2018年06月08日

Vision

河瀬直美
ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏、岩田剛典、夏木マリ
世界中を旅しながら、紀行文を執筆しているフランス人エッセイスト、ジャンヌ。
ある調査のため、アシスタントと共に奈良の吉野を訪れ、山間で生活する山守の智と出会う。二人は次第に心を通わせながら、別れの時を迎える。そして秋。ジャンヌはふたたび智の元を訪れる。

2017年の5月、カンヌ国際映画祭の場で河瀬直美とジュリエット・ビノシュが出会い、意気投合。
そこから話が盛り上がり、とんとん拍子に企画が動き出し。そして完成に至ったという作品。

EXILEでおなじみのLDHの LDH PICTURES の配給。EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサー。岩田剛典が出演しておりますが。
そもそも どんなつながりがあるんでしょうな。
それはさておき。

河瀬直美監督の「あん」「光」は面白かったですし、今回のキャスティングで どんな仕上がりになるかと期待して初日に足を運びましたが…
正直 まったくと言っていいほど、ノレませんでしたね。

人類のあらゆる精神的な苦痛を取り去ることができる薬草“Vision”を求めて この森を訪れたというフランス人女性エッセイスト、ジャンヌ。
そこで山守の智と出会い、森で千年暮らしているというアキと出会い。
やがて一旦その場を離れます。

ひとりになった智は森の中で鈴という青年と出会います。
やがて季節は秋となり、ジャンヌも再び智の家へ戻ってきます。

あとは その森で起きた過去のこと。ジャンヌのこと。
いろんな描写があるんだけど、どうにもしっくりくることなく。

流れとしては理解しつつも、申し訳ないが、わたくしには全く響かなかった。

夏木マリさんの舞は独特。
森山未來は あのような体を使った表現はやってきているからね。
あと火のシーンは どうやって撮影したのか、表現したのか気になりつつ。

でも最も印象に残ったのは、白犬コウくんかな。
彼の走る姿、芝居(?)、そして別れ。いずれも目を奪われました。

事前に得た今作のチラシには「未来(ビジョン)が、いま、うまれる」とあります。

ビジョン…未来…ですか…

すなわち森、山、未来ってこと?

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ジュリエット・ビジョンっしゅ
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2018年05月28日

犯罪都市

カン・ユンソン
マ・ドンソク、ユン・ゲサン、チョ・ジェユン
ビリヤード場で刺傷事件が発生。被害者は毒蛇組の組員、犯人はイス組の男だった。強力班のマ・ソクトは 犯人を捕らえ、互いの仲を取り持ち、街のバランスを保っていた。
そんな折、中国から新興勢力の黒竜組が乗り込んでくる。ボスのチャンは 容赦ない手段で毒蛇組を乗っ取り 勢力を拡大。縄張りを荒らされた韓国マフィアも黙っておらず、一触即発の事態に。

昨年日本公開された韓国のゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』。
アイデア、展開の妙もさることながら、わたくし的に強烈なインパクトを残したのがマ・ドンソクの存在。

屈強すぎる体格で、物怖じすることなく 真正面からゾンビをなぎ倒していくその姿。超絶インパクトがあったわけですが。
そのマ・ドンソクが主演で剛腕刑事を演じると。
これを見ないで何を見るか!?

と期待感は最高潮に高まりながら、なんと日本での公開館数の少ないことか。
わたくし自身は なんとか都合を付けて見に行ったわけですが。

まぁこの程度の作品であれば、上映少ないのもわかるわ…という風ではなく。
いやいや〜十分面白かったですよ。ホントにこいつぁもったいない。

ちなみにグロテスクで過激なシーンが多いため、韓国ではR指定(19禁)扱いだったそうですが。
韓国でのR指定映画の中では歴代3位の興行収入をあげているとのこと。

ちなみに日本では何も書いていないけど。R指定ナシなのかな!?

昨今 日本でもヤクザ映画とする作品チョイチョイありますが。
韓国でも組同士の縄張り争い。親分やら子分やら。似たような世界があるもんですな。
あと抗争となるシーンも、棒や素手で殴る。刃物で刺すというのが主で、拳銃は出てこないんだね。

「犯罪都市」なんてタイトルはストレートにカタそうですが、序盤はわりとユルめ。
マ・ドンソク演じる副班長は腕っぷしは強いけど、熱血漢というタイプではなく。
人並みに酒にも女にも弱くって、チンピラの頭はたいては それとなく街のバランスを保っていたと。

そんな街のチンピラが下手こいて連れてきてしまったのが中国系のヤクザ。
コイツら 単純に言うなら「韓国でひと稼ぎ」というトコロでしょうが、やることが悪どい。さらに度を越してエゲツない。
悪役としての嫌悪感を しっかり植え付けてくれます。

映画としては コイツらが絡んできた辺りから、徐々にテイストが変わってくるんだけど。副班長ら刑事側の ある種のヒューマニズムがクッションとなって、どこかメリハリを生んでいたようにも思いますね。

そして やっと捕まえた中国マフィアを保釈するくだりであるとか。ヤツらを一網打尽に捕えんとする作戦が、二重構造で「やられた!」となる見せ方も捻りがありました。

さてさて、あらためて この作品の最大の魅力は副班長役 マ・ドンソクの存在であることは疑いの無い事実ですが。
その見せ場は、やっぱりラストのバトルシーンかな。

ぶっちゃけ1対1、サシの勝負であれば やっぱりメチャ強い。
ほぼほぼ危なげなく相手をぶん殴、平手を大きく振りかぶって引っ叩く姿がたまらない。

昨今 怪獣映画、いろいろ公開が続いていますが。
なんなら これ、マ・ドンソクという名の怪獣映画と言っても過言ではないのでは!?
それぐらいに…壊しちゃってましたね(笑)

そんなマ・ドンソク 大活躍。笑えて怒れて スカッとできる。
こんな映画ならまた見てみたいですよ。
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2018年05月26日

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

ショーン・ベイカー
ブルックリン・キンバリー・プリンス、ブリア・ヴィネイト、ウィレム・デフォー
フロリダ・ディズニー・ワールドに近い安モーテルでその日暮らしの生活を送る 6歳のムーニーと母親のヘイリー。ムーニーはモーテルに住む子供たちと無邪気に遊び、管理人のボビーは彼らを見守っていた。
しかし、ある出来事を機に、ムーニーの夢のような日常が奪われようとしていた。

独特の色合いの映画でしたね。
壁が紫色のモーテル。どこか赤みがかった冒頭の映像。着てる服や染められた髪の色合い。
薄い緑、薄い紫、あるいは水色だとか。パステルカラーが印象に残りました。

黒人が主人公の映画なんかだと 赤、青、黄色…であったり、ハッキリとした原色を使うイメージあるんだけど。それらとは対照的。

子どもたちが車に向かって“つば飛ばし競走”をするシーンから始まります。
子どもたちの“いたずら”が過ぎる映画だとは聞いていましたが。さすがに つば飛ばしは不快だね。
自分の車にそんなんされたら、こちとらブチ切れるでしょうよ。気ぃ悪い。

それが見つかって親共々謝りに行って。洗剤とペーパーを持って、悪びれることなく 車を拭きに行きます。
ムーニーたちは車をゴシゴシやりながら、車の持ち主の娘っ子に「手伝ってよー」と。どんな立場やねん。

結局 その娘も手伝い始めて。なんとなく友だちになっていきます。
気付いたら わたくしも。さっきまでの「気ぃ悪い」という感情から、なんか友だちっぽいまなざしで。ムーニーたちのいたずらに仲間入りしたような視点に変わりまして。

それ以降は ずっと、ずっーと 楽しい映画でしたね。
やんちゃで、ひたすらノリノリで。時に取り返しのつかないことまでやらかしちゃうんだけど。
それでも自分たちの目線で、どんなことでも楽しんでる。

しかもそれが 自分たちの暮らすモーテルの界隈だけってのもスゴイよね。
彼女たちの等身大のワールド。

ムーニーのママは緑色の髪でタトゥー入れまくってて。仕事もままならない超若いママ。
周囲にブチ切れることもあるけれど…ムーニーには絶対怒らない。ずっと彼女のことを大切に、微笑んで見守っています。
教育って意味では それが正しいのかどうか。それが良い親なのかは意見の分かれるところでしょうが。

ただし ママが怒らない代わりに、周りのオトナはしっかり怒ったり 叱ったりしてるんだよね。
近所の人、アイス屋のおばちゃん。そして何よりモーテルの管理人・ボビー。

誰の子だとか関係なく怒ったり、笑ったり。そうして学んでいく姿は 昔の日本の“長屋”スタイルそのまんま。
でも そうやって ぶつかりあえる隣人の存在は大切だよね。

そこに暮らす人々には、それぞれのライフも理由もあるんだろうけど。ムーニーのママも家賃を払うのが精いっぱい。
なんなら そこで暮らすために、詐欺みたいなことやってるし。

やがて、生きるためとはいえ、良くないことをしてしまうんだけど。
まぁたとえそうであっても。何と言うか、金を稼ぐためでもあり、ムーニーのために稼ぐってことでもあり。

決して好き好んで…でもないだろうし。そんなことまでして。それでも娘には優しい微笑みを向けるって。
人が生きるのは難しいことだけど。人が人のために生きるのは…果たして難しいことなのか、それでも幸せなのか。

結局 それが原因で母娘は引き離されそうになり。
ムーニーは駈け出します。例の つば飛ばし競走の件で友達になったジャンシーの元へ駆けていきます。

そして これまで見せたことの無い表情をして見せます。
ずっと、ずーっと 楽しく過ごしていたはずが…こちらも たまらなくなって。どうしようもなくなって。

いや…どうしようもないのかと思ったのも束の間。
ジャンシーはムーニーの手を取って 走りだします。

その後は言葉にできないし、見た人それぞれ、あれをどう説明するのか。
何とも言いようがないんだけど。

本当にサイコーなラストシーン“マジカルエンド”でした。

今作ではモーテルの管理人・ボビー役のウィレム・デフォーがアカデミー助演男優賞にノミネート。納得。
そして何よりムーニー役のブルックリン・キンバリー・プリンスには脱帽。彼女のおかげでホントに楽しい時間を共有できました。

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宵越しの金は持たないタイプなんだね
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2018年03月25日

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齊藤工
高橋一生、松岡茉優、神野三鈴、リリー・フランキー
13年前に突然失踪した父が余命3カ月で見つかった。母と兄は見舞いを拒むが、幼い頃にキャッチボールをしてくれた父の記憶が忘れられないコウジは病院を訪れ、再会を果たす。
やがて父はこの世を去り 迎えた葬儀当日。参列者が語るエピソードから、父の真実が明らかになっていく。

齊藤工の初長編監督作。長編とは言っても上映時間は70分なので、本当の意味で(?)長編でもないかも。
んで 世界中の様々な映画祭に出品。一部では受賞も果たしていまして。

ただ、結構 日本的な、昭和的なテイスト、味わいが多い作品で。
それが海外でどう受け止められて評価されたのかは気になるけどね。

冒頭の葬式の受付の場面。
これが なかなか不条理コントみたいな やりとりで結構笑えたんだけど。
場面変わって。

2人の少年。麻雀に興じる父親。やさしさと温かみを感じさせる母親。
そんな彼らの家の玄関を叩き、汚い言葉で返済を迫る借金取り。
家の中で息をひそめる家族。

またある時は 家の外に借金取りが がなりつける中で、音を立てずにカレーライスを食べ続ける家族。

もうそのシチュエーション。ファッション。アパートの情景。タバコの“日本専売公社”の文字。
良くも悪くも昭和だよね。その時代を経験してるモノからすると、それだけでもヒリヒリ感じるところあるんだけど。

ある日「タバコ買ってくる」と言ってそのまま失踪した父親。
子どもたちのために、生きるために、昼夜を問わず働き続ける母親。
事故で顔を腫らしながら…という あの姿は泣けたなぁ。

あと母親と次男のキャッチボールシーンも堪らなかったし。
これらは その時代を象徴する、素晴らしい描写だったですね。

それから13年の時が流れ、父親の現状が分かったと。大病に冒され余命長くはないと。
んで、お見舞い行くの?どうなの?ってことに展開をしていきます。

その一方で父親の別の真実に迫るお葬式のパート。
佐藤二郎が狂言回し役となって、何とも言い難い雰囲気が醸されるわけで(笑)

葬儀に まばらに集まった参列者が故人との思い出を語るということなんだけど。
それらを見守る高橋一生、松岡茉優が設定忘れて笑い出すんじゃないかと思うぐらい、ある意味クセモノたちのフリースタイル的な。
これはこれで 妙な世界観でしたね。

そんな昭和を思い起こさせる過去の描写。病院での父と息子。そして葬儀の場面と いろんなテイストが楽しかったし。
場面が変わる際のフィルムが燃えるようなオレンジ色からノスタルジー思い起こさせたし。

なんだかちょっとした瞬間の(齊藤監督の?)こだわりも垣間見えて。予想以上に面白い映画でしたよ。
こんな感じなら もっと齊藤監督の作品見てみたくなるよね。

あ、あとは神野三鈴の母親役はズバ抜けて伝わるものがありました。

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J太郎だ!
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2018年03月04日

ぼくの名前はズッキーニ

クロード・バラス
(声)ガスパール・シュラター、シクスティーヌ・ミュラ、ポーラン・ジャクー
母親がつけた“ズッキーニ”というニックネームを大切にしている9歳の少年イカール。不慮の事故で母親を亡くした彼は、同年代の子供たちが集まる孤児院に連れて行かれる。
はじめは馴染むことができずにいたが、それぞれに複雑な事情を抱える仲間たちと過ごすうち、次第に心を開いていく。

第89回アカデミー賞長編アニメ映画賞にもノミネートされた スイス制作のストップモーション・アニメ。

まんまるお目目の…あるいは“ギョロ目”の子どもたちのキャラクター人形がとても印象に残ります。
非常に 評判も高いので、しっかりとあらすじをチェックして、予習して見てまいりました。

ですが、なんとも言いようがないのだけど。
予習で(本編66分の)大方の流れを知ってしまったが故(?)、驚きというか、感嘆からは遠のいてしまったかな。
なんならラストの着地点以外は、展開を知っちゃってたみたいな。

それが理由といえるのかどうかは なんとも…ですが。
結果的には、わたくし的にはイマイチ響かなかった、ノレなかったですね。

基本線はズッキーニの施設での日常。
そこでの 子どもならではの残酷さや、子どもなりの やさしさも伝わっては来たのですが、不思議とわたくしには沁みませんでした。

あえて言うなら、冒頭のお母さんの亡くなり方なんかも、 なかなかのトラウマ案件だと思いましたし。

ラストの落ち着くポイントも、生活という部分に於いては安心なことですが、彼らの恋心に軸を置くとするならば、そうじゃない方が…と思ったものです。

結果的にはズバリ好みの問題にはなるけども。
物語の全般を支配する ほの暗い雰囲気というのも ノレない一因でしたね。

登場するキャラクター(人形たち)が良かったであるとか、ストレートな感情表現も涙を誘ったという意見もわからないではないけども。
やっぱり 今作を見た日のわたくしには合わなかったってかな。

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ズッキーニ好きにはたまらない
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2018年02月11日

羊の木

吉田大八
錦戸 亮、木村文乃、北村一輝、優香、松田龍平
さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた6人の男女。その受け入れを命じられた市役所職員の月末が知らされたのは、彼らは元殺人犯で 仮釈放させた受刑者を過疎化の進む町で受け入れるというプロジェクトだった。
そんなある日、港で死亡事故が発生。やがて町の人々の日常に、少しずつ狂いが生じていく。

『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督の最新作。
『がきデカ』の山上たつひこ&『ぼのぼの』のいがらしみきお によるマンガが原作なんだとか。

刑務所を出た殺人犯6人が とある地方都市で生活を始める…という、ざっくりとしたあらすじだけしかチェックしていませんでしたが。
都市が“身元引受人”となり、ある程度の生活基盤を保証して彼らを受け入れると。その結果 地方の過疎化解消にもつながるという導入部に妙に納得。
この時点では わたくしも「そういう政策もアリだな」と思っていた次第。

それにしても この6人がイイですね。みんなイイですね。
冒頭に登場した水澤紳吾演じる理容師。食堂でラーメン・餃子・チャーハンにガッツク姿に「シャバに出て食べたかったんだね」とは思いましたが。良かったらビールも〜という勧めは固辞してたけど。あとあと そのやりとりが響いてきますね。
憂いを含んだ優香さんの振る舞い、火照り方が とてもたまらない。市川実日子の他者と関わりを持ちたくないという雰囲気もらしさありました。

見た目からして いかにも〜と思わせる北村一輝に田中泯に潜む凄みと渋さ。
そして何より松田龍平の飄々とした風貌の奥に透けて見える危うさ。
いずれも素晴らしい。キャラクター作りが秀逸。

もちろん主演の錦戸亮も良かったですよ。全般的に 大きく感情を表さないキャラだったけど、無機質な感じを纏うことである種の“標準”を体現していたような。
わたくし的には 終盤の崖のあたりで首を絞められてる表情なんか印象に残ってます。
これに限ったことでもないけれど、ジャニーズの売れてる人って みんな上手ですよね。

あと木村文乃さんがキレイかったね。
やっぱこの人はロングヘアの方が雰囲気増すわと思いつつ。そもそも髪切ったのってずいぶん前じゃなかったっけ?というトコから、撮影時期もそれぐらい前なんだろうなと窺い知れたり。

それにしても それ以外のモブ的な役者さんたちも皆上手かったよね。
全ては吉田監督の手腕であり。おそらく 完成系に導いていく説明・指導の仕方が上手いんだろうなぁ。

無駄なシーンもなくジワジワと映像世界から逃れられなくしていくような見せ方、運び方。
のろろ様という民話に立像も気になりまくりだし。
後半の危険なシーンにもハッとさせられて。
役者にも映像にも引き込まれました。

ただテーマ性、メッセージ性が わたくしにはわかりにくかったとも感じまして。
6人の犯罪者。それぞれの個性はあるけど、あまりにも一貫性がなかったよね。

人を信じること。見た目。噂ばなし。経歴。
相手の どこまでを知って、どれだけ寄り添えるのか。

人それぞれ、どういう過去があって、どうしてこの街に来て。今がどんな状況で、これからどこへ向かうのか。
観客も試されるようなところもあるのだけど。

辿り着く先が 6人それぞれバラバラで。こっちとしては「じゃあどうなの?」「いったいどう受け止めればいいの?」と答えが出せないんだけども。
そういう意味でスッキリしない映画ではあると思います。

ただし。それこそが正解なんだろうね。
そもそも殺意があって人を殺めたものもいれば、思いがけず罪人になってしまった人もいるわけで。
実際に刑期を終えて(仮釈放で)シャバに出て、本当に更生できる人もいれば 再び罪を犯してそっちへ戻っていく者もいる。

何事も一律でレッテルを貼って身構えてしまうことも世の中にはあるけれど、必ずしもそういうものでもないと。そんなことを思い、考えることのできる映画だったのかな。
「それは市役所として?友達として?」というセリフが。なんなら友達という言葉の意味合いが胸を締め付ける作品でもありました。

最後に、チラシによれば“羊の木”とは西洋につたわる伝説の植物とのことだそうです。

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ひげ剃りコワすぎ
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2018年01月21日

花筐/HANAGATAMI

大林宣彦
窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、矢作穂香、常盤貴子
1941年の春、佐賀県唐津に暮らす叔母の元に身を寄せることになった17歳の榊山俊彦。様々な学友を得て“勇気を試す冒険”に興じ、肺病を患う従妹の美那に恋心を抱き。
そんな青春を謳歌していた俊彦の日常も、いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆくのだった。

わたくしが子供の頃から映画を作っておられる大林監督ですが、近年の作品も話題にはなっていましたが未見でありました。
今作は“戦争三部作”的にくくられたりしてますが、タイミング合いまして見てきました。

当初は 169分という長尺に尻込みしてるトコもあったんですが…
驚きました。全く退屈することなく、映像に見入ってしまいました。

ストーリーの構成もざっくりした感じだし、舞台も さほど変化は見られません。
でありながら、これだけ引き込んで見せる魅力ってなんなんだろうか?

大林監督 現在80歳。2016年夏に肺がんがステージ4まで進行していたという中、抗がん剤治療を行いながら完成させた作品であると。
思えば 今やアメリカ映画界の巨匠となっているクリント・イーストウッドも 80半ばになりながら、多くの人を引き付ける、心に響く映画を作り続けています。

もちろん体は資本だし 体力的なところも重要ですが、感性とかそういったところがね。
衰えるどころか研ぎ澄まされていってるのは脱帽です。

今作の舞台は佐賀県北部に位置する唐津市。どうやら 戦争がおっぱじまりそうだぞ〜という時代。
現代と違って派手な娯楽もない、ましてや地方都市。そして本当に戦争が始まったら…
そんな中に生きる若者たち。

環境、思想、そして病とも向き合いどう生きていくのか。
物語としては そういったことうえに成り立っているようですが。

前述の通り、それらを提示する映像美。役者たちの芝居。いずれも素晴らしいです。

度々インサートされた血液を模した花びらのカットであるとか。
ありえなかろうと思わせるモノトーンの床。左右が反転する映像。
くすんだ色合いの中の白と紅の美しさ。

そして終始 バックに流れる音楽。
いろんな音・映像に紡がれて、息つく暇もなく見入ってしまいました。

本来の設定は“学生”であるはずの男たちが 大半30代の役者が演じてるんだね。
それ普通の映画でやったらビジュアル的に成立しなさそうだけど、なんだろうか。
当時の学生って、今の青年期ぐらいの成熟度あったのかな〜と思うとちょっと納得。

終盤、ひとり、またひとりと消えていく登場人物たち。
そして最後に残される者、残された思い。

なにが どうかと結論めいたことを述べるなんて野暮なことはさておき。
なにが心に残ったか、何を感じたか。それだけだよね。

ハッキリとした結論を求めたい今どきの日本人には向いていないかもしれませんが。
だから映画として印象に残るんでしょうね。

2017年・キネマ旬報ベストテン日本映画2位に選出された作品。
イチ映画ファンとして、ホントに見て良かったです。

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花筐鶴
posted by 味噌のカツオ at 22:00| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月08日

ブリムストーン

マルティン・コールホーヴェン
ガイ・ピアース、ダコタ・ファニング、エミリア・ジョーンズ
夫と2人の子供と暮らすリズ。ある事情で言葉を発することはできないが、村では助産師として頼られている。
そんな彼女の前に揺るぎない信仰心を持った牧師が現れる。「汝の罪を罰しなければならない」そう告げられたリズの脳裏に壮絶な過去の記憶がよみがえる。

予告で見たその映像。シチュエーションとしては西部劇か? しかし何やら不穏な雰囲気に漂う狂気。
「何だか気になるぞ」とチェックしてみましたが。

驚くべきことに東京・大阪・名古屋の計3館での上映。どんだけ小規模公開やねん!?
上映時間は約2時間半。いくらか長尺ではありましたが、時間を調整して見てきました。

言葉を発せず手話でコミュニケーションをとる主人公リズ。そして幼いその娘。
年の離れた夫。「母親じゃない」としてリズに心を開かない夫の連れ子。

そんな彼女の前に現れる牧師。
言葉を発せずとも その表情、立ち振る舞いで 伝わる緊張感。

普通の作品であれば この牧師が怪しいのか、良い人なのかで多少引っ張りそうだけど、今作は即行でリズの前に立ちはだかります。
そういう粘りを入れずとも、この二人の関係性がどういったものなのかでしっかり物語を形成していきます。
そして一気に訪れる衝撃の展開。

彼女たちの関係は?というところで その過去を描いた第2章、第3章へ。
そして第1章の続きとなる第4章へという構成。

教会が出てきたり牧師さんが出てきたり。
罪と罰も関わってくるのでキリスト教的なテーマ性があるのかと思いきやそうでもなさそうな。

率直に言えるのは、とんでもない変態性。
そして映画として 見るに堪えない、目を背けたくなるようなシーンがチョイチョイ入っております。
人としてやってはいけない行為。実に痛々しい描写。それに動物たちの…

そんな2時間半の映画ですが、良くも悪くも緊張感が支配しているし、成長したダコタの美しさもあって 思いのほか集中して見いってしまったわけですが。

タイトルの「ブリムストーン BRIMSTONE」は旧約聖書の『創世記』などに登場する「焦熱地獄」の意味があるとか。
それも踏まえての『恐ろしいのは地獄の業火か? 違う 愛がないことだ』なんてセリフにつながるんだろうけど。あの決着の付け方には思わず「むぅ」と思ってしまいましたし。
さらには彼女が最後に取った行動の意味合いもイマイチ飲み込みにくかったかな。

いずれにせよ、見ていてイヤな気分を味わうことには間違いないので。なかなか多くの人には進めにくい。
そのくせ 見入ってしまうような映像の力は間違いなくあります。

決して面白くないわけじゃないが、向き合い方の難しい作品ではあるよね。

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荒野の結婚相談所
posted by 味噌のカツオ at 01:20| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月07日

ビジランテ

入江 悠
大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太、篠田麻里子
閉鎖的な地方都市。幼い頃に失踪した長男・一郎。地元の市議会議員として身を尽くす次男・二郎。デリヘルの雇われ店長の三男・三郎。
それぞれの道を歩んできた三兄弟だったが、父親の死をきっかけに一郎が30年ぶりに戻って来る。やがて、再会した三兄弟の運命は再び交錯していく。

タイトルの「ビジランテ」はゴジラと一戦交えたモンスターのことではありませんで。
普通に訳すなら「自警団員」のことだそうで。と同時に、いわゆるアメコミの中では「悪者に裁きを下すもの」を意味するとも。
なるほど。確かに どちらも今作には…ね。

入江悠監督の作品で近年見たのは「SR サイタマノラッパー」「太陽」「22年目の告白 -私が殺人犯です-」。
いずれも とある世界を映し出したり、何がしかの閉塞感が感じられたり。そんな印象なんですが。

今作も「SR サイタマノラッパー」同様、原作なしのオリジナルなのかな。
地方都市の空気感。(季節も含めてですが)映像から伝わる寂しさや温度の冷たさも似てますね。

暴君然とした父親と 若い、幼い、三兄弟。
その父の振る舞いに背を向けて飛び出した長男。

その後 残された次男と三男がどのように生き抜いてきたのかは示されませんが、今現在の次男は父親と同じく政治の道を歩み、妻と息子と共に社会との関わりをもって生きている…ように見えます。
そして三男は親の元を離れ、ちょっと危険な立ち位置で、デリヘルの雇われ店長となっている。

地方とはいえ広大な土地を残し、親父は死去。
「あの親父の残したものなんて 何にもいらねえ」とのスタンスの三男。一方、様々なしがらみで土地を“有効に”使いたい次男。

そこまでは良かったが、突如 行方不明となっていた長男が帰ってくると。しかも土地の権利を相続するという書類を持って。

そういった目に見える事実関係の下で展開される物語。ただし、父と長男の間で何があったのか。篠田麻里子演じる次男の妻の本性は?
など描かれない部分も多く。それは別にいいんだけど。

自分たちの思いはよそに、大きく横たわるしがらみや いろんな外的要因に翻弄されていく三兄弟。
悲劇なのか、真相はどうなのか。それらがどうでもよくなるぐらい巻き込まれていく感じがなんとも。

冷たい川に流されるとまでは言わないけど、抗えないままに生きていくしかない印象。
「サイタマノ〜」でも似たような雰囲気は感じたけど。あちらはまだ取り返しがききそうな、まだいろんな方向に舵を切れそうな若者だったけど、今作は もういい大人で社会人だからね。
そういう意味も含めて(これだけ巻き込まれると)やり直せない気がしちゃうんだよね。救いが無いともいえるのかな。

それに「サイタマノ〜」ではラストに“吐き出す”描写があったけど、今作はそういうカタルシスも得られなくって。
テーマ性とかイメージが近いようで、後味は・・・

わたくし的に後味が悪いならそれもまた〜と思えるけど。そうじゃなくて あまりにも無な感じがして。
決して 見るんじゃなかったとまでは言わないけれど、虚無感しか残らないというべきか。

これはこれで多少の賛否があったりするようだけど、それもわかりますね。

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一郎、二郎、三郎 はわかりやすい役名
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2018年01月06日

フラットライナーズ

ニールス・アルデン・オプレヴ
エレン・ペイジ、ディエゴ・ルナ、ニーナ・ドブレフ
医学生コートニーは、人は死んだらどうなるのかという興味のもと、ある臨死実験を仲間たちに提案する。
それは彼女が自身の心臓を止め、1分後に蘇生させるという危険なものだったが、死後の世界を垣間見て生還を果たした彼女の体にはある変化が起きていた。

全然知らなかったんだけど リメイク作品なんですね。
オリジナル版は1990年制作。ブレイク前夜の ジュリア・ロバーツ、キーファー・サザーランド、ケヴィン・ベーコンらが出演したとのことで。そっちもメチャ気になりますが。

当然ですが そちらの詳細な情報は入れずに鑑賞。
ただし、チラシやらサイトで あらすじだけは押さえておいたわけですが。
ぶっちゃけ それらのあらすじと実際の作品の整合性が取れていなくって。

死後の世界がどんなものかという名目で心臓を停止し1分後に蘇生。そして3分、4分とエスカレートしていきつつ、7分を過ぎたときに…
などと書かれてたんだけど。7分という“キーワード”は出てきていないし。
チラシの写真も本編と合わないものであったり。

そういうことが関係しているのか否かわかりませんが、残念ながら見た人の評価は決して高くはないね。
序盤はイイ感じの洋画見てるな〜という印象だったけども、サスペンス、ホラー、オカルト、青春ムービー…
いろんな要素があってもいいんだけど、そのいずれもが弱いような。

ズバンとくる感じでもなく、ストンと腑に落ちるでもなく。
なんかもったいなかったなぁ。

まるっきりダメダメとも思わないので、結論付けるならB級らしいB級レベルってかな(苦笑)

あとは余談ですが、一見ヤンチャだけど実は優秀。みんなの蘇生に尽力したレイが金子ノブアキにしか見えなかったわ。

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フラ〜ットライナーズ
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2017年12月24日

パーティで女の子に話しかけるには

ジョン・キャメロン・ミッチェル
エル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン
1977年のロンドン。内気なパンク少年エンは、偶然もぐりこんだパーティで美少女ザンと出会う。
しかし、彼女はあと48時間で遠い惑星に帰らなければならない。ふたりは大人たちが決めたルールに反発し、危険で大胆な逃避行に出る…。

正直 あまりよくわからない映画だったです。
パンク好きで内気な少年が ちょっと不思議な女の子に惚れちゃって。

でも実は彼女は異星人であったと。
そしてボチボチこの星を離れなくてはいけないと。

意外といっぱい存在してる異星人とやらは、いくらかその感覚が地球人離れしてるトコあるけども。
まぁ言うなれば、この作品に出てくるパンキッシュなヤツらも、一般人の感覚からすると ちょっとイッちゃってるし(笑)

そのくせ ラストで妙なほっこり感を味わえたりしてさ(笑)

なので あんまり理屈ゴネて見る必要もないし。
ヤツらに身を委ねて楽しめばいい作品だよね。

ワシだけかもしれんが。
「パーティで女の子に話しかけるには」というタイトルがイマイチ ストライクではないような。
これはこれでしょうがないのかな?

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ゲロキス(笑)
posted by 味噌のカツオ at 13:52| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月25日

火花

板尾創路
菅田将暉、桐谷健太、木村文乃、川谷修士
お笑いコンビ「スパークス」の徳永は、地方の営業先で先輩芸人「あほんだら」の神谷と出会う。神谷に魅了された徳永が「弟子にしてください」と申し出ると神谷はそれを了承。その代わり「俺の伝記を作ってほしい」と頼む。
2年後。徳永は大阪から東京に拠点を移した神谷と再会。神谷の同棲相手である真樹とも親しくなる。

2015年上半期の芥川賞に輝き 大きな話題となった又吉直樹の同名小説を、板尾創路が映画化。
わたくしも同作は読んではいますが…正直 細かいことは覚えていなくて。

ところが今回の映画版。板尾監督の手法が分かりやすかったのか、意外なほどすんなり伝わってきました。
さほどの期待をせずに鑑賞しましたが、終わってみれば 間違いなく見て良かったと言えますね。

お笑い、漫才というジャンルも非常に浸透してきているせいか、それらをテーマにした作品も結構多いんですよ。
ただし 今作がそれらと似て非なるのが、漫才コンビの二人の物語ではなく、別々のコンビの、先輩と後輩の関係ってのが独特ですね。

なので漫才コンビという特異な関係性ではなく、夢を追う(社会的な)ダメ人間の愛おしさに訴えかけるという。
ある種の人には憧れかもしれないし、別の人にとっては共感できる主人公たちなのかもしれません。
そんな夢追い人たちの、葛藤、挫折、現実なんかもキチンと描かれていると思います。

原作を読んだ時点では 違和感を感じたり、わかりにくかったりした部分も上手く表現されていて。
特に最後の舞台のシーンは素晴らしかった。

原作であれば文字だけなので、読者の感性に委ねることになってしまいますが。
映画ではそれを“再現フイルム”として成立させなくてはいけない。これを見事にやってのけた板尾監督も「スパークス」も素晴らしかった。

そんな映像だからこそ感じられた部分もいくつかあって。
冒頭の 打ち上がっていく花火の2本の光の筋。その光の筋こそ彼らなんだろうけど、この花火、大輪の花を咲かせる前に映像が変わってしまうんですよね。
もう それだけで「あぁ…」と思ってしまったし。

ネタ見せ会場の外だったか、小さならせん階段のシーンがあって。そこでは いくつもの芸人たちが ネタ合わせをしてるんだけど。
まさに売れない芸人たちで込み合うらせん階段って。それだけで業界の状況を表してますよね。

またスパークスの二人の思いが 行き違ってしまう公園でのシーンでも、二人が別々の方を見ている映し方だったり、どちらか一方にしかピントが合わない見せ方だったり。
それらの板尾監督の手法、わたくしにも伝わってきました。

そして菅田将暉と桐谷健太の二人も上手かったなぁ。
そもそもが 共に大阪出身なので、この手の掛け合いとかはお手のものなのだろうけど。

敢えて言いたいのは この二人はW主演としておいといて、2丁拳銃・修士がまた良かったですね。
それこそ本業が漫才師なんだけど、でもこういう演者にこそ 助演男優賞を与えてほしいなと思ってしまいました。

さて、本編の終わったその後に、菅田将暉と桐谷健太の歌う「東京キッド」が流れるのもまたアツかったですし。
さらにラストのワンカットにも感じるものがありましたね。

原作が出版されたときには「花火じゃなくて火花なの?」みたいなことも耳にしたりしましたが、この映画版を見たらそれはそれで納得できましたし。
原作本の「表紙の赤いヤツは何なん?」とも思いましたが、それも受け止め方次第でアレコレ感じられるんじゃないかな。

やっぱりわたくしは本より映画のが性に合ってるわ。

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たまらん幽霊風俗嬢
posted by 味噌のカツオ at 01:02| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月09日

ポンチョに夜明けの風はらませて

廣原 暁
太賀、中村 蒼、矢本悠馬、染谷将太
ただ何となく毎日をやり過ごしている又八、ジン、ジャンボの男子高校生三人組。仲間の中田と共に卒業式乗っ取りライブを計画。だがその直前、ジャンボの父親の愛車を無断で借り、高校生活最後の旅に出る。
道中、ハチャメチャな体験をする3人。果たして彼らの行く先は?そして中田の待つ卒業式に間に合うのか?

「淵に立つ」「アズミ・ハルコは行方不明」で見て いい役者やな〜と思っていた太賀くん。
そして「ちはやふる」で肉まん食ってた良いキャラクターの矢本悠馬くん。

わたくしが気になってる若手俳優が共演ってことで。これは押さえておくべきでしょ〜と見てきました。
あぁ「ヒメアノ〜ル」や「貞子vs伽椰子」の佐津川愛美も出てるね。

一応原作あるんだなと。
あまり事前情報を入れずに見に行ったんだけど。そんなにストーリーとかも気にせず、コイツらと同乗した感覚で見て正解なのかな。

タイトルの「ポンチョに夜明けの風はらませて」って、なんのこっちゃと思う人もいるのだろうが。
一定の年齢以上であれば、アニメ「母をたずねて三千里」の歌のフレーズというのは思い浮かぶわね。
ただし、この映画は“母をたずねる”お話ではありませんで。

一流大学を受験しながら不合格となってしまったジン(中村蒼)。親父の車をボロボロにしてしまい まさに合わす顔が無い状況のジャンボ(矢本悠馬)。なんでジャンボというニックネームなのかは…!?
そして自分がどこへ向かうのか。あるいはどこから来たのかも見えない又八(太賀)。

三者三様、良い個性を持っていて。決して強くもないし、かといってバラバラでも無い3人が、行き当たりばったりの旅に出ると。
途中 破天荒なグラビアアイドルの愛、内気な風俗嬢マリアも巻き込んで、手の届く範囲内でのやりたい放題。

あることに 熱い思いを注ぐ又八だけど、傍から見てると、絶対そんなことはないと。そして やっぱりな〜という展開(笑)

たいして深みも無く。基本思いつきとその場のノリでのワチャワチャ。全然ドラマチックでもないが、良くも悪くも 実に高校生チックというか。

言い方は悪いけど、見ていて さほど得るものもないし。3人が何かを得たとも思えない。
でも 何も得なくても、その場その場で 心の底から笑いあっていたのは間違いなくて。

そして卒業式を越えたらそれはそれで、どこかに向かわなくっちゃならないし。
でも今はまだ、皮の剥いていないバナナみたいなもので。

一方、ただ一人ギターを練習していた中田くんは、体育館で、あるいはラジオのメッセージで。小さな何かを動かしていたように思います。

いずれにせよ、どっちもどっち。
漂うのも抗うのも、青春ってそんなもの…なんて感じはあるよね。

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丘を越え 行こうよ 口笛 吹きつつ
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2017年10月10日

パーフェクト・レボリューション

松本准平
リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、余貴美子
幼少期に患った脳性麻痺の影響で車椅子生活を送っているクマ。そんな彼が ある日、髪をピンクに染めた人格障害を抱えた風俗嬢ミツと出会う。
車椅子の生活をものともしないクマに感銘を受けたミツは、障害者同士でも幸せになれることを世界に証明しようと彼に持ち掛ける。

実際に身体障害者のセクシュアリティーに関する支援を行う活動家・熊篠慶彦による、実話を基にしたラブストーリー。
脳性まひにより手足を動かすことはできないが、健常者並みに(それ以上に?)性的な興味があるという主人公をリリー・フランキーが好演。

たしかにリリーさんエロそうに見えるけど、決してそれだけではなく。まひを持つ障害者の役を見事に演じられておりました。

この男、冒頭のシーンから そのエロキャラを発揮。パンチラ狙いに 胸チラ狙い。エロ雑誌を購入して車イスには“TENGA”のステッカー。
身体障害者の性についての著書があり、講演活動も行うという。ある意味で裏表のない人でしょうが、“一部の人たち”には抵抗あるかもね。

そんな“クマさん”が一人の女性と出会いますが、その女がデリカシーが無いというか、行動が強引というか。
しかも髪の毛ピンクやし、いろいろ困るな〜という女。

“ミツ”と名乗るその女が いきなり「クマピーのこと好き」と言い出してつきまとってきます。
いくら女好きなクマさんでも、さすがにこれは警戒するわね。

とはいえ、一回やっちゃうと そこから関係性変わってくるトコあるからな。
結局2回目から 正式に付き合い出したということで(笑)

しかし、障害者と付き合うということは 様々な障害があるもので。
かと思いきや、実は この女自身も人格障害(エンドロール時にはパーソナリティ障害という補足もありました)であると。
なるほど、それで 異常なまでの積極性だったのかと これまた納得。

まぁ人格障害と言われると まるで人格が破たんした人みたいに思われそうだけど、実際には幼少時の環境の影響から、心の発達が遅れているというか大人げない正直さの持ち主ということなのかな。
であるが故、良い時は明るく素直な子に見えるけど、場合によっては それが狂気へと転換されちゃうんだな。

事前の印象では身体障害者の恋愛話かと思ってたんだけど、彼女の方にも心の障害があるのかと。
また それだけに収まらず、周囲の視線や世間体というヤツが 二人の恋の障害にもなってしまって。
ちょっと難しい…というか光の見えない展開になっていってしまいました。

「結婚しよう!子どもが欲しい!」というミツに対し、現実問題として「(ある理由から)障害児が生まれる可能性もあるし、この体では育てられない」と冷静に返すクマ。
認められないミツのイライラがバランスを崩し、やがて大きな局面を迎えてしまいます。

周囲の協力も得て、結局 距離を置くこととなったクマとミツ。
そして悲しきラストシーンを迎えるわけですが…

ぶっちゃけ 障害者をテーマにした作品として かなり突っ込んだ作りとも言えるわけで。
おそらく世間一般が持っているであろう 障害者に対するイメージだとか偏見を逆手に取った作りだったのかも。

その分 序盤のレストランでのケンカやら、テレビ局の求めるドキュメント性みたいのを提示されてイラ〜っともしつつ。
二人が見せたラストダンスの悲しみにハァ〜っとため息をつきつつ。

ところが、その後にとんでもない…こっちにしてみればどんでん返しがありまして。
ため息どころか 思いっきり心の中で涙しながらバンザーイ!と叫びたくなったわ。やぁスゴイ!スゴイ!

障害を持つ二人が起こす完璧なる革命。“パーフェクト・レボリューション”ですか。
あのラスト2分ぐらいで一気にやられました。メチャ気持ちのいい映画でした。

さて、リリーさんについては先に書いていますが、一方の清野菜名も 内面的には結構難しい役どころだと思いますが、よくぞここまでやり切ったなと。素晴らしかったです。
そして これは過去にも書いてるはずですが、主人公の友人というようなポジションでの小池栄子は最高。安心して見ていられる名バイプレーヤーですね。
そして余貴美子さんも 程よく怪しさを纏っていて。この主要キャストは みな素晴らしかったです。
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2017年10月02日

HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話

佐藤慶紀
西山 諒、西山由希宏、荒川泰次郎、岩井七世
43歳のビジネスウーマン・晴美。現在は夫と2人で平凡に暮らしている。そんなある日、一人娘のみちよが、娘婿の孝司に殺されてしまう。
やがて孝司は死刑判決を受けるのだが、当初それを当然の事と考えていた晴美は、ある時から孝司の死刑を止めようと考え始める。

いくらか重いテーマの作品ではありますが、そういうのもわたくしお好きなもので。
主演の母親役・西山諒さんの舞台挨拶付きの回にて鑑賞いたしました。

あらすじの通りではありますが。
夫とケンカをして実家にふらりと現れた一人娘。しかし彼女を追って夫が家に乗り込み、母親を切りつけ、娘は殺されてしまいます。

それが原因で 残された夫婦の関係にも壊れていき、弟夫婦は極端に姉のことを案じ。
様々な人間関係のバランスが崩れていきます。

さてさて、以下ネタバレしないと話の論点がアレになるわけですが。
娘が実家に戻ったのは 夫との不仲によるもの。ただし、運命の人だと思っていた相手とは別の運命の人が現れたと母親に告げます。

そこに乗り込んできた夫。娘の部屋に押し入り凶行に及びます。
ですが、じつはここに来る前に、もう一人。おそらく娘の“もう一人の”運命の人を殺害したと思われます。

娘婿は逮捕。その供述は 妻が別の男と共謀して自分に保険金をかけて殺そうとしていたと。その証拠が、妻の携帯に残っていると。
ところが警察が捜査を尽くしても、妻の携帯は見つからず。なぜなら母親が隠し持っていたから。

そのまま裁判が開始。夫が死刑となったのは“2人”を殺害していたことが大きいでしょう。一人の殺害だけではそこまではいかないかな。
ただし、妻側が何かを考えていたとするならば、情状酌量が認められたかもしれません。

しかし、それを証明できる証拠の携帯電話は、母親が“故意に”隠し持っていたと。
であるが故に、夫の死刑は覆らなかった。すなわち、彼を死刑に追いやったのは母親の“意思”であるとも言えるわけで。

そこに 絡むサイドストーリーとして この母親の夫というのも理解が無いというか、心を壊してしまったというべきか。
何がしかの宗教に関わり、一旦は心を取り戻すわけなんだけど。

そして母親の娘夫婦。彼らの言い分や心配も間違ってはいないけど、多少アプローチの仕方がキツいなと。

隠されたままの娘の携帯。パスワードが分からず、中身は謎のまま。
そして終盤。母親が娘婿からそれを聞き出します。彼がパスを知っていたということは実際に 何がしかの証拠の存在を確認していたと思われます。

恐る恐る パスを解除して、そこに書かれていた文言をみて泣き崩れる母親…
ただし観客には その内容は明かされません。

そんな状況を提示させられて。
良く言えば『別離』や『セールスマン』などのアスガー・ファルハディ監督の感じにも通じるところがあるような。
「あなたなら どう行動しますか?どう考えますか?」と試されるような。

ただ 今作に於いては、大方の登場人物全員がNGを抱えてるトコがあって。
考えさせられるほどの感情移入ができないのが…惜しいかな。

さらにややこしいツッコミ入れるならば、もう一人被害者となった男性の遺族も…本来なら関わってくるはずなんだけどね。

ストーリーとしては引き込んで見入ってしまう作りだったのは良かったけども。
全編に渡って 手持ちカメラの揺れ具合が過剰なのがキツかった。
意欲作ではありますが、少々モヤモヤの残る作品でもあるかな。

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はぁ?まざあ?
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2017年09月27日

パターソン

ジム・ジャームッシュ
アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏
ニュージャージー州パターソンでバスの運転手をしているパターソン。いつものように目覚め、仕事に向かい、帰宅して夕食を終えると愛犬と散歩がてら BARで1杯だけ飲んで、妻と眠りにつく。
そんな何気ない日常のなか、パターソンは心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていた。

月曜日の朝。ベッドから起きだす夫婦の姿。
そして一日がはじまり、夫のパターソンは仕事へ向かう。バスの運転手としての勤めを終え、帰宅すると妻との夕食。そして愛犬の散歩に行き、途中の行きつけのBARで酒を飲み、帰宅。

火曜日の朝。ベッドから起きだす夫婦の姿。
そして一日がはじまり、夫のパターソンは仕事へ向かう。バスの運転手として・・・

という具合に、月曜日から日曜日まで、パターソンの一週間を描いた物語。

平日はほぼほぼルーティーンワーク。
普通に生活していると、普通に仕事をしていると、そんなもんだよね。何も変わらない基本線。

でも自分は変わらなくとも、それと関わる周囲に変化はあって。
バスに乗車する客。妻の行動。そんな妻の手によって変えられてく部屋の内装。BARでは 突然男女の情念が暴発したりして。

それらに翻弄されているとも言えるし、そもそもが そんなもんでもあるだろうし。

そんなパターソンの ささやかな趣味と言えるのが秘密のノートに自作の詩を書き留めること。

まぁ単純に“詩”と言ってもさ。わたくし的には“おっ”と思うことは無くて。
英語の詩を日本語に変換するって、翻訳家のセンスにも左右されるトコロあるだろうからね。

それはともかく。夫の書く詩が大好きな妻。
そんな妻が、週末にケーキを売って ひと儲け。
そのご褒美のおかげで、パターソンにとって悲劇が訪れるのですが。。。

ほとんど変化の無いような日々だったはずが、気付けばしっかり物語に見入ってしまって。
そしてふいに登場する日本人男性。あ、永瀬正敏だ。

知ってたけど意表を突かれました。

そこで交わされるパターソンと日本人の会話。
それまでの流れからすると、とても劇的なシーンであって。細かいことは覚えていないけど、ものスゴく不可思議で心地良い世界観を見せてくれましたね。
それだけ突然の日本人というキャラクターであり、永瀬正敏の芝居はインパクト大ありでした。

もうひとつ加えるなら、愛犬役のワンちゃん。カンヌ国際映画祭で最も優れた演技をした犬に送られる賞「パルム・ドッグ賞」受賞したそうで。
それほどまでの名犬であり名演でした。

全体を通じてドッカン!ドッカン!な派手さはなくとも、気付けば妙な感情移入をさせられて。
見終わった後には「ええもん見たわ〜」という満足度高い作品。
素直に 見て良かったですわ。

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ア〜ハンww
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2017年09月02日

ベイビー・ドライバー

エドガー・ライト
アンセル・エルゴート、リリー・ジェームズ、ケヴィン・スペイシー
幼い時の事故による耳鳴りに悩まされながら、iPodで音楽を聴くことで驚異のドライバーと化すベイビー。
犯罪組織の逃がし屋として活躍するが、デボラという女性と恋に落ちたことで、裏社会の仕事から手を引こうと考えるが…

エドガー・ライト監督が20年前から考えていたという、音楽とカーアクションの融和。
物語に歌とダンスを取り入れるのがミュージカルとするならば、これはそれを車でやっちゃうという。

ネット上でも実際の映画の冒頭部が公開されてまして。あらためて見直してみましたが、セリフの無いまま 展開される約6分のシークエンス。
カーアクションが素晴らしく、それを見るだけでも引き込まれるし。なんならセリフなしでも物語が伝わるし。
アクション的には、高架を使って相手を騙すシーンはやられましたね。

それに続く コーヒーを買いに行くシーンもたまらない。
音楽に合わせた動き、街のディスプレイに合わせたサックス。ショップを出るタイミングまでも絶妙。

その後も音楽から登場人物の会話から、なんなら ほんの指先の動きまで目が離せない。いや目だけではなく、耳も油断ならないという(笑)
銃撃シーンでも、ちょっとハードなシーンではあるのだが、「テキーラ!」の使い方ひとつでつで うまい具合にエンターテイメントに昇華してくれてます。

さらに物語が流れていき、多くを語らずとも“ベイビー”の生い立ちから、なぜ この童顔の青年が、こんな裏家業を手伝っているのかがわかるようになっていて。無駄がなかったっすね。

そもそも逃がし屋と呼ばれるドライバーのベイビー。いかにもワルそうな悪党ヅラと共にいることでのギャップも味わえるけど。
一転してラブロマンスのパートでは その童顔がまた良い方に働いて。それを思うと このキャスティングも完璧だと思いますよね。

それだけ映像、音楽、ストーリーでも引きつけられますが、ベイビーが所々に残していった優しさが、ラストに結びついていくという回収の仕方も上手いですし。
ものスゴ楽しめました。

ホントに冒頭から大なり小なりの仕掛けに小ネタが散りばめられていて、気の抜けない2時間で。
欲を言うならば、集中力が試されるというか、なかなか疲れましたね(苦笑)

実際の完成度も高いし、世界的にも満足度が高いにも関わらず、日本ではこれだけの小規模上映ってのは…
日本の映画界は、日本の客はどうしたもんかなと。

そんなことを思わせるほどに 見どころの多い作品でした。
おススメです。
posted by 味噌のカツオ at 21:47| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

ハローグッバイ

菊地健雄
萩原みのり、久保田紗友、渡辺真起子、もたいまさこ
クラスで「委員長」と呼ばれる優等生だが、両親との関係が薄く、その寂しさを紛らわせる為に万引きを繰り返している葵。元彼との間に子供が出来てしまったのではないかと一人悩んでいた はづき。
普段は合い入れないクラスメートの二人が 認知症のおばあさんと出会い、初恋の人にラブレターを渡したいという彼女に協力しようと決める。

今どきの女子高生って(高校生って)、たいへんだよね。
LINEなんてものがあるから、身近な友達との いろんな情報があからさまになってて。

噂話も真実ではないことも、たいがいのことが“筒抜け状態”で。
かと思えば LINE上とは別に、リアルでフォローしあうことも必要で。

その一方で、スクールカーストみたいのがあったり、全くかかわりを持たないクラスメートが“身近”に存在してたり。

そういうのを見せられて「不可思議な関係だね」だの「もっと声かければいいじゃん」だとか言うのは野暮なんでしょう。
それで互いの関係性がバランスとって成立しちゃってるし。それを崩すのはめんどくさいことなんだろうね。

この映画に登場する優等生の葵は、学校での“ポジション”とは別の顔があって。
近所の100円ショップで(生活苦ではなく)万引きを繰り返しています。それを知った はづきは「どうせ親に振り向いてもらいたいとか ちっぽけな理由でしょ」と言ってのけます。図星です。

これまで いくらでもあるドラマの中では、それは大きなテーマとして扱われる要素でもあったと思うんだけど。
今どきの女子高生からすると、そんなもんなんだね。

とにかく 立場も考え方も、おそらく生き方も違うであろう二人が、困ったおばあさんのために協力し合って目的達成に向け…という美談なのかと思ったら。
確かに それはそれで間違いないんだけど、おばあさんのエピソードはゴールではなかった。主体はホントに この二人の関係で。

ものスゴく 思いっきりぶつけ合って。それこそ安っぽくつながるわけでもなく。
そして結論を言っちゃうと、 そのエピソードを通過しつつ、また別の道を歩いていくというのがある意味で驚かされました。

もちろん二人が同じ出来事を共有したことで、二人でしか共有できない感情も芽生えたと思うんだけど、安易にそれで“親友”にはならないんだね。
なんだか2017年の青春のリアリティ感じたわ。

ただし、ただし、もしかしたら彼女らが歳を重ね、記憶がおぼろげにならんとするころになって、初めて“伝えておくべきだ”と思うのかもしれませんな。
感情は似ていても、彼女たちとおばあさんのこととは、状況とかはまるで違うけどね。

80分の作品。内容に起伏がありながらもコンパクトにまとめあげられてて。
現在と過去を描きつつも、テーマは不変なものだと思うし。
映画として 見やすく、かつ 見応えもありました。

主演の二人も若いのに素晴らしい表現力あるし。
もたいさんって どこか“謎”を秘めた要素を期待しがちなんだけど、ここでは純粋に認知症のおばあさん役で。メチャ説得力ありました。
そして木野花さん、渡辺真起子さんも少ない出番ながら、存在感が素晴らしかったし、渡辺シュンスケさんが担当した音楽も見事でした。

「早紀ちゃんは人見知りだけど…」と不意に語りだすおばあさん。
認知症だとか、やさしさだとか そういうの関係なく、自然とそういう“言葉”がこぼれるのが母親なんだよね。
いつまでたってもさ。
posted by 味噌のカツオ at 00:34| Comment(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月21日

ひだまりが聴こえる

上條大輔
多和田秀弥、小野寺晃良、三津谷亮、高島礼子
中学時代に難聴を患って以来、周囲となじめないまま大学生となった航平。ある日、彼は大学の裏庭で、太一と出会う。
やたら明るくて思ったことをすぐに口に出す太一と次第に打ち解けていく航平。しかし、彼との距離が近づくほど期待と不安が募っていった。

“難聴の大学生と明るい同級生との温かな関係を描写したBLコミック”が原作とのこと。
どうしてもBLというワードの先入観込みで見てしまうわけですが、実際にはそれほどベッタリな風でもなくって。

その筋の方向けには ひとつの売りになるであろうBLテイストというのは ほぼほぼ感じられず。
「だから、そこがいいのよー」という声が聞こえてきそうではありますね。

ちゃんと物語に寄り添うとするならば、難聴を患っている方のエピソードとして、それはそれで見るべき点、考える点があったと思います。
全く何も聞き取れないということでもないとか。手話というのも一つの“手段”ではありますが、何やらファッション的にそういうものが扱われていたり、聴力の弱い方みんながみんな手話やってるのかっちゅうとそういうことでもないんだとね。

そういう部分を知ってか知らずか。あるいはただ美味い弁当が食いたいだけなのか。航平にやさしく向き合う太一。そんな彼に対し、他者に感じるものとは違う感情が沸き上がっていく航平。

ただし、男子同士の関係性で、感謝とか感情の高まりをこのような感じで表現することは…ないのかなと。リアルには思うわけですが。
これが女子同士ならどうなのかわからんのだけどね。

でも そこにある感情がとてもピュアであることが、この物語のファンには たまらないところなんでしょうな。
んで紗がかかったような映像も それに拍車をかけていたですかね。

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あの呼び出しにはキレて正解ww
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2017年07月08日

ハクソー・リッジ

メル・ギブソン
アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー
「汝、殺すことなかれ」との教えを心に決めていたデズモンドは、衛生兵として国に尽くさんと陸軍に志願する。しかし銃撃の訓練を頑なに拒否し続け、最終的に軍法会議にかけられるが、とある助けを得てその主張は認められる。
やがてデズモンドら兵士は“ハクソー・リッジ”での戦闘に参加することになる。

名優であり、名監督でもあるメル・ギブソンが10年ぶりにメガホンを取った作品。
この10年の間に何があったかはアレですが。

そもそもメル・ギブさんは敬虔なクリスチャンで。かつてはキリストの苦難のみを描いた「パッション」なんて作品も監督しました。
今作でも聖書は象徴的に登場しますし。根本にあるのは、そんなキリストの教えなんでしょう。

「汝、殺すことなかれ」
ざっくりいうと、自身の手で人を殺めることはしない。決して銃を手に取らない。

しかしどうにか この戦いの力になりたいと、主人公のデズモンド・ドスは衛生兵となることを志願。
紆余曲折ありながら、彼は衛生兵として戦いの最前線に入っていくわけですが。

舞台となるのは沖縄。アメリカと日本との戦い。
実際には150mからなる崖の上。

タイトルの「ハクソー・リッジ」を直訳すると“ノコギリ崖”というもので。
その名称から どのような地形かはイメージできるかな。

(映画の冒頭部分にも少し出てくるのですが)終盤はそのハクソーリッジでの戦いが描かれているんだけど。
前半では訓練の様子も出てはきますが、いざ実際の戦地で火ぶたが切られると、それどころじゃないというのがよくわかります。

やたらめったら敵を撃ち、次々に仲間がやられ。「衛生兵〜!」と呼ぶ声も間に合わんだろうと。
互いに銃を持ってはいるけれど、銃って そんな至近距離で撃ち合うものなのか?と。そんなことを思わずにはいられません。

そんな戦火の状況を、映画的に これまでにないエゲつなさで表現しておりまして。
この手の映像に“耐性”がないと厳しい…いや、無理でしょうね。
それぐらいに生々しく痛々しくて。手法として徹底しておりました。

過去にも戦争を描いた作品は多々ありますが。
これは史実に基づいた、なおかつ日本も絡んでいる戦いということもあり、様々な感想が漏れ聞こえてくるわけですが。

一部には日本を悪く描き過ぎだとか。実際には民間人も犠牲になっているはずだとか。主人公の美談に終わっているとか。。。
いろんな意見ありますが。

実話が元になっていて、デズモンドがテーマの作品なんだから、彼の功績について描くのは映画の作りとしては当然でしょうし。
日本兵を悪として…という意見に対して、わたくし的には これっぽっちもそれは思わなかったな。
それは日本人が日本びいきで見た結果のことでしょう。

どちらにも相当な犠牲が伴ってはいるわけだし。
ぶっちゃけ米軍が〜日本軍が〜というよりも「戦争アカン」という、そっちの方が強く印象に残ったわ。

それはそれで素直な感想だけども。
デズモンドの純真な思い、また映像のインパクトと比較して。
良くも悪くも思想の部分のメッセージ性は印象に残りにくかったとは言えるかもね。

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ハクソー?吐きそう?
posted by 味噌のカツオ at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする