。結局とのところそういうものんじゃないでしょうか。
この映画らしい さわやかな印象は受け止められますでしょう。

さて、荻上テイストという意味では、主人公たちの対戦する高校の俳句部の生徒が みな‘めがね’をかけておりましたね。
まさに「めがね」に通じる演出だと思います。
そして、ウクレレで奏でられるキャンディーズの「やさしい悪魔」に乗せて踊るシーンがあります。こういった趣向も荻上監督らしいなと感じる一因。
その「めがね」でも妙な朝の体操とかやってたもんね。

今回メイキング映像見て思ったのは、その妙な踊りとか体操とか、映画として見せるためのモノではなく、現場での空気とか一体感を保たせるためにやってるんじゃないかってこと。
それこそが、荻上テイストの秘密のような気がします。

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松山でも甲子園とはこれいかに!?
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2011年11月09日

カウボーイ&エイリアン

ジョン・ファヴロー
ダニエル・クレイグ、オリビア・ワイルド、ハリソン・フォード
1873年、アリゾナの荒野で一人の男が目を覚ます。左腕に奇妙な腕輪をはめられているが、記憶を失ってしまっているその男。西部の町へとたどり着くが、町を牛耳るダラーハイドという男とトラブルに。しかしその町の夜空に突如として未知の敵が襲来。
果たして この男は何者なのか?そして未知の敵の正体は?

この作品の予告編を最初に見たときの衝撃。今でも思い起こしますね。
エイリアンと人間が戦うという設定は、これまでにも様々なシチュエーションで表現されてきました。
しかし、西部劇の中に異星人が登場するっちゅうのはね。かなり意表を突かれました。「この手があったか!」とね(笑)

確かにエイリアンにとっちゃ地球上の歴史なんて関係ないもんね。現代に限らず、どんなTPOにエイリアンがおっても不思議ではないわけで。
しかもこの映画のスゴいトコロは、そんなアイデアだけで引っ張るようなアレでもなく、ダニエル・クレイグにハリソン・フォードが出演。そして製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグが名を連ねているんだから、期待するなという方がおかしなハナシっしょ!

そんなこんなで、淡い期待を心に秘めつつ、遅ればせながら見てまいりました。
が、結果的には・・・残念な結果に終わっちゃった〜ですかね。失礼ながら(苦笑)

そうであったら、そんなに売れてない役者さんを使って、思いっきりB級路線ねらいの線でも良かったんじゃないの?と。
過度な期待をしちゃったことがそもそもの間違いなんでしょかね。

ホントに設定がそういう場であるというだけであって、人々が力を合わせてエイリアンをやっつけちゃろうって展開は、数多のエイリアンムービーと大差なし。
それどころか、戦うための武器のしょぼさや 犠牲者が最小限におさまっちゃうなんてのは どうにもしっくりこないわけで。
まさに‘エイリアン’モノのステレオタイプ的な。

とにかく ある程度の予想通り、ああなって こうなって 最終的にはそうなっていっちゃうので、ホントに意外性を伴うのは設定だけですな。
ついでに言えば、ラストシーンも いかにも西部劇的な後ろ姿だったりしてね(笑)

かつては「007」ジェームズ・ボンドも演じたダニエル・クレイグ。
うちら世代にはボンドと聞くとショーン・コネリーかロジャー・ムーアの名前が浮かんできちゃうんで、イマイチそのイメージがないんだけど。
ただ、ここに登場するダニエル・クレイグのスタイルとか衣装とか雰囲気はメチャメチャかっこよかったですね。
その点だけは満足しましたよ。

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カマボーイ&エイリアン
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2011年10月19日

ゴーストライター

ロマン・ポランスキー
ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、キム・キャトラル、オリヴィア・ウィリアムズ
元英国首相・アダムの自叙伝執筆を、依頼されたゴーストライター。前任者が事故死をして、急遽選ばれたこともあり、気乗りしないままアダムの滞在するアメリカ東部の島へと向かう。
が 彼がインタビューを始めた矢先、アダムが過激派のテロ容疑者に対する拷問へ関与していたとの報道が駆け巡る。

「探偵はBARにいる」の主人公はあくまで‘探偵’であって、名前はなかったっけ。
この物語も同様に 主人公は名前の出てこない‘ゴーストライター’。自己紹介したときも「わたしはゴーストです」と、そう名乗りました。

この男が元首相のゴーストであり、前任者のゴーストライターの影を引きずり、そして ゆくゆくは己がゴーストになっていく・・・ということで。

さて ある意味情けない話でもあるのですが、わたくし このストーリーの本筋となる部分をよく理解できていなかった。
ゴーストがラング元首相と接触を関わり始めた後、テレビではラングがイスラム過激派のテロ容疑者に対する不当な拷問に加担した疑いがあるというニュースが流れます。
それを受け一部のデモ隊が抗議活動を開始。周辺がざわつき始めます。

結局のところ その点が大きな問題だったわけなんですが、個人的にはその行動がそんな物議を醸すものとは思っていなくて。
たった数人のテロ容疑者を・・・というものはありえる話と感じてたし、デモ隊の活動も小さな動きにしか見えなかったし。
もっと大量の虐殺に関わっていたとか‘極悪人’といえるようなアレならアレだったんだけど(苦笑)

そのラングが なぜ、どのようにして首相にまで登りつめたのかと。さらに前任のゴーストライターの死も絡めつつ、探偵ではなく いちゴーストが迫っていきます。
舞台はアメリカなのですが、全体的にグレイで重たさを感じさせる空は英国っぽくも感じられて。
その映像と謎解きの妙味。味わい深い演出でありました。

その謎解きの核心部分は、正直 少々古典的というべきか、ありがちっぽくもあったけど。
その後のなんとも皮肉なラストシーン。やっぱりちょっとダークだけど 決して嫌いじゃないですよ。

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‘ゴールドライタン’ってのもあったね
posted by 味噌のカツオ at 23:22| Comment(0) | TrackBack(1) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月18日

ココニイルコト

長澤雅彦
真中瞳、堺 雅人、中村育二、小市慢太郎
コピーライターの相葉志乃は、社内不倫の終わりと共に大阪支社への転属となる。しかし配属されたのは営業部。
諦めの境地で、全てが慣れない環境に身を置く志乃だったが、たまたま同僚となった前野との出会いにより、少しづつ彼女の心境に変化が訪れる。

今から10年前に公開されたものですが、わたくしの思い入れの深い作品です。
当時「電波少年」や「ニュースステーション」のスポーツコーナーなどで活躍していた真中瞳(現・東風万智子)の主演作。
この作品で様々な‘女優賞’なども獲得されたそうですが、その後はコレといった作品を残してはおりません。

ルックスも悪いわけじゃないし、それなりの演技もできるのに。
正直言って、もっと売れても良い女優さんだと思うんだけどなぁ。不思議なもんで。。。

さて 10年前にこの作品を見て、とても印象に残ったのが共演の男性。
それまで見たことも無かった役者さんで、やわらかな笑顔がとても印象的で。
その後 徐々に露出も増えてきて、今や確固たる地位を築いたと言えるその人こそ、和製・微笑みの貴公子こと堺雅人さん。
このころは まだテレビや映画はそんなに出ていなかったんよね。

舞台が大阪ということもあり、もちろん物語の中で関西弁も聞かれるんですが、その堺雅人演じる前野の決め台詞が、10年間ずーっと心に残っておりました。
『ま、ええんとちゃいますか』ってね。

目の前にあるちょっとした悩みや迷いにも、軽く微笑みながら「ま、ええんとちゃいますか」と言われたら、それだけで何だか超えられそうな気がしてね。

そしてタイトルであるカタカナ表記の「ココニイルコト」という言葉。
その言葉の意味は人それぞれの立場や状況で 様々な捉え方ができるかもしれませんが、わたくしの中では「ま、ええんとちゃいますか」と同等に、とても大切なものとして胸に刻まれています。

基本、映画としてのトーンは常に押さえ気味でして。その中に登場するプラネタリウム、星空、白い雪などなど、そんなアイテムと共に優しさが沁みてくるような物語でして。
後半には ちょっと悲しい展開も待っていますが、必要以上にドラマチックに仕立て上げていない点も好感。

たぶん 今実際に何かしらの悩みを抱えてるアナタがこの作品をみたら、ほんの少しだけかもしれないけど、前に進めそうな・・・そんな効果のある一本なんじゃないかな。

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あなた50万円?わたしは100万円!
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2011年10月11日

監督失格

平野勝之
林由美香、小栗冨美代、カンパニー松尾

過去、これほどまでに 見た人の感覚を揺さぶる作品は存在しなかったでしょう。
そのうえで、見た人 各々で大きく評価は分かれているようです。

わたくし的には ホントに見てよかった作品でした。であるにもかかわらず、決して他人にオススメはしません。 それぐらい素晴らしくもヘヴィーな作品であります。
もし見るのであれば、それなりの覚悟とか心構えは必要かも。

ジャンルとしては‘ドキュメンタリー’という事にはなりましょうが、その内容は とことんプライベートなフィルムです。
「そんなものを映画館にかけるな」との感想も目にしましたが、そういう表現ができるのも 映画というジャンルの幅の広さだと思います。テレビではきっと無理でしょうね。コレ流すのは。

前半はかつて公開された平野監督の「由美香」のダイジェスト版といったところでしょうか。
それをおさらいすることで、監督と由美香さんの関係性を あらためて知ることができますし、‘監督失格’というキーワードの意味もそこに登場します。

しばしの時を経て再会した二人。もう一度 監督が由美香さんを被写体とすることになったわけですが・・・
とにかく そこからの映像の生々しさといったら、実に見る側にも大きなエネルギーを必要とすることでしょう。

世界では多くの人が亡くなるような そんな事件や事故もあるわけなんですが、たった一人の命でもここまで揺さぶられることになるんですよね。
もちろんシチュエーションや関係性に寄るところも大きいけれど。

その後の沈黙の5年間。そしてまた真正面から向き合うこととなった今。
ヒリヒリとした生の感情が、間違いなく見た人の感覚を大きく揺さぶることでしょう。


わたくし事ではありますが・・・
この作品を見る4日前「あんにょん由美香」を見て、林由美香さんの人物像を多少なりとも自分の中に取り込みました。
この作品を見る2日前に映画「エンディングノート」を見て、幸せな死の道筋を考えさせられました。
そしてこの「監督失格」目の当たりにしたわけでしてね。。。

「エンディングノート」も「監督失格」も、たったひとりの大切な人の死に向き合う映像なのではありますが、そのスタンスはあまりにも両極端過ぎで。
たまたま短期間に そういう作品を立て続けに見てしまいまして、その環境だとか感情のギャップの激しさに、正直言って 我ながら戸惑いましたよ。

先に書いた通り、こんな私的な映像と、見せられたところで決して良い気分にはなりえない その瞬間の映像を‘映画’として世に出すことには賛否 意見の分かれるところだと思います。
それもあって、見てよかったけどオススメはできないということになってくるわけで。

それでも この映像の中には 確かに人が生きた証があって、それを悲しむ人のリアルな感情があって。そしてしっかりと愛が存在しているという事実に於いて、わたくしはこの作品を支持します。
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2011年09月16日

恋の罪

園 子温
水野美紀、神楽坂恵、冨樫真、津田寛治
激しい雨の夜、渋谷区円山町の木造アパートで女性の変死体が発見された。
事件の謎を追う女刑事・和子は、失踪した大学のエリート教授・美津子、人気小説家の妻であるいずみの存在に辿り着く。
この事件の裏にある真実とは。そして3人の女の行き着く果ては。。。

園子温監督の最新作。前作に引き続き、今回も実際にあった事件から着想を得て製作したオリジナルストーリー。
確かに世の中には理解のし難い殺人事件というのが存在します。またその事件の裏には、一般人には想像も及ばないような事実があったりもするわけで。
そういう意味では、このような作風も逆にリアリティーがあると言えなくないかも。

上映時間は2時間半弱。でもまったく退屈することなく、ぐいぐいと作品に集中して見ることができました。
登場人物の持つエキセントリックさがパワーとなってスクリーンから放出されていたからなのか。あるいは ただ単にエロい場面が多かったからかもしれませんが(苦笑)
とにかく見応えがあったのは確か。

物語の軸となるのは それぞれにタイプの異なる3人の女。
とはいえ普通の人にはなかなか共感は得られないキャラクターだとは思う。でも広い世の中で、実際にこんな感情やモヤモヤを抱えてる女性、抑圧されて(自ら抑えて)どうしていいのかわからない女性もいるはずです。
この3人がどこかでシンパシーを感じているようにも思えるし、実は全然バラバラな存在であることもよくわかります。

たとえば全く生き方の違う3人の女性が、各々の立場や悩みを語り合ったとして「そうそう、わかるわかる」などと言いつつも 実際はそんなことは自分にはできないことをわかってたり。あるいは言葉とは裏腹に何もわかっていなかったり。

男からすると、女性の良さとわかりにくさが表現されてたようでもあって。
女性から見たら、そのわかりにくさが手に取るようにわかるのかもしれないけど。

演じた3人の女優たちも、その監督の世界観をしっかりと表現しております。全くもって非の打ち所ナシで。その点も大きな見どころの一つですね。
美津子(冨樫真)のイカレっぷり、いずみ(神楽坂恵)の変化。そして水野美紀さんの冒頭のシーンは、あぁもっとジックリ見たかったと。。。

そんな水野美紀さんの場面では常に雨が降っていたり(傘を持っていたり)、後半映像の裏で鼓動のように鳴り続けるドラム(太鼓?)の音なども、密かに作品の空気感を印象的に構成しております。

タイトルは「恋の罪」ですが、そこには「女と男」「愛と金」「言葉と肉体」。
いろんなテーマが内包されているので、様々な見方もできると思うけど・・・やはり この世界観を受け止められる人か映画好きな人じゃないとしんどいのかな。
ライトなユーザーには薦められないけど、今を生きあぐねている女性は必見でしょう。

巨乳好きも貧乳派も一応見てほしいかな。

Koizumi.jpg
試食には愛も金もないんだ
posted by 味噌のカツオ at 21:40| Comment(1) | TrackBack(0) | カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする