2016年04月22日

パリよ、永遠に

フォルカー・シュレンドルフ
キャストアンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプ
1944年8月25日未明。コルティッツ将軍はヒトラーからナチス・ドイツ占領下のパリの破壊命令を受ける。
標的はセーヌ川に架かる橋の数々、ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、エッフェル塔…
スウェーデン総領事のノルドリンクは計画を阻止すべく、コルティッツを訪問する。

1年ほど前に劇場で予告を見て気になりつつ、見落としていたのでレンタルDVDで鑑賞。

わたくし自身、パリには行ったことありませんで。
それに そもそも歴史にも大そう疎いので、第2次世界大戦についてもそんなによくはわかっていない。
それでも、いや それだからこそ、こういう映画で史実の一端に触れようかなと思った次第。

美しいパリの街。しかし 実際にはそんな危機が迫っていたと。
誰もが知るパリの名所たる名所、全てを爆破、焼き尽くさんとする恐ろしい計画。
もちろん“美”としての視点もそうですが、そこには多くの人も存在するわけで。

アドルフ・ヒトラーからの指令。
家族を人質のように取られてしまったドイツ軍将校。その命令に背くことは自身の、また家族の命にも関わってきます。

一方、パリ生まれパリ育ちというスウェーデン総領事。
誰に頼まれたわけでもなく、ただ純粋に この美しきパリの街並みを守らんとするその思いから将校の説得を試みます。
しかしタイムリミットは刻一刻と近づいていきます。。。

結論から言うと、計画は実行されなかったんですよね。だってパリ、今もそのままあるから(苦笑)
その中で どのような説得と駆け引きが行われたのか。というところですが、取り立てて大胆な〜という風でもなく、わりと現実的でノーマルな印象。
それより“隠し階段”とか“ミラー”の設定のが気になったりして。

基本的に密室での会話劇。
原作は舞台で上演された芝居と聞くとそれも納得。
その分 映画のフィールドで見ると、少々物足りない感はついてまわりますが。

本編とは関係ないんだけど、冒頭に荒涼とした廃墟の古い映像がインサートされます。
まさに戦争の跡なんでしょうかね。

その国の人々が作りあげた街であり文化というものを、戦争の名の下に異国の者が焼き尽くしたという証なのかな。
あの映像が そのまま複雑な思いとして残りましたです。

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パリパリ伝説
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2016年04月08日

ビューティー・インサイド

ペク
ハン・ヒョジュ、パク・ソジュン、イ・ジヌク、上野樹里
18歳のときから目覚めると老若男女…外見が変わるようになってしまったウジン。人に会う仕事ができないため、インターネットを駆使して家具デザイナーとして働いていた。
ある日、家具屋で働いているイスと出会い、次第に心を奪われていったウジン。イケメン姿となった日に意を決してイスをデートへ誘う。

元々は現在29歳の男性なのだが、ひとたび寝て目覚めると全てが変わってしまうウジン。
その代わり方たるや年齢、性別、国籍も様々で。

そんなトンデモ設定ではありますが、そんなファンタジーをそのまんま進めていけるのが映画の良いところ。
その設定をいかに不自然さを感じさせず見せられるのかが作り手の手腕ならば、我々もそこにどれだけ感情移入できるかが楽しむポイント。

基本はラブストーリー。
彼女にしてみれば 心は同じであることは大前提。それなら今日はどんな姿になっているのかを楽しむのも一興。
とはいうものの、それが毎日続くとなると さすがに不安になっていきます。
職場の同僚からは「あの娘、いつも違う男と…」なんて良からぬ声も出てきます。

それらを乗り越えて、果たしてそんな奇妙な男性と付き合えるのか。

もしも自分がウジンの立場だったら、彼女とどう接するか。
自分がイスの立場だったら、変わらず彼を思い続けられるか。
いろいろ試されるなぁと思いつつ。

でも、でも 究極的にはね、日々同じ姿であっても愛し続けられない関係だってあるわけじゃん。

ふと そういうことを考えるとね。
ある意味 これはこれで、シンプルでピュアな愛の物語であるのかなと。
やっぱり観客が試される映画なんでしょうな。

恋する日々のなかでイケメンもあればハゲる日もあり。子どもにでもなればおじさんにもなる。
ただしキーとなる日は わりとイケメンの時が多かったような。

もちろんイケメンの日だからこそ勝負できるってのもあるだろうけど。決定的な日にブサメンってのはなかったのは・・・
ラブストーリーだからね。コメディじゃないからかね(苦笑)

国籍までも変わっちゃうという中で、日本からは上野樹里が参加。
以外とターニングポイントとなる日の設定だったのはちょっと嬉しかったです。

イス役のハン・ヒョジュは 中森明菜さんをスラリと若くしたような顔立ちで美人やったですね。
あんなキレイな人が大塚家具におったら、やっぱ通いたくなるわね(笑)

さてさて、エンドロール時に もう一つの物語がありまして。
う〜ん、さすがに親子なんだねぇ〜と思いました。

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パスポートの写真とか、どやったん?
posted by 味噌のカツオ at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月27日

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

ザック・スナイダー
ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ
人類を守るため異星人と戦ったスーパーマン。だがその代償として都市に大きな被害を出してしまう。地球人にとって脅威と化したその力を取り除くべく、バットマンが立ち上がる。
神に等しい力を持つスーパーマンに、“生身の人間”バットマンはどう立ち向かうのか?

アメコミヒーローズの作品といえば昨今はマーベルコミックの「アベンジャーズ」が話題になってますが、ここにきてDCコミックスも動き出しましたぞ〜っと。
それがこの「バットマン vs スーパーマン」であります。

日本人とすれば、マーベルとDCの2大ブランドの存在や関係に それほど馴染みがあるわけでもないのが正直なトコ。
ぶっちゃけ「アイアンマン」「キャプテンアメリカ」なんてキャラクター知ったのもここ数年でしょ(笑)

その一方で「バットマン」「スーパーマン」は子供の頃から存在は知ってたよね。さすがに。
その両者が対峙するんだから気になりますわね。

ただ率直に申しまして。「アベンジャーズ」のヒーロー大集合のお祭り感であり 無駄な明るさに比べて、こっちの世界観の まぁなんとも暗いこと(-_-)
あっちが「西部警察」だとしたら、こっちは「特捜最前線」かってなぐらい(!?)

そんなハナシはさておき、個人的には「アベンジャーズ」よりもシリアスなテイストの今作のが好みではあります。
スーパーマンの前作「マン・オブ・スティール」のザック・スナイダーが監督。「バットマン」シリーズのクリストファー・ノーランが製作総指揮にと。これはこれで良いバランスでは。
その分「マン・オブ・スティール」と「バットマン」のダークナイトシリーズの予習は必須ですね。
んでないと この物語の設定が飲み込めないかもです。やぁ間違いなく。

冒頭、ブルース・ウェイン少年時代のエピソードから始まります。非常に悲しい描写ではあるんだけど、あまりの映像のキレイさについつい引き込まれまして。
この時点で「あぁ良い映画だなぁ」と(笑)

そしてスーパーマンを見つめるブルース・ウェイン。
レックス・ルーサーを介してのクラーク・ケントとブルース・ウェインの邂逅。
それに割って入る謎の美女…

そうやってストーリーは展開していくんだけど。決して眠たいわけだは無いんだが、編集が雑なのか映画としてのリズムは正直イマイチ。
ただし、スーパーマンが公聴会に招かれて〜という辺りでやっとスイッチが入ったかな。ちょっと驚きの展開でもあったので。

そこからバットマンのスイッチも入って(?)大きく話も動きだします。戦いが、バトルが始まります。
とはいえ いきさつとしては、多少 思ってたのと違ったですかね。ぶっちゃけ予告編では、スーパーマンが もっともっと一方的に悪役ポジだと思ってたので。良し悪しは別にしてね。
まぁ「ダークナイト」ではバットマンも その戦いが受け入れられていないトコもあったからなぁ。

そして新たな敵、「お前のツレだろ?」という新たなキャラクターも登場。戦いはさらにグローバルになっていきます。
正直「マン・オブ・スティール」のバトルシーンではその戦いっぷりよりも、やり過ぎる破壊のが気になっちゃってて。これ、地球滅亡すっぞと。

ところが結果的に今回もそういう規模にまで発展。
また多くの犠牲が出ちゃってないかい!?
あららら・・・(苦笑)


さて 正直なこと言うと、決して「名作だ」とか「沁みた」と言えるほどには高まっていないかな。
戦いの規模が大きくなり過ぎて、僕らの問題としてハートには響かなかったか。それとなく親子というキーワードも入ってるけど、それほどアツくはないし。

イケメンなカヴィル。そしてマッチョなアフレックも及第点。
それらのキャラクターとしての満足度はあっても、やっぱり物語としては弱かったかな。
“VSモノ”っちゃあ どうしてもそうなるでしょうが。「キングコング対ゴジラ」というわけにはいかないよね。

でも そんなステレオタイプな展開を超える要素がもっとあればよかったんだけど。
あぁラストの流れは意外といえば意外だったけど。
ただし絶妙な To be continued でしたな(笑)

それにしても暗い映画だったね。
嫌いじゃないけど。むしろ そこは好きかもだけど。

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葬式にはじまり 葬式に終わる
posted by 味噌のカツオ at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月24日

僕だけがいない街

平川雄一朗
藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川 翼
売れない漫画家でフリーターの藤沼悟は、何か悪い出来事が起こると、原因が取り除かれるまでその時間がループする『再上映(リバイバル)』が起こるようになる。
やがて藤沼の母が犠牲となる事件が発生。それをきっかけに彼は18年前の小学生時代へとリバイバル。過去と現在を行き来しながら事件の真相に迫っていく。

人気のマンガが原作。ただし 最終巻はまもなく発売だと。
さらに現在並行する形でテレビアニメ版も放送中。
この映画版はオリジナルの結末という事ですかね。

なので「原作を知っている」「アニメでハマった」「全くこの作品を知らない」という各々のスタンスで評価も別れる感じ。
ちなみにわたくしの場合 予備知識は映画の予告編だけで。そのうえで…

う〜ん、なんとも難しい。
面白くないわけではないんだけど、物足りない気もする。

そもそも話の奥行きが深いので、2時間に収めるためには 細部が端折られるのはしょうがない。んでそうなると展開は雑になっちゃう。
本当なら時間軸も登場人物も噛みしめたらもっと味が出そうなんだけど。

通常であれば“コッテリ”味の藤原竜也だけど、この作品では それが最小限に抑えられております。
どうしてもあのクドい演技が〜という向きにはちょうどいい加減かも。しかし…
実際にはどこか物足りなく思えてしまったのも事実。

やはり目をひんむいてがなり立てる藤原竜也を無意識のうちに期待してしまっているのだろうか!?

そんな藤原竜也の少年時代(正しくは悟の少年時代)を演じた中川翼くん。この子がなかなか上手やったわ。
体は小学生だけど意識は藤原竜也(正しくは悟)ということで、子役ながらしっかりと暑苦しさ感じられたからね。

そして やはり難しい表現が求められたであろう鈴木梨央ちゃんも上手かったですよ。
この子役2人は素晴らしかった。

その分 有村架純ちゃんがピンとこないというか。
正直ストーリーの核には絡んでいないような立ち位置で。だったらこんなにカワイイ架純ちゃんじゃなくて、もうちょっと地味な人のが良かったような。
とにかくカワイイんだ。カワイイさのバランスと役のポジションがストライクじゃないような気がしました。

あとは石田ゆり子さんがまたステキ。見ながら「こんなにステキなのに、なんでこの人独身なんだろう」と思うぐらい若々しいの。
ただ 若々しさ故、藤原竜也の“母さん”には思えない。

そんなこんなで あれやこれやと余計な事を次々考えつつ。。。
2時間 駆け足でストーリーをこなしていくのが最重要な印象で。結果 メリハリというか、山場へ向かうタメが乏しく思えてしまった。
なんだか大きなどんでん返しや驚きもなく、ラストまで行ってしまった感じで。もったいなかったなぁ。

それ以外にもツッコミどころ、気になるポイントがチョイチョイあって。
トータルすると、2時間に収めるには、やや無理があったのかも。
決してつまらなかったわけじゃないんだけどなぁ。

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僕街diary
posted by 味噌のカツオ at 01:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月17日

不屈の男 アンブロークン

アンジェリーナ・ジョリー
ジャック・オコンネル、ドーナル・グリーソン、MIYAVI
イタリア移民の子として育ったザンペリーニ。いつしかその才能を開花させ、ベルリン・オリンピック5000m走に出場し驚異的な記録を樹立する。
やがて戦争が始まり、空軍爆撃手として戦争に関わるのだが、彼を乗せた爆撃機が海に不時着。漂流47日目にして大きな船が近づいてくるのだが…

製作は2014年。かのアンジェリーナ・ジョリーが監督。ジョエル&イーサンのコーエン兄弟が脚本に参加。ですが、日本公開までには少々時間を費やしたようで。

理由としては この映画の後半、日本軍による捕虜虐待のシーンがあったり、原作に日本軍のエグい描写があるだとか。
とにかく日本で上映するには それなりのハードルがあったようで。

とはいうものの、あくまで映画ですから。
作品も見ずに、中身も知らずに「日本上映不可」となっては どこぞかの偏った思想の国みたくなっちゃうからね。
まずは公開されて良かったと思います。

そのうえで、それらが映画としてどのように撮られているのか。そういう興味も含めて、なんなら期待しての鑑賞。
言うまでもないけど、実話ベースの映画化であります。

流れとしてはイタリア移民として いじめにもあった少年期。
5000mの走者としてオリンピックにも出場した青年期。

その後、戦争が始まり、彼の一つの目標であった東京オリンピックは中止となり、彼も戦争に関わっていくことに。
しかし不慮の事故により 長すぎる漂流の日々を余儀なくされます。

そんな彼らを救い上げたのは日本軍で。彼も捕虜として扱われ、虐待を受けながら強制労働を強いられます。
やがて時は流れ、戦争が終わり、彼も国に帰ることができたと。

そんな感じ。
しかし、事前に起承転結まで知ってしまっていたとはいえ、眠たかったですねぇ。

確かに47日間の漂流は過酷だったと思いますよ。
でもこの映画の中では「そうだろうな」と思う以上の出来事、トピックに乏しいんだよね。
食べ物が無い、飲み水も無い。おまけにサメがウヨウヨまで最初に見せちゃうから、ジワジワ追い詰められる感がなくって。そのまま47日なので「あぁぁ」というポイントの少ないまま耐える描写が延々。

それに続いては捕虜のパート。
これも強制労働にいわれなき虐待が ほぼ初めっからで。何かがエスカレートしていくという展開とかが、映画としては弱い気がします。

ひたすら耐える描写オンリーなので、結果こっちも眠たくなっちゃいます。
そう、耐えに耐えて、どうなっていくんだ〜というところで「戦争、終わりました」の報。
主人公が能動的にどうかするという要素は皆無。ひたすら時代に翻弄されましたってかな。

そういう意味で主人公にどうにも感情移入ができませんでしたと。結局つまらなかったという印象になってしまいます。

そのザンペリーニを追い込んでいく渡辺伍長というのも、人物描写が浅いものだから深みがないんだな。
もうちょっとドスの効いた声質で年配のおっさんのが凄みとか、いやらしさを表せたんじゃないかしらん。
もったいないね。

まぁ日本人の立場として「日本人を悪モノにするな!」という思いより、「中途半端やないかい!」とツッコミたくなっちゃったね。
先日見た「サウルの息子」ぐらいヒリヒリした感じを出してくれたら、こっちも緊張感持ってスクリーンに向かえるんだけど。
そういう意味で、残念な印象だったですわ。

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よくぞ あんなガリガリにまで…
posted by 味噌のカツオ at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月07日

ヘイトフル・エイト

クエンティン・タランティーノ
サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー
雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキスは、同じ稼業であるジョンと彼が捕らえたデイジーを乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリスを拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブや怪しげな絞首刑執行人オズワルドなどの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。

『タランティーノが仕掛ける密室ミステリー』という触れ込みのこの作品。
そう言ってしまえば確かにそうなんだけど、ミステリー色が強いのかと問われると、そうでもないような。
しいて言えば、やはりこれはタランティーノの映画なのかなと。

タランティーノ作品にわりと共通した点ではありますが、この映画も長いです。上映時間168分。予告とか合わせて ざっと3時間。
そしてよくしゃべる。セリフの多い会話劇ベース。

どうしても我々は字幕を読んで着いていかなくてはならないので、なかなか大変。
しかも前半は駅馬車でのやりとり。そこで各々人物像が語られるわけですが、大きな動きも乏しいので正直、眠たかったです。

そして猛吹雪を凌ぐための山小屋に到着。ここからまた登場人物が増えまして。さらに人物像を飲み込むことが求められます。
もっと言うなら、どこまでが本当で 誰がハッタリをこいているか。そういう疑心暗鬼にならざるを得ない展開で正直、疲れます。

というところで事件が起こり、ググッと物語が動き始めます。
さすがにこうなると飛びますね。眠気(笑)

嘘を絡めた駆け引き。そしてなんといってもエゲツナイ血しぶきに飛び散る肉片。ここらへんはタランティーノの真骨頂。
また予想だにしなかったどんでん返しのぶっ込み方もハッとさせられます。

ちなみにタイトルのヘイトフル(HATEFUL)は「憎らしい、実に不愉快な」という意味があって。
ストーリーを引っ張る役どころと思われたサミュエル・L・ジャクソンも、嬉々としてゲスいエピソードを語りだし、不快感を煽る存在やったね。

何気に渋い役者たちによる、この騙し合いとサスペンスフルなサバイバル。
タランティーノファンなら楽しめるだろうけど、そうでない方にはちょっと“ヘイトフル”かもね。

そんな「ヘイトフル・エイト」のエイトは主要キャストが8人というのとは別に、タランティーノの監督8作品目であるというのも大きいのかな!?

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兵と震え意図
posted by 味噌のカツオ at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月27日

ブリッジ・オブ・スパイ

スティーヴン・スピルバーグ
トム・ハンクス、マーク・ライランス、アラン・アルダ
米・ソ冷戦下の1950〜60年代。保険関連の弁護士ドノヴァンは、ソ連のスパイであるアベルの弁護を引き受ける。
一方で米軍偵察機の乗組員パワーズがソ連に捕らえられ、ドノヴァンは秘密裏にアベルとパワーズの交換という任務を委ねられる。

冒頭からのロシアのスパイが逮捕されるくだりの紙一重(?)の攻防。
米軍パイロットがどのようないきさつで囚われてしまうのか。
こういった辺りの見せ方はとても興味深いものです。

そして裁判を通じて男同士の友情のような感情を通い合わせる二人の物語。
またそれを演じたマーク・ライランスとトム・ハンクスもいいですね。

その昔「ダイ・ハード」シリーズでブルース・ウィリスはど派手に巻き込まれる主人公として有名でしたが、トム・ハンクスは「ターミナル」や「キャプテン・フィリップス」など、静かに巻き込まれるキャラが似合っちゃいますね。
なんか人の良さがジワジワくるような。

スティーヴン・スピルバーグの監督作品としては「リンカーン」以来 約3年ぶり。
万人が楽しめるエンターテイメント作品の製作もしつつ、埋もれがちな歴史を通じて多くの観客にメッセージも送り続けているスピルバーグ監督。

もちろんこれは後者より。良質な人間ドラマの映画ではありますが、さすがにそこはスピルバーグ。いくらかカタくなりそうな物語であっても、観客を飽きさせないようなアプローチで魅せてくれます。

またこれらはコーエン兄弟が脚本に関わってるからかもですが…
正直ストーリーとしては地味。映像も全体的に暗め。雪の舞う映像なんて、それだけでも喧騒を奪われるような静けさを感じますし。
終盤、本当に交渉が成立するのか〜というタメがあっても、ぶっちゃけ結末はそうなるであろうとして見てるわけだし。

それでも心のどこかでドキドキを感じたり。
列車の車窓から見えたものだけで、文化であり平和でありを映し出してくれるのなんか、見事ですよね。

あとは舞台が1950〜60年代ということで、(CGなんだろうけど)それらの街並みを再現したり、小道具や車などの美術についても見入ってしまった作品でもありました。

エンディングに 主要な登場人物のその後についての文言が流れましたが…
中でも弁護士ドノヴァンは J.F.ケネディ大統領から任命を受け、キューバに囚われた数千人もの人質解放の交渉に成功しているんだとかなんとか。。。

そっちの案件の方が映画の題材としては盛り上がりそうだけどね(苦笑)

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壁ってああやって作ったんだね
posted by 味噌のカツオ at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月14日

ピンクとグレー

行定 勲
中島裕翔、菅田将暉、夏帆、柳楽優弥
大人気スター俳優・白木蓮吾が6通の遺書を残し、突然自殺をしてしまう。第一発見者は親友・河田大貴。
そんな幼な馴染みの死により、一躍世間の注目の的となる大貴だったが、次第に自分を見失っていく。
やがて、大貴は蓮吾の死の真実を知ることとなるのだが…

NEWSの加藤シゲアキ原作。しかしアイドルとあなどるなかれ。これがなかなか面白い小説で…という話だけは聞いておりました。ただし原作は未読。
そしてこの映画版。かの行定勲が監督を担当。そして62分の衝撃という宣伝文句。

果たしてどうなるものか。。。

というわけでの鑑賞後。気になる点も多々あったので、原作を購入して読んでみました。
ぶっちゃけ原作と映画版、くらべてみました。

シンプルに小説の方が好みかな。

映画版を見た加藤シゲアキの感想は結構アレンジしてあるなと。
一方、行定監督のコメントは そのままやっては原作に勝てないと。
まぁそうやろうね。

幼なじみ、二人の物語。
小学生、高校、そしてひょんなことから芸能事務所に入りモデル・役者として仕事をしていきます。
しかし一人は順調にトップスターへと駆け上り、もう一人は鳴かず飛ばずのまま。やがて…距離が…できてしまう。

映画として、やや衝撃的な出だし部分から二人の物語が紡がれていき、映画の中盤。その62分の衝撃が来るんですが…確かにこれはやられましたね。
なかなか予想外の展開。

そんなとんでもない山場のあと、映画はグレーな世界に突入。
ただし物語としては かなり冗長。

そしてエンディング。これがなかなか中途半端で煮え切らない。
やるなら もっとやっとかないと。それが動機と言われても説得力のカケラもない。

そのモヤモヤを払拭せんと原作を読んだんですが、こちらは真っ直ぐで良かったですわ。
答え合わせのような終盤。いろんな面での苦悩の重さに、ちょっと泣けましたから。

菅田将暉演じる男のクソ具合がたまらなくイライラ。夏帆ちゃん演じる女も良くも悪くも“女優”全開で。
そうやって書くと悪口っぽいけど、コレ超 褒め言葉ですから。
二人ともお見事すぎる役作り。スゴイ役者ですよ。

原作もいい。役者も見事となると、やっぱこれは監督であり演出に対してのモヤモヤだったかな。
あぁいうトリッキーな見せ方は堤幸彦にやらせておけと言いたくなるほど驚きはありましたが、ソコだけだったかもですね。

トータルで考えれば、映画としては見て良かったというのは間違いないです。
ただ原作のパッションに追いつけていないのが もったいないですね。
ちょっと、惜しい感じ。

ここからは余談ですが。劇中劇の学園ドラマで(わたくしのお耳が確かなら)「主人公の ときつかぜわたるが…」というセリフがあったんだけど。
“ときつかぜわたる”って とんねるず主演の映画「そろばんずく」で憲武さんの役名が“時津風わたる”だったんだよね。

たまたまなのか、引用なのか。
ちょっと気になりました。
超余談。

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ピン子とGLAY
posted by 味噌のカツオ at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月06日

母と暮せば

山田洋次
吉永小百合、二宮和也、黒木 華、加藤健一
長崎で助産師として働く伸子のもとに、3年前に原爆で亡くしたはずの息子・浩二がひょっこり現れる。
どこか奇妙な再会ではあるが、心から望んでいた息子との会話に伸子は話を弾ませる。しかし浩二は、将来を約束した恋人の町子のその後が気になっており…

1945年8月9日。長崎に原子爆弾が投下され、多くの犠牲が出てしまいました。

当然ながら戦争も経験していない。住んでいる地域も決して近くはないわたくし。
そんな自分の元に入ってくるハナシというのはどうしても広島のことが多いわけで。

それから3日後、長崎も原爆の被害を受けているのに、正直 知らなさすぎるよね。長崎のこと。
なぜにそういうバランスになっているのかは 何とも言えないけれど。

どこかで超巨大地震が発生。それから間もなく 別の地域でやはり大きな地震が起こっても、後者の方はさほど大きく報道されにくくなってしまうと。
それと似た感じなのかな。

閑話休題。
この作品は その長崎が舞台。
普通に家を出て電車に飛び乗り、医師になるべく学んでいた浩二の学校も、原爆で大きな被害を負ってしまいます。

ちょっとした疑問なんだけど、広島であのようなことがあった3日後の長崎は あんな感じだったのかな。動揺とかそういうのはなかったのかな?
教室の黒板に英語が書かれてたけど。敵国の文字を使う事…医学という学びの場ではあるけれど、それはOKだったのかな?

そんな疑問はありつつも。
それから3年後。遺骨でも身に着けていたものでも、何がしか息子につながるものを求めていた母。
それを諦めたところへ、息子が姿を現します。平たい言い方をするならば幽霊という事なのかもだけど。

そこで繰り広げられる物語。
会話でもって3年間の空白を埋めるであり、母の現状を思いやる息子の思いであったり…

確かにテーマとしてはいいなと思いますし、中心となる3人の演技は素晴らしいですよ。
ただ ほぼ全編にかけての“会話劇”なんですよね。

ある程度 それぞれの関係性を知るうえでの会話は当然なんだけど。あまりにも会話でのキャッチボールが長すぎだったり、回想してる話なのは承知だけど どこか説明セリフっぽいクドさがあったり。
正直 冗長な印象は残ってしまいます。
その結果の上映時間130分とするならば、もうちょっと端折って2時間以内に収められなかったのかと。

また展開される場の大半が伸子の家というのもありますね。
ひとつの家の中で 延々と繰り広げられる会話劇。なんだか映画では無くて舞台のお芝居を見てるみたいで。ちょっと違和感。

というトコなんだけど…
そもそも今作の原案として(追悼メッセージもありました)井上ひさし氏の「父と暮せば」という舞台があったそうなんですね(後に映画化)。
その舞台の姉妹編的な企画という事もあっての演出なのかな。

そしてもう一点。山田洋次監督の演出がしっくりこないんですよ。
いや演出の良し悪しというよりも、このテーマに合っていないのかな。
寅さんシリーズ などにあるような軽妙さや人情味が、この映画内に於いては正解ではないような気がします。

細かく言うのは難しいですが、思わず微笑んでしまうような作品であればアリだろうと。そういう雰囲気が気になりました。あくまでわたくし的にではあるけれど。

そしてラストシーンも少々戸惑いがありますかね。
こういう流れであれば、これしかないなとは思うけど。
ただ そこで浩二の口から発せられる「あなたは…」という呼びかけ方に対し これじゃない感が拭えなかったんだけど。
あれはいったい誰が誰に向かっての呼びかけなのかがねぇ。。。

気になる点をずいぶん挙げましたが、前述の通りテーマとしては大切なことではあるんだけど、イマイチ乗り切れなかったというのが正直なところ。

山田洋次監督はもう80歳台なんですか。
やぁでもアチラの方ではイーストウッド監督がいくつになってもハイクオリティな作品を生みだしておられますから。

ここは次回作の「家族はつらいよ」に期待しちゃおうかな。

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ハハハ〜と暮せられれば
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2015年12月02日

ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)

コーネル・ムンドルッツォ
ジョーフィア・プショッタ、サンドロ・ゾター
雑種犬に重税を課すという法律が制定されたある街。13歳の少女リリは、理解の無い父親により 愛犬ハーゲンを捨てられてしまう。
街を彷徨うハーゲンは、人間に裏切られ、やがて保護施設に放り込まれてしまう。そこで多くの犬と出会ったハーゲンは、施設の犬たちを従え、人間に対し反乱を起こし始める。

幻想的なチラシの写真や 謎の多い予告編の映像から気になってた作品。
自他ともに認める“ネコ派”のわたくしですが、たまには“犬モノ”も見ておくべきかと。

基本的に犬というのは利口であり、人間に従順な動物のイメージが付いております。しかしここではさにあらず。
一部では「犬版の猿の惑星か」とのコメントもあって、そこそこ期待してました。

が 率直に言うなら…前半はかなり眠たかったかな。
全体の雰囲気・トーンが暗いのもあるし、物語の伏線となるエピソードがちょっと弱いかなと。

人間の身勝手さ故、振り回されてしまう犬のハーゲン。
置き去りにされ、売買され、闘犬にされ、保護施設に入れられ。犬にとってはえらい迷惑な話ですな。

全体の流れはおおよそわからんでもないですが、所詮は犬のやること。当然しゃべったりしないから、イマイチ本意はつかみきれない。
それこそ「猿の惑星」シーザーのごとく特異な存在感を示して見せるとか、そういうのでもあれば引きつけられたかもですが。
またマンガチックに「ヨシ 仲間たち、行くぞー!!」的な描写も弱いかな。

それでなくても このハーゲン。眠い目をした茶色い雑種犬であって、そんなにカッコよくも、カリスマもない。
犬界のリーダー然とした雰囲気を感じられなかったのは残念でした。

一方の人間サイドも、ピリッとしたものは響いてこなかったか。
少女リリも決して血眼になってハーゲンを探すでもなく。あの楽団はどういうコミュニティで、13歳のリリに対して 仲間たちはいくつぐらいなんだとか。
この時点では「タンホイザー」とはどんな曲だ〜ってのもわからなかったし。

犬にも人間にも、イマイチ感情移入ができなかったという思いはあります。

この映画の見せ場は250頭もの調教された犬たちが、ゴーストタウンと化した街並みを駆け抜けていく場面。
まさに他では絶対に見られないシーンに仕上がっており、犬好きには痛快な映像でありましょう。
ただし…

その反面、犬が銃で撃たれたり、闘犬で血まみれになったり。
犬好きだったら卒倒しちゃいそうな。愛護団体から大クレームつけられそうなシーンもいろいろ。
なので、犬が出てくるからと言って、過度な期待をしない方がいいのかもね。

あとは全編に渡ってカメラが手持ちで撮影されているんだけど。
もちろん意図あってのことなのでしょうが、さすがに2時間ずっとは、ややしんどかったなぁ。

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唯一登場するネコは…トムさん。
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2015年10月17日

ピエロがお前を嘲笑う

バラン・ボー・オーダー
トム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング
殺人容疑のかかった天才ハッカーのベンヤミンが警察に出頭してくる。彼の証言ではこれまでハッカー集団“CLAY”の一員として大きな組織をターゲットにしてきたが、トラブルから殺人事件が発生。今度は自分の命が危険であるとのこと。
しかし彼を担当する捜査官は、証言に隠された不可解な事実に気付き出す。

チラシによりますと、ラストに大きなどんでん返しがあったり、世界観がグラッと崩されるような作品を“マインドファック・ムービー”なんて言うらしいですね。
そういった演出・トリックが話題を呼んでドイツ版のアカデミー賞で6部門にノミネート。そしてハリウッドリメイクも決定しているんだとか。

そんな宣伝文句を見ちゃいますと気になるじゃないですか。騙されたいじゃないですか。
ということで見てきたんだけど。

ネタバレ込みで結論から言いますと…決してつまらないわけではないです。
そのラストの展開。まさか?ほうほう…という感覚は味わえます。

でもなぁ〜と思ってたら、さらにもうひとひねり入れてくるという二段オチ。そうきたかと。

そうきたかとは思うんですが、正直「ええ〜っ!?」とまではいかないかな。
否定したモノを さらに否定してみせるという展開なので、着地点としてはそのまんまだったりするわけだし(苦笑)

あと もうひとつ感じたのは、仮にどんでん返しがあるにせよ、そこに至る本スジが弱いかなぁ。

主人公たちのチームはいわゆる“ハッカー”なんですが。その彼らがやってることというのが、結構な人騒がせなことでありまして。
ただし人騒がせではあるんだけれど、ようはハッカーの世界の中でのプライドを競い合ってるに過ぎなくって。

それをやることでのスリルであったり、リスクであったりが大きく付随していないように思えちゃうんだよね。観客の立場として言えるのは「それで?」というぐらいで。

例えば これを達成しなければ恋人や家族に危険が及ぶとか、世界が危機に陥るだとか。それをクリアせんとするいきさつでドキドキしつつ、ラストにどんでん返しならそれ相当のカタルシスを味わえたかも…と。

ここで描かれていたその対象って、ここにハッキングできましたと宣言するプリントを出し続けるとかさ。
カチャカチャとキーボードをたたいてそれができましたとか言われたところで、観客として感情移入は至らないかな。

冒頭と終盤。角砂糖でもってヒントを提示してくれるくだりとか、ハッカー同士のダークナントカ言うやりとりを、電車内に例えてるあたりとか。そんなところはチョビット洒落てて良かっただけに、惜しい〜って思っちゃいました。

さて この作品、ハリウッドリメイクが決まっているという事なんだけど…
まさかオチのトリックまで同じってことはないよね。

また ここでは二重構造の展開になっていましたが、まさかそれ以上のことになったりとか!?
それだとウザいだけだよね(苦笑)

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ヒロインの華の無さも気になったが(-_-;)
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2015年10月08日

バクマン。

大根 仁
佐藤 健、神木隆之介、小松菜奈、山田孝之、染谷将太
クラスメイトの高木秋人に誘われてマンガを書くこととなった高校生の真城最高。当初は拒否していたものの、声優志望のクラスメート亜豆美保への恋心をきっかけに、漫画家になることを決意。
彼らが目指すのは週刊少年ジャンプでの連載。果たして二人はジャンプの頂点に立てるのか?

製作が発表になってからかなり話題になっていた企画。
ですが、映画は見るけどマンガを読まないわたくし的には、その盛り上がり感を共有できず。
とはいえ、映画とあらば見るでしょ〜という感じで見てまいりまいた。

コミックの実写化には多くの否定的意見が付いて回りますし、今作に限っていえば「サイコー(佐藤健)とシュージン(神木隆之介)のキャスティングが逆では?」という声は何度も聞いたわけで。
その辺りの評価は 原作を知らないわたくしには何とも言いようがないんだけど(苦笑)

さて、さすがは大根監督と言えるような絵作り、音作りは見事でしたね。
サイコーとシュージンがライバル・エイジと競い合うバトル描写は この作品の世界観を上手く表現しておったと思います(佐藤健がカップヌードルを食べたわけではないのだね)。
そしてマンガを書くシーンでペンの走る“カリカリ”や“ザーッ”という音は(リアルでは無いだろうが)リアリティを感じました。

とにかく登場するキャラが濃いのも一つの特徴。個性的なマンガを書く個性的な漫画家らが登場するんだけど。
いやいや、そのキャラにごまかされそうになったけど、よくよく見たら今の日本映画でキーになるような役者さんばかりじゃん。

染谷将太、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、宮藤官九郎、山田孝之、そして リリー・フランキーですよ。
そりゃこんな人たちが一堂に会したらいい作品に仕上がるでしょ。
と言いたいところだが。。。

正直 ストーリー展開、起承転結は平凡と言わざるを得ないか。
コミックス全20巻の物語を2時間という尺の中でどこまで見せるか、どのように見せるか。それに気を使い出すと なかなか難しいわけで。

実際の原作のファンからは「よくまとまっていた」という感想も目にするんだけど、わたくしのような一本の作品として向き合うと、(あっさり言うなら)2度目のチャンスで漫画家になりました&頑張って締め切りに間に合いました〜というだけの話に思えてしまう。
もう少し 深み、驚き、意外性が味わえたらよかったんだけどね。

主演の二人がイキイキと演じているのが伝わってきたからこそ、余計にストーリーのインパクトのなさがもったいなく思えてしまう。

でもイチ漫画家が、少年ジャンプの敷居をまたぐまでの道のり。連載を勝ち取るまでのハードルの高さ。打ち切りという言葉の持つシビアさ。これが分かったのは収穫。

あとは本編が終わってサカナクションの「新宝島」(何気にいい曲)が流れてきて。本棚がアップになる映像があるんだけど。
ここにそんな遊び心が潜んでいるとは。これ下手するとわからん人にはわからんかもだけど、ジャンプの歴史の片鱗を見ながらスタッフロールという。これにはやられました。

端々から放たれるジャンプ愛。今を時めく役者たち。そしてそれを形にする監督の技量。それらがあって、原作ファンからも受け入れられる作品に仕上がったと言えますかね。
余談だけど「こち亀」のランキングは?ってのも その都度 気にしてたんだけど(苦笑)

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クドカンがマーシーに見えたよ
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2015年09月23日

ぼくらの家路

エドワード・ベルガー
イヴォ・ピッツカー、ゲオルグ・アームズ、ルイーズ・ヘイヤー
シングルマザーの母親と6歳の弟と暮らす10歳のジャック。しかし母親は恋人と過ごしたり夜遊びにも出かけてしまう。
そんな中、ある原因から 弟は母の友人宅へ、ジャックは施設へと離れ離れに。なかなかその生活に慣れないジャック。やがて夏休みがやってくるが、母親から迎えに行けないとの電話が…

ドイツ映画。奔放なシングルマザーと10歳と6歳の二人の男児の物語。
「ぼくらの家路」というタイトルではありますが、小さな弟は 基本 兄に連れられて行動をするのみ。その兄がひたむきに成長していく姿がメインと言ってもいいのかな。
そもそも原題は「JACK」というもので、兄の名前そのものなんよね。

自身のことだけでなく、甲斐甲斐しく弟の世話もする兄のジャック。
母と外出することもあるけれど、母は友達連中と「もう一軒行くから先に帰ってな」と 子供たちのみを帰宅させます。

かと思えば、子供が寝てる間に男を家に招き入れ、性行為に興じると。それはそれとして。
そこでジャックの取る行動に(男として)メチャ驚いたんだけど(汗)

かと思えば さも当然のごとく女の顔から親に変わる母にもビックリ。しかも「もぅいっちょいく?」って、あの場で言えますか!?

やがて ある出来事により、母と二人の息子、3人バラバラの暮らしを余儀なくされます。正しくはバラバラではない約束じゃなかったかとは思うんだけど。

決して本意ではない状況かに置かれながらも、自身のやるべきことをこなすジャック。
このあたりについては それ以前にも、10歳とは思えない手際で やけにテキパキと物事をこなす場面が妙に印象に残ってて。

そして夏休み、やっと母と再会できるかといったところへ、思いもかけない電話が…と。

全編見終わって、わたくし的には そんなに響かなかったというのが正直なところで。
後半はジャックが弟を連れて ただひたすら家と街をウロウロする展開。決してそこに救いはないんだけれど。裏を返すと決して世間も厳しいとは思えなくて。
それを言うなら、理不尽な暴力を振るわれる施設の方が(少年にとっては)イヤな出来事に思うし。

ジャックの母への思いも確かにあるのでしょう。母親も子供たちを思う気持ち、しっかりとあるんでしょう。
でも…間違ってたら申し訳ないんだが、ジャックが求めてたのは“家の鍵”であって。母親を求めていたように思えないんだな。

いや、そりゃ母親はおった方がいいんだけれど、そもそも母親というのは外に遊びに行くものだという刷り込みがジャックの中にあって。
母親とは四六時中そこにいて抱きしめてくれる存在などというデータが、ジャックには無いようにも思えてね。

方や母親も罪悪感の無いまま、仕事・遊び・男・育児が同列に考えてる節があったですね。
「迎えが3日間遅れる」という話で、実際に3日後には帰宅。そこで広げた食事も(もしかして)3人分だったとしたら…それが彼女のライフなのかなと。
まぁ罪悪感がなさそうってのも今の時代 十分に罪なんでしょうが。

とにかくバラバラにずれながらも3人は(それしか知らない)家族のスタイルとして成立しちゃってるようにも見えて。
そういう意味で、悲壮感を感じない…なんて言ってるワシが無責任なのかな。

ただ一つハッキリしているのは、ジャックは成長していってるってことだよね。

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世知辛い世の中だね
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2015年09月14日

ピクセル

クリス・コロンバス
アダム・サンドラー、ミシェル・モナハン、ケヴィン・ジェームズ
1982年、NASAは宇宙に向けて、当時流行していたゲームを収録した映像などを宇宙に送っていた。
しかし それをキャッチした異星人が それを宣戦布告と解釈してしまい、メッセージとして送られたパックマンやドンキーコングのキャラクターに姿を変え、地球に侵攻。それを迎え撃つべく、かつてのゲーマーたちが集められる。

予告編を見た時点で「なんだこれは!?」と気になってた作品。
ビデオゲームともアーケードゲームとも称されておりますが、それらのキャラクターが地球を襲うというその発想の面白さ。
またそれを、当時のゲームチャンピオン(現代のゲームにはうとい)らが迎え撃つと。夢が広がる設定じゃないですか。

導入部に描かれているゲーム大会は1982年となっていますか。わたくし11歳ぐらい。
実際にパックマンやドンキーコングなんかも(なけなしのおこづかいで)よくやりましたし。
また当時の人気漫画「ゲームセンターあらし」のエキサイティングさを「プラモ狂四郎」のように自分自身で体感するなんて。そりゃときめくでしょ!!

ただし。そのビジュアルイメージのワクワクはあっても、ストーリー的にはアレかな〜という。
かつてのゲーム少年と現代の映画ファンとがまじりあった冷静さも持ち合わせておりますので。
必要以上に期待せずに…の鑑賞でしたが。

結果的に、良くも悪くもそれで正解。
シチュエーションや映像の楽しさはあるけれど、映画としてはまぁまぁね。
その辺りは、既に公開されているアメリカでの評判。日本で鑑賞した人の感想を見てもその通りという感じで。

そもそもテーマがファンタジー性をもった、ありえない話ではあるけれど。その世界の“大統領”がイケてないぽっちゃりおやじであると。んで、その幼なじみのオタクが普通にホワイトハウスに出入りすると。
リアリティのかけらもなく、マンガ的に楽しむべき物語。

主演がアダム・サンドラーだからコメディ路線としてそれはいいんだけど、合間に挟まれる会話などが全く面白くない。
翻訳がイマイチなのか、元ネタがイマイチなのか。はたまた日本人にマッチしないだけなのか。噛み合わない会話にどうでもいいおちゃらけが眠気を誘いつつ。

確かにパックマンやドンキーコングが実際に現出するワクワク。はじけて飛び散るピクセルキューブ映像の煌びやかさ。
これはいいんだけど、尺としてはそれほど長いわけではなく。それとなくリアルなゲーム感を再現している反面、見る側の予想を超える場面やどんでん返しは乏しいと。

正直、もうちょっと映画的な見せ場や面白味が欲しかったですな。
それもこれもある意味 予想通りではあるけれど。それを上回ってこそ…ね(^-^;)

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ドラクエ送ってたら、話が長引いてたか?
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2015年09月06日

劇場版プロレスキャノンボール2014

マッスル坂井
高木三四郎、鈴木みのる、葛西 純、マッスル坂井
プロレス団体・DDTを中心に集められたプロレスラー達が4チームに分かれてマイカー移動。得点を競いながら東北のゴールを目指していく様子を追ったドキュメンタリー。

「プロレスキャノンボール2009」からの第2弾企画。と言っても前作のことは 正直知らないんだけど。
何にせよ、この“2014”バージョン。ザックリとではありますが、それとなくウワサは聞いておりました。そして今回 名古屋で1週間のレイトショー公開ということで、ギリギリで見ることができました。
ちなみに、既にDVD化もされているらしく、劇場ではそれを購入していかれる客を2人もみました。

この「プロレスキャノンボール」は、プロレスラー計4チームが東京から福島、福島から盛岡と2日間をかけて大移動。その最中で様々な相手とプロレスを行いつつ、ポイントを競っていくというもの。
その場その場でアポ取りをしては 試合をマッチメーク。対戦相手のグレード(?)、勝敗、プラスアルファで付与する得点を競いながら各チームが優勝を目指す。

果たして そんなことが成立するのかしらん?と思いながら見てたんだけど、これが まぁ世の中には、様々な場所に様々なプロレス者が(こちらの予想を上回るほど)いるもので。

冒頭から新日本プロレスへ道場破りを企てる場面が登場。かと思えば、学生プロレス、社会人のアマチュアプロレス、元プロレスラー、地方に拠点を置くプロレス団体が次々登場。
戦う場所もリングに限らず、公園から事務所内から個人宅に治療院まで多岐にわたります。

各日ゴール地点まで到着したところで、どんな闘いをしてきたのか映像のプレビューを行うと。
それが畳敷きの旅館の一室で 酒飲みながら、ワーワー言いながらというシチュエーションで。こういうトコが“文科系プロレス”の真骨頂って感じで、また一段と楽しそうでしたね。

さて、ここに登場したのは DDTスペシャルチーム、世界一性格の悪い大社長チーム、酒呑童子チーム、ガンバレプロレスチームのDDTを中心とした4チーム。
そもそもプロレスとは勝負論と同時にエンターテイメントとしての側面も非常に強いものでありまして。

この企画の中でも初日を終えたプレビューに於いて、ダントツの得点を叩き出していたガンバレプロレスチームに対し「勝ちに行くのはいいけど、V(映像)がつまらない」とガチのダメ出し。
この構図が、選手間に漂うシビアな空気が、これぞプロレスの真骨頂という感じで面白かったですわ。
そのガンプロチームが2日目にとった秘策も斜め上をいっちゃってて。素晴らしいドラマでしたね。

そして全チームが最終ゴールを果たしたとき、もはやキャノンボールのレースを越えて、また新たな道であり 新たな夢が広がるという構成も、ある意味でプロレス的でした。

この企画にしろ、そして落としどころにしろ、DDTらしいフットワークの軽さによるところも大きいよね。
路上プロレスというのもありますが、興行に飛び入りする形で試合をブッキング。それがツイッターで瞬時に拡散され、さらにファンがその輪を広げていくと。
DDTらしいというならば、さらにはアイデア・発想力、瞬発力、思い切りの良さも挙げられるかな。

それらを駆使するど真ん中に プロレスがあるというのがまたなんとも。
ある種のプロレスの本質も映し出しながら、プロレスの秘めた可能性も提示されているこの映画。
プロレスファンであり映画ファンでもあるわたくし。見て良かったですわ。

ただ もしかしたらプロレス知らない人がこれを見ても、イマイチ ハートにヒットはしないかもだけど。
そんな人でも、普通にリングでの闘いを見たら感じるものあるはずなので。
まずはそこに触れてほしいかな。
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2015年07月18日

バケモノの子

細田 守
(声)役所広司、宮崎あおい、リリー・フランキー、大泉 洋
母親を事故で亡くし、ただひとり渋谷の街を徘徊する9歳の少年・蓮。そんな彼が渋天街のバケモノ・熊徹に出会う。やがてバケモノの世界に迷い込んでしまった蓮は、九太と名付けられ 熊徹の弟子となる。
粗暴な性格で品格の無い熊徹と衝突を繰り返す九太だったが、少しづつ強さをまとっていく。

スタジオジブリが小休止状態の今、いやがうえにもアニメ作家として注目されてしまう細田守監督。
過去3年スパンで新作を公開しておるのですが、その4作目となりますか。

そんな過去作のクオリティ 及び 評判もあり、期待値もグンと上がっている今作なのですが…

一般の評価はまずまず。
ただ映画ファンの間では賛否分かれてますかね。

わたくし自身 様々な感想を目にしたり、近い仲間と語り合ったりしたこともあって、パーソナルな印象を書きにくい状況になっちゃったのではありますが…

シリーズものの映画に於いて、ナンバーが増えていくごとにクオリティは落ちてしまうという現状は発生してしまいます。
それと同様に(?)細田作品も 新作ごとに評価が厳しくなっているところもあるのかな。

もはやただのアニメ作家とはいえず、作品について多くの期待やプレッシャーもかけられるでしょうし、商業的な成功も背負わされる側面もあるでしょう。
そうなるとなかなか地味ながらも芯のある作品を作っても、芯はあるが地味という評価に収まってしまうことになるかも。
ひたすら好きなことだけやれる状況ではないのかも…なんて深読みをしつつ。

当然 物語の設定や展開はドキドキしますし、感情移入もできます。熊徹役の役所広司さん、その両脇を固める大泉洋さん、リリー・フランキーさんの存在感も見事ですよ。
ただ ざっくり言ってしまうと、9歳の九太が(あっという間に)17歳に成長した辺りから ちょっとリズムが変わってきちゃったかな。
前半の(バケモノの世界である)渋天街のパートは観客も その世界の“ガヤ”的に、彼らの動向を見守れたけど、後半に九太が現実の渋谷に帰ったぐらいから、何か観客は置いてけぼりな展開になっちゃったみたいな。

九太が渋天街と渋谷をチョイチョイ行き来するくだり。現世とパラレルワールドを、毎日のように簡単に往来しちゃうと、それぞれの意味合い自体が軽く感じられちゃって。
物語全体の重みが損なわれちゃうような。

大学受験も(普通の人にとっては)大切。恋愛も大切。生き別れた実父との邂逅も大切。
でも短時間で一気にそれらを通過しようとすると、詰め込み過ぎという印象に陥っちゃうかな。

細田監督が これらの描写を通して何を訴えようとしていたかは、正直わかり切っていないのですが。シンプルに渋天街を舞台として、もっと熊哲と九太の関係を軸にしたオハナシのが伝わりやすかったんじゃないかなぁ。

さて、前作「おおかみこどもの雨と雪」では親と子の関係を母親目線で描いたと言われておりました。
一方 今作では熊哲と九太を通して理想の父親像を提示したと言われております。

んが、個人的には熊哲の存在って、父親と言うよりも祖父というイメージがあるんだけどなぁ。昭和な長屋の偏屈なジジィみたいなキャラで。
それでなくても父親は別におるわけだし。
まぁ知らんけど。

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熊哲はバレエの師匠なんです
posted by 味噌のカツオ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月11日

ふたつの名前を持つ少年

ペペ・ダンカート
アンジェイ・カクツ、カミル・カクツ、ジャネット・ハイン、ライナー・ボック
第二次世界大戦下。8歳の少年スルリックは、ポーランドのユダヤ人強制居住区から脱走。寒さと飢えで倒れたところを、ヤンチック夫人に助けられる。
夫人は彼にポーランド人孤児のユレクと名乗らせ、迫害から逃れ生きる術を与える。やがてヤンチック夫人の下にも追手が迫り…

一足早く試写で鑑賞。
正直 世界の事、歴史のことに疎いわたくしですが、試写用の資料であらすじや当時の政治的状況を読ませてもらっていたので、その点 助かりました。

当然ながら我々の想像をし得ぬ 異国での戦争。
その戦火の中を8歳の少年が生き抜いていくという、実話の映画化。

非常に厳しい時代であったころは容易に想像つきますが、そんな中でも 少年を匿(かくま)ったり、逃げる手はずを整えたり。
もちろん最初に登場するヤンチック夫人。彼女が彼に生きる術を伝えたこと。これに尽きるのかな。

ユダヤ人の誇りを内に秘めつつ、周囲の人々に溶け込み生きていくユレク。
少年なりの知恵を凝らし、またある時は“それ”を悟り、自らその場所を後にする。

途中あらすじには記されていなかった とある事故のシーンがかなり衝撃的なんだけど。
心も体も傷を負いながら、次の場所へと進んでいく姿は素直に感動いたします。

時に子供が演じるには難しい設定やハードな状況もあります。
しかし主演の子が、見事に演じているのだけれども…

特筆すべきは この少年…いや、少年たち…
じつは一卵性双生児の双子の少年が、一人のユレクを演じていたんですね。

オーディションを経て選ばれて、二人とも素晴らしい才能を持っていたものの。
特に一人は内向的な、もうひとりは外交的な表現力に長けており、ユレクの心境に合わせて二人が演じ分けたのだとか。
そんな撮影法もあるんやね。

映画では希望と絶望が次から次へと提示されます。
しかしラストシーンは、希望を未来につなぐ映像であることに、わたくし自身も救われるような思いでした。

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割礼のおかげで。。。
posted by 味噌のカツオ at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月22日

映画 ビリギャル

土井裕泰
有村架純、伊藤淳史、吉田 羊、田中哲司
名古屋の女子高に通う さやかは、喫煙がバレて停学処分になり、本来ならエスカレーター式に大学まで進めるところが、それすらピンチに。
母は そんなさやかに塾へ通うことを提案。それまで学年ビリの成績だったさやかは ひょんなことから慶応大学を目標として、猛勉強をスタートするのだが…

ベストセラーとなった「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の映画化。
全くどんなお話なのか皆目見当もつきませんが、どうやら学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格に至るという物語らしいです。なるほど。

そんな体験談を書籍化したら、結構儲かるでしょうなと。そんなこと思ってましたが、この“体験談”はビリギャル本人ではなく、塾の講師の方が書かれているようですね。なるほど、なるほど。

そもそも実際には名古屋の女子高生のお話らしく、ロケも名古屋が中心で。見慣れた街並みがいっぱい登場。名古屋で撮影される映画、どんどん増えております。
この映画撮影してる時期に、もう栄のドンキってあったっけ?とか、新幹線そっちは東京でなくて大阪方面じゃね?など疑問を覚えつつも、名古屋のフィルムコミッション、頑張ってるなと感慨深く見てました。

ぶっちゃけベタベタのストーリーではありますが、起承転結がわかりやすくて受け入れやすい感じで。思いのほか好印象。
ちなみに監督の土井裕泰さんは「いま、会いにゆきます」「涙そうそう」「麒麟の翼 劇場版・新参者」なんかを撮ってきておるそうなので、人間ドラマはお手の物という感じかな。

とはいうものの、個人的には少々言いたいこともある。
お母さんが学校に乗り込んでアレコレ注文をつけるのは、やっぱり今どきのモンペみたいでちょっとキツいなぁ。
それに娘が塾で、自宅で一生懸命勉強を頑張っているんだから、学校の授業中しか寝る時間無いでしょうなどと堂々とのたまうのはいかがなものかと思いますわ。
全体が美談っぽいところに あんなん放り込んでくるとは。けっこう引きました。

あとお父さんの極端さも、見ていて痛々しかったです。そしてその帳尻合わせのような受験日当日の“お父さんじつは優しいエピソード”も取って付けたようで鼻につきました。

もうひとつ。試験中のさやかちゃんの腹痛もいらん。緊張とか、大事な時に限ってとかはあるけども、あれは別に必要ないでしょう。
そもそも有村架純ちゃんのようなカワイイ子はウ●コなんかしないんだから。。。

あぁカワイイで思い出した。
元々チャラいギャルっ子だったさやかが、遊びの誘惑を断ち切るためにおかっぱヘアにして「なんかブサイクになった」という設定があるんですが。
これ残念なことに おかっぱの方が似合ってますますカワイさUPという逆転現象が発生してしまいました。

とにかく、架純ちゃんはカワイイ。正直 非の打ちどころないぐらいカワイイ。
その点で映画としてはOKなんだけど、そのカワイさが故に 狙いどころをハズすというのは惜しいものです。

いろいろ書きましたが、基本的には万人受けする作品。
今 勉強を頑張っている学生にとっては励みにもなるでしょうし、かつて受験を頑張ったという大人だって感情移入はしやすいはず。

ですが わたくしはもうひとつ感じるものがありました。それは伊藤淳史演じる先生の振る舞いですわ。
先生に限らず、親、上司、先輩、仲間の立場で やる気をなくしてたり落ち込んでいるヤツを引き上げるために何ができるのか。どんなことをするべきなのか。

そもそも0点のさやかを見捨てるそぶりも無く、勉強は楽しいと思わせるのもそう。モチベーションを上げるために慶応の下見したらどや?というのもそう。
そういう声掛けのポイントを意識してアドバイスするということも参考になりましたですよ。

最後に。これはネタバレになるかもしれませんが、最終的に主人公さやかは…合格します!!
あぁ知ってる?

でもラストに塾に駆け込んださやかが「合格したよ」と告げるまでの表情が良かったんですよ。
なんでしょう、本来なら“合格=嬉しい”でいいんだけど、これまでの努力や感謝、そしてこの塾を“卒業”する寂しさも感じさせてくれて。絶妙でした。

あとダメ押しでもう一点。エンディングのサンボマスターの「可能性」も良い曲ですよー!!

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トイレではブリギャル
posted by 味噌のカツオ at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月17日

ビフォア・ミッドナイト


リチャード・リンクレイター
イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
列車の中で出会い、その9年後に再会し互いへの愛に気付いたジェシーとセリーヌ。今ではパリで家庭を築き、双子の娘にも恵まれていた。
ギリシャでバカンスを過ごす彼らのため、友人が二人きりの夜をセッティング。しかし 険悪なムードが漂いはじめ、セリーヌはホテルの部屋を飛び出してしまう。

言わずと知れた「ビフォア〜」シリーズ第3弾。
9年ごとに公開されているシリーズ。おおよその年代として、23歳、32歳、ときて今作では41歳というところ。

冒頭。離れて暮らす息子とジェシーの空港における見送りのシーン。
この場面だけでも…「息子さん大きくなったんや」「嫁さんとの関係は?離婚したんか?」「父の名残り惜しさはわかるけど、息子の真意は如何ほど?」など思うところいろいろ。
そして一人空港をあとにするジェシー。車に乗り込むと、そこには…というそんな展開。

この9年の間の変化、現在のふたりの立ち位置が少しづつわかっていく感じもたまりませんね。
まさに前作は9年ぶりの再会だったわけですが、見る側にとっては それこそ9年前に離れた恋人と再会して、これまでのいきさつを聞くような趣ですから。
まるで同窓会と同様に、ちょっとドキドキしつつ、ジェシーもセリーヌも本質は変わっていないなと。そんな嬉しさがじわじわくる前半部分ですね。

このシリーズの肝になるのは何といっても二人の会話。時にお茶しながら、時にブラブラと歩きながら。
なんですが、今回は年代も生い立ちも異なるような仲間らとの会話というのが登場します。

なんだろう。話の内容もさることながら、二人だけではない生活やコミュニティができているのかな。
初対面で互いだけを見つめる二人でもなければ、再会して想いを伝え合う若者でもなく。もう大人になっているんだなと。そんな感じを覚えました。

その後、友人の勧めで用意してもらったホテルまで…やはりやってきました、ふたりの散歩語り。
実際、ふたりは結婚してはいなくって。パートナーという関係。娘たちから「どんな結婚式だったの?」と問われて困るみたいな話題も。

そして辿り着いたホテル。子供も預かってもらい、思う存分に愛し合える〜というところで一本の電話によりアレしちゃうんだけど。

先にも述べた通り、このシリーズの肝は二人の会話。
しかし 子供もおるようなアラフォー世代の男女でありながら、よくしゃべりますね。でもその会話の中身については、過去2作では考えられないようなものになりますので。
それも含めて見応えありますし、倦怠期の夫婦・カップルには もしかしたら思うところあるかもしれないし、参考になるところがあるかもしれませんな。


この3部作。それぞれの年代のリアルトキメキを描いておりますので。
見る側の年齢によっても、それぞれ3作の印象が変わってくるだろうし。
そしてこの3作目を見たうえで、今でこそこんなになっちゃったけど、ジェシーとセリーヌの人生で最も美しかった日とはどんなもんだったかと、1作目を見直すのも面白いでしょうね。

シリーズを通しても、あるいは今作を単体で見ても楽しめるかな?
そして「3部作」とか言っちゃってますが、2022年に4作目が、アラフィフのジェシーとセリーヌに出会えるのかしらん!?
楽しみにしておきましょう。
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2015年04月26日

フォックスキャッチャー

ベネット・ミラー
スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ
レスリング金メダリストのマークは、デュポン財閥の御曹司ジョンから、ソウル五輪でメダル獲得を目指すチーム“フォックスキャッチャー”に誘われる。
恵まれた環境の中で結果を残していくマーク。しかし同じく金メダリストの兄・デイヴがチームに加入し、3人の関係のバランスが崩れていくことに。

96年に起きたデュポン財団御曹司によるレスリング五輪金メダリスト射殺事件。そこに至るまでの三者三様の人間模様を描いた作品。
これまでコメディー系の作品で活躍してきたスティーヴ・カレルが、どこか鬱屈とした狂気を感じさせる富豪を演じたのも話題となっています。

そしてチャニング・テイタムとマーク・ラファロが、それぞれレスリングで金メダルを獲得した兄弟を演じています。
演じているのですが、弟マーク役のチャニング・テイタム。ワシこれまで全くと言っていいほど、彼の作品を見てきていないことに気付きました。
偶然っちゅうか巡り合わせっちゅうか。それでキャスティングにイマイチ ピンとこなかったのかな(苦笑)

冒頭から音・光・天候の演出もあってか、終始 暗い雰囲気。そして、それぞれ登場人物の心持ちというのも、ダークで怪しげに写されていきます。
登場人物と言っても、ようはジョン・デュポンのそれなんですが。

普段 日の当たらないスポーツに手を差し伸べ、メダルを目指すチームのスポンサーとなるのは素晴らしいことですが、どうも何か腹に一物あるんじゃないかと思わせる雰囲気がね。。。

結果的にその取り組みは一定の成果も出すのですが、ジョン自身の本当の欲求…実母に認めてもらう…といったトコロは満たされないまま。
そしてさらなる高みを求めて マークの兄デイヴをチームに招くのですが、それによって少しづつ全てのバランスが歪んでいくことになります。

正直、スクリーンを見ていたら何が起きているのかはだいたいわかります。
大財閥として裕福な環境に身が置かれていたとしても、それで全てを手に入れることができるわけでもなく。満たされない心の落としどころを見失った結果の恐ろしい決断であると。

ただ細かい感情の歪み、ズレ、本音が 実に事細かに配されておるようで。それらが理解できると、より深くこの映画を味わえるんですが。わたくしも解説を聞いて、やっと「なるほど」と飲み込めてきた感じ。
言われてみれば、確かに人って そういう感情あるよねって。

1度見ただけでは そんな繊細な心の動きを100%理解はできないけれど、わかればわかるほどに響く映画であります。

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ラストはヴァンダレイ・シウバかと思った(笑)
posted by 味噌のカツオ at 17:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする