2012年02月05日

ヒミズ

園 子温
染谷将太、二階堂ふみ、渡辺 哲、でんでん
“普通”の大人になることを願う15歳の住田佑一。愛する人と支え合いながら生きることを願う15歳の茶沢景子。
住田の実家である貸ボート屋の周囲には 震災で家を失くした大人たちが集い、住田に恋い焦がれる茶沢もそこへ訪れるようになっていった。
そんな時、多額の借金を作り蒸発していた住田の父が戻ってきた。それを境に、彼らの日常は思いもよらない方向に転がり始めていく。

今や‘園子温監督作品’というだけで様々な注目のされ方するようになりましたですね。
わたくしも端から期待してましたし(ハードル上げてたとも言えるか)、ヴェネチアで新人賞を受賞した二人の演技もそうですし。
そして製作中に起きた東日本の震災の影響で、それをストーリーに盛り込むよう、脚本を変更した点も。
そんな期待と不安、織り交ぜつつの鑑賞。

二階堂ふみちゃんは「指輪をはめたい」で見たときに、かわいいのか何なのか微妙な印象しかなかったんですよ。
でもでも、この作品の中では 素晴らしき才能を爆発させてましたね。
女優さんが美しく撮れているというのは、良い作品の証だと思ってますので。

そして染谷将太くんは「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の予告編しか見ていないんでアレなんですが・・・期待値をはるかに超える演技で応えてくれましたね。
二人ともまだ10代でありながら こんなイカレっぷりと、確固たる感情を表現できるのは驚きです。
いや、当然ながらそれを引き出す園監督の手腕にも秘訣があるのでしょうが。

住田が借金取りと対峙してボコボコにされるシーン。これ以上はないというほど泥にまみれるシーン。そして絵の具を顔、髪、舌に塗りたくるシーン。
あんなのを説得力をもって演じるなんて、たいしたタマですよ。

内容とは別に賛否 分かれていたのが震災の描写を盛り込んだ点について。
正直わたくしもどうかと思ってました。作家として あの情景をフィルムに残しておかなくてはという使命感や衝動はよくわかるんだけどね。

個人的には米国の9・11を盛り込んだ映画もあるにはありますね。そういうの若干の抵抗はあるんだけど。
同様に遅かれ早かれ 震災を取り上げた映画も、今後は作られていくんだと思います。
実際 それをやるのは今はまだ早いのかも。でも今だからこそ〜も一理あるかも…だし、園監督自身 製作のペースが早いですしねぇ。

また あるレビューのなかで、監督のこれまでの作品よりエグさ、エゲツなさが控えめと読みまして。
露骨に人が血を流す描写よりも、あの瓦礫が全てを語りかけてきてるような。そう受け取りました。
中には それすらも抵抗があるかもしれないけれど。。。

しかし今回のテーマに於いては‘人の業’的な部分だけでなく、不条理な要因により必ずしも平等では無いことを含むのはアリだったと思っています。そう思っていました。
でもあのラストシーンを見ていたら、たった一人の少年と共に もっともっと広い世界へ向けた「ガンバレ」でもあることが良くわかりました。

いやぁ学校の先生が叫ぶ「住田ガンバレ」とラストの「住田ガンバレ」。
まったく同じ言葉であっても、これほどまでに響き方が違ってくるものなのかと。だから より伝わるものがあったかな。
それから「彼が未来なんです」というセリフにグッときましたし、「お前は自分で苦しいほうへ行こうとしてる」というようなヤクザなオヤジの忠告にも考えさせられました。

わたくしはトータルで3度ほど涙目になっちまいましたが、やはり園監督の作品は好みが別れるでしょうし。
決して多くの人にはオススメはできませんが、こういったヒリヒリとした感情の生々しさは、映画というエンターテイメントだからこそだと思っていますので。
見て良かったですよ。

さて、これまでの園作品の出演者が総出演(?)してるのも ある意味嬉しい感じで。
で 近ごろでは優しい癒し系なお父さん役の多い光石研さんが暴力オヤジを演じてたのが意外やったです。イメージ変わるなぁ(苦笑)

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ヒミズのアッコちゃん
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2011年12月22日

50/50 フィフティ・フィフティ

ジョナサン・レヴィン
ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン、アナ・ケンドリック
27歳という若さで背骨のガンという難病を患ってしまったアダム。5年の生存率は50パーセントと宣告され 動揺する恋人や母親をよそに、当のアダム本人はどこか冷静なまま。
そんなアダムの病気を‘ネタ’にナンパを繰り返す悪友のカイル。さらに24歳の新米セラピスト・キャサリンらに囲まれながら、抗がん剤治療を行なうアダム。
しかし刻々と悪化していく病状に、動揺を隠せなくなってしまう。

ガンを克服した脚本家が 実体験を元に書き上げた作品。
作品中、主人公の悪友役を演じているセス・ローゲンは、実際の その脚本家さんの友人でもあるそうで。

主人公のアダムは健康に悪いとかで酒もタバコもやらないという青年。
それどころか交通事故の危険性を避ける意味で運転免許も取得していないという徹底ぶり。
が、よりによってそんな彼が27歳という若さでありながら「悪性神経鞘腫 神経線維肉腫」という、要約すると背骨のガンという なかなか聞きなれない難病に襲われてしまいます。

その担当医というのも変わった人で。患者の目も見ずサラサラとそんな宣告を本人に語ります。
あまりに突然で、それでいて理解しにくい状況で、帰路のアダムは半ば途方に暮れたようになるんですが…
でもすぐに平常心を取りもどし、非常に「穏やかな心境」と語るまでに。

ひとつは(おそらく)エキセントリックな反応をしてしまう母親を前にして、自らが取り乱す事もないというものなのか。
それにひと昔前であれば ガンは不治の病とも言われましたが、近ごろでは それを克服したという話や、常に病気と共存していくようなケースもありますからね。
ただし、アダムがかかってしまったのは5年の生存率は50%。転移後の生存率は10%という過酷なもの。
はたしてどれだけ自身の心を平穏に保てるのか・・・

という中で大きな要素となるのは周囲との関係性。
前述の通り、母親は過剰な母性愛を発揮。父親はアルツハイマーでアダムの存在すら理解をできていない。付き合っていた恋人はアダムの看病に疲れたと浮気。
同僚であり悪友でもあるカイルは難病の友をネタにナンパに走ったり、たちの悪いジョークを繰り返す。
そして本来なら患者の心のケアを担当するセラピストは、アダムが3人目の患者だという歳下の女性。

そんな人々に囲まれて、アダムの闘病生活は進んでいきます。
正直 どこか困った人たちであるのも事実なんだけど、その根本にある思いを理解していくうちに・・・見ている観客側にも、じんわり伝わっていく要素ですかね。そこんところは。

邦画や韓国映画で難病がテーマとなりますと、悲観的な中に希望を見い出し、最終的には泣かせようとする。そんな手法が多いんですが、この映画は全く違うアプローチで。
まず始めに「50/50」という数値でもって 状況を明示。そのうえで明るく、前向きに‘生きていく’姿勢を見せてくれる気がしました。

ラストシーンには確かな希望も見えますが、それは「50/50」の可能性の上に成り立っているもので。
多くの健康な人は「100/0」で生活していることを思えば、「50/50」とはとても厳しいものだともいえます。
だからこそ、生きていくことを実感できるのかな。。。

主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットは非常に笑顔が印象的で。
その微笑みのもつイメージは堺雅人を彷彿とさせました。伝わりますかね(苦笑)

それから若きセラピスト役のアナ・ケンドリックもかわいらしくて良かったですね。
あんな娘とひとつの個室におったら・・・期待しちゃうわね。たとえ車の中がゴミだらけでもね(爆)

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ガンと言ったらモテたのも実体験だそうで…
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2011年10月23日

ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

トッド・フィリップス
ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、ジャスティン・バーサ
2日後に結婚式を控えたダグはフィル、スチュ、アランとバチェラーパーティのためラスベガスへと向かう。高級ホテルの屋上で乾杯をした4人だったが・・・
一夜明けて目覚めたホテルの部屋は荒らされ、スチュの前歯が1本なくなり、クローゼットには赤ちゃんが、さらにバスルームにはトラが。さらに花ムコのダグは行方不明。
彼らが記憶をなくしてしまった一晩の間にいったい何が起きていたのか?

たとえアメリカでランキング1位を取っていたとしても、アメリカのコメディ作品で、決して名の知れた役者が出ているわけでもないとなると、なかなか日本ではヒットしないんですよね。

その中でも この作品はゴールデングローブ賞・作品賞に輝き、その人気を受けて続編まで公開されまして。
正直 日本に於いても、見た人の満足度はそれとなく高いんだけど、イマイチ劇場に足を運ばせるには弱いって感じです。
惜しいね。

前半は 下品な言葉も飛び交い、いかにもヤンチャな始まり方をしますが、そんなに展開は早くないかな。
しかし一夜明けて エライことになった後、彼らが足跡を辿っていく過程は 結構クスクス笑えます。

その謎が一つひとつ連なりながら明かされていくと。「今度は何が起こった?」って具合に引き込まれていきます。
マイク・タイソンの登場も驚いたし、全裸の東洋人が飛び出してきたり、人質となったダグを取り返すあたりのくだりも面白かったですよ。

果たして4人は結婚式に間に合うのか?という点も含めて、ライト感覚で楽しめる良作であることは確か。
彼女を部屋に呼んで、メシ食った後に「アハハ〜」と笑いながら一杯飲むシチュエーションにはもってこいの一本でしょう。
あぁ、やっぱり劇場に足を運ぶより、DVD鑑賞に向いてるのかな(苦笑)

ハングオーバーとは二日酔いという意味でして。
ただしちょっとマジな話しちゃうと、正確にはただ大酒飲んで泥酔しちゃったというわけではなく、ドラッグと酒を併用しての・・・という点を考えると、配給会社もちょっと二の足を踏んじゃうのかもね。

最後に、本編終了後のエンドロールに映し出されるデジカメに残されていた‘真実’がまた笑えたと付け加えておきます♪

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本物のトラと3人の大虎
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2011年09月28日

僕はラジオ

マイク・トーリン
キューバ・グッディング・Jr、エド・ハリス、アルフレ・ウッダード

高校のアメフトチームのコーチ・ジョーンズは、生徒たちにいじめられていた知的障害の青年が気になリ、チームの世話係を頼む。
ラジオ好きなことから“ラジオ”というニックネームをつけられた青年は、やがて高校のマスコット的な存在となっていく。

'70年代、実際にあったストーリーを元に映画化。
いつものことではありますが、そういった実話を どれだけ映画として盛り上げられるのか・・・というとこでありますが、正直悪い話では無いけれど 映画としての見応えはには乏しいという印象で。

エンタテインメントとして起承転結とか、ヤマ場だとかは必要なわけで。
当たり前の話であれば、わざわざ映画にする必要も・・・となるからね。

この作品にもそれはあるにはあるけど、まぁ想定内か。
で、その思いをじっくり味わうのであれば、やはりテレビの画面(DVD)で見るよりも劇場のスクリーンの方が・・・って気もするかな。
コーチのジョーンズが、“ラジオ”のことを なぜそれほどまでにあたたかく接するのかが語られる場面が良かっただけに、よりそんな風に思いました。

映画のラストにはモデルとなったホンモノの“ラジオ”さんのお姿も見られます。
しかし時代背景も鑑みますと、知的障害であることや黒人であること。今以上に偏見や差別もあったんじゃないのかな。
だからこそ、そういうご本人さんの映像をみると、やっぱりリアリティは増しますね。

で、“ラジオ”のお兄さんはどんな人だったんだろうか?
posted by 味噌のカツオ at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月16日

BIUTIFUL ビューティフル

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、エドゥアルド・フェルナンデス
スペインの裏社会で生計を立てるウスバルは、2人の幼い子供たちと 離婚した情緒不安定で薬物中毒の妻を支えながら暮らしていた。
ある日、自分が末期がんであることを知ったウスバルは、残された時間を家族の愛を取り戻すために生きることを決意する。

上映時間2時間半。非常にヘヴィーな要素の多い物語であります。
登場人物の関係性や微妙な心の揺れ動きなど、映像や表情などから読み取っていかないとこの世界観を受け止められたとは言えないかもしれませんね。

上映最終日の最終回、(わたくしごとですが)非常に睡眠不足で体調の悪い中に駆け込んで見てきたので、正直 眠たくて眠たくて。
いや、もしちゃんとした状況であったとしても、パンフレットを事前に あるいは鑑賞後にチェックしないと、難しかったんじゃないかなと。

大筋としては 裏社会での仕事を請け負い、非合法なことにも手を染めつつ生きてきた男が、末期がんの宣告を受け 残り少ない時間の中で愛する子供たちに何を残せるのか。別れた元妻との関係はどうなるのかと。
一人の男の生と死、そして愛の物語として、時に繊細に丁寧に描かれておるという印象。

その一方で、この男の(言わば)過失によって 多くの人間の命が召されていく出来事が起こります。

映画とはもちろんそういうものなんですが、就寝中に消えていった多くの人々にも、もしかしたら物語はあるのかもしれないけど、ここでは主人公・ウスバルしか描かれていないことに若干の‘無情’を感じたりして。
上手く表現できないけど、それすらも背負ったというべきなんでしょうかねぇ。ん・・・複雑。

とにかく全般的には、もう少々理解しやすい資料を見るとか、もう一回鑑賞するとかすれば、もっと深く この作品に近づけるような気がしますね。

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ローマ字なら‘ビウチフル’
posted by 味噌のカツオ at 20:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月03日

バットマン リターンズ

ティム・バートン
マイケル・キートン、ダニー・デヴィート、ミシェル・ファイファー
クリスマスシーズンのゴッサム・シティに現れた謎の怪人・ペンギン。彼は実業家マックスと手を組み、町を支配しようとしていた。
その計画に気付いたばかりに、マックスの秘書・セリーナはビルから突き落とされてしまうが、猫の魔力で甦った彼女はキャットウーマンとして街に繰り出すようになる。

NHKのBSで放送されていたのを見ました。
わたくし自身‘アメコミヒーロー’モノはそんなに好きではないので、基本このバットマンシリーズというのは見ていないんです。
そんな中、各方面で評価の高さもあって、唯一見たのが「ダークナイト」。

確かに これは映画としての重み、主人公の苦悩、そしてジョーカーの存在感と まさに傑作でした。

さて・・・「ダークナイト」のイメージを心に漂わせつつ、軽い気持ちで この「〜リターンズ」に接してしまったのが不幸の始まり(苦笑)
ありゃま〜それ以前のバットマンシリーズというのは 何だかこんな感じなのね・・・っと。

「ダークナイト」が持っていたシリアスさとは まったく別の世界観。いかにも おとぎ話のような背景。
そこを闊歩するのは キュートな変人・ペンギン。まさにサーカスを賑わせるようなドインクたち。
そして演じる女優さんも勇気がいるであろうキャットウーマン。

キャットウーマンが爪を装着する場面を見ていたら 思わず「シザーハンズ」を思い出しちゃいました。。。
あれ?思い出したというよりも、これティム・バートン監督なんだよな。というところで妙に納得。
この おとぎ話感はティム・バートン監督であればこそと。そういうもんだと理解はしました。

しかし やっぱり「ダークナイト」的なスタイルを期待しちゃってた部分と、元々‘アメコミヒーロー’モノの持つ苦手さが上回ってしまい、結局乗り切れなかったのですわ(-_-;)

和食の会席料理をいただこうと思ってたら、フルーツパフェが出てきちゃったような。
違うんだ。今はそれじゃない・・・という心境で、最後まで見届けた次第であります。
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2011年05月14日

ブラック・スワン

ダーレン・アロノフスキー
ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス
ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナは、念願であった「白鳥の湖」のプリマの役を射止める。
しかし優等生タイプのニナに純真な白鳥を演じることはできても、邪悪で官能的な黒鳥を表現できずにいた。
やがて役作りに没頭するあまり、ニナは精神的に追いつめられていく。

ナタリー・ポートマンがアカデミーの主演女優賞を受賞したという話題作。バレエがテーマでもあり、主演女優賞の名に恥じない演技もバレエも魅せてくれます。

しかし それを目当てでやって来た上品なお客様は、ちょっと目を背けたくなるかも。
基本 全編が暗いトーンの映像になってたり。若干「痛っ!」という場面があったり、幻覚のように自身の内面が湧き出てくる描写はホラーテイストだったりして。

でもそれらを踏まえたうえでこそ、後半のバレエシーンの説得力は増します。
ニナが黒鳥のパートを踊りきって決めるポーズは素晴らしいです。気付けば違和感なく手が羽になってたし。

ナタリー・ポートマン自身、以前にバレエも経験したことがあるそうで下地はあったんでしょう。圧倒的な説得力を持ち、もっと見ていたいぞと思わせるバレエシーンでした。
また純真で気の弱そうなニナ。そして徐々に心が崩れていくさまから、悪魔メイクでのそれまで 見事に演じ上げられていました。
ひとり あられもない姿も大きなスクリーンで見せていただいて、エロかったですねぇ。褒め言葉ですよ!

余談ですが 完璧な美しさだけではなく、どこか儚さも併せ持った表情なんかに深津絵里さんとオーバーラップして見えましたね。

ストーリーの要旨としては、気の弱い清純なお嬢様がプレッシャーやコンプレックスと向き合いながら、自分の中に秘めていた黒い部分と直面し・・・という感じ。

早い話が もう一人の自分の存在を認めるか、自分が他者になるとも言えるかな。
むかし懐かしい 杉浦幸の「ヤヌスの鏡」とか思い出しちゃたな。
いや、コチラはそんなにクオリティ低くないけど(爆)

どうなんでしょ、一人の俳優さんがドラマや映画で役を演じる時って、この映画に描かれるほどではないにせよ、別の自分になることが求められるんじゃないかしら。

ダーレン・アロノフスキー監督は以前、アメリカの どインディープロレスをテーマにした「レスラー」という作品を作りました。あれも バックステージを表現したものでした。
後で知ったことなんですが、当初は「レスラー」のサイドストーリーでバレエの話を入れる予定だったのを、独立させて製作したのが「ブラック・スワン」なんだとか。

誤解を恐れず言うなら、バレエの世界であり インディープロレスの世界を大げさに映像化、エンターテイメント化したのが これらの映画じゃないのかなって気もします。

いずれにせよ 心を揺さぶられるサスペンススリラーでありつつも、バレエの過酷さも併せ持つ。見応えのある一本で。
失礼ながら「ダンシングチャップリン」よりも こっちの方がバレエの魅力が感じられた気がしますわ。

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トムとジェリー
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2011年04月21日

蜂蜜

セミフ・カプランオール
ボラ・アルタシュ、エルダル・ベシクチオール、トゥリン・オゼン

6歳のユスフは、森林に囲まれた山岳で両親とともに静かに暮らしていた。
ある日、森の蜜蜂が忽然と姿を消してしまう。養蜂家の父は蜂を探しに森の奥へと入っていくのだが、それと同時にユスフは言葉を失ってしまう。

全体が非常に静かなトーンで、また多くを語らない作品であります。
こまごまと説明のようなセリフも無く、主人公は元々吃音で、しかも途中から言葉も消えてしまいます。バックには音楽も使われません。

わたくし試写会で見させていただいて、一応パンフレットにも目を通してはおりましたが、それでもなかなか伝わってこなくって・・・
というか かなり眠たくなってしまいました。いや、上映中ずっと眠たかった。
ラストシーンはユスフと共に寝てしまいました(苦笑)

この作品は 世界の様々な映画祭にノミネートされたり受賞したりもしておるんですが、残念ながら わたくしとは合わなかったなぁ。

本来は大人になったユスフを描いた「卵」(2007年)。同じく青年期の話である「ミルク」(2008年)。そしてその完結編でもある この「蜜蜂」の三部作として製作されたとのこと。
それらを追って見たら、また違った印象になるのかもしれないけど。

ただ、ユスフ役のボラ・アルタシュくん(当時8歳)の演技はなかなかのものでしたよ。

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2011年04月16日

127時間

ダニー・ボイル
ジェームズ・フランコ、ケイト・マーラ、アンバー・タンブリン
その週末、趣味のロッククライミングを楽しむため アーロンはブルー・ジョン・キャニオンを訪れる。
いつものように岩の間をすり抜けようとしたアーロンは、足を滑らせて転落。落石に右腕を挟まれ、全く身動きが取れなくなってしまう。

2003年4月、実際に起こった事故を「スラムドッグ$ミリオネア」や「28日後...」などのダニー・ボイルが映画化。
のっけから映像や音楽がスタイリッシュでカッコいい。まるでミュージックビデオを見ているかのよう。
そして舞台となった自然の映像。広大な岩の世界と、広がる空の青も美しかった〜。

ストーリー的に派手な展開があるわけでもなく、岩に囲まれた男を映すだけといえばそれまでだけど、そこはやはりダニー・ボイル監督の見せ方の妙なのか。飽きることなくドキドキを持続したまま、ラストまで映像に引っ張られます。

主人公は 恋人とは上手くコミュニケーションをとることができず、家族からの連絡もスルー。そして誰にも行き先を告げずに、こんな秘境を訪れるような男。
一人の世界が好きともいえるし、煩わしい人間関係を好まないのかな。

それでいて、偶然に出会った二人の女性からパーティに誘われると悪い気はしないってね。
なんか わたくし的にはこの感覚、よくわかるんだわ(笑)

とにかくそんな男が 一瞬のアクシデントに襲われ、生命の危機に陥ってしまう。
なんとか脱出を試みるも埒があかず。食料も無く 水も底をつき、己の血を舐め、尿まで飲んでみたものの このままでは状況は何も変わらない。

そこでとある‘決断’をすると、宣伝材料には記載されています。
それがどんな決断なのかは、たいがいの人なら想像がつくでしょう。

しかし その場面でダニー・ボイルの手腕が揮われまして。。。
「どんな決断」どころか「どんな痛みか」まで想像ができちゃうようなシーンに仕上がっております。うひゃー!!

様々なスプラッターや猟奇殺人モノの映画も見ていますが、それらとは比べられない。おそらく映画史上 最も‘痛い’映像になってますわ(冷汗)
スクリーンの中で「痛みで気を失うな」と言ってるのと同様に、見てる観客が失神とかありえるかも。マジで。

でも あくまで作品のテーマは、生きることへの執念。そして 過去の自分との決別。
前向きな思いが込められています。
トータルの満足度はかなり高いと思いますよ

それから主演のジェームズ・フランコ。わたくし初めて見たんですが、絵になるいい役者さんですね。今後の作品にも期待したいです!

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肉を切って骨も断つ
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2011年04月05日

ブラック・サンデー

ジョン・フランケンハイマー
ロバート・ショウ、ブルース・ダーン、マルト・ケラー、フリッツ・ウィーヴァー
ベトナム戦争時に捕虜となっていたランダーは、帰国後の祖国の対応に激しい怒りを抱いていた。
アラブのゲリラ組織“黒い9月”のダリアは、そんなランダーを利用し、スーパーボウルの会場となるスタジアムへのテロを画策する。

1977年に日本での劇場公開が予定されていたが、映画館を爆破するという脅迫があり、上映中止となっていた作品。
それが「午前十時の映画祭」にて劇場公開されるということで見に行ってまいりました。

上映中止とはいっても、DVD化はされているらしく、全くの幻の作品〜というわけではないんだけど。
でも映画ファンにとっては‘上映中止’というキーワードで、より幻想も高まるし、大きなスクリーンで見てみたいという思いもあるからね。

原作は「羊たちの沈黙」などで知られるトマス・ハリスのベストセラー小説。
ですが、作品中に登場する“黒い9月”は実在してたとか。
実際のテロ組織の名前を使って架空の物語を書くなんて、今の時代では考えられないね(苦笑)

さてさて、“スタジアムへのテロ・・・”ということは知ってましたが、そこに至るまでのあらすじは知らないままの鑑賞。
それもあって 前半は何が何やらわけわからん状態。

誰がどこの国の人で、どんな立場の人で、何について語られているのか さっぱり?ぶっちゃけ、家帰ってアレコレ読んで理解しえたぐらい。
あぁなるほど、いろいろ合点がいきましたわ・・・と(爆)

それでも、後半のスタジアムの大観衆や飛行船とヘリコプターの攻防などは見応えたっぷり。
かなりの緊張感とスケールの大きさを味わえます。

まずもって、今の映画に‘飛行船’なんて代物は出てこないからね。
それを飛ばす操縦士がいて整備士がいて・・・というシーンは妙に新鮮でした。

それから事件に決着がついた後、全く余韻に浸る間もなく あっさりエンドロールという流れにも時代を感じたりして。

30年以上の前の作品ではありますが、結構ドキドキできますが、登場人物の設定と時代背景が事前に入ってたら もっと楽しめたでしょうね。
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2011年02月22日

ヒア アフター

クリント・イーストウッド
マット・デイモン、セシル・ド・フランス、ジェイ・モーア

休暇で訪れていた東南アジアで津波にのみ込まれ、生死の境を彷徨ったマリー。霊能者として活躍したものの、死者との対話に疲れきったジョージ。突然の交通事故で双子の兄を亡くしたマーカス。
やがて“死”に直面してきた3人の人生が交錯する・・・

もぅ何作目になるかというぐらい、精力的に作品を監督し続けるクリント・イーストウッド。
いろんな作品を手がけてはいますが、今回は非常にスピリチュアルなテーマに挑戦しています。

‘Hereafter、ヒア アフター’とは来世であったり、あの世という意味の単語だそうで。
登場人物が様々なカタチで死と関わり、またそれらに苦悩する姿が描かれます。

しかし普段から霊感のないわたくしには、それぞれの登場人物に そんなに深く感情移入はできなかったんだけど。。。
多聞に他者にはわかりえない複雑な思いがあるのでしょうが、どこかスクリーンの中の出来事として見てしまったのも事実。

そして物語の展開としても おおよその想像通りというとこに落ち着きましたし。
何かを深く考えさせられたり、(良く感情でも悪い感情でも)心に何かを残すとは言えなかったか。
ただラストシーンを見つめながら‘優しい物語’というのは伝わってきましたけどね。

一方 メッセージ的な面とは別に、序盤の大津波のシーンはなかなか圧巻で。
こんな映像を映画として作ることができるんだなと。
それもこれもスピルバーグが製作総指揮だからかな!?


前作の「インビクタス」はモーガン・フリーマンの持ち込み企画をイーストウッドが監督したもので。
この「ヒア アフター」はスピルバーグがイーストウッドに依頼をかけたのだとか。

正直 いずれも‘大絶賛’と言えるまでの高まりではなかった印象で。
次回はそういった‘雇われ監督’みたいなのでなく、イーストウッド自らが「撮りたい」と思った作品に期待したいね。

そう思う一方で「もぅ隠居させてあげなよ」とも思ったりして(爆)

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マット・デイモン閣下
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2011年02月21日

パラノーマル・アクティビティ2

トッド・ウィリアムズ
ケイティー・フェザーストン、スプレイグ・グレイデン、ブライアン・ボーランド

ある日ダニエル一家が外出先から帰ると、家中が何者かによって荒らされていた。
不安が募るダニエルは、セキュリティ用の監視カメラを設置するのだが、そこには不可解な現象が記録されていた。

低予算ながらその斬新な見せ方でもって世界的大ヒットとなった「パラノーマル・アクティビティ」。約一年ぶりにその続編が登場。
一年ぶりの続編とは言いつつも、三ヶ月前には もぅ一つの続編である「TOKYO NIGHT」も公開されてたけどね。

さて 一年前の1作目。その独創性やドキドキ感が わたくし的には高評価でございました。

今回の作品、ぶっちゃけ前作よりは・・・
‘シリーズものは回を重ねるごとに劣化していく’というのは歴史が物語っておりましょうが、コレに至っては大きく下がってしまいましたね。

前作は基本、1台のカメラに収められた映像でした。今回はその数(防犯カメラを含む)6台にスケールアップ!
などと言えば聞こえは良いかも〜ですが、‘枠が小さいからこそできること’でオリジナリティーを発揮してたのに、6台という数は どこからでも撮れる普通の映画と比較したら ただただ中途半端なだけ。もったいない。

その反面 物語の展開はスケールダウン。
‘何か’が動き出すまでが非常に長いので前半はかなり退屈。かと言って後半もそんなにエキサイティングな描写はなく、「いったい何やったんや〜」としか思えない。

細かいことですが、この作品のチラシ。ベビーベッドの上に赤ちゃんが映っているんですが、奥側の鏡にはその姿が映っていないんですよ。
果たして このチラシの描写が何を意味するのかと期待していたんですが、本編にはそんな場面はナッシング。ありゃりゃ?
とにかくこの‘何事もなさ’は是非ご自身の目で確認して欲しいところです(苦笑)

唯一「一作目の主人公がそういう形で絡んでるんだ」というのが興味を引いたぐらいでしたかね。

さて、ここから大きなネタバレ話になります。
この作品の上映前に「エンドロール後まで席を立たないで」みたいなフリがありまして。

音楽もない退屈なエンドロールのその後に待っていたのは・・・『秋に続編公開』という ただのお知らせ。

「続編公開どころか期待して後悔したわ」と言いたいぐらい。
しかも続編って。これ以下に劣化させるつもりなのかい!?

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HUNTERが大将
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2011年02月11日

ベストセラー

イ・ジョンホ
オム・ジョンファ、リュ・スンニョン、チョ・ジンウン
ベストセラー作家だったヒスの新作小説に盗作の疑いがかかり、彼女は一瞬にして名声を失う。
2年後、ヒスは知り合いの編集者の薦めで 娘のヨニと共に、人里離れた田舎の別荘に向かう。そこでヨニの言葉を元に新作を書き上げたヒスだったが、その作品にも盗作の疑惑が持ち上がる。

映画にはいろんなジャンルがあるもんですが、これはまたなんと言ってよいやら・・・
スリラー?ホラー?それともサスペンス?
いずれも正解ってか!?

様々なテイストを味わうことができるんですが、それぞれがケンカしてないのね。
どんでん返しやミスリード的な表現などに惑わされつつ、気付けば状況がどえらい展開をみせ、ホントに濃い作品になっております。

前半の軸となる部分でね「たぶん アレはそういうことなんでしょ」なんてしたり顔で見てても、その辺りのトリックってのはほんの一面にしかすぎなくて。その奥にまた意外なドラマが潜んでて。
ネタバレっぽく書けないから、そうとしか言えないわ(笑)

本編は117分となっていますが、もっと長く感じられたね。それだけ映画がいろんな表情をみせるって気がして。
よくできたストーリーで、見応えありますよ。

ちなみにこの作品はハリウッドでリメイクが決定してるそうです。
ここまで入り組んだシナリオは韓国ではできても、ハリウッドでは書ける人おらんのかな。イジワルな見方かもしれんけど(苦笑)

なんだったら‘リメイク’とか言わずに、しれ〜っとハリウッド版を作っちゃってね。
んで後になって「これは2010年の韓国映画の盗作ではないか?」と。そんな話題作りしてみるとか(笑)
どやさ!?

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ドライヤーは ど〜らイヤっ!(名古屋弁)
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2011年02月01日

ハーモニー 心をつなぐ歌

カン・テギュ
キム・ユンジン、ナ・ムニ、カン・イェウォン
服役中に男児を出産したジョンへ。しかし刑務所内での養育は生後18ヶ月のみと決められている。
ジョンへは 慰問に来た合唱団の歌声に感銘を受け、自らも刑務所内で合唱団を結成。半年間の練習を経て合唱団を成功させた彼女だったが、息子との別れの時が近づいていた。

スポーツを見て興奮したり 感動したりするのは、人のリアルな感情に触れるからでありまして。
一方 映画や芝居というのは作られたエンターテイメントであります。

スポーツやドキュメントに比べると、そういうのは・・・なんて言う人もおりますが、結局のところ良いものは良いんですよ。

この「ハーモニー 心をつなぐ歌」という作品、見た人の評価がズバ抜けて高い。しかも大半が「泣ける泣ける」と。
ただ「泣ける」というんでなくて、その一つひとつのレビューの熱度も高い。

わたくしの経験値から言って、この手の作品にハズレなし。そんな前提で見てきました。
正直 前半は見るに耐えないような展開。殺人などの凶悪犯罪者が収容される刑務所が舞台であるのに、雰囲気が軽すぎる。
B級テイストのコメディ路線、そして展開の早さに やや集中力をそがれる感じ。

その刑務所内の矯正的な意味合いも含めて結成された 受刑者による合唱団。
しかしまともに歌を歌える人は皆無。主人公に至っては子供も泣き出すほどに、まるで演技のような音痴ときた。ベタだ。

ところが 結成から半年。最初の発表会のシーンで、わたくしやられちゃいました。
違和感ありまくりだけど、それを超えるぐらいに歌の持つ楽しさやパワーが全開!!
思わず往年の「天使にラブソングを」を思い起こしちゃいましたよ(笑)


登場人物それぞれに思いやドラマが描かれておりまして。
クライマックスとなるクリスマスの合唱大会に於いて、それらのストーリーが一気に放出されます。卑怯なぐらいに。

様々な感動が交差する中で、主人公・ジョンへと一人の少年の出会いが、そして別れがたまらない。
グググッっと高揚しつつ、クリスマスプレゼントを開くことで、あふれちゃいますねぇ。涙なみだ。。。

ところが、それで物語は終わらない。
この作品の泣きのポイントは、これまた卑怯なまでの二重構造になってまして。
おそらくクリスマスプレゼントでこらえた人も、ムノク(先生)の笑顔は・・・


映画が作られたエンターテイメントであっても、「泣けるよー」と事前に言われてても、良いものは良い。泣けるもんは泣けるんだ(苦笑)
もちろん表面的なことだけでなく、罪であったり 赦しであったり。親子の関係、家族のつながり。考えさせられる要素もしっかりあります。

こんなイチブログでどれだけ書いても多勢に影響は無いかもしれませんが、それでも訴えずにはいられない。
一人でも多くの方に触れて欲しい一本であります。それで何を感じるか。

ホントにいい作品。超オススメです!!

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合掌団
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2010年12月30日

白夜行

深川栄洋
堀北真希、高良健吾、船越英一郎、戸田恵子
廃ビルで質屋の店主が殺された。犯人逮捕の決め手がないまま、被疑者とみられた女性の死亡により捜査は終結。
しかし捜査の最中に出合った 被害者の息子・亮司と容疑者の娘・雪穂の姿が心から離れないでいた担当刑事・笹垣は、その後もひとり 真相を追い続けていた。

東野圭吾作品の中でも高い人気を誇る本作。以前、綾瀬はるかと山田孝之の主演でテレビドラマ化もされました。
例のごとく 小説も読まないしドラマも見ないわたくしは「白夜行」の何たるかも知らないままの鑑賞。
そこにあるのは‘東野圭吾作品にハズレなし’という期待感。

‘白夜’という言葉から連想するのは、真夜中でもうっすらと太陽の光が残っているという幻想的な現象か、あるいはTHE ALFEEの曲だったりするんですが。
ちょっとした捉え方の妙になりますが「常に明かりが残って日の沈まない夜」ではなく、「本当は暗闇なんだけど かろうじて光が届いてる」そんな世界。
どちらも白夜の定義としては正しいのかもしれないけど。

ただ そんなたとえ以上のダークさを感じたのは、その闇の暗さがかなりディープなところからスタートしてるからなんでしょう。
結構しんどいテーマでもあったりします。

お嬢様学校に通い、資産家の息子との結婚を経て事業の展開をはじめる雪穂。
一方 裏家業で生計を立て、そんな中で知り合った年上の女性と同棲し 細々と生きる亮司。

一見 華やかな暮らしぶりの雪穂であるが、実際には心中には闇があって。実はその闇を 亮司が密かに照らし続けていたと。
それで雪穂は生きてこられたのであるが、一方の亮司の抱えていた闇を照らす存在は・・・

自身の子供に光を与えられなかった笹垣こそが、亮司の闇に白夜をもたらす存在になれていただろうに、当の亮司にはその光が届かなかったんだなぁ。

あの場所で亮司がなぜあんな選択をしたのか。そこに至るまで雪穂が何を思い、またこれから先に何を望んでいくのか。
その答えはスクリーンではなく、見た人に感じてほしいという結末だそうです。

いわゆる娯楽作品ではないのでね。後味は良くは無いし、何と思うかは人それぞれだろうけど、これはこれで見応えのある作品になっていると思います。


テレビドラマなんかでも どこかユーモラスな雰囲気の役が多い船越英一郎さんですが、物語の終盤に亮司に語りかける場面のなんとあたたかかったことか。
あの語りかけは ホントに心に沁みました。名場面だったですよ。

ちなみに時代設定からすると、亮司と雪穂はわたくしと同世代でして。
当時の雰囲気を感じさせるヘアスタイルやファッションも懐かしかったですね。

そう 懐かしいといえば、ウルトラマンとタロウの揃い踏みも・・・(笑)

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ホイ来た!真希!
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2010年12月28日

ばかもの

金子修介
成宮寛貴、内田有紀、白石美帆、古手川祐子
群馬県高崎市。大学生のヒデは27歳の吉竹額子と出会う。数日後、偶然同じバイト先で額子と再会した秀成は 彼女の部屋で童貞を奪われてしまう。
額子の奔放さに戸惑いながらものめりこんでいくヒデ。しかし「結婚することにしたの」との言葉を残し、額子はヒデの前から姿を消してしまう。

もしかしたら万人ウケはしないかも・・・ですが、わたくし的には‘当たり’でしたね。
何がいいって まず主演の二人が素晴らしい。美しい。

内田有紀がキレイ!!
しかもイチ女性としてあんな風にリードされたらば、ウブな男子はイチコロですよ。あれはある種の理想的な状況だよ(笑)

そして成宮寛貴。
今どきの若い子から人気あるのかわからないけど、少なくとも年上女性が転がしたくなるような男子に見えましたよ。母性本能をくすぐるってヤツね。
そして アルコールに落ちていく過程も見事に演じてました。そこんところに関しては見せ方の妙もありましょうが、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の浅野忠信よりリアリティありました。
そういう意味での 怖さも伝わってきました。

この二人の絡みは ドキドキ感じるエロさと、白いシーツと日の光に輝く美しさと、見せ方も絶妙でした。
あと個人的に白石美帆さんもお好きなもんで。ここまでくると成宮寛貴がうらやましい限り(爆)

さてさて そんなラブシーンも良かったですが、男と女の10年に渡る邂逅(めぐりあい)の物語としても見るべきものがありましたよ。

この映画のチラシには「一生忘れられない恋がある」と記されています。
当初は 初めての悦びを教えてくれた年上女性への想いを‘忘れられない恋’としたのかと思いました。
が 実際にはその逆で、一方的に置き去りにした彼への悔恨であり自責であり。額子の心に 忘れられない思いがあったんだね。
そこはちょっと意外だったかな。

もうひとつ感じたのは、結局 人は一人ぼっちでは生きられないってことで。
何がしかの負い目みたいのがあって、何かにすがって やっと生きてこられたりするもんなんですよ。誰しも。
その対象が ある者は酒だったり、ある者は宗教に傾倒していったり。
もちろん家族・子供の存在を拠り所にしてるヤツもいるわけで。

額子にしてみれば(事故の加害者でもあり)夫にそれを求めることは やっぱりできなくて。
で、あのときに別れたからヒデの存在に気付いちゃったんだろうね。

後半、不器用なままに互いの思いをぶつけ合う場面も胸が締め付けられそうになりました。
と同時に「腋を剃ってほしい」というセリフは目から鱗でした。さすがにあれは男からは出てこない言葉で。
すごくピュアな思いとエロスとを表した場面だったですよ。

ヒデにしてみたら 中華料理屋さんの素直な娘さんと結婚して、お店を継ぐという新しい道もあったんだよね。
それでも あの変わり果てた姿の額子と歩むことを選んでしまうと。

そしてラストシーン。川の中で座り込むヒデと、それを高い木の上から見つめる額子。
それは そのまま二人の成熟度といえるのかな・・・

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ガメラ見た方が監督は喜んだかも
posted by 味噌のカツオ at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月26日

冬の小鳥

ウニー・ルコント
キム・セロン、パク・ドヨン、コ・アソン
1975年のソウル。ささやかながら父とともに暮らしてきた9歳の少女・ジニ。ある日、彼女が父に連れてこられたのは児童養護施設だった。
ふいに立ち去っていく父の背中を目にしたジニ。それでも必ず父は迎えに来てくれると信じて疑わない彼女は、頑なに周囲への反発を繰り返す。

冒頭、大好きなお父さんに見せる 屈託の無い少女の笑顔が堪らない。
思わず「ワシって‘えくぼ’好きなんだなぁ」などと しみじみ。。。

お父さんとごはんを食べ、歌を歌い、大きなケーキを買い 向かった先。それは・・・児童養護施設。
その瞬間から彼女は‘みなしご’となり、そしてそれ以降 少女の表情は一変。あんなに輝いてた笑顔が消えました。
そのあたりの変化だけでも見ていて辛かった。

わたくし的には9歳と言われてもピンとこないけど、小学3年生ぐらいと聞くと より雰囲気伝わります。
その‘学年’でその状況を受け入れろというのはやっぱり酷かな。

しかしそれでも人は生きていくべきで。
周囲の優しさと厳しさの中、多少の時間はかかりこそすれ、彼女も自分の位置を見出していきます。その変化とは 成長ということなのかもしれないね。

ちょっと気になったのは ここに登場するのは全て女性。
元々そういう場なのか、あるいは男児は兵隊としての‘需要’があったんでしょうかね。

そんな1975年という時代設定。周りを塀に囲われた養護施設での日常。
密かな楽しみは 夜な夜な花札で行なう(決して当てにならない)占い。
先の見えない葛藤、苛立ちの場所から巣立つ術は、行方の知れない父の迎えを待つことではなく、海外の裕福な里親の養子となること。

やがて彼女も 他の仲間がそうであったように、歌に見送られながら遠くへと旅立っていきます。
果たしてその後の彼女が 幸せになっていったのかまでは描かれてはいません。
描かれてはいませんが・・・

ちなみに施設に入った後にも、慰問に来た米兵さんの腹話術に微笑んだり、ほんの少し笑顔もみられますので、必ずしも息苦しいばかりのものでもないですよ。
そう、やっぱり笑顔がいいね。


この作品の監督は、自身も韓国の施設からフランスの養父母の下へと巣立ったウニー・ルコント。
「ほとんどが創作だが、9歳当時の心のままに書いた」と語るとおり、ある意味 監督の自伝的物語でもあります。

作品中には主人公・ジニが、その後に幸せになっていったのかまでは描かれてはいません。
でもルコント監督がこの作品を撮ったことが、その答えなのかもしれないね。

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トリユフノコ
posted by 味噌のカツオ at 12:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月16日

ぼくのエリ 200歳の少女

トーマス・アルフレッドソン
オスカー カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、ペール・ラグナル
真冬のストックホルム。オスカーの住むアパートに一組の父娘がやって来た。
息も凍りつくような寒さの中、薄手のシャツ一枚で現れた少女・エリに、オスカーは胸の高鳴りを覚えていく。
その頃 町では、逆さ吊りにされ血を抜き取られた若者の死体が発見される。

早い話 エリというのは、姿こそ12歳の少女なのだが、人間の血を吸いながら生き長らえているバンパイア。
そんなキャラクターが登場するんだけど、映画としてホラーやオカルトチックな雰囲気は無し。

それよりも 映し出されるストックホルムの街並みや、どこかよどんだオスカーの学校生活を見てると ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント」を思い出しました。
うん、そんな感じ。

12歳の少年のピュアな感情。友だちになりたい、恋をしたい、強くなりたい。
それはそれでドラマになりえるだろうけど、目の前に現れたのは じつはバンパイアだった・・・と。

でも恋した相手がバンパイアであるという事実さえも、ピュアに受け止めていくような感覚が このストーリーの特徴なんでしょうな。
ピュア過ぎちゃって もう少し切なさが強くてもよかったように思うけど。

白い雪に囲まれた風景や オスカー少年の恋心からはファンタジックなテイストがあり。
それと同時に エリが生きていくための猟奇的な殺人や、オスカーを救うためのプールでの場面からは ちょっとエゲツナイ香りも漂い。

見る側としてのバランス感覚も必要な気がします。

別に血が吹き出る映画も嫌いじゃないんだけど・・・
オスカーが最後に選んだ選択がね。

自身で希望を掴んだような笑みをうかべて、ハッピーエンドのようにも見えるけど。でも 今後エリを生かし続けてゆくためには、とてつもない道が待っているであろうに。
彼の表情のピュアさが 余計に悲しく思えたわたくしでした。
posted by 味噌のカツオ at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月11日

瞳の奥の秘密

フアン・ホセ・カンパネラ
リカルド・ダリン、ソレダー・ビヤミル、パブロ・ラゴ
刑事裁判所を引退したベンハミンは、25年前に起きたある凄惨な殺人事件を題材に小説を書き始める。
ベンハミンにとって小説を書くことは、その事件の真相に迫るとともに、今も変わらずに想い続ける かつての上司・イレーネへの愛に向き合うことでもあった。

日本の「おくりびと」に続き、アカデミー賞・最優秀外国語映画賞を受賞した作品。スペイン=アルゼンチン/スペイン語 と記載されています。
ちなみにアルゼンチン・アカデミー賞に於いては 主要13部門を受賞。

そのような輝かしい受賞暦とは裏腹に、やや地味な印象は拭えないけど・・・ホンっト 見てよかったわ。素晴らしい作品でした。

正直 細かい設定を入れないまま見はじめて、いきなり描かれているのはレイプ殺人のシーンなんですが・・・
これは映画だから許される表現だと思うので書いちゃうけど、その現場の状況が やけに美しくてね。

そこで行なわれたのは卑劣極まりないことなのはわかるんだけど、美しい女性が全裸で血まみれになっている状況が とても絵になっていて。
その‘絵’があって 犯人への憎悪も、被害者の夫への感情移入も一気にできたんだよね。こんな感覚初めてでしたわ。

殺人事件の真相を追うサスペンスを軸に、ベンハミンとイレーネの秘められた愛。一途に燃え続けたモラレスの愛。そしてそれらを汚し続けた悪意や妬み。
それらが絡み合って 物語としてもしっかりと見応えがあります。

さらにはサッカースタジアムでゴメスを追い詰める映像は1カットにまとめられて目がはなせません。

かと思えばエレベーターの中でゴメスが銃をちらつかせるシーンには緊張が高まり、ベンハミンとイレーネの駅での別れの場面なんかも 古臭い演出かもしれないけど たまらないシーンだったなぁ。

そして最終的にたどり着く事件の25年目の決着には 胸が震えました。
あぁ、酔いどれパブロの末路も衝撃だったけど。

全編に渡って映画の様々な見せ方でもって、人の感情の美しさも汚さも描ききってある感じですね。
ホンっト 見てよかったわ。素晴らしい作品でした。


さて、映画の序盤、ふいにベッドで目覚めたベンハミンが「temor」(怖い)と走り書きをする場面があります。
誰しも遠ざけてきた過去と向き合うのは、ある種 自分の中の恐怖感にも触れることなんですよ。

そして後半。彼は「temor」のメモに‘A’の文字を書き入れ「te amor」(あなたを愛してる)と書き換えてみせます。

ベンハミンとイレーネの過去と現在をつないでみせた古いタイプライターは‘A’の文字が壊れていたんだけど。
結局 ベンハミンは自らの力で恐怖感を乗り越え、彼女への愛を確信したということなのかな。

ちょっとした言葉遊びなんだけどね・・・(笑)

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石泥・米酢
posted by 味噌のカツオ at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月31日

フローズン

アダム・グリーン
ケヴィン・ゼガーズ、ショーン・アシュモア、エマ・ベル
終業間際のスキー場。「最後のひと滑りを」と頼み込みリフトに乗り込んだ ダン、ジョー、パーカーの3人。ところがリフト係が交代してしまい、誤まってリフト停止させてしまう。
地上15m、極寒のリフトに取り残されてしまった3人の運命は・・・

大海原に取り残されてしまう「オープンウォーター」という作品がありましたが、まさに その雪山版といったトコでしょうか。

リフトに乗り込んだのは 幼馴染のダンとジョー。そしてダンの恋人・パーカー(八重歯がキュート)。
この3人 それぞれの微妙な距離感も なんだか「わかるな〜」って感じ。

そして これまで女っ気のなかったジョーが、このスキー場で知り合った女性の電話番号を聞くなんてのも「あるよね〜」ってね。

そんなこんなの導入部があり、ついに彼らはリフトに乗り 夜の山の中へと登っていきます。。。


確かに、自分がこんなことに巻き込まれちゃったら〜どうする!?と、ホントその点では非常に身近な‘怖さ’を分かち合える作品です。
ただ 若干の物足りなさが残ったのも事実で。何かそれ以上に 展開を深めるプラスαが欲しかった気がしますね。

ジョーが知り合った彼女の電話番号も意味深に復唱しつつ、何もつながらなかったり。
最初にリフト係の人を引っ掛けて、どこか悪い印象を持たせたのであれば、かのリフト係が「あぁコイツらなら遭難しても・・・」という悪意を感じさせる場面とか。

寒い、動けない、トイレ行きたい は当たり前で、何か予期せぬトラブルが近づいたり。あるいは 助かりそうで助からない的な、もうひとヤマ ふたヤマといった要素がね。
「ファイナルデスティネーション」みたいに作りこまなくてもいいけど、「わかるな〜」「あるよね〜」ってレベルのナチュラルなひねりが見たかったわ。

そうは言っても これはこれで楽しめたのも事実。
夕暮れ時にリフトに乗るときは注意しましょう(笑)

Frozen.jpg
おぉカミよ・・・
posted by 味噌のカツオ at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする