2015年06月09日

ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜

テイト・テイラー
チャドウィック・ボーズマン、ネルサン・エリス、ダン・エイクロイド
貧しい家庭に生まれたジェームス・ブラウンは、両親から捨てられ、後に窃盗の罪により刑務所に入れられてしまう。しかしそこに慰問でやって来たゴスペルシンガーのバードと出会い、大きくその運命が変わっていく。
バンドを組み、レコード会社に認められ、デビューを果たし、JBの名は次第に世間に広まっていく。

「ミスター・ダイナマイト」「ファンキー・プレジデント」「キング・オブ・ソウル」様々な異名で称される“JB”ことジェームス・ブラウンを描いた作品。
それらしい邦題のタイトルがついておりますが、映画の原題は「Get On Up」というもの。日本語でいうと「ゲロンパッ!」ですね(笑)

実際のJBは 2006年12月25日に73歳でその生涯を終えておるのですが、この映画は2時間19分しかございませんで。
その人生のターニングポイントをピックアップしております。

ミュージシャンの半生を描いた作品、近年ではザ・フォー・シーズンズを題材にした「ジャージー・ボーイズ」が記憶に新しいところ。
あちらは さすがにイーストウッド監督の手腕と言うべきか、映画というエンターテイメントとして、じつに優れておりました。

それと比較するのが良いのかどうかはアレですが、正直言ってコチラは弱いという印象はあるかな。
見せ方の違いもあるのかな。ストーリーに原因もあるのかな。

貧しい家庭に生まれ、出会い、別れ、邂逅、紆余曲折を経ながら その地位を確立していくわけなんですが。
スーツ泥棒、レコード会社の意向とはいえ あっさりとバンドと別れてしまう。音楽性がゆえにバンドと衝突してしまう。妻に暴力をふるう。

挙句にドラッグキメてライフルぶっ放して、警察とカーチェイスですわ。
こんなエピソードを羅列して、美談にまとめ上げるのは どうやっても不可能(苦笑)

でも、でも、彼がどんなにろくでなしでも、難しいヤツだったとしても、“才能”であり“作品”が それらをはるかに上回っているんですよね。
だから僕らはJBを求めずにはいられない。JBの前ではひれ伏すしかないんだろうな。

という事に気付きつつ。
映画のラストでは それまでの絶対正義だったJBの弱さ、優しさ、そして愛が歌われていて。ウルウルきてしまいます。
ムチャクチャなヤツだけど、本当は優しいんだ〜と見直してしまうって、ほぼほぼDVの仕組みといっしょだけどね(笑)

さて、リアルなJBがイカしてるのは百も承知だけど、この映画はこの映画で ライブシーンがメチャクチャカッコいい。
伝説のパリのステージの“再現フィルム”はマジで泣けてきました。
いやぁ泣けるほどカッコいいなんてことがあるんだねぇ。

とにかくあの「Sex Machine」は必見。いや、見るだけじゃなくって踊りだしたくなること間違いなしです。

そして、それほどまでにJBを演じたチャドウィック・ボーズマンも素晴らしい。
ソング&ダンスのクオリティはもちろん、しゃべりも本物そっくりで。

JBの生き様は決して人として褒められたもんじゃないでしょうし、映画としての見せ方も及ばないところはあります。
それでも「いいもん見たわ」と思わせてくれたのは、チャドウィック・ボーズマンの演技とライブシーンが大きいですわね。

ジェームス・ブラウンが死んでも、その魂(ソウル)はファンの間にずっと残っております。
そしてこの映画からも ジェームス・ブラウンの魂(ソウル)が、確かに感じられました。

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すべてがDrums!!
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2015年06月08日

新宿スワン

園 子温
綾野 剛、山田孝之、沢尻エリカ、
人生のどん底をゆく白鳥龍彦は、新宿・歌舞伎町で出会った真虎の誘いでスカウトの世界に足を踏み入れる。
「俺のスカウトした女の子は、必ず幸せだと言わせます!」との思いを胸に、スカウトマンとして のし上がっていく龍彦だったが、ライバル会社との生き残りを賭けた争いに巻き込まれていく。

原作は人気のコミック。ゴチャゴチャっとした(?)繁華街・新宿を舞台に、風俗店やキャバクラなどに女の子を斡旋するスカウトの世界を描いた物語。
決してそんなに興味のある世界でもないし、特に惹かれる要素は正直薄いんだけど。そこは園子温監督の作品ということで見てまいりました。

そういう言い方をしてしまうなら前作の「TOKYO TRIBE」も“引き”という意味では微妙な印象ではあったんだけど。
ところが「TOKYO〜」も この作品も、いざ見始めると、どんどん引き込まれて見入ってしまいましたわ。

そもそも わたくし自身が軟弱なヤツなもので。いわゆる“ムダにアツくて男クサい”のって、少なからず嫌悪感を覚えちゃうのよね(苦笑)
でも結果的に思うのは、気付かないうちに登場人物に感情移入させたり、映画の世界観に引き込んでいく術に長けているんでしょうね。園子温監督の手法は。

いきなりケンカのシーンで始まるわけなんですが、そこで血まみれになって暴れるモジャモジャ金髪の若者を、一目で救い上げる真虎。
クールで優しいんだけど、たぶんヤバいんだろうな…という部分まで感じさせる伊勢谷友介が堪らなくカッコいい。
設定こそスカウトの世界ですが“理想の上司”とか書かれてて、うなずいちゃいましたね。

そして主人公・龍彦役の綾野剛も素晴らしい。
申し訳ないが彼の印象って、物静かな二枚目が多くて。言い方悪いけど、つまらない役回りが多かったんですよね。
それが今回は、こんなに感情の表現できたの?こんな笑顔するの?こんなに軽いの?こんなに目が開くの?(笑)
これまでにない、役者としての懐の広さが見られて。そしてそれがハマってたので、正直驚きましたわ。

それ以外にもギラギラした山田孝之。意外にも守りたくなってしまう沢尻エリカ。あまりにもイメージ通りな山田優などなど。
アクの強い役者がわんさか揃いながらも、全てのピースがキッチリと納まっていて。こういうのってなかなかできないことですから。

ストーリーも全く小難しいことなく。それでいて チョイチョイ映画らしい やり過ぎチックな表現がインサートされている感じかな。
ただ園子温監督にしてはSEXシーンも下品な表現もなく。そういうテイストを期待してるファンにとっては幾分か物足りないかもだけど。
だからといって園監督は それしか撮れない人というわけでもないのでね。

それでいうなら これまでにない綾野剛を引き出したのは園監督の手腕ではないかと思うし、新宿歌舞伎町という猥雑な舞台をキッチリと納めて見せたのも ある意味でらしさではないかな。
とはいうものの。全編が新宿で撮影ってわけではなく。結構 浜松でもロケが行われてたんだとか。
もはや浜松はリトル新宿といっても過言ではない!?

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テーマがボーイスカウトだったら…
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2015年05月16日

さよなら歌舞伎町

廣木隆一
染谷将太、前田敦子、松重 豊、南 果歩
ミュージシャンを目指す沙耶と同棲中の徹。周囲には一流ホテルのホテルマンだと偽りつつ、店長を勤める歌舞伎町のラブホテルへ出勤。さまざまな男女の人生が交錯するホテルでの一日が始まる。

『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』に続き、廣木隆一監督と脚本家・荒井晴彦が3度目のタッグとの売り文句。
この上記の2作品、わたくしの好きのものでもありますので期待して見てきました。

本当は一流ホテルのホテルマンに憧れながらそれが叶わず。今は新宿歌舞伎町のラブホの店長という主人公。
そして そのラブホで交差する5組の男女を中心とした群像劇。

ひとつの大きな物語ではなく、様々なエピソードが入り組んでは幅が広がる。それがこの手の作品のメリットでもありますわな。
でもなぁ…

2時間強の上映時間でチマチマしたエピソード入れても、チマチマの集合体にしかなりませんので。
となると それぞれが思いきった話にする必要がでてくるのかな。
その結果、ご都合主義の束になっちゃったみたい。

主人公のホテルに現れるAV嬢となった妹。そして彼女。
実家での不遇話に改心してしまうスカウトマン。
時効まであと一日という中年男女。
時効間際の犯人を検挙せんとする刑事のカップル。
そもそもあの若さで店長って?オーナーさん、経営者は別でおるんやろ?

こういう設定の中にいろいろ詰め込むのは当然だけど、人を描いたり、ハートに訴えかけるような作風に ここまでを入れ込もうとすると 素直に見られないかな。
これがコメディと謳ってあれば もうちょっと受け止められたかもだけど。

唯一、互いに事情を秘めつつ付き合う韓国人カップルのエピソードだけはグッときましたが。
長回しのお風呂のシーンで、じっくりとした見せ場がありましたからね。
この2人の話だけ独立させて、練り直して一本作った方が〜みたいな。

ただ これも良い話ではあるんだけど、なにぶん日本では無名な役者さんですので。映画として群像劇の中の軸にはなりにくい。
それを言うなら若きホテルの店長と その彼女の物語が縦スジとして存在してほしいところですが、アイドル女優が相手役では限界があるわな。

映画としてダメダメとまでは言いませんが、正直 乗り切れない感は否めなかったです。
あと エンドロール後のワンシーンも、本来は犯罪者なんですから。安易に「ヤッター!!」ってのも、ちょっと抵抗あったなぁ。

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殺されちゃう立ちんぼ…悲しすぎる
posted by 味噌のカツオ at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月15日

ザ・トライブ

ミロスラヴ・スラボシュピツキー
グレゴリー・フェセンコ、ヤナ・ノヴィコァヴァ、ロザ・バビィ
セルゲイは聾唖者専門の寄宿学校に入学する。そこでは犯罪や売春などを行う“族(トライブ)”が暗躍していた。セルゲイはそこに手を貸すうち、組織での地位を確立していく。
しかしリーダーの愛人であるアナに執着し、ルールを破ることで組織からリンチにあってしまう。

「この映画の言語は手話である。字幕も吹き替えも存在しない。」という説明で始まるこの作品。
舞台はウクライナ。生徒も教師も全てが聾唖者という寄宿学校。

ガヤで人の声が聞こえる部分はありますが、主たる登場人物は みな手話なり何なりでコミュニケーションを取っています。

日本と外国で言語が違うように、国によって手話もさまざまと聞いたことがあります。
僕ら健常者が この映画を見ても“台詞”を読み取ることはできないのですが、日本で手話のわかる方がこの作品を見て…どうなんでしょうなぁ。
それでなくてもこの映画での手話、ものスゴ動きが早かったり、感情的にひっぱたいたりとかそんな動きも入ってるので、どこまで分かり合えてるものなのか?
いろいろ気にはなりましたが。

ここに映し出される状況、行動、展開から 何が起きているのかを理解しなくてはなりません。
画面に集中していれば おおよそは理解できますが、もちろん100%というわけにはいかないので。
事前にあらすじを読んでおいてもいいのかもしれませんね。

どうしても手話オンリーという部分に引っ張られてしまいがちなんだけど。
普通にセリフがあったらどうなんだろうかと。ウクライナのセリフはあるけれど字幕はナシだったらどうなんだろうとか、余計なことイメージしちゃいましたが。
さすがにそれだと集中できないかな。

さて セリフの無い中でストーリー展開や感情を伝えるという点では、わたくしはチャップリンの作品を思い出してしまったのですが。
あれはパントマイムであり、コメディであり〜という見方をされちゃうのかな。

でも実際には起こりそうにない出来事を 面白おかしく表現するのがコメディ映画だとするならば。この映画も犯罪に暴力にSEXと、それとなく大胆な表現で構成されているとは思います。
幾分か歪んだ考えですが、聾唖者の方が犯罪や暴力で訴えかけるというイメージが皆無なもので。そのギャップも手伝ってか、作品のインパクトは大きいですよね。

とにかく終盤は 畳みかけるように痛い映像があるので、苦手な方は要注意。
あとは中絶のシーンがまた たまらなかったなぁ。思わず子宮がうずいちゃいました。
あ、ワシ男やった。

映画の性質上、様々な状況・情報を伝え切るためなのか、ワンシーン、ワンカットが思いのほか長め。
結果2時間12分と上映時間もやや長め。

それだけの尺の分を、文字、会話、イントネーションに頼らずに理解する必要も出てきちゃうので、コンディションの良いときに鑑賞することをお勧めします。

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インチキ手話のおっさん、元気にしてるかしらん?
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2015年05月14日

ジェサベル

ケヴィン・グルタート
サラ・スヌーク、マーク・ウェバー、デイヴィッド・アンドリュース
事故により、愛する夫と身ごもっていた子供を亡くなってしまったジェサベル。自身も車いす生活となり、父が住む旧家に戻ることに。
そこで見つけたビデオテープには、幼い頃に亡くした母の姿が収められていた。が それ以降、ジェサベルは不可解な現象に襲われ始める。

『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどの製作に携ってきたプロデューサーに『ソウ』シリーズなどの監督とのこと。
おどろおどろしい雰囲気や「ウギャー!!」という演出もあり、ホラーという前提で紹介はされております。が ストーリーを追う分には、サスペンスチックなドキドキ感も楽しめる作品でしたね。

冒頭の大事故により、夫とお腹の中の胎児を失った主人公。自身は一命こそ取り留めたものの、車イス生活を余儀なくされるという設定。これにより 主人公の動きを制限するという作りは上手いもんですね(苦笑)

以下、ネタバレチックになりますが、生まれたときにすぐ亡くなったとされる自身の墓を発見。そして頭蓋骨の発見から「双子か?」と思わせつつ、速攻で否定されるのはチョビット気持ちよかった。そんなに安易じゃないわな〜ってね。

その真相となるラストの展開は、ホウホウそうきましたかと見ておりました。
あの家に、あの場所に残っていた呪いは そんな理由があったんやな〜と。
よくよく思い出してみれば、主人公の夫と子供が犠牲になるという導入部は まさにそういうことだったんですな。

最後に主人公が車イスに縛られたまま、湖に落下。もうだめだ〜というところで もうひとりの“わたし”が助けに来るという意外な展開。
かと思えばさにあらず。どうやら彼女の肉体を奪い取ったということですか。

だとすると、ただ養子的に連れてこられただけなのに こんなことに巻き込まれてしまった彼女が不憫でならんのだが。。。

そんな成仏できなかった怨念に肉体を奪われてしまうジェサベル。日本でいうトコロの“ぽっちゃり女子系”で。
決して美人ではないけれど、無駄に胸元の露出が大きかったことも相まって、見ていてなんか気になる彼女でしたね。

ラストのワンカットで、あの母の形見のブレスレット(時計だっけ?)着けてたのかな。見逃しちゃったんだけど 今さらながら気になってますわ(^-^;)
posted by 味噌のカツオ at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月28日

セッション

デイミアン・チャゼル
マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ
名門音楽学校に入学したニーマンはフレッチャーのバンドにスカウトされる。しかし彼のレッスンは罵声を浴びせ、時に暴力をも辞さないものだった。
そんなフレッチャーに食らい付かんと自らを追い込むニーマン。しかしある事故をきっかけにニーマンは最悪の状況へ突き落されてしまう。

今年のアカデミー賞にてJ・K・シモンズの助演男優賞を含む3部門で受賞。サンダンス映画祭でもグランプリ&観客賞を受賞と、様々な評価を得た作品。
しかし日本では、ジャズミュージシャンの菊地成孔氏がボロクソに批判したことが大きな話題になっちゃいまして。

そんな外野の声(?)も影響してか、劇場はなかなかの盛況ぶり。
わたくしも それなりの期待をしつつ、見てきました。

菊地氏をはじめとしたジャズミュージシャン、関係者からは「ジャズとはこんなものじゃない」という感じの批判・否定意見で総スカンを食らってるような風潮もあるようですな。
わたくし いちプロレスファンとして(プロレスラーじゃないよ)思うのは、ダーレン・アロノフスキーの「レスラー」を見て プロレスの何たるかを語られても複雑だなと。
あれはあれでイイ映画ですし、あのようなバックステージもあるでしょうが、それが100%真実と思われてもなぁ〜という思いはあります。
だからといって断罪するのもまた違うんじゃないかと。

わたくしは音楽のこと、ジャズのことはそんなわかりませんが、業界人の立場からすると複雑なのは心中察しますと。
それはそれとして、この「セッション」は見応えのある映画に仕上がっていることは事実です。

同時期に公開になってる「バードマン」なんかは基本が会話劇なもので、ストーリーなり字幕を追うので必死なんだけど。
こちらは音楽がテーマの作品でもあるので、その映像でのわかりやすさも大きいし。また捻った会話もそれほどなく、ストーリー展開もストレート。

軸となる登場人物も、ジャズドラマーを目指すニーマンと時に狂気をまとった教師フレッチャーの二人だけ。
それも含めて わかりやすい映画だったと思います。

舞台は音楽学校。鬼教師フレッチャーのバンドに招かれるも、徹底的なスパルタレッスンを受けるニーマン。
しかもプレイだけでなく、個人を罵倒するかのような罵詈雑言も含めてこき下ろされます。

そんな中でもフレッチャーを信じて、己を信じて。なんなら恋人も捨ててまで突き進むニーマン。
しかしそんな彼がアクシデントに見舞われて…と。

何を考えているのか見えないフレッチャーのキャラクター。
暗い密室のレッスンルーム。また時に血しぶきまで飛んだりして。
雰囲気だけならホラーかスリラーに見えなくもないという(苦笑)

作品全般を通じて、終始緊張感が張り詰めておりまして。
これはなかなか感じられない映画体験かも。

そしてラストにかまされる演奏のバトルは確かに圧巻。
テンポだけがジャズの全てではないのはわかりますが、クライマックスシーンであんなプレイを見せられたら引きつけられますよ。
また 知らない曲で演奏できない〜バンドとのグルーヴ〜そして…という持っていき方、盛り上げていき方も上手い具合になってますし。

映画としてダメダメだったらしょうがないけど、しっかりと体温の上がるような作品になってますから。
本職のジャズミュージシャンが酷評をしたとしても、映画ファンから一定の支持は揺るがないんじゃないですかね。

原題は「WHIPLASH」。作中で演奏される曲名でもあり、ペシペシとしなる鞭の先端の意味であります。
一方の邦題は「セッション」。いわゆる即興演奏の“ジャム・セッション”のことでしょう。
ちょっと意にそぐわない感もあるけれど、日本ではそっちのがわかりやすのかもね。

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初デートがあんなピザ屋とは
posted by 味噌のカツオ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月20日

ソロモンの偽証 後篇・裁判

成島 出
藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、尾野真千子
転落死した同級生の死の謎を巡り、隠された真実を明らかにするため学校内裁判を提案した藤野涼子。被告人とされる大出俊次、浅井松子の死後 沈黙を続ける三宅樹理も出廷することで、学校内裁判が開廷。
果たして学校内裁判の果てに彼女たちが辿り着く真相とは…

前篇のあと、2週間を挟んで後篇を見てまいりました。
その前篇があまりにも前篇すぎて(苦笑) 前篇&後篇の両方を見ないことには成立しません。
どちらかだけしか見ない、見てない人にとっては、中途半端になってしまう作りであります。

前篇の際にも書きましたが、どうやら試写で後篇を見た人の感想が芳しくなく。それなりの覚悟が必要かと思いつつでしたが…後篇を見た率直な感想は、それほど悪くはないなと。
逆に“大感動”とか“心震えました”というまでは行かないんだけど。

前作での事件のあらましを経たうえで、中学校の体育館で行われる裁判の場面へ。
数多の登場人物による それぞれの立場での“真相”が語られていきます。

ただ大人たちについては ほぼほぼ前フリみたい。女刑事、前校長、担任ら大半のオトナが前半で退場。
松重豊演じるバックアップしてくれる先生。事件を追っていたテレビ記者に至っては出番ナシ。この辺りは思いのほかタンパク。

そして後半。本当の意味での確信について語られる生徒たちのパート。このクライマックスである部分を、大半がオーデションで選ばれた演技経験の乏しい子たちが占めるという。それはそれでスゴイことだなと。

タイトルにも記されている通り“偽証”というのもあるにはありますが、それはそれとして。

この事件の“真相”については…中2病?違うなぁ。ノイローゼ?でもないか。ただ病んでる?
でも何ゆえ 亡くなった彼があのような思考の子になってしまったのか。多少なりともそれに触れないことには「なんだコイツは?」になってしまうよね。
原作にはそれについてはもちろん、もっと様々な件についての背景にも描写があるそうですが。

映画には法廷モノってのはありますよ。そこはドラマが生まれるというよりも、基本は ただ真相が語られる場で。
その分、我々が思ってもみなかったトリックや逆転で、観客は「やられた〜」「その手があったか〜」というのを ある意味期待してみるんだけれども。
それに比べると、今作は思い切りが弱いのか、一般人には共感を得にくい設定だったかな。
感情についてはわからんでもないけれど、共感して涙するまでには至らなかったですね。

前篇でも書きましたが、藤野涼子役の藤野涼子さんの表情、真っ直ぐなまなざしはとても印象に残ってますね。
もし今後も女優としてやっていくのだとすれば、このクラス委員のイメージが付き過ぎないことを祈るのみ。
それでなくても この役名を芸名にしちゃってますしね。

あとはドランクドラゴンの塚地さんも、良い意味で味あるなぁと思いましたです。「この子ら頑張ってるんだから!」というあの台詞だけでちょっと胸アツ。
そして母親役の永作博美さん。前篇同様にウザいなぁ〜という感覚の端っこに、役作りの上手さも伝わってきました。

当然ですが前篇・後篇を通じて映画は重苦しい空気のまま。
ひと通りの真相が明かされても、決してハッピーエンドという雰囲気にはなりません。

それは半ば覚悟してたことだけど。
だからといってストレートに「見て良かった」とも思えないし「考えさせられる」とまでもいかない。落としどころがピリッとしない感じは残るかな。

このいくばくかのもやもや感は宮部みゆき流なのか、原作との差異であるのか。
それを明らかにするために原作を…文庫本で6冊、ハードカバーでも3冊ですか!?

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黒木華は“犯人”じゃなくて“担任”でした
posted by 味噌のカツオ at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月15日

さいはてにて やさしい香りと待ちながら

チアン・ショウチョン
永作博美、佐々木希、桜田ひより、保田盛凱清
東京から故郷の奥能登に戻ってきた岬は、海辺の舟小屋を改装し 焙煎珈琲店を開く。やがて隣に住む小学生の姉弟との交流が始まり、ある事件を介して その母親とも心を通わせる。
岬は幼少時に生き別れた父親との再会を夢見ていたが、あるとき 父親に関する事実を知ることになる。

なんとなく持ってた作品のイメージとして、荻上直子監督が撮ってたような癒し系なのかなと。永作博美と佐々木希が醸し出す ゆるい空気の漂うヤツかなと思ってたんだけど。
実際はちょっと違ってたかな。ちょっとね。

とにかく全編と言っていいでしょう、思いのほか雰囲気が暗いんだよね。
タイトルこそ“さいはて”となっていますが、舞台は奥能登。石川県の珠洲市(すずし)。
そもそも画面には船小屋を挟んで民宿と海しか映らないので、周辺には何もない感じ。それがさらに寂しげで暗い雰囲気につながってるのかもだけど。

何もない寒々しい地方都市というところから「そこのみにて光輝く」も連想しちゃったけど。それぐらい暗い感じです。

行方不明となっている父親の唯一の相続財産である枯れた船小屋。そこを改装して珈琲屋を始めます。ただそれが 我々が頭に思い浮かぶ“喫茶店”ではなく、豆を焙煎して販売する珈琲屋さん。
なんでまた こんなへんぴなところで…と思っちゃうんだけど、焙煎した珈琲を通販で取り扱っているので、そこそこ儲かってるという設定。なるほど、それならありえるか。

登場人物も多くはなく、舞台も限定されています。
それでも 人、親子、友情…それぞれ大切なことはしっかりと表現されているので、あたたかく見守る?見届ける?ことができました。
きっとそうなるんだろうな〜と思いながら、実際にそうなるラストシーンだけど、それでもじんわりとホッとさせられました。

そんなストーリーや舞台設定も満足してますが、もっとも気になったのは、人ですね。
主演だから当然だけど、永作博美さんの雰囲気がとても良いですね。子供たちとの絡み、焙煎機を扱う際の立ち居振る舞いなんかは完璧。
父親への少々複雑な思いを押し殺して、時に強く、時に積極的に行動できる女性像。
おでこの広さは気になったけども(苦笑)

そして この映画の出来事や登場人物を結びつけるのが、隣に住んでいる姉弟。この子らがの存在がとても重要なんだけど、また上手なんだよね、二人ともが。
子供らしさといい、喜怒哀楽の表現なんかもとても上手いんですね。
この子らの存在が とても大きい要素ですよ。

それから佐々木希さんも重要な登場人物なんですが。
2人の子供を持つシングルマザー。子供を残して街まで行ってキャバ嬢として働いている。なんか少々チャラいビジュアルからも、あるあるな感じが伝わってきて。なかなかの設定。
そんな彼女、過去の出演作では演技力についてアレコレ言われてたから。心配しておったんですが…

まぁ及第点だったと思いますよ。滑舌とか決して良い方ではないけれど、しっかりと作品の世界観に馴染んでおりましたから。
とにかく役者陣は良かったですよ。

ただストーリー展開に若干気になる点もあったけど。
あんな“いけず”なママがあっさりと良い人に豹変しちゃったり、主人公の父親への想いがあまり伝わってこなかったり。

見終わってから知ったんですが、監督は台湾人の女性監督なんですね。
女性をテーマにするのは良いですが、日本的な部分とか、場合によっては日本語のセリフとかをどの程度把握しておられたのか。ちょっと気になったね。

前述の通り映画の雰囲気は終始暗いんだけど、見終わった後の感覚はほんのりとあたたかい。
なかなかの佳作だったですね。
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2015年04月14日

ザ・デッド:インディア

ハワード・J・フォード、ジョナサン・フォード
ジョセフ・ミルソン、ミーヌ・ミシュラ、アナンド・クリシュナ・ゴヤール
アメリカ人電気技師のニコラスは、インドで出会った恋人イシャニとアメリカで共に暮らすという夢があった。
そんなニコラスの元にイシャニから“街の様子がおかしい”という連絡が入る。彼もまた 目の前でゾンビが人間を襲う姿を目撃。ニコラスはイシャニの身を案じ、ゾンビの群れをかきわけて 500km離れた彼女の下へ向かう。

兄弟監督のハワード・J・フォードとジョン・フォード。
わたくしは見ていないんですが、前作のアフリカを舞台にした「ゾンビ大陸 アフリカン」というのがありまして、今回はその流れをくむ作品です。

この監督は往年のゾンビ、いわゆるユラユラと歩くゾンビを登場させているというのが特徴でもあるみたい。
昨今の全力疾走で追いかけてくるゾンビの衝撃ったらなかったですが、ここでは古き良き時代のゾンビに襲われます。

製作はイギリスとなっていますが、主人公はアメリカ人で。舞台とヒロインはインドという事なんですね。
アフリカのソマリアより寄港した船から、腕を噛まれて傷ついた男がムンバイに辿り着いたと。そこからインド全土にゾンビの恐怖が広がっていくという設定。

インドの郊外で風力発電の電気技師として作業を行うニコライに、恋人イシャニから電話がかかる。と同時にニコライもゾンビの存在を確認し、彼女のことを案じます。
しかし彼女が暮らすムンバイまでは500kmもの距離が。しかし彼は意を決し、現地で出会った少年ジャベドと共にゾンビを跳ね除けながらムンバイまで進みます。

そもそも元祖のゾンビで言うなら、ゾンビというキャラクターだけで十分に恐怖感が味わえて。それらとの戦いみたいなことが映画の軸となってたものですよ。
でも今作のアプローチはそういう風でもなく。

基本はふらつくゾンビをかいくぐり、500km先を目指すロードムービーっぽくもあり、主人公と少年のバディムービー的な雰囲気も漂います。
その結果、なにやらゾンビをテーマにしたパニック感は薄味で。申し訳ないが、結構眠たくなっちゃったですよ(苦笑)

大半がそんな印象であるんだけど、後半、ちょっとぶっこんでくるんだよね。
逃げる途中、車で事故を起こしてしまったような親子。その二人を助けられなかった主人公がとった行動の驚き。

それから 一度は離れてしまった主人公と少年。その少年の存在に気付く一人の女性の姿。
多くの人が避難をしている施設の頭上を行く戦闘機。その爆撃の衝撃。

何と言いますか、ほぼほぼ眠気が勝っていた展開と裏腹に、後半に怒涛のドラマがあるんだけど、それらを広げたところで終わっちゃうんだよね。
ホント、ラストはカオスな状況。

さすがに もうちょっと整理したエンディングにしてほしかったんだけどなぁ。
もしかしてだけど、監督兄弟はプロのゾンビマニア、ゾンビオタクなのかもしれません。
その思いが強くて、オールドファッションなゾンビの登場する映画を製作してるのかな。

その視点だと、そのゾンビが存在するだけで ほぼ満足いっちゃってる気がするんだよね。そのゾンビの前にはストーリーも映画としての結末も二の次になっちゃってんじゃないかと。
ん〜もうちょっと、ドラマを深めてほしかったなと。ゾンビマニアではなく映画ファンとしての正直なところです。

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2年後には「ザ・デッド:チャイナ」あるかも
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2015年04月09日

13の選択

ダニエル・スタム
マーク・ウェバー、ルティナ・ウェスリー、デヴォン・グレイ
結婚を控えたエリオットは、病気を持つ弟と父の介護で多額の借金を抱えたうえ、会社から突然解雇されてしまう。そんな彼の元に謎の電話がかかり、13の指令をクリアしたら6百万ドルが得られるというゲームへの参加を誘ってくる。
当初は半信半疑ながらゲームに挑むエリオットだったが、気付けば後戻りできない程 過激な状況に…

じつはこのストーリー、『レベル・サーティーン』というタイ映画のリメイクとのこと。
好みとして、この手の不条理なサスペンススリラーは大好きなんですが 反面、当たりはずれも大きいんですが。。。

主人公は結婚を間近に控えた男。しかし彼には病気を持つ弟と 介護が必要なうえに口の悪い父親がおり、それぞれにもお金がかかる状況。
そこへきて、彼の人の好さが営業に向いていないとして、会社からは解雇の宣告を受けてしまう。

そんな彼が車で停車中、「車内のハエを殺したら1千ドル入金される」との電話があり、実際にハエを退治したところケータイに入金連絡のメールが。
それに続き「そのハエを食べたらさらに賞金が…」と。どうしてもお金が必要な彼は、言われるがままの行動を取ってしまいます。

ミッションは全部で13。途中で棄権をすれば賞金は全てパー。しかしすべてクリアすれば、彼が犯す罪も全て問われない。
そんなこんなで言われるがままに指令をクリアしていくわけですが…

その内容ってのが 人としての尊厳が試されるだったり単純な犯罪だったり。あまり一貫性が無く、あくまで物語の進行に合わせた指令ってのは少々不満とも言えるけど。
それに、誰が何にためにこんなことを命令してくるのかがピンとこないし。
でも だからこそ映画として進んでいくわけなので、ストーリーを成立させる意味では それをツッコむのは野暮なのかな。

ただ後半になり、彼が貶められている“ゲーム”とやらは 他にも同様の“参加者”がいるという疑惑が噴出。
また様々な場面で起こる謎の事件は、これらの参加者が関わってるのでは〜的なアプローチもありまして。
クライマックスでは そんな“他の参加者”との絡みも。

やぁやぁ、ところどころ強引な展開に思える部分もあるにはありましたが、意外としっかりとしたトコに向かっていったんじゃないですかねぇ。
もちろん途中のミッションもイライラしたり痛々しかったり、クライマックスも 十分に後味悪いんだけど。

ところがこの映画の素晴らしい点は、そこで終わらずにラストでほんの少しホッとさせる描写があるところかな。
ハッピーエンドと思わせて、悪いどんでん返しに持っていくのはあるけれど、その逆の締め方は新鮮な印象。
このひねりの効かせ方もアリでしょう。

イントロダクションとして 非常に不快で不可解な映像があるんですが、あれも…そういうことなんだろうね(笑)

上映時間92分というコンパクトさも相まって、シンプルにドキドキ見られる一本だったです。
ただし、それなりのエゲツない描写もありますので。。。

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いくらならハエ食べられます?
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2015年04月04日

ソロモンの偽証 前篇・事件

成島 出
藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、尾野真千子
クリスマスの朝、校庭で中学2年の柏木卓也が遺体となって発見される。学校と警察は自殺と断定するが、「彼は殺された」とする告発状が届き生徒らは混乱。
それでも“真相”に向き合おうとしない学校に業を煮やしたクラス委員の藤野涼子は、学校内裁判を開廷し真実を暴き出そうとする。

近頃では様々なタイプの映画がありますが、何気に増えているのが“2部作”という公開方法。

じっくりと物語を見せるにしても、せいぜい3時間ぐらいが限界ですわね。本来は。
ですが2時間強で 前篇・後篇 と分けると、5時間ぐらいの尺で表現することができるようになります。

「ハリーポッター」なんかはシリーズのラストを2部作になってましたな。
かと思えば「るろうに剣心」のように一気に2タイトルで畳みかける方式もあるか。

この「ソロモンの偽証」は、宮部みゆきの原作が3冊で2,000ページからなるストーリーだそうで。
その長編の原作を2作に分けることで、よりじっくりと味わえると同時に、1か月のスパンで公開することで 連動した動員を見込める…といったところでしょうか。

そもそもヒットメーカー宮部みゆき原作ですからハズレってことは無いでしょうし。その2部作、2連作に乗ってみるのもアリかな〜というわけで。

作品の軸となる中学生たちは、大半が演技経験の無い、オーディションで選ばれた子たちだとか。
みな程よく普通っぽさがあって。嘘くささは無い反面、少々地味な感じは拭えない。

そんな中にあって主人公・藤野涼子を演じる藤野涼子ちゃんが…って、そうなんや、この役名をそのまま芸名にしてデビューということなんやね。
さすがに彼女の存在感は気になりましたわ。

学校で、家庭で“優等生を演じている”けど、本当は真っ直ぐ芯の強い子。それでいて時々覗くあどけない表情から中学生らしさも伝わってくる。
やぁこの娘は大物女優に育っていけそうですね。

さて 物語としては、一人の生徒の死に始まり、それに皆が翻弄されていくような群像劇。
ヤンキーの生徒に女子生徒がボコられる描写があったり、DVで家族に手を上げる親父が出てきたり。そしてあまりに悲しい新たな犠牲者も出てしまったり。
結構 見ていてツラくなるシーンも多かったです。

学校、警察、そして親など様々な大人も登場するんですが、大半が何を考えてるのかよくわからない。
なんとか状況の正常化を願い、学校での裁判を提案する藤野。賛同者もあらわれるが、果たして裁判の行方は…

というところで前篇終了。エンドロールに続いての後篇の予告。

1作目が良かったからパート2も楽しみにしてる〜というのが通常のシリーズものですが、これはあくまで連作の前篇ですから。「前篇・事件」ですから。
事件が起こり、それを治める裁判に向けて登場人物のキャラクターやエピソードを散りばめたのが今回ですわ。
それにしてもですわ。この見せ方って、あまりにもあんまりじゃないですか!?(苦笑)

いじめ、DV、そして命を落とす中学生。
嫌な出来事を並べるだけ並べといて、あとは“後篇”で…という突き放し。
テレビドラマであれば多少嫌な思いをしても「続きはどうなる?」でも「もう見たくない」でもいいと思うんですよ。
でも、これ映画ですからね。

「もう見たくない」とした人だって、お金払ってるんですから。
それを思えば、前篇は前篇で それなりのカタルシスを覚えるエンディングがあるべきなんじゃないのかな。それプラス「後篇も見てね」的な。
キツイ言い方するなら、やり方として ちょっとエゲツないなぁ。。。

まぁわたくし自身は端から両方見るつもりだからアレだけど。あまりにも前篇としての着地点がなさすぎるよね。
ほんで 引っ張るだけ引っ張っといて、後篇のデキがアレだとアレだなぁ。。。

とか言いつつ…
試写で後篇を見てる人のレビュー。大半が酷評なんだけど。
それならそれで、こっちも覚悟決めて見に行きますわ(^-^;)

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永作さん、ウザい〜(笑)
posted by 味噌のカツオ at 01:07| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月01日

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

ジョン・ファヴロー
ジョン・ファヴロー、ソフィア・ベルガラ、ジョン・レグイザモ
一流レストランの料理人キャスパーは、オーナーと衝突し店を辞めることに。
再出発を模索する最中、マイアミで絶品のキューバサンドイッチと出会ったキャスパーは、元妻らの協力を得て、フードトラックでキューバサンドウィッチの移動販売を始める。

なかなか評判も良いので、それなりの期待も込めて見てきました。

いわゆるひとつの“男の再生モノ”。今どきのSNSの特徴であったり“料理の批評家”という存在であったり。いずれも良い部分も悪い部分もうまく取り込んであって。その辺りの見せ方は非常に見事ですよね。

ですが、正直 映画のストーリーとしては必要以上にドラマチックではないように思えまして。
主人公が進まんとする道の途中、少々変わった人、変な人は登場しますが、決してトラブルでつまずくようなポイントはなかったんじゃないかな。

基本アッパーで前向きな展開が中心。
もちろん そういう明るい作品がお好みの方もおられるでしょうが、わたくし的には起伏の少なさに物足りない感があったのも事実。

でもストーリーとは別に 作中に登場するキューバサンドイッチ(はじめて聞いた)とやらの美味そうな感じと、何やらごきげんな曲たちはなかなかのヒットポイント。
音楽に関しては、それぞれの場面に意味のある選曲がされているとも聞きましたが、歌詞の意味や曲のバックボーンを知らなくても、十分にノレる曲の数々でした。

しかしまぁこの作品を最も楽しもうとするならば、事前にジョン・ファヴロー(監督・主演・製作・脚本)のストーリーを押えておくべきなのかな。

元々インディーズ作品出身でありながら、大抜擢を受けた「アイアンマン」がヒット。
その後、監督として「アイアンマン2」や「カウボーイ&エイリアン」に携わるも、低評価や製作過程のゴタゴタで結構疲弊した模様。
そこで、その反動(?)をもとに、ふたたびインディーズシーンで、自分が自分のためにやりたいことを、自身の置かれた状況も絡めて作ったのが今作という事なんですね。

映画の中で描かれている オーナーと雇われシェフの関係性だとか、お客さんの笑顔のために〜という辺りは様々な職業やシチュエーションにも通じるメッセージ。
ですが そもそもは、等身大の監督自身の姿が投影されているんですな。

そういうのを知っておくと、この映画をより楽しめたんだろうなと、そう思ったわけであります。
もちろん知らなくても十分楽しい映画だったけどね(笑)

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ネコがマシンガンを乱射!?
posted by 味噌のカツオ at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月03日

サンバ

エリック・トレダノ 、 オリヴィエ・ナカシュ
オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム
アフリカからフランスへきて10年。料理人を目指していたサンバだったが、ビザの失効により国外退去命令を受けてしまう。
そんな彼の前に移民支援ボランティアのアリスが現れる。燃え尽き症候群で大企業を休職中だったアリスは、明るさを忘れないサンバに興味を持ち…

「最強のふたり」の監督&主演というのが話題になっております。
あえてそちらを“前作”といたしますと、映画の構造は似た感じになってますね。

人間描写を軽いコメディタッチにした楽しさと、一方で じっくりと腰を据えて考えたくなる問題提起が内包されています。
ただ前作と比べると、ちょっとそのまんま素直に受け止められないところがあるわけで。
これは制作側は何も悪くなくて。ようは、ただただ日本には合わないというだけです。

「最強のふたり」の場合、事故で全身麻痺になってしまった大富豪というキャラクター自体がわかりやすく、感情移入もしやすかったですよね。
それに対し今作で登場するのは、いろいろ“過ぎて”心が疲れてしまった女性(途中で うつ病と言われる場面も)。そして国外退去命令を受けないよう、ひっそりと日雇いで働く移民の男。

やはり車イス生活なら見た目から苦労も共感できるけど、なかなか今の日本では 心の病は理解されにくいし。
また島国ニッポンに於いては、移民の問題は ほぼほぼ無いわけですから。

この映画は 多くの人に「今、世界にはこんな問題も起きているんですよ」というアプローチではなく、あくまで それらの要素をフランスでの日常とユーモアを交えて描いています。
結局 平和な日本でそれを見せられてもイマイチ響いてこない。

そして それらの下地がわからないからか、はたまた文化的な違いか、もしかしたら翻訳に問題があるのか、イチ映画として見ていても退屈な印象で終わってしまいましたです。
日本人にはあまりにかけ離れた問題点。また登場人物のコミュニケーションの取り方もかなり大雑把な感じで。
二人が心を通い合わせて、信頼とか恋愛感情が芽生えるようなくだりも 見ていてピンとこなかったし。
字幕を全部読んでも、細かいニュアンスとかそういうのが伝わってこないかな。

長い目で見れば、いや もしかしたら近い将来、日本でも移民の問題が社会の中で今以上に身近なものになるかもしれません。
でもやっぱりそれはそれ、国の置かれた状況も 国民のお国柄も違うので、この映画のようなスタンスとはまた違うものになりそう。

駄作だと一刀両断はしないけど、日本向きではないのは確かだと思います。
posted by 味噌のカツオ at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月30日

ザ・レイド GOKUDO

ギャレス・エバンス
イコ・ウワイス、アリフィン・プトラ、オカ・アンタラ、遠藤憲一
上層部からマフィアへの潜入捜査を命じられた警官ラマ。囚人を装って入った刑務所で、マフィアのボスの息子ウチョとつながりを持ち、“出所後”ウチョの手引きで組織へと迎えられる。
しかしインドネシアの裏社会で勃発した抗争劇に巻き込まれたラマは、特殊な殺し屋たちとの闘いを余儀なくされる。

遠藤憲一、松田龍平、北村一輝という日本人キャストが出演という事で気になってたんですが、予告編を見たところ なかなかのアクションシーンが面白そうだったので見に行ってきました。
遠巻きに聞いた話では、これがシリーズのパート2であると。わたくしはそちらは未見。

冒頭の静かな描写から約10分。突然はじまる刑務所内でのバトルシーン。いやぁこれを見ただけで衝撃でしたね。
動きを制約されるような小さな個室で 1vs大勢でのドッタン バッタン。
それから刑務所内の運動場で繰り広げられたバトルロイヤル。これも凄かった。

まず基本的な動き、体のスキルが素晴らしい。
そして刑務所内という、本来であれば武器やアイテムの出てくる余地のないシチュエーションで、これだけ魅せるのも素晴らしい。

冒頭の狭い空間ってアクションが制約されてしまいそうだけど、それを逆手に取り 壁や人間をアイテムとして使ってみせるのがね。
続く運動場では 雨の中、ぬかるんだ泥にまみれてのバトルだったけど、その泥で足を取られやすいという設定も駆使。
あとは先ほどとは違って広いスペースがあるんだけど、広いが故にカメラフレームの外から飛び込んで来たり、上からの映像だったり。そういうカメラワークも見事でした。

中盤から登場する金属バット男にダブルハンマー女というキャラクターも面白い。
ノックの要領でボールを打ち込んで相手を攻撃なんて、ゴレンジャーの怪人以来じゃないか!?

カーアクションのシーンもオリジナリティあふれてましたね。
カーチェイス、銃がらみ、さらには狭い車内での肉弾戦を同時並行で見せるとは。

これらのアクションの共通して感じたのは、若干エゲツない やり過ぎ感と、痛みの伝わる受け身ですな。
走ってる車から落とされるだけでもアウトだろうってとこに、足の上をタイヤが轢いていったり。
ぶっ飛ばされた相手が激突するのが壁や床ではなく、机の角や手すりだったり。しかも背中じゃなくて顔とかね。

すなわちアクションの見応えプラス、誰でも想像できる痛み。この二重奏。
良く考えられてるわ。思わずニヤニヤしちゃったよ(笑)

これらの痛々しいシーン、どうやって製作したのか。
特撮、CG、いろんな技術あるけれど、これはこれで技法があるんだろうね。
ホントに銃をぶっ放したり、顔面から机の縁にホントに突っ込んでいくのが一番手っ取り早いんだろうけど(苦笑)

とにかく、ハリウッドが目を付けるだけのクオリティのアクションは素晴らしかったです。
しかし、1作目を見てる人に言わせると「前作の方が…」という意見も。
マジかいな!?さすがに そっちも気になるわ。

さて 1作目との比較でいうならば、ストーリーが少々わかりにくいという面もあったみたい。
確かに内面とか登場人物の相関関係が「はて?」という部分はあったですね。

そして大きな不満としては、悪そうな3人の日本人が登場しながら、微妙に生かされていない。
これらが ただのコワモテの役者ならいざ知らず、単独で主演張れる3人ですから。なんかお飾りのような、特別出演みたいな扱いは実にもったいない。
インドネシアに暗躍する日本のGOKUDOではなく、戦争に絡んでほしかったなぁ。

そんな感想持ったんだけど、何やらこの映画、パート3も計画されているらしい。
そして そちらには本格的に日本のGOKUDOが関わるかも…とのこと。
これは期待したいね。でも2年後?3年後になるのかな?

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ごくどうさまでした。
posted by 味噌のカツオ at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月08日

シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸

永田 琴
門脇 麦、道端ジェシカ、ディーン・フジオカ、村上 淳
青森から上京してきた海空はテレビで見たヨガインストラクターのKUMIに釘付けとなり、彼女の教室へと通い出す。しかし男にだまされ、有り金を失った海空はKUMIの家に同居することに。
いつしか二人はヨガを通してかけがえのない友達となるのだが…

映画館に行くと 手当たり次第にチラシを集め、ひと通りの あらすじなどをチェックしております。その時点で、絶対に見に行くことはないだろうな〜と思ったのがこの作品。
あらすじだけでなく、ヨガというテーマ、キャスト、監督と気になるポイントがゼロだったのでね。

ところがどっこい、見た人の満足度がえらく高いのを知り前言撤回。これは見に行かなくては…と足を運んできました。

言うなれば 女二人の友情物語?
スポーツを介したり青春を感じさせる友情ものや事件が絡むバディムービーなど、男同士が主人公ってのはよくあるけど、女性が主人公で その手の作品ってあまり記憶ないよね。

まずは門脇麦演じる海空(みく)。青森から東京に出てきた大らかな(大雑把な?)田舎娘。
そしてもう一人は映画初出演の道端ジェシカが演じるKUMI(くみ)。モデルでヨガのインストラクターなどもこなす役なんですが、実際にヨギー(ヨガをする人)でもあるとのこと。

そんなスタイリッシュな存在のKUMIの前に現れた海空。明らかに住む世界が違うぞ〜ってぐらいの振る舞いに当初は嫌悪感を覚えるものの、どこか気になる存在となり、結果的に海空はKUMIの家の居候となります。

とにかく海空のすっとこどっこいっぷりが結構なもんなんですが、思いのほかクサくなくて。冒頭のあの導入部が失敗してると、コントっぽい雰囲気が全体に支配しかねないので。
また門脇麦の青森弁(字幕付き)の訛りが見事。一応チェックしてみたんですが、彼女 東京出身なんですね。やぁ〜あのセリフ回しは素晴らしいです。

方やKUMIは「わたし失敗しないので」なんてセリフが似合いそうなキャラクター。
美人で雑誌の表紙を飾り、ヨガを教えるなんて、男子からすると ちょっと気軽に声かけにくそうな女性。
でも同性からは憧れを抱かれるような…ってなんとなく伝わるかな。

そしてそんな二人の間に存在するのが梅之助というゲイの男。
これ村上淳さんが演じているんですが、その立ち居振る舞いも非常にナチュラル。メチャメチャ上手いですよ。

まずは この3人の個性、そして演技も自然なのでグイグイ引き込まれますね。

そして起承転結がストーリーにも好感ですね。
映画なら映画なりの事件というものがあって然るべきなんですが、肝となるのは 男女の駆け引きのもつれであり、女性モデル同士の間に生まれる嫉妬心であり。
決して突飛なものでもなく、もしかしたら日常でも感じられるような程度に収めてあります。
ただ学校の先生の件は 少々蛇足ではとは思ったけどね(苦笑)

映画のラストとしては、女性二人の信頼関係、ステップアップ、そして幸福感に満ちた満足度の高いものとなり壮観なヨガシーンとなるのですが…
その後にまた趣向を凝らした演出があるので最後の最後までお楽しみに(^-^)

そのシチュエーションから、基本は女性目線で こじゃれたテイストの映画かと思いきや、全くあざとさも鼻につくような場面もなく、沁みる映画だったですよ。
ちょっと疲れがたまってる人、日常の小さな悩みを抱えてる方。最後までお付き合いいただくと、ほんのり心が軽くなれるかも。
これだから映画は見てみないとわかりませんね。おススメの一本です。

さて、ここからは余談ですが…
ヨガのインストラクターって 体の動きだけでなく、呼吸方法から心の在り方まで語っていくんですね。それを聞いていたら一種の催眠術みたいって思ったんだけど。
でも それにならって肉体を動かし、催眠にかかるというのも大切かもしれませんね。
結局は 前向きな姿勢を言い聞かせることだから。それはそれで良いことですよ。

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まさか、ラスト5分で迷走?(笑)
posted by 味噌のカツオ at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月31日

サスペクト 哀しき容疑者

ウォン・シニョン
コン・ユ、パク・ヒスン、チョ・ヨンハ、ユ・ダイン
北朝鮮特殊部隊の元工作員・ドンチョルは、妻子を殺して逃走した犯人を追って脱北。韓国で運転代行業をしながらその行方を追っていた。
そんなある日、親身になってくれていたパク会長の殺害現場に居合わせ、死に際に眼鏡を渡される。やがてドンチョルは会長殺しの容疑をかけられ、国家に追われることに…

原題は「The suspect」。
念のためサスペクトの意味を調べましたら…
動詞では「疑う」「感づく」。名詞だと「容疑者」。形容詞としては「疑わしい」。
ということらしいです。

上映前の予告はなく、そのかわり主演のコン・ユのコメントが。要約しますと…
「もっと予算があったらハリウッドの「ボーン」シリーズみたいにすんごいことできたんだけど。それでも一生懸命に作ったんで、楽しんで見てちょ!」ということをおっしゃられてました。たぶん。

韓国映画は ここ最近見た中ではハズレないんよね。それもあって この作品も、単館ではありますが前評判が良いので期待して見てきました。
んで 率直な感想は、わたくしとは合わなかったなぁ。

まず良かった面についてですが、非常に深い設定がなされていて、ストーリーも裏切りに逆転にと目が離せない展開。ドキドキが止まらないですよね。
そしてアクション。筋肉はじける場面もあり、非常に男臭いバトルのシーンもアツい。

さらに度肝を抜くのがカースタント。めちゃめちゃ狭い裏路地をバックで爆走。ガッツンガッツンと容赦なくやりまくってますから。「ルパン三世」に爪の垢でも煎じて飲ませたいぐらいのパフォーマンスを見せてくれます。

ちょっとツッコませていただくなら、本編前の前フリで控えめな発言を聞かせつつ、ハリウッド顔負けの超絶アクションをやってのけるという。「なかなかやってくれるじゃん」と。そう思わずにはいられません。

と一通り褒めたところで逆に気になった点を。
非常に深い設定と捻った展開であるがために、正直ついていけない(爆)
事前にあらすじを見てはいたんだけど、もっと主人公…そして主要キャストの立ち位置と過去がわかっていないとしんどいかも。

それぞれがどんな立場で、今どんな問題が起きているのか。
またそれらが進みつつ 裏切り行為、二重スパイ、本当の悪玉。これらの存在が整理できていないと。

また一見 見応えのあったアクションシーン。
えらく寄りのカットを多用して、バチバチとカットが切り替わるので ぶっちゃけ何をやっているのか?体のどの部位を攻撃しているのかが分かりにくい。
「何かすごいぞ」感もあるにはあるんだけど、素直に楽しめないかなぁ。
往年のジャッキー・チェンのそれとは比べらんないかな。

カーアクションも同様。
相当にやり過ぎちゃってるんだけど、カット割りが激しすぎて損をしているところありますよ。いやぁまぁ十分に凄いんだけれども。

最終的には それとなく見終えることはできるんだけど、137分という上映時間に ちょっと詰め込み過ぎでは?
カーアクションも2回あったしね。

そんなこんなで、わたくし的には素直に楽しめきれなかったという印象。
そうやって集中力を欠いた結果、わ〜この人 遠藤憲一に似てる。この人 メガネはずすと山口智充・ぐっさんみたい。あの人とこの人とで吉本のジャルジャルできるんじゃない?
などなど余計なことが気になっちゃいました。

結論。広い意味で見応えがあって凄いんだけど、わたくしは合わなかったなと。
そういうところでございました。

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メガネかけて寝てた m(@o@)m
posted by 味噌のカツオ at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月16日

ジャージー・ボーイズ

クリント・イーストウッド
ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ヴィンセント・ピアッツァ
ニュージャージー州の貧しい町で生まれ育った4人の青年たち。そこから抜け出すため、彼らはバンド「ザ・フォー・シーズンズ」を結成。
天性の歌声と曲作りの才能、そして素晴らしいチームワークで音楽界に不滅の伝説を打ち立てていくのだが…

そんじょそこらの爺さんたちはマナー守らん、我を通す、聞き分けが無い。結構困った存在が多いんですよ。

もしかしたらイーストウッド監督(現在84歳)も頑固なじじぃなのかもしれません。
でも もしかしたらその頑固さで自身の感性を押し通し、結果 このような名作を量産しているのかもしれませんね。

昨今では「イーストウッド監督ならハズレ無し」と思われてはおりますが…
この映画の元になっているのはトニー賞も受賞した同名のミュージカル。
とはいえ、今作はミュージカル映画というわけではありません。

キャストがスクリーンから観客に語り掛けるなんて演出もありますが、基本はストレートにフォー・シーズンズの足跡を追っていきます。
フィクションであればいろんな山場があったり見せ場を作ったりできますが、実話の映画化はそれなりの作り込みしかでなくなるんですよね。

そのうえで どれだけエンターテイメントとして高めていけるのかが難しいんだけど。それを感じさせずにやってみせるのがイーストウッド監督の上手さなんでしょうか。

基本 突拍子もない出来事はなくって。バンドであれば、音楽業界で生きていくなら起こり得るであろうエピソードが中心。
そして主人公に訪れる悲しいエピソードも必要以上にお涙頂戴にはせず。あくまでその後の歌唱シーンのための前フリのようで。

しいて言うなら「スクリーン上で必要以上な演出をしなくとも、観客だって解っているでしょう」というスタンス。作る側も見る側もオトナのスタンスなのかな。

そんな監督と観客の距離感と共に大きな柱となるのが音楽ですね。
多くの方が耳にしたことあるであろう名曲たち…と言えばそうなんですが、これらはオリジナルではなく 今回のキャストが歌っているんですね。
しかも、歌も別録音ではなく そのままライブ音源で収録しているとのこと。

そういう部分が この映画の息吹となってるような気もしますね。
ライブシーンのひとつひとつがホントに活き活きしているのはそのせいだと思います。

ちなみに 今作のキャストの大半が、ミュージカル・舞台版でそれぞれ演じていた役者たちで、映画は初めてという方が多かったそうで。
それでも変にミュージカルテイストの映画にしなかったこと、ならなかったことも素晴らしいです。

そしてバラバラとなっていたメンバーが集まり、20年ぶりだかに観客の前で歌うというシーン。
それぞれが歳を重ねていっているにもかかわらず、歌いだしたとたんに往年のビジュアルに戻るという。手法としてはファンタジーだけど、その感覚というのはリアルだよね(^-^)

さて、エンディングにきてやっとミュージカルチックな場面が登場。
個人的にあの世界観も好きなので、見ているだけでハッピーな気分になりましたよ。

名曲というのはこういう形も含めて受け継がれていくものなんですね。
そしてそれを演じたキャストの皆さん、監督のイーストウッドにも 心から拍手を送りたくなる。そんな映画でした。

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まさか「タモリ倶楽部」が関わっているとは…
posted by 味噌のカツオ at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月22日

猿の惑星:新世紀(ライジング)

マット・リーヴス
アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン
前作のラストから10年。人類はウィルスによってほぼ死滅。驚異的な進化を遂げた猿たちは、森の奥で平和なコミュニティを築いていた。
しかし生き残りをかけた人類のグループが 森の中で猿と遭遇したことにより、一触即発の危機が勃発してしまう。

前作「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」から3年の時を経て公開されました。かの名作「猿の惑星」(1968年)の前日譚的シリーズのパート2。

実は先に「金曜ロードショー」でジェネシスをやってたので、それで軽くおさらい。
映画ファンとして“猿の惑星”という題材はもちろん好きですよ。でも前作は 正直言ってアニメのような猿のCG映像が好みではないし、ストーリーもそういうことですか…と思ってしまうようなものだったですわ。
が 今回のライジング。その2点が格段に良くなっていましたね。

「GODZILLA ゴジラ」の時にも感じたことだけど、今どきのCGって技術は向上してるけど質感がウソくさいんですよ。
凄くきれいな絵だけど、そこに存在してるように思えないみたいな。

ですが今作の猿たちは その毛並みや肌の質感から(表情などの)微妙な表現力が良くなってましたね。
体格や行動が 良くも悪くもリアリティから少し離れていたような。まさに好みの問題になってくる部分だけど。

ただ難点を言えば、それぞれの猿の関係性や性格がいろいろあるんだけど、暗い映像になると誰がどの猿か混同することがあったかな。服着てないからさ、区別が付きにくい瞬間があったのね(苦笑)

そしてストーリー。前作のジェネシスが研究やら薬品だの理屈に裏打ちされていたのが、今回は思考・思想によるところが多く、すなわち より感情移入しやすくなっていたり善意と悪いの違いがしっかりと打ち出されておりまして。
しかもそれらを猿にゆだねているというのもまた面白い。

そもそもこれはSF映画ではあるんだけど、ペットを飼ったことある人なら この感覚わかるんじゃないかな。
犬でもネコでも、どうかすると爬虫類だって、一匹づつそれらの性格があったり、エサを与える人にはとても忠実だったり。
そんなことを鑑みても、この荒唐無稽な世界観でも受け止められるものになっているんですよね。

「人は人を殺すが、猿は猿を殺さない」という格言が この物語の大きなキーとして存在してます。でも それをはみ出していく猿がでてくるんだよね。
猿が言葉を持ち、心も進化するという展開に於いて、もしかしたらアイツが最も進化した猿だったのかもしれない。
かと言って そこまでいってしまう人間の進化が果たして正しいのかというと…
そんな いろんなことも考えさせられる映画でした。

さて、映像もストーリーもレベルの高いものを提供しているのは確かです。その一方で、木と木の間を 事も無げにピョンピョン駆けていく描写とか、物理的に無理のあるシーンは気になりますね。ちょっとだけ。

「猿の惑星もここまできたか」的な感慨を持ってシーザーとコバのバトルシーンを見てました。設定もドキドキするし 見せ方のクオリティも非常に高いです。
でも必要以上にぶっ飛んでいったり大きく落下しつつ平気とかいうのが、見ていて ほんのちょっとリアリティから遠のくんだな。スーパーマンとかアベンジャーズではなくて猿なんだからさ〜ってね。

いろいろ書きましたが、ホントに“惰性を含んだシリーズもの”という雰囲気は決してなくて。
今どきのSF作品でこれだけ見応えあるのは珍しいんじゃないかな。

これなら続きも気になってきますが…次作はまた3年後とかになっちゃうのかねぇ!?

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馬が猿に反逆する「馬の惑星」も見てみたい
posted by 味噌のカツオ at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月24日

ソウォン/願い

イ・ジュンイク、オム・ジウォン、キム・ヘスク、イ・レ
ある雨の朝。8歳の少女ソウォンは、通学途中に酒に酔った男に襲われ、心身共に生涯消すことができない傷を負ってしまう。
ソウォンの証言で容疑者は確保されたが、事件の記憶が蘇ってしまった娘に、父ドンフンは近づくこともできなくなる。

最近の韓国映画ではこういった実際にあった事件をテーマにした作品がチョイチョイあるようですね。
歴史を変えるような事件、多くの被害者を出した犯罪…ではなく、非常にパーソナルで、イチ個人やひとつの家族が苦悩するという。そういう作品が多いような気がします。

この作品も実際に起きた幼女暴行事件とその裁判の顛末を描いたものとのこと。
大変失礼な言い方にはなるかもしれませんが、そのモデルとなった方が実在する以上、あまり無茶な結末ではなかろうと。

展開としては 大変悲しい事件に巻き込まれた家族が、希望を見つけて立ち上がっていく姿を描いているんだろうと。
それをわかったうえで、望んだうえで観客も足を運んでいるんだろうなと思ったわけであります。
そしてわたくし自身もその中のひとり。

映画という創作にあって、確かに予想通りの起承転結。無茶なサプライズはありません。

ただ そうは言いながらも、胸の締め付けられるような思いでしたね。
8歳の少女が受けるにはあまりにもひどい犯罪。
そして法廷の場面も厳しいものでした。

主人公の少女は凄く頑張った。でも“悪いおじさん”がなぜこんなことをしたのか。8歳ではわからないであろう、いわゆる欲望という動機と向かい合う時がいつかくるのかな。
それもまた辛いことだよね。

そしてその頃には、悪いおじさんは、また…ってこともありえるんだから。
なんだかなぁ。。。


小さい劇場でしたが、評判が伝わっているのかほぼ満席。
ただし、年配の方の姿が多かったです。

わたくし的には、映画の設定と同様なアラサー〜アラフォー世代の親御さんにこそ見ていただきたい。そして考えていただきたい作品だと思うんだが。
そういう意義のある映画であるとね。

でも…やはり実際問題として、直撃世帯の親が見るにはヘヴィー過ぎる内容かもしれないな。直視できないかもね。


最後に。
あるレビューにあったのですが、この映画の元となった事件がどんなものか調べてみたら、何やら映画よりももっと酷い状況だったと。調べるんじゃなかったとのコメントが載っていました。
ますます辛くなるなぁ。

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ゆるキャラって、大切だね
posted by 味噌のカツオ at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月14日

サンシャイン 歌声が響く街

デクスター・フレッチャー
ピーター・ミュラン、ジェーン・ホロックス、ジョージ・マッケイ
銀婚式を間近に控えたロブとジーンの元に、息子のデイヴィー、そして娘・リズの恋人・アリーが兵役を終えて帰還を果たす。
しかし大きな幸福感の中で催された銀婚式のパーティーの最中、ロブに隠し子がいたことが発覚。リズはアリーのプロポーズを断り険悪な雰囲気に。デイヴィーも新恋人と大げんかとそれぞれの関係に危機が訪れる。

「スコットランド版のマンマ・ミーア!」「とにかくハッピーになれる!」「映画評サイトのRotten-tomatoesで96%が絶賛」と これでもか〜というぐらいの宣伝文句が載っておりまして。こりゃ期待しないわけにはいかないぞ…とハードル高めで見てきました。

しかしファーストシーンに驚かされました。それが非常に渇いた戦地の映像だったので。
ついつい「見る作品間違えちゃったか!?」とハラハラしますが…心配ご無用、すぐにミュージカルシーンになっていきますので。

が、その安心もつかの間。なんちゅうか迷彩服の野郎二人が歌い踊る様は、ミュージカル映画の華やかさには欠けるかな。
家族や恋人の元への帰還というシチュエーションではあるが、何気に負い目もありつつだしね。

やがて物語が進むにつれ、それぞれのパートナーとの間にすれ違いが生じ、全編が険悪な雰囲気に。

様々な困難を乗り越えないと“愛”は実らないというそんな感じがするのと同時に、ミュージカルが苦手な人にとっては この辺りの展開は、乗り越えるべき場面でございますね。
個人的にこういう作品のミュージカルシーンを否定はしませんが、デイヴィーとイヴォンヌが カフェでポップな曲に乗せて口論するのは違和感あったなぁ。

さてさて こういう映画でもございますので当然ながら、次第に各々が諸問題を克服しハッピーエンドへと向かっていくわけで。
そのクライマックスシーン。美しい街並みの中、今どきのフラッシュモブチックに歌と踊りの輪が広がっていくあの世界観は見ていて楽しかったですよ。
これほどまでにファーストシーンとラストシーンのギャップがある映画も珍しいかもです(笑)

でも厳しいことを言うならば、起承転結もワクワク感も、映画より舞台の方が受け止めやすい構成ですわね。
実際に英国で大ヒットしたミュージカルの映画化らしいですから。

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ドッキリのプロポーズも罪なもんだね
posted by 味噌のカツオ at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする